(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルキレンオキサイドの平均付加モル数が5以上、150以下のポリアルキレンオキサイドを有する共重合体(A)と、全単量体中、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の割合が65モル%以上であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法により決定されるピークトップ分子量が450万以上、900万以下の重合体(B)とを含有し、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.002以上、0.020以下である、水硬性組成物用混和剤。
共重合体(A)が、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が5以上、150以下のアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸、水酸基を有しても良い炭素数1以上、3以下の(メタ)アクリル酸エステル及び不飽和基を有するリン酸エステルから選ばれる1種以上とを共重合した共重合体である、請求項1記載の水硬性組成物用混和剤。
請求項1又は2の水硬性組成物用混和剤と、水とを含有する水硬性組成物用混和剤組成物であって、共重合体(A)と重合体(B)の合計含有量が、組成物中、5質量%以上、50質量%以下である、水硬性組成物用混和剤組成物。
請求項1又は2記載の水硬性組成物用混和剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有する水硬性組成物であって、水硬性粉体100質量部に対し、共重合体(A)を0.1質量部以上含有する、水硬性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の効果を発現する機構は不明であるが、以下のように推定される。
セメント等の水硬性粉体粒子は凝集性が高く水の中で撹拌しても個々の粒子はバラバラにならず、数十個の粒子が凝集した凝集体(フロック)を形成すると言われている。そこに、共重合体(A)を添加し攪拌することで、一部のフロックを崩壊させ、水硬性粉体粒子表面の吸着した共重合体(A)のポリアルキレンオキサイドの立体反発により再凝集を抑制し、フロック中に存在している拘束水を開放させて自由水とすることで水硬性組成物に流動性を付与することが可能となる。しかしながら、水硬性粉体量が少ないコンクリートの製造において、高い流動性を得るために過剰に共重合体(A)を添加すると、水硬性粉体粒子表面に吸着した共重合体(A)の増加により、自由水の量が過剰となり水硬性組成物に一体性を確保する事が困難となり、材料分離抵抗性や自己充填性が低下し、ブリーディングが増加してしまう。本発明では、重合体(B)が存在することで、重合体(B)の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位により自由水を抱え込んだ状態でネットワークを形成し、高い材料分離抵抗性、自己充填性、及びブリーディング抑制効果を発現すると考えられる。そして、重合体(B)が自由水を抱え込んだネットワークを形成するためには、重合体(B)の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位の割合がある程度以上であり、重合体(B)の分子量がある特定の範囲であることが必要と考えられる。また、フロックとネットワーク形成の関係から、共重合体(A)と重合体(B)の質量比に好適範囲があると考えられる。
【0016】
本発明の水硬性組成物用混和剤は、前記特定の共重合体(A)と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の構成単位を所定比率で有する重合体(B)を含有する。
【0017】
<共重合体(A)>
共重合体(A)は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が5以上、150以下のポリアルキレンオキサイドを有する共重合体である。ただし、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が前記範囲のポリアルキレンオキサイドを有する共重合体であっても、重合体(B)の要件も満たす場合は、共重合体(A)ではなく重合体(B)に属するものとする。
【0018】
共重合体(A)としては、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が5以上、150以下のアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸、水酸基を有しても良い炭素数1以上、3以下の(メタ)アクリル酸エステル及び不飽和基を有するリン酸エステルから選ばれる1種以上とを共重合した共重合体が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートの意味であり、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸の意味である。アルキレンオキサイドは、好ましくはエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイドである。
【0019】
共重合体(A)としては、下記一般式(A0)で表される単量体を含む単量体を重合して得られる共重合体が挙げられる。
【0021】
〔式中、R
1a、R
2aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。AOは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数であり、5以上、150以下の数を表す。Xは水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基を表す。〕
【0022】
より具体的には、下記共重合体(A−1)〜(A−4)から選ばれる1種以上の共重合体が挙げられる。
〔共重合体(A−1)〕
下記一般式(A1)で表される単量体〔以下、単量体(A1)という〕及び下記一般式(A2)で表される単量体〔以下、単量体(A2)という〕を含む単量体を共重合して得られる共重合体
【0024】
〔式中、R
1a、R
2aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。AOは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基、n1はAOの平均付加モル数であり、110以上、130以下の数を表す。Xは水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基を表す。〕
【0026】
〔式中、R
3a、R
4a、R
5aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Mは水素原子、1価金属又は置換基を有していてもよいアンモニウム基を表す。〕
【0027】
〔共重合体(A−2)〕
前記単量体(A1)、前記単量体(A2)及び下記一般式(A3)で表される単量体〔以下、単量体(A3)という〕を含む単量体を共重合して得られる共重合体
【0029】
〔R
6aは水素原子又はメチル基を表す。R
7aは炭素数1以上、8以下のアルキル基、炭素数2以上、8以下のアルケニル基又は炭素数2以上、6以下のヒドロキシ基含有アルキル基を表す。〕
【0030】
〔共重合体(A−3)〕
下記一般式(A4)で表される単量体〔以下、単量体(A4)という〕及び前記単量体(A2)を含む単量体を共重合して得られる共重合体
【0032】
〔式中、R
1a、R
2aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。AOは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基、n2はAOの平均付加モル数であり、5以上、50以下の数を表す。Xは水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基を表す。〕
【0033】
〔共重合体(A−4)〕
前記単量体(A4)及び下記一般式(A5)で表される単量体〔以下、単量体(A5)という〕を共重合して得られる共重合体
【0035】
〔式中、R
8aはヒドロキシエチル基又はグリセロール基である。〕
【0036】
<共重合体(A−1)>
本発明の共重合体(A−1)は、ポリカルボン酸系重合体であり、上記一般式(A1)で表される単量体(A1)及び上記一般式(A2)で表される単量体(A2)を含む単量体を共重合して得られる。共重合体(A−1)は、共重合体(A−2)、共重合体(A−3)、及び共重合体(A−4)とは異なる共重合体である。
【0037】
単量体(A1)は、炭素数2又は3のアルキレンオキシ基平均110モル以上、130モル以下を有するエチレン性不飽和単量体であり、メトキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。
【0038】
単量体(A1)としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化物や、アクリル酸又はメタクリル酸へのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加物を用いることができる。
アルキレンオキシ基の平均付加モル数n1は110以上、130以下であり、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの両付加物についてはランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれでも用いることができる。水硬性組成物に対する凝結遅延性の観点から、平均付加モル数n1は、110以上、好ましくは115以上、そして、130以下、好ましくは125以下である。
【0039】
単量体(A1)は、不飽和結合を有する酸とポリアルキレングリコール又はその片末端をアルキルエーテル化した誘導体とを反応させて得られる。不飽和結合を有する酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
本発明に用いられる単量体(A2)はアクリル酸系単量体であり、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの金属塩から選ばれる単量体が挙げられる。
【0041】
共重合体(A−1)において、単量体(A1)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A1)/単量体(A2)〕は、初期減水性の観点から、好ましくは1/99以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは5/95以上、より更に好ましくは7/93以上であり、好ましくは30/70以下、より好ましくは25/75以下、更に好ましくは20/80以下、より更に好ましくは13/87以下である。
また、共重合体(A−1)において、単量体(A1)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A1)/単量体(A2)〕は、初期減水性の観点から、好ましくは1/99〜30/70、より好ましくは3/97〜25/75、更に好ましくは5/95〜20/80、より更に好ましくは7/93〜13/87である。
【0042】
共重合体(A−1)において、単量体(A1)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A1)/単量体(A2)〕は、流動保持性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、更に好ましくは15/85以上、より更に好ましくは17/83以上であり、そして、好ましくは35/65以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは25/75以下、より更に好ましくは23/77以下である。
また、共重合体(A−1)において、単量体(A1)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A1)/単量体(A2)〕は、流動保持性の観点から、好ましくは5/95〜35/65、より好ましくは10/90〜30/70、更に好ましくは15/85〜25/75、より更に好ましい17/83〜23/77である。
【0043】
共重合体(A−1)を構成する全単量体中、単量体(A1)及び単量体(A2)の合計は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは97質量%以上、より更に好ましくは実質100質量%であり、100質量%であってよい。
【0044】
上記単量体(A1)及び単量体(A2)を含む単量体を重合して得られる共重合体(A−1)の製造は、溶媒中の重合や塊状重合等の方法で行うことができる。
【0045】
溶媒中での合成は回分式でも連続式でも行うことができる。溶媒としては、水、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及びケトン化合物が挙げられるが、作業性の面から水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及び水/低級アルコール混合系が好ましい。水系で重合を行う場合の重合開始剤としてはアンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩及び過酸化水素等が適している。溶媒を用いる場合の重合温度は、0℃以上、120℃以下から選択できる。
【0046】
塊状重合の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド等のパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物が好ましい。重合温度は、40℃以上、160℃以下から選択できる。
【0047】
共重合体(A−1)は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5000以上、より好ましくは20000以上、より好ましくは30000以上であり、そして、好ましくは500000以下、より好ましくは100000以下、より好ましくは85000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載された方法により測定されたものである。
【0048】
<共重合体(A−2)>
本発明の共重合体(A−2)は、上記単量体(A1)、単量体(A2)及び単量体(A3)を含む単量体を共重合して得られる。共重合体(A−2)は、共重合体(A−1)、共重合体(A−3)、及び共重合体(A−4)とは異なる共重合体である。
【0049】
共重合体(A−2)に用いる単量体(A1)及び単量体(A2)の具体例及び好ましい例は、それぞれ、共重合体(A−1)と同じである。
【0050】
単量体(A3)は、エチレン性不飽和モノカルボン酸のアルキル、アルケニル又はヒドロキシアルキルエステル単量体であり、例えば、炭素数1以上、8以下の直鎖もしくは分岐鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2以上、8以下の直鎖もしくは分岐鎖アルケニル(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2以上、6以下のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。一般式(A3)中のR
7aとしては、炭素数1以上、4以下のアルキル基が、得られる重合体の水への溶解性が良い点で好ましく、メチル基がより好ましい。一般式(A3)中のR
7aは、直鎖、分岐鎖の形態については限定されるものではない。
【0051】
共重合体(A−2)を構成する全単量体中、単量体(A1)、単量体(A2)及び単量体(A3)のそれぞれの割合は、流動保持性の観点から、単量体(A1)0.1モル%以上、50モル%以下、単量体(A2)0.1モル%以上、50モル%以下、及び単量体(A3)50モル%以上、90モル%以下が好ましく、更に好ましくは、単量体(A1)1モル%以上、15モル%以下で、単量体(A2)5モル%以上、30モル%以下、更に単量体(A3)50モル%以上、90モル%以下の範囲である。更に単量体(A1)5モル%以上、40モル%以下、単量体(A2)5モル%以上、40モル%以下、及び単量体(A3)50モル%以上、90モル%以下の範囲においては流動性の低下が殆どなく、かつ初期流動性と流動保持性のバランスがよく、その結果コンクリートに対する混和剤の使用量が低減できる点で極めて優れる。
【0052】
また、共重合体(A−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内で他の共重合可能な単量体を用いて製造してもよい。こうした単量体としては例えば、アクリロニトリル、メタリルスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、スチレンスルホン酸等が挙げられる。より詳細には、エチレン性不飽和ジカルボン酸のアルキル、アルケニル又はヒドロキシアルキルエステル単量体が挙げられる。具体的には、炭素数1以上、18以下の直鎖もしくは分岐鎖アルキルのマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸ジエステル、又はシトラコン酸ジエステル、炭素数1以上、18以下の直鎖もしくは分岐鎖アルケニルのマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸ジエステル、又はシトラコン酸ジエステルを使用することもできる。この場合も直鎖、分岐鎖の形態については限定されるものではない。また、その他の構成単量体としては、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル等が一例として挙げられる。また、更にその他の構成単量体としては、不飽和ジカルボン酸系単量体として、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、置換基を有していてもよいアンモニウム塩を使用できる。置換基を有していてもよいアンモニウム塩としては、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルアンモニウム塩等の置換アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0053】
共重合体(A−2)を構成する全単量体中、単量体(A1)、単量体(A2)及び単量体(A3)の合計は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは97質量%以上、より更に好ましくは実質100質量%であり、100質量%であってよい。
【0054】
共重合体(A−2)は公知の方法で製造することができる。例えば、特開昭62−119147号公報、特開昭62−78137号公報等に記載された溶液重合法が挙げられる。即ち、適当な溶媒中で、上記単量体(A1)、単量体(A2)及び単量体(A3)を上記の割合で組み合わせて重合させることにより製造される。
【0055】
溶液重合法において用いる溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。取り扱いと反応設備から考慮すると、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。
【0056】
水系の重合開始剤としては、過硫酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩あるいは過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート等の水溶性アゾ化合物が使用される。水系以外の溶剤を用いる溶液重合にはベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物等が用いられる。
【0057】
また、重合開始剤と併用して、亜硫酸水素ナトリウム、アミン化合物等の促進剤を使用することもできる。更に、分子量調整をする目的で、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、1−メルカプトグリセリン、メルカプトコハク酸、アルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を併用することもできる。
【0058】
共重合体(A−2)は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは50,000以下である。重量平均分子量は、流動付与性の観点から上限値以下が好ましく、流動保持性の観点からで下限値以上が好ましい。この重量平均分子量は、実施例に記載された方法により測定されたものである。
【0059】
<共重合体(A−3)>
本発明の共重合体(A−3)は、上記単量体(A4)及び単量体(A2)を含む単量体を共重合して得られる。共重合体(A−3)は、共重合体(A−1)、共重合体(A−2)、及び共重合体(A−4)とは異なる共重合体である。
【0060】
単量体(A4)は、炭素数2又は3のアルキレンオキシ基平均5モル以上、50モル以下を有するエチレン性不飽和単量体であり、メトキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。
【0061】
単量体(A4)としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化物や、アクリル酸又はメタクリル酸へのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加物を用いることができる。アルキレンオキシ基の平均付加モル数n2は5以上、50以下であり、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの両付加物についてはランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれでも用いることができる。水硬性組成物に対する粘性低減の観点から、平均付加モル数n2は好ましくは6以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは35以下、より好ましくは30以下である。
【0062】
単量体(A4)は、不飽和結合を有する酸とポリアルキレングリコール又はその片末端をアルキルエーテル化した誘導体とを反応させて得られる。不飽和結合を有する酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0063】
本発明に用いられる単量体(A2)はアクリル酸系単量体であり、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの金属塩から選ばれる単量体が挙げられる。
【0064】
共重合体(A−3)において、単量体(A4)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A4)/単量体(A2)〕は、初期減水性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、更に好ましくは15/85以上、より更に好ましくは20/80以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、更に好ましくは35/65以下、より更に好ましくは30/70以下である。
また、共重合体(A−3)において、単量体(A4)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A4)/単量体(A2)〕は、初期減水性の観点から、好ましくは5/95〜50/50が、より好ましくは10/90〜40/60が、更に好ましくは15/85〜35/65が、より更に好ましくは20/80〜30/70である。
【0065】
共重合体(A−3)において、単量体(A4)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A4)/単量体(A2)〕は、流動保持性の観点から、好ましくは35/65以上、より好ましくは40/60以上、更に好ましくは45/55以上、より更に好ましくは48/52以上であり、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下、より更に好ましくは57/43以下である。
また、共重合体(A−3)において、単量体(A4)と単量体(A2)のモル比〔単量体(A4)/単量体(A2)〕は、流動保持性の観点から、好ましくは35/65〜80/20、より好ましくは40/60〜70/30、更に好ましくは45/55〜60/40、より更に好ましくは48/52〜57/43である。
【0066】
共重合体(A−3)を構成する全単量体中、単量体(A4)及び単量体(A2)の合計は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは97質量%以上、より更に好ましくは実質100質量%であり、100質量%であってよい。
【0067】
上記単量体(A4)及び単量体(A2)を含む単量体を重合して得られる共重合体(A−3)の製造は溶媒中の重合や塊状重合等の方法で行うことができる。
【0068】
溶媒中での合成は回分式でも連続式でも行うことができる。溶媒としては、水、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及びケトン化合物が挙げられるが、作業性の面から水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及び水/低級アルコール混合系が好ましい。水系で重合を行う場合の重合開始剤としてはアンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩及び過酸化水素等が適している。溶媒を用いる場合の重合温度は、0℃以上、120℃以下から選択できる。
【0069】
塊状重合の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド等のパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合物が好ましい。重合温度は、40℃以上、160℃以下から選択できる。
【0070】
共重合体(A−3)は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5000以上、より好ましくは20000以上、より好ましくは30000以上であり、そして、好ましくは500000以下、より好ましくは100000以下、より好ましくは85000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載された方法により測定されたものである。
【0071】
<共重合体(A−4)>
本発明の共重合体(A−4)は、上記単量体(A4)及び単量体(A5)を含む単量体を共重合して得られる。共重合体(A−4)は、共重合体(A−1)、共重合体(A−2)、及び共重合体(A−3)とは異なる共重合体である。
【0072】
共重合体(A−4)に用いる単量体(A4)の具体例及び好ましい例は、共重合体(A−3)と同じである。ただし、平均付加モル数n2は、水硬性組成物に対する粘性低減の観点から、好ましくは6以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
【0073】
単量体(A5)としては、一般式(A5)のR
8aが、ヒドロキシエチル基のヒドロキシエチルアクリレート及びグリセロール基のグリセリルアクリレートが挙げられる。単量体(A5)としては、水硬性組成物の流動保持性の向上の観点から、好ましくはヒドロキシエチルアクリレート、より好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートである。
【0074】
共重合体(A−4)を構成する全単量体中、単量体(A4)及び単量体(A5)の合計は、水硬性組成物の流動保持性の向上の観点から、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質100質量%であり、100質量%であってよい。
【0075】
共重合体(A−4)において、単量体(A4)と単量体(A5)のモル比〔単量体(A4)/単量体(A5)〕は、流動保持性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは7/93以上、更に好ましくは10/90以上、より更に好ましくは12/88以上であり、そして、好ましくは40/60以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは20/80以下、より更に好ましくは18/82以下である。
また、共重合体(A−4)において、単量体(A4)と単量体(A5)のモル比〔単量体(A4)/単量体(A5)〕は、流動保持性の観点から、好ましくは5/95〜40/60、より好ましくは7/93〜30/70、更に好ましくは10/90〜20/80、より更に好ましくは12/88〜18/82である。
【0076】
その他の単量体として、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸〕エステル、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステル、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸エステル、ポリアルキレレングリコールモノ(メタ)アクリレートアシッドリン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのアクリル酸系単量体を挙げることができ、また、これらの何れか1種以上のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩や無水マレイン酸などの無水化合物であっても良い。また、メチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート等の単量体(A5)以外のアクリル酸エステルが挙げられる。単量体(A6)を用いる場合は、メタクリル酸、アクリル酸、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステルが好ましい。
【0077】
更に、その他の単量体として、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、これら何れかのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩や、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メタスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−エタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、スチレン、スチレンスルホン酸などの単量体が挙げられる。その他の単量体は、共重合体の全構成単量体中、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下であり、実質的に含まないことが好ましい。
【0078】
共重合体(A−4)は、上記記載の共重合体である(A−1)から(A−3)と同様の方法で製造することができる。
【0079】
本発明における共重合体(A−4)の製造方法として、例えば、特開昭62−119147号公報、特開昭62−78137号公報等に記載された溶液重合法が挙げられる。即ち、適当な溶媒中で、上記単量体(A4)及び単量体(A5)を上記の割合で組み合わせて重合させることにより製造される。
【0080】
共重合体(A−4)の製造方法の一例を示す。反応容器に所定量の水を仕込み、窒素等の不活性気体で雰囲気を置換し昇温する。予め単量体(A4)、単量体(A5)、更に場合によりその他の単量体、連鎖移動剤を水に混合溶解したものと、重合開始剤を水に溶解したものとを用意し、0.5時間以上、5時間以下かけて反応容器に滴下する。その際、各単量体、連鎖移動剤及び重合開始剤を別々に滴下してもよく、また、単量体の混合溶液を予め反応容器に仕込み、重合開始剤のみを滴下することも可能である。すなわち、連鎖移動剤、重合開始剤、その他の添加剤は、単量体溶液とは別に添加剤溶液として添加しても良いし、単量体溶液に配合して添加してもよいが、重合の安定性の観点からは、単量体溶液とは別に添加剤溶液として反応系に供給することが好ましい。また、好ましくは所定時間の熟成を行う。なお、重合開始剤は、全量を単量体と同時に滴下しても良いし、分割して添加しても良いが、分割して添加することが未反応単量体の低減の点では好ましい。例えば、最終的に使用する重合開始剤の全量中、1/2以上、2/3以下の重合開始剤を単量体と同時に添加し、残部を単量体滴下終了後1時間以上、2時間以下熟成した後、添加することが好ましい。必要に応じ、熟成終了後に更にアルカリ剤(水酸化ナトリウム等)で中和し、(A−4)の共重合体を得る。
【0081】
共重合体(A−4)は、水硬性組成物の流動保持性の向上の観点から、重量平均分子量(Mw)が好ましくは6,000以上、より好ましくは15,000以上であり、そして、好ましくは40,000以下、より好ましくは35,000である。また、共重合体(A−4)は、添加量の温度依存性の観点から、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000以上、30,000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載された方法により測定されたものである。
【0082】
共重合体(A)は、水硬性組成物に初期減水性及び流動保持性を向上させる観点より、構成の異なる2種以上の共重合体を用いることが好ましく、前記共重合体(A−1)〜(A−4)から選ばれる2種以上、更に3種以上、更に3種の共重合体がより好ましい。具体的には、水硬性組成物への添加量の観点及び初期減水性と流動保持性を向上させる観点から、前記共重合体(A−1)から選ばれる2種と前記共重合体(A−2)又は前記共重合体(A−4)からなる3種の共重合体を含むことが好ましい。また、水硬性組成物の粘性低減の観点、及び初期減水性と流動保持性を向上させる観点から、前記共重合体(A−2)から選ばれる2種と前記共重合体(A−4)からなる3種の共重合体を含むことが好ましい。
【0083】
水硬性組成物の流動保持性を向上させる観点から、共重合体(A)は、共重合体(A−2)、共重合体(A−3)及び共重合体(A−4)から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。共重合体(A)は、前記共重合体(A−1)〜(A−4)から選ばれる2種以上、更に3種以上の共重合体を含み、且つ共重合体(A−2)、共重合体(A−3)及び共重合体(A−4)から選ばれる1種以上の共重合体を含むことがより好ましい。
【0084】
<重合体(B)>
重合体(B)は、全単量体中、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AMPSと表記する)の割合が65モル%以上であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法により決定されるピークトップ分子量が450万以上、900万以下の重合体である。
【0085】
重合体(B)は、AMPSの単独重合体(AMPSの割合は100モル%)及びAMPSと他の単量体との共重合体(AMPSの割合は100モル%未満)から選ばれる重合体である。共重合体では、他の単量体は、アクリル酸(以下、AAと表記する)が好ましい。重合体(B)が、単量体としてAMPS及びAAを含む共重合体である場合、AMPSとAAのモル比〔AA/AMPS〕は、材料分離抵抗性及び自己充填性の観点から、好ましくは1/99以上、より好ましくは2/98以上、更に好ましくは3/97以上、より更に好ましくは4/96以上であり、そして、好ましくは35/65以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは25/75以下、より更に好ましくは15/85以下である。
また、AMPSとAAのモル比〔AA/AMPS〕は、材料分離抵抗性及び自己充填性の観点から、好ましくは1/99〜35/65、より好ましくは2/98〜30/70、更に好ましくは3/97〜25/75、より更に好ましくは4/96〜15/85である。
【0086】
重合体(B)が単量体としてAMPS及びAAを含む共重合体である場合、該共重合体を構成する全単量体中、AMPSとAAの合計は、材料分離抵抗性及び自己充填性の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、より好ましくは100モル%である。
【0087】
重合体(B)は、塩であってもよい。塩である場合、材料分離抵抗性及び自己充填性の観点から、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、又は分子量300以下の含窒素系化合物による塩が好ましい。分子量300以下の含窒素系化合物としては、例えば、アンモニア、アルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、モノブタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、水硬性組成物の材料分離抵抗性及び自己充填性の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0088】
重合体(B)の分子量は、材料分抵抗性及び自己充填性、更にはブリーディング抑制観点から、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法により決定されるピークトップ分子量が450万以上、900万以下であり、好ましくは500万以上、より好ましくは550万以上、より好ましくは600万以上、であり、そして、850万以下、より好ましくは825万以下、より好ましくは800万以下である。
【0089】
重合体(B)の分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法により決定される。標準サンプルにはポリエチレングリコール(PEG)を使用し、PEG換算分子量を用いる。本発明においては、数平均分子量や重量平均分子量ではなく、GPC溶出曲線の検出強度が最も高い留分のPEG換算値により決定される分子量(以下、ピークトップ分子量と言う)を採用する。
【0090】
〔GPC法 測定条件〕
使用カラム:TSKgel PW+GMPWXL+GMPWXL(東ソー株式会社製)
溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー(伸陽化学工業株式会社製)/高速液体クロマトグラフ用アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)=9/1(vol%)
流速:1.0mL/min.
カラム温度:40℃
検出器:RALLS(90°光散乱解析計)
サンプル濃度:1〜100μg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール
【0091】
重合体(B)は、例えば、水系媒体中で、重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下で、AMPSとAAとを、公知の重合方法により共重合させ、必要に応じて得られた重合体をアルカリで中和することにより得られる。
【0092】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二硫酸塩二水和物、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過硫酸ナトリウム、又はNaHSO
3等が、連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコール、又はNaHSO
3等が挙げられる。
【0093】
重合体(B)のピークトップ分子量は、一般的には連鎖移動剤の投入量によって制御される。連鎖移動剤が多いほどピークトップ分子量は小さくなり、連鎖移動剤が少ないほどピークトップ分子量は大きくなる。
【0094】
重合体(B)は、材料分離抵抗性及びブリーディング抑制の観点から、AMPSとAAが前記特定のモル比にある共重合体の塩が好ましい。AMPSとAAが前記特定のモル比にある共重合体のナトリウム塩の水溶液の市販品の例として、AA/AMPS=98/2(モル比)の共重合化合物(ピークトップ分子量12,000)のナトリウム塩の40質量%水溶液等が挙げられる。
【0095】
<水硬性組成物用混和剤>
本発明の水硬性組成物用混和剤は、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.002以上であり、材料分離抵抗性の観点から、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.004以上である。そして、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.020以下であり、製品安定性及び流動性の観点から、好ましくは0.018以下、より好ましくは0.016以下である。
【0096】
本発明の水硬性組成物用混和剤は、他の添加剤と併用することができる。例えばAE剤、AE減水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、増粘剤、防水剤、防泡剤、保水剤、セルフレベリング剤、防水剤、防錆剤、ひび割れ低減剤等が挙げられる。
【0097】
<水硬性組成物用混和剤組成物>
本発明の水硬性組成物用混和剤は、水硬性組成物を調製する際の作業性の観点から、共重合体(A)と重合体(B)を含有する水硬性組成物用混和剤と、水とを含有する水硬性組成物用混和剤組成物として用いることができる。本発明は、本発明の水硬性組成物混和剤と、水とを含有する水硬性組成物用混和剤組成物であって、共重合体(A)と重合体(B)の合計含有量が、組成物中、5質量%以上、50質量%以下である、水硬性組成物用混和剤組成物を提供する。また、本発明は、共重合体(A)と、水とを含有し、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.002以上、0.020以下であり、共重合体(A)と重合体(B)の合計含有量が、組成物中、5質量%以上、50質量%以下である、水硬性組成物用混和剤組成物を提供する。以下、本発明の水硬性組成物用混和剤組成物という場合、これらを包含する。本発明では、水を含有する水硬性組成物用混和剤組成物を調製しても共重合体(A)及び重合体(B)が析出や分離することなく、一液化の組成物を調製できる。
【0098】
本発明の水硬性組成物用混和剤組成物において、共重合体(A)と重合体(B)の合計の含有量は、水硬性組成物の流動保持性の向上と、水硬性組成物を調製する際の作業性の向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下がより好ましく、より好ましくは35質量%以下である。
【0099】
本発明の水硬性組成物用混和剤組成物中、共重合体(A)の含有量は、水硬性組成物の流動性向上の観点から、1.0質量%以上、好ましくは3.0質量%以上で、更に好ましくは5.0質量%以上であり、そして、製品安定性の観点から、好ましくは41質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下である。
【0100】
また、本発明の水硬性組成物用混和剤組成物中、重合体(B)の含有量は、製品安定性及び1液性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、そして、好ましくは9.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下である。
【0101】
本発明の水硬性組成物用混和剤組成物は、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.002以上であり、材料分離抵抗性の観点から、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.004以上である。そして、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.020以下であり、製品安定性及び流動性の観点から、好ましくは0.018以下、より好ましくは0.016以下である。
【0102】
<水硬性組成物>
本発明は、上記本発明の水硬性組成物用混和剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有する水硬性組成物であって、水硬性粉体100質量部に対し、共重合体(A)を0.1質量部以上、3.5質量部以下含有する、水硬性組成物を提供する。
【0103】
本発明の水硬性組成物において、本発明の水硬性組成物用混和剤の含有量は、初期流動性の向上と流動保持性の向上の観点から、水硬性粉体(セメント等)100質量部に対して、共重合体(A)と重合体(B)の合計の固形分で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは3.6質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。
【0104】
本発明の水硬性組成物において、共重合体(A)の含有量は、水硬性粉体(セメント等)100質量部に対して、固形分で、0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上であり、そして、3.5質量部以下、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。
【0105】
本発明の水硬性組成物において、重合体(B)の含有量は、水硬性粉体(セメント等)100質量部に対して、固形分で、好ましくは0.0010質量部以上、より好ましくは0.0015質量部以上、更に好ましくは0.002質量部以上、より更に好ましくは0.003質量部以上であり、そして、好ましくは0.050質量部以下、より好ましくは0.0250質量部以下、更に好ましくは0.0225質量部以下、より更に好ましくは0.02質量部以下である。
【0106】
本発明の水硬性組成物は、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.002以上であり、材料分離抵抗性の観点から、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.004以上である。そして、共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.020以下であり、製品安定性及び流動性の観点から、好ましくは0.018以下、より好ましくは0.016以下である。
【0107】
本発明に係る水硬性組成物は、前記水硬性組成物用混和剤と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有する。
【0108】
水硬性組成物としては、コンクリート等が挙げられる。なかでもセメントを用いたコンクリートが好ましい。
【0109】
水硬性組成物に使用される水硬性粉体とは、水和反応により硬化する物性を有する粉体のことであり、セメント、石膏等が挙げられる。好ましくは普通ポルトランドセメント、ビーライトセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、耐硫酸セメント等のセメントであり、またこれらに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石粉(炭酸カルシウム粉末)等が添加されたものでもよい。
【0110】
骨材としては、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
【0111】
本発明に係る水硬性組成物は、生コンクリート、コンクリート振動製品分野の外、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、石膏スラリー用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、グラウト用、地盤改良用、寒中用等の種々のコンクリートの何れの分野においても有用である。
【0112】
共重合体(A)と重合体(B)を含有する水硬性組成物用混和剤は、水硬性粉体が少ない水硬性組成物において顕著に自己充填性や材料分離抵抗性に優れるため、単位体積あたりの水硬性粉体の含有量が、好ましくは320kg/m
3以上、より好ましくは330kg/m
3以上、そして、好ましくは400kg/m
3以下、より好ましくは360kg/m
3以下である水硬性組成物に用いることが好適である。従って、本発明の水硬性組成物は、単位体積あたりの水硬性粉体の含有量が、好ましくは320kg/m
3以上、より好ましくは330kg/m
3以上、そして、好ましくは400kg/m
3以下、より好ましくは360kg/m
3以下である。この単位体積あたりの水硬性粉体の含有量は、水硬性組成物がコンクリートの場合に好適である。なお、この含有量は、水硬性組成物を調製する際の配合量に基づくものであってもよい。
【0113】
共重合体(A)と重合体(B)を含有する水硬性組成物用混和剤は、流動性の高い水硬性組成物において顕著に自己充填性や材料分離抵抗性に優れるため、JIS A1150法によるスランプフロー値が好ましくは500mm以上、より好ましくは550mm以上、そして、好ましくは700mm以下、より好ましくは650mm以下である水硬性組成物の調製に用いることが好適である。従って、本発明の水硬性組成物は、JIS A1150法によるスランプフロー値が、好ましくは500mm以上、より好ましくは550mm以上、そして、好ましくは700mm以下、より好ましくは650mm以下である。このスランプフロー値は、水硬性組成物がコンクリートの場合に好適である。
【0114】
共重合体(A)と共重合体(B)を含有する水硬性組成物用混和剤は、流動性の高い水硬性組物において顕著に自己充填性や材料分離抵抗性に優れるため、単位体積当たりの粗骨材の含有量が、好ましくは700kg/m
3以上、より好ましくは720kg/m
3以上、より好ましくは780kg/m
3以上、そして、好ましくは880kg/m
3以下、より好ましくは840kg/m
3以下である水硬性組成物に用いることが好適である。従って、本発明の水硬性組成物は、単位体積あたりの粗骨材の含有量が、好ましくは700kg/m
3以上、より好ましくは720kg/m
3以上、より好ましくは780kg/m
3以上、そして、好ましくは880kg/m
3以下、より好ましくは840kg/m
3以下である。なお、この含有量は、水硬性組成物を調製する際の配合量に基づくものであってもよい。
【0115】
本発明の水硬性組成物は、水/水硬性粉体比〔スラリー中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)、通常W/Pと略記されるが、粉体がセメントの場合、W/Cと略記される。〕が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
【0116】
本発明の水硬性組成物としては、単位体積あたりの水硬性粉体の含有量が320kg/m
3以上、400kg/m
3以下であり、JIS A1150法によるスランプフロー値が500mm以上、700mm以下である、コンクリートが挙げられる。
【0117】
本発明により、
アルキレンオキサイドの平均付加モル数が5以上、150以下のポリアルキレンオキサイドを有する共重合体(A)と、全単量体中、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の割合が65モル%以上であり、ピークトップ分子量が450万以上、900万以下の重合体(B)と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有する水硬性組成物であって、
水硬性粉体100質量部に対し、共重合体(A)を0.1質量部以上、3.5質量部以下含有し、
共重合体(A)と重合体(B)の質量比が、重合体(B)/共重合体(A)で0.002以上、0.020以下である、
水硬性組成物が提供される。この水硬性組成物の好ましい態様は上記と同じである。
【実施例】
【0118】
製造例A1(共重合体A−4−1の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水463.19gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で70℃まで昇温した。ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数9、水分10%、純度93.6%)188.26gと2−ヒドロキシエチルアクリレート210.19gの混合液と、3−メルカプトプロピオン酸(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製、試薬)5.65gを水30gに溶解した水溶液と、過硫酸アンモニウム水溶液(I)〔過硫酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、試薬)8.74gを水40gに溶解した水溶液〕の3者を、同時に滴下を開始し、それぞれ5時間かけて滴下した後、過硫酸アンモニウム水溶液(II)〔過硫酸アンモニウム1.46gを水20gに溶解した水溶液〕を0.5時間かけて滴下した。その後、70℃で1時間熟成した。熟成終了後に20%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、重量平均分子量23000共重合体A−4−1を含有する水溶液を得た。重量平均分子量は下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定した。
【0119】
なお、ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートは、特許第3874917号記載の方法に準じて、エステル化反応により合成し、未反応物として残留するメタクリル酸を留去により、1質量%未満にしたものを用いた。
【0120】
具体的には、メタクリル酸とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸、重合禁止剤としてハイドロキノンを用いてエステル化反応させた後、アルカリ剤として水酸化ナトリウムを用いて酸触媒を失活させ、真空蒸留法により未反応のメタクリル酸を留去した。
【0121】
〔重量平均分子量の測定方法〕
使用カラム:東ソー株式会社製
TSKguardcolumn PWxl
TSKgel G4000PWxl+G2500PWxl
溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー(伸陽化学工業株式会社製)/高速液体クロマトグラフ用アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)=9/1(vol%)
流速:1.0mL/min.
カラム温度:40℃
検出:RI
注入量:10μL(0.5質量%水溶液)
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)875000、540000、235000、145000、107000、24000
検量線次数:三次式
装置:HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)
ソフトウエア:EcoSEC-WS(東ソー株式会社製)
【0122】
製造例A2(共重合体A−1−1の製造)
単量体としてω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数120)と、メタクリル酸を10/90(モル比)〔87/13(質量比)〕で用いた以外は製造例A1と同様に共重合体を製造し、イオン交換水を用いて固形分20%に調整し、共重合体A−1−1を含有する水溶液を得た。共重合体A−1−1の重量平均分子量は39,000であった。
【0123】
製造例A3(共重合体A−1−2の製造)
単量体としてω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数120)と、メタクリル酸を20/80(モル比)〔94/6(質量比)〕で用いた以外は製造例A1と同様に共重合体を製造し、イオン交換水を用いて固形分20%に調整し、共重合体A−1−2を含有する水溶液を得た。共重合体A−1−2の重量平均分子量は53,000であった。
【0124】
製造例A4(共重合体A−2−1の製造)
単量体としてω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数120)と、メタクリル酸と、アクリル酸メチルを10/20/70(モル比)〔87/3/10(質量比)〕で用いた以外は製造例A1と同様に共重合体を製造し、イオン交換水を用いて固形分20%に調整し、共重合体A−2−1を含有する水溶液を得た。共重合体A−2−1の重量平均分子量は40,000であった。
【0125】
製造例A5(共重合体A−3−1の製造)
単量体としてω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数23)と、メタクリル酸を27/73(モル比)〔83/17(質量比)〕で用いた以外は製造例A1と同様に共重合体を製造し、イオン交換水を用いて固形分20%に調整し、共重合体A−3−1を含有する水溶液を得た。共重合体A−3−1の重量平均分子量は51,000であった。
【0126】
製造例A6(共重合体A−3−2の製造)
単量体としてω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数9)と、メタクリル酸を53/47(モル比)〔87/13(質量比)〕で用いた以外は製造例A1と同様に共重合体を製造し、イオン交換水を用いて固形分20%に調整し、共重合体A−3−2を含有する水溶液を得た。共重合体A−3−2の重量平均分子量は65,000であった。
【0127】
製造例B1(共重合体B−2の製造)
シュガーエステル(三菱化学フーズ株式会社製、品名:S−770)3.56gをシクロヘキサン1059.4gに溶解させて窒素雰囲気下で70℃に昇温したところに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸696.8g、30%水酸化ナトリウム溶液448.4g、アクリル酸15.06g、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)製、品名:V−50)1.82gをイオン交換水190.7gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、更に30分間撹拌した。共沸還流液から水相のみを分離し、含水率が30質量%まで低減したところで放冷し、得られた固形粒状物を減圧下、充分に乾燥し、白色粒状物として共重合体B−2を得た。
【0128】
製造例B2〜13(共重合体B−1、B−3〜B−13の製造)
共重合体B−1、B−3〜B−13は、各単量体の仕込み比率、更には重合開始剤の添加量を変えて、製造例B1と同様に製造した。各共重合体の組成及びピークトップ分子量を表1に示した。尚、ピークトップ分子量は重合開始剤の添加量を変える事によって制御した。また、ピークトップ分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法により決定した。
表1に合成した共重合体B−1〜B−13を示した。
【0129】
〔共重合体B−1〜B−13のピークトップ分子量のためのGPC法 測定条件〕
使用カラム:TSKgel PW+GMPWXL+GMPWXL(東ソー株式会社製)
溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー(伸陽化学工業株式会社製)/高速液体クロマトグラフ用アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)=9/1(vol%)
流速:1.0mL/min.
カラム温度:40℃
検出器:RALLS(90°光散乱解析計)
サンプル濃度:1〜100μg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール
【0130】
【表1】
【0131】
製造例A1〜A6で製造した共重合体A−1−1〜共重合体A−4−1、及び製造例B1〜B13で製造した共重合体B1〜共重合体B−13を以下の実施例、比較例で用いた。
【0132】
実施例1〜10及び比較例1〜11
<コンクリートの製造及びスランプフロー値の評価>
表2に示した配合で、コンクリートの練混ぜ量が30リットルになるようにそれぞれ材料を計量し、強制二軸ミキサーを用いてコンクリートを調製した。表2にコンクリートの配合を示した。
【0133】
【表2】
【0134】
表中の成分は以下のものである。
W:練り水(水硬性組成物用混和剤を含む)
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製普通ポルトランドセメントと住友大阪セメント株式会社製普通ポルトランドセメントの1:1混合物)、密度3.16g/cm
3
S1:揖斐川産 粗目砂、密度2.58g/cm
3
G1:兵庫県 家島産 砕石2010(G1とG2の合計中35質量%で使用)、密度2.60g/cm
3
G2:兵庫県 家島産 砕石1005(G1とG2の合計中65質量%で使用)、密度2.60g/cm
3
【0135】
また、W/Cは、〔W/C〕×100で求められる水/セメントの質量百分率(質量%)であり、S/aは、〔(S1)/(S1+G1+G2)〕×100で求められる骨材中の細骨材の体積百分率(体積%)である。W/Cは48.6体積%で行った。
【0136】
練り方は粗骨材投入後、1/2質量の細骨材、セメント、更に残りの1/2質量の細骨材を投入し、空練りを10秒実施した。
その後、水硬性組成物用混和剤と水道水とを混合して調製した練り水を、水硬性組成物用混和剤の添加量が表3〜5の値となるように投入し、90秒攪拌後に排出し、JIS A1150法によってコンクリートの流動性(スランプフロー値)を、JIS A1128によってコンクリートの空気量を測定した(0分後)。スランプフロー値は最大となる方向の値とその方向と直交する最大値の2点の平均値を求めた。また、コンクリートを練り板で60分静置し、同様にスランプフロー値及び空気量を測定した。
なお、表3〜5では、重合体(B)に該当しない重合体も便宜的に重合体(B)の欄に示した。
また、表3〜5中、共重合体(A)、重合体(B)の添加量は、セメント100質量部に対する固形分の質量部である。
【0137】
<ブリーディング率の評価>
JIS A1123に準じて実施した。具体的には、上記方法で製造されたコンクリートを、内径250mm、内高285mmの金属製の円柱にコンクリートを打ち込み、打ち込み終了から60分の間、10分毎に、コンクリート上面に浸み出した水を吸い取った。その後はブリーディングが認められなくなるまで、30分毎に水を吸い取った。コンクリート上面に浸み出した水の量からブリーディング率を算出した。下記に式を示す。
Br=(V×ρw)/Ws×100
Br:ブリーディング率(%)、V:最終時まで累計したブリーディングによる水の容積(cm
3)、ρw:試験温度における水の密度(g/cm
3)
ブリーディング率の値は小さいほど望ましく、この評価では、1.00%未満であることが好ましく、0.50%未満であることがより好ましい。
【0138】
<材料分離抵抗性の評価>
JSCE−F 511−2010に記載のU型容器を用いて材料分離抵抗性を判断した。試験方法は片室の上面まで上記方法で製造されたコンクリートを流し込み、1分間静置し、その後、ゲートを開放し、コンクリートの充填高さを測定した。材料分離抵抗性が良いものは静置中に骨材分離が生じず、充填高さが高いまま維持される。充填高さの値は大きいほど望ましく、この評価では、280mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがより好ましい。
【0139】
<自己充填性の評価>
上記製造方法において、コンクリートの練り混ぜ後、φ15cmの円柱型枠にコンクリートを打設し、硬化脱型後、コンクリート表面の充填状態を肉眼で観察した。評価基準は下記の通りである。
空隙なし:○
空隙あり:×
【0140】
<1液性の評価>
表3〜5記載の水硬性組成物用混和剤の質量比で、共重合体(A)と重合体(B)とを合計で20質量%、水を80質量%含有する水硬性組成物用の1液型混和剤組成物を調製し、1か月間20℃に保管した時の溶液状態を観察し下記の基準で評価した。
分相、沈殿、白濁などの分離なし:○
分相、沈殿、白濁などの分離あり:×
【0141】
<圧縮強度>
内径10cm×長さ20cmの型枠にコンクリートを流し込み、JIS A1132に準じて、コンクリートの強度試験用供試体を作成した。作成した供試体は24時間静置し、静置後、脱型し、JIS A1108に準じてコンクリートの圧縮強度試験を行った。
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
【表5】