(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明の目的、利点及び原理を説明するのに役立つ。
【
図1】以下を示す実施された独立した実験の例示的曲線。A.)254nmの紫外線の既知の線量で照射時のフルオレセインの様々な濃度の蛍光の損失(ex./em.490/520nm)。B.)未加工の蛍光が出発蛍光値の百分率に変換されたときに全てのフルオレセイン分解曲線が同一の曲線に潰れること。
【
図3】以下を示す独立した実験を表す例示的曲線。A.)出発値の百分率としての254nmの紫外線の既知の線量で照射時の10mg/mLの発色団及び3.5mg/mLの発蛍光団からの吸光度又は蛍光強度の損失。吸光度又は励起及び発光波長は、括弧内に各染料について示されている。各曲線は、3つの独立した実験を表す。B.)各染料についてのUV線量定量化範囲。
【
図4】紫外線を部分的にブロックするために不均一に巻かれた様々なプラスチックを備える例示的コンテナ群。A.)コンテナの各群の材料(複数可)のUV透過%。B、C、D.)UV透過の阻害並びに大腸菌(B.)、黄色ブドウ球菌(C.)及びカンジダ・アルビカンス(D.)の殺菌の対応する損失。各群(n=6)の総放射照度は、UVバルブの出力によって測定されたとき、細菌(B、C.)に関しては100mW
*s/cm
2であり、C.アルビカンス(D.)に関しては250mW
*s/cm
2であった。コンテナ内のUV照射線量が、エリトロシンBの分解によって計算され(白色バー)、照射後の残存する微生物の数が決定された(黒色バー)。全ての誤差バーは、標準誤差を表す。
【
図5(A)】254nmの紫外線への露出後のエリトロシンB及びインジゴカーマインの例示的可視変化、並びに様々なUV生物学的インジケータ及びヒトの病原体に関する12logの過剰殺滅殺菌線量(括弧内の数字)。
【
図6(A)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。フルオレセイン蛍光標準曲線(ex/em 490nm/520nm)。
【
図6(B)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。アルラレッドのUV/可視吸光度スペクトル。
【
図6(C)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。アルラレッド吸光度標準曲線。
【
図6(D)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。インジゴカーマインのUV/可視吸光度スペクトル。
【
図6(E)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。インジゴカーマインの吸光度標準曲線。
【
図6(F)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。エリトロシンBのUV/可視吸光度スペクトル。
【
図6(G)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。エリトロシンBの吸光度標準曲線。
【
図6(H)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。タルトラジンのUV/可視吸光度スペクトル。
【
図6(I)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。タルトラジンの吸光度標準曲線。
【
図6(J)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。ファストグリーンのUV/可視吸光度スペクトル。
【
図6(K)】紫外線の例示的線量及び試験された際のそれに対応する効果を示す図表。ファストグリーンの吸光度標準曲線。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、UV消毒の異なる線量を定量化する方法を提供する。以下のセクションでは、本発明の実施形態の「発明を実施するための形態」が記載される。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、詳しくはあるが、例示的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が明白であり得ることが当業者には理解される。したがって、前記例示的な実施形態は、基礎となる発明の態様の幅を限定しないことが理解される。本明細書に記載される方法工程は、本説明においては論理的順序で列挙されるが、この順序は、特記しない限り、これらが実施され得る順序をいかなる場合も限定するものではない。
【0008】
定義
本明細書で使用される、及び場合によっては「レンズ」と呼ばれる「眼用レンズ」は、眼内又は眼上にある任意の眼用装具を意味する。これらの装具は、光学補正をもたらすことができるか、又は美容用であってもよい。例えば、レンズという用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用インサート、光学インサート又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装具か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装具を指すことができる。幾つかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル、及びフルオロヒドロゲルを含むがこれらに限定されない、シリコーンエラストマー又はヒドロゲルから作製される、ソフトコンタクトレンズである。
【0009】
要約書
紫外線(UV)照射の正確な測定、特にコンテナ又は容器内における測定は、UV殺菌の広範囲の実施が直面する問題の1つである。生物学的インジケータが、適用されたUV線量が殺菌を達成するために必要な有効性を有するかどうかを判定するための方法を提供することができる。生物学的インジケータを使用することの幾つかの問題を克服するために、食品、薬剤及び化粧品(FD&C)の分解に基づく化学的インジケータが開発された。本研究において、UV線量と染料分解との間の関係性が解明され、標準曲線を作成するのに使用された。この関係性が知られることによって、様々な染料の分解が、定量的測定システムとして使用され得る。UV線量の測定値としての染料分解の使用は、コンテナ内のUV照射のレベルが直接的に測定できない場合に特に有用である。更に、FD&C染料の濃く着色する性質のために、染料照射の際に存在する可視変化が、UV線量の定性的可視インジケータとして使用され得る。
【0010】
1.緒言
殺菌用紫外線(UV)バルブは、医療業界では、優に60年間以上にわたって、医療機器の消毒及び殺菌のための手段として認識されてきた(1)。その時以来、紫外線は、多くの異なる固体、液体及びガス状物質のための消毒剤及び殺菌剤として使用されてきた(2、3、4)。特に、この技術は、過去20年間にわたり、飲料水の処置において広範囲な使用を見出した(2、9、10)。
【0011】
殺菌用バルブは広範囲な用途を享受したが、液体を消毒又は殺菌するために紫外線を使用することの主な課題の1つは、液体内のUV線量を正確に決定することである。繰り返し可能でかつ再現可能なUV線量を測定することは、殺菌用バルブが殺菌方法として最初に提案されたときに課題であった(5)。液体のコンテナに付与される単位区域当たりのエネルギーは、UV供給源の電力及び露出時間から容易に算定される一方で、溶液内のエネルギーを算定することは、それほど簡単なものではない。残念なことに、昨今のUV線量測定標準化でさえも、公開された多くの新しい測定方法論で依然として確認しにくいままである(6、7、8)。
【0012】
液体内の紫外線の平均線量(D
avg)は、露出の長さ(t)×平均強度(I
avg)から算定され得る:D
avg=I
avg*t。平均強度は、以下の等式を用いて算定される:I
avg=I
o*(1−e
−A*L)/(A
*L)、ここでAは1センチメートル当たりの液体の吸光度であり、Lは照射される溶液のパスレングスである(12)。しかしながら、この計算は、均質溶液に関してのみ有効である。溶液それ自体内又は溶液を収容する梱包内の材料のUV吸光度は、照射されたときに、非常にむらな線量を作り出す可能性がある。作り出されるUV影は、微生物が有効に殺滅されない場所をもたらす可能性がある。昨今、所望の結果に満たない溶液中のUVの線量及び有効性をより良く予知する試みで、コンピュータモデリング/シミュレーションが作成された(11、21、22)。液体内で正確な線量を得ること並びに線量の抗微生物の有効性を予知することの困難さのために、更なる定量的測定法に対する明確な必要性がある。
【0013】
定量的測定に加えて、定性的可視インジケータが、殺菌プロセスにおいて通常使用されている。UV消毒及び殺菌の生物学的インジケータが実用化され(14、15)かつ殺菌のための最も確実な試験であると一般にみなされているが、これらは化学的インジケータに関していくらかの不都合(即ち、結果を得ることの遅延、コスト面及び汚染の可能性)を招く(13、20)。これらの不都合は、一部の状況において生物学的インジケータの有用性を制限し得る。水蒸気及び化学物質などの殺菌の他の形態は、有効な化学的インジケータを有するが、UV化学的インジケータの商業上の入手容易性は欠如している。UVリアクター内の線量を判定するために使用される蛍光標識化ミクロスフェア(17、19)及びシリカ(18)の報告がされており、遊離塩素の分解が、溶液中のUV線量を定量化するための方法として提案されてきた(16)。しかしながら、これら化学的分解技術は全て、溶液中のUV線量を定量化するための能力を有するが、他の化学的インジケータに共通する肉眼で観察され得る定性的変化が欠如している。
【0014】
本明細書では、我々は、液体内のUV線量を解明するための定量的方法として、又はUV殺菌の定性的可視変色化学的インジケータとして使用され得る様々な発光団/発蛍光団の分解に基づく測定システムの実用化を説明する。
【0015】
2.材料及び方法
2.1.材料
アルラレッドAC及びサンセットイエローFCFは、東京化成工業(東京、日本)から購入した。エリオグラウシンは、Spectrum(Gardena,CA)から購入した。エリトロシンB、タルトラジン及びファストグリーンFCFは、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)から購入した。インジゴカーマインは、Amresco(Solon,OH)から購入した。フルオレセインナトリウム塩は、Sigma(St.Louis,MO)から購入した。NIST保証UV殺菌検出器PMA2122及びデータロガーPMA2100は、Solar(Glenside,PA)から購入した。UVバルブは、LCD Lighting(Orange,CT)から購入した。TableCurve2Dは、Systat Software(San Jose,CA)から購入した。トリプシンソイブロス、トリプチンソイ寒天、SAB−DEXブロス及びSA−DEX寒天は、Northeast Laboratories(Waterville,ME)から購入した。Corning透明96ウェルプレート#3585、石英セミミクロキュベット、ペトリ皿及び全ての他の材料は、VWR(Atlanta,GA)から購入した。
【0016】
2.2.スペクトル及び標準曲線生成
脱イオン水中10μg/mLの染料溶液1mLを、石英キュベットに加えた。UV/可視吸光度スペクトルを、2nm毎に200〜800nmまでMolecular Devices M5(Sunnyvale,CA)において読み取った。可視領域における最大ピーク吸光度を、各染料に関して決定した。
【0017】
脱イオン水中の様々な濃度の染料溶液100μLを、96ウェルプレートのウェルに三組加えた。96ウェルプレートの吸光度を、Molecular Devices M5で適切な波長で読み取った。
【0018】
2.3.フルオレセイン蛍光分解
脱イオン水中の様々な濃度のフルオレセイン1mLを、石英蛍光キュベットに加えた。各キュベットの蛍光強度を、490nmの励起、520nmの発光及び515nmのカットオフフィルタで、Molecular Devices M5で測定した。キュベットを、特注付属品での殺菌UVバルブで様々な時間量で照射した。μW/cm
2で測定されたバルブ電力を各照射周期の前後で記録した。蛍光強度を、正確に上記のように再度測定した。バルブ電力を時間で乗ずることによって、線量を算定した。減衰曲線を、y=(b
1−d+cdx−cx)
1/(1−d)+aの形で、8119 DecayN等式を使用して、TableCurve2Dに適合させた。
【0019】
2.4.発色団分解
脱イオン水中の様々な濃度の各染料1mLを、石英キュベットに加えた。各キュベットの吸光度を、各染料の最大ピーク波長にてMolecular Devices M5で測定した。このキュベットを、特注付属品での殺菌UVバルブで様々な時間量で照射した。μW/cm
2で測定されたバルブ電力を各照射周期の前後で記録した。吸光度を、正確に上記のように再度測定した。バルブ電力を時間で乗じることによって、線量を算定した。曲線を正確に上記のように適合させた。
【0020】
2.5.微生物調製
微生物の菌叢を、細菌用にはトリプシンソイ寒天を含有する又はC.アルビカンス用にはSAB−DEXを含有するペトリ皿上で35℃で一晩増殖させた。細胞をペトリ皿からこすり落とし、0.05%のTween 80(v/v)(TDPBS)を含有するDulbeccoのリン酸塩緩衝生理食塩水(DPBS)5mL中に移した。微生物の吸光度を読み取り、標準曲線と比較した。次いで、特定の各実験用に、細胞を必要に応じて適切な濃度まで希釈した。
【0021】
2.6.殺菌及び染料の線量決定実験
各微生物に関する接種材料を、TDPBS中で約10
6CFU/mLに調整した。接種材料1.5mLを、セミミクロ石英キュベットに加えた。このキュベットを、様々なタイプ及び厚さのプラスチックラップで不均一に巻きつけて、様々な量のUV吸光度を有するコンテナを作製した。UVバルブ電力を測定し、各キュベットコンテナが、250mW
*s/cm
2の総線量で照射されるように、時間調整した。生存可能な微生物の数を、以下に記載されるように算出した。厳密に同一のキュベットコンテナに、10μg/mLのエリトロシンB溶液を加え、正確に上記のように照射した。照射後、染料の吸光度を525nmで測定し、対応する線量を、上記で生成した適合された曲線を使用して算定した。
【0022】
2.7.微生物の算出
微生物100μLを、96−ウェルプレートのA列の6つのウェルのそれぞれに加えた。SAB−DEX又はTSB 90μLを、プレートの列B〜Hに加えた。混合に続いて、10μLをA列からB列に移すことによって、1:10の連続希釈を作製した。このパターンを、プレートの下方に向かって繰り返した。次いで、SAB−DEX又はTSB 100μLを全てのウェルに加えた。プレートを35℃で48時間インキュベートした。Molecular Devices SpectraMax 384Plusを使用して、各ウェルの吸光度を読み取った。ウェルが増殖に関して陽性又は陰性のいずれかが判断され、最確数法(23、24)を使用して、微生物の最初の濃度を算定した。
【0023】
2.8.紫外線照射時の可視染料変化
脱イオン水中、エリトロシンBの10若しくは100μg/mL溶液1mL、又は脱イオン水中、インジゴカーマイン染料の100μg/mL溶液1mLを、石英キュベットに加えた。UVバルブ電力を測定し、各キュベットが指定された線量だけ照射されるように時間を調整した。照射の前後に、キュベットを撮影した。
【0024】
3.結果及び考察
3.1.紫外線照射時の染料分解
UV殺菌のための化学的インジケータの一般的不足のために、紫外線照射時に容易に可視化された色及び/又は蛍光変化を呈した化学物質を探し求めた。ほとんどのUV殺菌は乾燥表面上又は水性媒質中で実施されるため(31)、これら化学染料は水溶性であり、染料が肉眼で容易に視覚化されされるように高い消光計数を呈し、好ましくは非毒性であることが必要とされた。高度に着色されたFD&C染料は、非常に低いレベルの毒性及び高い水溶性で全ての必要条件を満たすように見えた。
【0025】
これら染料が紫外線照射時にどのように分解するかを特性評価するために、代表的フルオロセイン(D&Cイエロー8)が先ず初めに選択された。様々な濃度のフルオレセインを、254nmのUV殺菌バルブによって、石英キュベット内で照射した。蛍光強度、吸光度及びUV線量を、実験全体を通して測定した。この曲線をTableCurve2Dを使用して適合させると、曲線の減衰型に最適に適応することがわかった。
図1aに示すように、各濃度のフルオレセインは、この減衰曲線との良好な適応を呈した。
【0026】
いずれの減衰も同様に、各曲線の蛍光強度がその開始値の百分率に変換された場合、曲線の全てが保存曲線上に潰れた(
図1b)。潰れた吸光度及び蛍光強度曲線は、似ていた。染料の正確な濃度は既知である必要がなく、その吸光度又は強度の初期測定値のみが必要であるため、単一の適応する線分等式を利用することは、実験の実行及び解析を非常に簡略化する。しかしながら、開始値及び終了値は、検出器の線形範囲内になければならない。
【0027】
254nmの紫外線に露出されたときに、同様な単純減衰曲線を呈し、かつこれらが異なる線量の範囲を定量化することが可能であるように異なる感度を有する他の染料を同定するために、エリトロシンB(FD&Cレッド3)、アルラレッド(FD&Cレッド40)、ブリリアントブルーFCF(FD&Cブルー1)、インジゴカーマイン(FD&Cブルー2)、タルトラジン(FD&Cイエロー5)、サンセットイエローFCF(FD&Cイエロー6)及びファストグリーンFCF(FD&Cグリーン3)を選択した。先ず初めに、各発色団の吸光度スペクトル、ピーク吸光度波長及び検出の線形範囲を決定した(支援情報を参照)。
【0028】
UV分解実験に関しては、10μg/mLの濃度を選択して、各染料が十分に検出の線形範囲内にあることを確認した。フルオレセインでの実験と同様に、各染料を紫外線の既知の量に曝し、吸光度を実験全体を通して測定した。エリトロシンBはまた、その吸光度に加えて使用され得る顕著な蛍光発光を有していた。吸光度値は、最初の吸光度値の百分率に変換され、得られた曲線を、フルオレセインと同じ減衰曲線に適応させた。
【0029】
サンセットイエロー及びエリオグラウシンは、単純減衰曲線を呈さないことが見出され、したがって、更なる実験では使用されなかった。単純減衰曲線を呈した残りの染料は、
図2で見ることができる。
図3aに示すように、単純な減衰曲線を呈した様々な染料の減衰率は、広い範囲のUV線量に及んだ。各染料の定量化範囲を、最初の吸光度値の100%〜約20%の百分率値を産出する線量の間であるように決定した(
図3b)。作成された標準曲線及び同定された定量化範囲で、これらの染料は次いで、照射された物体内で実際に実現されたUV線量の量を定量化するよう使用され得た。
【0030】
3.2.コンテナの内部のUV線量及び無菌性の決定
UV殺菌は、空気などの低UV吸光度の媒質に適用された場合に、最も有効である。しかしながら、大部分の殺菌用途、特に液体殺菌プロセスは、紫外線が媒質それ自体に加えてある種の容器を通過することを必要とする。材料の厚さ又は種類の変化に起因するパッケージの吸光度における不一致は、非常に低いUV線量を有する区域をもたらし得る。同様に、異質な溶液もまた、それ自体の内部でのUV線量の異なるレベルを引き起こし得る。
【0031】
コンテナの外面を照射するUV線量は、バルブ電力を介して極めて簡単に測定することができるが、コンテナ内部の平均累積線量を測定する能力は、そんなに容易に行うことができない。しかしながら、コンテナ内に入れられ得る可溶性染料によって、UV照射時にこのコンテナ内で得られる近似平均線量が決定され得る。
【0032】
殺菌時の不均一な材料の吸光度の影響を検討するために、石英キュベットを様々なプラスチックシートで不均一に巻き付けた。このラッピングは、紫外線の吸光度における差異をもたらすしわ、小さい摺曲及び隙間を含んでいた。10枚の異なるラッピングが適用され、低減する平均UV透過率を有する群に編成した(
図4a)。
【0033】
巻かれたキュベットに、1.5mLの、微生物の約1×10
6CFU/mL溶液又は染料エリトロシンBの10μg/mL溶液を加えた。微生物及び染料の双方を0.05%のTween−80を含有するDulbecoの修正リン酸塩緩衝生理食塩水(TDPBS)中で懸濁させた。TDPBSを使用して、微生物が大きなかたまりを形成しないようにし、また著しいUV吸光度を溶液自体に付与した。次いで、充填され、巻き付けられたキュベットを、バルブ電力によって測定される際に一定の外部線量で照射し、残存している微生物の数、又は染料吸光度における減少によって測定される内部線量を決定した。
【0034】
グラム陰性細菌の大腸菌、グラム陽性細菌の黄色ブドウ球菌及び酵母のカンジダ・アルビカンスを、殺菌実験用に選択した。12−log過剰殺滅殺菌をもたらすUV線量を公開されたデータから得るか又は公開されたデータから算定した。方法論における差異及びUV線量を測定することの本質的な課題により、大腸菌に関しては2.5〜98mW
*s/cm
2(25、26、27、28、31)、黄色ブドウ球菌に関しては2.7〜174mW
*s/cm
2(25、26、27、29、30、31)及びC.アルビカンスに関しては26〜537mW
*s/cm
2(25、26、31)の線量で、過剰殺滅殺菌線量における大きなばらつきが文献に存在していた。様々な公開された値及び我々の未公開のデータに関して、100mW
*s/cm
2の線量を細菌のために、並びに250mW
*s/cm
2の線量をC.アルビカンスのために選択した。
【0035】
図4b〜dで見ることができるように、算定された内部線量は、適用された線量未満であり、プラスチックラッピングのUV透過率が減少すると(
図4aに示すように、コンテナ群の数が大きくなるにつれて、より低いUV透過率を有する)、内部の線量は同様の減少を示した。巻かれていないキュベット(コンテナ群1)内においてもより低い内部線量は、TDPBS溶液自体の増大した吸光度によるものである可能性が多く、1cm当たりの透過率がほぼ20%が減少する。他のキュベット群上のラッピングの原因となるバルブからの距離の増大及びキュベット自体の僅かな吸光度は全て、より低い内部線量の原因となる。
【0036】
高い透過率及びそれに対応するより高い内部線量を呈したコンテナ群は、3つの微生物の全てに関して完全な殺菌を示した(容器群1〜4)。しかしながら、プラスチックラッピングの吸光度が増大すると、内部線量は最終的に、一部の微生物が生存することができるレベルまで下降した(コンテナ群5〜7)。この遷移点に到達すると、内部線量が更に降下するにつれて、残存している微生物の数は増加した(コンテナ群8〜11)。プラスチックの不均等なラッピングのために、残存している微生物は、各試料の複製間で均等に分配されずに、大きなばらつきがもたらされた。
【0037】
3.3.可視UV化学インジケータとしての染料分解
定量的測定ツールとして使用されることに加えて、染料の分解はまた、UV線量の可視化学インジケータとして、より定性的方法でも使用され得る。高度に着色されたFD&C染料が選択されたため、染料が分解している間の色の遷移が、可視インジケータとして使用され得る。可視の変化を示すために、様々な染料のいくつかの濃度が、既知の線量の紫外線で照射され、照射プロセス全体を通して各染料の画像が撮影された。エリトロシンBの10及び100μg/mLの溶液並びにインジゴカーマインの100μg/mLの溶液が、代表的候補物質として選択されたが、これはこれらが試験された線量の範囲内で良好な可視の色変化を示したからである。
【0038】
図5(A)及び(B)に示すように、エリトロシンBの10μg/mLの溶液は、0〜500mW
*s/cm
2の色の際立った差及び1000mW
*s/cm
2による色の完全な損失を伴い、低いUV線量で最も可視の変化を呈した。インジゴカーマインの100μg/mL溶液は、僅かに感度が低く、500mW
*a/cm
2での僅かな変色、1000mW
*a/cm
2による際立つ色変化及び2500mW
*s/cm
2による色の完全な損失を示した。最後に、色の完全損失が5000mW
*s/cm
2の線量まで観察されなかったため、エリトロシンBのより濃縮された100μg/mL溶液が、より高い線量の紫外線での可視の変化を可能にした。より高いUV線量が必要とされる場合には、より低いUV感度の染料が可視インジケータとして使用され得た。
【0039】
3.4.微生物12−log過剰殺滅UV殺菌線量
対照として、様々な細菌、菌類、ウィルス及び原生動物に関する12−log過剰殺滅殺菌線量値が、公開されたデータから得られたか又は算定された(31)。これら微生物は、UV殺菌のための生物学的インジケータとしてのそれらの使用のため、又はこれらが既知のヒト病原体であるためのいずれかのために選択された。一般的に、大部分の細菌、ウィルス及び原生動物は、500mW
*s/cm
2未満のUVで殺菌されるが、いくつかの微生物が増加した耐性を宿す。菌類、特にそれらの芽胞形態においては、微生物の他の群よりもUV殺菌に対してより耐性があり、大多数の微生物は500〜2500mW
*s/cm
2で殺菌される。圧倒的多数の微生物は、0〜5000mW
*s/cm
2の範囲内で殺菌されるので、エリトロシンB及び/又はインジゴカーマインは、UV線量が殺菌に十分であるかどうかを判定するための有効な可視定性的化学インジケータとして使用され得る。
【0040】
4.結論
7つのFD&C染料及びD&C染料フルオレセインを試験して、254nmの紫外線での照射時のそれらの吸光度及び/又は蛍光分解がUV線量の定量的測定値として使用され得るかどうか判定した。8つの染料のうちの6つが、紫外線照射時に単純減衰曲線を示した。これら6つの染料の標準UV分解曲線を作成し、これら染料の全てが、溶液に付与された平均UV線量を判定するために使用され得た。染料の異なる感度のため、異なる範囲のUV線量を定量化することができた。
【0041】
コンテナ内のUV線量を直接的に測定することの可能性を示すために、様々なUV吸収性のプラスチックで不均一に巻かれたキュベットを、12−log過剰殺滅殺菌線量と等価の一定線量のUVエネルギーで照射した。キュベットコンテナの構成のため、内部空間に入ることが可能であるUVエネルギーの量は未知であり、確実に算定することが困難である。これらコンテナに、染料エリトロシンB又は微生物大腸菌、黄色ブドウ球菌若しくはC.アルビカンスを加えた。染料が内部UV線量を定量化するよう使用されるか、又は残存している微生物の数が測定された。内部線量の損失は、コンテナの外面に送達された総UVエネルギーが変化しなかったにもかかわらず、残存している微生物の数の増加と相関することが示された。
【0042】
最後に、紫外線照射時の染料の可視変化を検討した。最も感度が高い2つの染料であるエリトロシンB及びインジゴカーマインは、それらの濃度に応じて0〜5000mW
*s/cm
2の線量範囲において、良好な可視的変色を示した。より大きな線量が必要とされる場合、追加の染料が使用されてもよいが、最も適正な微生物の12−log過剰殺滅線量が5000mW
*s/cm
2未満であるため、これら2つの染料は、圧倒的多数の微生物に適用可能であるべきである。
【0043】
要約すると、絶対的UV線量を測定することにおける課題並びにUV殺菌のための市販の化学的インジケータの現時点での不足は、新しい定量的及び定性的方法に対する必要性を提示する。FD&C染料分解を定量的測定ツール及び定性的可視インジケータの双方で利用する能力により、これら染料はUV化学的インジケータに関して優れた選択となる。
【0044】
結論
本発明の多くの実施形態が説明されてきた。本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、いずれかの発明の範囲又は主張され得るものの範囲に対する限定としてではなく、むしろ、本発明の特定の実施形態に特定な形態の説明として解釈されるべきである。
【0045】
別個の実施形態の文脈の中で本明細書で記載される特定の形態はまた、単一の実施形態において組み合わされて実施され得る。逆に、単一の実施形態の文脈の中で記載される様々な形態はまた、複数の実施形態において別個に、又は適切なサブコンビネーションで実施され得る。更には、諸形態が特定の組み合わせで機能するものとして上記で記載され得、更には最初にそのように主張され得るが、主張された組み合わせからの1つ又は2つ以上の形態が、場合によってはこの組み合わせから削除され得、並びに主張された組み合わせが、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を目的としてもよい。
【0046】
同様に、操作が特定の順序で図面中に示されるとはいえ、これは、このような操作が示される特定の順序で若しくは順次に実施されること、又は全ての図示する操作が所望の結果を達成するために実施されることが必要であると理解されるべきではない。特定の環境では、多重タスキング及び並行が有利である場合がある。更に、上記記載の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施形態においてこのような分離が必要であると理解されるべきではなく、記載されるプログラム構成要素及びシステムが、一般的に、単一のソフトウェア製品内に一緒に一体化され得るか又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0047】
このようにして、主題の特定の実施形態が説明されてきた。その他の実施形態は、以下の請求項の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲内に記載される動作は、異なる順序で実施され得、なお所望の結果を達成し得る。加えて、添付の図面中に示されるプロセスは、所望の結果を達成するために特定の順序表示又は順番を必ずしも必要とするものではない。特定の実施において、多重タスキング及び並行が有利である場合がある。しかしながら、様々な修正が、主張された発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実行され得ることが、理解されるであろう。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) 1つ又は2つ以上の添加剤インジケータを使用する、眼用レンズを殺菌するために適切なUV消毒線量を定量化する方法であって、
1つ又は2つ以上のインジケータを水溶液に添加することと、
紫外線放射線量を制御された時間及び強度で適用することと、
前記インジケータのうちの1つ又は2つ以上の分解からフィードバックを回収することと、
を含む、方法。
(2) 前記インジケータ(indications)のうちの1つ又は2つ以上の分解と反応することが可能である1つ又は2つ以上の活性の染料(active dies)を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記インジケータが、発色団及び発蛍光団の1つ又は双方を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記1つ又は2つ以上の活性の染料が、FD&C染料である、実施態様2に記載の方法。