【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一態様において、吸収体システムに関係し、これにより、排尿(またはたぶん糞便もしくは月経の状況)の範囲および/または配置の決定が可能になる。
【0006】
本発明の一態様において、使用者の身体の股領域に着用したときに液体排泄物(つまり、排尿、月経、または糞便の液体)を吸収するための吸収体が実現され、吸収体は液体排泄物を検出するための複数の検出ゾーンを備え、それぞれの検出ゾーンは互いに電気的に絶縁された第1の導電経路および第2の導電経路によって形成され、第1の導電経路と第2の導電経路との間の液体排泄物により第1の導電経路と第2の導電経路との間に電流が流れるように配置構成され、この電流が検出されることで各ゾーン内の液体排泄物の存在を検出することができ、複数のゾーンは、排泄物の縦方向および/または横方向の範囲を確認できるように縦方向および/または横方向に分布される。使用時に、他の何らかの形で電気的に絶縁されている第1の導電経路と第2の導電経路との間に、吸収コア中に吸収される液体排泄物によって導電性ブリッジが形成される。液体検出は、コンダクタンス、抵抗、インピーダンス、キャパシタンス、またはアドミッタンスなどの第1の導電経路と第2の導電経路との間を流れる電流の電気的特性の変化を測定することによって実行可能である。
【0007】
そこで、吸収体は、これら2つの間の排尿の検出を可能にする絶縁された導電経路が分布されている。したがって、液体排泄物が導電経路の2つを短絡させ、短絡が検出されうるため、検出ゾーンを活性化することによって吸収体中の液体の拡散を判定することができる。液体排泄物の拡散は、液体排泄物の体積を示し、これは、吸収体の吸収効果を分析するときに知るべき有益なパラメータである。液体排泄物の時間の経過による縦方向の拡散は、液体排泄物の個別の事例の良好な指標となる。
【0008】
好ましい一実施形態では、検出ゾーンは、吸収体に関して縦方向に分布され、横方向の拡散に比べて縦方向の排泄物の範囲を排泄物体積に十分に近づけることができる。
【0009】
好ましくは、第1の導電経路および第2の導電経路は互いに縦方向に離されている。
【0010】
より好ましくは、液体排泄物が吸収体に入るようにするトップシート、液体排泄物が吸収体から漏れるのを防ぐためのバックシート、およびそれらの間に捕捉されている吸収コアを備える吸収体において、これらのゾーンは、吸収コアの縦方向の範囲の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、および好ましくは少なくとも80%に沿って分布される。吸収コアの縦方向の範囲は、吸収層の全体に関して理解されるべきである(複数ある場合)。
【0011】
好ましくは、第1の導電経路および第2の導電経路は、細長く、横方向に整列される。
【0012】
効果的な排泄物体積検出システムを構成するために、好ましくは、検出ゾーンは少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、15個、20個、30個、さらには50個ある。ゾーンの数が多ければ多いほど、液体排泄物拡散の判定をより正確に行える。これは、導電経路の量の増大、制御ユニットへの接続部の数の増大、およびコントローラの信号処理要件の増大という不利点で相殺される。好ましい一実施形態では、検出ゾーンの数は4から12、好ましくは8個である。
【0013】
液体排泄物が吸収体の背面から漏れるのを防ぐためのバックシートおよび液体排泄物が吸収体に入るようにするためのトップシートを備え、これらが合わさって吸収コアを捕捉する吸収体に関して、第1の導電経路および第2の導電経路は、好ましくは、横方向に、吸収コアの範囲全体の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、および好ましくは少なくとも約90%延在する。第1の導電経路および第2の導電経路の横方向の範囲は、中心を外れた液体排泄物であっても確実に判定することができることを意味している。
【0014】
好ましい一実施形態では、第1の導電経路および第2の導電経路は、吸収体の吸収コアから絶縁された各導電性セクションと導電性接触しており、これにより、第1の導電経路および第2の導電経路は、吸収コアと電気的に接触する。各導電性セクションは、好ましくは、吸収体の制御ユニット接触領域から各導電経路へのリードを備えるように配置構成される。導電性セクションは、絶縁層によって、または吸収コアから離されていることによって吸収コアから絶縁されうる。好ましい一構成において、導電性セクションは、吸収体の電気絶縁層の片面に配置構成され、また導電経路は、吸収コアと電気的に接触するように層のもう一方の面に配置構成される。第1の導電経路および第2の導電経路は、絶縁層を通過することができる。
【0015】
一実施形態では、制御ユニット接触領域は、吸収体のウェストバンドのところに、好ましくは突出タブとして配置される。
【0016】
そこで、導電経路は、吸収コアと連続的に電気的接触しているが、リードは、そこから絶縁される。絶縁層とは別に、リードおよび導電経路は、他の何らかの形で一体型導電経路であるものとしてよい。
【0017】
一実施形態では、導電体材料(例えば、金属)メッキポリマーファイバーを第1の導電経路および第2の導電経路として、および/または銀メッキナイロン糸などの、リードとして使用される。あるいは、ステンレスなどの導線を使用することも可能である。
【0018】
一実施形態では、絶縁層は、液体不透過性材料から作られる吸収体のバックシートである。
【0019】
一実施形態では、リードは、縦方向に向けられ、導電経路は、横方向に向けられる。横方向に向けられた導電経路は、互いに縦方向に離されている。
【0020】
好ましくは、第1の導電経路および第2の導電経路の1つは、2つの検出ゾーンの間で共有され、それにより、導電経路の数およびコントローラとの接続の数を減らすことができる。
【0021】
好ましい一実施形態では、第1の導電経路および第2の導電経路は、吸収体の吸収コアの頂面の下に位置決めされる。したがって、導電経路は、吸収コア内に埋め込まれるか、または吸収コアの下に位置決めされるようにすることが可能である。導電経路は、好ましくは、吸収コアの下に位置決めされ、それでも電気的に接触している。これらの経路をコア内に埋め込むと、センサーの移動感度が低下する傾向があるが、経路を吸収体のコアとバックシートとの間に配置すると、液体排泄物感度が改善される。一実施形態では、吸収コアは、吸収コア材料の下層と吸収体を平面で見て、平たくレイアウトしたときにサイズが小さい吸収コア材料の上層とで形成されうる。あるいは、下層は、上層と異なる吸収材料組成、例えば超吸収性フラフ比を有することができる。いずれの場合も、第1の導電経路および第2の導電経路は、吸収コアの下層と上層との間に配置されうる。
【0022】
第1の導電経路および第2の導電経路を、吸収体のバックシートに通すことによって吸収体内に縫い込むことができる。
【0023】
好ましい一実施形態では、吸収体は、成人失禁用おむつであり、経路は3から8cm、好ましくは3から6cm、好ましくは4から5cmの距離だけ縦方向に互いに離されており、導電経路に隣接し、吸収コアの縦方向全範囲を覆う段階、必要なリードおよび接点の数を減らす段階、第1の、または少量の液体排泄物を検出するうえで十分に高密度の検出ゾーンの広がりを確実にする段階の間の最適なトレードオフの関係をもたらす。
【0024】
一実施形態では、少なくとも2つの検出ゾーンを構成する少なくとも3つの導電経路があり、これらの導電経路は、吸収コアに沿って均等に分布される。
【0025】
一実施形態では、それぞれの検出ゾーンは、隣接する導電経路によって形成される。
【0026】
好ましい一実施形態では、上で説明されている吸収体と制御ユニットとを備えるシステムが実現され、制御ユニットは、第1の導電経路と第2の導電経路との間の電気的特性を測定して、第1の導電経路と第2の導電経路との間に液体排泄物が存在するときにそのことを検出し、また複数の検出ゾーンのそれぞれについてそのような検出を行うように構成される。
【0027】
制御ユニットは、第1の導電経路と第2の導電経路との間に電位をかけ、戻る電流から電気的特性を判定するように構成される。
【0028】
そこで、コントローラは、ゾーンがもしあればどのゾーンに液体排泄物が入るか、どれが液体排泄物の拡散の指標になるか、したがって液体排泄物の体積も検出することができる。
【0029】
好ましくは、制御ユニットは、それぞれの測定の間の干渉を回避し、制御ユニット内のスイッチング構造を簡素化するため複数のゾーンを順次測定するように構成される。
【0030】
好ましくは、制御ユニットは、それぞれのゾーンに電気エネルギーのパルスを印加し、パルスを使用してインピーダンス測定を行うように構成される。パルスは、1/10秒以下のオーダーとすることができる。電気エネルギーのパルスは、エネルギーの連続的印加に比べて、静止時間で区切られた電気エネルギーの離散的バーストで印加されるエネルギーである。そこで、制御ユニットは、限られた時間の間、導電経路の間の電圧印加をオンにし、オン時間とオン時間との間のより長い期間にわたってオフにすることができる。
【0031】
好ましくは、これは第1の導電経路と第2の導電経路との間に存在する導電経路の有無を示すだけでなく、測定される電気コンダクタンスの程度の指標ともなっている(例えば、インピーダンス測定)。コンダクタンスの程度は、吸収体がそのゾーン内で飽和にどれだけ近いかを示し、これにより液体排泄物体積の推定を改善することができる。そのため、測定された電気的特性は、好ましくは、濡れ具合が大きくなると減少する第1の導電経路と第2の導電経路との間の吸収コアを流れる電流に対するインピーダンスもしくは抵抗の結果として第1の導電経路と第2の導電経路との間に液体がどれだけあるかに応じてスケールもしくは範囲が変化するような特性である(液体排泄物量に伴う電気特性の変化の度合いは、コアの飽和に向けて大きく減少し得る)。
【0032】
本発明の第2の態様では、着用者の股領域に着用したときに着用者の液体排泄物を吸収するための吸収体が実現され、吸収体は互いに電気的に絶縁され、第1の導電経路と第2の導電経路との間にあるように拡散する着用者の液体排泄物が漏れ検出を実行することを可能にする導電経路をそれらの間に形成するように吸収体の外周縁に沿って配設される第1の導電経路および第2の導電経路を備える。
【0033】
上記の吸収体では、吸収体の外周縁に到達する液体排泄物は漏れのある吸収体であることを示すので漏れ検出が可能になる。
【0034】
好ましくは、第1の導電経路および第2の導電経路は、吸収体が平面内で見て平たくレイアウトされたときに吸収体の吸収コアの外側を周って位置決めされる。そこで、これは、漏れのある吸収体であることを示す、液体排泄物が吸収コアを超えて拡散したことの指標となる。
【0035】
好ましくは、吸収体は、着用者の脚に装着される形状をとる第1の側部縁および第2の側部縁を有し、第1の導電経路および第2の導電経路は、これらの側部縁の少なくとも1つに沿って配置構成される。これは、漏れ検出機能が最も効果的だと考えられる吸収体の股もしくは脚領域内にある。
【0036】
好ましくは、第1の導電経路および第2の導電経路は、吸収体の少なくとも片側に吸収体の脚弾性部分に沿って位置決めされる。
【0037】
好ましい一実施形態において、上で説明されている制御ユニットと吸収体とを備えるシステムが実現され、制御ユニットは、第1の導電経路と第2の導電経路との間に電位を印加し、それらの間の電気的特性を測定して、液体排泄物が第1の導電経路と第2の導電経路との間のある位置まで拡散しているかどうかを判定することができるように構成される。
【0038】
好ましい一実施形態において、システムは、測定された電気的特性を所定の閾値と比較して、所定の閾値を超えた場合に吸収体の漏れ状態に達したと判定するように構成された分析モジュールを備え、所定の閾値は、液体排泄物が漏れる結果として生じる飽和に比較して、着用者の皮膚を通して、または着用者の皮膚からの水分を通じて電気が伝わる結果として生じる第1の導電経路と第2の導電経路との間の過剰なコンダクタンスを区別するように設定される。
【0039】
本発明のさらに別の態様において、着用者の股領域内に着用したときに着用者の液体排泄物を吸収するための吸収体および着用者の横たわっている姿勢と座っている姿勢とを区別することを可能にする位置信号を出力することができる位置センサー、吸収体の濡れ状態を示す液体排泄物信号を出力することができる液体排泄物検出器を備える吸収体分析システムが実現され、分析モジュールは、位置出力信号および液体排泄物信号を記録し、それにより、時間の経過による位置信号および液体排泄物信号を相関させるように構成される。
【0040】
したがって、分析システムを使用することで、液体排泄物が生じるときの任意の時間パターン、さらには移動もしくは位置変更の結果としての液体排泄物に関する任意のパターンを分析することができる。分析システムは、横たわっている姿勢から立っている姿勢への変化が、着用者が緊張性尿失禁を有していることを示すものと解釈することが可能である、液体排泄物事象とほぼ同時に生じたと判定することができるので緊張性尿失禁を診断する際に特に有用である。
【0041】
位置センサーは、好ましくは、吸収体に取り付けられている制御ユニットの一部として備えられる。好ましくは、位置センサーは、好ましくは着用者の胴体に関して一般的に中心に配置されるように、吸収体の前ウェスト領域に配置構成される。位置センサーを吸収体の前に配置構成することにより、強い着用者関連移動信号が得られることがわかっている。好ましくは、位置センサーは、加速度計である。加速度計もしくは他の適切な位置センサーは、着用者の横たわっている状態、座っている状態、立っている状態、および移動している状態を区別することができる信号を発行するように構成され、これは着用者の排尿パターンを判定する際に有用な情報であり、また診断ツールとして有用である。位置センサーは、好ましくは、仰向けの姿勢、俯せの姿勢、横向きに寝る姿勢、左側を下にして横向きに寝る姿勢、右側を下にして横向きに寝る姿勢のうちの少なくとも1つを含む複数の横たわっている向きが区別されるように位置出力信号を発行するようにさらに構成される。
【0042】
分析ツールは、好ましくは、着用者がたぶん座っている状態または横たわっている状態と比較して、立っている状態にあると判定される時間の長さに基づき着用者の移動性を示すパラメータを出力するように構成される。
【0043】
さらなる好ましい一実施形態では、液体検出器は、分析モジュールが吸収体の周りに分布されている複数の検出ゾーン内の濡れ状態を記録するように複数枚液体排泄物検出センサーを備える。このシステムにより、たぶんさまざまな事象の時間に対して相関する着用者の多数の異なる位置のうちの1つの判定と併せても、吸収体上の複数の位置で液体排泄物検出を測定することができ、高度に有用な吸収体性能データが得られるだけでなく、着用者に関する有用な診断情報も得られる。
【0044】
多数の検出ゾーンを使用することで、時間の経過に基づき液体排泄物の拡散を追跡することができる。好ましくは、出力モジュールは、時間の経過に対する液体排泄物の拡散の表示を出力するように構成される。検出ゾーンは、好ましくは、互いに関して好ましくは縦方向に、好ましくは吸収体を平たくレイアウトして平面内で見たときに吸収体の吸収コアの縦方向の全範囲の少なくとも50%、60%、70%、80%、および90%に沿って分布される。
【0045】
さらに、このシステムにより、濡れていると判定されたゾーンの数の変化に基づき、または対応する液体排泄物センサーによって検出されるような濡れの増大を示す与えられたゾーン内の電気的特性の変化に基づき、最初の、および少なくとも1つの後続の、液体排泄物事象を区別することができる。
【0046】
好ましくは、液体検出器は、与えられた液体排泄物検出ゾーン内の濡れの程度を示す検出センサーの電気的特性(例えば、インピーダンス)を測定し、分析モジュールが与えられた液体排泄物検出ゾーンまたは複数の液体排泄物検出ゾーンに対する濡れの程度を記録することができるように構成された測定モジュールを備える。この方法により、液体の存在もしくは他のものを判定できるだけでなく、ゾーンがどのように濡れているかも判定することができ、有用な分析情報が得られる。
【0047】
好ましい一実施形態において、出力モジュールは、時間の経過に対して測定された電気的特性を示す表示情報(液体排泄物事象およびたぶん液体排泄物の程度も)を、好ましくはそれぞれの与えられたゾーンについて、また好ましくは例えば横たわっている姿勢および立っている姿勢を区別する位置データおよびその時間、さらに好ましくは漏れ事象の発生を示す漏れデータおよびその時間も含めて、出力するように構成される。好ましくは、出力モジュールは、分析モジュールによって実行される液体排泄物体積の計算を示すパラメータを出力するように構成される。出力モジュールは、情報を発光する画面上に表示するか、またはプリントアウトするか、または他の知られている方法で出力することができる。
【0048】
好ましい一実施形態において、出力信号からのデータは、関連する時間とともにハードメモリ内に格納される。ハードメモリデバイスの使用は、システムが、それぞれの吸収体用のデータ送信機およびシステムが設定されているそれぞれの位置にある受信機を備える必要はないことを意味する。その代わりに、吸収体は、制御ユニットを装着して備え、制御ユニットの一部としてハードメモリを有し、これにより、システムの設定の複雑さを軽減することができる。分析ソフトウェアが、ハードメモリからデータを取り出し、そのデータに関して分析作業を実行することができる。
【0049】
好ましくは、時間の経過に関する相関は、液体排泄物が生じた時間とローカル時間に関する着用者の位置を算定できるようにローカル時間の24時間表記に関して実行される。これは、例えば、液体排泄物が夜間もしくは日中に生じているかどうかに関心があるため、有用であると思われる。
【0050】
好ましい一実施形態において、分析モジュールは、測定された電気的特性から液体検出ゾーンの飽和状態を判定し、飽和した液体検出ゾーンの数から液体排泄物の体積を計算するように構成される。液体排泄物体積を検出する方法は、試みた他の方法と比較して特に正確であることがわかっている。
【0051】
好ましくは、システムは、吸収体の側部または端部からの漏れを示す漏れ信号を出力するように構成された漏れ検出器をさらに備え、分析モジュールは、時間の経過に対する位置信号、液体排泄物検出信号、および漏れ信号の相関を求めるように構成される。この方法で、システムは、吸収体の性能を評価する際に役立つことが十分実証されうる、吸収体の漏れの原因に関する有用な情報を提供することができる。
【0052】
一実施形態では、信号のそれぞれ、例えば、液体排泄物、位置などの信号が発生し、規則正しい間隔で記録される。
【0053】
本発明の別の態様において、制御ユニットと吸収体とを備えるシステムが実現され、吸収体は着用者の股領域に吸収体が着用される場合に着用者の液体排泄物を吸収するためのものであり、吸収体は吸収体が濡れたときの電気的特性の変化に基づき液体排泄物を検出する液体排泄物センサーを備え、制御ユニットは、液体排泄物センサーに電気エネルギーのパルスを印加してそれぞれのパルスで電気的特性の測定を行うように構成され、これらのパルスは電気エネルギーの静止期間で分離される。
【0054】
電気的特性は、オシロスコープ、マルチメーター、分圧器、または他の知られている手段を使って測定されうる。
【0055】
システムのパルス発生動作には少なくとも2つの利点がある。第1の利点は、センサーに印加される定電圧と比較して電池の節電がなされるという点である。パルスとパルスとの間の静止期間は、事実上電池スリープモードである。第2の利点は、長時間電流を流しているときに電気的特性を測定すると濡れた吸収体の測定が不規則になる可能性があることがわかっている点である。
【0056】
好ましくは、制御ユニットは、パルス電流が引き出される電池を備える。好ましくは、制御ユニットは、吸収体に搭載される。
【0057】
電池寿命は、本発明のシステムでは特に重要であるが、それは、吸収体の試験を都合よく実施すべき場合に試験期間全体を通して動作する必要があるからである。
【0058】
別の実施形態では、吸収体は複数のこのような液体排泄物センサーを備え、制御ユニットは、液体排泄物センサーのそれぞれに電気エネルギーのパルスを好ましくは順次印加してそれぞれの液体排泄物センサーに対する電気的特性を判定するように構成される。
【0059】
それぞれのセンサーの処理を順次行うことで、干渉を回避する。一実施形態では、そのようなセンサーは少なくとも3個、4個、5個、6個、またはそれ以上あり、制御ユニットは、液体排泄物センサーのそれぞれにエネルギーのパルスを順次印加して時間的に隣接するパルスが空間的に隣接するセンサーに印加されるのを回避するように構成される。一実施形態では、それぞれのセンサーは、吸収コアが乾燥しているときに電気的に絶縁され、吸収コアが濡れているときに吸収コアを貫通するそれらの間の導電ブリッジを有する第1の隣接する導電経路および第2の隣接する導電経路を備える。好ましい一実施形態において、隣接するセンサーは、中間の導電経路を第1の導電経路および第2の導電経路のうちの一方として共有する。一実施形態では、制御ユニットは、第1のセンサーの第1の隣接する導電経路と第2の隣接する導電経路との間に第1のパルスを印加し、第2の非隣接センサーの第1の隣接する導電経路と第2の隣接する導電経路との間にその後のパルスを印加するように構成される。あるいは、第2のセンサーおよび第1のセンサーは、それらの間に少なくとも1つの中間センサーとともに配置される。この順序アルゴリズムにより、その後のパルス発生の結果の間の干渉が回避され、これもまたパルスとパルスとの間の自然な時間間隔によって助長される。
【0060】
好ましくは、エネルギーパルスは、交流もしくは直流のパルスである。これらのパルスは、より長い持続静止期間またはよりピークのある形態のエネルギーパルスで分離される短い持続時間エネルギーバーストの方形波の形態をとりうる。
【0061】
制御ユニットは、好ましくは時間に関連して、測定された電気的特性が格納されるハードメモリデバイスを備えることができる。好ましい一実施形態において、制御ユニットは、メモリバッファを備え、制御ユニットは、与えられた液体排泄物センサーに対する複数の順次電気的特性測定の結果を格納するように構成される。メモリバッファおよびハードメモリ内にデータを格納する動作は、電池の電力の供給を受ける。これにより、メモリバッファへの格納は、ハードメモリに格納するのに比べて消費電力が著しく少ない。
【0062】
電気エネルギーのパルスは、制御ユニットが液体排泄物センサーの接点と接触するまで発生しないことがさらに好ましい。そのため、制御ユニットが、吸収体に装着され、それと適切に電気的に接触するまで、制御ユニットは、低電力モードのままである。
【0063】
この特徴の一実装では、制御ユニットの接点が吸収体の接点と電気的に係合するまで制御ユニット用のオンスイッチとして働く接点を吸収体上に有するべきであろう。
【0064】
本発明のさらなる態様において、着用者の股領域に吸収体が着用される場合に着用者の液体排泄物を吸収するための吸収体が実現され、吸収体は液体排泄物を吸収体内に移送するためのフロントシート、液体排泄物が吸収体から漏れるのを防ぐためのバックシート、およびフロントシートとバックシートとの間に捕捉される、液体排泄物を吸収するための吸収コアを備え、吸収体は、検出センサーおよび吸収コアに関連する電気的特性に基づき吸収体の濡れ状態を検出するための少なくとも1つの液体排泄物検出センサーを備え、吸収コアは、少なくとも5回のスラスト、少なくとも10回のスラスト、少なくとも20回のスラスト、少なくとも30回のスラスト、少なくとも50回のスラスト、少なくとも60回のスラスト、少なくとも70回のスラスト、少なくとも80回のスラスト、少なくとも90回のスラストのハーディ完全性(Hardy integrity)を有する。本明細書の範囲を評価する際に使用されるハーディ完全性試験手順を以下で説明する。
【0065】
信頼できる液体排泄物検出結果は、高吸収コアの完全性に依存する。使用中に、低完全性の吸収コアは、濡れると部分的に砕けてコアの中に導電性の途切れを生じ、電気的特性の測定の精度を妨げるか、または減じると推測される。
【0066】
好ましくは、液体排泄物検出センサーは、電気的に絶縁された第1の導電経路および第2の導電経路を備え、吸収コアが濡れたときに電流を吸収コアを通る第1の導電経路と第2の導電経路との間に通すことによって動作可能であり、そうして通る電流から電気的特性を測定することができる。