特許第6180903号(P6180903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6180903-局所座標系を使用した場所検知 図000002
  • 特許6180903-局所座標系を使用した場所検知 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180903
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】局所座標系を使用した場所検知
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20170807BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20170807BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20170807BHJP
   A61B 5/0402 20060101ALI20170807BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20170807BHJP
   A61N 1/06 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61B5/04 300J
   A61B5/04 310M
   A61B5/06
   A61N1/06
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-244806(P2013-244806)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-104363(P2014-104363A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2016年9月9日
(31)【優先権主張番号】13/687,079
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ドロン・モシェ・ルドウィン
(72)【発明者】
【氏名】アハロン・ツルゲマン
(72)【発明者】
【氏名】エリアフ・ジーノ
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6690963(US,B2)
【文献】 米国特許第7099712(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04 − 5/0472
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵襲性医療プローブであって、
患者の身体内に挿入されるように構成された近位端及び遠位端を有する挿入チューブと、
前記挿入チューブの前記遠位端から遠位方向に延びる多数のアームであって、各アームが遠位先端を有し、かつ
磁気変換器と、
前記遠位先端を前記身体内の組織表面に取り外し可能に取り付けるように構成された接着要素と、を備える、多数のアームと、を備える、プローブ。
【請求項2】
前記磁気変換器が1つ又は2つ以上のコイルを備える、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記接着要素が、前記遠位先端を介して生体適合性接着剤を押出して、前記遠位先端を前記組織表面に取り付けるように構成されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記接着要素が、前記遠位先端を冷却して、前記遠位先端を低温接着によって前記組織表面に取り付けるように構成されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
前記アームが、前記アームが前記挿入チューブの長手方向軸に沿って配置される、つぶれた配列と、前記アームが径方向にばらばらに拡がって、異なるそれぞれの場所にて前記組織表面と接触する、展開した配列との間で可動である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記挿入チューブが、前記患者の心室内に挿入されるように構成され、各アームの前記接着要素が、前記遠位先端を心内膜組織に取り外し可能に取り付けるように構成されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項7】
医療システムであって、
患者の身体内の器官内に挿入されるように構成された近位端及び遠位端を有する挿入チューブを備える基準プローブであって、かつ前記挿入チューブの前記遠位端から遠位方向に延びる多数のアームを備え、
前記アームが、それぞれの遠位先端を有し、かつそれぞれの第1の磁気変換器及び接着要素を備え、前記接着要素が、前記遠位先端を前記器官内の組織表面上のそれぞれの場所に取り外し可能に取り付けるように構成され、それによって器官座標系を規定する、基準プローブと、
前記基準プローブの付近において前記器官内に挿入されるように構成され、第2の磁気変換器及び少なくとも1つの機能要素を備える操作プローブと、
前記アーム内及び前記操作プローブ内の前記磁気変換器を駆動して、磁場を送信及び受信するように構成され、前記磁場に応答した前記磁気変換器からの信号を受信及び処理して、前記器官座標系での前記操作プローブの位置座標を計算するように結合されている制御ユニットと、を備える、医療システム。
【請求項8】
前記磁気変換器により送信される前記磁場が第1の磁場であり、前記第1の磁場に応答する前記制御ユニットにより受信される前記信号が第1の信号であり、
前記システムが複数の磁場生成器を備え、前記磁場生成器は、患者の身体外部のそれぞれの場所からそれぞれの第2の磁場を生成するように構成され、前記場所は固定座標系を規定し、
前記制御ユニットが、前記第2の磁場に応答する前記第1の磁気変換器からの第2の信号を受信及び処理して、前記固定座標系内での前記アームのそれぞれの座標を計算するように結合されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットが、前記遠位先端の前記それぞれの座標に基づいて、前記器官座標系を前記固定座標系に対して位置合わせするように結合されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットが、前記第1の磁気変換器を駆動して前記第1の磁場を送信するように構成され、また前記第1の磁場に応答する前記第2の磁気変換器からの前記第1の信号を受信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記機能要素が、少なくとも1つの電極を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットが、前記操作プローブにより行われる医療手技の過程において前記操作プローブが前記器官内で移動する間、前記信号に応答して、前記器官座標系内での前記操作プローブの前記位置座標を追跡するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記基準プローブ及び操作プローブが、前記患者の心室内に挿入されるように構成され、各アームの前記接着要素が、前記遠位先端を心内膜組織に取り外し可能に取り付けるように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、侵襲的医療処置のための方法及びデバイス、特に身体器官内部のプローブの場所を明確かつ正確に検知するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気位置検知は、現在、心臓電気的活動をマッピングするなどの診断目的と、催不整脈性組織の焼灼などの治療目的との両方にて、心臓内のカテーテルの場所の追跡に広く使用されている。このタイプの位置検知は、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)製のCARTO(登録商標)システム内で行われている。
【0003】
この種類の磁気位置検知は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,690,963号に詳細に記載されている。このシステムは、基準座標系に対するカテーテル又は内視鏡などの侵襲性医療器具の場所及び配向を決定するのに使用されている。このシステムは、駆動信号に応答して既知の識別可能な磁場、好ましくは連続AC磁場を生成する、複数の磁場生成器を備えている。複数のセンサーが侵襲性医療器具の遠位端に近接して位置し、磁場に応答してセンサー信号を生成する。信号処理装置は、駆動信号及びセンサー信号に対応する複数の信号の入力装置を有し、侵襲性医療器具の地点の3つの場所座標と3つの配向座標とを生成する。
【0004】
追跡可能な複数のアームを有するカテーテルは、当技術分野にて既知である。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,099,712号は、心臓内の電気的活動をマッピングするための、そのようなカテーテルについて記載している。このカテーテルは複数のとげ状突起を備え、各とげ状突起は、電気的データ、機械的データ及び場所データを獲得することが可能である。各とげ状突起は、少なくとも1つの場所センサーと、少なくとも1つの電極、好ましくは先端電極及び少なくとも1つのリング電極と、を備える。とげ状突起は、各とげ状突起がカテーテル本体から径方向に外向きに延びる展開した配列に配置されてもよいし、各とげ状突起がカテーテル本体の長手方向軸にほぼ沿って配置される、つぶれた配列に配置されてもよい。使用時には、各とげ状突起から少なくとも1つの電極が心臓組織と接触して位置付けられることにより、心臓の電気的活動のマッピングが行われる。このような電気的活動が監視される各地点の場所を決定するために、場所センサーが用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、内部に侵襲性プローブが位置する器官に対する該プローブの場所の追跡の正確性を向上させる装置及び方法を提供する。
【0006】
したがって、本発明の一実施形態によれば、挿入チューブを含む侵襲性医療プローブが提供され、前記プローブは、患者の身体内に挿入されるように構成された近位端及び遠位端を有する。多数のアームが挿入チューブの遠位端から遠位方向に延び、各アームは、遠位先端を有し、かつ磁気変換器及び接着要素を含み、前記接着要素は、遠位先端を身体内の組織表面に取り外し可能に取り付けるように構成されている。
【0007】
磁気変換器は、1つ又は2つ以上のコイルを含んでもよい。
【0008】
一実施形態において、接着要素は、遠位先端を介して生体適合性接着剤を押出して、遠位先端を組織表面を取り付けるように構成されている。別の実施形態では、接着要素は、遠位先端を冷却して、遠位先端を低温接着によって組織表面に取り付けるように構成されている。
【0009】
一般に、アームは、該アームが挿入チューブの長手方向軸に沿って配置される、つぶれた配列と、該アームが径方向にばらばらに拡がって、異なるそれぞれの場所にて組織表面と接触する、展開した配列との間で可動である。
【0010】
開示した実施形態では、挿入チューブは、患者の心室内に挿入されるように構成され、各アームの接着要素は、遠位先端を心内膜組織に取り外し可能に取り付けるように構成されている。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、基準プローブを備えた医療システムが提供され、前記基準プローブは挿入チューブを含み、前記プローブは、患者の身体内の器官内に挿入されるように構成された近位端及び遠位端を有し、かつ前記挿入チューブの遠位端から遠位方向に延びる多数のアームを含む。アームは、それぞれの遠位先端を有し、かつそれぞれの第1の磁気変換器及び接着要素を含み、接着要素は、遠位先端を器官内の組織表面上のそれぞれの場所に取り外し可能に取り付けるように構成され、それによって器官座標系を規定する。操作プローブは、基準プローブの付近において器官内に挿入されるように構成され、第2の磁気変換器及び少なくとも1つの機能要素を含む。制御ユニットは、アーム内及び操作プローブ内の磁気変換器を駆動して、磁場を送信及び受信するように構成され、磁場に応答した磁気変換器からの信号を受信及び処理して、器官座標系内での操作プローブの位置座標を計算するように結合されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、磁気変換器により送信される磁場は、第1の磁場であり、第1の磁場に応答した制御ユニットから受信される信号は、第1の信号であり、システムは、複数の磁場生成器を備え、前記複数の磁場生成器は、固定座標系を規定する場所である患者の身体外部のそれぞれの場所からそれぞれの第2の磁場を生成するように構成され、制御ユニットは、第2の磁場に応答した第1の磁気変換器からの第2の信号を受信及び処理して、固定座標系内でのアームのそれぞれの座標を計算するように結合されている。
【0013】
制御ユニットは、遠位先端のそれぞれの座標に基づいて、器官座標系を固定座標系に対して位置合わせするように結合されてもよい。付加的又は代替的に、制御ユニットは、第1の磁気変換器を駆動して第1の磁場を送信するように構成されてもよく、また第1の磁場に応答した第2の磁気変換器からの第1の信号を受信するように構成されている。
【0014】
開示した実施形態では、機能要素は、少なくとも1つの電極を含む。一般に、制御ユニットは、操作プローブにより行われる医療手技の過程において操作プローブが器官内で移動する間、信号に応答して、器官座標系内での操作プローブの位置座標を追跡するように構成されている。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、医療手技を行うための方法が更に提供され、前記方法は、基準プローブを患者の身体内の器官内に挿入することを含み、前記プローブは、挿入チューブと、挿入チューブの遠位端から遠位方向に延びる多数のアームとを備え、前記アームは、それぞれの遠位先端を有し、かつそれぞれの第1の磁気変換器を含む。アームの遠位先端は、器官内の組織表面上のそれぞれの場所に取り外し可能に取り付けられ、それによって器官座標系を規定する。第2の磁気変換器を含む操作プローブは、基準プローブの付近において器官内に挿入される。アーム及び操作プローブ内の磁気変換器が駆動されて、磁場を送信及び受信する。磁場に応答した磁気変換器からの信号が受信及び処理されて、器官座標系内での操作プローブの位置座標を計算する。
【0016】
本発明は、以下の実施形態の詳細な説明を、それら図面と総合すれば、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による、心臓カテーテル法のためのシステムの概略描写図。
図2】本発明の一実施形態による、内部にカテーテルが挿入されている心室の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
カテーテルなどの侵襲性プローブを、内部に該プローブが位置する身体器官に対して追跡することは、器官全体が身体内で運動し、又は、器官が該器官自体の内部運動を有する場合、困難であり得る。例えば、心臓は、拍動に加えて、対象の胸部全体が呼吸により運動する間、胸部内で運動する幾分かの自由を有するため、その両方のタイプの運動を有する。一方、上述したCARTOシステムなどの当技術分野にて既知のカテーテル追跡システム内では、カテーテルの位置は、一般に、身体外部の固定した場所内の磁場生成器の座標系内で追跡される。
【0019】
心臓運動を補償して、心臓に対するカテーテルの実際の位置を誘導する様々な方法が用いられている。心臓の位置は、例えば、磁気共鳴映像法(MRI)により直接測定することができる。代替的又は付加的に、基準カテーテルを冠静脈洞などの心臓内の特定の構造特徴部にて固定的に配置及び保持して基準位置の読取りを与え、この基準位置読取りに対して、移動するカテーテルの位置を比較してもよい。しかしながら、基準カテーテルは不安定な傾向があり、一般に心臓全体のみの運動を示す。
【0020】
本発明の実施形態は、心臓自体の位置に結合され、心臓の運動を本質的に補償する新規な基準プローブを使用して器官座標系を確立する、異なる手法を採用する。基準プローブは挿入チューブを備え、前記挿入チューブは、該チューブの遠位端から遠位方向に延びる多数のアームを有する。各アームは、磁気変換器(1つ又は2つ以上の小型コイルなどの)を備え、アームの遠位先端を身体内の組織表面に取り外し可能に取り付けるための接着要素を有する。接着要素は、例えば、好適な生体適合性接着剤を押出すチューブ、又は、遠位先端を十分に冷却して組織表面に低温接着させる低温要素を備えてもよい。手技後、アームは、例えば、接着剤を溶解し、又は、アームの先端を再び暖まらせることにより、組織表面から解放される。
【0021】
それ自体の磁気変換器を有する操作プローブは、基準プローブの付近において心臓内に挿入され、操作プローブの遠位端における機能要素(電極などの)を使用して、診断及び/又は治療であってもよい医療手技を行う。制御ユニットは、アーム内及び操作プローブ内の磁気変換器を駆動して、アームから操作プローブへ又は操作プローブからアームへのいずれかで、磁場を送信及び受信する。制御ユニットは、この磁場に応答して、受信変換器(1つ又は複数)により生成された信号を受信及び処理することによって、器官座標系内での操作プローブの位置座標を計算する。
【0022】
器官座標系は、場合により患者の患者の身体外部のそれぞれの場所における磁場生成器により規定された外部の固定座標系に参照されてもよい。基準プローブのアーム内の磁気変換器は、アームが組織表面に取り付けられている間、これらの磁場生成器により生成された磁場を検知する。制御ユニットは、磁場生成器の磁場に応答してこれらの磁気変換器により生成された信号を受信及び処理することによって、固定座標系内でのアームの遠位先端のそれぞれの座標を計算する。このようにして、制御ユニットは、遠位先端のそれぞれの位置に基づいて、器官座標系を固定座標系に対して位置合わせすることができる。
【0023】
下記に記載する実施形態では、基準プローブ及び操作プローブは、心臓カテーテルとして記載されており、心臓内で行われる手技に使用されている。しかしながら、本発明の原理は、この特定の状況に限定されず、他の身体器官、並びにそれらの器官内で使用され得るプローブ及び手技に適用されてもよい。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による、患者28の心臓26の侵襲的処置のためのシステム20の概略描写図である。心臓病専門医などのオペレータ22は、カテーテル24及び40などの可撓性プローブを、カテーテルの遠位端が患者の心室内に入るように患者28の脈管系を通して挿入する。オペレータ22は、カテーテルの遠位先端が、所望の場所において心内膜組織と係合するように(図2に示すように)、カテーテルを前進させる。カテーテル24は、心臓26内で所望の診断及び/又は治療機能を行うための、電極などの機能要素を有する操作カテーテルとして構成されている。カテーテル40は、心臓の座標系内でのカテーテル24の場所を見出す際に使用される基準カテーテルとしての役割を果たす。
【0025】
カテーテル24及び40は、好適なコネクタ(図示せず)によってそれらの近位端においてコンソール30に接続されている。コンソールは制御ユニット36を備え、制御ユニット36は、カテーテル24及び40へ信号を送信し、またカテーテル24及び40から信号を受信して、カテーテル24及び40の操作を制御及び監視する。例えば、制御ユニットは、カテーテル24に電気エネルギーを適用して心臓26内の組織を焼灼してもよく、及び/又はカテーテルから電気信号を受信して心臓の電気的活動を測定してもよい。代替的又は付加的に、カテーテル24は、当技術分野にて既知のように、他の診断及び/又は治療機能のために使用されてもよい。加えて、制御ユニット36は、下記に記載するように、カテーテル24及び40の遠位端における磁気変換器(図2に示されるような)を駆動して磁場を送信及び受信し、磁場に応答した磁気変換器からの信号を処理して、心臓と共に移動する座標系内でのカテーテル24の位置座標を計算する。
【0026】
描写した実施形態では、システム20は、磁気位置検知を用いて、心臓26内部の基準カテーテル40の座標の、固定座標系に対する位置を決定する。位置座標を決定するために、コンソール30内のドライバー回路34は磁場生成器32を駆動して磁場を患者28の身体内に生成する。一般に、磁場生成器32は、患者の胴体の下部の、体外の既知の位置に配置されるコイルを備える。これらのコイルは、心臓26を含む既定の作業ボリューム内に磁場を生成する。カテーテル40の末端区分内の磁気変換器(図2に示されるような)は、これらの磁場に応答して電気信号を出力する。制御ユニット36は、下記に説明されるように、これらの信号を処理して、カテーテル40の遠位端から延びる多数のアームの位置(場所及び/又は配向)座標を決定する。コンソール30は、ディスプレイ38を駆動する際に、カテーテル24及び40の座標を使用して、特にカテーテル24の場所及び状態を示す。
【0027】
本記載及び特許請求の範囲の文脈で使用される用語「磁気変換器」は、電気信号を磁場に変換し、及び/又はそれとは逆に変換する要素を指す。換言すれば、磁気変換器に好適な電気駆動信号が適用された際、該信号は磁気変換器に磁場を生成させ、また磁気変換器の範囲内の適当な磁場は、磁気変換器に電気信号を出力させるであろう。ワイヤコイルは磁気変換器の一例であるが、固体変換器などの他の種類のデバイスも、この目的に使用することができる。カテーテル内の磁気変換器を使用した、カテーテル24及び40の座標を見出す際に制御ユニット36により適用され得る磁気位置検知及び処理の方法は、例えば、上述した米国特許第6,690,963号に詳細に記載されており、上述したCARTOシステム内で実施されている。
【0028】
図1は、ある特定のシステム構成を示すものであるが、他のシステム構成を本発明の代替的な実施形態に使用してもよい。例えば、下記に記載する方法は、インピーダンスに基づく又は超音波位置センサーなどの他のタイプの位置変換器を用いて適用してもよい。本明細書で使用される用語「位置変換器」は、要素であって、その要素の座標を示す信号をコンソール30に受信させるものを指す。したがって、位置変換器は、変換器により受け取られたエネルギーに基づいて制御ユニットへの位置信号を生成する、カテーテル内の受信機を備えてもよいし、又はプローブの外部にある受信機により感知されるエネルギーを発する送信機を備えてもよい。更に、下記に説明する方法は、同様に、心臓内、並びに他の身体器官及び身体領域内の双方で、カテーテルだけではなく他のタイプの侵襲性プローブを使用した診断及び治療用途にも適用することができる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による、内部にカテーテル24及び40が挿入されている心臓26の心室の概略断面図である。操作カテーテル24は、該カテーテルの遠位先端に電極42などの機能要素を備える。電極は、心内膜組織44の表面と接触され、例えば、組織の電気的活動を検知し、又は不整脈の処置のために組織44を焼灼するよう使用されてもよい。代替的又は付加的に、カテーテル24は、多数の電極を備えてもよく、又は、例えば超音波変換器などの当技術分野にて既知の他の好適なタイプの機能要素を備えてもよい。カテーテル24は、上述した米国特許第6,690,963号に記載されているように、小型コイル又は一組の直交コイルなどの磁気変換器46も備えてもよい。
【0030】
基準カテーテル40は挿入チューブ56を備え、挿入チューブ56は、該挿入チューブの遠位端から遠位方向に延びる多数のアーム48を有する。図2には3つのアームが示されているが、カテーテル40は代替的に、より多数のアームを備えてもよい。脈管系を通した挿入及び心臓内への挿入を容易にするために、アーム48は、該アームが挿入チューブの長手方向軸に沿って配置される細い、つぶれた配列と、該アームが図2に示すように径方向にばらばらに拡がる展開した配列との間で可動であってもよい。例えば、アーム48は、挿入中、挿入チューブ56の遠位端内に後退されてもよく、次いで、挿入チューブが標的の心室内部に挿入された後、外方向に拡大してもよい。アームは、上述した米国特許第7,099,712号に記載されているように、弾性補強支柱を含んでもよく、該弾性補強支柱は、アームを拡がらせて、互いに離間した場所にて組織と接触させる。
【0031】
各アーム48の遠位先端は、磁気変換器50(変換器46と同様のタイプのものであってもよい)及び接着要素を含んでもよく、接着要素の目的は、遠位先端を心内膜組織44の表面に取り外し可能に取り付けることである。描写した例では、接着要素はチューブ52を備え、一時的接着パッド54を形成するために、チューブ52は、遠位先端を介して好適な生体適合性接着剤を押出して、遠位先端を組織表面に取り付ける。この目的に使用し得る生体適合性接着剤は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,428,561号に記載されている。場合により、手技の完了後、アーム48の遠位先端を介して好適な生体適合性溶媒を押出して、接着剤を溶解してもよい。この溶媒は、チューブ52を通して、又は、別個のチューブ若しくはリザーバ(図示せず)から押出されてもよい。
【0032】
代替的に、アーム48は他の種類の接着要素を備えてもよい。例えば、接着要素は低温部材を備えてもよく、低温部材は、遠位先端を十分に冷却して、低温接着により遠位先端を組織表面に接着させる。カテーテル内で使用でき、したがってカテーテル40内の接着要素として機能するよう適合され得る低温部材は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0035584号に記載されている。
【0033】
アーム48が挿入チューブから延びた後、磁気変換器50は、磁場生成器32により生成された磁場を検知し、制御ユニット36に信号を出力する。これらの信号により、制御ユニットは、磁場生成器32の固定座標系内での各アーム48の座標を見出すことができる。接着要素を始動させてアームを定位置に固定する前に、オペレータ22及び/又は制御ユニット36は、遠位先端が組織44の表面にしっかりと接触していることを確認してもよい。そのような接触は、例えば、MRI又はX線透視撮影により確認することができる。代替的又は付加的に、各アーム内のセンサー(図示せず)を使用して、良好な接触を確認してもよい。例えば、各アームの先端における電極を使用して、アームと組織との間の電気インピーダンスを測定することにより接触を確認してもよく、又は、各アーム内の力センサーがアームと組織との間に付与されている力を検知してもよい。
【0034】
アーム48と組織との間で適切な接触が為された後、また、所望であれば確認された後、接着要素を始動させ、アームを定位置に固定する。磁場生成器32の磁場の検知に基づいて、外部固定座標系に対するアーム内の変換器50の場所座標を分かる。接着要素の結果として、アーム48が心臓壁と接触して好適に配置され、定位置に固定された後、オペレータ22は手技中にアームが移動しないことを確信できる。それ故、アームは、外部磁場生成器の固定座標系の位置合わせを維持すると共に、心臓の運動を安定的に追跡するであろう心臓座標系を確立する。
【0035】
心臓座標系内でのカテーテル24の座標を見出すために、制御ユニット36は、磁気変換器50の役割を磁場センサーから磁場生成器に変更し、変換器50を駆動して磁場を生成する。カテーテル24内の磁気変換器46は、これらの磁場に応答して信号を出力し、制御ユニット36は、これらの信号を処理して、心臓座標系内でのカテーテル24の座標を見出す。それ故、制御ユニットは、心臓自体に対するカテーテル24の場所を追跡及び表示することが可能である。変換器46及び50は互いに近接しているため、変換器50は、変換器が場を検知するために比較的弱い磁場を生成することで十分であり、それ故、変換器50を駆動するのに必要な電流は、磁場生成器32の駆動電流と比較して遙かに小さい。
【0036】
代替的に、制御ユニット36は、変換器46を駆動して磁場を生成してもよく、該磁場は、変換器50によって受信及び検知される。制御ユニット36は、これらの信号を上述した方法と等価な方法で処理して、心臓座標系内でのカテーテル24の座標の位置を見出すことができる。
【0037】
上記の構成のいずれにおいても、制御ユニット36は、磁場生成器32の場に応答してアーム48内の磁気変換器50により出力された信号を周期的にサンプリングして、磁場生成器の固定座標系内でのアームの(及び対応する心臓座標系の)場所を確認及び位置合わせすることができる。
【0038】
代替的に、いくつかの実施形態では、磁場生成器32は、初期位置決めのみに使用されてもよく、又は全く使用されなくてもよい。例えば、X線透視又はMRI視覚化下で、基準カテーテル40が心臓26内に挿入されてもよく、アーム48が組織44に接触され及び取り付けられてもよい。それ故、アーム48内の変換器50の場所は、心臓の現在の又は予め獲得された心臓の像と位置合わせされ得る。次いで、制御ユニット36は、上述したように変換器50を駆動して磁場を生成し、変換器46からの信号を処理して心臓座標系内でのカテーテル24の座標を見出す。この心臓座標系は、像と位置合わせされてもよく(磁場生成器32を使用し又は使用せずに)、又は、システム20は、アーム48により確立された心臓座標系のいかなる種類の位置合わせも行うことなく操作されてもよい。
【0039】
別の選択肢(図面に示さず)として、心臓内で磁場を生成し、心臓座標系を確立するのに使用される磁気変換器の1つ又は2つ以上は、心臓の外部に固定されてもよい。
【0040】
図2に示される実施形態は、操作カテーテル24の特定のタイプ及び構成に関するものであるが、本発明の原理は、他のタイプのカテーテルを追跡する際に同様に適用され、また多数の操作カテーテルの同時の追跡にも適用され得る。更に、前記したように、これらの原理は、他の身体器官内のプローブの場所の追跡に同様に適用することができる。したがって、上述の実施形態は一例として引用したものであり、また本発明は上記に具体的に図示及び記載したものに限定されないことは認識されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに当業者であれば上記の説明文を読むことで想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変更及び改変が含まれるものである。
【0041】
〔実施の態様〕
(1) 侵襲性医療プローブであって、
患者の身体内に挿入されるように構成された近位端及び遠位端を有する挿入チューブと、
前記挿入チューブの前記遠位端から遠位方向に延びる多数のアームであって、各アームが遠位先端を有し、かつ
磁気変換器と、
前記遠位先端を前記身体内の組織表面に取り外し可能に取り付けるように構成された接着要素と、を備える、多数のアームと、を備える、プローブ。
(2) 前記磁気変換器が1つ又は2つ以上のコイルを備える、実施態様1に記載のプローブ。
(3) 前記接着要素が、前記遠位先端を介して生体適合性接着剤を押出して、前記遠位先端を前記組織表面に取り付けるように構成されている、実施態様1に記載のプローブ。
(4) 前記接着要素が、前記遠位先端を冷却して、前記遠位先端を低温接着によって前記組織表面に取り付けるように構成されている、実施態様1に記載のプローブ。
(5) 前記アームが、前記アームが前記挿入チューブの長手方向軸に沿って配置される、つぶれた配列と、前記アームが径方向にばらばらに拡がって、異なるそれぞれの場所にて前記組織表面と接触する、展開した配列との間で可動である、実施態様1に記載のプローブ。
【0042】
(6) 前記挿入チューブが、前記患者の心室内に挿入されるように構成され、各アームの前記接着要素が、前記遠位先端を心内膜組織に取り外し可能に取り付けるように構成されている、実施態様1に記載のプローブ。
(7) 医療システムであって、
患者の身体内の器官内に挿入されるように構成された近位端及び遠位端を有する挿入チューブを備える基準プローブであって、かつ前記挿入チューブの前記遠位端から遠位方向に延びる多数のアームを備え、
前記アームが、それぞれの遠位先端を有し、かつそれぞれの第1の磁気変換器及び接着要素を備え、前記接着要素が、前記遠位先端を前記器官内の組織表面上のそれぞれの場所に取り外し可能に取り付けるように構成され、それによって器官座標系を規定する、基準プローブと、
前記基準プローブの付近において前記器官内に挿入されるように構成され、第2の磁気変換器及び少なくとも1つの機能要素を備える操作プローブと、
前記アーム内及び前記操作プローブ内の前記磁気変換器を駆動して、磁場を送信及び受信するように構成され、前記磁場に応答した前記磁気変換器からの信号を受信及び処理して、前記器官座標系での前記操作プローブの位置座標を計算するように結合されている制御ユニットと、を備える、医療システム。
(8) 前記磁気変換器により送信される前記磁場が第1の磁場であり、前記第1の磁場に応答する前記制御ユニットにより受信される前記信号が第1の信号であり、
前記システムが複数の磁場生成器を備え、前記磁場生成器は、患者の身体外部のそれぞれの場所からそれぞれの第2の磁場を生成するように構成され、前記場所は固定座標系を規定し、
前記制御ユニットが、前記第2の磁場に応答する前記第1の磁気変換器からの第2の信号を受信及び処理して、前記固定座標系内での前記アームのそれぞれの座標を計算するように結合されている、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記制御ユニットが、前記遠位先端の前記それぞれの座標に基づいて、前記器官座標系を前記固定座標系に対して位置合わせするように結合されている、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記制御ユニットが、前記第1の磁気変換器を駆動して前記第1の磁場を送信するように構成され、また前記第1の磁場に応答する前記第2の磁気変換器からの前記第1の信号を受信するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
【0043】
(11) 前記機能要素が、少なくとも1つの電極を備える、実施態様7に記載のシステム。
(12) 前記制御ユニットが、前記操作プローブにより行われる医療手技の過程において前記操作プローブが前記器官内で移動する間、前記信号に応答して、前記器官座標系内での前記操作プローブの前記位置座標を追跡するように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(13) 前記基準プローブ及び操作プローブが、前記患者の心室内に挿入されるように構成され、各アームの前記接着要素が、前記遠位先端を心内膜組織に取り外し可能に取り付けるように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(14) 医療手技を行うための方法であって、
基準プローブを患者の身体内の器官内に挿入することであって、前記プローブが、挿入チューブと、前記挿入チューブの遠位端から遠位方向に延びる多数のアームとを備え、前記アームが、それぞれの遠位先端を有し、かつそれぞれの第1の磁気変換器を備える、ことと、
前記アームの前記遠位先端を、前記器官内の組織表面上のそれぞれの場所に取り外し可能に取り付け、それによって器官座標系を規定することと、
第2の磁気変換器を含む操作プローブを、前記基準プローブの付近において前記器官内に挿入することと、
前記アーム及び前記操作プローブ内の前記磁気変換器を駆動して、磁場を送信及び受信することと、
前記磁場に応答した前記磁気変換器からの信号を受信及び処理して、前記器官座標系内での前記操作プローブの位置座標を計算することと、を含む、方法。
(15) 前記信号を受信及び処理することが、前記医療手技の過程において前記操作プローブを前記器官内で移動する間、前記信号に応答して、前記器官座標系内での前記操作プローブの前記位置座標を追跡することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0044】
(16) 前記操作プローブを移動することが、前記操作プローブの電極を、前記器官内の前記組織表面上の多数の地点と接触させることを含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記医療手技の完了後、前記遠位先端を、前記組織表面上の前記それぞれの場所から解放することを含む、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記遠位先端を取り外し可能に取り付けることが、前記遠位先端から生体適合性接着剤を押出することを含み、前記遠位先端を解放することが、生体適合性溶媒を押出して前記接着剤を溶解することを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記遠位先端を取り外し可能に取り付けることが、前記遠位先端を冷却して、前記遠位先端を低温接着によって前記組織表面に取り付けることを含む、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記磁気変換器を駆動することが、第1の磁場を生成することを含み、前記第1の磁場に応答した前記磁気変換器から受信される前記信号が、第1の信号であり、
前記方法が、患者の身体外部のそれぞれの場所から第2の磁場を生成することであって、前記場所が固定座標系を規定する、ことと、前記第2の磁場に応答した前記第1の磁気変換器からの第2の信号を受信及び処理して、前記固定座標系内での前記アームのそれぞれの座標を計算することと、を含む、実施態様14に記載の方法。
【0045】
(21) 前記遠位先端の前記それぞれの座標に基づいて、前記器官座標系を前記固定座標系に対して位置合わせすることを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記基準プローブ及び前記操作プローブを挿入することが、前記基準プローブ及び前記操作プローブを前記患者の心室内に導入することを含み、前記遠位先端を取り外し可能に取り付けることが、前記遠位先端を心内膜組織に取り付けることを含む、実施態様14に記載の方法。
図1
図2