(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ロードセル等の荷重センサと、この荷重センサからの荷重信号に基づいて重量値を算出して表示部に表示する重量表示装置としての重量指示計とを備える計量装置では、その設置時や稼働運転中に、荷重信号に大きな振幅の交流信号ノイズが重畳し、重量指示計に表示される重量表示値がちらついて安定しないという故障が発生する場合がある。
【0003】
重量表示値がちらつく要因には、荷重センサの不具合、基礎振動など種々の要因があるが、重量表示値がちらつくという故障が発生した場合には、その原因を速やかに特定して対策する必要がある。
【0004】
重量表示値がちらつく要因の一つに、重量指示計内部の電源回路に使用される電解コンデンサの劣化がある。
図10に示すように重量指示計40の内部には、各部に電源を供給する電源回路30が備えられている。この電源回路30は、
図11に示すように、交流電源31を整流回路32で整流し、電解コンデンサ33によって整流平滑し、定電圧制御回路34によってスイッチング式、またはシリーズ式制御によって一定電圧Vの直流電圧に変換する。
【0005】
この直流電圧Vを、
図10に示すように、ロードセルの歪みゲージによって構成されるブリッジ回路35の励磁端cdに印加することによって、ロードセルに負荷荷重が加わると、直流電圧V及び負荷荷重の大きさに比例したアナログ荷重信号が、ブリッジ回路
35の出力端abに現れ、このアナログ荷重信号を増幅回路36で増幅した後、A/D変換器37によってデジタル荷重信号に変換し、演算回路38では、デシタル荷重信号に基づいて、重量値を算出し、表示部39に表示する。
【0006】
電源回路30において、整流回路32の次段に使用される電解コンデンサ33は、経年変化によって徐々に静電容量が低下する。静電容量が低下すると、次第に整流信号に対する平滑特性が低下し、交流ノイズ信号の一種であるリップル成分が増加し、その結果、電圧制御した後の直流電圧にも交流周波数のリップル成分が現れ、その値が静電容量の低下に伴って増加する。
【0007】
直流電圧Vの中に交流周波数ノイズ信号であるリップル成分が含まれると、前記ブリッジ回路35の荷重信号に影響を与え、荷重信号にリップル成分が含まれるようになって、表示部39に表示される重量表示値がちらつくことになる。
【0008】
また、重量表示値のちらつく他の要因として、荷重信号に混入する交流周波数の誘導ノイズがある。すなわち、ロードセルの荷重信号は、定格荷重の負荷時の出力が例えば10mV程度で、表示重量の最小値に相当する電圧は、数μV程度であるので、計量装置の設置時に、ロードセルから重量指示計へアナログ荷重信号を伝送する導線のシールド対策が不十分であると、ストレイキャパシタンス(浮遊容量)を介して荷重信号に交流周波数ノイズ信号の一種である誘導ノイズが入り、重量表示値にちらつきを与えることがある。
【0009】
このように重量指示計では、荷重信号に重畳されるリップル成分や誘導ノイズといった交流周波数ノイズ信号によって、重量表示値がちらつく場合がある。
【0010】
従来、電源ユニットの電源電圧に含まれるリップル電圧を測定する電源リップル測定装置は、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように重量指示計の重量表示値がちらつく要因は、交流周波数ノイズ信号の他にも荷重センサの不具合や基礎振動などの種々の要因があるので、原因を特定するための診断箇所が多く、診断に長時間を要する。
【0013】
したがって、重量指示計の重量表示値のちらつき故障が生じた場合に、その原因が、電解コンデンサの劣化によるリップル成分や誘導ノイズといった交流周波数ノイズ信号であるときには、それを検出して速やかに報知できるようにすることが望ましい。更に、重量表示値のちらつきが視認できる前などの適切な時期に予知警報を報知できるようにするのが一層望ましい。
【0014】
上記特許文献1には、電源ユニットの電源電圧から交流周波数のリップル成分を抽出し、抽出したリップル成分をデジタルマルチメータによって測定する電源リップル測定装置が記載されている。この電源リップル測定装置を使用して、重量指示計の電源回路の電源電圧からリップル成分を抽出して測定したとしても、得られた測定値が、荷重センサから出力される荷重信号に対してどの程度の影響を与えているか、その結果重量表示値にどの程度の影響を与えているかが明確ではない。したがって、電源回路の電源電圧から抽出されるリップル成分が、荷重信号から算出される重量表示値のちらつきの原因であるか否かを判定するのは困難である。このため、重量表示値のちらつきの他の種々の要因も調査する必要があり、結局、診断箇所が多くなって、診断に長時間を要することになる。
【0015】
本発明は、上記のような実情に着目してなされたものであって、電源電圧に重畳した交流周波数ノイズ信号が、荷重信号に与える影響の程度を把握して、重量表示値のちらつきの原因が交流周波数ノイズ信号であるときには、それを適切な時期に報知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
(1)本発明の重量表示装置は、重量値を表示部に表示する重量表示装置であって、
荷重センサからの荷重信号に基づいて、前記重量値を算出する重量値算出手段と、
前記荷重センサに電源電圧を与える電源回路と、
前記荷重センサからの前記荷重信号に含まれる、又は前記電源回路から出力される電源電圧に含まれる、交流周波数ノイズ信号に基づいて、前記表示部における表示状態を診断する診断手段と、
前記診断手段による診断結果を報知する報知手段と
を備え、
前記診断手段は、前記交流周波数ノイズ信号の振幅値と、予め設定される警報レベルとを比較して前記表示状態を診断するものであり、
前記報知手段は、前記振幅値が前記警報レベルを超えたときに、警報を報知するものであり、
前記警報レベルは、前記交流周波数ノイズ信号の振幅値と前記表示部に表示される重量値のちらつき度合とに基づいて、予め設定される。
【0017】
前記診断手段は、交流周波数ノイズ信号に基づいて、表示部における表示状態の異常の有無、例えば、表示部の重量表示値に、重量値を読取ることができない程度のちらつきが生じているか否かの判断、あるいは、異常がある場合には、その異常の程度、例えば、表示部の重量表示値のちらつきが、視認できる程度のちらつきであるか否かの判断を行うのが好ましい。
【0018】
前記報知手段は、診断結果に応じて、故障あるいは故障予知を報知するのが好ましい。
【0019】
報知手段は、表示、音声、または、印字による報知、あるいは、それらを組合せた報知を行うものであってもよい。
【0020】
本発明によると、荷重センサからの荷重信号に基づいて、重量値を算出して表示部に表示する一方、前記荷重信号又は荷重センサに電源を与える電源回路からの出力される電源電圧に含まれる交流周波数ノイズ信号に基づいて、表示部の表示状態を診断し、診断結果を報知するので、荷重センサに電源を供給する電源回路の電源電圧に、リップル成分が重畳するなどして荷重信号に含まれる交流周波数ノイズ信号が増大して、表示部の表示状態に異常が生じているときには、その異常の程度に応じて、故障あるいは故障予知を報知することができる。
【0021】
これによって、ユーザは、表示部の表示状態の異常、例えば、視認できる重量表示値のちらつきが、交流周波数ノイズ信号に起因して生じていること、あるいは、現時点では視認できないが、交流周波数ノイズ信号に起因する重量表示値のちらつきが、まもなく視認できる程度になることを把握できるので、ユーザは、電源回路の電解コンデンサの交換や誘導ノイズが混入しないようにシールド処理を適切に行うといった適宜の措置を取ることができる。
【0023】
警報レベルは、故障を報知するための警報レベル、例えば、交流周波数ノイズ信号に起因して視認できる程度の重量表示値のちらつきが生じたことを示す警報レベルであってもよいし、故障の予知を報知するための警報レベル、例えば、現時点では視認できないが、交流周波数ノイズ信号に起因する重量表示値のちらつきが、まもなく視認できる程度になることを示す警報レベルであってもよく、この警報レベルは、複数設定されてもよい。
【0024】
本発明によると、交流周波数ノイズ信号の振幅値が、警報レベルを超えたときには、その警報レベルに応じた警報が報知されるで、交流周波数ノイズ信号による故障や故障の予知が報知される。
【0026】
本発明によると、警報レベルは、交流周波数ノイズ信号の振幅値と、表示部に表示される重量値のちらつきの度合とに基づいて予め設定されるので、例えば、視認できる程度の重量値のちらつき度合に応じた警報レベル、あるいは、視認できない程度の重量値のちらつき度合に応じた警報レベルを設定することができ、故障や故障予知として報知することができる。
【0027】
(
2)本発明
の他の実施態様では、前記警報レベルが予め設定される設定モードにおいて、
前記表示部に表示される前記重量値のちらつき度合を評価するちらつき度合評価手段と、
ちらつき度合評価手段によるちらつき度合の評価結果を表示する評価結果表示手段と、
前記交流周波数ノイズ信号の前記振幅値を表示する振幅値表示手段と、
警報レベルが設定される警報レベル設定手段とを備える。
【0028】
この実施態様によると、警報レベルを設定する設定モードでは、表示部に表示される重量値のちらつき度合を、ちらつき度合評価手段によって評価し、評価結果を評価結果表示手段に表示する一方、交流周波数ノイズ信号の振幅値を、振幅値表示手段に表示するので、重量値のちらつき度合と交流周波数ノイズ信号の振幅値との関係を把握し易くなる。これによって、報知すべき重量値のちらつき度合に対応する交流周波数ノイズ信号の振幅値を、警報レベルとして警報レベル設定手段で容易に設定することができる。
【0029】
(
3)本発明の他の実施態様では、前記警報レベルが予め設定される設定モードにおいて、
前記交流周波数ノイズ信号の振幅値を重量値に変換する変換手段を備え、
前記振幅値表示手段は、前記変換手段によって重量値に変換された前記振幅値を表示し、
前記警報レベル設定手段には、前記警報レベルが重量値として設定される。
【0030】
この実施態様によると、交流周波数ノイズ信号の振幅値が、変換手段によって重量値に変換され、振幅値表示手段によって重量値として表示される一方、警報レベル設定手段では、警報レベルとして設定する交流周波数ノイズ信号の振幅値を、重量値として設定することができるので、交流周波数ノイズ信号の振幅値を把握し易くなり、警報レベルの設定が容易となる。
【0031】
(
4)本発明の故障診断方法は、荷重センサからの荷重信号に基づいて、重量値を算出して表示部に表示する重量表示装置の故障を診断する故障診断方法であって、
前記荷重信号に含まれる、又は前記荷重センサに電源電圧を与える電源回路から出力される電源電圧に含まれる、交流周波数ノイズ信号の振幅値を取得する取得ステップと、
前記表示部に表示される重量値のちらつき度合を評価する評価ステップと、
前記取得ステップで取得される交流周波数ノイズ信号の振幅値及び前記評価ステップで評価される重量値のちらつき度合の評価結果を表示する表示ステップと、
所要の前記評価結果に対応する交流周波数ノイズ信号の振幅値が、警報レベルとして設定される設定ステップと、
前記設定ステップで設定された前記警報レベルと交流周波数ノイズ信号の振幅値とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップで、前記交流周波数ノイズ信号の振幅値が、前記警報レベルを超えたときに、警報を報知する報知ステップとを含む。
【0032】
本発明によると、荷重信号又は電源回路の電源電圧に含まれる交流周波数ノイズ信号の振幅値及び表示部に表示される重量値のちらつき度合の評価結果を表示し、所要の評価結果に対応する交流周波数ノイズ信号の振幅値を、警報レベルとして設定することによって、荷重信号又は電源回路の電源電圧に含まれる交流周波数ノイズ信号の振幅値が、設定された前記警報レベルを超えたときには、報知することができる。これによって、荷重センサに電源電圧を供給する電源回路の電源電圧に、リップル成分が重畳するなどして荷重信号に含まれる交流周波数ノイズ信号が増大し、表示部の重量値のちらつき度合が警報レベルを超えたときには、報知することができる。
【0033】
この警報レベルの設定によって、ユーザは、例えば、表示部の重量値の視認できるちらつきが、交流周波数ノイズ信号に起因して生じていること、あるいは、現時点では視認できないが、交流周波数ノイズ信号に起因する重量値のちらつきが、まもなく視認できる程度になるといったことを把握することができるので、電源回路の電解コンデンサの交換や誘導ノイズが混入しないように適切なシールド処理を行うといった適宜の措置を取ることができる。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明によれば、荷重センサからの荷重信号に基づいて、重量値を算出して表示部に表示する一方、荷重信号または電源電圧に含まれる交流周波数ノイズ信号に基づいて、表示部の表示状態を診断して報知するので、電源電圧に、リップル成分が重畳するなどして荷重信号に含まれる交流周波数ノイズ信号が増大し、表示部の表示状態に異常が生じるときには、それを報知することができ、これによって、ユーザは、電源回路の電解コンデンサを交換するといった適宜の措置を取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係る重量表示装置としての重量指示計を備える計量装置の概略構成を示すブロック図である。
【0038】
この実施形態の重量指示計1は、荷重センサとしてのロードセル2からのアナログ荷重信号が入力される増幅回路3と、増幅回路3からのアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するA/D変換器4と、入出力回路(I/O)5と、デジタル荷重信号に基づいて重量値の算出等の演算処理を行うCPU6と、メモリ7と、入力キー等を有する入力部8と、液晶ディスプレイ等からなる表示部9と、各部に電源を供給する電源回路10とを備えている。
【0039】
ロードセルは、例えば、被計量物が載せられる計量台(図示せず)の荷重を受けて、荷重に対応するアナログ荷重信号を出力する。
【0040】
増幅回路3は、ロードセル2からのアナログ荷重信号を増幅する共に、後述のように交流周波数より大きい周波数の信号をカットオフするアナログローパスフィルタを有している。
【0041】
メモリ7は、データの入力、出力、演算のために一次記憶するRAMや設定データを継続記憶するEEPROMや所定プログラムを継続記憶するPROMなどの記憶素子からなる。
【0042】
CPU6は、入力されたデジタル荷重信号に基づいて、計量台に載置される被計量物の重量を算出し、その算出した重量値を、入出力回路5を介して表示部9に出力すると共に、重量表示値がちらつくという故障や故障予知のための診断を行う。
【0043】
この実施形態では、電源電圧に交流周波数ノイズ信号が重畳する場合に、荷畳信号が受ける影響の程度を、重量指示計1の重量表示値のちらつき度合として評価し、荷重信号に重畳する交流周波数ノイズ信号の振幅と、重量表示値のちらつき度合との関係から警報レベルを設定して警報するものである。
【0044】
すなわち、製造メーカにおける重量指示計1の開発設計時に、荷重信号に含まれる交流周波数ノイズ信号の振幅を取得し、振幅の大きさと重量表示値のちらつき度合の評価値との関係から、警報すべき重量表示値のちらつき度合の評価値に対応する交流周波数ノイズ信号の振幅の大きさを定め、その振幅値をもって警報レベルとする。
【0045】
具体的には、重量指示計1を製造するメーカの開発設計段階において、警報レベルを設定するための設定モードであるテストモードを設定し、電源回路10の電源電圧に種々の交流リップル信号を順番に加え、各リップル信号を加えたときの、荷重信号に重畳される交流周波数ノイズ信号の振幅値を取得して表示する一方、前記荷重信号に基づく重量表示値のちらつき度合を評価し、その評価値を表示する。
【0046】
このように電源電圧に種々の交流リップル信号を順番に加えたときに、荷重信号から取得される交流周波数ノイズ信号の振幅値と、重量表示値のちらつき度合の評価値とが表示されるので、荷重信号に重畳される交流周波数ノイズ信号の振幅と、重量表示値のちらつき度合との関係を把握することができる。
【0047】
そして、重量表示値のちらつき故障が生じる前の、警報すべき評価値を決定し、この評価値となる交流周波数ノイズ信号の振幅値を、警報レベルとして決定する。
【0048】
この決定された警報レベルが、製造メーカにおける重量指示計1の製造段階で当該重量指示計1に設定されて出荷される。
【0049】
重量指示計1を購入したユーザにおいては、稼働運転中であるか否かに関わらず、重量指示計1の電源が投入された後に、荷重信号に重畳される交流周波数ノイズ信号の振幅値が、設定されている前記警報レベルを超えると、重量表示値のちらつき故障が生じる前の故障予知警報として表示部9に表示され、ユーザに報知される。
【0050】
これによって、ユーザは、電源回路10の電解コンデンサの劣化に起因して、あるいは、誘導ノイズが混入して荷重信号に重畳される交流周波数ノイズ信号の振幅が増大し、まもなく重量表示値のちらつき故障が生じることを認識できる。そこで、ユーザは、電源回路10の電源電圧を調査し、電解コンデンサの交換や誘導ノイズが混入しないようにシールド処理を適切に行うなどの適宜の措置を取ることができる。
【0051】
しかも、故障前に報知できるので、稼働運転を停止させることなく、稼働運転が終了した後に、電解コンデンサの交換等を行うことができる。
【0052】
次に、上記開発設計段階のテストモードについて、
図2の機能ブロック図に基づいて説明する。
図2の機能ブロック図は、製造メーカにおける開発設計段階に設定されるテストモードに対応するものである。
【0053】
重量指示計1は、上記CPU6及びメモリ7等によって構成される演算回路11を備えている。この演算回路11は、A/D変換器4からのデジタル荷重信号を従来と同様にフィルタ処理する標準フィルタ12と、標準フィルタ12でフィルタ処理されたデジタル荷重信号から表示重量値を算出する表示重量値算出手段13とを備えており、算出された表示重量値が、表示重量値表示手段14としての上記表示部9に表示される。標準フィルタ12は、荷重信号を平滑し、安定した表示重量値を得るためのフィルタである。
【0054】
標準フィルタ12、表示重量値算出手段13及び表示重量値表示手段14は、重量を計測して表示するための従来の重量指示計と同様の構成である。
【0055】
荷重信号をフィルタ処理する標準フィルタ12は、増幅回路3の前段において、荷重信号が誘導電圧源から受ける交流周波数ノイズ信号の振幅が、正常な範囲の大きさであれば、フィルタ処理された荷重信号を用いて算出される表示重量値は、交流周波数ノイズ信号の影響を受けない状態になるようにする交流周波数ノイズ信号の減衰特性を有している。しかし、増幅回路3の前段において、交流周波数ノイズ信号の振幅が、異常に大きくなると、フィルタ処理された荷重信号に交流周波数ノイズ信号成分が残る。このため、表示重量値表示手段14である表示部9の重量表示値がちらついて精確な零点や重量値が読み取りにくくなったり、精確に零点調整ができなくなったりし、また、被計量物の重量を定めるときの安定判別が成立しにくくなったりする。
【0056】
この実施形態では、交流周波数ノイズ信号の影響を受ける表示部9における重量表示値のちらつき度合を評価するために、演算回路11は、表示重量値算出手段13で算出される表示重量値に基づいて、表示重量値表示手段14に表示される重量表示値のちらつき度合を評価するちらつき度合評価手段15を備えている。ちらつき度合評価手段15では、ちらつき度合の評価結果として、ちらつき度合を表す評価値を算出する。ちらつき度合評価手段15によって算出される評価値が、評価値表示手段16としての表示部9に表示される。ちらつき度合評価手段15では、後述のように、所定時間間隔で取得される、例えば、200個の表示重量値の標準偏差σを算出して、ちらつき度合の評価値とする。
【0057】
上記のように、交流周波数ノイズ信号の振幅が異常に大きくなると、重量表示値におけるちらつきが生じるのであるが、かかるちらつきが、視覚的に明確になってから警報を報知したのでは遅い。
【0058】
重量表示値のちらつきが視覚的に明確になる前に報知するためには、交流周波数ノイズ信号の振幅の大きさを分解能高く判定できるようにする必要がある。
【0059】
この実施形態では、演算回路11は、荷重信号に含まれる交流周波数ノイズ信号に基づいて、重量指示計1の表示部9における表示状態を診断する診断手段18を備えており、この診断手段18による診断結果を、報知手段20としての表示部9によって報知する。
【0060】
診断手段18は、荷重信号に重畳される交流周波数ノイズ信号のみを他の周波数のノイズ信号に比べて減衰させることなく、通過させる交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17と、このフィルタ17によって抽出された交流周波数ノイズ信号の振幅値を取得する交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22と、取得した交流周波数ノイズ信号の振幅値を、警報レベル設定手段24としての上記入力部8の操作によって設定される警報レベルと比較する比較手段23とを備えている。
【0061】
交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22によって取得される交流周波数ノイズ信号の振幅値は、ノイズ信号振幅値表示手段21としての表示部9に与えられて表示される。
【0062】
交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17は、A/D変換されたデジタル荷重信号に対して、通常の荷重信号用の標準フィルタ12の演算と並列に、予め設定した交流周波数付近の帯域の振動信号のみを通過、すなわち、抽出するフィルタ演算を行う。
【0063】
この交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17の出力は、通常の荷重信号用のフィルタ演算である標準フィルタ12の出力に比べて、交流周波数ノイズ信号に対する減衰特性が小さいので、他の周波数のノイズ信号が除去された、すなわち、他の周波数のノイズ信号の振幅が小さくされた上で十分振幅の大きい交流周波数ノイズ信号を得ることができる。
【0064】
交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17のフィルタ演算は、実質的にはハイパスフィルタ演算である。
【0065】
演算処理の都合から重量指示計1におけるA/D変換器4のサンプリング周期は、0.5〜1msec程度に選択されるので、あまり高い周波数信号には適応できない。
【0066】
交流周波数ノイズ信号以上に大きい周波数、例えば100Hz以上の周波数のノイズ信号は1周期の時間が短く、正確にノイズ信号をサンプリングできないので、上記のように増幅回路3の部分に、アナログローパスフィルタを設置してカットオフし、交流周波数ノイズ信号以上に大きい周波数のノイズ信号の除去された荷重信号を、A/D変換器4に入力するように構成している。
【0067】
演算回路11内の交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17では、100Hz以上の、周波数の高い信号を含まない荷重信号に対して、数10Hz以上の周波数の振動信号を通過させるハイパスフィルタ演算を行う。
【0068】
以上によって、交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17からは50〜60Hz程度の交流周波数ノイズ信号のみが殆ど減衰なく出力される。
【0069】
このように他の周波数のノイズ信号の影響を受けず、高い分解能で交流周波数ノイズ信号のみの振幅の大きさを評価できるようにしている。
【0070】
次に、交流周波数ノイズ信号の振幅値の警報レベルの設定について、説明する。
【0071】
この警報レベルの設定を行うテストモードでは、被計量物を計量台に載置していない状態、すなわち、ロードセル2には、風袋荷重のみ加わっている状態である。
【0072】
このテストモードにおいて、重量指示計1の電源電圧に種々の交流リップル信号を順番に加え、各交流リップル信号を加えたときに、ちらつき度合評価手段15で算出されるちらつき度合の評価値を、評価値表示手段16に表示する一方、交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22で取得される交流周波数ノイズ信号の振幅値を、ノイズ信号振幅値表示手段21に表示する。更に、表示重量値算出手段13で算出される表示重量値が、表示重量値表示手段14に表示される。
【0073】
これによって、電源電圧に交流リップル信号が重畳することによる荷重信号に含まれる交流周波数ノイズ信号の振幅と、重量表示値のちらつき度合の評価値との関係を把握することができる。
【0074】
交流周波数ノイズ信号の振幅値の警報レベルは、電源回路10の出力電圧である電源電圧に種々の交流リップル信号を順番に加えたときに、交流周波数ノイズ信号の振幅と重量表示値のちらつき度合の評価値との関係を把握しつつ、ちらつき度合の評価値が、どの評価値のときに警報すべきかを判断し、警報すべきと判断したちらつき度合の評価値に対応する交流周波数ノイズ信号の振幅値を、警報レベルとして警報レベル設定手段24を操作して設定する。
【0075】
警報すべきと判断するちらつき度合としては、例えば、重量表示値のちらつきが、視認できる直前のちらつき度合、あるいは、ちらつきによって重量値の読み取りが困難になる直前のちらつき度合などであるが、作業者が、表示重量値表示手段14に表示される重量表示値を参考にして適宜判断する。
【0076】
重量指示計1内に設けた電源電圧に種々の交流リップル信号を加えて表示重量値への影響の程度を調べる方法としては、電源電圧にリップルノイズが重畳するのは電解コンデンサの静電容量が、整流回路から出力された交流リップル信号を十分平滑できないほど減少したときであるから、設計上の適切な静電容量より小さい静電容量の種々の電解コンデンサを用意して、または電解コンデンサを直列接続して、適切な静電容量の電解コンデンサに置き換え、電源電圧に種々の大きさの振幅を持つ交流周波数ノイズ信号を重畳させる。
【0077】
このように電源回路10に接続される電解コンデンサを代えることによって電源電圧に種々の交流リップル信号を加え、取得される交流周波数ノイズ信号の振幅値と重量表示値のちらつき度合の評価値とに基づいて、警報レベルを設定する。
【0078】
この方法は、荷重信号そのもののみならず、増幅回路3、A/D変換器4も電源電圧を介して交流周波数ノイズ信号の影響を受けるので、完全に実際に即していて最も好ましい。
【0079】
このように設計上の適切な静電容量の電解コンデンサに代えて、静電容量の小さい電解コンデンサを順番に接続して交流周波数ノイズ信号の振幅値を測定するのであるが、この振幅値の測定は、次のようにして行う。すなわち、所定期間、例えば交流信号の1周期より長い時間、例えば60Hzの交流信号であれば1周期=16.7msecであるから、例えば50msecの期間を定める。交流周波数ノイズ信号振幅取得手段22では、この50msecの期間に得られる交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17からの交流周波数ノイズ信号の最大値と最小値を記憶し、50msecの期間における交流周波数ノイズ信号の振幅を取得する。この振幅値を、例えば500msecの間隔毎に10個集め、10個の内、最も大きい値から小さい方へ順に2個と、最も小さい値から大きいほうへ順に2個とを除いた残り6個の平均値を算出し、算出した平均値を交流周波数ノイズ信号の振幅値とする。
【0080】
したがって、交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22では、500msecに1個ずつの頻度で交流周波数ノイズ信号の振幅が取得される。
【0081】
大きい値から順に2個及び小さい値から順に2個を除く理由は、稼働運転中には、例えば、被計量物が計量台に載り込んだり、降り立ちする過渡状態において、計量台が捻れるなど通常の動作と異なる動作をし、交流周波数ノイズ信号に近い周波数の外乱振動ノイズ信号が荷重信号に含まれた場合にその影響を除くためである。
【0082】
なお、交流周波数ノイズ信号の振幅は、最大値と最小値との差である両振幅であるのが好ましいが、その半分の片振幅としてもよい。
【0083】
A/D変換器4のサンプリング周期は、例えば1msecであり、標準フィルタ12の荷重信号の出力間隔は、サンプリング周期と同じであるので表示重量値は、表示値として目視認識できるようにするため、例えば標準フィルタ12から連続的に算出される表示重量値の200個に1個ずつを取り上げて表示重量値として表示する。
【0084】
表示重量値のちらつき度合の評価は、作業者の目視による感覚的判断でもよいが、人間では一定の判断が困難であるので、この実施形態では、表示重量値算出手段13で算出される表示重量値の、例えば200個毎に表示重量値の標準偏差σを求め、この標準偏差σを、ちらつき度合の評価値とし、これによって、表示重量値のちらつき度合を定量的に評価している。
【0085】
ちらつき度合の評価値σも、200msecに1回ずつ連続出力されるので重量値と同様に、評価値表示手段16である表示部9に表示する。
【0086】
このちらつき度合の評価値σでは、設計上の適切な静電容量の電解コンデンサが電源回路10に接続され、荷重信号に大きい交流ノイズ信号が重畳していない状態で、且つ計量台上の負荷荷重に変化がなく、荷重信号が安定している時点における評価値が、荷重信号が正常な状態における標準のちらつき度合の評価値σdである。
【0087】
なお、ちらつき度合を厳密に判断するには、標準フィルタ12から出力される表示重量値は、実際に被計量物の表示重量として表示させる値より分解能の高い、演算用の内部表示重量値であるのが好ましい。
【0088】
重量指示計1の表示重量値算出手段13では、標準フィルタ12からのA/D変換値であるデジタル荷重信号を、スパン係数等を用いて表示重量値に換算して表示重量値表示手段14に表示するので、交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22では、A/D変換値であるデジタル荷重信号の最大値と最小値との差である振幅値を、変換手段によって上記スパン係数等を用いて重量値に変換するのが好ましい。
【0089】
交流周波数ノイズ信号の振幅値を、重量値に変換してノイズ信号振幅値表示手段21に表示すれば、振幅値が、例えば、「0.01」gや「0.02」gといった重量値で表示されるので、交流周波数ノイズ信号の振幅の大きさを把握し易く、また、警報レベル設定手段24による警報レベルの設定を、重量値として設定することができ、開発者や作業者が理解し易い。
【0090】
荷重信号が正常なとき、すなわち、電解コンデンサとして設計上の適切な静電容量の電解コンデサを電源回路10に接続し、被計量物を計量台に載置せず、荷重信号が安定しているときの交流周波数ノイズ信号の振幅値Asが、異常の無い正常なときの振幅値である。
【0091】
重量指示計1の正常な状態の交流周波数ノイズ信号の振幅値Asと、重量表示値のちらつき度合の評価値σdは、正常状態の交流周波数ノイズ信号の関連値として、入力部8の専用のキースイッチを押せばメモリ7に記憶され、稼働運転中でも調整中でもいつでも呼び出せるようにするのが好ましい。
【0092】
いつでも正常な状態の交流周波数ノイズ信号の振幅値As及び重量表示値のちらつき度合の評価値σdを呼び出して表示し、現時点と比較することによって、重量指示計1の交流周波数ノイズ信号についての状態と、重量表示値におけるちらつき度合の大小が容易に判明する。
【0093】
次に警報を報知するための警報レベルの設定方法について、更に詳細に説明する。
【0094】
開発時の作業者は、電源回路10に、適切な静電容量の電解コンデンサを接続した状態であって、正常な状態で、交流周波数ノイズ信号の振幅値と、重量表示値のちらつき度合を表す評価値σとの関係を、評価値表示手段16及びノイズ信号振幅値表示手段21の表示によって確認した上で、設計上の適切な静電容量の電解コンデンサから小さい静電容量の電解コンデンサに交換しつつ、重量表示値のちらつきが、使用に耐える程度の評価値における交流周波数ノイズ信号の振幅値を認識する。
【0095】
電解コンデンサの静電容量を小さくするにつれて、リップル電圧の振幅が増える。その結果、例えば正常時のちらつき度合の評価値σdの1.2倍程度、すなわち、重量表示値に影響の少ない1.2σd程度の値までちらつき度合の評価値が増加した時点での交流周波数ノイズ信号の振幅値Atを求める。
【0096】
この評価値1.2σdは、重量表示値のちらつきを視認できない程度のちらつきであって、十分に使用できる状態ある。
【0097】
交流周波数ノイズ信号の振幅値Atの増加に応じて、重量表示値のちらつき度合は増加する関係にあるので、この振幅値Atを警報レベルとし、警報レベル設定手段24としての入力部8を操作して、警報レベルを設定する。
【0098】
この警報レベルの設定は、上記ように重量値として設定できるようにするのが好ましいが、交流周波数ノイズ信号の振幅値に対応する電圧値やA/D変換値として設定してもよい。
【0099】
警報レベルの設定は、上記のようにテストモードで行うのであるが、このテストモードでは、ロードセル2に計量装置としての風袋荷重のみが加わっている状態であり、重量表示値がちらつくロードセル2へ荷重の印加、除去及びその後のロードセル2に発生する機械的な過渡振動やロードセル設置部に基礎振動などが生じていない状態である。
【0100】
以上のようにテストモードにおいて、警報レベルAtを設定してテストモードを終了し、警報レベルAtが設定された重量指示計1を生産して出荷する。正常時の評価値σdや交流周波数ノイズ信号の振幅Asも記憶させておき、異常が生じたときに、テストモードを設定して使用できるようにするのが好ましい。
【0101】
なお、表示重量値は、表示重量値表示手段14への重量値の表示のために出力するだけではない。重量指示計1が定量秤用であれば、計量部へ所定の重量の被計量物を供給したときに、被計量物の供給を停止させる信号を生成する機能を備えており、重量指示計1の内部表示重量値より更に分解能の高い比較用重量値を生成し、比較用重量値と、予め設定した所定の重量値とを比較するようにしている。このような定量秤用の重量指示計の場合には、テストモードのときには、この比較用重量値を表示重量値表示手段14へ出力すると共に、ちらつき度合評価手段15に出力し、上記表示重量値の場合と同様にして、交流周波数ノイズ信号の振幅値とちらつき度合いを評価し、警報レベルを設定するようにする。
【0102】
重量指示計1が、例えば重量式充填機、組合せ秤や重量選別機のように自動秤用であれば重量値の取得に速い対応が必要であるため、稼働運転時における物品重量値は、標準フィルタ12の出力値を直接使用するが、台秤、料金秤のように非自動秤の場合は、表示重量値は、標準フィルタ12から出力された値をさらに多く集めて、例えば200個ずつ集め平均値を求めて200msec毎に表示させる。すなわち、標準フィルタ12に加え、更に大きいフィルタが加わったのと同じである。
【0103】
この場合、表示重量値は、交流周波数ノイズ信号に対してさらに大きい減衰特性を持つので、表示重量値が安定していて未だ使用できる状態であっても、電解コンデンサには既に欠陥が起き始め、交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタで抽出される交流周波数ノイズ信号の振幅値が大きくなっている状態にある。すなわち、表示重量値が安定していて、ちらつき度合の評価値は低い値になっていても、交流周波数ノイズ信号の振幅値が大きくなっている状態にあるが、ノイズ信号振幅値表示手段21に表示される振幅値に基づいて、大きくなっている振幅値に対応して警報レベルを設定することによって、故障予知効果の大きい警報を報知することができる。
【0104】
図3は、重量指示計1を購入したユーザにおける機能ブロック図であり、
図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0105】
製造メーカにおける製造段階において、上記のようにして、警報レベルが既に設定されているので、ちらつき度合の評価値に基づいて、警報レベルを設定するための機能は不要である。したがって、演算回路11aは、標準フィルタ12及び表示重量値算出手段13を備えているが、ちらつき度合評価手段15は備えていない。
【0106】
また、ちらつき度合の評価値を表示する評価値表示手段16及び交流周波数ノイズ信号の振幅値を表示するノイズ信号振幅値表示手段21を備えておらず、更に、警報レベル25は、内部に記憶しているので、警報レベル設定手段24を備えていない。
【0107】
ユーザにおいて、計量装置を設置して、重量指示計1の電源を投入した後に、稼働運転中であるか否かに関わらず、交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22によって取得した振幅値が、記憶されている警報レベル25を超えると、交流ノイズ信号エラーとして故障予知の警報を、報知手段20で報知する。
【0108】
以上のように本実施形態によれば、荷重信号に重畳する交流周波数ノイズ信号の振幅値の大きさと重量表示値のちらつき度合との関係を定量的に対比しながら作業者の感覚に頼らず、重量表示値への影響が小さいうちに交流ノイズ信号エラーとして報知するための警報レベルを設定できるので、不必要に警報を報知したり、必要な警報が報知できなかったりするような警報レベルを設定することがない。また、重量表示値が確実に使用に耐えなくなる前に、故障予知としての警報を報知することができる。
【0109】
次に、上記実施形態の動作を、
図4〜
図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、各図の説明におけるレジスタやカウンタ等は、上記演算回路11に備えられている。
【0110】
図4は、1msec毎に実行する最も優先度の高い処理であり、A/D変換器4のデータ生成タイミングで起動される。
【0111】
先ず、A/D変換器4のA/D変換データを読み込み(ステップn1)、A/D変換データを、標準フィルタ12によってフィルタ演算し(ステップn2)、この標準フィルタ12の出力から表示重量値を算出する(ステップn3)。
【0112】
次に、算出した表示重量値を、カウンタCdの計数値で規定されるアドレスデータ(Ad
1+Cd)のアドレスのレジスタへストアし(ステップn4)、前記カウンタCdをインクリメントし(ステップn5)、カウンタCdの計数値が「200」になったか否かを判断し(ステップn6)、「200」になったときには、カウンタCdを「0」にクリアし(ステップn7)、アドレス(Ad
1)〜(Ad
1+199)にストアされた200個の表示重量値の集計データを、演算用メモリのアドレス(Ad
3)〜(Ad
3+199)に転送して次の集計に備える(ステップn8)。次に200個の表示重量値の集計が終了したことを示すフラグFkを「1」にセットし(ステップn9)、200個の中の最新の1個の表示重量値を、表示重量値表示手段14に表示する表示用重量値として表示重量値用レジスタへ転送して、
図5のステップn11へ移る(ステップn10)。上記ステップn6において、カウンタCdの計数値が「200」になっていないときには、
図5のステップn11に移る。
【0113】
図5のステップn11では、A/D変換データを、交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17によってフィルタ演算し、得られた交流周波数ノイズ信号を、
カウンタCmの計数値で規定されるアドレスデータ(Ad
2+Cm)のアドレスのレジスタへストアし(ステップn12)、前記カウンタCmをインクリメントし(ステップn13)、カウンタCmの計数値が「50」になったか否を判断する(ステップn14)。
【0114】
ステップn14において、カウンタCmの計数値が「50」になったときには、50個の交流周波数ノイズ信号の集計が終了したことを示すフラグF
1に「1」をセットし(ステップn15)、カウンタCmを「0」にクリアし(ステップn16)、アドレス(Ad
2)〜(Ad
2+49)にストアされている50個の交流周波数ノイズ信号データを、アドレス(Ad
4)〜(Ad
4+49)のレジスタに転送して終了する(ステップn17)。上記ステップn14において、カウンタCmの計数値が「50」になっていないときには、終了する。
【0115】
図6は、優先度が2番目の処理である。先ず、フラグF
1が「1」であるか否か、すなわち、50個の交流周波数ノイズ信号の集計が終了したか否かを判断し(ステップn101)、終了したときには、フラグF
1を「0」にリセットし(ステップn102)、アドレス(Ad
4)〜(Ad
4+49)のレジスタにストアされていている交流周波数ノイズ信号の最大値と最小値とを求め、振幅値を算出する(ステップn103)。
【0116】
次に、算出した振幅値を、カウンタCnの計数値で規定されるアドレスデータ(Ad
5+Cn)のアドレスのレジスタへストアし(ステップn104)、前記カウンタCnをインクリメントし(ステップn105)、カウンタCnの計数値が「10」になったか否かを判断し(ステップn106)、カウンタCnの計数値が「10」になったときには、カウンタCnを「0」にクリアする(ステップn107)。次に、アドレス(Ad
5)〜(Ad
5+9)にストアされたデータから最も大きい値から順に2個、及び、最も小さい値から順に2個を除いた6個の平均をとって平均振幅値を算出し(ステップ108)、算出した平均振幅値を、交流周波数ノイズ信号の振幅値としてノイズ信号振幅値表示手段21である表示部9へ出力してステップn110に移る(ステップn109)。
【0117】
上記ステップn101において、フラグF
1が「1」でないとき、ステップn106において、カウンタCnの計数値が「10」でないときには、ステップn110に移る。
【0118】
ステップn110では、設定されている警報レベルAtと交流周波数ノイズ信号の振幅値とを比較し、交流周波数ノイズ信号の振幅値が、警報レベルAtより大きいか否かを判断し(ステップn111)、警報レベルAtより大きいときには、警報を報知して終了する(ステップn112)。
【0119】
上記ステップn111において、交流周波数ノイズ信号の振幅が、警報レベルAtより大きくないときには、終了する。
【0120】
図7は、優先度が3番目の処理である。先ず、フラグFkが「1」であるか否か、すなわち、表示重量値の200個の集計が終了したか否かを判断し(ステップn201)、終了したときには、フラグFkを「0」にリセットし(ステップn202)、表示重量値200個がストアされているレジスタのアドレス(Ad
3)〜(Ad
3+199)の表示重量値のデータから標準偏差σを算出し(ステップn203)、評価値表示用レジスタに標準偏差σを出力して終了する(ステップn204)。この評価値表示用レジスタの標準偏差σが、評価値表示手段16である表示部9に表示される。上記ステップn201において、フラグFkが「1」でないときには、終了する。
【0121】
この実施形態のちらつき度合評価手段15では、重量表示値のちらつき度合を、表示重量値算出手段13で算出される表示重量値の標準偏差σで評価したけれども、標準偏差σに限らず、他の方法で評価してもよい。
【0122】
例えば、順次算出される表示重量値に対して、安定であるか否かを判定する安定検出幅Bを設ける。この安定検出幅Bは、例えば、最小目盛の重量幅、例えば、0.1gの幅とし、連続出力される表示重量値を、M個、例えば、10個単位に区切って、そのM個の表示重量値の最大値−最小値の差を求め、この差が、安定検出幅B以内である個数が、所定個数以上であれば安定、所定個数未満で不安定と判定する。M個単位で安定、不安定が判定されるが、安定と判定される回数が、予め定めた回数R以上連続して成立すれば、重量表示値のちらつき度合いは標準、予め定めた回数R未満であれば、回数の減少に応じてちらつき度合いが大きいとする、といった方法を用いてもよい。
【0123】
安定と判定される連続回数がR回未満であれば、ちらつき度合いが大きくなり始めたとして、R未満になる時点での交流周波数ノイズ信号の振幅値Atを求め、警報レベルとする。
【0124】
上記実施形態では、テストモードでは、電源回路10に接続する電解コンデンサを取替えて種々のリップル信号を電源電圧に重畳して警報レベルを設定したけれども、本発明の他の実施形態として、交流周波数ノイズ信号を生成する交流周波数ノイズ信号シミュレータを使用して警報レベルを設定してもよい。
【0125】
すなわち、重量指示計1の演算回路11に交流周波数ノイズ信号を生成する交流周波数ノイズ信号シミュレーションプログラムを設ける。
【0126】
重量指示計1にテストモードを設定すると共に、交流周波数ノイズ信号の振幅値を設定し、重量指示計1におけるシミュレーション評価テスト用のスイッチを押すとシミュレーションプログラムが起動して評価テストが実施できる。
【0127】
指令によってシミュレーションプログラムが起動すると、直流成分に、設定された振幅値の交流周波数ノイズ信号が重畳された模擬交流周波数信号が、
図2のA/D変換器4のサンプリング周期と同じ周期で作成され、A/D変換器4の代わりに標準フィルタ12と交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17に入力され、上記と同様に演算してノイズ振幅値とちらつき度合いの評価値と表示重量値とが表示される。
【0128】
このように構成すれば、振幅値の設定を種々に変更することで任意の大きさの交流周波数ノイズ振幅値を重量指示計1に与えることができ、交流周波数ノイズ振幅値とちらつき度合いの評価値と表示重量値の関係を容易に表現でき、警報レベルの設定も容易になる。
[実施形態2]
図8は、本発明の他の実施形態の
図2に対応する機能ブロック図であり、
図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0129】
上記実施形態では、荷重信号に重畳する交流周波数ノイズ信号の振幅と、重量表示値のちらつき度合の評価値との関係から警報レベルを設定して報知したけれども、この実施の形態では、電源回路10から出力される電源電圧に重畳する交流周波数ノイズ信号の振幅と、重量表示値のちらつき度合の評価値との関係から警報レベルを設定して報知するものである。
【0130】
この実施形態では、電源回路10の電源電圧を分圧抵抗26,27によって分圧し、アナログ荷重信号の場合の増幅回路3と同様に、交流周波数より大きい周波数の信号をカットオフするアナログローパスフィルタを有する増幅回路28を介してA/D変換器29へ電源電圧を入力する。
【0131】
重量指示計の実際の使用時において、電源回路10の電源電圧に含まれる交流信号以外の周波数を持つノイズ信号の振幅は極めて小さく、電源電圧の大きさに比べて無視できる。
【0132】
したがって、A/D変換器29から出力されるA/Dサンプリングデータは、直流電圧信号に加え、電解コンデンサの静電容量低下の際に発生する交流周波数ノイズ信号のみと考えてよいので、上記実施形態における交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17を設ける必要は必ずしもない。
【0133】
そこで、この実施形態では、電源電圧に含まれる交流周波数ノイズ信号に基づいて、重量指示計1の表示部9における表示状態を診断する診断手段18cは、交流周波数ノイズ信号抽出用フィルタ17は備えておらず、交流周波数ノイズ信号の振幅値を取得する交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22cと、取得した交流周波数ノイズ信号の振幅値を警報レベルと比較する比較手段23cとを備えている。
【0134】
この実施形態においても、上記実施形態と同様に、製造メーカにおけるテストモードにおいて、電源回路10の電源電圧に種々の交流リップル信号を順番に加え、取得される交流周波数ノイズ信号の振幅値と重量表示値のちらつき度合の評価値との関係から警報レベルを設定する。
【0135】
図9は、この実施形態の重量指示計1を購入したユーザにおける機能ブロック図であり、上記実施形態の
図3に対応する図である。
【0136】
ユーザにおいて、計量装置を設置して、重量指示計1の電源を投入した後に、稼働運転中であるか否かに関わらず、交流周波数ノイズ信号振幅値取得手段22dによって取得した振幅値が、記憶されている警報レベル25dを超えると、交流ノイズ信号エラーとして故障予知の警報を、報知手段20で報知する。
【0137】
その他の構成及び動作は、上記実施形態1と同様である。
【0138】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、故障予知の1つの警報のみを報知したけれども、重量表示値のちらつき度合に応じて、複数の警報レベルを設定し、複数段階で故障予知や故障の警報を報知するようにしてもよい。
【0139】
上記実施形態では、重量指示計1の表示部9の表示によって警報を報知したけれども、音声によって報知したり、他の警報装置を使用して報知してもよい。
【0140】
上記実施形態では、警報レベルが設定された後のユーザにおいては、ちらつき度合の評価値や交流周波数ノイズ信号の振幅値を表示しなかったけれども、これら評価値や振幅値を表示するようにしてもよい。