特許第6180781号(P6180781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180781
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ゴム風船用クリップおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63H 27/10 20060101AFI20170807BHJP
   B65D 33/24 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A63H27/10 C
   B65D33/24
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-90136(P2013-90136)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-212834(P2014-212834A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】592003946
【氏名又は名称】株式会社鈴木ラテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝之
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−191959(JP,A)
【文献】 特開平01−240452(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3102224(JP,U)
【文献】 特開2003−104397(JP,A)
【文献】 特開平09−144718(JP,A)
【文献】 特開2000−238798(JP,A)
【文献】 米国特許第03978555(US,A)
【文献】 米国特許第04947523(US,A)
【文献】 特開2000−281093(JP,A)
【文献】 特開2000−229648(JP,A)
【文献】 実開平03−023051(JP,U)
【文献】 特開2001−116020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 27/10
B65D 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、
前記ズレ規制部が、一方の挟持面に突設されて挟持部の幅方向に直線状に延びて間隔をあけて配置された複数本の突起と、他方の挟持面に突設されて挟持部の長手方向に延びる少なくとも1本の突起とからなり、前記複数本の突起が挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記他方の挟持面に突設された少なくとも1本の突起が、前記一方の挟持面に突設された突起どうしの間隔に嵌合し、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、
対向する前記突起の頂点と非凹状の平坦な前記挟持面との間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とするゴム風船用クリップ。
【請求項2】
長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、
前記ズレ規制部が、一方の挟持面に突設されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方側に直線状に延びる突起およびこの突起と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方側に直線状に延びる突起と、他方の挟持面に形成されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方端まで直線状に延びる凹部およびこの凹部と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方端まで直線状に延びる凹部とからなり、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記一方の挟持面に突設されたそれぞれの突起が、前記他方の挟持面に形成された対応する凹部に嵌合し、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、
対向する非凹状の平坦な前記挟持面どうしの間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とするゴム風船用クリップ。
【請求項3】
長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、
前記ズレ規制部が、一方の挟持面に突設されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方側に直線状に延びる突起およびこの突起と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方端まで直線状に延びる凹部と、他方の挟持面に形成されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方端まで直線状に延びる凹部およびこの凹部と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方側に直線状に延びる突起とからなり、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記一方の挟持面に突設された突起が前記他方の挟持面に形成された凹部に嵌合し、前記他方の挟持面に突設された突起が前記一方の挟持面に形成された凹部に嵌合し、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、
対向する非凹状の平坦な前記挟持面どうしの間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とするゴム風船用クリップ。
【請求項4】
長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、
前記ズレ規制部が、一方の挟持部の幅方向一方側面で厚さ方向に突設された突起と他方の挟持部の幅方向他方側面で厚さ方向に突設された突起とからなり、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記厚さ方向に突設された突起どうしの間にそれぞれの挟持部が嵌合し、一方の前記挟持面に突設された前記突起は一方の前記挟持部の幅方向一方側面で厚さ方向に突設された前記突起とはこの挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、
一方の挟持面に突設されて挟持部の長手方向に直線状に延びる突起を有して、対向する一方の前記挟持面に突設された前記突起の頂点と非凹状の平坦な前記挟持面との間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とするゴム風船用クリップ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のゴム風船用クリップの製造方法であって、前記割り位置で分割される2つの前記成形金型を用いて樹脂射出成形するゴム風船用クリップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム風船用クリップおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、互いに係合させた挟持部の幅方向ズレを生じ難くした樹脂製のゴム風船用クリップおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム風船は、風船内部に気体や液体などの充填物を注入して膨らませた後に、口元を伸ばして縛ったり、口元を数回ねじってから糸ゴム等の紐状体で縛りつけて口閉じ作業を行なっている。この口閉じ作業では、風船内部に注入した充填物が外部に漏れないように口元を押さえつつ作業する必要があるので、作業効率を向上させることが難しい。
【0003】
そこで、長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部を有する風船用クリップが用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。この風船用クリップは、連結部で折り曲げられることにより、それぞれの挟持部がその挟持面どうしを対向させた状態になる。この対向する挟持面により風船の口管部分が挟まれて、この状態で互いの挟持部が係合部によりで係合されて風船は口閉じされる。
【0004】
金属製の風船用クリップであれば強度や剛性を確保し易いが、樹脂製の場合は剛性不足によって、互いに係合させた挟持部の幅方向ズレが生じ易くなり、口管部分を閉じた状態を安定的に維持できないという問題が生じる。さらには、互いの挟持部の幅方向ズレが生じると互いを係合させ難くなり、風船の口閉じ作業の効率が低下するという新たな問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−191959号公報
【特許文献2】特開平10−216365号公報
【特許文献3】特開2002−18151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、互いに係合させた挟持部の幅方向ズレを生じ難くした樹脂製のゴム風船用クリップおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のゴム風船用クリップは、長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、前記ズレ規制部が、一方の挟持面に突設されて挟持部の幅方向に直線状に延びて間隔をあけて配置された複数本の突起と、他方の挟持面に突設されて挟持部の長手方向に延びる少なくとも1本の突起とからなり、前記複数本の突起が挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記他方の挟持面に突設された少なくとも1本の突起が、前記一方の挟持面に突設された突起どうしの間隔に嵌合し、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、対向する前記突起の頂点と非凹状の平坦な前記挟持面との間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とする。
本発明の別のゴム風船用クリップは、長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、前記ズレ規制部が、一方の挟持面に突設されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方側に直線状に延びる突起およびこの突起と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方側に直線状に延びる突起と、他方の挟持面に形成されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方端まで直線状に延びる凹部およびこの凹部と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方端まで直線状に延びる凹部とからなり、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記一方の挟持面に突設されたそれぞれの突起が、前記他方の挟持面に形成された対応する凹部に嵌合し、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、対向する非凹状の平坦な前記挟持面どうしの間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とする。
本発明の別のゴム風船用クリップは、長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、前記ズレ規制部が、一方の挟持面に突設されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方側に直線状に延びる突起およびこの突起と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方端まで直線状に延びる凹部と、他方の挟持面に形成されて挟持部の幅方向途中の位置から幅方向一方端まで直線状に延びる凹部およびこの凹部と挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向途中の位置から幅方向他方側に直線状に延びる突起とからなり、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記一方の挟持面に突設された突起が前記他方の挟持面に形成された凹部に嵌合し、前記他方の挟持面に突設された突起が前記一方の挟持面に形成された凹部に嵌合し、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、対向する非凹状の平坦な前記挟持面どうしの間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とする。
本発明の別のゴム風船用クリップは、長手方向一端部どうしが連結部を介して連結された一対の挟持部と、それぞれの挟持部に設けられた係合部とを有し、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向するとともに互いの係合部が係合される樹脂製のゴム風船用クリップにおいて、前記係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを防止するズレ規制部が、前記一対の挟持部の少なくとも一方に一体的に形成されていて、前記ズレ規制部が、一方の挟持部の幅方向一方側面で厚さ方向に突設された突起と他方の挟持部の幅方向他方側面で厚さ方向に突設された突起とからなり、前記連結部で折り曲げることにより前記挟持部の互いの挟持面どうしが対向した際に、前記厚さ方向に突設された突起どうしの間にそれぞれの挟持部が嵌合し、一方の前記挟持面に突設された前記突起は一方の前記挟持部の幅方向一方側面で厚さ方向に突設された前記突起とはこの挟持部の長手方向にオーバーラップせずにずれて配置されていて、製造する際に必要となる成形金型が2つで済むように前記成形金型の割り位置が設定できる構成になっていて、一方の挟持面に突設されて挟持部の長手方向に直線状に延びる突起を有して、対向する一方の前記挟持面に突設された前記突起の頂点と非凹状の平坦な前記挟持面との間にゴム風船の口管部分が挟み込まれる構成にしたことを特徴とする。
本発明のゴム風船用クリップの製造方法は、上記に記載のゴム風船用クリップの製造方法であって、前記割り位置で分割される2つの前記成形金型を用いて樹脂射出成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂製のクリップであっても、一対の挟持部の少なくとも一方にズレ規制部が一体的に形成されているので、係合部により係合された状態の挟持部どうしの幅方向ズレを効果的に防止できる。そのため、風船の口管部分を閉じた状態を安定的に維持するには有利になる。また、対向させて係合させる挟持部の幅方向ズレが抑制されるので、互いの係合部を係合させ易くなり、風船の口閉じ作業の効率化を図るには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のゴム風船用クリップの参考形態を例示する側面図である。
図2図1の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図3図2の風船用クリップを例示する平面図である。
図4図1の風船用クリップを製造する際の成形金型の割り位置を例示する説明図である。
図5図1の風船用クリップを用いて風船の口閉じをする状態を例示する説明図である。
図6ゴム風船用クリップの実施形態を例示する側面図である。
図7図6の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図8図7の風船用クリップを例示する平面図である。
図9図6の風船用クリップを製造する際の成形金型の割り位置を例示する説明図である。
図10ゴム風船用クリップの別の実施形態を例示する側面図である。
図11図10の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図12図11の風船用クリップを例示する平面図である。
図13ゴム風船用クリップの別の実施形態を例示する側面図である。
図14図13の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図15図14の風船用クリップを例示する平面図である。
図16ゴム風船用クリップの別の参考形態を例示する側面図である。
図17図16の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図18図17の風船用クリップを例示する平面図である。
図19ゴム風船用クリップの別の参考形態を例示する側面図である。
図20図19のA矢視図である。
図21図19の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図22図21の風船用クリップを例示する平面図である。
図23ゴム風船用クリップの別の実施形態を開いた状態で例示する側面図である。
図24図23の風船用クリップを例示する平面図である。
図25ゴム風船用クリップの別の参考形態を例示する側面図である。
図26図25のB矢視図である。
図27図25の風船用クリップを開いた状態を例示する側面図である。
図28図27の風船用クリップを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の風船用クリップを図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1図3に例示する本発明のゴム風船用クリップ1(以下、クリップ1という)の参考形態は、長手方向一端部どうしが連結部4を介して連結された一対の挟持部2、3と、それぞれの挟持部2、3に設けられた係合部5a、5bとを有している。このクリップ1は樹脂製の一体成形物である。クリップ1を形成する樹脂の種類としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等を例示できる。
【0012】
クリップ1は、ヒンジとなる連結部4で折り曲げることにより挟持部2、3の互いの挟持面2a、3aどうしが対向するとともに互いの係合部5a、5bが係合する構造になっている。それぞれの係合部5a、5bは、それぞれの挟持部2、3の長手方向他端部に形成されていて、幅方向Wに延びる(即ち、クリップ1の幅方向Wに延びる)凹凸を有している。係合部5aの凹部に係合部5bの凸部が係合し、係合部5aの凸部に係合部5bの凹部が係合する。図3に示すW矢印の方向が幅方向Wであり、L矢印の方向が長手方向Lである。
【0013】
それぞれの挟持部2、3の幅wは、例えば3mm〜30mm程度である。それぞれの挟持部2、3の厚さt1、t2(凹凸を考慮しないベースとなる厚さ)は、例えば、2mm〜15mm程度である。それぞれの厚さt1、t2は同じにすることも異ならせることもできるが略同じにすることが好ましい。
【0014】
このクリップ1には、図1に例示するように係合部5a、5bにより係合された状態の挟持部2、3どうしの幅方向ズレを規制するズレ規制部6が設けられている。ズレ規制部6は、一対の挟持部2、3の少なくとも一方に一体的に形成される。
【0015】
この参考形態では、ズレ規制部6が一方の挟持部2の挟持面2aに突設された2本の突起7aと、他方の挟持部3の挟持面3aに突設された1本の突起7bとからなる。一方の突起7aは挟持部2の幅方向Wに直線状に延びていて、幅方向Wに間隔をあけて配置されている。この2本の突起7aは挟持部2の長手方向Lにオーバーラップして一直線上に配置されている。突起7aどうしの間には嵌合部7eが形成されている。他方の1本の突起7bは挟持部3の長手方向Lに延びている。尚、突起7a、7bの断面形状はこの参考形態のような三角形状に限らず、円弧形状、四角形状等の他の断面形状を採用することができる。
【0016】
挟持面2a、3aの間に何も挟み込まずに係合部5a、5bどうしを係合させて、挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7aの頂点(頂面)は挟持面3aに当接し、突起7bの頂点(頂面)は挟持面2aに当接して、挟持面2a、3aどうしの間には所定のすき間S(例えば、1mm〜5mm程度)が確保される。そして、他方の突起7bが嵌合部7eに嵌り込む。
【0017】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図4の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには、3つの成形金型が必要になる。
【0018】
図5に例示するように、このクリップ1は袋部11の内部に気体、液体、或いは、柔軟な食品(例えばプリンや豆腐)等の充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口閉じに使用する。即ち、通常どおり使用されるゴム風船10の口閉じだけでなく、食品等の容器として使用されるゴム風船10(ゴム製容器)の口閉じにも使用することができる。
【0019】
このようなゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3aの間で口管部分12を挟み込む。嵌合部7eで口管部分12を挟み込むと、口管部分12が過度に押圧されて破損し易くなるので、嵌合部7e以外の部分で挟み込むことが好ましい。即ち、できるだけ、挟持面2aと突起7bの頂点(頂面)とによって口管部分12を挟み込むようにする。
【0020】
このようにして係合部5a、5bどうしを係合させて、挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7bは嵌合部7eに嵌り込む。これにより、係合部5a、5bによって係合された状態の挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると突起7a、7bどうしが干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0021】
樹脂製クリップであると、挟持部2、3の剛性が十分確保できないため、挟持部2、3は相対的に幅方向ズレが生じ易くなる。しかしながら、本発明では、一対の挟持部2、3の少なくとも一方にズレ規制部6が一体的に形成されているので、挟持部2、3どうしの幅方向ズレを効果的に防止できる。それ故、ゴム風船10の口管部分12を閉じた状態を安定的に維持するには有利になる。また、口閉じ作業をする際に、対向させて係合させる挟持部2、3の幅方向ズレが抑制されるので、ゴム風船10の口閉じ作業の効率化を図るには有利になる。
【0022】
この参考形態では、一方の挟持面2aに挟持部2の幅方向に直線状に延びて間隔をあけて配置される突起7aは、2本に限らず複数本であればよい。他方の挟持面3aに突設されて挟持部3の長手方向に延びる突起7bは、1本に限らず複数本でもよい。そして、連結部4で折り曲げることにより互いの挟持面2a、3aどうしが対向した際に、他方の挟持面3aに突設された少なくとも1本の突起7bが、一方の挟持面2aに突設された突起7aどうしの間隔に嵌合する構成であればよい。
【0023】
図6図9に例示する実施形態は、先の参考形態とはズレ規制部6が異なる。このズレ規制部6は、一方の挟持部2の挟持面2aに一体的に突設された2本の突起7aと、他方の挟持部3の挟持面3aに一体的に突設された1本の突起7bとからなる。一方の突起7aは挟持部2の幅方向Wに直線状に延びていて、長手方向Lに間隔をあけて配置されている。2本の突起7aは互いに、幅方向Wおよび長手方向Lにオーバーラップしない位置に配置されていて、突起7aどうしの間には嵌合部7eが形成されている。他方の突起7bは挟持部3の長手方向Lに延びている。
【0024】
挟持面2a、3aの間に何も挟み込まずに係合部5a、5bどうしを係合させて、挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7aの頂点(頂面)は挟持面3aに当接し、突起7bの頂点(頂面)は挟持面2aに当接して、挟持面2a、3aどうしの間には所定のすき間S(例えば、1mm〜5mm程度)が確保される。そして、他方の突起7bが嵌合部7eに嵌り込む。
【0025】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図9の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには2つの成形金型で済む。
【0026】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3aの間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7bは嵌合部7eに嵌り込む。これにより、係合部5a、5bによって係合された状態の挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると突起7a、7bどうしが干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0027】
この実施形態では、一方の挟持面2aに突設されて挟持部2の幅方向に直線状に延びて間隔をあけて配置される突起7aは、2本に限らず複数本であればよい。他方の挟持面3aに突設されて挟持部3の長手方向に延びる突起7bは、1本に限らず複数本でもよい。そして、連結部4で折り曲げることにより互いの挟持面2a、3aどうしが対向した際に、他方の挟持面3aに突設された少なくとも1本の突起7bが、一方の挟持面2aに突設された突起7aどうしの間隔に嵌合する構成であればよい。
【0028】
図10図12に例示する実施形態は、先の参考形態および実施形態とはズレ規制部6が異なる。このズレ規制部6は、一方の挟持面2aに突設されて挟持部2の幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの一方側に直線状に延びる突起7aおよびこの突起7aと挟持部2の長手方向Lにオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの他方側に直線状に延びる突起7bと、他方の挟持面3aに形成されて挟持部3の幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの一方端まで直線状に延びる凹部8aおよびこの凹部8aと挟持部3の長手方向Lにオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの他方端まで直線状に延びる凹部8bとからなる。
【0029】
挟持面2a、3aの間に何も挟み込まずに係合部5a、5bどうしを係合させて、挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7a、7bはそれぞれ対応する凹部8a、8bに嵌り込み、挟持面2a、3aどうしの間には所定のすき間S(例えば、1mm〜5mm程度)が確保される。
【0030】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図12の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには2つの成形金型が必要になる。
【0031】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3aの間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7a、7bはそれぞれ対応する嵌合部8a、8bに嵌り込む。これにより、挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると突起7aと凹部8aの対向する幅方向Wの端面どうしが干渉し、突起7bと凹部8bの対向する幅方向Wの端面どうしが干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0032】
図13図15に例示する実施形態は、図10〜12に例示した実施形態のズレ規制部6の配置を異ならせたものである。このズレ規制部6は、一方の挟持面2aに突設されて挟持部2の幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの一方側に直線状に延びる突起7aおよびこの突起7aと挟持部2の長手方向Lにオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの他方端まで直線状に延びる凹部8aと、他方の挟持面3aに形成されて挟持部3の幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの一方端まで直線状に延びる凹部8bおよびこの凹部8bと挟持部3の長手方向Lにオーバーラップせずにずれて配置されていて幅方向Wの途中の位置から幅方向Wの他方側に直線状に延びる突起7bとからなる。
【0033】
挟持面2a、3aの間に何も挟み込まずに係合部5a、5bどうしを係合させて、挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7a、7bはそれぞれ対応する凹部8b、8aに嵌り込み、挟持面2a、3aどうしの間には所定のすき間S(例えば、1mm〜5mm程度)が確保される。
【0034】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図15の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには2つの成形金型が必要になる。
【0035】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3aの間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7a、7bはそれぞれ対応する嵌合部8b、8aに嵌り込む。これにより、挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると突起7aと凹部8bの対向する幅方向Wの端面どうしが干渉し、突起7bと凹部8aの対向する幅方向Wの端面どうしが干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0036】
図16図18に例示する参考形態は、先の種々の参考形態および実施形態とはズレ規制部6が異なる。このズレ規制部6は、一方の挟持部2の挟持面2aに一体的に突設された1本の突起7aと、他方の挟持部3の挟持面3aに形成された凹部8aとからなる。突起7aは挟持部2の長手方向Lに延びている。凹部8aは挟持部3の長手方向Lに延びている。
【0037】
挟持面2a、3aの間に何も挟み込まずに係合部5a、5bどうしを係合させて、挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7aは凹部8aに嵌り込み、挟持面2a、3aどうしの間には所定のすき間S(例えば、1mm〜5mm程度)が確保される。
【0038】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図18の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには3つの成形金型が必要になる。
【0039】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3aの間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7aは嵌合部8aに嵌り込む。これにより、挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると突起7aが凹部8aに干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0040】
図19図22に例示する参考形態は、先の種々の参考形態および実施形態とはズレ規制部6が異なる。このズレ規制部6は、挟持部3の幅方向両側面に一体的に形成された2本の突起7cからなる。突起7cは挟持部2の厚さ方向に延びて挟持面3aよりも上方に突出している。また、挟持部3の挟持面3aには長手方向Lに延びる突起7bが突設されている。
【0041】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図22の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには4つの成形金型が必要になる。
【0042】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3a(挟持面2a、突起7b)の間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、挟持部2が、挟持部3の幅方向両側面に突設された2本の対向する突起7cの間に嵌り込む。これにより、挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると、挟持部2が突起7cに干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0043】
図23図24に例示する実施形態は、図19図22に例示した参考形態のズレ規制部6の配置を異ならせたものである。このズレ規制部6は、一方の挟持部2の幅方向Wの一方側面で厚さ方向に突設されて一体的に形成された突起7cと、他方の挟持部3の幅方向Wの他方側面で厚さ方向に突設されて一体的に形成された突起7cとからなる。挟持面3aには長手方向Lに延びる突起7bが突設されている。この突起7bは挟持部3の側面に突設された突起7cとは長手方向Lにオーバーラップせずにずれて配置されている。
【0044】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図24の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには2つの成形金型が必要になる。
【0045】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3a(挟持面2a、突起7b)の間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7c、7cどうしの間にそれぞれの挟持部2、3が嵌り込む。これにより、挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると、挟持部2は挟持部3の側面の突設された突起7cに干渉し、挟持部3は挟持部2の側面の突設された突起7cに干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【0046】
図25図28に例示する参考形態は、先の種々の参考形態および実施形態とはズレ規制部6が異なる。このズレ規制部6は、一方の挟持部2の長手方向他端部に形成された凹部8bと、他方の挟持部3の長手方向他端部に一体的に突設された突起7dとからなる。
【0047】
突起7dは長手方向Lに延びて、係合部5bよりも長手方向Lに突出している。また、他方の挟持面3aには長手方向Lに延びる突起7bが突設されている。
【0048】
このクリップ1を樹脂射出成形により製造する際には、図28の破線PLで示す位置が成形金型の割り位置になる。したがって、このクリップ1を製造するには3つの成形金型が必要になる。
【0049】
充填物Fを充填して膨張させた状態のゴム風船10の口管部分12を、クリップ1の挟持面2a、3aの間に配置して、互いの係合部5a、5bを係合させて挟持面2a、3a(挟持面2a、突起7b)の間で口管部分12を挟み込む。このようにして挟持面2a、3aどうしを対向させた際には、突起7dが凹部8bに嵌り込む。これにより、挟持部2、3どうしは、相対的に幅方向Wにズレようとすると、突起7dが凹部8bに干渉する。それ故、挟持部2、3の相対的な幅方向ズレが防止される。
【符号の説明】
【0050】
1 風船用クリップ
2 挟持部
2a 挟持面
3 挟持部
3a 挟持面
4 連結部
5a、5b 係合部
6 ズレ規制部
7a、7b、7c、7d 突起
7e 嵌合部
8a、8b 凹部
9 押圧部
10 ゴム風船
11 袋部
12 口管部分
F 充填物
図1
図2
図3
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