(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180922
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】被覆物の除去方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20170807BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
E04G23/02 Z
B09B5/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-267573(P2013-267573)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124480(P2015-124480A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小松 保
(72)【発明者】
【氏名】内村 勝志
(72)【発明者】
【氏名】松尾 宏司
(72)【発明者】
【氏名】三宅 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岩内 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】土屋 敏明
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−091085(JP,A)
【文献】
特開2013−053515(JP,A)
【文献】
特開2009−263114(JP,A)
【文献】
特開平07−119300(JP,A)
【文献】
特開平11−336335(JP,A)
【文献】
米国特許第04774974(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0211093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造物におけるフロアと前記フロアに通じるエレベーターの昇降路とを区画養生する区画養生工程と、
前記区画養生された前記フロアの被覆物を除去する被覆物除去工程と、
複数の前記フロアで除去された前記被覆物を、前記フロアの少なくとも一つに、前記昇降路を介して運搬し集約する被覆物集約工程と、
前記被覆物が集約された前記フロアで、前記被覆物を袋又は容器に詰めて密閉する密閉工程と、
を備える被覆物の除去方法。
【請求項2】
前記被覆物除去工程は、複数の前記フロアで同時に行う、
請求項1に記載の被覆物の除去方法。
【請求項3】
前記フロアに通じる前記昇降路の出入口を養生する養生部材は、開閉可能となっている、
請求項1又は請求項2に記載の被覆物の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築資材などに使われていた有害廃棄物、例えばアスベスト(石綿)などの除去が行われている。このような建築物におけるアスベストを除去する際には、アスベスト粉塵(石綿粉塵)が外部に漏洩しないように作業を行うことが求められる。このため、アスベストの除去作業を行う際には、アスベスト粉塵(石綿粉塵)が外部に漏洩しないように室内やエレベーターシャフトをそれぞれ養生し区画管理している(例えば、特許文献1〜特許文献4を参照)。
【0003】
ここで、多層構造物(高層ビル等)の場合、フロア毎に養生して区画管理し、区画管理された状態でアスベストを除去する。そして、除去したアスベストを各フロアで産廃処理用の袋詰めを行い搬出している。したがって、各フロアでのアスベストの袋詰め養生作業が完了するまで、各フロアの区画管理を解除することができない。よって、アスベストなどの被覆物の除去作業を効率化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−53515号公報
【特許文献2】特開2013−194429号公報
【特許文献3】特開2009−91082号公報
【特許文献4】特開2009−263114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を鑑み、被覆物の除去作業を効率化することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、多層構造物におけるフロアと前記フロアに通じるエレベーターの昇降路とを区画養生する区画養生工程と、前記区画養生された前記フロアの被覆物を除去する被覆物除去工程と、複数の前記フロアで除去された前記被覆物を、前記フロアの少なくとも一つに、前記昇降路を介して運搬し集約する被覆物集約工程と、前記被覆物が集約された前記フロアで、前記被覆物を袋又は容器に詰めて密閉する密閉工程と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の発明では、多層構造物におけるフロア及びフロアに通じるエレベーターの昇降路を区画養生することで、複数のフロアの被覆物をエレベーターの昇降路を介して、フロアの少なくとも一つに運搬し集約することができる。そして、被覆物が集約されたフロアで、被覆物を袋又は容器に詰めて密閉する。
【0008】
よって、例えば、被覆物が除去されたフロアの区画管理を早期に解除することができる。したがって、例えば、各フロアで被覆物の袋詰めを行う場合と比較し、被覆物の除去作業が効率化される。
【0009】
請求項2の発明は、前記被覆物除去工程は、複数の前記フロアで同時に行う。
【0010】
請求項2に記載の発明では、複数のフロアで被覆物の除去作業を同時に行うので、被覆物の除去作業が更に効率化される。
【0011】
請求項3の発明は、前記フロアに通じる前記昇降路の出入口を養生する養生部材は、開閉可能となっている。
【0012】
請求項3に記載の発明では、フロアに通じる昇降路の出入口を養生する養生部材は、開閉可能となっているので、出入りが容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被覆物の除去作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】高層ビルの上層のフロアのアスベストの除去を行っている様子を模式的に示す縦断面図である。
【
図2】
図1のアスベストの除去を行っているフロアを模式的に示す水平断面図である。
【
図3】エレバーターの出入口を養生する養生シートを示す斜視図である。
【
図4】
図1のフロアのアスベストの除去が終了し、その下層のフロアのアスベストの除去を行っている様子を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の被覆物の除去方法について図面を説明する。
[構造ビル]
まず、本発明を適用して被覆物の一例としてのアスベストを除去する多層構造物の一例としての高層ビル10について説明する。
【0016】
図1に示すように高層ビル10は、地下ヤード(地下のフロア)12と地上の複数のフロア20とを含む多層構造の建物である。なお、地上階の各フロア20は、上層から順番に符号20にA、B、C、Dを付して区別する場合がある。
【0017】
高層ビル10には、エレベーター50が設置されている。また、高層ビル10の各フロア20は、エレベーターホールとして機能する(
図2も参照)。
【0018】
エレベーター50は、人や物を運搬するためのカゴ(ケージ)52を有し、出入り口となる左右にスライドして開閉する開閉ドア55が設けられている。このカゴ52は、昇降路(エレベータシャフト)54に設置されている。昇降路54の上側には、機械室58が設けられ、この機械室58には、巻上装置56が設置されている。また、昇降路54の下部は、エレベータピット15となっている。
【0019】
カゴ52は、ワイヤーロープ51によって、カゴ52とほぼ同様の重量のカウンターウェイト53に繋がれている。ワイヤーロープ51は、巻上装置56の滑車57に巻き掛けられており、滑車57が回転することでカゴ52とカウンターウェイト53とが上下方向に移動するように構成されている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、昇降路54は、外周部がコンクリート製の側壁60によって囲まれている。四方の側壁60の一つを構成し、エレベーター50のカゴ52の開閉ドア55に対向する側壁62には、フロア20毎に出入口64が形成されられている。また、各出入口64には、左右にスライドして開閉する開閉扉66が設けられている。よって開閉扉66が開くと、昇降路54と各フロア20とが連通された状態になる。
【0021】
図2に示すように、各フロア20の壁22は、複数の窓24が設けられている。また、各フロア20の壁22には、耐火被覆材としてのアスベストASが吹き付けられ、被覆されている。
【0022】
[アスベストの除去]
つぎに、本発明の被覆物の除去方法を用いた各フロア20のアスベストASの除去について説明する。
【0023】
図1〜
図3に示すように、アスベストASを除去するフロア20A,20Bのエレベーター50の出入口64の前に風除室74を設置し養生(マスキング)する。また、
図3に示すように、風除室74の前面を構成する養生シート70には、幅方向の中央部に上下方向に沿ってファスナー72が設けられ、開閉可能となっている。
【0024】
また、
図1及び
図2に示すように、アスベストASを除去するフロア20の窓24や図示してない換気口等を養生シート80で養生(マスキング)する。本実施形態では、
図1に示すように、まず上層の二つのフロア20Aとフロア20Bとを養生する。更に、地下ヤード12及びエレベータピット15の直上階の機械室58も養生シート80で図示していない換気口や出入口などを養生する。
【0025】
なお、アスベストASを除去しないフロア20のエレベーター50の出入口64の開閉扉66は、開閉しないように閉じた状態で固定し、昇降路54と連通されていない状態とする。ただし、地下ヤード12の開閉扉66は、固定しない。
【0026】
よって、フロア20A、20B、地下ヤード12、機械室58、及びフロア20A,20Bに通じるエレベーター50の昇降路54が、区画養生された状態となる。
【0027】
また、フロア20A、20Bと地下ヤード12とに、負圧除塵装置90を設置する。そして、これら負圧除塵装置90を作動させることで、区画養生されたフロア20A,20B及び昇降路54が、外気に対して負圧の状態となる。
【0028】
養生され負圧状態となったフロア20A,20Bで、アスベストASを剥離して除去する。除去したアスベストASは、ボックス状の台車102に積み、台車102をエレベーター50のカゴ52に乗せて地下ヤード12に運搬する。なお、エレベーター50の出入口64を養生している風除室74の養生シート70は、台車102をエレベーター50のカゴ52に乗せて地下ヤード12に運搬する際に開閉する。
【0029】
図4に示すように、アスベストASを剥離し除去が完了したフロア20A,20Bのエレベーター50の出入口64の開閉扉66を開閉しないように閉じた状態で固定し、昇降路54と連通されていない状態とし、風除室74及び養生シート80を撤去する。
【0030】
また、フロア20Bの下層のフロア20C及びフロア20Dの出入口64の前に風除室74を設置し養生(マスキング)する。また、フロア20C及びフロア20Dの窓24や図示してない換気口等を養生シート80で養生し、負圧除塵装置90(
図1及び
図2参照)を設置する。そして、負圧除塵装置90を作動させることで、区画養生されたフロア20C,20D及び昇降路54が、外気に対して負圧の状態となる。
【0031】
養生が完了し負圧状態となったフロア20C,20Dで、同様にアスベストASを剥離して除去する。除去したアスベストASは、台車102に積みエレベーター50のカゴ52に乗せて地下ヤード12に運搬する。
【0032】
このようにフロア20を二層ずつ順次アスベストASを除去して、アスベストASを地下ヤード12に集約する。
【0033】
地下ヤード12では、アスベストASは、十分な強度を有するプラスチックなどの樹脂製の袋100に詰めて密閉する。アスベストASが詰められた袋100は、最終的に地下ヤード12から搬出し、トラックで産廃施設に運び処理される。
【0034】
[作用及び効果]
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0035】
フロア20及びフロア20に通じるエレベーター50の昇降路54を区画養生することで、各フロア20で除去されたアスベストASを、エレベーター50を利用して(昇降路54を介して)、地下ヤード12に運搬し集約することができる。そして、アスベストASが集約された地下ヤード12で、アスベストASを樹脂製の袋100に詰めて密閉する密閉作業を行う。
【0036】
よって、例えば、アスベストASが除去されたフロア20の区画管理を早期に解除することができる。したがって、例えば、各フロア20でアスベストASを袋100に詰めて密閉する密閉作業を行う場合と比べ、アスベストASの除去作業が効率化される。
【0037】
また、複数(本実施形態では二層)のフロア20でアスベストASの除去作業を同時に行うので、アスベストASの除去作業が更に効率化される。
【0038】
また、各フロア20に通じるエレベーター50の昇降路54の出入口64を養生する風除室74の前面を構成する養生シート70は、開閉可能となっているので、出入りが容易である。
【0039】
[その他]
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、フロア20から地下ヤード12には、アスベストASを台車102に積んで運搬したが、これに限定されない。台車102以外の容器(例えば、ばけつ)や袋に詰めて運搬してもよい。
【0041】
また、例えば、上記実施形態では、エレベータピット15の直上階の地下ヤード12にアスベストASを集約したが、これに限定されない。地下ヤード12及び地上のフロア20のどこに集約してもよい。また、アスベストASを集約するフロアは、一つでなくでもよい。複数のフロアにアスベストASを集約してもよい。
【0042】
また、例えば、上記実施形態では、複数(本実施形態では二層)のフロア20で同時アスベストASの除去作業を行ったが、これに限定されない。負圧除塵装置90の能力によっては、一つのフロア20ずつアスベストASの除去を行ってもよい。また、複数のエレベーター50を用いてアスベストASを運搬してもよい。
【0043】
また、例えば、上記実施形態では、アスベストASの除去に本発明を適用したが、これに限定されるものではない。アスベスト含有吹付けロックウールや吹付けロックウール(岩綿)などの耐火被覆材にも適用できる。或いは、その他アスベストAS以外の有害廃棄物に指定されている被覆物にも本発明を適用することができる。例えば、放射性粒子を含む粉塵の拡散の防止が求められる場合などにも本発明を適用することができる。
【0044】
また、例えば、上記実施形態では、地下ヤード12では、アスベストASは、十分な強度を有するプラスチックなどの樹脂製の袋100に詰めて密閉したが、これに限定されない。樹脂性の袋100以外の、例えばドラム缶などの堅牢な容器に詰めて密閉してもよい。また、有害廃棄物に応じて適宜、袋や容器を選定すればよい。
【0045】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
【符号の説明】
【0046】
10 高層ビル(多層構造物の一例)
12 地下ヤード(フロアの一例)
20 フロア
50 エレベーター
54 昇降路
64 出入口
70 養生シート(養生部材の一例)
100 袋
AS アスベスト(被覆物の一例)