特許第6180899号(P6180899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180899
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】破砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/14 20060101AFI20170807BHJP
   B02C 18/24 20060101ALI20170807BHJP
   B02C 18/16 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B02C18/14 A
   B02C18/24
   B02C18/16 Z
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-239087(P2013-239087)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-97993(P2015-97993A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】河井 健治
(72)【発明者】
【氏名】鍬本 光央
(72)【発明者】
【氏名】上條 宏明
(72)【発明者】
【氏名】栗生 暢雄
(72)【発明者】
【氏名】清酒 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】森 直樹
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−277393(JP,A)
【文献】 実開昭55−126953(JP,U)
【文献】 特開平08−089837(JP,A)
【文献】 実開平04−114440(JP,U)
【文献】 特開2009−240936(JP,A)
【文献】 特開平07−000845(JP,A)
【文献】 特開2009−247925(JP,A)
【文献】 実開昭56−118735(JP,U)
【文献】 特開平05−023609(JP,A)
【文献】 特開2010−63958(JP,A)
【文献】 特開2003−1131(JP,A)
【文献】 特開2004−58007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 4/、18/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の投入口を上部に有する共に排出口を下部に有するケーシングと、
上記ケーシング内に配置され、上記投入口から排出口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されて上記被処理物を破砕する破砕刃を有する破砕ロータと、
上記ケーシング内に上記破砕ロータと隣接して配置され、上記破砕ロータよりも低い周速度で破砕ロータと反対方向に駆動され、上記破砕ロータとの間において上記投入口から排出口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されて、上記破砕ロータの破砕刃で破砕される被処理物を支持しながら搬送する支持手段を有する搬送ロータと、
上記ケーシング内に上記破砕ロータと隣接して配置され、上記破砕ロータよりも低い周速度で破砕ロータと反対方向に駆動され、上記破砕ロータとの間において上記排出口から投入口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されて、上記破砕ロータに絡まった被処理物を除去する除去手段を有する除去ロータと
を備えることを特徴とする破砕機。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕機において、
上記除去ロータの除去手段は、軸方向視において放射状に配置され、径方向に関して先端が上記正転方向と反対の逆転方向を向いて傾斜したブレードであることを特徴とする破砕機。
【請求項3】
請求項2に記載の破砕機において、
上記除去ロータの除去手段は、上記破砕ロータの破砕刃に接近して回転駆動される第1の除去手段と、上記破砕ロータの軸方向に隣接する破砕刃と破砕刃との間の部分に接近して回転駆動される第2の除去手段とを含むことを特徴とする破砕機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の破砕機において、
上記除去ロータは、上記破砕ロータに関して上記搬送ロータの反対側に配置されていることを特徴とする破砕機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の破砕機において、
上記搬送ロータの支持手段は、上記被処理物を引掛けて破砕ロータの破砕刃による破砕の反力を支持する一方、下方を向いたときに上記被処理物が脱落するように形成されていることを特徴とする破砕機。
【請求項6】
請求項5に記載の破砕機において、
上記搬送ロータの支持手段は、上記搬送ロータの軸方向視において、先端部分が上記正転方向と反対の逆転方向を向くように形成されていることを特徴とする破砕機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の破砕機において、
上記破砕ロータと搬送ロータと除去ロータの回転速度は、上記搬送ロータの周速度を1として、上記破砕ロータの周速度が5以上30以下、かつ、上記除去ロータの周速度が0.2以上2以下の割合となるように設定されていることを特徴とする破砕機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の破砕機において、
上記破砕ロータに被処理物が巻き付いた場合、上記破砕ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動すると共に、上記除去ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動する巻き付き解除運転を行うことを特徴とする破砕機。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の破砕機において、
上記ケーシングの壁部に、上記除去ロータの側方位置に設けられた開口部と、
上記開口部を開閉する開閉扉とを備え、
上記破砕ロータと搬送ロータとの間に被処理物が噛み込んだ場合、上記開閉扉を開いて上記開口部を解放し、上記破砕ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動すると共に、上記搬送ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動する一方、上記除去ロータを正転方向に回転駆動する排出運転を行うことを特徴とする破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物質を収容した袋体を破って内容物を排出させる破袋工程や、一連の処理工程の前段階において物質を比較的大きな寸法に破砕する粗破砕工程に好適な破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ゴミや、各種産業で排出された廃棄物は、再生利用や最終処分の種々の処理に付するために、事前に寸法を削減する処理が行われる。このような処理を行うため、従来より、回転刃を備えた2つの破砕ロータを有する破砕機が用いられている。
【0003】
この種の破砕機としては、図16に示すように、上部に投入口201aを有すると共に下部に排出口201bを有するケーシング201内に、2つの破砕ロータ102,202を互いに平行に配列したものがある(例えば、特許文献1)。この破砕機200の破砕ロータ102は、図示しないモータで回転駆動される2つの回転軸203,203に、複数の回転刃204が固定されて形成されている。ケーシング201の内壁面には、各回転軸203の外周面と回転刃204の回転経路に近接して配置された固定刃205,205が設けられている。
【0004】
上記破砕ロータ102の回転刃204は、回転方向の前方に刃先が形成されており、一方の破砕ロータ102の回転刃204の刃先と、他方の破砕ロータ102の回転刃204の刃先とが互いに反対方向を向くように固定されている。上記2つの回転軸203,203は、軸方向視において互いの回転軸203,203の間を回転刃204が投入口201aから排出口201bに向かうように、互いに反対方向に回転駆動される。これにより、2つの回転軸203,203の回転刃204,204でせん断作用を発揮して、被処理物を破砕するようになっている。また、上記ケーシング201の内壁面に固定された固定刃205,205は、各回転軸203によって回転駆動される回転刃204が近接して通過することにより、この固定刃205と回転刃204とでせん断作用を発揮して被処理物を破砕する。
【0005】
この破砕機200は、被処理物を破砕する破砕運転では、上記2つの回転軸203,203が、互いに逆方向に同じ速度で回転駆動される。破砕運転中に、破砕が困難な金属塊や岩石等の破砕困難物が回転刃204に噛み込んだ場合、モータの過負荷によって噛み込みを検知し、両方の回転軸203の回転方向を短時間おきに切り替える正逆反復運転を行って破砕困難物の噛み込みを解決するようになっている。また、紐状や帯状の被処理物が回転軸203や回転刃204に絡まった場合も、正逆反復運転を行い、絡まった被処理物を解すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−038515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の破砕機200は、被処理物のせん断能力が比較的低く、被処理物が長尺のまま残留しやすいので、回転軸203や回転刃204に被処理物が絡まりやすいという問題がある。被処理物が絡まりやすいと、正逆反復運転を行う時間が長くなって、破砕機200の処理効率が低下する問題がある。また、正逆反復運転を行っても、回転軸203や回転刃204に隣接する固定刃205の存在により、回転軸203や回転刃204に絡まった被処理物が除去され難いという問題がある。正逆反復運転を行っても除去できない被処理物は、運転を中止して人手で除去する必要があるので、除去の手間がかかると共に、運転の中止により処理効率が更に低下する問題がある。さらに、破砕困難物を回転刃204が噛み込んだ場合、正逆反復運転を行っても破砕困難物を破砕ロータ102上から除去できないので、正逆反復運転で破砕困難物の噛み込みを解除した後に、運転を中止して破砕困難物を人力で除去する必要がある。したがって、破砕困難物を除去する手間がかかると共に、運転の停止により処理効率が低下する問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、被処理物を効果的に破砕できると共に、被処理物が刃や軸に絡まる不都合を防止できる破砕機を提供することにある。また、被処理物が刃や軸に絡まった場合でも、絡まった被処理物を容易に除去することができて、処理効率を高めることができる破砕機を提供することにある。また、被処理物に混入した破砕困難物が刃や軸に噛み込んでも、噛み込んだ破砕困難物を容易に除去でき、処理効率を高めることができる破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の破砕機は、被処理物の投入口と排出口を有するケーシングと、
上記ケーシング内に配置され、正転方向に回転駆動されて上記被処理物を破砕する破砕刃を有する破砕ロータと、
上記ケーシング内に上記破砕ロータと隣接して配置され、上記破砕ロータよりも低い周速度で破砕ロータと反対方向に駆動され、上記破砕ロータとの間において上記投入口から排出口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されて、上記破砕ロータの破砕刃で破砕される被処理物を支持しながら搬送する支持手段を有する搬送ロータと、
上記ケーシング内に上記破砕ロータと隣接して配置され、上記破砕ロータよりも低い周速度で破砕ロータと反対方向に駆動され、上記破砕ロータとの間において上記排出口から投入口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されて、上記破砕ロータに絡まった被処理物を除去する除去手段を有する除去ロータと
を備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、ケーシングの投入口から投入された被処理物は、搬送ロータの支持手段で支持されると共に、この搬送ロータと反対方向に駆動される破砕ロータの破砕刃によって破砕される。搬送ロータは、破砕ロータよりも低い周速度で破砕ロータと反対方向に回転駆動され、破砕ロータとの間において投入口から排出口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されるので、上記破砕ロータの破砕刃で破砕される被処理物を支持しながら排出口へ向かって搬送することができる。これにより、破砕刃で破砕される際に被処理物に生じる反力を搬送ロータで安定して支持できるので、被処理物を効果的に破砕して排出口から排出することができる。また、除去ロータは、破砕ロータよりも低い周速度で破砕ロータと反対方向に回転駆動され、破砕ロータとの間において排出口から投入口へ向かう方向に移動する正転方向に回転駆動されるので、破砕ロータに絡まった被処理物に破砕ロータの正転方向と反対の逆転方向に向かう力を作用させて、被処理物を破砕ロータから容易に分離させて投入口側へ落下させることができる。したがって、破砕ロータが正転方向に回転駆動されて被処理物の破砕を行いながら、この破砕ロータに絡まった被処理物を効果的に除去することができる。その結果、破砕ロータに絡まった被処理物を除去するために破砕ロータを停止させる頻度が大幅に低くなるので、処理効率の高い破砕機が得られる。
【0011】
一実施形態の破砕機は、上記除去ロータの除去手段は、軸方向視において放射状に配置され、径方向に関して先端が上記正転方向と反対の逆転方向を向いて傾斜したブレードである。
【0012】
上記実施形態によれば、除去ロータが、軸方向視において放射状に配置され、径方向に関して先端が上記正転方向と反対の逆転方向を向いて傾斜したブレードによって形成された除去手段を備えるので、この除去ロータよりも高い周速度で回転駆動される破砕ロータに対して、効果的に逆転方向に向かう力を作用させることができる。したがって、破砕ロータに絡まった被処理物を、効果的に破砕ロータから分離させて投入口側へ落下させることができる。
【0013】
一実施形態の破砕機は、上記除去ロータの除去手段は、上記破砕ロータの破砕刃に接近して回転駆動される第1の除去手段と、上記破砕ロータの軸方向に隣接する破砕刃と破砕刃との間の部分に接近して回転駆動される第2の除去手段とを含む。
【0014】
上記実施形態によれば、破砕ロータの破砕刃に絡まった被処理物を第1の除去手段によって除去すると共に、破砕ロータの破砕刃と破砕刃との間の部分に絡まった被処理物を第2の除去手段によって除去できるので、破砕ロータに絡まった被処理物を効果的に除去することができる。
【0015】
一実施形態の破砕機は、上記除去ロータは、上記破砕ロータに関して上記搬送ロータの反対側に配置されている。
【0016】
上記実施形態によれば、破砕ロータと搬送ロータとで被処理物の破砕を行いながら、破砕ロータに関して上記搬送ロータの反対側に配置された除去ロータにより、破砕ロータに絡まった被処理物を除去することができる。
【0017】
一実施形態の破砕機は、上記搬送ロータの支持手段は、上記被処理物を引掛けて破砕ロータの破砕刃による破砕の反力を支持する一方、下方を向いたときに上記被処理物が脱落するように形成されている。
【0018】
上記実施形態によれば、被処理物が破砕ロータの破砕刃で破砕されるとき、搬送ロータの支持手段により上記被処理物が引掛けられることにより、破砕刃で破砕される際に被処理物に生じる反力が支持される。したがって、被処理物が破砕刃で効果的に破砕される。一方、搬送ロータの支持手段が下方を向くと、引掛けられていた被処理物が支持手段から脱落するので、破砕された被処理物を迅速に排出口から排出することができる。
【0019】
一実施形態の破砕機は、上記搬送ロータの支持手段は、上記搬送ロータの軸方向視において、先端部分が上記正転方向と反対の逆転方向を向くように形成されている。
【0020】
上記実施形態によれば、先端部分が、搬送ロータの正転方向と反対の逆転方向を向くように形成された支持手段により、破砕ロータの破砕刃で破砕される際に被処理物を効果的に引掛けることができる一方、支持手段が下方を向いたときに被処理物を容易に脱落させることができる。ここで、上記支持手段は、軸方向視において、正転方向の側の縁が逆転方向の側の縁よりも長く形成された不等辺の三角形状であるのが好ましい。また、上記支持手段の先端は、先端部分の角の二等分線が搬送ロータの径方向に関して逆転方向の側を向くように傾斜しているのが好ましい。また、上記支持手段の形状は、曲線や曲面を含んで形成されてもよい。また、上記支持手段は、被処理物を引掛けるようにフック状に形成されてもよい。
【0021】
一実施形態の破砕機は、上記破砕ロータと搬送ロータと除去ロータの回転速度は、上記搬送ロータの周速度を1として、上記破砕ロータの周速度が5以上30以下、かつ、上記除去ロータの周速度が0.2以上2以下の割合となるように設定されている。
【0022】
上記実施形態によれば、破砕ロータの周速度を搬送ロータの周速度に対して5以上30以下の割合とすることにより、破砕刃による破砕の際に被処理物に生じる反力が安定して搬送ローラに支持されるので、被処理物を安定して効果的に破砕することができる。また、除去ロータの周速度を搬送ロータの周速度に対して0.2以上2以下の割合とすることにより、破砕ロータに対して逆転方向の力を効果的に作用させ、被処理物を破砕ロータから効果的に分離させて除去することができる。ここで、破砕ロータの周速度は、搬送ロータの周速度に対して10以上20以下の割合であるのが好ましく、約16倍であるのが特に好ましい。また、除去ロータの周速度は、搬送ロータの周速度に対して0.4以上1以下の割合であるのが好ましく、約0.5倍であるのが特に好ましい。
【0023】
一実施形態の破砕機は、上記破砕ロータに被処理物が巻き付いた場合、上記破砕ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動すると共に、上記除去ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動する巻き付き解除運転を行う。
【0024】
上記実施形態によれば、破砕ロータを逆転方向に回転駆動すると共に、除去ロータを逆転方向に回転駆動する巻き付き解除運転を行うことにより、破砕ロータに巻き付いた被処理物を効果的に除去することができる。
【0025】
一実施形態の破砕機は、上記ケーシングの壁部に、上記除去ロータの側方位置に設けられた開口部と、
上記開口部を開閉する開閉扉とを備え、
上記破砕ロータと搬送ロータとの間に被処理物が噛み込んだ場合、上記開閉扉を開いて上記開口部を解放し、上記破砕ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動すると共に、上記搬送ロータを上記正転方向と反対の逆転方向に回転駆動する一方、上記除去ロータを正転方向に回転駆動する排出運転を行う。
【0026】
上記実施形態によれば、破砕ロータを逆転方向に回転駆動すると共に、搬送ロータを逆転方向に回転駆動する一方、除去ロータを正転方向に回転駆動する排出運転を行うことにより、破砕ロータと搬送ロータとの間に噛み込んだ被処理物を取り出し、この被処理物を破砕ロータと除去ロータの回転力によって開口部に移動させ、開閉扉が開いて開放された開口部から上記被処理物を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態の破砕機を示す横断面図である。
図2】破砕機の破砕ロータ及び搬送ローラの配置位置における平断面図である。
図3】破砕ロータの破砕刃の配置位置における横断面図である。
図4】破砕ロータの係合歯の配置位置における横断面図である。
図5】破砕ロータの縦断面図である。
図6】搬送ロータの破砕刃の配置位置における横断面図である。
図7】搬送ロータの係合歯の配置位置における横断面図である。
図8】搬送ロータの縦断面図である。
図9】除去ロータの第1ブレードの配置位置における横断面図である。
図10】除去ロータの第2ブレードの配置位置における横断面図である。
図11】除去ロータの縦断面図である。
図12】破砕機の側面図である。
図13】破砕機の開口部を開いた様子を示す横断面図である。
図14】除去ロータの揺動付勢機構を備えた破砕機を示す正面図である。
図15図14の破砕機の除去ロータの配置位置における縦断面図である。
図16】従来の破砕機を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0029】
本発明の実施形態の破砕機は、土砂や金属等の不燃物と、伐採木や布や紙やプラスチック等の可燃物とが混在した廃棄物を、袋体としてのフレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグという)に収容してなる袋入り廃棄物を破砕して、廃棄物とフレコンバッグの両方の破砕片を得るものである。フレコンバッグは、ポリプロピレンやポリエチレン等の可燃性樹脂繊維で作製された袋体本体と、この袋体本体にループ状に縫い付けられて、袋体本体を吊り下げるように形成され、ポリプロピレンやポリエチレン等の可燃性樹脂繊維で作製されたベルトとを有し、数百キログラムから数トンの内容物を収容可能なものが用いられる。なお、本発明の破砕機は、各種材料を複数の段階を経て寸法を削減する場合において、比較的大きい寸法の材料を破砕する粗破砕に用いることができる。
【0030】
図1は、実施形態の破砕機を示す横断面図である。この破砕機Cは、上端に投入口10aが形成されていると共に下端に排出口10bが形成された本体ケーシング10と、本体ケーシング10内に配置された破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3を有する。ケーシング10は、上部が上端の投入口10aに向かって拡径したホッパ状に形成されている。このケーシング10内に、被処理物を破砕する破砕ロータ1と、被処理物を支持しながら破砕ロータ1に搬送する搬送ロータ2と、破砕ロータ1に絡まった被処理物を除去する除去ロータ3とが配置されている。破砕ロータ1と搬送ロータ2の配置位置は、投入口10aと排出口10bとを結ぶ方向において、破砕ロータ1が搬送ロータ2よりも排出口10b側に偏っている。また、破砕ロータ1と除去ロータ3の配置位置は、投入口10aと排出口10bとを結ぶ方向において、除去ロータ2が破砕ロータ1よりも排出口10b側に偏っている。搬送ロータ2と、破砕ロータ1と、除去ロータ3は、この順に、搬送ロータ2から除去ロータ3に向かうにつれて排出口10b側に近くなるように、軸方向視において傾斜して配列されている。
【0031】
図2は、破砕機Cの破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3の配置位置における断面図であり、搬送ロータ2の中心軸と、破砕ロータ1の中心軸と、除去ロータ3の中心軸とに沿って破砕機Cを切断した様子を模式的に示している。図2において、破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3は、切断面ではなく、軸直角方向から側面を見た様子を示している。破砕ロータ1は、回転軸12と、回転軸12の外周に固定された環状の破砕刃マウント40と、破砕刃マウント40に固定された複数の破砕刃4,4,4,・・・を有する。搬送ロータ2は、回転軸13と、回転軸13の外周に固定された環状の係止刃マウント50と、係止刃マウント50に固定された複数の支持手段としての係止刃5,5,5,・・・を有する。除去ロータ3は、回転軸14と、回転軸14に沿って所定間隔を置いて固定された環状の複数の支持円盤61と、支持円盤61の相互間に配列された第1の除去手段としての複数の第1ブレード6と、支持円盤61の相互間に設けられた第2の除去手段としての複数の第2ブレード62を有する。第1ブレード6と第2ブレード62は、軸方向において隣接する支持円盤61間に交互に配置されている。ケーシング10の内側面には、搬送ロータ2に隣接する固定刃7が配置されている。破砕ロータ1の回転軸12と、搬送ロータ2の回転軸13と、除去ロータ3の回転軸14は、図示しないモータによって正逆回転可能に駆動される。
【0032】
図3は、破砕ロータ1の破砕刃4の配置位置における横断面図であり、図4は、破砕ロータ1の係合歯8の配置位置における横断面図であり、図5は、破砕ロータ1の縦断面図である。破砕ロータ1に設けられた破砕刃4は、回転軸12に外嵌して固定された凸形状断面の環状の破砕刃マウント40に、周方向に配列された複数のボルト42で固定されている。破砕刃4は、軸方向視において破砕刃マウント40よりも径方向外側に突出した破砕刃本体4aと、破砕刃マウント40の回転軸方向に接して破砕刃マウント40に固定される基部4bとを有する。破砕刃本体4aは、回転軸方向視において略台形状を有し、矢印R1で示す正転方向の前側の縁が尖った断面を有して径方向に延在する刃先に形成されている。一方、破砕刃本体4aの回転方向の後ろ側の縁は、角型断面を有して径方向に対して傾斜する峰に形成されている。これにより、破砕ロータ1が矢印R1に示す正転方向に回転したときに、刃先の前側縁で被処理物を切断する一方、破砕ロータ1が矢印R11で示す逆転方向に回転したときに、刃先の後ろ側の峰で被処理物を移動させるように形成されている。破砕刃4の基部4bは、回転軸方向視において破砕刃本体4aよりも周方向の両側に長く延在する弧状に形成されている。
【0033】
破砕ロータ1には、軸方向において、破砕刃4の相互間と、軸方向に対向するケーシング10の内壁面と破砕刃4との間に、回転軸12の外周側に放射状に配列された複数の板状の係合歯8,8,8,・・・が取り付けられている。係合歯8は、先端縁が被処理物に係合する波型に形成されている。破砕ロータ1の係合歯8は、搬送ロータ2の係止刃5の回転経路に近接すると共に、除去ロータ3の第1ブレード6の回転経路に近接して回転駆動される。係合歯8に係合する被処理物は、上記除去ロータ3の第1ブレード6によって除去される。
【0034】
破砕ロータ1に設けられた係合歯8は、図4に示すように、回転軸12に外嵌して固定された矩形断面の環状の係合歯マウント82に、取付部材81を介して固定されている。取付部材81は、係合歯マウント82の外周面に沿って固定される4分の1円弧の湾曲ベルト部の中央に、径方向に突出して係合歯8が取り付けられる取付部を有する。取付部材81は、係合歯マウント82の外周面を取り囲むように4つが連なって固定され、各々が合計4つの係合歯8を保持している。4つの取付部材81は、各々の湾曲ベルト部がボルト83によって係合歯マウント82に固定されると共に、端部に径方向に突設された連結部84がボルト85で固定されて互いに連結されている。係合歯8は、取付部材81の取付部に対して、径方向の取付位置が調整可能に形成されている。これにより、係合歯8の先端の回転経路と、除去ロータ3の第1ブレード6の先端の回転経路との間の距離や、係合歯8の先端の回転経路と、搬送ロータ2の係止刃5の先端の回転経路との間の距離が調整可能になっている。
【0035】
破砕ロータ1の回転軸12には、図5の縦断面図に示すように、破砕刃4が取り付けられる破砕刃マウント40と、係合歯8が取り付けられる係合歯マウント82とが、軸方向に交互に配列されている。破砕ロータ1の両端に位置する係合歯マウント82には、ケーシング10の内側面に対向する端面に、径方向に延びる複数のスクレーパ45,45,45,・・・が設けられている。このスクレーパ45により、係合歯マウント82とケーシング10との間に被処理物が詰まる不都合を防止している。
【0036】
図6は、搬送ロータ2の係止刃5の配置位置における横断面図であり、図7は、搬送ロータ2の係合歯9の配置位置における横断面図であり、図8は、搬送ロータ2の縦断面図である。搬送ロータ2に設けられた係止刃5は、回転軸13に外嵌して固定された凸形状断面の環状の係止刃マウント50に、周方向に配列された複数のボルト52で固定されている。係止刃5は、軸方向視において係止刃マウント50よりも径方向外側に突出した3つの支持手段としての係止刃本体5aと、係止刃マウント50の回転軸方向に接して係止刃マウント50に固定される基部5bとを有する。支持手段としての係止刃本体5aは、回転軸方向視において不等辺の三角形状を有し、矢印R2で示す正転方向の前側の縁が、回転方向の後ろ側の縁よりも長く形成されている。これにより、回転軸方向視において、係止刃本体5aの先端部分が、角の二等分線が径方向に関して傾斜して、矢印R21で示す逆転方向を向くように形成されている。このように形成された係止刃本体5aは、破砕刃4で破砕される際に被処理物を安定して支持するようになっている。係止刃5の基部5bは、回転軸方向視において3つの係止刃本体5a,5a,5aに相当する周方向長さを有する弧状に形成されている。なお、支持手段としての係止刃本体5aは、先端部分の角の二等分線が搬送ロータの径方向に対して逆転方向を向くように傾斜していれば、他の形状でもよい。例えば、係止刃本体5aの形状は、曲線や曲面を含んで形成されてもよい。また、係止刃本体5aは、被処理物を引掛けるフック状に形成されてもよい。
【0037】
搬送ロータ2には、軸方向において、係止刃5の相互間に、回転軸13の外周側に放射状に配列された複数の板状の係合歯9,9,9,・・・が取り付けられている。係合歯9は、先端縁が被処理物に係合する波型に形成されている。搬送ロータ2の係合歯9が回転駆動されると、破砕ロータ1の破砕刃4の回転経路に近接すると共に、搬送ロータ2と固定刃7との間に形成される隙間を通過する。上記係合歯9の先端縁が固定刃7の表面に近接して移動することにより、上記隙間に被処理物が詰まる不都合を防止するようになっている。
【0038】
搬送ロータ2に設けられた係合歯9は、図7に示すように、破砕ロータ1と同様に、回転軸13に外嵌して固定された矩形断面の環状の係合歯マウント92に、取付部材91を介して固定されている。取付部材91は、係合歯マウント92の外周面に沿って固定される4分の1円弧の湾曲ベルト部の中央に、径方向に突出して係合歯9が取り付けられる取付部を有する。取付部材91は、係合歯マウント92の外周面を取り囲むように4つが連なって固定され、これらの4つの取付部材91で4つの係合歯9を保持している。4つの取付部材91は、各々の湾曲ベルト部がボルト93によって係合歯マウント92に固定されると共に、端部に径方向に突設された連結部94がボルト95で固定されて互いに連結されている。係合歯9は、取付部材91の取付部に対して、径方向の取付位置が調整可能に形成されている。これにより、係合歯9の先端の回転経路と、固定刃7の軸対向面7aとの間の距離や、係合歯9の先端の回転経路と、破砕ロータ1の破砕刃4の先端の回転経路との間の距離が調整可能になっている。
【0039】
搬送ロータ2の回転軸13には、図8の縦断面図に示すように、係止刃5が取り付けられる係止刃マウント50と、係合歯9が取り付けられる係合歯マウント92とが、軸方向に交互に配列されている。搬送ロータ2の両端に位置する係止刃マウント50には、ケーシング10の内側面に対向する端面に、径方向に延びる複数のスクレーパ55,55,55,・・・が設けられている。このスクレーパ55により、係止刃マウント50とケーシング10との間に被処理物が詰まる不都合を防止している。
【0040】
搬送ロータ2に隣接する固定刃7は、図2に示すように、搬送ロータ2の係合歯9に対向する軸対向面7aと、係止刃5の回転経路に対向する係止刃対向面7bを有する。軸対向面7aと係止刃対向面7bは、回転軸13と同心の円筒面に形成され、軸対向面7aの相互間に係止刃対向面7bが溝状をなすように形成されている。固定刃7は、図1に示すように、軸対向面7a及び係止刃対向面7bに連なり、横断面視において回転軸13の側方に水平に延びる水平面7cと、回転軸13の下方に延びる鉛直面7dを有する。
【0041】
図9は、除去ロータ3の第1ブレード6の配置位置における横断面図であり、図10は、除去ロータ3の第2ブレード62の配置位置における横断面図であり、図11は、除去ロータ3の縦断面図である。除去ロータ3の回転軸14には、軸方向に長い離隔と短い離隔を交互において、複数の支持円盤61が固定されている。長い離隔をおいた支持円盤61と支持円盤61との間に、板状体で形成された複数の第1ブレード6が、回転軸14の外周側に等角度をおいて配列されて固定されている。短い離隔をおいた支持円盤61と支持円盤61との間には、板状体で形成された複数の第2ブレード62が、回転軸14の外周に等角度をおいて配列されて固定されている。第1ブレード6が固定される支持円盤61と支持円盤61との間には、回転軸14と同心の筒状部材60が固定されており、この筒状部材60の外周面と、支持円盤61と支持円盤61の互いに対向する面に、第1ブレード6の3辺が溶接により固定されている。第1ブレード6は、図11の回転軸方向視において、径方向に関して、先端が逆転方向を向くように傾斜して配置されている。この第1ブレード6の先端は、端面が、同一の角度位置における回転軸14の接線と平行に形成されており、除去ロータ3の逆転方向を向く縁が尖った刃先状に形成されている。第2ブレード62は、回転軸14の外周面と、短い離隔をおいた支持円盤61と支持円盤61とが互いに対向する面とに、3辺が溶接により固定されている。第2ブレード62は、軸方向視において径方向に放射状に配列されている。第2ブレード62の先端の端面は、同一の角度位置における回転軸14の接線と傾斜しており、除去ロータ3の逆転方向の側の縁が尖った刃先状に形成されている。この除去ロータ3は、破砕ロータ1よりも低い周速度で回転駆動されることにより、破砕ロータ1に絡まった被処理物に対して、第1ブレード6の先端と第2ブレード62の先端とが食い込んで、被処理物を除去するようになっている。詳しくは、破砕ロータ1の係合歯8の回りに絡まった被処理物に第1ブレード6の先端が食い込んで除去し、破砕ロータ1の破砕刃4に絡まった被処理物に第2ブレード62の先端が食い込んで除去する。これにより、係合歯8の設置部分と破砕刃4の設置部分とで凹凸が形成される破砕ロータ1の外周部から、効果的に被処理物を除去するようになっている。
【0042】
図12は、破砕機Cのケーシング10の側面を示す図である。ケーシング10の側面には、除去ロータ3の側方部分が除去ロータ3の延在範囲にわたって開放される開口部が設けられている。この開口部に、外側に向かって開閉する開閉扉11が設けられており、開閉扉11は、開口部の投入口10a側の上端縁に設けられた回動軸20回りに揺動可能に形成されている。この開閉扉11は、ケーシング10の側面の幅方向中央に設けられた扉開閉シリンダ21により、開閉駆動される。扉開閉シリンダ21は、油圧により作動する複動シリンダであり、作動油が供給されるシリンダ室を有するシリンダ部22の上端が、ケーシング10の側面の上端に固定された支持アーム26に、接続ピン27回りに回動可能に連結されている。扉開閉シリンダ21は、シリンダ部22の下端から出没するロッド23の先端が、開閉扉11に固定された三角形のアーム部材24に、接続ピン25回りに回動可能に連結されている。図13に示すように、上記開閉扉11が矢印Aで示すように回動軸20回りに揺動して開口部が開いて、排出通路を形成するようになっている。ケーシング10の側面の幅方向両側の下部には、破砕運転時に開閉扉11を閉鎖状態に保持する電子錠が設けられている。電子錠は、ロックピン29と、ロックピン29をソレノイドにより駆動する駆動部28を有し、駆動部28から出没駆動されるロックピン29が、開閉扉11の側縁部に設けられたロック孔に係合して、開閉扉11の閉鎖状態を保持するようになっている。
【0043】
破砕機Cが、被処理物を破砕する破砕運転を行う場合、破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3は、図1の矢印R1とR2とR3で示すように、いずれも正転方向に回転する。これにより、破砕ロータ1と搬送ロータ2との間において破砕刃4と係止刃5が投入口10aから排出口10bへ向かう方向に移動する。これと共に、破砕ロータ1と除去ロータ3との間において破砕刃4と第1及び第2ブレード6,62が排出口10bから投入口10aへ向かう方向に移動する。上記破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3の回転速度は、搬送ロータ2の周速度を1として、破砕ロータ1の周速度が5以上30以下、かつ、除去ロータ3の周速度が0.2以上2以下の割合となるように設定されている。ここで、破砕ロータ1の周速度は、搬送ロータ2の周速度に対して10以上20以下の割合であるのが好ましく、約16倍であるのが特に好ましい。また、除去ロータ3の周速度は、搬送ロータ2の周速度に対して0.4以上1以下の割合であるのが好ましく、約0.5倍であるのが特に好ましい。本実施形態では、破砕運転時において、破砕ロータ1の周速度を0.75m/s、搬送ロータ2の周速度を0.05m/s、除去ロータ3の周速度を0.025m/sで回転駆動する。
【0044】
投入口10aから投入された被処理物は、破砕ロータ1上に落下すると、搬送ロータ2の側に送られて搬送ロータ2の係止刃5に係止され、係止刃5に支持された状態で破砕刃4によって破砕される。また、投入口10aから投入された被処理物が、搬送ロータ2上に落下すると、破砕ロータ1の側に送られ、係止刃5に支持された状態で破砕刃4によって破砕される。いずれの場合も、被処理物は、刃先が搬送ロータ2の逆転方向を向く係止刃5によって係止されて支持され、かつ、支持された係止刃5に対して5倍以上30倍以下の周速度で回転する破砕刃4によって破砕されるので、破砕の際に生じる反力が安定して係止刃5に支持される。したがって、被処理物が、例えば樹脂繊維で作成されたフレコンバッグ等のように強度の高い繊維を含んでいても、被処理物を効果的にせん断して破砕することができる。なお、上記破砕ロータ1の破砕刃4の周速度は、搬送ロータ2の係止刃5の周速度に対して10倍以上20倍以下であるのが好ましい。更には、破砕機Cの実機を種々の周速度で運転して実験を行った結果、破砕ロータ1の破砕刃4の周速度を、搬送ロータ2の係止刃5の周速度に対して約16倍とすると、特に好ましいことが判明した。また、投入口10aと排出口10bとを結ぶ方向において、破砕ロータ1が搬送ロータ2よりも排出口10b側に偏っており、鉛直方向において搬送ロータ2の下方に破砕ロータ1が配置されていると共に、搬送ロータ2の係止刃5の刃先が逆転方向を向いている。したがって、投入口10aから投入された被処理物を搬送ロータ2が効果的に捕獲して係止することができ、破砕ロータ1で破砕を行う際に被処理物を搬送ロータ2で効果的に支持できて、被処理物を効果的に破砕できる。また、鉛直方向において搬送ロータ2の下方に破砕ロータ1が配置されているので、破砕ロータ1と搬送ロータ2との間に被処理物が入り込み難いから、被処理物の噛み込みを効果的に防止できる。このように、本実施形態の破砕機Cは、被処理物を効果的に破砕できるので破砕ロータ1や搬送ロータ2に被処理物が絡み難く、また、破砕ロータ1と搬送ロータ2の間に噛み込みが生じ難いので、絡まった被処理物や噛み込んだ被処理物を除去する頻度を少なくできるから、高い処理効率を有する。
【0045】
搬送ロータ2の係止刃5に係止され、低速の搬送ロータ2で搬送されながら高速の破砕ロータ1の破砕刃4によって破砕された被処理物は、被処理物を係止する係止刃5の係止刃本体5aが回転軸13の鉛直下方に近づくと、係止刃本体5aの先端が鉛直下方側を向く。これにより、被処理物が重力によって係止刃本体5aから脱落し、速やかに排出口10bを通って下方に排出される。
【0046】
一方、除去ロータ3は、上記搬送ロータ2と協働して被処理物を破砕する破砕ロータ1に絡まる被処理物を、破砕ロータ1が被処理物の破砕を行うのと並行して除去する。すなわち、破砕ロータ1の破砕刃4や係合歯8に被処理物が係合して破砕ロータ1と共に回転すると、この被処理物は、破砕ロータ1よりも低速で回転する除去ロータ3の側に送られる。破砕ロータ1に絡まって除去ロータ3に達した被処理物は、除去ロータ3の第1ブレード6又は第2ブレード62から破砕ロータ1の逆転方向の力を受け、第1ブレード6又は第2ブレード62の尖った先端のせん断作用も相俟って、効果的に破砕ロータ1から分離する。破砕ロータ1から分離した被処理物は、排出口10bから排出される。このように、破砕ロータ1が正転方向に回転すると共に除去ロータ3が正転方向に回転して、破砕ロータ1と除去ロータ3との間において破砕刃4と第1及び第2ブレード6,62が排出口10bから投入口10aへ向かう方向に移動し、かつ、破砕ロータ1が除去ロータ3よりも高い周速度で回転することにより、破砕ロータ1に絡まった被処理物を、排出口10bの側で分離することができる。また、除去ロータ3の第1及び第2ブレード6,62の先端が逆転方向を向いているので、破砕ロータ1に絡まった被処理物が第1及び第2ブレード6,62に達する位置で、第1及び第2ブレード6,62を排出口10bの側に向けることができる。したがって、除去ロータ3の第1及び第2ブレード6,62で分離した被処理物を、速やかに排出口10b側に落下させて、排出口10bから排出することができる。
【0047】
また、被処理物のうち、係止刃5に絡まって回動し、固定刃7に導かれるものがある。この係止刃5によって固定刃7に導かれた被処理物は、係止刃5と、固定刃7の下方の傾斜面7dとの間や、固定刃7の軸対向面7aと係止刃対向面7bとの間に連なる側面との間でせん断される。上記係止刃5と固定刃7とでせん断された被処理物は、排出口10bを通って下方に排出される。
【0048】
本実施形態の破砕機Cにおいて、破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3が矢印R1、R2及びR3の方向に回転駆動される破砕運転を行うにつれて、破砕ロータ1に絡まった被処理物が除去ロータ3で除去されず、破砕ロータ1に巻き付く場合がある。この場合、破砕ロータ1に巻き付いた被処理物を解いて除去する巻き付き解除運転を行う。破砕運転から巻き付き解除運転への切り替えは、破砕ロータ1に巻き付いた被処理物を視認した操作者が制御盤を操作して行ってもよいが、モータの負荷を検出して自動制御により行ってもよい。すなわち、破砕ロータ1に巻き付いた被処理物の量が多いと、回転軸12を駆動するモータの負荷が増大するので、モータの負荷に所定の基準値を設定し、この基準値を負荷が超えた場合に、破砕運転から巻き付き解除運転へ切り替えるように設定することができる。巻き付き解除運転では、破砕ロータ1と除去ロータ3とを図1の矢印R11及びR31で示す逆転方向に回転駆動する。これにより、破砕ロータ1に巻き付いた被処理物が、重力により破砕ロータ1から巻き出されて分離する。破砕ロータ1から分離した被処理物は、排出口10bから排出される。
【0049】
本実施形態の破砕機Cにおいて、破砕ロータ1と搬送ロータ2と除去ロータ3が矢印R1、R2及びR3の方向に回転駆動される破砕運転を行う際、寸法の大きい岩石や金属塊等の破砕困難物が被処理物に混入して投入される場合がある。この場合、図13に示すように、ケーシング10の側面に設けられた開閉扉11を開き、排出通路を通して開口部から破砕困難物30を排出する排出運転を行う。破砕運転から排出運転への切り替えは、混入した破砕困難物30を視認した操作者が制御盤を操作して行ってもよいが、ケーシング内に設けられたセンサで破砕困難物30を検出し、この検出信号に基づいて行ってもよい。また、破砕ロータ1と搬送ロータ2との間に破砕困難物30が噛み込んだことをモータの負荷に基づいて検出し、破砕運転から排出運転への切り替えを行ってもよい。破砕運転から排出運転へ切り替えられると、制御装置は、電子錠を制御して駆動部28によりロックピン29を開閉扉11のロック孔から退去させた後、扉開閉シリンダ21を制御してシリンダ部22内にロッド23を没入側に駆動する。これにより、図13の矢印Aで示すように開閉扉11と共に固定刃6の上部固定刃61が上方に引き上げられ、回動軸20回りに回動して、ケーシング10の開口部が開いて排出通路が形成される。また、図13に示すように、破砕ロータ1を矢印R11で示すように逆転方向に回転駆動し、搬送ロータ2を矢印R21で示すように逆転方向に回転駆動する一方、除去ロータ3は矢印3で示す正転方向に回転駆動する。これにより、破砕ロータ1と搬送ロータ2との間に破砕困難物30が噛み込んだ場合は、矢印F1で示すように破砕ロータ1と搬送ロータ2との間の噛み込みが解除される。また、破砕ロータ1の上に破砕困難物30が位置する場合は、矢印F2で示すように除去ロータ3の側に搬送され、除去ロータ3の上に破砕困難物30が位置する場合は、矢印F3で示すように開口部の側に搬送される。こうして、被処理物に混入して投入された破砕困難物30を、ケーシング10内を開口部に向かって搬送し、開口部から排出することができる。本実施形態の破砕機Cによれば、搬送ロータ2と破砕ロータ1と除去ロータ3が、この順で下方に位置しているので、搬送ロータ2と破砕ロータ1を逆転方向に回転することにより、搬送ロータ2や破砕ロータ1上の破砕困難物30を容易に除去ロータ3に送って開口部から外部に排出することができる。
【0050】
上記実施形態において、除去ロータ3は、ケーシング10に固定した軸受で回転軸14が支持され、破砕ロータ1に対して移動不可に設置されているが、除去ロータ3を破砕ロータ1に対して移動可能としてもよい。図14は、除去ロータ3に揺動付勢機構を設けた破砕機Cを示す正面図であり、図15は、この破砕機Cの除去ロータ3の配置位置における縦断面図である。この破砕機Cは、除去ロータ3の回転軸14の両端に、モータ31と減速機32が一体に形成されたギヤモータ33が取り付けられている。除去ロータ3の回転軸14の両端部は、ケーシング10の側面に形成されたスリットを通して外部に突出しており、ケーシング10の外側に位置する回転軸14の端部にギヤモータ33が連結されている。ギヤモータ33はトルクアーム34に固定され、このトルクアーム34は、除去ロータ3の上方に回動可能に配置された揺動軸37に固定されている。揺動軸37は、ケーシング10の対向する側面に夫々固定された2つの軸受によって回動可能に支持されており、軸受を介してケーシング10の外側に突出した一方の端部にトルクアーム34が固定されている。揺動軸37のケーシング10の内側には、2つの軸受に隣接する位置に2つの揺動アーム38の上端が夫々固定されており、この揺動アーム38の下端には、除去ロータ3の回転軸14を回転可能に支持する軸受39が連結されている。除去ロータ3の回転軸14は、上方に位置する揺動軸37と平行をなしており、この揺動軸37回りに除去ロータ3が揺動可能に形成されている。揺動軸37のケーシング10の外側に突出した端部には、トルクアーム34に対して170°程度の角度をなして上方に延びるクランクアーム35が固定されている。このクランクアーム35の先端には、油圧シリンダ36のロッドが連結されており、この油圧シリンダ36は、所定の圧力でクランクアーム35を付勢している。クランクアーム35への付勢力は、揺動軸37を介してトルクアーム34及び揺動アーム38に伝達されて、除去ロータ3の回転軸14へ伝達される。これにより、除去ロータ3を破砕ロータ1に向かって付勢するように構成されている。この破砕機Cによれば、除去ロータ3が破砕ロータ1に対して移動可能に形成され、破砕ロータ1に向かって付勢されている。したがって、破砕ロータ1に被処理物が大量に巻き付いて被処理物を含めた外径が大きくなっても、除去ロータ3は、付勢力によって破砕ロータ1の被処理物の外周部に接触しながら、破砕ロータ1から離れる方向に移動することができる。したがって、破砕ロータ1と除去ロータ3の間に被処理物が噛み込んで破砕ロータ1又は除去ロータ3が停止する不都合を防止しながら、破砕ロータ1と除去ロータ3の回転駆動を継続することができる。このとき、除去ロータ3が破砕ロータ1から遠ざかるにもかかわらず、除去ロータ3に作用する付勢力によって第1及び第2ブレード6,62が被処理物に接触するので、除去ロータ3による被処理物の除去効果を継続して発揮することができる。
【0051】
上記実施形態において、被処理物は、廃棄物を収容したフレコンバッグであったが、例えば都市ゴミや、木質廃材や、各種袋体に収容された廃棄物等の他のものでもよい。特に、本実施形態の破砕機Cは、各種物質を収容した袋体を破って内容物を排出させる破袋工程や、一連の処理工程の前段階において物質を比較的大きな寸法に破砕する粗破砕工程に好適である。
【符号の説明】
【0052】
1 破砕ロータ
2 搬送ロータ
3 除去ロータ
4 破砕刃
5 係止刃
6 第1ブレード
6 固定刃
8,9 係合歯
10 ケーシング
10a 投入口
10b 排出口
12,13,14 回転軸
21 扉開閉シリンダ
62 第2ブレード
C 破砕機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16