特許第6180845号(P6180845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180845熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180845
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/02 20060101AFI20170807BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   F25B39/02 F
   F28D1/047 B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-165726(P2013-165726)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-34669(P2015-34669A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡部 道治
(72)【発明者】
【氏名】北村 哲也
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−051412(JP,A)
【文献】 米国特許第05076353(US,A)
【文献】 特開平06−194000(JP,A)
【文献】 特開2010−127570(JP,A)
【文献】 特開2005−147441(JP,A)
【文献】 特開2013−015228(JP,A)
【文献】 特開2000−249479(JP,A)
【文献】 特開2009−109050(JP,A)
【文献】 特開2005−083607(JP,A)
【文献】 特開平09−145187(JP,A)
【文献】 上藤陽一,青木泰高,松田憲兒,B155 フィン&チューブ熱交換器のパス割設計ツールの開発,第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集,公益社団法人日本伝熱学会,2004年 5月26日,Vol.I,p.81-82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/02
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が通過する第1のパスと第2のパスを備え、前記空気と前記冷媒との間で熱を交換する熱交換器において、
前記第1のパスの入口付近の前記空気の流速が、前記第1のパスの出口付近の前記空気の流速よりも大であり、
前記第2のパスの入口付近の前記空気の流速が、前記第2のパスの出口付近の前記空気の流速よりも小であり、
前記第1のパスの出口付近の前記空気の流速が、前記第2のパスの入口付近の前記空気の流速よりも大であり、
前記第2のパスの出口付近の前記空気の流速が、前記第1のパスの入口付近の前記空気の流速よりも小であり、
前記第1のパスおよび前記第2のパスの出口付近の空気の流速は、前記第1のパスの入口付近の空気の流速と前記第2のパスの入口付近の空気の流速との間の流速であることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のパスの出口付近を通過する前記空気の流速と、前記第2のパスの出口付近を通過する前記空気の流速とが、ほぼ等しいことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和器およびヒートポンプ式給湯機では室外熱交換器を通過する空気の風速分布に偏りが生じ,複数のパスに冷媒を分配する熱交換器の各パスにおいて均等な熱交換ができない。そのため特許文献1のように風速分布が一様でない上段と下段を単一パスとし,風速分布がある程度一様な中間部で複数のパスとするものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-127570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,上記従来技術では上段部と下段部を単一パスとしているため複数のパスに分配しているものと比べて圧力損失が大きくなり,特に管径の小さい場合十分な性能が得られない。
【0005】
そこで本発明は風速分布がある領域に対して複数のパスに分配しても熱交換器全体で風速分布の影響が少なく,空気と均一な熱交換ができる熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は冷媒が通過する第1のパスと第2のパスを備え、前記空気と前記冷媒との間で熱を交換する熱交換器において、
前記第1のパスの入口付近の前記空気の流速が、前記第1のパスの出口付近の前記空気の流速よりも大であり、
前記第2のパスの入口付近の前記空気の流速が、前記第2のパスの出口付近の前記空気の流速よりも小であり、
前記第1のパスの出口付近の前記空気の流速が、前記第2のパスの入口付近の前記空気の流速よりも大であり、
前記第2のパスの出口付近の前記空気の流速が、前記第1のパスの入口付近の前記空気の流速よりも小であり、
前記第1のパスおよび前記第2のパスの出口付近の空気の流速は、前記第1のパスの入口付近の空気の流速と前記第2のパスの入口付近の空気の流速との間の流速であることにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば分配器で分配された冷媒の一部もしくはすべてを熱交換器内で上記のように流すことにより,風速に分布がある領域に対して,複数の分配をおこなってもすべてのパスで空気とほぼ均一な熱交換を行うことができる。これにより熱交換器において圧力低下による性能の低下を防ぎつつ,均一な熱交換を行うことができるため,成績係数の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係わるヒートポンプ式給湯機を示す図である。
図2】実施形態1に係わる分配器,空気熱交換器,送風ファンを示す図である。
図3】実施形態1に係わる空気熱交換器のパスパターンを示す図である。
図4】実施形態1に係わる空気熱交換器を通過する空気の風速分布を示す図である。
図5】実施形態1に係わる空気熱交換器の冷媒配管図を示す図である。
図6】実施形態2に係わる空気熱交換器のパスパターンを示す図である。
図7】実施形態3に係わる空気熱交換器のパスパターンを示す図である。
図8】実施形態4に係わるヒートポンプ式給湯機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下,実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
図1および図2は第1の実施形態に係るヒートポンプ給湯機の概略図である。
ヒートポンプ給湯機は圧縮機1と,圧縮機1から吐出した冷媒と被加熱媒体である水とを熱交換させる水冷媒熱交換器2と,水冷媒熱交換器2からの冷媒を膨張させる膨張弁3と,膨張弁3からの冷媒を分配させる手段である分配器4と,分配器4で分配された冷媒と空気とを熱交換させる空気熱交換器5を備えており,それらが環状に接続されている。
空気熱交換器5の吹出側には空気を送るための送風ファン6が設置されている。
【0011】
図3は3列の空気熱交換器5を流れる冷媒のパスパターンである。膨張弁3を通過した冷媒は分配器4で6つのパスに分配された後,空気熱交換器5の上段部,中段部,下段部に流入する。上段部および下段部に流入した冷媒は中間部で流出しており,中間部に流入した冷媒は上段部および下段部で流出している。なお,空気熱交換器5に流入した冷媒は図5に示すように空気と熱交換を行いながら流出する。
【0012】
図4は空気熱交換器5を通過する空気の風速分布である。図4に示すように空気熱交換器5を通過する空気の流れには偏りがあり,空気熱交換器5の上部で風速は大きく,下部で小さく,中間部ではその中間の風速である。
【0013】
平均風速の±4%の範囲を中風速領域,それよりも小さい風速の領域を小風速領域,大きい風速領域を大風速領域とし,本実施例では空気熱交換器へ大風速領域から流入した冷媒,小風速領域から流入した冷媒をそれぞれ風速がある程度均一な中間部から流出させることで,パスごとに風速が大きく熱交換量が大きいパスや風速が小さく熱交換量が小さいパスをなくすことができ,各パスの熱交換量の均一化をはかることができる。また,図5に示すように各パスの出口に向かう部分において熱交換器内を上部から下部に向かう流路と下部から上部に向かう流路とを隣合わせることで,過熱状態の冷媒が通過する管を隣合わせることができ,各パスの出口において過熱状態の冷媒が熱伝導によって冷却されることなく、冷媒出口温度は同一となる。そのため省エネ効果が期待できる。特にCO2ヒートポンプ給湯機では高い圧縮機吐出温度を必要とし,過熱度が高くなるためさらに効果が大きい。なお,実施例1では3列6パスを示したが,発明の効果は列数およびパス数によらないものである。
【実施例2】
【0014】
図6は空気熱交換器5が3列4パスの場合のパスパターンである。
【0015】
実施例1と同様の理由により各パスの均一化が可能である。また,各パスの出口において熱交換器内を上部から下部に向かう流路と下部から上部に向かう流路とを隣合わせることで,過熱状態の冷媒が通過する管を隣合わせることができ,各パスの出口において冷媒が熱伝導によって冷却されることなく,冷媒出口温度は同等となる。これらは空気熱交換器における熱交換効率を向上させることができるため,省エネ効果が期待できる。
【実施例3】
【0016】
図7は空気熱交換器5が2列4パスの場合のパスパターンである。
【0017】
実施例1と同様の理由により各パスの均一化が可能である。また,各パスの出口において熱交換器内を上部から下部に向かう流路と下部から上部に向かう流路とを隣合わせることで,過熱状態の冷媒が通過する管を隣合わせることができ,各パスの出口において冷媒が冷却されることなく,冷媒出口温度は同等となる。これらは空気熱交換器における熱交換効率を向上させることができるため,省エネ効果が期待できる。
【実施例4】
【0018】
図8は第3の実施形態に係るもので,加熱熱交換器が送風ファンの下に位置しているヒートポンプ給湯機である。
【0019】
この場合においても実施例1と同様の理由により、上記実施例1および実施例2の空気熱交換器のパスパターンは有効である。
【符号の説明】
【0020】
1:圧縮機
2:水冷媒熱交換器
3:膨張弁
4:分配器
5:空気熱交換器
6:送風ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8