特許第6180829号(P6180829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180829
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】継手及びそれを備えた排水マス
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/02 20060101AFI20170807BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20170807BHJP
   F16L 45/00 20060101ALI20170807BHJP
   F16L 27/08 20060101ALI20170807BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   F16L41/02
   E03C1/12 E
   F16L45/00
   F16L27/08 Z
   F16L43/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-141906(P2013-141906)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-14335(P2015-14335A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100075476
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐見 忠男
(72)【発明者】
【氏名】佐野 陽和
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
(72)【発明者】
【氏名】西村 英己
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−015395(JP,U)
【文献】 特開2008−144355(JP,A)
【文献】 特開2002−339447(JP,A)
【文献】 実開平01−102281(JP,U)
【文献】 特開2000−291123(JP,A)
【文献】 特開平11−193569(JP,A)
【文献】 特許第4498640(JP,B2)
【文献】 特開2009−138762(JP,A)
【文献】 実開昭60−036469(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/00−49/08
E03C 1/12− 1/33
F16L 27/00−27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋外に敷設された排水主管に該建物の屋内から伸びる排水枝管を合流させるべく設けられた排水マスに対して、該排水枝管を接続するための継手であって、
前記排水マスは、前記排水主管が接続される主管受口と、前記排水枝管が接続される枝管受口とが設けられたマス本体を有しているものであり、
前記枝管受口に挿着される接続筒体と、前記排水枝管が接続されるエルボ部とを有し、
前記接続筒体の内周に嵌合部を形成し、前記エルボ部の端部に嵌入部を形成し、該嵌合部に嵌入部を嵌挿することで、前記接続筒体と前記エルボ部とを連結するとともに、
該嵌合部と該嵌入部を相互に摺動自在とすることにより、前記接続筒体に対して前記エルボ部を回動可能に構成し、
前記接続筒体は、管軸が前記枝管受口の開口方向と同方向に伸びる第1直管部と、管軸が前記エルボ部の回動軸と同一線上に伸びる第2直管部と、該第1直管部及び該第2直管部の間をつなぐ曲管部とを有し、
上記エルボ部の基端部の外周面上には、シールリングが嵌着され、
前記第2直管部の先端面には凸体が設けられるとともに、前記エルボ部の外周面上で該凸体と対応する位置にはストッパーが設けられており、前記凸体に前記ストッパーが当接することにより、前記接続筒体に対して、前記エルボ部が必要以上に回動することを抑制し、
更に前記接続筒体に対する前記エルボ部の回動軸が前記排水主管の管軸と直交するように該エルボ部の回動方向を設定することを特徴とする継手。
【請求項2】
前記第1直管部を、平面視における前記排水主管の管軸から前記エルボ部先端の開口中心までの長さを調節する長さ調節部として用いる請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記枝管用受口の開口方向は、前記排水主管の管軸に対して45度傾斜しており、前記接続筒体の曲管部は、該枝管用受口の開口方向に応じた曲げ角度に設定されている請求項1又は請求項2に記載の継手。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の継手を備えた排水マス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋内から伸びる排水枝管を、建物の屋外に敷設された排水主管に合流させるための排水マスに接続するための継手及びそれを備えた排水マスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋等の建物にあっては、排水設備の敷設に排水マスが使用されている。
通常、前記排水マスは、受口が設けられたマス本体を有している。そして、一の排水マスの受口と他の排水マスの受口とを連結管で繋ぐ等のように、複数の排水マス相互を管材で繋ぎ合わせることにより、排水主管が建物の屋外で該建物の基礎に沿うように敷設される。
更に前記排水マスには、分岐管が前記マス本体から分岐して設けられており、該分岐管の先端開口を枝管受口としている。そして、該枝管受口にエルボが取り付けられたうえで、建物の屋内から該建物の基礎を介して屋外へと伸びる排水枝管は、該エルボを介して該枝管受口に接続されることにより、前記排水マスにおいて前記排水主管に合流される。
従前の排水マスは、前記排水枝管を接続するための枝管受口が固定された構成となっているが、このような構成の場合、各設置箇所の状況や各排水枝管の接続角度に応じることが出来るように多数種の排水マスを用意したうえでそれぞれを使い分けしなければならない。また配管工事においても、各排水主管や各排水枝管の敷設状況や枝管受口の向きに応じることが出来るように、多数種の継手を用意したうえで使い分けなければならない。そして、斯様な多数種の排水マスの使い分け、多数種の継手の使い分け等が、排水設備の敷設に係る作業の複雑化及び煩雑化を招いている。
そこで、特許文献1〜5に示されるように、排水枝管が接続されるエルボ部の向きを変更可能とすることで、排水設備の敷設に係る作業の簡易化を目的とした排水マスが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−18791号公報
【特許文献2】特開平6−129001号公報
【特許文献3】特開平7−83377号公報
【特許文献4】特開平10−266323号公報
【特許文献5】特開平10−30770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来構成の排水マスは、エルボ部の向きを変更可能とするため、主として枝管受口とエルボ部とを回動自在に繋いでいるが、該エルボ部を回転自在に繋ぐ該枝管受口を含めて該マス本体の全体を略一体的に成形している。このため、該マス本体を成形するための金型が複雑になる傾向がある。更に排水マスは上記したように各設置箇所の状況や各排水枝管の接続角度に応じることが出来るように多数種を用意しなければならず、製造の繁雑化と製造コストの高騰が問題になっている。
また通常の排水主管は、家屋の基礎に沿って敷設されており、排水枝管は該基礎から該排水主管に向かって突出しており、排水主管の管軸と排水枝管の管軸とは平面視で略直交している。一方、上記従来構成の排水マスは、枝管受口でエルボ部が回動する構成であるため、該エルボ部は該枝管受口の開口方向に伸びる回動軸を中心に向きを変える。従って、該枝管受口の開口方向を、例えば排水主管の管軸に対して45度傾けたマス本体の場合は、該エルボ部が該基礎から突出する該排水枝管に対し、該排水枝管が接続される先端開口を斜めに回転させてしまうことになる。このため、角度の異なる複数種のエルボを選択し、繋ぎ合わせるという繁雑な作業が必要になり、却って該排水枝管の接続作業が困難になるという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、製造が簡易であって、排水枝管の接続に係る作業の簡易化を図ることができる継手及びそれを備えた排水マスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の問題点を解決する手段として、請求項1に記載の継手の発明は、建物の屋外に敷設された排水主管に該建物の屋内から伸びる排水枝管を合流させるべく設けられた排水マスに対して、該排水枝管を接続するための継手であって、前記排水マスは、前記排水主管が接続される主管受口と、前記排水枝管が接続される枝管受口とが設けられたマス本体を有しているものであり、前記枝管受口に挿着される接続筒体と、前記排水枝管が接続されるエルボ部とを有し、前記接続筒体の内周に嵌合部を形成し、前記エルボ部の端部に嵌入部を形成し、該嵌合部に嵌入部を嵌挿することで、前記接続筒体と前記エルボ部とを連結するとともに、該嵌合部と該嵌入部を相互に摺動自在とすることにより、前記接続筒体に対して前記エルボ部を回動可能に構成し、前記接続筒体は、管軸が前記枝管受口の開口方向と同方向に伸びる第1直管部と、管軸が前記エルボ部の回動軸と同一線上に伸びる第2直管部と、該第1直管部及び該第2直管部の間をつなぐ曲管部とを有し、上記エルボ部の基端部の外周面上には、シールリングが嵌着され、前記第2直管部の先端面には凸体が設けられるとともに、前記エルボ部の外周面上で該凸体と対応する位置にはストッパーが設けられており、前記凸体に前記ストッパーが当接することにより、前記接続筒体に対して、前記エルボ部が必要以上に回動することを抑制し、更に前記接続筒体に対する前記エルボ部の回動軸が前記排水主管の管軸と直交するように該エルボ部の回動方向を設定することを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の継手の発明において、前記第1直管部を、平面視における前記排水主管の管軸から前記エルボ部先端の開口中心までの長さを調節する長さ調節部として用いることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の継手の発明において、前記枝管用受口の開口方向は、前記排水主管の管軸に対して45度傾斜しており、前記接続筒体の曲管部は、該枝管用受口の開口方向に応じた曲げ角度に設定されていることを要旨とする。
請求項4に記載の排水マスの発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の継手を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明の継手は、排水マスのマス本体に設けられた枝管受口の内側に挿着される接続筒体と、排水枝管を接続するエルボ部とを、回動可能に連結して構成されたものであり、更に該エルボ部の回動方向は、該エルボ部の回動軸が排水主管の管軸と直交するように設定されている。このため、該エルボ部を回動させて排水枝管の方向へ向けることにより、該排水枝管と該エルボ部とを最短距離で繋ぐことができ、該排水枝管の接続に係る作業の簡易化を図ることができる。
更に上記継手は、排水マスのマス本体で使用する金型とは異なる金型を使用し、該マス本体と別々に成形することが可能であるため、多数種のマス本体で該継手として使用する部品を使い回すことができる。従って、排水枝管を接続できるように該排水マスを選ぶ必要が無く、また該排水枝管の接続も従前のものに比して遜色がなく、更に部品点数の低減が図られていることから、製造の簡易化を図ることができ、特に排水マスの製造コストの高騰を抑えることができる。
また上記継手においては、前記接続筒体に曲管部を設けた場合、該曲管部の曲げ角度を前記枝管受口の開口方向に応じるように設定することで、如何なる角度で開口する枝管受口にも柔軟に対応することができ、前記エルボ部の回動軸を前記排水主管の管軸と好適に直交させることができ、一般的に使用される枝管用受口の開口方向が前記排水主管の管軸に対して45度傾斜したマス本体にも確実に対応することができる。
また上記継手においては、管軸が前記枝管受口の開口方向と同方向に伸びる第1直管部を長さ調節部として用いることにより、該第1直管部の端部を切断等することで、該継手の内径の変化や前記エルボ部の平面視における差し出し方向の変化を防止しつつ、該エルボ部の位置を前記排水枝管の位置に応じて簡易に変更調節することができる。
本発明の排水マスによれば、既存の金型を使用して成形しつつも、上記構成の継手を備えることで、排水枝管を接続するエルボ部の回動構造の付与と、該エルボ部の回動方向の設定を簡便に行うことができ、製造が簡易であって、接続に係る作業の簡易化を図ることができる。
【0007】
〔効果〕
本発明では、製造が簡易でありながら、排水枝管の位置に応じるようにエルボ部の上下位置を変更することができるから、排水枝管の接続に係る作業の簡易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の排水マスを示す平面図。
図2】第1実施形態のマス本体を示す平面図。
図3】第1実施形態の継手を示す(a)は平面図、(b)は分解状態の断面図。
図4】第2実施形態の排水マスを示す分解状態の平面図。
図5】第2実施形態の継手を示す分解状態の断面図。
図6】第3実施形態の排水マスを示す分解状態の平面図。
図7】(a),(b)は別形態の接続筒体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
本発明の排水マスを具体化した第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、排水マス10は、建物の基礎Fに沿って敷設された屋外の排水主管MDに、屋内から該基礎Fを貫通して敷設された排水枝管SDを合流させるために使用するものである。該排水マス10は、前記排水主管MDを構成するマス本体11と、前記排水枝管SDを接続するべく該マス本体11に取り付けられた継手12とを有している。
【0010】
前記マス本体11の構成を説明する。
図2に示すように、マス本体11は、両端が排水主管MDの管軸Atの伸びる方向に開口された真っ直ぐな円筒状に形成されている。該マス本体11の両端部は、中間部に比べて拡径されており、該拡径された両端部の開口の内側が主管受口13とされている。該主管受口13には、排水マス10同士を繋ぐ連結管が嵌入接続される。よって前記排水主管MDの管軸Atは該マス本体11の中心を通るように伸びる。
また前記マス本体11には、主管受口13の他にマス受口14が設けられており、該マス受口14を介してマス本体11の内部を清掃したり確認したりすることができるようになっている。
前記マス本体11には、円筒状の分岐筒15が、該マス本体11の周壁から突出して形成されている。該分岐筒15の先端開口は、拡径されており、前記継手12を接続するための枝管受口16とされている。該分岐筒15は、前記排水主管MDの管軸Atの伸びる方向と45度の角度をなして伸びるように形成されている。従って、該枝管受口16は、前記排水主管MDの管軸Atに対して45度傾いている。
【0011】
前記継手12の構成を説明する。該継手12は、上記枝管受口16に接続される筒状の接続筒体17と、該接続筒17の先端に設けられたエルボ部18とを有している。そして該エルボ部18は、その一端側(先端側)の開口18Aに前記排水枝管SDが直接的に、あるいはエルボ等を介して間接的に繋げられる(図1参照)。
図3(a),(b)に示すように、前記継手12において、前記接続筒体17と前記エルボ部18とは、該接続筒体17に対して該エルボ部18を回動可能とするべく構成されている。
すなわち、前記接続筒体17は、基端側(マス本体11側)に配される円筒状の第1直管部17Aと、先端側(エルボ部18側)に配される円筒状の第2直管部17Bと、該第1直管部17A及び該第2直管部17Bの間をつなぐ曲管部17Cとを有している。該接続筒体17においては、該第1直管部17Aが前記マス本体11の枝管受口16の内側に挿着されるように構成されている。また該第2直管部17Bの内径は、該第1直管部17Aの内径よりも拡径されており、該第2直管部17Bの内側に前記エルボ部18の他端部である基端部18Bが嵌入されるように構成されている。
前記第2直管部17Bの先端で内周面には、爪状をなす嵌合部21が周方向へ等間隔おきに複数凸設されている。また該第2直管部17Bの基端で内周面には、段差部22が形成されており、該段差部22に前記エルボ部18の基端部18Bの端面が当接することにより、該エルボ部18の基端部18Bの該接続筒体17に対する嵌入量を規制している。
【0012】
一方、エルボ部18の基端部18Bの外周面には、凸状をなす嵌入部23が等間隔おきに複数凸設されている。そして、上記第2直管部17Bの内側に該エルボ部18の基端部18Bが嵌入される際に、上記嵌合部21と該嵌入部23とが相互に嵌合することにより、上記接続筒体17と該エルボ部18とが連結されている。
また上記第2直管部17Bの先端で内周面には、上記嵌合部21に隣接して凹溝24が形成されている。該凹溝24に上記嵌入部23が収容されることにより、該嵌入部23と上記嵌合部21は相互に摺動自在とされており、該接続筒体17に対して該エルボ部18が回動可能となっている。
【0013】
上記エルボ部18の基端部18Bの外周面上には、水漏れを防止するためのシールリング25が嵌着されている。加えて、前記第2直管部17Bの先端面には凸体26が設けられるとともに、前記エルボ部18の外周面上で該凸体26と対応する位置にはストッパー27が設けられており、該凸体26に該ストッパー27が当接することにより、該接続筒体17に対して該エルボ部18が必要以上に回動することを抑制している。
なお上記凸体26は、前記第2直管部17Bの先端面に180度間隔で2箇所に設けられており、図1に示す状態でエルボ部18が回動軸Arを中心に左右方向でそれぞれ90度を超えて回動しないように規制することで、排水の逆流を抑制している。
【0014】
前記接続筒体17に対する前記エルボ部18の回動方向は、該エルボ部18の回動軸Arが前記排水主管MDの管軸Atと直交する方向となるように設定されている(図1参照)。
図3(b)に示すように、前記エルボ部18は、上記接続筒体17の第2直管部17Bの周方向に回動するように構成されていることから、該第2直管部17Bの管軸は該エルボ部18の回動軸Arと同一線上に伸びる。一方、上記接続筒体17の第1直管部17Aは、上記マス本体11の枝管受口16の内側に挿着されるものであるため、該第1直管部17Aの管軸Aは、該枝管受口16の開口方向と同方向に伸びている。
該接続筒体17は、該接続筒体17に対する前記エルボ部18の回動軸Arが前記排水主管MDの管軸Atと直交するように該エルボ部18の回動方向を設定するための角度調整手段としての機能を有している。すなわち、本実施形態の接続筒体17は、前記曲管部17Cが設けられることによって角度調整手段としての機能を奏し、該曲管部17Cの曲げ角度θが所定角度に設定されることにより、前記エルボ部18の回動軸Arを前記排水主管MDの管軸Atと直交する方向としている。本実施形態では、具体的に、該第1直管部17Aの管軸Aは、該排水主管MDの管軸Atに対して45度傾いており、前記エルボ部18の回動軸Arを該排水主管MDの管軸Atに直交させるべく、該曲管部17Cの曲げ角度θは22.5度に設定されている。
【0015】
排水設備にあっては、複数のマス本体11を基礎Fに沿って所定間隔おきに配し、該マス本体11の枝管受口16に上記継手12の接続筒体17の第1直管部17Aを挿着し、該第1直管部17Aを該枝管受口16に接着等することにより、排水マス10を構成する。
上記排水マス10の構成においては、前記第1直管部17Aを長さ調節部として用いることにより、前記基礎Fから伸びる前記排水枝管SDの位置に応じて、前記エルボ部18を所望の位置に配置することができる。つまり、該第1直管部17Aを、その基端部を切除する等して所定の長さに調節することにより、前記マス本体11から前記エルボ部18までの長さ、具体的には前記排水主管MDの管軸Atから該エルボ部18の先端の開口中心18Cまでの長さを変更し、該エルボ部18を所望の位置に変更調節することが可能である。また該第1直管部17Aは、直管状を為しているため、切断に際して煩雑な斜め切りする必要が無く、該接続筒体17の先端に取り付けられた該エルボ部18は、前記排水主管MDの管軸Atの伸びる方向と直交する方向へ常に差し出される。
上記排水マス10にあっては、上記継手12の前記エルボ部18が前記接続筒体17に対して回動可能に構成されていることから、例えば図1に示すように排水主管MDの管軸Atの伸びる方向で排水枝管SDの端部とエルボ部18とがずれている場合であっても、排水枝管SDの端部方向を向くように該エルボ部18を回動させることで、該排水枝管SDの端部と該エルボ部18とを最短距離で繋ぐことができる。
【0016】
〔第2実施形態〕
本発明の排水マスを具体化した第2実施形態を図面に基づき説明する。なお、これ以降の実施形態については、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図4に示すように、本実施形態の排水マス10Aにおいて、マス本体11Aは、両端が排水主管MDの管軸Atの伸びる方向に開口された真っ直ぐな円筒状に形成されている。該マス本体11の両端部は、中間部に比べて拡径されており、該拡径された両端部の開口のうち、一端側(図4中で右端側)が主管受口13とされ、他端側(図4中で左端側)が継手12Aを接続するための枝管受口16とされている。従って、該枝管受口16の開口方向は、前記排水主管MDの管軸Atと同方向である。
図4及び図5に示すように、前記排水マス10Aの継手12Aにおいて、エルボ部18は、上記第1実施形態のものと同一構成である。
一方、該継手12Aの接続筒体17は、曲管部17Cの他は、上記第1実施形態のものと同一構成である。該接続筒体17は、前記曲管部17Cの曲げ角度θを所定角度に設定することにより、前記エルボ部18の回動軸Arを前記排水主管MDの管軸Atと直交する方向とするための角度調整手段としての機能を奏する。本実施形態では、具体的に、該第1直管部17Aの管軸Aは、該排水主管MDの管軸Atと同方向に伸びており、前記エルボ部18の回動軸Arを該排水主管MDの管軸Atに直交させるべく、該曲管部17Cの曲げ角度θは45度に設定されている。
従って、本実施形態においては、継手12Aの成形において、エルボ部18は全く同じものが使用可能であり、一方、接続筒体17においても、複雑な構造の第2直管部17Bは上記第1実施形態と同じ構成であるから、曲管部17Cのみ変更するように金型等を工夫することにより、簡便に製造することが可能である。
【0017】
〔第3実施形態〕
図6に示すように、本実施形態の排水マス10Aにおいて、マス本体11Bは、両端が排水主管MDの管軸Atの伸びる方向に開口された真っ直ぐな円筒状に形成され、両端部の開口の内側が主管受口13とされている。また該マス本体11Bには、円筒状の分岐筒15が、該マス本体11の周壁から突出して形成され、該分岐筒15の先端開口が枝管受口16とされている。該分岐筒15は、前記排水主管MDの管軸Atの伸びる方向と直交して伸びるように形成されている。従って、該枝管受口16は、前記排水主管MDの管軸Atに対して90度傾いている。
上記排水マス10Bの継手12Bにおいて、エルボ部18は、上記第1実施形態のものと同一構成である。
一方、継手12Bの接続筒体17は、前記エルボ部18の回動軸Arを前記排水主管MDの管軸Atと直交する方向とするための角度調整手段であるから、曲管部を省略し、第1直管部17Aと第2直管部17Bとで構成されている他は、上記第1実施形態のものと同一構成である。つまり、本実施形態では、上記枝管受口16の開口方向が排水主管MDの管軸Atの伸びる方向と直交する方向であるため、該第1直管部17Aの管軸は、前記エルボ部18の回動軸Arと同方向に伸びるため、曲管部17Cを設けずともよい。
従って、本実施形態においては、継手12Bの成形において、エルボ部18は全く同じものが使用可能であり、一方、接続筒体17においても、複雑な構造の第2直管部17Bは上記第1実施形態と同じ構成であるから、曲管部17Cのみ省略するように金型等を工夫することにより、簡便に製造することが可能である。
【0018】
〔変更例〕
上記の各実施形態において、第1直管部17Aの長さは特に限定されず、マス本体11,11A,11Bに設けられた枝管受口16の内側に挿着可能な長さを有していればよく、例えば図7(a)に示すように、第1実施形態のものに比べて短くしてもよい。
上記の各実施形態において、接続筒体17は、必ずしも枝管受口16の内側に挿着されることに限らず、例えば図7(b)に示すように、分岐筒15の先端開口を拡径することなく枝管受口16とし、一方、接続筒体17においては第1直管部17Aの基端に拡径部17Dを設け、該拡径部17Dを枝管受口16の外側に被せるようにして、接続筒体17を枝管受口16に挿着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明にあっては、製造が簡易であって、排水枝管の接続に係る作業の簡易化を図ることができるから、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0020】
10 排水マス
11 マス本体
12 継手
13 主管受口
16 枝管受口
17 接続筒体
17A 第1直管部
17B 第2直管部
17C 曲管部
18 エルボ部
18C 開口中心
21 嵌合部
23 嵌入部
At 管軸
Ar 回動軸
F 基礎
MD 排水主管
SD 排水枝管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7