【実施例】
【0030】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0031】
<実施例1>
半導体製造工場から排出されたリン酸系廃液(リン酸及びSiを含む廃水;液の密度とSi含有率は表1に示す)100gおよびリン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)5.0gを混合槽2に投入した後、撹拌翼で撹拌混合を24時間行うことによって、混合液を得た(
図1参照)。混合槽中の液全体に対してリン酸カルシウム含有率(濃度)は4.8質量%であった。
【0032】
次に、前記混合液を遠心分離機(固液分離機)3に投入して遠心分離を行い、混合液を沈殿物(Si含有)と上澄み液(Si低減化リン酸含有液;沈殿物を含まない)とに分離した。沈殿物を除去することによって、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収することができた。
【0033】
なお、XRD(X線分光分析)による分析結果から、沈殿物の主成分は、Ca(H
2PO
4)
2・H
2Oであることが確認できた。
【0034】
<実施例2>
リン酸カルシウムに代えて、リン酸カリウム(K
3PO
4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0035】
<実施例3>
リン酸カルシウムに代えて、リン酸水素マグネシウム(MgHPO
4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0036】
<実施例4>
リン酸カルシウムに代えて、リン酸水素ナトリウム(Na
2HPO
4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0037】
<実施例5>
リン酸カルシウムに代えて、リン酸アルミニウム(AlPO
4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜5で回収した回収液(Si含有率が低減されたリン酸含有液)におけるSi含有率を表1に示す。表1から明らかなように、得られた回収液(リン酸含有液)は、リン酸系廃液と比較して、Si含有率(Si含有量)が低減されていた。特に、リン酸塩としてリン酸カルシウムを用いた実施例1の回収液では、リン酸系廃液と比較して、Si含有率が顕著に低減されていた。即ち、本発明の方法を適用する前のリン酸系廃液のSi含有率は60mg/Lであるのに対し、本発明の方法を適用した実施例1の回収液(リン酸含有液)のSi含有率は12.5mg/Lであった。
【0040】
<実施例6>
半導体製造工場から排出されたリン酸系廃液(リン酸及びSiを含む廃水;Si含有率は表2に示す)100gおよびリン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)0.30gを混合槽2に投入した後、撹拌翼で撹拌混合を24時間行うことによって、混合液を得た(
図1参照)。なお、混合槽中の液全体に対してリン酸カルシウム含有率(濃度)は0.30質量%であった。
【0041】
次に、前記混合液を遠心分離機(固液分離機)3に投入して遠心分離を行い、混合液を沈殿物(Si含有)と上澄み液(Si低減化リン酸含有液;沈殿物を含まない)とに分離した。沈殿物を除去することによって、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収することができた。
【0042】
<実施例7>
リン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)の混合槽2への投入量を0.50gに設定した(混合槽中の液全体に対してリン酸カルシウム含有率を0.50質量%とした)以外は、実施例6と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0043】
<実施例8>
リン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)の混合槽2への投入量を0.70gに設定した(混合槽中の液全体に対してリン酸カルシウム含有率を0.70質量%とした)以外は、実施例6と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0044】
<実施例9>
リン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)の混合槽2への投入量を1.0gに設定した(混合槽中の液全体に対してリン酸カルシウム含有率を1.0質量%とした)以外は、実施例6と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0045】
<実施例10>
リン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)の混合槽2への投入量を3.0gに設定した(混合槽中の液全体に対してリン酸カルシウム含有率を2.9質量%とした)以外は、実施例6と同様にして、リン酸系廃液からSi含有率が低減されたリン酸含有液を回収した。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例6〜10で回収した回収液(Si含有率が低減されたリン酸含有液)におけるSi含有率を表2に示す。表2から明らかなように、得られた回収液(リン酸含有液)は、リン酸系廃液と比較して、Si含有率(Si含有量)が低減されていた。中でも、混合槽中の液全体に対するリン酸カルシウムの含有率を0.6質量%〜6質量%の範囲に設定した実施例8〜10、1では、実施例6、7と比較して、Si含有率が顕著に低減されていた。
【0048】
なお、上記実施例において、各液中におけるリン酸の濃度(含有率)は、イオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス社製「ICS−1000」)を用いて測定した。
【0049】
また、Siイオンの定性・定量分析は、ICP発光分析装置(島津製作所製「ICPS−7510」)を用いて行った。