特許第6180886号(P6180886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180886
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】回転椅子およびその配置方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20170807BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A47C7/40
   A47C3/18 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-227872(P2013-227872)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-85071(P2015-85071A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01829564(US,A)
【文献】 特開2007−229058(JP,A)
【文献】 特開平08−336439(JP,A)
【文献】 特開2002−199962(JP,A)
【文献】 特開2010−104460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/40
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に載置可能とされた着床部材と、前記着床部材に対して鉛直軸周りに回動可能に支持された着座部材と、前記着座部材に着座する着座者の上体を後方から支持する背凭れ部材と、を備える回転椅子であって、
前記背凭れ部材は、前後方向を向いた開口部が形成された枠体と、当該枠体の前記開口部を閉塞するように張設されたクロスを備えて構成され、前記着座者の頭部よりも高い位置まで延在しており、前記着座者の頭部高さに位置して前記着座者の頭部における左右側部から前方に向かって延設されて前記着座者の頭部を後方および側方から閉塞する側部閉塞部と、前記着座者における上体の一部に当接する体受部と、を有しており、
前記体受部は、前記着座者における上体の一部の当接によって後方に膨出変形可能とされており、前記体受部の膨出変形によって前記着座者の着座を示す存在表示部とされていることを特徴とする回転椅子。
【請求項2】
前記背凭れ部材における前記体受部と前記側部閉塞部とが一体的に形成されており、前記体受部の外周面と前記側部閉塞部の外周面とが連続面として形成されている請求項1に記載の回転椅子。
【請求項3】
前記体受部および前記側部閉塞部が、前記開口部が形成された前記枠体によって構成され、前記枠体における前記開口部を閉塞するように前記クロスが前記枠体に対して張設されている請求項1または請求項2に記載の回転椅子。
【請求項4】
前記枠体に張設された前記クロスの下方部位を前記着座部材によって後方に押し込んで前記クロスの幅方向中央部位を幅方向側方部位よりも後方に突出させて、前記クロスによって前記体受部と前記側部閉塞部とを一体的に形成した請求項3に記載の回転椅子。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の回転椅子の複数を円形配置し、複数の前記回転椅子における前記背凭れ部材によって、遮蔽面を形成することを特徴とする回転椅子の配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転椅子およびその配置方法に係り、特に、オフィスや公共施設等の空間に設置して使用される回転椅子およびその配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等の空間において人が着座する椅子として、従来、座面を回転させることができる回転椅子が使用されることがある。この回転椅子は、座面を回転させることで使用者が着座方向を変えることができるので、使用者の着座方向を作業内容に応じた方向に調節することができる。たとえば、一人で集中する作業を行う際には、前方に人がいない方向を向ければ良いし、複数の人数で討論等する場合には、それぞれの人が互いに向き合う方向を着座方向とすればよい。このような着座方向を調節可能とすることで、使用時の利便性を高めることができる。
【0003】
また、椅子に着座して一人で集中した作業を行う際、椅子の着座者の視界に可動物などが入ると、集中が妨げられることがある。このような事態を避けて集中を維持できるように、例えば、着座者の背面を覆う遮蔽カバーが設けられた椅子としての機能を具現する作業環境構成什器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この作業環境構成什器では、着座者の注意が行き届きにくい背面を閉塞することができるので、着座しての作業に集中できるとともに、秘匿性の高い作業を行っている際に、後方からの覗き見を防止することなどもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−261471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オフィスなどで回転椅子を使用するに際し、集中した作業を行ったり、秘匿性の高い作業を行ったりすることも考えられる。このような場合、回転椅子に上記特許文献1に開示された作業環境構成什器における遮蔽カバーを設けることで、集中しやすい作業環境や秘匿性の高い作業に好適な環境を形成することができる。
【0006】
しかし、オフィスなどに設けられる回転椅子としては、固定した着座者ではなく、誰でも使用されるものとすることが考えられる。この場合、上記特許文献1に開示された遮蔽カバーを回転椅子に取り付けてしまうと、回転椅子に着座者が存在するのか否かを後方から把握することができなくなってしまう。このため、空席を探すために例えば回転椅子の前方に回って着座者の存否を確認する作業を余儀なくされることから、使い勝手が低くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、着座者が着座しているか否かを後方から容易に確認することができ、使い勝手を高めることができる回転椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明に係る回転椅子は、床面上に載置可能とされた着床部材と、着床部材に対して鉛直軸周りに回動可能に支持された着座部材と、着座部材に着座する着座者の上体を後方から支持する背凭れ部材と、を備える回転椅子であって、背凭れ部材は、前後方向を向く開口部を閉塞するように張設されたクロスを備えて構成され、着座者の頭部よりも高い位置まで延在しており、着座者の頭部高さに位置して着座者の頭部における左右側部から前方に向かって延設されて着座者の頭部を後方および側方から閉塞する側部閉塞部と、着座者における上体の一部に当接する体受部と、を有しており、体受部は、着座者における上体の一部の当接によって後方に膨出変形可能とされており、体受部の膨出変形によって着座者の着座を示す存在表示部とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る回転椅子における背凭れ部材は、着座者の頭部における左右側部から前方に向かって延設されて着座者の頭部を後方および側方から閉塞する側部閉塞部と、着座者における上体の一部に当接する体受部と、を備えている。この背凭れ部材における体受部は、着座者における上体の一部の当接によって後方に膨出変形可能とされており、体受部の膨出変形によって着座者の着座を示す存在表示部とされている。この存在表示部が設けられていることにより、回転椅子を使用しようとする者が着座者の存否を後方から容易に確認することができ、使い勝手を高めることができる。
【0010】
ここで、背凭れ部材における体受部と側部閉塞部とが一体的に形成されており、体受部の外周面と側部閉塞部の外周面とが連続面として形成されていてもよい。このように、体受部の外周面と側部閉塞部の外周面とが連続面として形成されていることにより、回転椅子の外周面の体裁を良好に収めることができる。
【0011】
また、体受部および側部閉塞部が、中央開口部が形成された枠体によって構成され、枠体における中央開口部を閉塞するようにクロスが枠体に対して張設されていてもよい。このように、枠体における中央開口部を閉塞するようにクロスが枠体に対して張設されて体受部および側部閉塞部が形成されていることにより、体受部および側部閉塞部を簡易的に形成することができる。
【0012】
さらに、枠体に張設されたクロスの下方部位を着座部材によって後方に押し込んでクロスの幅方向中央部位を幅方向側方部位よりも後方に突出させて、クロスによって体受部と側部閉塞部とを一体的に形成してもよい。
【0013】
このように、クロスの幅方向中央部位を幅方向側方部位よりも後方に突出させて、クロスによって体受部と側部閉塞部とを一体的に形成することにより、より深い奥行き寸法からなる空間を着座者に提供することができる。
【0014】
他方、上記課題を解決した本発明に係る回転椅子の配置方法は、上記に記載の回転椅子の複数を円形配置し、複数の回転椅子における背凭れ部材によって、遮蔽面を形成することを特徴とする。このように、回転椅子における背凭れ部材によって遮蔽面を形成することにより、複数の回転椅子に着座する複数の着座者が会議などをする場合に、その密閉性を高いものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る回転椅子によれば、着座者が着座しているか否かを後方から容易に確認することができ、使い勝手を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る回転椅子の斜視図である。
図2】(a)は回転椅子の正面図、(b)はその側面図である。
図3】回転椅子の製造工程を示す工程図である。
図4図3に続く製造工程を示す工程図である。
図5】回転椅子の着座者が着座した状態を示す側面図である。
図6】回転椅子に着座者が着座した状態の平面図である。
図7】本発明に係る回転椅子を略円形に配置した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る回転椅子の斜視図である。図1に示すように、本発明に係る回転椅子1は、床面上に載置可能とされた着床部材10を備えている。着床部材10の上方には、着座部材20が設けられている。着座部材20は、着床部材10に対して鉛直軸周りに回転可能に支持されている。また、着座部材20の背後には、着座部材20に着座する着座者の上体を後方から支持する背凭れ部材30が設けられている。
【0018】
着床部材10と着座部材20との間には、図2に示す回転部材40が設けられている。回転部材40は、着床部材10に固定される固定板と、この固定板に対して鉛直軸周りに回転するステージとを備えており、ステージに着座部材20が固定されて、着座部材20が着床部材10に対して鉛直軸周りに回転可能とされている。ここで、着座部材20は、着床部材10に対して、平面視して時計回りおよび反時計回りの双方に回転可能とされている。
【0019】
着座部材20は、図2(b)に示すように、側断面が不等脚台形となる立体形状をなしている。側面視した後方部における下端部がその上端部よりも後方に飛び出す形状をなしており、側面視した後方部を除いた部分は、平断面が略円弧となる形状をなしている。この平断面が略円形となっている部分が、着座者が着座する着座部となる。
【0020】
着座部材20の後方に設けられた背凭れ部材30は、枠体31と、枠体31に張設されたクロス32とを備えている。枠体31は、パイプ状をなしており、左右位置に配置された上下方向に延在する縦枠と、縦枠の上端部を繋ぐ横枠とを備えて形成されている。これらの縦枠および横枠が連続的かつ一体的に形成されて、いわば門形をなして枠体31を形成している。
【0021】
枠体31における縦枠は、その高さ方向略中央位置が前後方向にくびれている。このくびれは、前方が凸となるようにして形成されており、左右の縦枠において同様にくびれが形成されている。さらに、枠体31における横枠は、平面視してその幅方向中央部が後方に凸となる湾曲形状をなしている。さらに、枠体31の下端部は、着座部材20における奥行き方向略中央位置の側面に沿って配置され、着座部材20に固定されている。
【0022】
枠体31に張設されたクロス32は、伸張可能な素材によって形成された袋状をなしており、メッシュが形成されている。このメッシュの目は細かく形成されており、メッシュを通した透視性は低いものとされている。このため、メッシュを通しても回転椅子1の着座者を確認することは困難とされている。
【0023】
クロス32の内側には枠体31が挿入されており、クロス32の外形は、枠体31の外形に沿った形状とされている。枠体31は、前後方向を向く開口部を備えており、クロス32は、この開口部を閉塞するように張設されている。さらに、クロス32の下部は、着座部材20の後端部によって後方に押し込まれている。このため、クロス32の下部は、着座部材20の後端面形状に合わせて伸張し、着座部材20の後端面形状に沿った形状とされている。
【0024】
さらに、クロス32が伸張可能な素材によって形成されている。このため、着座部材20に着座した着座者が背凭れ部材30に寄りかかり、クロス32における体受部が上体の一部に当接することにより、着座者の背圧によってクロス32が伸張し、後方に向けて膨出変形可能とされている。ここで、「着座者における上体の一部に当接する」とは、着座者における上体に直接当接する場合のほか、着衣などを介して間接的に当接する場合を含むものである。
【0025】
また、背凭れ部材30は、着座部材20に着座する着座者の頭部よりも高い位置まで延在しており、着座者の頭部高さに位置して着座者の頭部における左右側部から前方に向かって延設されて着座者の頭部を後方および側方から閉塞する側部閉塞部を備えている。さらに、背凭れ部材30は、着座者における上体の一部に当接する体受部を備えている。こられの側部閉塞部および体受部は一体的に形成されており、側部閉塞部の外周面と体受部の外周面とが連続面として形成されている。
【0026】
次に、本実施形態に係る回転椅子の製造手順について説明する。
【0027】
図1に示す回転椅子1を製造する際には、まず、着床部材10の上方に着座部材20を載置し、着床部材10と着座部材20との間に回転部材40を介在させる。こうして、回転部材40を介して着床部材10に着座部材20を取り付ける。その一方で、背凭れ部材30を製造する。
【0028】
背凭れ部材30を製造する際には、図3(a)に示すように、枠体31およびクロス32を用意する。クロス32の下方は開口部とされている。続いて、クロス32の下方面に形成された開口部から枠体31を挿入し、枠体31の上方からクロス32を覆い被せていく。
【0029】
枠体31の高さ方向の全体にわたってクロス32を覆い被せると、図3(b)に示すように、枠体31に対してクロス32が張設される。このとき、クロス32の上端辺は枠体31の横枠に沿って、平面視して湾曲した形状となる。その一方、枠体31の横枠は上方にしか設けられておらず、下方にはクロス32を案内する枠が形成されていない。このため、クロス32の下端辺は直線状となる。このため、クロス32の上方部分には湾曲面がみられ、下方に下がるにしたがって湾曲角度が徐々に大きくなり、下端部では、直線状となっている。
【0030】
このような形状にクロス32が張設されている背凭れ部材30に対して、図4(a)に示すように、その前方から着床部材10に取り付けられた着座部材20が押し込まれる。クロス32に着座部材20が押し込まれると、図4(b)に示すように、着座部材20の押圧力によってクロス32における着座部材20との当接部が後方に押し込まれる。そして、着座部材20の奥行き方向略中央部に背凭れ部材30における枠体31の縦枠が配置された位置関係となると、着座部材20の後端面形状に合わせてクロス32の下部が伸張し、クロス32の下部が着座部材20の後端面形状に沿った形状となる。こうして、回転椅子1が製造される。
【0031】
このような上記実施形態に係る回転椅子1においては、図5に示すように着座部材20に着座者Hが着座すると、図5に仮想線Mで示すように、背凭れ部材30の体受部が存在表示部として機能し、着座者Hの背圧によって背凭れ部材30におけるクロス32の体受部が後方に押し込まれて変形する。クロス32の体受部が変形することにより、回転椅子1を使用しようとする者が回転椅子1の背面側から回転椅子1を見た場合でも、着座者がいることを容易に認識することができる。したがって、回転椅子を使用しようとする者は、回転椅子1の表側に回ることなく着座者の存否を後方から容易に確認することができ、使い勝手を高めることができる。
【0032】
また、回転椅子1における背凭れ部材30は、図5に示すように、通常の身長の着座者Hが回転椅子1に着座したときに、回転椅子1における背凭れ部材30の上端部よりも低い位置に着座者Hの頭部が位置するように設計されており、この頭部高さ位置に側部閉塞部が形成されている。側部閉塞部は、着座者Hの頭部における左右側部から前方に向かって延設されており、着座者Hの頭部を後方および側方から閉塞している。
【0033】
一般に、人間の最大視野角は前方から左右それぞれに約100°(合計で200°)程度であるところ、側部閉塞部は、その角度範囲を覆うように形成されている。このため、図6に示すように、着座者Hの後方の視野を背凭れ部材30によってほぼ全て覆うことができる。したがって、着座者Hに「囲われ感」を与えることができるので、落ち着いた着座空間を提供することができる。
【0034】
また、回転椅子1における背凭れ部材30では、体受部と側部閉塞部とが1枚のクロス32によって一体的に形成されており、体受部の外周面と側部閉塞部の外周面とが連続面として形成されている。このため、体受部と側部閉塞部とが、例えば独立して分離した形態などとならないようにすることができる。したがって、回転椅子1の外周面の体裁を良好に収めることができる。
【0035】
さらに、背凭れ部材30は、前後方向を向いた開口部が形成された枠体31にクロス32が被せられて形成されている。このため、背凭れ部材30は、枠体31にクロス32を被せる程度の作業で製造することができる。したがって、背凭れ部材30、さらには回転椅子1を容易に製造することができる。さらには、体受部および側部閉塞部を簡易的に形成することができる。
【0036】
しかも、回転椅子1においては、クロスの幅方向中央部位を幅方向側方部位よりも後方に突出させて、クロスによって体受部と側部閉塞部とを一体的に形成している。このため、着座部材20に着座者Hに対して、より深い奥行き寸法からなる空間を提供することができる。
【0037】
他方、図7に示すように、複数の回転椅子1を用いて、複数の者が会議を行うためなどの密閉性の高い空間を形成する例について説明する。図7に示すように、回転椅子1を複数個、図7に示す例では、6個の回転椅子1を平面視して円形状に配置すると、各回転椅子1における背凭れ部材30が並設された状態となる。こうして並設された複数の背凭れ部材30によって、遮蔽面が形成される。
【0038】
平面視して円形状に配置された複数の回転椅子1における背凭れ部材30によって遮蔽面が形成されると、回転椅子1に着座する着座者は、遮蔽面の内側に収められることとなる。また、遮蔽面の内側は密閉性の高い空間とすることができる。したがって、複数の着座者が遮蔽面内において会議等を行うことができるので、例えば秘匿性の高い会議等であっても、その漏洩を防止しながら会議等を行うことができる。
【0039】
また、こういった遮蔽面を形成する際にも、複数の回転椅子1を単に並べて配置すれば良い。このため、密閉性の高い空間を任意の場所に容易に形成することができる。しかも、回転椅子1に着座して会議を行う着座者が回転椅子1における背凭れ部材30の体受部に当接することにより、回転椅子1の後方、言い換えると遮蔽面の外側から回転椅子1に着座する着座者の存在を外部から容易に認識できるようになる。このため、回転椅子1の背後から回転椅子1を見る者に対して、回転椅子1が使用中であることを認識させるのみならず、回転椅子1の反対側である遮蔽面の内側で会議等が行われていることを容易に認識させることができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記の実施形態においては、着座部材20の着座面は平面視して略円形状とされているが、略円形状に限らず、矩形状、多角形状などとすることもできる。
【0041】
また、背凭れ部材30としては、枠体31にクロス32が被せられたものを用いているが、他の態様のものを用いることもできる。例えば、枠体31にクロス32を被せるのではなく、枠体の内側に伸縮性のある素材を貼り付けたり縫い付けたりして取り付けることもできる。あるいは、横枠を用いることなく、縦枠のみで枠体を形成してこの枠体にクロスなどの伸縮性のある素材からなる体受部を設けることもできる。
【0042】
さらには、体受部と側部閉塞部とを別体に形成することもできる。この場合、例えば体受部を伸縮性のある素材で形成する一方、側部閉塞部を塑性材料で形成することもできる。もちろん、体受部と側部閉塞部を同一の素材で形成することもできる。また、上記実施形態ではクロスは着座部材20の下端部にまで延在して形成されているが、着座部材20の上端部近傍等にまで延在する形状で構成こともできる。また、クロス32が1枚で形成されているが、クロスが分割されている態様とすることもできる。また、枠体31が分割されたものであるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1…回転椅子
10…着床部材
20…着座部材
30…背凭れ部材
31…枠体
32…クロス
40…回転部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7