特許第6180776号(P6180776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アトムメディカル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000002
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000003
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000004
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000005
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000006
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000007
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000008
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000009
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000010
  • 特許6180776-呼吸用ガスの加温加湿器 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180776
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】呼吸用ガスの加温加湿器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20170807BHJP
   A61M 16/16 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61M16/10 C
   A61M16/16 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-87773(P2013-87773)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-210048(P2014-210048A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】松原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 照巳
(72)【発明者】
【氏名】小林 心一
(72)【発明者】
【氏名】大友 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】田邉 佳史
【審査官】 渋谷 善弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−250894(JP,A)
【文献】 特開2012−139496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/10
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜めたチャンバ内に呼吸用ガスを流通させて加温加湿する呼吸用ガスの加温加湿器であって、前記チャンバと患者に装着される患者インターフェースとの間を接続するインターフェース接続ホースを備え、前記インターフェース接続ホースは、加温加湿後の前記呼吸用ガスを前記チャンバから前記患者インターフェースに送る吸気ホースと、前記吸気ホースの周囲を囲った状態に設けられヒータで加熱された保温用空気を通過させることで前記吸気ホース内の呼吸用ガスを保温する保温流路とを有し、前記保温流路は、前記吸気ホースに接して設けられる内側流路と、前記内側流路の外側に設けられる外側流路とを有し、前記内側流路と前記外側流路とは、前記保温流路の一端部において連通して設けられ、前記保温流路の他端部には、前記内側流路に前記保温用空気を導入する導入口と、前記外側流路から前記保温用空気を導出する導出口とが設けられており、前記インターフェース接続ホースの両端部には、前記チャンバから送り出された直後の呼吸用ガスの温度を検出する温度センサと、前記インターフェース接続ホースから前記患者インターフェースへの供給直前の呼吸用ガスの温度を検出する温度センサとが設けられ、前記温度センサの検出結果に基づいて前記ヒータの発熱温度を制御するヒータユニットが設けられていることを特徴とする呼吸用ガスの加温加湿器。
【請求項2】
前記導入口及び前記導出口は、前記インターフェース接続ホースの前記チャンバ側に設けられることを特徴とする請求項1記載の呼吸用ガスの加温加湿器。
【請求項3】
記保温用空気を前記保温流路と前記ヒータユニットとの間で循環させるコンプレッサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の呼吸用ガスの加温加湿器。
【請求項4】
前記ヒータユニットから前記保温流路に前記保温用空気を供給する供給ホースと、前記保温流路から前記コンプレッサを介して前記ヒータユニットに前記保温用空気を供給する循環ホースと、前記供給ホース及び前記循環ホースが接続され前記保温流路の他端部に着脱可能に設けられるアタッチメントとを備えることを特徴とする請求項3記載の呼吸用ガスの加温加湿器。
【請求項5】
前記導入口と前記導出口とは、前記保温流路の側面に互いに平行に立設されるとともに、前記導入口又は前記導出口には、前記アタッチメントとの着脱方向を制限する誤装着防止手段が設けられることを特徴とする請求項4記載の呼吸用ガスの加温加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器や酸素吸入療法等に用いられる呼吸用ガスを適度の温度、湿度に維持するための加温加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
所定量の酸素を含んだ呼吸用ガスを患者の気道へ送る人工呼吸器や、酸素吸入療法のための装置が知られている。このような装置においては、患者に乾燥した呼吸用ガスが供給されると、時間の経過とともに患者の喉、鼻腔及び粘膜を乾燥させ、患者に不快感を与えるだけではなく、気道の損傷をもたらすおそれがある。このため、従来から呼吸用ガスに水蒸気を取り込んで適度の温度、湿度に維持するための加温加湿器が用いられてきた。
【0003】
そして、呼吸用ガスの加温加湿器としては、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されているような水を溜めたチャンバ内に呼吸用ガスを通過させ、蒸発した水分で加湿するもの等が知られている。このような加温加湿器においては、ホース等の呼吸回路を介して患者に加温加湿された呼吸用ガスが供給されることから、チャンバから送られる呼吸用ガスが呼吸回路を通過する際に、室内の雰囲気により冷やされ、ホースの内部で結露が生じるおそれがある。この場合には、十分な温度及び湿度の呼吸用ガスを患者に供給することができなくなるだけでなく、結露した水が患者への呼吸用ガスに混入するおそれがある。
【0004】
そこで、例えば特許文献3及び特許文献4には、チャンバと患者とをつなぐ呼吸管(呼吸用チューブ)内に沿ってヒータ(加熱用ワイヤ)を螺旋状に取り付け、ヒータにより呼吸用ガスを加熱することにより、管内温度の低下を防止して、結露を防ぐことが提案されている。
また、特許文献5では、呼吸管の側面に温風流路を形成しており、温風により呼吸管内の呼吸用ガスを加温することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2011‐512889号公報
【特許文献2】特表2012‐185825号公報
【特許文献3】特開平6‐23051号公報
【特許文献4】特許第3754282号公報
【特許文献5】特開2003‐250894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献3及び特許文献4に記載されているように、呼吸管をヒータにより加熱する構成では、電気接続されるヒータが患者近くにまで配置されることとなり危険である。また、呼吸管に沿って設けられるヒータの螺旋のピッチが大きいと呼吸用ガスがヒータと接触する部分と接触しない部分とが生じて呼吸用ガスに温度ムラが発生するおそれがあり、結露が生じ易くなることが問題である。さらに、ヒータにより呼吸用ガスを直接加熱する構成では、衛生面に懸念がある。
【0007】
一方、特許文献5に記載される呼吸回路においては、呼吸用ガスと温風とが流れる配管が別々に設けられていることから、呼吸用ガスの汚染を防ぐことができる。
しかし、呼吸回路の最も外側に設けられる温風流路は外部からの温度変化の影響を受け易く、加温及び加湿状態の呼吸用ガスの患者へ供給が不安定となる。このため、十分に加温及び加湿された呼吸用ガスをより安定させた状態で患者に供給することが望まれている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、外部からの温度変化に対して影響を受けにくく、結露を生じさせることなく十分な加温及び加湿がなされた呼吸用ガスを安定して患者に供給することが可能な呼吸用ガスの加温加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水を溜めたチャンバ内に呼吸用ガスを流通させて加温加湿する呼吸用ガスの加温加湿器であって、前記チャンバと患者に装着される患者インターフェースとの間を接続するインターフェース接続ホースを備え、前記インターフェース接続ホースは、加温加湿後の前記呼吸用ガスを前記チャンバから前記患者インターフェースに送る吸気ホースと、前記吸気ホースの周囲を囲った状態に設けられヒータで加熱された保温用空気を通過させることで前記吸気ホース内の呼吸用ガスを保温する保温流路とを有し、前記保温流路は、前記吸気ホースに接して設けられる内側流路と、前記内側流路の外側に設けられる外側流路とを有し、前記内側流路と前記外側流路とは、前記保温流路の一端部において連通して設けられ、前記保温流路の他端部には、前記内側流路に前記保温用空気を導入する導入口と、前記外側流路から前記保温用空気を導出する導出口とが設けられており、前記インターフェース接続ホースの両端部には、前記チャンバから送り出された直後の呼吸用ガスの温度を検出する温度センサと、前記インターフェース接続ホースから前記患者インターフェースへの供給直前の呼吸用ガスの温度を検出する温度センサとが設けられ、前記温度センサの検出結果に基づいて前記ヒータの発熱温度を制御するヒータユニットが設けられていることを特徴とする。
【0010】
吸気ホースと保温流路とは互いに独立しており、保温流路にヒータで加熱した保温用空気を流すことで、吸気ホースの側面を通じて呼吸用ガスと保温用空気との間で熱伝達を行うことができ、吸気ホース内の呼吸用ガスを保温することができる。
また、保温流路は内側流路と外側流路とによる二重構造とされ、その内側に配置される内側流路によって吸気ホースの側面を保温することができ、外側に配置される外側流路によって内側流路を保温することができる。ヒータで加熱された保温用空気は、内側流路に導入され、次いで内側流路から外側流路へ流れる構成とされており、この内側流路から外側流路に流れる保温用空気は、流路内を通過する際に隣接する吸気ホース、内側流路、外側流路、外部との間で熱交換されることにより徐々に冷やされるが、内側流路と外部との間に外側流路を介在させることで内側流路が外部の温度変化の影響を受け難くなっている。このため、チャンバから送られる十分に加温加湿がなされた状態の呼吸用ガスを、内側流路を流れる保温用空気によって安定した状態で保温することができる。したがって、吸気ホース内に結露を生じさせることなく、チャンバから送られる加温加湿状態の呼吸用ガスを安定して患者に供給することができる。
また、保温用空気の導入口と導出口は保温流路の他端部側にまとめて設けられており、保温用空気の供給ホース等の取り回しを容易に行うことができる。
【0011】
本発明の呼吸用ガスの加温加湿器において、前記導入口及び前記導出口は、前記インターフェース接続ホースの前記チャンバ側に設けられる。
保温用空気の導入口と導出口を、インターフェース接続ホースのチャンバ側に設けることで、これら導入口及び導出口に接続される保温用空気の供給ホース等が患者と接触することを避けることができ、患者への負担を軽減させることができる。
【0012】
本発明の呼吸用ガスの加温加湿器において、前記保温用空気を前記保温流路と前記ヒータユニットとの間で循環させるコンプレッサが備えられる。
通常、チャンバから吸気ホースに送られる呼吸用ガスを保温するために保温流路内に導入される保温用空気は、外部温度よりも高い温度に設定される。そして、保温流路を通過した後の保温用空気も完全に外部温度まで冷やされることなく導出される。このため、こ
の導出された保温用空気をヒータユニットで加熱することにより、容易に所望の温度まで温めることができる。このように、保温用空気を循環させて用いることで、保温用空気の加熱を円滑に行うことが可能となる。
なお、保温用空気を循環させる構成としても、吸気ホースと保温流路とは互いに独立して設けられていることから、保温用空気と呼吸用ガスとは接触することがなく、呼吸用ガスが汚染されることがない。
【0013】
本発明の呼吸用ガスの加温加湿器において、前記ヒータユニットから前記保温流路に前記保温用空気を供給する供給ホースと、前記保温流路から前記コンプレッサを介して前記ヒータユニットに前記保温用空気を供給する循環ホースと、前記供給ホース及び前記循環ホースが接続され前記保温流路の他端部に着脱可能に設けられるアタッチメントとが備えられる。
衛生面の観点から吸気ホースは定期的に洗浄や交換をする必要があるが、保温流路は吸気ホースとは独立に設けられ保温用空気は呼吸用ガスと接触しない構成とされていることから、保温流路とヒータユニットとの接続に必要な供給ホースや循環ホースについては頻繁に交換する必要がない。そこで、これらの供給ホース及び循環ホースを1つのアタッチメントに接続して保温流路と着脱可能に設けることで、アタッチメントを介して保温流路との接続を容易に行うことができる。
【0014】
本発明の呼吸用ガスの加温加湿器において、前記導入口と前記導出口とは、前記保温流路の側面に互いに平行に立設されるとともに、前記導入口又は前記導出口には、前記アタッチメントとの着脱方向を制限する誤装着防止手段が設けられているとよい。
導入口と導出口とを平行に設けて一方向に立設させているので、アタッチメントとの接続を容易に行うことができる。また、アタッチメントは、導入口と導出口に対して一定の方向から挿入しない限り保温流路に装着することができないように装着方向を制限する誤装着防止手段が設けられる。このため、ヒータユニットから送られる保温用空気を確実に内側流路に導入することができ、十分に加温加湿がなされた呼吸用ガスを安定して患者に供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸気ホースの周囲を囲う二重構造の保温流路を設けたので、吸気ホースを保温する内側流路が外部からの温度変化に対して影響を受けにくく、吸気ホース内に結露を生じることを防止することができる。したがって、十分な加温及び加湿がなされた呼吸用ガスを安定して患者に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の呼吸用ガスの加温加湿器の一実施形態を示す全体斜視図である。
図2図1に示す加温加湿器のインターフェース接続ホースを説明する概略構成図である。
図3図2におけるA‐A線に沿うインターフェース接続ホースの断面図であり、アタッチメントを取り外した状態を示す。
図4】インターフェース接続ホースのチャンバ側接続パイプ部分の斜視図である。
図5図4におけるB矢視図である。
図6図4におけるC矢視図である。
図7図5におけるD‐D線に沿うインターフェース接続ホースの断面図である。
図8図6におけるE‐E線に沿うインターフェース接続ホースの断面図である。
図9】チャンバ側接続パイプの取り付けを説明する斜視図である。
図10】チャンバ側接続パイプとアタッチメントとの着脱を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る呼吸用ガスの加温加湿器について、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の呼吸用ガスの加温加湿器100は、例えば、自発呼吸を補助して呼吸障害を治療するためのCPAP装置等に接続されて用いられる。CPAP装置は、持続気道陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)と呼ばれる方式の補助換気法を用いて患者に治療を施す装置であり、ネーザルプロング、気管挿管チューブ、鼻マスク等の患者インターフェースを介して所定量の酸素と空気との混合ガスからなる呼吸用ガスを患者に供給する。そして、加温加湿器100は、患者に供給される呼吸用ガスを適度の温度及び湿度に維持するために設けられており、CPAP装置から送られる呼吸用ガスは加温加湿器100で加温加湿され、患者に供給されるようになっている。
【0018】
加温加湿器100は、図1に示すように、制御部等が内蔵された本体1と、本体1と一体に設けられた基台2と、基台2に着脱可能に設けられたチャンバ3とを備え、水を溜めたチャンバ3の内部空間に呼吸用ガスを通過させることにより、呼吸用ガスを加温加湿できるようになっている。また、チャンバ3には、呼吸用ガスを送り込む供給用ホース4と、加温加湿後の呼吸用ガスをチャンバ3から患者に装着される患者インターフェース8に送り出すインターフェース接続ホース5と、チャンバ3内に水を供給する給水部6とが接続され、加温加湿器100の運転時にチャンバ3の水位に応じて、給水部6から水が供給されるようになっている。
なお、加温加湿器100は、図1に示すように、キャスタ71により移動自在な架台7上に載置されており、架台7とともに全体を移動可能になっている。また、加温加湿器100には、供給用ホース4を介してチャンバ3内に呼吸用ガスを送り込むためのガス供給機9(例えば、CPAP装置)が接続されている。
【0019】
インターフェース接続ホース5は、図2及び図7に示すように、チャンバ3と患者インターフェース8との間を接続して、患者にチャンバ3内で加温加湿された状態の呼吸用ガスを供給するものであり、図3に示すように、加温加湿後の呼吸用ガスをチャンバ3から患者インターフェース8に送る吸気ホース21と、吸気ホース21の周囲を囲った状態に設けられ保温用空気を通過させることにより吸気ホース21内の呼吸用ガスを保温する保温流路31とを有する。
【0020】
このインターフェース接続ホース5の両端部には、チャンバ3から送り出された直後の呼吸用ガスの温度を検出する温度センサ81Aと、インターフェース接続ホース5から患者インターフェース8への供給直前の呼吸用ガスの温度を検出する温度センサ81Bとが設けられている。
また、保温流路31には、図2に示すように、ヒータにより保温用空気を加熱するヒータユニット82と、保温用空気を保温流路31とヒータユニット82との間で循環させるコンプレッサ83とが接続されている。
ヒータユニット82は、カートリッジヒータ及びサーミスタを内蔵し、温度センサ81A,81Bの検出結果に基づいてカートリッジヒータの発熱温度を制御するようになっており、保温流路31に供給される保温用空気は、インターフェース接続ホース5の両端部における温度の検出結果に基づいて温度が調整される。
【0021】
また、保温流路31は、図3及び図7に示すように、吸気ホース21に接して設けられる内側流路32と、その内側流路32の外側に設けられる外側流路33とを有する構成とされる。
内側流路32と外側流路33とは、保温流路31の患者インターフェース8側において連通して設けられ、保温流路31のチャンバ3側に、内側流路32に保温用空気を導入する導入口34と、外側流路33から保温用空気を導出する導出口35とが設けられ、これら導入口34及び導出口35を介してヒータユニット82及びコンプレッサ83と接続される。そして、ヒータユニット82で加熱された保温用空気は、内側流路32に導入された後、内側流路32から外側流路33へ流れ、外側流路33からヒータユニット82に送られることにより、保温用空気が保温流路31とヒータユニット82との間で循環されるようになっている。
【0022】
また、導入口34及び導出口35は、図2及び図3に示すように、アタッチメント41を介してヒータユニット82とコンプレッサ83と接続され、アタッチメント41に、ヒータユニット82から内側流路32に保温用空気を供給する供給ホース42と、外側流路33からコンプレッサ83を介してヒータユニット82に保温用空気を供給する循環ホース43とが接続される。そして、アタッチメント41の着脱を行うことで、保温流路31とヒータユニット82との着脱が行えるようになっている。
【0023】
次に、インターフェース接続ホース5の構成を詳述する。
インターフェース接続ホース5は、図3及び図7に示すように、円筒状のチューブが同心円状に二重に区画された内筒チューブ51と、内筒チューブ51の外側に配置された円筒状の外筒チューブ52とを組み合わせた構成とされ、吸気ホース21と保温流路31を構成する内側流路32及び外側流路33は、内側から外側にかけて順に同心円状に配置される。そして、内筒チューブ51と外筒チューブ52とは、図2に示すように、両端部に被着された患者側接続パイプ61及びチャンバ側接続パイプ65によって一体として用いられるようになっている。
【0024】
内筒チューブ51は、図3に示すように、円筒状のチューブが二重の同心円状に形成されており、中央のチューブが吸気ホース21を構成する。また、吸気ホース21の外側を囲むチューブは、周方向に等間隔に配置され長さ方向に沿って設けられた仕切り壁53によって吸気ホース21の側面と接続されており、吸気ホース21との間に4つに区画された扇状の内側流路32を構成している。このように、内筒チューブ51によって、吸気ホース21と内側流路32とが一体に設けられている。
また、外筒チューブ52は、内筒チューブ51よりも口径の大きな円筒状のチューブにより形成され、その内面に4つの凸条部54が長さ方向に沿って周方向に等間隔に設けられている。この外筒チューブ52の内部に内筒チューブ51を挿入することで、凸条部54の先端が内筒チューブ51の側面と接触した状態に保持される。そして、内筒チューブ51と外筒チューブ52とが同心円状に配置されることにより、内側流路32の外側に、4つに区画された扇状の外側流路33が形成される。
【0025】
また、内筒チューブ51及び外筒チューブ52の患者インターフェース8側の端部に被着される患者側接続パイプ61は、図7に示すように、内筒チューブ51及び外筒チューブ52の端部を挿し込むことにより接続される挿入筒部62が設けられる。そして、挿入筒部62の中央部に、吸気ホース21内に挿入され、吸気ホース21と連通して呼吸用ガスを患者インターフェース8に送る連通筒部63が設けられている。また、患者側接続パイプ61には、内側流路32と外側流路33の端部に開口する環状の接続路36が設けられており、保温用空気を、接続路36を介して内側流路32と外側流路33との間で流通させることができるようになっている。また、この患者側接続パイプ61に、前述の温度センサ81Bが取り付けられており、患者インターフェース8への導入直前の呼吸用ガスの温度を検出できるようになっている。
【0026】
また、内筒チューブ51及び外筒チューブ52のチャンバ3側の端部は、図7に示すように、内筒チューブ51の端部が、外筒チューブ52の端面から突出して設けられており、チャンバ側接続パイプ65には、外筒チューブ52の端部が挿し込まれる外側挿入筒部66と、内筒チューブ51の端部が挿し込まれる内側挿入筒部67とが設けられている。そして、これら挿入筒部66,67の中央部に吸気ホース21内に挿入され、吸気ホース21と連通して設けられる連通筒部68が設けられている。また、チャンバ側接続パイプ65には、内側流路32の端部に開口する環状の内側接続路37が設けられるとともに、外側流路33の端部に開口する環状の外側接続路38が設けられている。そして、この内側接続路37に、ヒータユニット82から内側流路32に保温用空気を導入する円筒状の導入口34が立設されるとともに、外側接続路38に、保温流路31内を流れてきた保温用空気を外側流路33から導出する円筒状の導出口35が立設され、これら導入口34と導出口35とは、図3に示すように、互いに平行に設けられている。また、チャンバ側接続パイプ65の両側部には、アタッチメント41を着脱可能に保持する一対のフック部69が設けられ、アタッチメント41を介して保温流路31とヒータユニット82との着脱が行えるようになっている。
【0027】
フック部69は、導入口34及び導出口35の立設方向に伸びる帯板状に設けられ、その帯板部69aの基端部がチャンバ側接続パイプ65の外周面に接続されており、チャンバ側接続パイプ65の軸方向と直交する方向に弾性変形可能に設けられている。そして、この帯板部69aの先端部に、鉤型の爪部69bが外方に突出して設けられ、アタッチメント41を着脱可能に保持する。
なお、導入口34及び導出口35の口径は、ほぼ同径に設けられているが、導入口34には、アタッチメント41との着脱方向を制限する誤装着防止手段として、図9及び図10に示すように、外周面にリブ部64が設けられている。
また、前述の温度センサ81Aは、チャンバ側接続パイプ65に取り付けられており、チャンバ3から吸気ホース21内に導入される呼吸用ガスの温度を検出できるようになっている。
【0028】
アタッチメント41には、図7及び図8に示すように、導入口34及び導出口35に接続される挿入口44,45が設けられるとともに、アタッチメント41を装着する際に、導入口34と導出口35の円筒外周面に係合するガイド孔41a,41bが設けられている。そして、挿入口44,45に、ヒータユニット82及びコンプレッサ83と接続される供給ホース42及び循環ホース43が接続される。また、アタッチメント41には、チャンバ側接続パイプ65のフック部69と係脱可能な係止孔46が設けられており、前述したように、アタッチメント41を介して保温流路31とヒータユニット82との着脱が行えるようになっている。
なお、図示は省略するが、導入口34に係合するガイド孔41aには、導入口34の円筒外周面に形成されたリブ部64を挿入可能な切欠部が設けられており、アタッチメント41のチャンバ側接続パイプ65への装着時においては、アタッチメント41のリブ部64と切欠部との位置を一致させた状態でなければ、アタッチメント41を装着することができないようになっている。
【0029】
アタッチメント41の着脱は、係止孔46とフック部69との係脱により行われるが、アタッチメント41をチャンバ側接続パイプ65に装着する際には、図3及び図10に示すように、アタッチメント41を、導入口34及び導出口35及びフック部69の立設方向に沿って下方に移動させる。
この際、まずアタッチメント41の係止孔46の下端が、フック部69の先端の爪部69bと接触するとともに、アタッチメント41のガイド孔41a,41bの下端が導入口34及び導出口35の先端と接触する。そして、ガイド孔41a,41b内に導入口34及び導出口35の先端が挿入されることにより、アタッチメント41の下方への移動が案内される。また、フック部69の爪部69bの表面が円弧状に形成されていることから、アタッチメント41の移動とともに、爪部69bの円弧面に沿ってフック部69が内方に押されて移動する。これにより、爪部69bは係止孔46内に挿し込まれ、フック部69によってもアタッチメント41の移動が案内されるようになっている。
【0030】
そして、アタッチメント41をチャンバ側接続パイプ65に向けてさらに押し下げると、図7及び図8に示すように、挿入口44,45の下端が導入口34及び導出口35の先端に挿し込まれる。この際、フック部69の爪部69bが係止孔46から抜け出され、係止孔46による押込み方向の付勢がなくなることから、爪部69bが外方へと移動する。これにより、係止孔46の上端と爪部69bとが係止され、挿入口44,45と導入口34及び導出口35とが接続された状態で、アタッチメント41をチャンバ側接続パイプ65に装着することができる。そして、この状態では、フック部69の帯板部69aが係止孔46の側面に当接して外方に向けて付勢されるとともに、フック部69の爪部69bが係止孔46の上端により係止され、高さ方向への移動が制限されることから、アタッチメント41とチャンバ側接続パイプ65との装着状態が維持される。
なお、挿入口44,45と導入口34、導出口35との間には、図7及び図8に示すようにシール材47が設けられており、これらの間の隙間を封止することができるとともに、フック部69と係止孔46との間のガタつきを吸収することができる。
【0031】
一方、アタッチメント41をチャンバ側接続パイプ65から脱離する際には、フック部69の基端部を互いに向かい合う方向に押し込み、フック部69の先端部どうしを近づけるように移動させる。これにより、係止孔46と爪部69bとの係止を解除することができ、アタッチメント41を、チャンバ側接続パイプ65の導入口34及び導出口35の立設方向に移動して容易に取り外すことができる。
【0032】
このように構成されたインターフェース接続ホース5においては、保温流路31に保温用空気を流すことで、吸気ホース21の側面を通じて呼吸用ガスと保温用空気との間で熱伝達が行われ、吸気ホース21内の呼吸用ガスを保温することができる。保温流路31は、内側流路32と外側流路33とが同心円状に設けられた二重構造とされ、その内側に配置される内側流路32によって吸気ホース21の側面を保温することができるとともに、外側に配置される外側流路33によって内側流路32を保温することができる。
また、内側流路32から外側流路33に流れる保温用空気は、流路内を通過する際に隣接する吸気ホース21、内側流路32、外側流路33、外部との間で熱交換されることにより徐々に冷やされるが、内側流路32と外部との間に外側流路33を介在させることで内側流路32が外部の温度変化の影響を受け難くなっている。このため、チャンバ3から送られる十分に加温加湿がなされた状態の呼吸用ガスを、内側流路32を流れる保温用空気によって安定した状態で保温することができる。
したがって、吸気ホース21内に結露を生じさせることなく、チャンバ3から送られる加温加湿状態の呼吸用ガスを安定して患者に供給することができる。
【0033】
また、保温用空気の導入口34と導出口35は、インターフェース接続ホース5のチャンバ3側にまとめて設けられており、保温用空気の供給ホース42等の取り回しを容易に行うことができるとともに、これら導入口34及び導出口35に接続される保温用空気の供給ホース42等が患者と接触することを避けることができ、患者への負担を軽減させることができる。
【0034】
また、保温流路31内に流通させる保温用空気を、ヒータユニット82との間で循環させて用いることで、保温用空気の加熱を円滑に行うことが可能となっている。
さらに、保温用空気を循環させる構成としても、吸気ホース21と保温流路31とは互いに独立して設けられていることから、保温用空気と呼吸用ガスとは接触することがなく、呼吸用ガスが汚染されることがない。
また、衛生面の観点から吸気ホース21は定期的に洗浄や交換をする必要があるが、保温流路31は吸気ホース21とは独立に設けられ、保温用空気は呼吸用ガスと接触しない構成とされていることから、保温流路31とヒータユニット82との接続に必要な供給ホース42や循環ホース43については頻繁に交換する必要がない。このため、本実施形態においては、供給ホース42及び循環ホース43を1つのアタッチメント41に接続して保温流路31と着脱可能に設けることとしており、アタッチメント41を介して保温流路31との接続を容易に行うことができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 本体
2 基台
3 チャンバ
4 供給用ホース
5 インターフェース接続ホース
6 給水部
7 架台
8 患者インターフェース
9 ガス供給機
21 吸気ホース
31 保温流路
32 内側流路
33 外側流路
34 導入口
35 導出口
41 アタッチメント
41a,41b ガイド孔
42 供給ホース
43 循環ホース
44,45 挿入口
46 係止孔
47 シール材
51 内筒チューブ
52 外筒チューブ
53 仕切り壁
54 凸条部
61 患者側接続パイプ
62 挿入筒部
63 連通筒部
64 リブ部
65 チャンバ側接続パイプ
66 外側挿入筒部
67 内側挿入筒部
68 連通筒部
69 フック部
69a 帯板部
69b 爪部
71 キャスタ
81A,81B 温度センサ
82 ヒータユニット
83 コンプレッサ
100 呼吸用ガスの加温加湿器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10