特許第6180892号(P6180892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180892
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】スタンドシステム
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20170807BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20170807BHJP
   A47B 17/04 20060101ALI20170807BHJP
   A47B 21/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A47B13/00 Z
   A47B13/08 A
   A47B17/04
   A47B21/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-234433(P2013-234433)
(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2015-93082(P2015-93082A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】古田 司
(72)【発明者】
【氏名】永井 潤
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭12−014087(JP,Y1)
【文献】 特開2012−027629(JP,A)
【文献】 米国特許第04109889(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の反使用端側に当該天板の上方に突出させてパネルを配設するとともに、下方に延びる差込部と当該差込部の上端から天板面と略平行に延びる平行部と当該平行部の延出端側から上方に起立する起立部とを一体的に有する支持具の前記差込部を前記天板と前記パネルとの間に着脱可能に差し込み、タブレット端末の下端を前記支持具の起立部に係止させるとともに当該タブレット端末の上端を前記パネルに立て掛けて傾斜状態で支持可能に構成されることを特徴とするスタンドシステム。
【請求項2】
前記天板が芯材と当該芯材上のクッション材により構成されるとともに、前記パネルが当該天板の反使用端に密接に配設されることを特徴とする請求項1記載のスタンドシステム。
【請求項3】
前記支持具の平行部のうち、前記差込部と前記起立部との間の領域が、前記天板の使用端に向けて伸縮可能に構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のスタンドシステム。
【請求項4】
前記起立部が、前記天板の前後方向に沿って前記平行部の複数の位置に形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスタンドシステム。
【請求項5】
カメラ機能を備えるタブレット端末を支持するものであって、利用者が起立状態でハイテーブルとして使用可能なように前記天板面の高さが設定され、当該天板高さに応じてタブレット端末の撮像高さが設定されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のスタンドシステム。
【請求項6】
前記パネルが前記天板の上下方向に突出して延在するものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のスタンドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット端末を安定して支持することができ、社内の機密保持にもつながるスタンドシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本を立て掛けるための書見台が内蔵されたデスクが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1には、背面側に本棚を備え、本を立て掛けていない間はこの本棚を構成する棚の一部として利用可能な略板状の書見台を備えたデスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−51304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では上記のような書見台は、本を立て掛けるだけでなくタブレット端末を立て掛けることにも利用することが考えられる。書見台にタブレット端末を立て掛けることによって腕で支えることなく天板上に安定させることができることから、タブレット端末のカメラ機能を利用してビデオ通話をするときに特に便利である。
【0005】
しかしながら、このような書見台は本棚と一体構成であることから構造が複雑であるとともに、天板の幅方向に移動させることができないという不都合な点もあり、改善の余地がある。
【0006】
このような問題を解決するものとして、図9に示すようなスタンド101を天板104の背面に備わるデスクトップパネル105とともに利用することが考えられる。このスタンド101は側面視略S字状のものであり、上端部をデスクトップパネル105に掛止させて、下端部にタブレット端末Tを載置することができる。しかしながら、このようなスタンド101は、タブレット端末Tを天板104から浮かせて安定して支えるためにある程度大きい幅寸法L10が必要であり、コンパクトにすることができない。そして、このように比較的大きなスタンド101が吊り下げられていることでデスクトップパネル105の外観が損ねられるという問題があり、何よりもタブレット端末Tの操作ができないという難点につながる。
【0007】
また、図10に示すようなスタンド102も考えられる。このスタンド102は、起立部102aの下端から天板奥行き方向に向けて斜め上方に延在する傾斜部102bと傾斜部102bの後端から下方に延びる支持部102cとを有し、起立部102aおよび支持部102cの下端を天板面104Aに当接させて天板104上に載置可能なものである。しかしながら、このようなスタンド102であってもタブレット端末Tが後方に倒れないように安定して支えるためにある程度大きい幅寸法L11および奥行き寸法L12が必要であり、コンパクトにすることができない上に天板104上の作業領域も狭められるという不具合につながる。
【0008】
さらに、図11に示すように、天板104の反使用端141b側に支柱103aとこの支柱103aから水平に延びるアーム103bとで構成され、アーム103bの先端部にタブレット端末Tを取付可能にしたディスプレイ取付アーム103も考えられる。しかしながら、このようなディスプレイ取付アーム103は、コンパクトなものではなくタブレット端末Tを使用しない間は邪魔になるとともに高価であり、さらに取り付けに手間が掛かることから天板104の幅方向に容易に位置変更することができないという欠点もある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解消することを目的としており、具体的には、タブレット端末を安定して支持することができ、またタブレット端末を支持するスタンド等の支持具を容易に取り外し可能としつつその構造がシンプルかつコンパクトで安価に作製可能なスタンドシステムを提供することを目的とする。
【0010】
また、このようなタブレット端末を使用してビデオ通話を行おうとすると、デスク回りやパーティション、壁などには様々な社外秘書類や書き込み、掲示物等が存在するため、機密情報がタブレット端末を介して意図せずに漏えいする危険性もある。このようなことを考えると、タブレットスタンドをセットすることによってセキュリティ性も向上するスタンドシステムであることが更に望ましい。
【0011】
本発明は、このような課題を併せて解決することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0013】
すなわち、本発明のスタンドシステムは、天板の反使用端側に当該天板の上方に突出させてパネルを配設するとともに、下方に延びる差込部と当該差込部の上端から天板面と略平行に延びる平行部と当該平行部の延出端側から上方に起立する起立部とを一体的に有する支持具の前記差込部を前記天板と前記パネルとの間に着脱可能に差し込み、タブレット端末の下端を前記支持具の起立部に係止させるとともに当該タブレット端末の上端を前記パネルに立て掛けて傾斜状態で支持可能に構成されることを特徴とする。
【0014】
このような構成であることで、支持具の起立部によりタブレット端末の下端の天板奥行き方向への移動が規制され、パネルによりタブレット端末が後方へ倒れることを規制できる。このようにタブレット端末を天板、支持具及びパネルの3つの部材を利用して立て掛けることで、天板やパネルへの特殊な作り込みを一切必要とせずにスタンド機能を実現することができ、支持具の構造もシンプルにして安価に作製することができる。したがって、タブレット端末を安定して立て掛ける機能を有しつつ支持具を容易かつ素早く(クイック)取り付け可能でかつコンパクトなものにすることができ、天板やパネルの外観を損なうこともない。さらに、タブレット端末を立て掛けた状態で当該タブレット端末を使用するうえで好ましい天板奥行き方向の位置と一定の仰角が与えられ、その位置や仰角は支持具の差込部を天板幅方向に移動させても変わらないため、ビデオ通話時にも天板上の任意の位置で安定した使用状態を確保することができる。さらにまた、この支持具は平行部の幅を小さくしてもタブレット端末が少し傾けば天板面に接地して転倒を防止し、差込部の幅を小さくしても差し込み状態が損なわれることがないから、支持具を更にコンパクトに構成することが容易となる。
【0015】
特に、前記差込部の位置を天板とパネルとの間で安定させるためには、前記天板が芯材と当該芯材上のクッション材により構成されるとともに、前記パネルが当該天板の反使用端に密接に配設されることが望ましい。
【0016】
大きさが様々なタブレット端末を立て掛けることができるとともに、立て掛ける角度を調整可能にするためには、前記支持具の平行部のうち、前記差込部と前記起立部との間の領域が、前記天板の使用端に向けて伸縮可能に構成されることが好ましい。
【0017】
或いは、前記起立部が、前記天板の前後方向に沿って前記平行部の複数の位置に形成されることが好ましい。
【0018】
また、本発明のスタンドシステムがカメラ機能を備えるタブレット端末を支持するものであって、利用者が起立状態でハイテーブルとして使用可能なように前記天板面の高さが設定され、当該天板高さに応じてタブレット端末の撮像高さが設定されるように構成することが望ましい。
【0019】
このようなハイテーブルを使用すれば、支持具ひいてはタブレット端末の使用位置が比較的高くなる。このような高さ位置にあるタブレット端末でカメラ機能を利用すると、撮影範囲が高い位置に設定されるので、支持具により傾斜状態で支持され、タブレット端末の仰角に対応してカメラに上向きの撮像角が与えられることとあいまって、タブレット端末の使用者を中心にその背後にある部屋の天井は写っても、機密書類が載置あるいは貼り付けられている可能性のあるデスク周りやパーティション、機密事項が書かれている可能性があるホワイトボードなどを取り付け可能な壁は写りにくくすることができる。したがって、タブレット端末を介して機密事項が外部に漏れることを防止してセキュリティ性を向上させることができる。
【0020】
また、パネルに、デスクトップパネルおよび天幕の機能をも付与するためには、前記パネルが前記天板の上下方向に突出して延在するものであるように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明した構成であるから、タブレット端末を安定して支持することができ、またタブレット端末を支持する支持具を容易に取り外し可能としつつその構造がシンプルかつコンパクトで安価に作製可能なスタンドシステムを提供することができる。また、天板面の高さをハイテーブル仕様にすれば、撮影範囲を高い位置に設定することができることから、タブレット端末に備わるカメラに上向きの撮像角を与えることができることとあいまって、デスク周りやパーティション、壁などをより写りにくくすることができ、タブレット端末を介して機密事項が外部に漏れることを防止してセキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るスタンドシステムの使用状態の一例を示す図。
図2】同スタンドシステムを示す斜視図。
図3】同スタンドシステムを構成する天板付き家具を示す正面図。
図4】同スタンドシステムを構成するタブレットスタンドの斜視図。
図5】同タブレットスタンドの変形例を示す斜視図。
図6】同タブレットスタンドの変形例を示す斜視図。
図7】同タブレットスタンドの変形例を示す斜視図。
図8】同タブレットスタンドの変形例を示す斜視図。
図9】従来技術に対する解決案としての他のスタンドシステムを示す斜視図。
図10】従来技術に対する解決案としての他のスタンドシステムを示す斜視図。
図11】従来技術に対する解決案としての他のスタンドシステムを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1,2は、本実施形態のスタンドシステム100を示している。スタンドシステム100は、例えばオフィス内に好適に設置することができ、家具付き天板1とタブレットスタンド6とで構成され、カメラ機能等を有するタブレット端末Tを安定して立て掛けて使用することで、ビデオ通話等にも便利で、機密保持にもつなげることが可能なものである。
【0025】
家具付き天板1を構成する天板4は、矩形状の図示しない芯材の上に当該芯材と略同形状の図示しないクッション材を積層し、それらを張り地4Aで被覆して構成されており、上方からの力に対して適度なクッション性を備えることから、肘などを置いた際に良好な使用感を有するものである。
【0026】
図2に示すように、このような天板4の一端面42a及び他端面42bと交差する(具体的には略直交する)反使用端41b側には、天板4よりも上下方向に延在する正面視矩形状のパネル5が設けられている。パネル5は、図示しない芯材の表面に張り地5Aが貼り付けられて構成されたものであり、図3に示すように、パネル5の幅寸法L1が天板4の幅寸法L2と略等しく設定されるとともに、上下寸法L3が幅寸法L1よりも大きく設定されている。このパネル5は、詳細には、幅方向一端部50aを天板4の一端面42aよりも天板4の幅方向中心側に近づけるとともにパネル5の幅方向他端部50bを天板4の他端面42bよりも外方側に突出させて天板4の幅方向中心から遠ざけ、天板4の反使用端41b側に配置されるパネル領域5aに対し、天板4から外方側に配置されるパネル領域5bが小さくなるように設けられている。
【0027】
このような天板4の下方には、図3に示すように、四隅に設けられたアジャスタ21により天板4と平面視略同一形状のベース本体20が床面から所定の隙間Gを介して設置されたベース2が設けられている。このベース本体20の中央部には、後述する支柱本体30の内部に形成された配線挿通孔130と連通する連通孔120が形成されている。
【0028】
図3に示すように、支柱3は、ベース本体20から立ち上がって内部に配線挿通孔130が形成された円筒状の支柱本体30と、支柱本体30の上端に取り付けられた天板支持部31とから構成される。天板支持部31は、板金を折り曲げ成形したものであって、天板4よりも幅寸法および奥行き寸法が小さくかつ平面視略矩形状の天板受け131a上に天板4を載置して支持するものである。天板受け131aには、天板4、支柱本体30の上端部、および、コンセントCが固定された図示しないブラケットをねじ等の止着具を利用してそれぞれ固定するための図示しない挿通孔が複数箇所に形成されている。コンセントCは差し込み口Caを前方に向けた状態で取り付けられており、天板4上にタブレット端末Tなどの電子機器を載置した際にはこのコンセントCから電力を得ることができる。このコンセントCから延びる配線Ckは、図3に示すように、支柱本体30の上端部に形成された図示しない開口から配線挿通孔130およびベース本体20に形成された貫通孔120を通って外方に引き回される。天板受け131aには、その奥行き方向の一端から下方に向けてパネル取付部131cが形成されており、パネル取付部131cは幅方向両端部および中央部にそれぞれ形成された挿通孔131caを介して図示しない止着具によりパネル5と固定されている。また、天板受け131aの幅方向一端31bには下方に延びる折曲補強部131bが形成されている。
【0029】
このような天板付き家具1は、床面から天板面4aまでの高さL4が900〜1050mmに設定され、一般的(標準的)体格を有する(成人の平均程度の身長を有する)利用者が起立状態で使用可能ないわゆるハイテーブルを構成するものであり、パネル5により囲まれてクッション性を有する天板とともに、起立したまま気軽で自由な姿勢を促すことができる。
【0030】
以上のような天板付き家具1には、図1,2に示すように、支持具としてのタブレットスタンド6を取り付けることができる。このタブレットスタンド6は矩形状の板金を折り曲げ成形したものであり、図4に示すように下方に延びる差込部60と、その上端60aから差込部60と直交して延びる平行部61と、平行部61の延出端61a側すなわち差込部60と反対側の端部側(本実施形態では端部)から上方に起立する起立部62とで構成される。タブレットスタンド6は、差込部60の高さ寸法L7が天板4を構成する図示しない芯材から図2に示す天板面40までの距離以下に設定されており、図2に示すように天板4とパネル5との間に天板4を構成するクッション材を押し広げながら差込部60を差し込むことで天板付き家具1に密接に取り付けられる。このとき、平行部61が天板4の反使用端41bから使用端41a側に向けて天板面40に当接しつつ平行に延びるとともに、起立部62がパネル5と対向した状態となる。そして、平行部61および起立部62にタブレット端末Tの下端を当接させるとともに当該タブレット端末Tの上端をパネル5に当接させることで、タブレット端末Tを傾斜させて立て掛けることができる。
【0031】
このように天板4およびパネル5と協働してタブレット端末Tの立て掛け角度(タグレット内蔵カメラの視野角)を決めるタブレットスタンド6を使用することで好ましい天板奥行き方向の位置と高さと一定の仰角とを与えることができ、その仰角に対応してカメラに上向きの撮像角が与えることができる。そのため、図1に示すような一般的なオフィスの一室であれば使用者の顔や天井9aを写し、天井9aは写っても壁9bや壁9bに貼り付けられた書類DおよびホワイトボードW等が写りにくくなることから、使用者の背後にある執務用のデスクや当該デスクの天板上に置かれた書類等は勿論のこと、これより背丈の高い位置にある試作品や掲示物なども写りにくくなる。また、このようにパネル5とタブレットスタンド6とでタブレット端末Tを支えるため、天板面40が比較的小さくかつ天板4がクッション性を有するようなものであったとしても、タブレット端末Tが天板4から落下しにくい状態となる。また、図1に示すような執務スペース7の自席のデスクdでは電話やタブレット端末Tによるビデオ通話がしづらく、ビデオ会議を設置している会議室等では部屋の予約が必要であるが、天板付き家具1を執務スペース7から離れた位置に設置し、このような位置にある天板付き家具1にタブレットスタンド6を取り付けて使用すれば、タブレット端末Tを通じて気軽にビデオ通話を行うことができる。
【0032】
なお、タブレットスタンド6は、タブレット端末Tを立て掛けていない間もそのまま天板付き家具1に取り付けたままの状態にしておいてもよく、天板4の一端面42a側又は他端面42b側にスライド移動させることも容易で、取り外して他の場所に設置あるいは保管してもよい。タブレットスタンド6を撤去する際は、例えば天板4を構成するクッション材を多少押し付けながら平行部61の下方に指を差込み、上方に持ち上げることで天板4とパネル5との間から簡単かつ素早く抜き取ることができる。
【0033】
以上のように本実施形態のスタンドシステム100は、天板4の反使用端41b側に当該天板4の上方に突出させてパネル5を配設するとともに、下方に延びる差込部60と当該差込部60の上端60aから天板面40と略平行に延びる平行部61と当該平行部61の延出端61a側から上方に起立する起立部62とを一体的に有する支持具としてのタブレットスタンド6の前記差込部60を前記天板4と前記パネル5との間に着脱可能に差し込み、タブレット端末Tの下端を前記タブレットスタンド6の起立部62に係止させるとともに当該タブレット端末Tの上端を前記パネル5に立て掛けて傾斜状態で支持可能に構成したものである。
【0034】
このような構成であることで、タブレットスタンド6の起立部62によりタブレット端末Tの下端の天板4奥行き方向への移動が規制され、パネル5によりタブレット端末Tが後方へ倒れることを規制できる。このようにタブレット端末Tを天板4、タブレットスタンド6及びパネル5の3つの部材を利用して立て掛けることで、天板4やパネル5への特殊な作り込みを一切必要とせずにスタンド機能を実現することができ、タブレットスタンド6の構造もシンプルにして安価に作製することができる。したがって、タブレット端末Tを安定して立て掛ける機能を有しつつタブレットスタンド6を容易かつ素早く(クイックに)取り付け可能でかつコンパクトなものにすることができ、天板4やパネル5の外観を損なうこともない。さらに、タブレット端末Tを立て掛けた状態で当該タブレット端末Tを使用するうえで好ましい天板奥行き方向の位置と一定の仰角が与えられ、その位置や仰角はタブレットスタンド6の差込部60を天板4の幅方向に移動させても変わらないため、ビデオ通話時にも天板4上の任意の位置で安定した使用状態を確保することができる。さらにまた、このタブレットスタンド6は平行部61の幅を小さくしてもタブレット端末Tが少し傾けば天板面40に接地して転倒を防止し、差込部60の幅を小さくしても差し込み状態が損なわれることがないから、タブレットスタンド6を更にコンパクトに構成することが容易となる。
【0035】
特に、前記天板4が芯材と当該芯材上のクッション材により構成されるとともに、前記パネル5が当該天板4の反使用端41bに密接に配設されるように構成したことから、クッション材を押し広げて天板4とパネル5との間にタブレットスタンド6の差込部60を差し込むことができ、クッション材の弾性により前記差込部60の位置を天板4とパネル5との間で安定させることができる。また、天板4上面がクッション性を有することから、天板4にひじ等を置いた際にクッション材がパッドの役割を果たし、使用感を良好にすることができる。
【0036】
また、本実施形態のスタンドシステム100はカメラ機能を備えるタブレット端末Tを支持するものであって、利用者が起立状態でハイテーブルとして使用可能なように前記天板面40の高さが設定され、当該天板高さに応じてタブレット端末Tの撮像高さが設定されるように構成したものである。ハイテーブルは、高さ900〜1050mmのテーブルとして一般に認知されており、このようなハイテーブルの天板4を使用することでタブレットスタンド6ひいてはタブレット端末Tの使用位置が比較的高くなる。このような高さ位置にあるタブレット端末Tでカメラ機能を利用すると、撮影範囲が高い位置に設定されるので、タブレットスタンド6により傾斜状態で支持され、タブレット端末Tの仰角に対応してカメラに上向きの撮像角が与えられることとあいまって、タブレット端末Tの使用者を中心にその背後にある部屋の天井9aは写っても、デスクd周りやパーティション、壁9bなどは写りにくくなる。デスクdやパーティション、壁9bには機密書類Dが載置若しくは貼り付けられていたり、機密事項等が書かれたホワイトボートW等が立て掛けられていることがあるが、タブレットスタンド6にタブレット端末Tをセットするだけでこれらの機密事項が不慮にタブレット端末Tのカメラに写りにくくなることから、無意識のうちにタブレット端末Tを介して機密事項が外部に漏れることを防止することができる。
【0037】
また、前記パネル5が前記天板4の上下方向に突出して延在するように構成したことから、パネル5に、デスクトップパネルおよび天幕の機能をも付与することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0039】
例えば、本実施形態では、板金を折り曲げ成形したタブレットスタンド6を使用してスタントシステム100を構成しているが、タブレットスタンド6を樹脂その他の素材により構成してもよいのは勿論である。また、図5に示すような線材160aの両端部を折り曲げて差込部163,163を形成するとともに、当該線材160aの中央部を折り曲げて図2に示す天板面40に平行な平行部161,161および延出端161a,161a側に位置する起立部162を作製したタブレットスタンド160を使用してスタンドシステム100を構成してもよい。
【0040】
また、図6に示すように、上部手段261及び下部手段262とから構成される伸縮可能なタブレットスタンド260を使用してスタンドシステム100を構成してもよい。上部手段261は、その延出端(前端)261a側に起立部261bが形成され、起立部261bの後方に平行部261dが形成されている。また、平行部261dの幅方向両端部に奥行き方向に延在する調整孔261c,261cが形成されている。下部手段262は、その後端262aに差込部262bが形成され、差込部262bの前方に平行部262dが形成されている。また平行部262dの幅方向両端部にねじ孔262c,262cが形成されている。上部手段261及び下部手段262は、各平行部261d,262dの一部を重ね合わせつつ調整孔261c,261cおよびねじ孔262c,262cを介して上方からねじ等の止着具263,263で互いに固定することができ、上部手段261は下部手段262に対して調整孔261c,261cの延在長さ分だけ前方又は後方にずらすことができる。これによって平行部261dの延出端261a側に起立部261bが位置し、起立部261bと差込部262bとの間の領域264が伸縮可能になる。
【0041】
このようにタブレットスタンド260の平行部261d,262dのうち、差込部262bと起立部261bとの間の領域264が、前記天板4の使用端41a(図2参照)に向けて伸縮可能に構成されていることでも、大きさが様々なタブレット端末Tを立て掛けることができるとともに、立て掛ける角度を調整することができる。
【0042】
また、図7に示すように、起立部363a,363b,363cが天板4(図2等参照)の奥行き方向に沿って差込部361から平行部362の延出端362a側へ変位した複数の位置に形成されたタブレットスタンド360を使用してスタンドシステム100を構成してもよく、これによっても大きさが様々なタブレット端末Tを立て掛けることができるとともに、立て掛ける角度を調整することができる。さらには、板金を折り曲げ形成したものではなく、図7に示すタブレットスタンド360のように樹脂やアルミニウムで作製されたものであってもよい。
【0043】
さらに、図8に示すように、平行部461を比較的厚く形成し、そこに平行部461の幅方向に延びる溝461a,461b,461cを天板4(図2等参照)の奥行き方向に沿って差込部462から延出端461d側へ変位した位置に複数形成したタブレットスタンド460を使用してスタンドシステム100を構成してもよい。この場合、各溝461a,461b,461cを構成する前後の壁面のうち前側の壁面が起立部461abを構成することになる。
【0044】
またさらに本実施形態では、スタンドシステム100を構成する天板4はクッション性を有するものであるが、これに限定されず、木製、メラミン樹脂製、スチール製のものであってもよい。ただ、パネル5にウレタン樹脂等の比較的柔らかい材料を使用することで、天板4とパネル5との間にタブレットスタンド6を差し込む際にウレタン樹脂が変形して容易に着脱することができる利点がある。一方、天板4をクッション性に乏しい素材で構成する場合には、天板4とパネル5の間にタブレットスタンド6を差し込むための溝を形成することでタブレットスタンド6を容易に着脱可能とすることができる。
【0045】
以上において、スタンドシステム100はタブレット端末T以外の板状部材を立て掛けることにも利用可能なものであり、黒板消しやペン等の小物をタブレットスタンド6、160、260、360、460の上に載置してもよい。
【0046】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
4・・・天板
5・・・パネル
6、160、260、360、460・・・支持具(タブレットスタンド)
40・・・天板面
41b・・・反使用端
60、163、262b、361、462・・・差込部
60a・・・差込部の上端
61、161、261d、262d、362、461・・・平行部
61a、161a、261a、362a、461d・・・延出端
62、162、261b、363a,363b,363c、461ab・・・起立部
T・・・タブレット端末
100・・・スタンドシステム
264・・・領域
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