(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
入退出管理のためのゲートシステムが開発されている。最近では、顔認識アルゴリズムを利用して入退出する個人を特定して管理を行うゲートシステムも導入されつつある。
【0003】
このゲートシステムは、人の通過を検知するセンサを備えたゲートと、人を撮像する撮像部と、撮像された人の画像を顔認識アルゴリズムによって認識し、データベースに格納する管理装置と、を備える。
【0004】
従来、撮像部によって撮像された画像は、顔認識アルゴリズムによって顔が撮像されていると判定された場合、すべてデータベースに格納されていた。
【0005】
従って、実際にはゲートを通過しない、ゲートの近くにいる人の顔画像もデータベースに格納され、データベースのデータ精度の低下を引き起こしていた。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、顔認識ゲートシステムの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
本実施形態の顔認識ゲートシステムは、人の通過を検知するセンサを有するゲートと、ゲートを通過する人を撮像する撮像部と、センサが人の通過を検知したタイミングに基づいて撮像部が撮像したフレームの中から1以上のフレームを抽出する抽出部と、抽出部が抽出したフレームから顔認識する顔認識部と、を備える。
【0012】
図1は、顔認識ゲートシステムの構成を示す図である。
図1に示すように、顔認識ゲートシステムは、人の通過を検知するセンサ21を有するゲート2と、ゲート2を通過する人を撮像する撮像部1と、センサ21が人の通過を検知したタイミングに基づいて撮像部1が撮像したフレームの中から1以上のフレームを抽出する管理装置3と、を備える。管理装置3は、受信部としての機能、設定部としての機能、格納部としての機能、検知部としての機能、判定部としての機能、抽出部としての機能、顔認識部としての機能を備える。
【0013】
ゲート2は、人が一人通過できる間隔をあけて設置される一対の第1の仕切り壁22A及び第2の仕切り壁22Bを備える。ゲート2のセンサ21は、例えば、第1の仕切り壁22Aに発光素子が設けられ、第2の仕切り壁22Bにこの発光素子が発行する光を受光する受光素子が設けられる。従って、発光素子が発する光線を人が遮ることによりセンサ21は人の通過を検知する。
【0014】
撮像部1は例えばCCD素子を備えるカメラを用いることができる。撮像部1は
図1に示した矢印の方向にゲート2に入ってくる人の顔を撮像できる方向を向いて設置される。撮像部1は例えば1秒間に24フレームを撮像し、撮像した画像データを管理装置3に送信する。
【0015】
管理装置3は撮像部1から受信した各フレームにタイムスタンプをつけてあらかじめ定められた枚数を記憶部32に格納する。
【0016】
ここで、予め定められた枚数とは、例えば1分間の間に撮像することができるフレーム数である1440フレームである。管理装置3は1441フレーム目を受信した場合、時間的に一番古いフレームを破棄し、新たに受信したフレームを格納する。
【0017】
従って、管理装置3は記憶部32の中に所定時間分のフレームを格納していることとなる。
【0018】
図2は、顔認識ゲートシステムの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、顔認識ゲートシステムは、撮像部1と、センサ21を備えるゲート2と、管理装置3を備える。
【0019】
管理装置3はいわゆるパソコンを用いることができる。具体的には、管理装置3は、演算装置であるCPU(central processing unit)を備える制御部31と、メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置を備える記憶部32と、キーボード、ディスプレイ、マウスなどの入出力装置を備える入出力部33と、通信を行う通信部34と、を備える。
【0020】
記憶部32は、撮像部1から受信したフレームのデータをタイムスタンプとともに格納する顔情報記憶部32Aと、管理装置3が顔情報記憶部32Aからセンサ21が人の通過を検知したタイミングに基づいて抽出したフレームを顔認識して格納する入館者データベース(以下、データベースをDBという。)32Bと、を格納する。
図3は、顔認識部4の機能ブロック図である。
図3に示すように、管理装置3は顔認識アルゴリズムを含む顔認識部4によって顔認識を行う。(顔認識部)
顔認識部4は、撮像部1によって撮像されたフレームデータから顔の輪郭を検出する顔輪郭検出部41と、顔輪郭検出部41によって検出された顔の輪郭の内部の目、鼻、口等の顔の要素を検出する顔要素検出部42と、顔要素検出部42によって検出された顔の要素に基づいて特徴量を算出する特徴量検出部43と、あるフレームにおいて検出された特徴量と他のフレームにおいて検出された特徴量とを比較して同一人であるかを判定する特徴量判定部44と、を備える。
【0021】
管理装置3は、記憶部32に格納されている顔認識部4のプログラムデータを読み出し、順次実行する。まず管理装置3は、顔輪郭検出部41によって、フレームの中の顔の輪郭を検出する。フレームの中に顔の輪郭が検出できなければそのフレームはノイズとして破棄される。
【0022】
次に管理装置3は、顔要素検出部42によって顔の輪郭の内部の目、鼻、口、等の顔の要素を検出する。
【0023】
次に管理装置3は、特徴量検出部43によって、各要素の大きさ、位置、要素間の位置関係等の特徴量を検出し、この特徴量をフレーム毎に記憶部32に格納する。
【0024】
管理装置3は、あるフレームに写った人と、他のフレームに移った人とが同一人であるかの判定を要求された場合、格納されている特徴量をフレーム毎に順次読み出し、判定すべきフレームの特徴量との差分を計算する。
【0025】
管理装置3は、この差分が閾値以下である場合、同一人である可能性があると判定する。
【0026】
図4は、管理装置3のフレームの記憶方式を示す図である。
図4に示すように、管理装置3は顔情報記憶部32Aに所定時間分のフレームをタイムスタンプとともに記憶する。
【0027】
そして、新たなフレームデータ401を受信した場合、最も古いフレームデータ402を破棄して新たなフレームデータ401を顔情報記憶部32Aにタイムスタンプとともに格納する。
【0028】
従って、管理装置3は顔情報記憶部32Aに所定数のフレームデータを常時格納していることとなる。
【0029】
図5は、管理装置3がフレームを抽出する方法を示す図である。
図5に示すように、管理装置3は顔情報記憶部32Aに所定時間分のフレームを記憶する。
【0030】
ここで、管理装置3がセンサ21から人の通過を検知する信号を時刻t0に受信したとする。管理装置3はまずこの時刻t0を記憶する。
【0031】
管理装置3は、時刻t0から所定時間前の時刻t1から、時刻t0から所定時間後の時刻t2までの間のタイムスタンプを有するフレーム501を顔認識用乃至管理用のフレームとして抽出し、その他のフレームは抽出せずに破棄する。
【0032】
ここで破棄とは、メモリからフレームを削除してもよいし、メモリから削除せずに抽出を行わないだけでもよい。
【0033】
時刻t0から時刻t1までの時間は例えば3秒とすることができる。時刻t0から時刻t2までの時間は例えば30秒とすることができる。
【0034】
時刻t0から時刻t1までの時間より時刻t0から時刻t2までの時間の方が長くすることが望ましい。タイミング的に通過者の顔が明確にフレーム内に映っている可能性が高くなるからである。
【0035】
上記所定時間内に、複数のフレームが該当する場合には、管理装置3は顔認識処理を行って最もよく顔を認識できるフレームだけ1枚乃至数枚抽出して入館者DB32Bに格納することもできる。
【0036】
図6は、顔認識ゲートシステムの管理装置3の動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、ステップ601において、管理装置3は撮像部1から撮像されたフレームを受信する。(受信部)
ステップ602において、管理装置3は各フレームにタイムスタンプを設定する。(設定部)
ステップ603において、管理装置3はタイムスタンプとともに受信したフレームを顔情報記憶部32Aに格納する。(格納部)
ステップ604において、管理装置3はセンサ21からの信号をスキャン(検知)する。(検知部)
ステップ605において、管理装置3はセンサ21から人が通過したことを検知した旨の信号を受信したと判定した場合、ステップ606に進み、受信したと判定しなかった場合、ステップ601に戻る。(判定部)
ステップ606において、管理装置3はセンサ21から人が通過したことを検知した旨の信号を受信した時刻t0から、所定時間前の時刻t1から所定時間後の時刻t2までの間のタイムスタンプを有するフレームを抽出し(抽出部)、入館者DB32Bに格納する。
【0037】
以上述べたように、本実施形態の顔認識ゲートシステムは、人の通過を検知するセンサ21を有するゲート2と、ゲート2を通過する人を撮像する撮像部1と、センサ21が人の通過を検知したタイミングに基づいて撮像部1が撮像したフレームの中から1以上のフレームを抽出する管理装置3と、を備える。
【0038】
従って、ゲートを通過した人の顔画像を精度よく抽出できるという効果がある。
【0039】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。