特許第6180768号(P6180768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180768航空機胴体を製造するためのデバイスの扇状体を作動させるシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180768
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】航空機胴体を製造するためのデバイスの扇状体を作動させるシステム
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/10 20170101AFI20170807BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20170807BHJP
   B64C 1/12 20060101ALI20170807BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20170807BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20170807BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20170807BHJP
   B29L 31/30 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   B64F5/10
   B64C1/00 B
   B64C1/12
   B29C70/06
   B29C70/16
   B29K105:08
   B29L31:30
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-71858(P2013-71858)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-212833(P2013-212833A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】TO2012A000284
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512034737
【氏名又は名称】アレーニア・アエルマッキ・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】グイド・シボーナ
(72)【発明者】
【氏名】エットーレ・モスタルダ
(72)【発明者】
【氏名】ジュセッペ・イオヴィーネ
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−131559(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/148301(WO,A2)
【文献】 特開平05−263892(JP,A)
【文献】 特開平02−097753(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0154990(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0155984(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/10
B64C 1/00− 1/02
B64C 1/12
B29C 41/00−41/36
B29C 41/46−41/52
B29C 70/00−70/88
B29K 105/08
B29L 31/30
F41H 25/20−25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機胴体を製造するためのデバイス(2)の扇状体を作動させるシステムであって、積層マンドレル(4)が、対称軸(7)に対して回転体を画成する外面(5)により画成され、
前記積層マンドレル(4)が、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成されており、前記含浸合成材料の束が、前記外面(5)に配置されて巻き付けられ、航空機の構造体セクションを形成するために真空下で高温の重合処理を受ける複数の重複層を形成し、
前記積層マンドレル(4)が、前記軸(7)回りで角度方向に間隔をあけた複数の扇状体(12)を備え、前記扇状体が、
− 当該扇状体(12)が、前記軸(7)と平行であり、隣り合って配置された大型の直線縁部(13)を有し、当該扇状体(12)のうち前記軸(7)の反対側にある外面が、共に前記外面(5)を画成する、膨張積層位置と、
− 当該扇状体(12)の少なくとも一部が前記軸(7)に接近して前記面(5)のトレースから離間するように移動し、前記積層マンドレルの径方向寸法を低減させ、航空機の前記構造体セクションから前記積層マンドレル(4)自体を引き抜くことを可能とする、収縮解体位置と、
の間で移動可能であり、
前記扇状体それぞれには、径方向回転軸(32)に沿って延在するネジ付直線素子(31)とナットネジ(29)とモータ手段(28)とを備えるネジ−ナットネジタイプのシステム(27)が設けられており、
前記ネジ付直線素子(31)が、第1材料で形成されて前記回転軸(32)に沿って延在する内側シャフト(33)と、第2材料で形成されて前記内側シャフト(33)の一部に軸方向で取り付けられており、外面にネジ部が形成された外側管状部分(34)と、を備え、
前記第1材料が、前記第2材料の膨張係数よりも小さい膨張係数を有し、
前記内側シャフト(33)と前記外側管状部分(34)との間には、制約手段(38)が設けられ、前記制約手段が、前記内側シャフト(33)に対する前記外側管状部分(34)の角度方向の変位を防止するように構成され、前記内側シャフト(33)に対する前記外側管状部分(34)の直線的スライドを可能とし、
前記外側管状部分(34)の第1端部分(34a)が、前記内側シャフト(33)の各端部分に接続され、
前記ネジ付直線素子(31)にかかる熱応力が、前記内側シャフト(33)に対する前記外側管状部分(34)の第2自由端部分(34b)のスライドを生成し、そのため、前記応力が、前記ネジ付直線素子(31)の全体的な伸長をわずかしか生成せず、これが、前記第1材料における身長が低減したことのみに依存し、前記扇状体それぞれが、前もって規定された前記膨張積層位置を維持し、前記熱応力に追従することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記制約手段(38)が、前記内側シャフト(33)の一部の外面にある複数の長手方向リブ(50)を備え、前記長手方向リブが、前記外側管状部分(34)の各部分の内面にある長手方向溝部(52)それぞれと係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1材料が、インバー36(登録商標)であり、前記第2材料が、鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ナットネジ(29)及び前記モータ手段(28)が、前記積層マンドレル(4)の内側支持構造体(10)により支持されており、前記ネジ付直線素子(31)が、前記扇状体(12)それぞれと結合する端部分(33a)を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム
【請求項5】
前記扇状体(12)それぞれが、円弧の外形を有する断面を有する湾曲した壁部(20)と、前記積層マンドレル(4)の内側を向き、前記壁部(20)の撓み/変形を防止するように構成された補強構造体(21)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機胴体を製造するためのデバイスの扇状体を作動させるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機胴体を製造するためのデバイスが記載されており、この航空機胴体では、積層マンドレルが、対称軸に関して回転体(以下、特にシリンダ)を画成する外面により区画される。積層マンドレルは、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成されており、この含浸合成材料の束は、複数の重複層を形成する積層段階においてマンドレルの外面に巻き付けられて配置される。上記重複層は、航空機の構造体セクション(一般的に、胴体の管状部分)を形成するためにオートクレーブ内において真空下で、後続する高温の重合処理を受ける。
【0003】
積層マンドレルは、軸回りで角度方向に間隔をあけており、ガイドによって支持された複数の扇状体(sector)を備え、このガイドは、支持格子構造体から径方向に延在する。扇状体は、扇状体が軸と平行であり並んで配置された大きい直線縁部を有し、扇状体のうち軸と反対側にある外面が外面を画成する膨張積層位置と、扇状体が軸に接近して面のトレースから離間するように動き、真空下の重合処理の終了時に航空機の構造体セクションから積層マンドレルを引き出すことを可能とする収縮解体位置と、の間で移動可能である。
【0004】
膨張積層位置において、扇状体に重要なことは、部品間のわずかな運動が構造体セクションの幾何形状を修繕できないほどに変更してしまうので、互いに対して角度方向及び軸方向で適切な位置を維持することである。例えば、本願の出願人は、大型旅客機の構造体セクションを製造するために使用される積層マンドレルが例えば0.5mm未満の小さな寸法公差を有していなければならないこと、を指摘している。
【0005】
各扇状体が膨張積層位置から収縮解体位置まで移動することは、通常、ネジ−ナットネジ型の作動システムを用いて実行され、この作動システムは、支持格子構造体に位置する電気モータにより駆動される。
【0006】
上記ネジは、通常、公知のように、高温で著しく膨張する金属である鋼で形成されており、本願の出願人は、実際に、オートクレーブで通常到達する温度(約200℃から300℃)で、通常使用するネジが数mm(例えば約10mm)長くなっていることを観測しており、これは、冷温時に到達する膨張積層位置から、外面が同様に冷温時の外面の寸法よりも大きい寸法を有する膨張位置まで、移動させる。
【0007】
上記現象は、結果として、航空機の構造体セクションが設計寸法に対応しない寸法を有することとなり、したがって、(例えば他のセクションと結合できなくなるので)使用できなくなる。
【0008】
したがって、上述した技術的問題を解決し、オートクレーブ内で行われる熱サイクルに敏感ではない扇状体作動システムを製造する必要性がある。
【0009】
特許文献2〜5は、公知技術を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2007/148301号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第19525023号明細書
【特許文献3】特開2002−361541号公報
【特許文献4】米国特許第4802558号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/155984号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、航空機胴体を製造するためのデバイスの扇状体を作動させるシステムであって積層マンドレルが対称軸に対して回転体を画成する外面により画成される作動システムに関する本発明により達成され、上記積層マンドレルは、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成されており、この含浸合成材料の束が、外面に配置されて巻き付けられ、航空機の構造体セクションを形成するために真空下で高温の重合処理を受ける複数の重複層を形成し、積層マンドレルが、軸回りで角度方向に間隔をあけた複数の扇状体を備え、扇状体が、
− 扇状体が、軸と平行であり、隣り合って配置された大型の直線縁部を有し、扇状体のうち軸の反対側にある外面が、共に上記外面を画成する、膨張積層位置と、
− 扇状体の少なくとも一部が軸に接近して面のトレースから離間するように移動し、マンドレルの径方向寸法を低減させ、航空機の構造体セクションから上記マンドレル自体を引き抜くことを可能とする、収縮解体位置と、
の間で移動可能であり、扇状体それぞれには、径方向回転軸に沿って延在するネジ付直線素子とナットネジとモータ手段とを備えるネジ−ナットネジタイプの作動システムが設けられており、上記ネジ付直線素子が、第1材料で形成されて上記回転軸に沿って延在する内側シャフトと、第2材料で形成されて上記内側シャフトの一部に軸方向で取り付けられており、外面に上記ネジ部が形成された外側管状部分と、を備え、上記第1材料が、第2材料の膨張係数よりも小さい膨張係数を有し、上記内側シャフトと上記外側管状部分との間には、制約手段が設けられ、制約手段が、内側シャフトに対する外側管状部分の角度方向の変位を防止するように構成され、内側シャフトに対する外側管状部分の直線スライドを可能とし、外側管状部分の第1端部分が、上記内側シャフトの各端部分に接続され、上記ネジ付素子にかかる熱応力が、内側シャフトに対する外側管状部分の第2自由端部分のスライドを生成し、上記応力が、ネジ付直線素子の全体的な伸長を生成せず、各扇状体が、前もって規定された膨張積層位置を維持し、上記熱応力に追従する。
【0012】
ここで、好ましい実施形態の例を示す添付の図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】航空機胴体を製造するためのデバイスであって本発明の作動システムを用いるデバイスを示す斜視図である。
図2図1に示すデバイスの内部構造を示す斜視図である。
図3図1及び図2に示すデバイスの横断面を拡大して示す側面図であって、本発明に従って製造された作動システムを強調する、側面図である。
図4】第1閉塞動作位置にある作動システムの一部を示す長手方向断面図である。
図5】第2開放動作位置にある作動システムの一部を示す長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図3から図5では、航空機胴体を製造するためのデバイス2(図1)の扇状体を作動させるシステムを全体的に符号1で示す。
【0015】
特に、デバイス2(図1)は、外面5により区画される積層マンドレル4を備え、この外面は、対称軸7に関して回転体を画成する。積層マンドレル4は、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成されており、この含浸合成材料は、外面5に配置されて巻き付けられており、面5を完全にかつ均一に覆う複数の重複層を形成する。合成材料の束(例えばカーボンファイバ)は、積層マンドレル4にある積層ヘッド(公知のタイプ−図示略)を用いて配置されている。
【0016】
例えば、束は、マンドレル4を軸7回りで回転させて積層ヘッド(図示略)を上記軸7に沿って調整した態様で並進移動させることによって、配置される。例えば、米国特許出願公開第2005/0039843明細書は、積層ヘッドを示す。束の積層を終えると、含浸複合材料の束は、真空下で重合処理を受け、航空機の管状構造体セクションを製造する。上記処理は、積層マンドレル4をオートクレーブ(図示略)内に配置して公知のタイプの熱的加熱サイクルを実行することにより、行われる。
【0017】
図示の例において、外面5は、シリンダ状であり、積層マンドレル4は、航空機胴体のシリンダ状の管状部分を製造するために使用される。
【0018】
積層マンドレル4は、軸7回りで角度方向に間隔をあけかつ支持構造体10(図2において概略的に示す)により支持される複数の扇状体12(図5及び図6参照−例として−6つの扇状体12)を備え、この支持構造体は、軸7に沿って直線状の態様で延在する。
【0019】
扇状体12は、
− 扇状体12が、隣り合って配置され、軸7と平行な大きな直線縁部13を有し、扇状体12のうち軸7の反対側にある外面が、互いに隣接しており、全体としてシリンダ状面5を画定する、膨張積層位置(図1及び図5)と、
− 扇状体12が、軸7に接近して面5のトレースから離間移動し、マンドレル4の径方向寸法を低減して処理の終わりにおいて航空機の構造体セクションからマンドレル4を引き出すことを可能とする、収縮解体位置と、
の間で移動可能である。
【0020】
支持構造体10は、第1及び第2環状端部分16a、16b(図2)間で延在しており、各環状端部分には、軸方向に延在する切頭円錐状端部分17a、17bが各別に形成されている。
【0021】
切頭円錐状端部分17a、17bは、金属材料で形成されており、それぞれは、軸7と同軸の中央開口部18を区画する。
【0022】
特許文献1は、上述したタイプの構造体及び端部分17a、17bの実施形態及び使用の一例を示す。
【0023】
各扇状体12は、横断面が60°の開口角度を有する円弧の外形を有しており、軸7を中心とする湾曲金属壁部20(図3図5及び図6)と、複数のリブ21で形成された補強構造体21と、を備え、このリブは、軸方向で互いに間隔をあけられており、マンドレル4の内側を向いて壁部20の撓み/変形を防止し、面5が完全にシリンダ状であり軸7と同軸であるままとすることを確保する。
【0024】
2つの連続する扇状体12の隣接する縁部13は、周辺重複領域13s(図4)において縁部を上下に位置付けるように構成されている。
【0025】
各扇状体12の補強構造体21と支持構造体との間には、一対の直線ガイド17(公知のタイプであるのでさらなる図示を省略)が設けられており、この直線ガイドは、扇状体12を支持し、膨張及び収縮積層位置間において各湾曲壁部20が軸7に対する径方向で両方向に直線的に並進運動することを可能とする。
【0026】
各扇状体の運動は、作動システム27(図3において拡大して示す)により達成されており、この作動システムは、一対のガイド17間に位置付けられ、この作動システムには、上記並進運動を実現するように構成された電気モータ28(概略的に図3参照)が設けられている。
【0027】
同様に、本発明において、作動システム27は、ネジ−ナットネジタイプであり、支持構造体10により支持されており、モータ28(簡略化のため伝達機構を図3に示さない)により回転するナットネジ29と、ナットネジ29と結合し、一端部が扇状体12の補強構造体21に接続される直線ネジ付素子31と、を備える。直線ネジ付素子31は、軸7と垂直な平面にある軸32に沿って径方向に延在する。
【0028】
あるいは、ナットネジ29は、扇状体12に補強面21に配置され、ネジ付素子31は、支持構造体10により支持されてモータ28により回転されてもよい。
【0029】
ネジ付素子31は、第1金属材料で形成され、回転軸32に沿って延在する内側シャフト33(図3)と、第1金属材料で形成され、シャフト33の一部に軸方向で取り付けられ、外面にネジ部35が設けられた外側シリンダ状管状部分34と、を備え、このネジ部は、ナットネジ29と係合し、このナットネジは、支持構造体10により支持されており、電気モータ28(上で強調したように、簡略化のため、モータ28の出力シャフトとナットネジ29との間に位置する伝達機構を図示しない)により回転される。外側管状部分34の長さは、内側シャフト33の長さとほぼ同等であり、このため、内側シャフトは、ほぼその全長にわたって被覆されおり、管状部分34により画定されるシリンダ状空胴部内に収容されている。
【0030】
第1金属材料(例えばインバー36(INVAR 36)(登録商標))は、第2金属材料(例えば鋼)の膨張係数よりも小さい膨張係数を有する。
【0031】
例えば、鋼は、以下の熱膨張係数(mm/℃で示す)を有する。
【0032】
【表1】
【0033】
公知のように、インバーは、主として鉄(64%)及びニッケル(例えば36%)を含み、微量の炭素及びクロムを含む合金であり、スイスのノーベル賞受賞者である物理学者シャルル・エドゥアール・ギヨームにより発見された。その熱膨張係数(約10−6−1)は、鋼の熱膨張係数と比較して約1/10である。
【0034】
第2金属材料は、第1金属材料の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有するが、第1材料の機械的強度特性よりも良好な機械的強度特性を有する。
【0035】
シャフト33は、長方形プレート36が延在する第1端部分33aを有し、この長方形プレートは、順に、軸7に向けて補強構造体21から径方向に延在するブラケット37にヒンジ接続されている。
【0036】
第1端部分33aは、シリンダ状の管状部分34で被覆されていないが、シャフト33のシリンダ状の管状部分34により被覆される部分よりも小径である。
【0037】
シャフト33の第2端部分33bには、ネジ46の終端部分を収容する軸方向穴部が形成されており、適切な態様で、管状部分34の第1端部分34aをシャフト33に固定する。
【0038】
内側シャフト33と管状部分との間には、角度方向制約手段が設けられており、この制約手段は、内側シャフト33に対して管状部分34が角度方向で変位することを防止する(したがって電気モータ28により生成したトルクをシャフト33に伝達することが可能となる)が、内側シャフト33に対して管状部分34が直線状にスライドすることを可能とし、ネジ付素子31にかけられた熱適応力に全体として追従する。
【0039】
例えば、制約手段38は、複数の長手方向リブ50(例えば三角形状の断面を有する−図3)で形成されており、このリブは、内側シャフト33の終端部分の外面に設けられており、管状部分34の終端部分の内面に設けられた長手方向溝部52それぞれと結合するように構成されている。
【0040】
このようにして、ネジ付素子31にかかる温度増加(温度増加は、オートクレーブにおいて行われる熱サイクルによって引き起こされる)が管状部分34の変形を生成し、使用する金属に起因して著しい寸法変化を受けない内側シャフト33に関して、管状部分の第2端部分34bをプレート35に向けて移動させる(制約手段38は、部品間の相対的なスライドを可能とし、第2端部分34bは、自由に移動する)。すべての場合においてネジ付素子の全長が内側シャフト33の端部分33b及び33a間の距離によって規定され、この内側シャフトが非常にわずかな膨張係数を有しているので、ネジ付素子31の全長の増加は、非常に小さい。このようにして、熱応力は、ネジ付直線素子31の全体的な伸長をわずかしか生成せず、これは、第1材料の伸長が低減されていることに依存する。
【0041】
したがって、デバイス2のオートクレーブ加熱は、加熱前に規定された位置に対する扇状体12のシフトを引き起こさない。このため、航空機の管状胴体素子における必要な寸法公差を保証する。
【0042】
さらに、ナットネジは、耐摩耗性を有する金属材料で形成されたネジ部と係合し、このため、複数の扇状体開閉サイクルに耐えることができる堅固な作動システムを提供する。
【符号の説明】
【0043】
1 システム、2 デバイス、4 積層マンドレル,マンドレル、5 シリンダ状面,外面,面、7 対称軸,軸、12 扇状体、13 直線縁部,縁部、20 湾曲金属壁部,湾曲壁部,壁部、21 補強構造体,補強面,リブ、27 作動システム,システム、28 モータ手段,電気モータ,モータ、29 ナットネジ、31 ネジ付直線素子,直線ネジ付素子,ネジ付素子、32 径方向回転軸,回転軸、33 内側シャフト,シャフト、33a 端部分、34 外側シリンダ状管状部分,外側管状部分,管状部分、34a 第1端部分,端部分、34b 第2自由端部分,端部分、38 制約手段、50 長手方向リブ、52 長手方向溝部
図1
図2
図3
図4
図5