特許第6180940号(P6180940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180940エキソヌクレアーゼを用いた近接伸長アッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180940
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】エキソヌクレアーゼを用いた近接伸長アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20170807BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20170807BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12N15/00 A
   G01N33/53 D
【請求項の数】43
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2013-550902(P2013-550902)
(86)(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公表番号】特表2014-504880(P2014-504880A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2012051474
(87)【国際公開番号】WO2012104261
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2015年1月20日
(31)【優先権主張番号】1101621.9
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517014583
【氏名又は名称】オリンク プロテオミクス エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン、シモン
(72)【発明者】
【氏名】ルンドベルグ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、アンナ
(72)【発明者】
【氏名】レンネル−ディケンズ、エマ
【審査官】 市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06558928(US,B1)
【文献】 国際公開第2006/137932(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/123216(WO,A1)
【文献】 Expert Rev. Proteomics, 2010, Vol.7, No.3, pp.401-409
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00−3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の検体を検出するための方法であって、
(a)それぞれが検体結合ドメインと核酸ドメインとを含み、前記検体に同時に結合することが可能な第1および第2の近接プローブを少なくとも含む近接プローブのセットの少なくとも1セットに前記試料を接触させる工程と、
(b)前記近接プローブの検体結合ドメインが前記検体に結合する際に、前記近接プローブの核酸ドメインを相互作用させる工程であって、前記相互作用はデュプレックスの形成を含む工程と、
(c)前記試料を、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素に接触させる工程と、
(d)前記デュプレックスの少なくとも1つの核酸ドメインの3’末端を伸長して伸長生成物を生成する工程であって、前記工程(c)と同時にまたはその後に起こり得る工程と、
(e)前記伸長生成物を増幅および検出する工程を含み、
前記伸長工程(d)はポリメラーゼ酵素によって行われ、
前記伸長生成物を生成するのに用いる伸長用の鋳型は直鎖状である、方法。
【請求項2】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれも一本鎖であり、その5’末端により検体結合ドメインに結合することにより、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれもフリーな3’末端を残し、該二つの近接プローブの3’末端は相補的な配列を持っており、これらの近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に互いに近接するように結合すると、ハイブリダイゼーションにより相互作用できるようになり、少なくともの一方の近接プローブの核酸ドメインが他方の近接プローブの核酸ドメインを伸長用の鋳型として用いて伸長する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれも一本鎖であり、第1の近接プローブの核酸ドメインがその5’末端により検体結合ドメインに結合し、第2の近接プローブの核酸ドメインがその3’末端により検体結合ドメインに結合していることにより、第1の近接プローブの核酸ドメインはフリーな3’末端を残し、第2の近接プローブの核酸ドメインはフリーな5’末端を残し、該二つの近接プローブの3’末端は相補的な配列を持っており、これらの近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に互いに近接するように結合すると、ハイブリダイゼーションにより相互作用できるようになり、第1の近接プローブの核酸ドメインは、第2の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて伸長する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれも一本鎖であり、第1の近接プローブの核酸ドメインがその5’末端により検体結合ドメインに結合し、第2の近接プローブの核酸ドメインがその3’末端により検体結合ドメインに結合していることにより、第1の近接プローブの核酸ドメインはフリーな3’末端を残し、第2の近接プローブの核酸ドメインはフリーな5’末端を残し、第1および第2の近接プローブの検体結合ドメインに結合した核酸ドメインは相補的な領域を有しておらず、それぞれの近接プローブの核酸ドメインと相補的な領域を有する直鎖状の第3の核酸分子が提供され、第3の核酸分子は、第1および第2の近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に互いに近接するように結合すると、ハイブリダイゼーションにより相互作用できるようになり、第1の近接プローブの核酸ドメインが第3の核酸分子を鋳型として用いて伸長するか、または、第3の核酸分子が第1の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて伸長する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれも一本鎖であり、その5’末端により検体結合ドメインに結合することにより、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれもフリーな3’末端を残し、第1および第2の近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に互いに近接するように結合すると、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインは、ハイブリダイゼーションにより相互作用可能になり、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインが互いにハイブリダイゼーションする際、第1の近接プローブの核酸ドメインの3’末端は第2の近接プローブの核酸ドメインとハイブリダイズせず、ハイブリダイズされていない一本鎖のフラップ(flap)として存在し、第1の近接プローブの核酸ドメインとハイブリダイズした第2の近接プローブの核酸ドメインが、第1の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて伸長する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれも一本鎖であり、その5’末端により検体結合ドメインに結合することにより、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインはいずれもフリーな3’末端を残し、第1および第2の近接プローブの検体結合ドメインに結合した核酸ドメインは相補的な領域を有しておらず、それぞれの近接プローブの核酸ドメインと相補的な領域を有する直鎖状の第3の核酸分子が提供され、第3の核酸分子は、第1および第2の近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に互いに近接するように結合すると、第1および第2の近接プローブの核酸分子とハイブリダイゼーションにより相互作用できるようになり、第2の近接プローブの核酸ドメインが第3の核酸分子を鋳型として用いて伸長するか、または、第3の核酸分子が第2の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて伸長する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)近接プローブの核酸ドメインは一本鎖であり、相補的な領域を介して直接的に相互反応するか、または、
(ii)少なくとも一つの近接プローブの核酸ドメインは部分的に二本鎖であり、スプリントオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする一本鎖ドメインを含み、前記スプリントオリゴヌクレオチドは工程(d)で伸長される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記検体は、完全にまたは部分的にペプチドまたはタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2の近接プローブの少なくとも一方の検体結合ドメインは、抗体、またはその結合断片である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(d)は、3’エキソヌクレアーゼ活性をさらに含む核酸ポリメラーゼによって行われ、前記核酸ポリメラーゼは工程(C)の3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素を提供し、前記核酸ポリメラーゼはDNAポリメラーゼである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素は、T4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、ファイ29(Φ29)DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、ピュロコックス・フリオスス(Pfu)DNAポリメラーゼ、およびピュロコックス・ヴェッセイ(Pwo)DNAポリメラーゼからなる群の1つ以上から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(d)は、3’エキソヌクレアーゼ活性を全く含まない核酸ポリメラーゼによって行われ、前記ポリメラーゼは、前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素の後に加えられ、前記伸長生成物が生成されるように前記試料がさらにインキュベートされる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼIIIのαサブユニット、DNAポリメラーゼIのクレノウexo(-)断片、Taqポリメラーゼ、Pfu(exo-)DNAポリメラーゼ、およびPwo(exo-)DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素は、エキソヌクレアーゼIである、請求項1〜9、12および13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素が、前記伸長生成物を増幅する工程の前に不活化される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記3’エキソヌクレアーゼ活性が、熱変性によって不活化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱不活化は、前記工程(e)の増幅反応の第1の工程である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記試料を前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素に接触させる前に、前記工程(e)の増幅反応のための試薬の一部または全てを前記試料に加えるか、または前記試薬の一部または全てを、前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素と同時に前記試料に接触させる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記試薬を前記工程(b)および(c)の間に加える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(e)は、前記伸長生成物の伸長部位の一部分を増幅することを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記伸長生成物の伸長部位の一部分の増幅は、前記伸長生成物の伸長部位の一部分のいずれかの側に配置されるプライマーを用い、前記一部分を増幅することにより実現される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記伸長生成物の伸長部位の前記一部分を鋳型として、前記伸長生成物の伸長部位に相補的なパッドロックプローブをライゲーションして環状オリゴヌクレオチドを生成し、前記環状オリゴヌクレオチドは、ローリングサークル増幅の鋳型として作用する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記伸長生成物の伸長部位の前記一部分は、環状オリゴヌクレオチドのローリングサークル増幅のためのプライマーとして作用する、請求項20または22に記載の方法。
【請求項24】
前記工程(e)は、ポリメラーゼ連鎖反応または定量ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記工程(e)は、定量ポリメラーゼ連鎖反応を含み、前記定量ポリメラーゼ連鎖反応は、核酸分子とインターカレートして検出可能な信号を提供する色素を用いる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリメラーゼ連鎖反応で用いられる前記プライマーは、3’エキソヌクレアーゼ活性に対する耐性を持つように修飾された形で提供され、前記プライマーは、その3’末端に少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記修飾ヌクレオチドは、チオホスフェイト修飾ヌクレオチド、ロックド核酸ヌクレオチド、2’−OMe−CEホスホロアミダイト修飾ヌクレオチド、およびペプチド核酸ヌクレオチドからなる一覧の1つ以上から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プライマーは、ホットスタートプライマー、および/または、前記ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼである、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1および第2の近接プローブの一方または双方の核酸ドメインの一方または双方の3’末端が、前記工程(d)で伸長される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記核酸ドメインの少なくとも1つは、部分的に二本鎖である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記部分的に二本鎖の核酸ドメインは、スプリントオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた一本鎖核酸ドメインを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記スプリントオリゴヌクレオチドが、
(i)前記工程(a)の前に、前記近接プローブの核酸ドメインにプレハイブリダイズされる、または
(ii)フリーな核酸分子として別で提供される、または
(iii)前記近接プローブよりも先に、同時に、または後で前記試料に加えられる、または
(iv)第3の近接プローブの核酸ドメインとして提供される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記スプリントオリゴヌクレオチドを前記工程(d)で伸長して伸長生成物を形成する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記伸長生成物を環状化してローリングサークル増幅のための鋳型を提供し、前記伸長生成物の3’末端は、鋳型ライゲーションによって伸長生成物オリゴヌクレオチドの5’末端にライゲーションされている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
一方の前記核酸ドメインは伸長され、かつ前記他方の核酸ドメインにライゲーションされており、前記ライゲーション反応は、請求項31または32に規定のスプリントオリゴヌクレオチドを介したものである、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも第1および第2の近接プローブを含む近接プローブのセットを2セット以上用いてサンプル中の2つ以上の検体を検出し、それぞれのプローブセットが独自の伸長生成物を生成する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記工程(a)および/または(b)にクラウディング剤が含まれる、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
試料中の検体を検出するための方法に用いるキットであって、
(a)それぞれが検体結合ドメインと核酸ドメインとを含み、前記検体に同時に結合することが可能な第1および第2の近接プローブを少なくとも含む近接プローブのセットを少なくとも1セットと、および
(b)3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素を含み、前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素は核酸を分解するという唯一の機能を有する3’エキソヌクレアーゼ酵素であり、
(i)前記近接プローブの核酸ドメインは一本鎖であり、相補的な領域を介して直接的に相互反応するか、または、
(ii)少なくとも一つの前記近接プローブの核酸ドメインは部分的に二本鎖であり、スプリントオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする一本鎖ドメインを含む、キット。
【請求項39】
前記第1および第2の近接プローブの少なくとも一方の核酸ドメインを伸長して伸長生成物を生成するための手段をさらに含む請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記伸長生成物を増幅および検出するための手段をさらに含む請求項38または39に記載のキット。
【請求項41】
前記第1および第2のプローブのためのブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含む請求項38〜40のいずれか1項に記載のキット。
【請求項42】
前記検体のための固定化捕捉プローブまたは固定化手段を備えた捕捉プローブをさらに含む請求項38〜41のいずれか1項に記載のキット。
【請求項43】
前記3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素はエキソヌクレアーゼIである、請求項38〜42のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の検体のための近接プローブを用いた検出アッセイ(proximity probe based detection assay)(「近接アッセイ」)、とりわけ近接プローブ伸長アッセイ(PEA)に関する。特に、本発明は、前記方法において、全ての種類の試料で発生し、複雑な生体試料において特に問題となる非特異性の「バックグラウンド」信号を低減するという改善に関する。前記改善は、そのようなアッセイで3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を用いることを含む。
【背景技術】
【0002】
近接プローブ伸長アッセイでは、検体に結合する近接プローブが用いられ、近接プローブは、検体との結合の際に近接依存的(proximity-dependent manner)に相互に作用する核酸ドメイン(またはタグ)を有する。その相互作用によって、一般的には1つ以上の核酸デュプレックスの形成を通じて(核酸ドメインのハイブリダイゼーションにより)前記核酸ドメインの少なくとも1つをその3’末端から伸長させることができる。この伸長生成物は、検出可能で、好ましくは増幅可能な核酸検出生成物または検出タグを形成し、それを用いて前記検体が検出され得る。
【0003】
本発明では、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分が、核酸ドメインの伸長に必要な成分、例えば、ポリメラーゼ酵素よりも先にまたは同時に加えられる。そのため、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分は、フリーで保護されていない3’末端を持つ核酸ドメイン、即ち、標的検体に結合しておらず、そのため特異的な相互作用またはデュプレックスを形成しない近接プローブ上のドメインを分解することができる。本発明において、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を含めることの注目すべき効果は、ハイブリダイズされていないかまたは「非二重鎖」の核酸ドメインからの非特異的な伸長生成物の生成を妨げ、アッセイの特異性および感度の双方を高めることである。本発明は、本発明の方法で用いるための3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を含むキットも提供する。
【0004】
一般に、近接アッセイは「近接プロービング」の原理に依拠している。近接プロービングでは、検体に結合することによって互いに近づくと信号を生成させる複数(即ち、2つ以上、一般的には2つまたは3つ)のプローブ(ゆえに「近接プローブ」)との結合によって検体が検出される。一般に、少なくとも一方の近接プローブは、同プローブの検体結合ドメイン(または部位)に連結された核酸ドメイン(または部位)を含み、前記信号の生成には、前記核酸部位の間のおよび/または他方のプローブに保持される別の官能性部位(functional moiety)との間の相互作用が伴う。よって、信号の生成は、前記プローブ間(より具体的にはそれらに保持される核酸部位/ドメインまたは他の官能性部位/ドメイン)の相互作用に依存し、そのため必要なプローブの双方(またはそれ以上)が検体に結合した場合にのみ起こるため、検出システムの特異性の改善につながる。近年、近接プロービングの概念が進展してきており、現在、この原理に基づく多くのアッセイが当該技術において知られている。例えば、「近接プローブ伸長アッセイ」または「近接伸長アッセイ」(PEA)とは、核酸ドメインの伸張、即ち、核酸分子の末端へのヌクレオチドの鋳型付加(templated addition)を利用して、検出可能な信号を生成する特定種類のアッセイを意味する。
【0005】
近接プローブを使用する検出アッセイ、特に近接伸長アッセイは、試料中の1つ以上の検体の存在を容易に検出可能なまたは定量可能な核酸ベースの信号に変換することによって、迅速、且つ簡便に高感度でそのような検体を検出または定量することを可能し、それらは均質(homogeneous)または異質(heterogeneous)形式で行うことができる。
【0006】
当分野の近接プローブは、一般に、対で用いられ、それぞれは、標的検体への特異性を有する検体結合ドメインと、官能性ドメイン(functional domain)、例えば検体ドメインに連結した核酸ドメインとからなる。検体結合ドメインは、例えば、核酸「アプタマー」であり得るか(Fredriksson et al (2002) Nat Biotech 20:473-477)、またはモノクロナール抗体もしくはポリクロナール抗体等のタンパク質性のものであり得る(Gullberg et al (2004) Proc Natl Acad Sci USA 101:8420-8424)。各近接プローブ対の各検体結合ドメインは、検体上の異なる結合サイトに対する特異性を有していてもよく、その検体は、単一分子または相互作用分子の複合体からなり得るか、または例えば、標的検体が多量体として存在する場合には、同一の特異性を有し得る。近接プローブ対が、互いに近接すると(それは、両方が同じ検体分子上のそれらの各サイトに結合したときに主に生じる)、官能性ドメイン(例えば、核酸ドメイン)は相互作用することができる。本発明の文脈では、例えば、核酸ドメインは、互いに相補的な領域を含み得る。そのため、近接プローブ対の核酸ドメインがハイブリダイズしてデュプレックスを形成し得る。1つ以上のドメインが、通常他方の近接プローブの核酸ドメインを鋳型としたポリメリゼーション反応によって伸長され、新たな核酸配列を形成し得る。それによって生成された新たな核酸配列は、試料中の検体の存在または量を報告する役割を果たし、それを、例えば、リアルタイム定量PCR(q-PCR)により定性的にまたは定量的に検出することができる。
【0007】
近接プローブを使用するアッセイは多種類存在している。例えば、WO01/61037、米国特許第6,511,809号、およびWO2006/137932には近接伸長アッセイが記載され、近接プローブを使用するアッセイのための異質(即ち、特定の検体結合試薬によって検体が先ず固体基質に固定化される)および均質(即ち、溶液中)の双方の形式が、例えば、WO01/61037、WO03/044231、WO2005/123963、Fredriksson et al (2002) Nat Biotech 20:473-477、およびGullberg et al (2004) Proc Natl Acad Sci USA 101:8420-8424に開示されている。
【0008】
一般に、近接プローブは対で用いられるが、例えば、WO01/61037、WO2005/123963、およびWO2007/107743には近接プローブ検出アッセイの変更が記載されており、それらでは3つの近接プローブを用いて単一の検体分子が検出される。例えば、最初の2つの近接プローブの核酸ドメインとの相互作用が可能な別の核酸ドメインを提供するために第3の近接プローブが用いられ得る。
【0009】
近接プローブ検出アッセイの変更に加えて、近接プローブ自体の構造の変更が、例えばWO03/044231に記載されており、そこでは多価の近接プローブが用いられる。そのような多価の近接プローブは、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の核酸に共役した、少なくとも2つ、最大で100の検体結合ドメインを含む。
【0010】
近接プローブを使用する検出アッセイ、特に近接伸長アッセイは、数多くの様々な用途で、タンパク質を特異的に且つ高感度で検出するのに、例えば、低発現性タンパク質または存在量の少ないタンパク質の検出に非常に有用であることが証明されてきた。しかしながら、そのようなアッセイにも問題があり、アッセイの特異性および感度の双方に関して改善の余地がある。
【0011】
例えば、上記の近接伸長アッセイのような従来の近接アッセイの感度は、2つの主たる要因、即ち(i)標的検体への検体結合ドメインの親和性、および(ii)結合していないプローブ、特にプローブ対のランダムな近接から生じる非特異性のバックグラウンド信号によって制限される。検体に高い親和性を持った結合ドメインを有するプローブを用いる場合、感度は約6000個の分子の検出に限られる。従来、バックグラウンドの程度を小さくするには、非常に低濃度の近接プローブを用いなければならなかった。これは、より高濃度のプローブを用いることによって、親和性の低い検体結合ドメインを含むプローブを補う試みを不可能にする。そのため、これはアッセイの感度および定量結果が求められ得る範囲を限定し得ることが分かった。
【0012】
非特異性のバックグラウンド信号を低減するための他の方法、例えば、近接プローブ上の核酸ドメインのフリーな末端に、例えば、ディスプレイサーオリゴヌクレオチドに置き換えられるまで結合するブロッキング試薬、例えばブロッキングオリゴヌクレオチド(blocking oligonucleotide)を用いること等が提案されている。近接プローブを検体に結合させた後にディスプレイサーオリゴヌクレオチドを加えることは、近接プローブの核酸ドメインの相互作用が、標的検体に結合した近接プローブの場合のみ起こる可能性が高いことを意味する。バックグラウンド信号を低減するための他の方法は、核酸伸長生成物の検出を改善することに重きが置かれている。
【0013】
しかしながら、バックグラウンド信号の程度を改善する余地が依然あり、近接アッセイ、特に当該技術において知られている近接伸長アッセイの上記のような制限を解消するために、伸長反応の前にまたはそれと同時に3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を用いることによって、アッセイの特異性および感度が大幅に改善することが今回分かった。3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を、核酸ドメインの伸長に用いる成分、例えば、ポリメラーゼ酵素と同時に試料に接触させることが好ましい。特に好ましい実施形態では、核酸ドメインの伸長に用いるポリメラーゼは、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む。
【0014】
近位にない核酸ドメイン(フリーで保護されていない3’末端を有するドメイン)を分解すること、即ち、同じ標的検体に結合した近接プローブの核酸ドメインと(安定した)配列特異性デュプレックスを形成していない核酸ドメインを分解することが可能な成分を、アッセイに含めることによって、アッセイに存在する非特異性のバックグラウンド信号を低減することができる。言い換えれば、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分の使用は、不要な、望ましくない、または非特異性の伸長生成物の生成を低減することまたは抑制することであるとみなし得る。
【0015】
3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分の使用は、核酸分子伸長生成物の生成に用いられる方法では公知であるが、試料中の検体を検出するための方法、特に、本発明の近接伸長アッセイにおける前記活性の使用は、従来の近接プローブを使用するアッセイに比べ、特別な予期しない利点をもたらす。
【0016】
一般に、近接プローブを使用するアッセイの成分は、とりわけ、アッセイにおける他の成分の分解が回避されるように選択される。近接プローブの一部または全て、特に核酸ドメインの劣化、破壊、または破損により、例えば潜在的な相互作用のパートナーの濃度を低下させることによって標的検体の存在を示す信号として作用する核酸分子の生成が阻害または妨げられると予測される。
【0017】
さらに、そのような活性の存在は、核酸生成物をさらに増幅する際の障害になるとみなされ得る。即ち、前記信号核酸分子または増幅反応に必要な成分の分解を回避するためには前記活性を除去する必要があると考えられる。検体検出アッセイへのさらなる工程の追加は、それによって方法の簡潔性が低下するため、自動化および/または高スループット用途への適用がさらに困難になるため概して望ましいものではない。同様に、アッセイへの成分の追加によって試料の複雑性が増加するため、アッセイの感度を低下させ得るものと予測される。
【0018】
しかしながら、本発明の方法は、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分をPEAにおける試料に接触させた際に見られるバックグラウンドの大幅な低減(即ち、信号対ノイズ比の増加)に依拠するものである。特に、3’エキソヌクレアーゼ活性が、近接プローブの核酸ドメインを伸長するのに用いられる核酸ポリメラーゼの一部として有利に提供される。あるいは、またはそれに加えて、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分は、単独の成分として(即ち、ポリメラーゼ酵素の一部ではないかまたはそれに連結していない別個の存在物として)提供され得る。そのため、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を、任意の適切な形で試料に接触させることができることが分かる。
【0019】
理論に縛られることを望むものではないが、3’エキソヌクレアーゼ活性は、結合していない近接プローブのフリーで保護されていない3’末端を有する核酸ドメインを分解させることができるものと理論上想定される(例えば、核酸ドメインがその5’末端によって検体結合ドメインに連結され、「フリーな」3’末端が3’エキソヌクレアーゼ活性に耐性を持つように変性されていない場合)。この点に関して、双方ともが標的検体に結合した近接プローブの核酸ドメインの間で形成されたデュプレックスのみが安定した相互作用を形成し得る(アッセイの条件下では、近接プローブは一度標的検体に結合すると容易にはそれから離れないため、安定した、即ち、持続性のまたは非一過性のデュプレックスが形成されることになる)。デュプレックスの形成は、3’エキソヌクレアーゼ活性から近接プローブの核酸ドメインを保護する作用がある。しかしながら、標的検体に結合していない近接プローブは、安定したデュプレックスを形成することができない、即ち、(標的検体に結合していない)フリーな/結合していないプローブは、他の近接プローブの核酸ドメインまたは試料中の他の成分と一時的にしか相互反応しない(不安定で一時的な相互反応または二重鎖を形成する)。そのため、アッセイの結合していないプローブは常にハイブリダイズされていない状態である可能性が高く、フリーで保護されていない3’末端を有する核酸ドメインを含むそれらの非結合プローブは、3’エキソヌクレアーゼ成分の基質となる。これらの結合していないプローブの核酸ドメインの分解は、結合していないプローブが持続可能な場合に、例えば、近接プローブの核酸ドメインまたは試料中の他の成分との一過性のまたは非特異性の相互反応によって形成されるデュプレックスから生じる伸長生成物によりアッセイで生じ得る非特異性の伸長生成物の生成を妨げる。
【0020】
近接プローブ伸長アッセイにおける非特異性のバックグラウンド信号の低減の増大は、この3’エキソヌクレアーゼ成分の添加によってもたらされる。実施例でより詳細に示すように、本発明は、当該技術で知られている近接伸長アッセイと比較して大幅な進展を意味する。驚くべきことに、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を用いる本発明の方法においては、試料が既に高レベルのエキソヌクレアーゼ活性を含むもの、例えば血漿であっても、非特異性のバックグラウンド活性の低減がみとめられた。3’エキソヌクレアーゼ成分の添加によって、バッファー中および血漿中に標的検体を含むいずれかの試料を用いて行われるアッセイでも同様に信号対ノイズ比の改善がもたらされたが、これは完全に予期しないものであった。そのようなバックグラウンド信号の低下により、近接プローブ検出アッセイの特異性および感度の双方が増加する。
【0021】
さらに、本明細書で開示の方法は、簡略化されたPEAも含み、伸長生成物の増幅に用いられる成分を、3’エキソヌクレアーゼを含む成分の不活化の前に、伸長アッセイの成分と混合することができる。下記で説明するように、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分は、増幅反応の特定成分、例えばPCRプライマーを分解すると推測されるため、これらの成分の添加は、3’エキソヌクレアーゼ活性を不活化させた後でしか行えない。しかしながら、本明細書に開示の方法は、アッセイの双方の段階の試薬を予め混合させることを可能にする様々な成分の変更を説明する。これによって、分注工程の低減および実施時間の短縮が好適にもたらされるため、アッセイを簡単に自動化し、誤りが低減できるようになる。
【発明の概要】
【0022】
従って、本発明は、試料中の検体を検出するための、近接プローブ伸長アッセイでの3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分の使用を提供することが分かる。その後、伸長生成物が増幅および検出される。
【0023】
より具体的には、近接プローブ伸長アッセイにおける伸長生成物生成工程、より具体的には、近接アッセイで用いる近接プローブの核酸ドメインの相互反応(そのような相互反応は、一般的に核酸ドメインのハイブリダイゼーション、およびその後の少なくとも1つのドメインの伸張であり、一般的に、核酸ドメインは、一方の核酸ドメインが他方のドメインの伸張の鋳型となるようにハイブリダイズする)の後で、ポリメラーゼを触媒とする伸長反応を行って伸張生成物を生成する工程の間に、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分が用いられる。そのため、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する成分は、近接プローブを使用する伸張アッセイで最初の伸張生成物を生成する工程、即ち、近接プローブ伸張アッセイにおいて近接プローブの核酸ドメインの相互反応から伸張生成物を生成する工程に含まれる。
【0024】
本発明は、他の態様において、試料中の検体を検出する方法を提供する。同方法は、近接プローブ伸張アッセイを含み、同アッセイは、アッセイの伸張工程で3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分の使用を含み、次いで、伸張生成物が増幅および検出される。
【0025】
本発明は、さらに他の態様において、試料中の検体を検出するための近接プローブ伸張アッセイにおいて、非特異性の伸張生成物を低減する(または信号対ノイズ比を改善する)方法を提供する。同方法は、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を前記アッセイの伸張工程に含める工程を含み、次いで、特異性の伸張生成物が増幅および検出される。
【0026】
上記のように、近接プローブ伸張アッセイの伸張工程は、後に、検体を検出する手段として検出される最初の伸張生成物を生成する工程である。即ち、伸張工程は、近接プローブの核酸ドメインの相互反応、具体的には、核酸ドメインのハイブリダイゼーションと、その後の少なくとも一方のドメインを、例えば他方のドメインを鋳型として用いて伸長することとに基づき伸張生成物を生成する工程である。
【0027】
本発明の方法および3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分は、近接プローブを使用するアッセイで用いるためのものであり、同プローブは近接プローブである。前記の近接プローブを使用するアッセイは、当該技術で知られているアッセイの任意のもの、例えば、上記の試料中の検体を検出するのに近接プローブを用いるものであり得る。具体的には、前記アッセイは、ハイブリダイゼーションによる近接プローブの核酸ドメイン間の相互反応と、それらのドメインの1つ以上の伸張の検出に基づく近接伸張アッセイである。
【0028】
従って、本発明は、好ましい一態様において、試料中の検体を検出するための方法であって、
(a)それぞれが検体結合ドメインと核酸ドメインとを含み、前記検体に同時に結合することが可能な少なくとも第1および第2の近接プローブの少なくとも1セットに前記試料を接触させる工程と、
(b)前記近接プローブが前記検体に結合する際に、前記近接プローブの核酸ドメインを相互作用させる工程であって、前記相互作用はデュプレックスの形成を含む工程と、
(c)前記試料を、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分に接触させる工程と、
(d)前記デュプレックスの少なくとも1つの核酸ドメインの3’末端を伸長して伸長生成物を生成する工程であって、前記工程(c)と同時に又はその後に起こり得る工程と、
(e)前記伸長生成物を増幅および検出する工程、とを含む方法を提供する。
【0029】
以下でより詳細に説明するように、検体結合ドメインは検体に直接または間接的に結合し得る。
【0030】
従って、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分は、近接伸張アッセイの特異性および/または感度を伸ばすのに用いられ得ることが分かる。よって、本発明の方法は、(検体のための)近接伸張アッセイの信号対ノイズ比を高める方法であると考えられ得る。別の言い方をすれば、本発明の方法は、近接伸張アッセイにおける非特異性の伸張生成物の量を低減するのに用いられ得る。あるいは、本発明は、近接伸張アッセイにおける非特異性のデュプレックスの形成を阻害するまたは抑制する方法を提供するものとみなすことができる。さらに、本発明は、近接伸張アッセイにおける結合していない近接プローブの核酸ドメインを分解する方法を提供するものとみなすことができる。
【0031】
上記で簡潔に説明したように、近接伸張アッセイは、2つ以上の近接プローブが標的検体に結合した時に、同プローブの核酸ドメインの間でデュプレックスが形成された後に、少なくとも1つの核酸ドメインを伸張することに関する。しかしながら、同デュプレックス(2つの相補的な核酸ドメインのハイブリダイゼーション)は、近接プローブ上の核酸ドメインの配向によって多岐に渡って形成され得る。
【0032】
図1は、近接伸張アッセイ形式の典型例を模式的に示す。これらの実施形態は下記で詳細に説明する。なお、これらの様々な「バージョン」のPEAは、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。他の変形もあり得ることは、以下の説明から当業者には明らかであると考えられ、それらの他の変形は本発明に包含されるものとする。即ち、本発明は、単に、少なくとも一方の近接プローブ(図に示すタンパク様分子または抗体に限定されないが、これは本発明の好ましい態様である)が、伸張可能なフリーな3’末端を含む核酸ドメインを有し、同伸張は、第2の近接プローブの核酸ドメインによって鋳型される得ることを要件とする。この点に関して、以下でより詳細に説明するように、近接プローブの核酸ドメインは一本鎖または部分的に二本鎖であり得るが、ハイブリダイゼーションによる相互反応に前記ドメインの一本鎖領域が用いられるように構成されている。各近接プローブの核酸ドメインは、一般的な「スプリント」核酸分子にそれぞれハイブリダイズすることによって相互反応することもあるため、デュプレックスを間接的に形成し得る。そのため、上記の方法の工程(b)では、デュプレックスを形成するための核酸ドメインの相互反応は、直接的または間接的であり、近接プローブの検体結合ドメインに連結された核酸ドメインは互いにハイブリダイズしてデュプレックスを直接形成するか、またはそれらは別の核酸分子にそれぞれハイブリダイズしてデュプレックスを間接的に形成し得る。そのような別の核酸分子は、部分的に二本鎖の核酸ドメインの第2の鎖であるとみなすことができ、近接プローブの検体結合ドメインに連結した核酸分子の少なくとも一領域にハイブリダイズして(その1つの鎖を介して連結された部分的に二本鎖の核酸ドメインを形成する)、他方の近接プローブの核酸ドメインの一領域に相補的な末端(例えば3’)一本鎖領域を残すため、前記他方の近接プローブの核酸領域とのハイブリダイゼーションによる相互反応が可能となる。あるいは、別の近接プローブの核酸ドメインとして「スプリント」を提供してもよい。
【0033】
図1のバージョン1は、「従来」の近接伸張アッセイを示す。各近接プローブの核酸ドメイン(矢印で示す)は、その5’末端により検体結合ドメイン(逆「Y」字で示す)に結合しており、フリーな3’末端を2つ残している。それらの近接プローブが、検体上(検体は図示せず)にあるそれぞれの検体結合標的に結合すると、プローブの(それらの3’末端で相補的な)核酸ドメインは、ハイブリダイゼーションにより相互反応できるようになる、即ちデュプレックスの形成ができるようになる。例えば、核酸ポリメラーゼ酵素の添加によって、他方の近接プローブの核酸ドメインを用いて伸長を鋳型することにより各核酸ドメインを伸長することが可能となる。本発明の方法によれば、伸張生成物が特異的に増幅および検出されることによって、標的検体が検出され得る。
【0034】
図1のバージョン2は、他の近接伸張アッセイを示す。第1の近接プローブの核酸ドメインが、その5’末端により検体結合ドメインに結合し、第2の近接プローブの核酸ドメインが、その3’末端により検体結合ドメインに結合している。そのため、第2の近接プローブの核酸ドメインはフリーな5’末端(鈍頭矢印で示す)を有するが、それは、一般的な核酸ポリメラーゼ酵素(3’末端のみを伸張する)を用いて伸長することができない。第2の近接プローブの3’末端は効果的に「ブロック」されている。即ち、それは「フリー」ではなく、また、検体結合ドメインに結合し、それゆえに検体結合ドメインによってブロックされているため伸張させることができない。この実施形態において、近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に結合すると、それらの3’末端で相補的な領域を共有するプローブの核酸ドメインは、ハイブリダイゼーションにより相互反応できるようになる、即ちデュプレックスを形成できるようになる。しかしながら、バージョン1とは対照的に、第2の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて伸長できるのは第1の近接プローブの核酸ドメイン(フリーな3’末端として)だけであり得る。上記と同様に、伸張生成物が増幅および検出されることによって、標的検体が検出され得る。
【0035】
バージョン2と同様に、図1のバージョン3では、第1の近接プローブの核酸ドメインが、その5’末端により検体結合ドメインに結合し、第2の近接プローブの核酸ドメインがその3’末端により検体結合ドメインに結合している。そのため、第2の近接プローブの核酸ドメインは、フリーな5’末端(鈍頭矢印で示す)を有するが、それは伸長することができない。しかしながら、この実施形態では、それぞれが近接プローブの検体結合ドメインに結合した核酸ドメインは相補的な領域を有してないため、デュプレックスを直接形成することができない。その代わりに、各近接プローブの核酸領域と相同の領域を有する第3の核酸分子が提供され、それが核酸ドメイン間の「分子ブリッジ」または「スプリント」として作用する。この「スプリント」オリゴヌクレオチドは、核酸ドメイン間の隙間を埋め、核酸ドメインが間接的に相互反応できるようにする。即ち、各核酸ドメインはスプリントオリゴヌクレオチドとデュプレックスを形成する。そのため、近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に結合すると、プローブの核酸ドメインはハイブリダイゼーションにより相互反応する、即ち、スプリントオリゴヌクレオチドとデュプレックスを形成する。そのため、第3の核酸分子またはスプリントを、一方の近接プローブに設けられた部分的に二本鎖の核酸ドメインの第2の鎖とみなすことができるのが分かる。例えば、一方の近接プローブは、一方の鎖の3’末端を介して検体ドメインに結合し、他方の結合していない鎖がフリーな3’末端を有する部分的に二本鎖の核酸ドメインを備え得る。そのため、そのような核酸ドメインは、フリーな3’末端を持つ末端一本鎖領域を有する。本実施形態では、第1の近接プローブの核酸領域(フリーな3’末端として)は、「スプリントオリゴヌクレオチド」(または他方の核酸領域の一本鎖3’末端領域)を鋳型として用いて伸長してもよく、好適には、第2の近接プローブの核酸ドメインの5’末端(具体的には結合された鎖の5’末端、あるいは核酸ドメインの二本鎖部の5’末端)に連結されてもよい。あるいは、またはそれに加えて、第1の近接プローブの核酸領域を鋳型として用いて、スプリントオリゴヌクレオチドのフリーな3’末端(即ち、結合されていない鎖、または3’一本鎖領域)を伸長してもよい。上記と同様に、伸張生成物が増幅および検出されることによって、標的検体が検出され得る。
【0036】
上記の説明から明らかなように、一実施形態では、スプリントオリゴヌクレオチドがアッセイの別個の成分として提供され得る。即ち、反応混合物にそれが別途添加され得る(即ち、近接プローブとは別に、検体を含む試料に添加される)。それにも関わらず、スプリントオリゴヌクレオチドは、近接プローブの一部である核酸分子にハイブリダイズし、同ハイブリダイゼーションはそのような核酸分子と接触した際に起こるため、別個で加えられるものの、部分的に二本鎖の核酸ドメインの鎖であるとみなし得る。あるいは、スプリントは、近接プローブの核酸ドメインの1つとプレハイブリダイズされ得る、即ち、近接プローブを試料に接触させる前にハイブリダイズされ得る。この実施形態では、スプリントオリゴヌクレオチドを直接、近接プローブの核酸ドメインの一部としてみなすことができる。即ち、核酸ドメインは、部分的に二本鎖の核酸分子で、例えば、近接プローブは二本鎖の核酸分子を検体結合ドメインに連結させ(好ましくは、核酸ドメインが一本鎖によって検体結合ドメインに連結される)、その核酸分子を修飾して、(他方の近接プローブの核酸ドメインとハイブリダイズ可能な一本鎖オーバーハング(over hang)を有する)部分的に二本鎖の核酸ドメインを生成することにより生成され得る。そのため、本明細書で定義する近接プローブの核酸ドメインの伸張は、「スプリント」オリゴヌクレオチドの伸張も包含する。スプリントオリゴヌクレオチドの伸張から伸張生成物が生じた場合、得られた伸張核酸鎖が、核酸分子の2つの鎖の相互反応(2つの核酸鎖のハイブリダイゼーション)によってのみ近接プローブ対に連結していることが好適である。そのため、これらの実施形態では、例えば、温度を上げる、塩濃度を下げる等の変性条件を用いて伸張生成物が近接プローブ対から分離され得る。これは、標的検体が固体基材に結合されている異質形式で特に有用である。何故なら、例えば、固定化された検体に結合した近接プローブは固相状態であり得るのに対して、伸張生成物は変性後液相状態であり得るため、伸張生成物をアッセイの他の成分から容易に分離することができるためである。
【0037】
図1のバージョン3に示すスプリントオリゴヌクレオチドは、第2の近接プローブの核酸ドメイン全体に対して相補的であるように図示されているが、これは単に一例であり、スプリントは、近接プローブの核酸ドメインの末端(または末端付近)とデュプレックスを形成することができれば、即ち、以下でさらに定義するように隙間を埋められさえすれば十分である。
【0038】
他の実施形態では、WO2007/107743(参照により本明細書に含まれる)に記載されているように、スプリントオリゴヌクレオチドを第3の近接プローブの核酸ドメインとして提供してもよい。同文献は、これによって近接プローブアッセイの感度および特異性をさらに改善させることができることが示されている。
【0039】
図1のバージョン4は、バージョン1の変更版であり、第1の近接プローブの核酸ドメインは、その3’末端に、第2の近接プローブの核酸ドメインに対して完全には相補的ではない配列を含む。そのため、それらの近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に結合すると、プローブの核酸ドメインは、ハイブリダイゼーションにより相互反応可能になる、即ち、デュプレックスを形成できるようになるが、第1の近接プローブの核酸ドメインの3’最末端(extreme 3'end)(フリーな3’ヒドロキシル基を含む核酸分子の部位)はハイブリダイズすることができないため、ハイブリダイズされていない一本鎖の「フラップ(flap)」として存在する。例えば、核酸ポリメラーゼ酵素を加える際に、第2の近接プローブの核酸ドメインのみが、第1の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて伸長され得る。上記と同様に、伸張生成物が特異的に増幅および検出されることによって、標的検体が検出され得る。
【0040】
本実施形態では、第1の近接プローブの核酸ドメインの3’末端における1つ以上のヌクレオチドに、例えば、3’エキソヌクレアーゼ活性に対する耐性を持たせるように変性するのが有用であり得る。好適な変性は下記でさらに説明する。第1の近接プローブの核酸ドメインが3’エキソヌクレアーゼ活性に対する耐性を持っていれば、第2の近接プローブの核酸ドメインのみが伸張され得る。それに対して、もし第1の近接プローブの核酸ドメインが3’エキソヌクレアーゼ活性の影響を受け易ければ、「フラップ」が分解され、第2の近接プローブの核酸ドメインに完全にハイブリダイズ(アニール)した3’末端が得られる。そのため、第1の近接プローブの核酸ドメインも、第2の近接プローブの核酸ドメインをテンプレートとして用いて伸長され得る。
【0041】
図1に示す最後の実施形態、即ち、バージョン5は、バージョン3の変更版であるとみなすことができる。しかしながら、バージョン3とは異なり、双方の近接プローブの核酸ドメインは、それらの5’末端によってそれぞれの検体結合ドメインに結合されている。この実施形態では、核酸ドメインの3’末端は互いに相補的ではないため、近接プローブの核酸ドメインは相互反応できないかまたはデュプレックスを直接形成することができない。その代わりに、各近接プローブの核酸ドメインと相同の領域を有し、核酸ドメインの間で「分子ブリッジ」または「スプリント」として作用する第3の核酸分子が提供される。この「スプリント」オリゴヌクレオチドによって、核酸ドメイン間のギャップが埋められるため、核酸ドメインは間接的に相互反応できるようになる。即ち、各核酸ドメインは、スプリントオリゴヌクレオチドとデュプレックスを形成する。そのため、近接プローブが検体上にあるそれぞれの検体結合標的に結合すると、プローブの核酸ドメインのそれぞれはハイブリダイゼーションにより相互作用する、即ち、スプリントオリゴヌクレオチドとデュプレックスを形成する。そのため、バージョン3と一致して、第3の核酸分子またはスプリントは、一方の近接プローブに設けられた部分的に二本鎖の核酸領域の第2の鎖であるとみなせ得る。好ましい実施例において、一方の近接プローブは、一方の鎖の5’末端を介して検体結合ドメインに結合し、他方の(結合されていない)鎖がフリーな3’末端を有する、部分的に二本鎖の核酸ドメインを備え得る。そのため、そのような核酸ドメインは、少なくとも1つのフリーな3’末端を有する末端一本鎖領域を有する。本実施形態では、「スプリントオリゴヌクレオチド」を鋳型として用いて、第2の近接プローブの核酸ドメインが(フリーな3’末端として)伸張され得る。あるいは、またはそれに加えて、第2の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いて、スプリントオリゴヌクレオチドのフリーな3’末端(即ち、結合していない鎖、または第1の近接プローブの3’一本鎖領域)が伸張され得る。上記と同様に、伸張生成物が増幅および検出されることによって、標的検体が検出され得る。
【0042】
バージョン3に関連して上述したように、スプリントオリゴヌクレオチドは、アッセイの別の成分として提供され得る。他方、スプリントオリゴヌクレオチドは、近接プローブの一部である核酸分子にハイブリダイズし、同ハイブリダイゼーションは、そのような核酸分子と接触した際に起こるため、別で添加されるにも関わらず、部分的に二本鎖の核酸ドメインの鎖であるとみなせ得る。あるいは、スプリントは、近接プローブの核酸ドメインの1つにプレハイブリダイズされ得る、即ち、近接プローブを試料に接触させる前にハイブリダイズされる。この実施形態では、スプリントオリゴヌクレオチドを、近接プローブの核酸ドメインの一部として直接みなすことができる。即ち、核酸ドメインは、部分的に二本鎖の核酸分子で、例えば、近接プローブは、二本鎖の核酸分子を検体結合ドメインに連結させ(好ましくは、核酸ドメインが一本鎖によって検体結合ドメインに連結されている)、その核酸分子を変性して、(他方の近接プローブの核酸ドメインにハイブリダイズ可能な一本鎖オーバーハングを有する)部分的に二本鎖の核酸ドメインを生成することにより生成され得る。そのため、本明細書で定義する近接プローブの核酸ドメインの伸張は、「スプリント」オリゴヌクレオチドの伸張も包含する。スプリントオリゴヌクレオチドの伸張から伸張生成物が生じた場合、得られた伸張核酸鎖が、核酸分子の2つの鎖の相互反応(2つの核酸鎖のハイブリダイゼーション)によってのみ近接プローブ対に対して連結していることが好適である。そのため、これらの実施形態では、例えば、温度を上げる、塩濃度を下げる等の変性条件を用いて伸張生成物が近接プローブ対から分離され得る。これは、標的検体が固体基質に結合されている異質形式で特に有用である。何故なら、例えば、固定化された検体に結合した近接プローブは固相状態であり得るのに対して、伸張生成物は変性後液相状態であり得るため、伸張生成物をアッセイの他の成分から容易に分離することができるためである。
【0043】
図1のバージョン5に示すスプリントオリゴヌクレオチドは、第1の近接プローブの核酸ドメイン全体に対して相補的であるように図示されているが、これは単に一例であり、スプリントは、近接プローブの核酸ドメインの末端(または末端付近)とデュプレックスを形成することができれば、即ち、以下でさらに定義するように隙間を埋めれさえすれば十分である。
【0044】
他の実施形態では、WO2007/107743(参照により本明細書に含まれる)に記載されているように、スプリントオリゴヌクレオチドが第3の近接プローブの核酸ドメインとして提供され得る。同文献には、これによって近接プローブアッセイの感度および特異性をさらに改善させることができることが示されている。
【0045】
上記から、複数の異なる近接伸張アッセイが存在し、それらの全ては、2つ(またはそれ以上)の近接プローブが検体に結合した時にそのようなプローブが相互反応し、それにより伸張可能な3’末端(鋳型伸張の場合は)を含む核酸デュプレックスが形成されることに依拠していることが分かる。そのため、プローブ(より具体的には、スプリントオリゴヌクレオチドを含む、それらの核酸ドメインのそれぞれ)間の相互反応は近接依存的であり、検出プローブが検体上で共に結合されることによって、それら(より具体的には、それらの核酸ドメイン)が相互反応するように互い近づけられる。従って、相互作用(またはそれらか生じる伸張生成物)を検出することによって、検体が検出され得る。本発明の方法では、近接プローブは、互いに(直接または間接的に)ハイブリダイズすることによって相互反応し、1つ以上の核酸分子の伸張を可能にし得る。この伸張によって、お互いが結合したまたは統合した2つの近接プローブの核酸ドメインが得られ、スプリントオリゴヌクレオチド(近接プローブの核酸ドメインの一部を形成し得る)がこの相互反応(結合)を援助または仲介する。伸張(該当する場合は結合)は、伸張生成物および/または結合生成物(相互反応生成物)を検出することによって検出され得る。
【0046】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明の方法は、結合していない近接プローブの核酸ドメインのフリーで保護されていない3’末端を分解する3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分の添加に依拠していると考えられる。そうでなければ、前記結合していないプローブの核酸ドメインは、非特異的におよび/または過渡的に(一時的に)他の結合していない近接プローブまたはアッセイの他の成分に結合して、非特異性の/バックグラウンドの伸張生成物を生成し、検体の検出を妨げると考えられる。
【0047】
エキノヌクレアーゼは、ホスホジエステル結合を3’末端または5’末端のいずれかで加水分解してポリヌクレオチド鎖の末端からヌクレオオチドを1個づつ切断することによって作用する酵素である。そのため、エキノヌクレアーゼは、5’または3’エキノヌクレアーゼのいずれかとして存在し、その学術用語は、切断が開始された末端を意味する。即ち、3’エキノヌクレアーゼは、3’から5’方向の核酸分子を分解する。数多くの種類のエキノヌクレアーゼ酵素の存在が知られており、それらはDNAおよび/またはRNAを分解し、二本鎖または一本鎖核酸に作用し得る。例えば、真核生物および原始核生物の双方に存在する、mRNAのターンオーバーのための5’RNAエキノヌクレアーゼや、3’から5’方向の一本鎖DNAを分解する大腸菌由来のエキノヌクレアーゼI等、エキノヌクレアーゼは独立した存在物(核酸を分解させるという唯一の機能を有する別個の酵素)であるが、多くのエキノヌクレアーゼ活性は、複数の機能を有する酵素に起因し、例えば、多くのDNAポリメラーゼは、3’および/または5’エキノヌクレアーゼ活性(大腸菌由来のDNAポリメラーゼI)も含む。
【0048】
そのため、本発明の方法で用いる3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は、核酸をその3’末端から分解可能な任意の要素を含む。本発明の好ましい態様において、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は、特別に一本鎖核酸に作用する。即ち、二本鎖核酸に対してよりも、一本鎖核酸分子に対する作用が大きく、一本鎖核酸分子に対して、例えば少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍作用する。
【0049】
エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は、結合していない近接プローブ、即ち、標的検体に結合していないプローブの核酸ドメインを完全にまたは部分的に分解可能でなければならず、それらの核酸ドメインは、フリーな保護されていない3’末端を有する。下記で説明するように、近接プローブの核酸ドメインは、ワトソン−クリック型または同様の塩基対相互作用に加わることのできる任意のヌクレオチド残基からなり得る。しかしながら、核酸ドメインがDNAを含む実施形態では、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分はDNAに作用し、RNAに対するよりも、DNAに対する作用が大きいことが好ましく、例えば、RNAよりもDNAに対して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍作用する。同様に、核酸ドメインがRNAを含む実施形態では、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分がRNAに作用し、DNAに対するよりも、RNAに対する作用が大きいことが好ましく、例えば、DNAよりもRNAに対して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍作用する。
【0050】
本発明の一態様において、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は酵素である。特に好ましい実施形態では、同酵素が、3’エキノヌクレアーゼ活性をさらに含み、核酸分子の3’末端を伸張可能な核酸ポリメラーゼである。具体的には、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は、T4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、ファイ29(Φ29)DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、ピュロコックス・フリオスス(Pfu)DNAポリメラーゼ、および/またはピュロコックス・ヴェッセイ(Pwo)DNAポリメラーゼからなる群の1つ以上から選択され得る。そのため、いくつかの実施形態では、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は超好熱性酵素、特に、PfuDNAポリメラーゼまたはPwoDNAポリメラーゼ等の3’エキノヌクレアーゼ活性を含む超好熱性ポリメラーゼであり得る。
【0051】
超好熱性酵素は、一般に超好熱性生物、即ち、(ほとんどの好熱性生物が一般的に70℃付近で最適に成長するのと比較して)90℃を超える高温、例えば100℃付近で最適に成長する生物に由来するかまたは得られる酵素である。超好熱性ポリメラーゼ(またはより具体的には超好熱性生物に由来するポリメラーゼ)は、通常の生体温度よりも高い温度、例えば、40℃超、50℃超、60℃超、または70℃超、一般的には60℃超または70℃超等の、37℃超で最適な酵素作用を有し得る。有意には、そのような酵素は、室温等のより低い温度、例えば25℃または30℃では活性が小さいかまたは低いことが好ましい。温度が少なくとも45℃または50℃に達するまでポリメラーゼ活性が小さいことが特に好ましい。そのような酵素は、極端な温度条件で生息する生物、例えば、古細菌(ピュロコックス・フリオススやピュロコックス・ヴェッセイ等)で確認されている。これらの生物に由来する酵素でとりわけ対象となるが、多くの分子生物学技術、特にPCRの開発で有用であったポリメラーゼ酵素である。自然の超好熱性酵素ばかりでなく、温度の最高限度が高い熱安定性酵素を変性して、室温では活性が小さいかまたは低いという特性を付与し、自然の超好熱性酵素と同一のまたは同様の特性、具体的には、同一のまたは同様の温度活性プロフィール、即ち、温度の最高限度が高く(例えば、50℃超、55℃超、または60℃超)、室温(または30℃、37℃、または40℃等のより低い温度)では活性が低いかまたは小さいという特性が組み合わさった酵素を形成してもよい。そのような変性ポリメラーゼ酵素としては、例えば、Taqポリメラーゼのいわゆる「ホットスタート」誘導体が挙げられ、それは、例えば約50℃で活性を始める。本明細書で用いる「超好熱性ポリメラーゼ」という用語には、自然の酵素だけではなくそのような変性誘導体の全ても含まれ、自然の超好熱性ポリメラーゼ酵素の誘導体も含まれる。本願の方法で用いるのに特に好ましい超好熱性酵素としては、PfuDNAポリメラーゼ、PwoDNAポリメラーゼ、およびその誘導体(例えば、配列が修飾された誘導体)または変異体があげられる。特定の実施形態では、超好熱性ポリメラーゼが有利かまたは好ましいが、そのような酵素を用いる必要なく、他の実施形態では、任意の超好熱性または熱安定性ポリメラーゼ(高温で安定性を示すか、温度の最高限度が高い任意のポリメラーゼ酵素)、例えばTaqポリメラーゼが用いられ得る。
【0052】
他の実施形態では、近接プローブの核酸ドメイン(および/またはスプリントオリゴヌクレオチド)の伸張のためのポリメラーゼ活性は、3’ エキノヌクレアーゼ活性が最低限かまたはそれを有さない酵素、例えば、大腸菌由来のDNAポリメラーゼIIIのαサブユニット、DNAポリメラーゼIのクレノウexo(-)断片、Taqポリメラーゼ、Pfu(exo-)DNAポリメラーゼ、Pwo(exo-)DNAポリメラーゼ等によって提供され、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は別の存在物として、例えば、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む別の酵素として提供され得る。そのため、3’エキノヌクレアーゼ活性が最低限かまたはそれを有さないポリメラーゼ酵素は、超好熱性ポリメラーゼまたは熱安定性ポリメラーゼであり得る。さらなる実施形態では、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は複数の形体で、即ち、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む2つ以上の成分を、例えば、ポリメラーゼ酵素の一部として、またその主たる機能が3’エキノヌクレアーゼ活性である独立した酵素として提供され得る。本発明の一態様では、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分はエキノヌクレアーゼIである。
【0053】
3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は、近接プローブの核酸ドメインが相互作用した後、即ちデュプレックスを形成した後、核酸ドメインの伸張に必要な成分よりも先にまたは同時に試料に接触させることが有利である。この点に関して、近接プローブの核酸ドメインは、標的検体への結合に際して相互反応できるように、試料との接触に際して少なくとも部分的に一本鎖でなければならない。そのため、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分が、前記のデュプレックスの形成よりも前に存在(活性状態で存在)していた場合、全ての近接プローブのフリーで保護されていない3’末端を有する核酸ドメインは分解の影響を受け易くなり得る。それに対して、標的検体に結合した近接プローブの間でデュプレックスが一度形成されると、分解の対象となるのは結合していない近接プローブの核酸ドメインのみとなる。上記のように、標的検体に結合していないプローブは安定したデュプレックスを形成しないが、それらは他の結合していないプローブまたは試料の他の成分と相互作用することがあり、これらの相互作用は一過性(一時的)なものである可能性が高い。これは、これらのプローブの核酸ドメインが、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分のために利用可能な基質となることを意味する。
【0054】
3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分を、核酸ドメインの伸張に必要な成分と同時に試料に接触させる場合、例えば、ポリメラーゼ酵素が3’エキノヌクレアーゼ活性を含む場合、伸張と分解とが同時に起こることになる。
【0055】
3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分を、核酸ドメインの伸張に必要な成分よりも先に試料に接触させた場合、例えば、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む(が実質的なまたは検出可能なポリメラーゼ活性を含まない)独立した酵素を試料に接触させた場合は、伸張反応の前に、結合していないプローブのフリーで保護されていない3’末端を有する核酸ドメインが分解され、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分が不活化(例えば、除去、抑制、または変性)され得る。しかしながら、3’エキノヌクレアーゼ活性は伸張工程の間維持され得る。
【0056】
一実施形態において、増幅工程に必要な成分の分解を防ぐために、伸張生成物を増幅する工程の前に3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分が不活化される。「不活化」という用語は、例えば、熱によって同成分を抑制する、変性する、または試料から物理的に除去することを意味する。この点に関して、3’エキノヌクレアーゼ活性のみを不活化させればよい。
【0057】
例えば、伸張生成物がPCRによって増幅される場合、標準の修飾されていないプライマー(フリーで保護されていない3’末端を有するもの)が、3’エキノヌクレアーゼの基質となり得る。この活性を不活化できなければ、これらのPCR試薬の分解がもたらされ、増幅は生じないかまたは制限され得る。
【0058】
好ましい実施形態では、増幅反応用の試薬の一部または全てが3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分に接触させる前に、試料に加えられる。特に好ましい実施形態では、前記試薬が上記で定義の工程(b)および(c)の間に加えられる。あるいは、増幅反応用の試薬の一部または全てが、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分と時同じく、即ち同時に試料に加えられる。
【0059】
一実施形態において、前記プライマーは、3’エキノヌクレアーゼ活性に対する耐性を持つように修飾された形で提供される。核酸分子または核酸分子内に含まれるヌクレオチドを修飾してエキノヌクレアーゼによる分解を防止することは当該技術では公知であり、保護された末端、例えば3’末端における1つ以上の残基の修飾が一般的に用いられる。本発明の方法では、3’エキノヌクレアーゼ活性からの保護に適した任意の修飾が用いられ得る。この点に関して、本発明で用いるプライマーは、その3’末端に少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むことが好ましい。例えば、前記修飾は、チオホスフェイト修飾ヌクレオチド、ロックド核酸ヌクレオチド(隔絶されたRNAヌクレオチド(inaccessible RNA nucleotide)、2’−OMe−CEホスホロアミダイト修飾ヌクレオチド、またはペプチド核酸ヌクレオチドからなるリストの1つ以上から選択され得る。
【0060】
本発明の方法の伸張生成物を増幅する工程では、(参照により本明細書に含まれるKaboev et al., 2000, Nuc. Acids Res., 28(21), pp. e94に記載の)「ホットスタート」プライマーを用いることが有利である。ホットスタートプライマーは、その5’末端および3’末端の相補領域によるステムループ構造を含むオリゴヌクレオチドプライマーである。この点に関して、前記プライマーは、標的配列(伸張生成物における特定の領域)に相補的であるように設計され、プライマーの5’末端に少なくとも5〜6個のヌクレオチドが加えられ、それらがプライマーの3’末端に相補的な配列を形成する。低温、例えば、反応の成分が混合される温度および/または伸張反応が実施される温度では、プライマーはステムループ構造を形成するため、伸張生成物の増幅のための効率的なプライマーとして作用することができない。しかしながら、PCRのアニーリング温度まで加熱した後では、前記プライマーはリニア構造を得るため、プライマー伸張(増幅)を開始することができる。ホットプライマーの使用は、PCRプライマーによる本発明の方法の近接プローブ間の相互反応の妨害を防止し、前記プライマーを3’エキノヌクレアーゼ活性からさらに保護すると考えられる。
【0061】
本明細書において、「増幅する」または「増幅された」という用語は、概して、試料中の標的検体の存在を知らせる手段として、アッセイにおける伸張生成物またはその一部の複製の数を増やす任意の手段を含むものとして用いられている。例えば、当該技術において知られている任意の増幅手段、例えば、PCR、LCR、RCA、MDA等が本発明の方法で利用され得る。試料中の標的検体が多量がどうかに応じて、伸張生成物の濃度が2倍となるように、即ち、増幅の前に存在した複製の数の2倍となるように、伸張生成物またはその一部を増幅することが必要になり得る。あるいは、複製の数を数桁倍増加させることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、増幅によって、試料中の伸張生成物またはその一部の量が元の量の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、50倍、または75倍となる。さらに好ましい実施形態では、試料中の伸張生成物またはその一部の量が元の量の少なくとも102倍、103倍、104倍、105倍、106倍、107倍、108倍、109倍、1010倍等になるように伸張生成物を増幅することが好ましい場合がある。
【0062】
試料が標的検体を含むか否かを確認するために、伸張性生物の全てを伸張する必要がないことが分かる。伸張反応が生じる前に試料中に存在していなかった伸張生成物の一部のみを増幅する必要がある。例えば、伸張生成物は事実上2つの部位、即ち、近接プローブ(またはスプリント)の核酸ドメインを構成していたヌクレオチド配列を含む第1の「古い」部位(既存部位)と、鋳型伸長反応によって生成されたヌクレオチド配列を含む第2の「新しい」部位(伸長部位)とを含む。第2の「新しい」または「伸長」部位の検出によって、標的検体の検出が可能となる。即ち、もし検体が存在しなければ伸長は起こらないため、「新しい」または「伸長」部位が存在することはない。そのため、本発明の好ましい態様では、伸長生成物を増幅する工程は、伸長生成物の伸長部位の一部分を増幅することを含む。
【0063】
伸長部位の一部分は、試料中に存在する他の配列と区別できるように十分な大きさを有している必要がある。事実上、伸長生成物の伸長部位の前記部分は、標的検体の存在に対応する独自の識別子または信号として作用する。そのため、さもなければ試料中に存在しないヌクレオチド配列を前記部分が含む場合、試料中の標的検体の存在および数を知らせるには、その配列を増幅すれば十分である。
【0064】
そのため、前記部分は、少なくとも8、好ましくは少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個のヌクレオチドを含み得る。伸長生成物の伸長部位の部分は、一般的には約8〜約1000ヌクレオチド長の範囲内にあり得る。特定の実施形態では、それらは、約8〜約250ヌクレオチド長を含む約8〜約500ヌクレオチド長の範囲、例えば、約12〜約150ヌクレオチド長、約14〜約130ヌクレオチド長、約16〜約110ヌクレオチド長、約8〜約90ヌクレオチド長、約12〜約80ヌクレオチド長、約14〜約75ヌクレオチド長、約16〜約70ヌクレオチド長、約16〜約60ヌクレオチド長等の約8〜約160ヌクレオチド長の範囲にあり得る。特定の代表的な実施形態では、伸長生成物の伸長部位は、約10〜約80ヌクレオチド長、約12〜約75ヌクレオチド長、約14〜約70ヌクレオチド長、約34〜約60ヌクレオチド長の範囲、およびそれらの範囲間の任意の長さであり得る。
【0065】
伸長生成物全体、即ち既存部位と伸長部位の双方が増幅され得ることが予見されるが、増幅生成物は、伸長生成物の伸長部位の少なくとも一部を含んでいれば十分である。本発明の一態様では、プライマーは、伸張生成物の伸長部位の部分の何れかの側に配置され、その部分が、例えばPCRによって増幅されるように設計され、(伸長生成物の前記部分を含む)増幅生成物が下記のように検出され得る。本発明の他の態様では、伸長生成物の伸長部位の前記部分は、例えば、(本明細書の他の箇所に記載の)環状オリゴヌクレオチド(circular oligonucleotide)を形成するパッドロックプローブのライゲーションの鋳型を形成して、例えば、ローリングサークル増幅(RCA)によるその配列の増幅によって、伸長生成物の伸長部位の前記部分に対応する配列の複製を複数含む増幅生成物がもたらされ得る。伸長生成物、より具体的にはその一部がこのようにして増幅され得る。あるいは、またはそれに加えて、伸長生成物の伸長部位の前記部分は、伸長生成物の伸長部位に相補的な配列を含む環状オリゴヌクレオチドをローリングサークル増幅するためのプライマーとして作用し得る。上記のように、得られた生成物は、伸長生成物の伸長部位の前記部分に対応し、下記の様に検出され得る配列の複製を複数含み得る。そのため、本実施形態では、伸長生成物、より具体的にはその一部も増幅される。
【0066】
「スプリント」オリゴヌクレオチドが伸長される実施形態では、増幅のための、好ましくはローリングサークル増幅のための鋳型を提供するために、その伸長オリゴヌクレオチドが環状化(circularize)され得る。これらの実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドの3’末端(伸長末端)が、伸長オリゴヌクレオチドの5’末端(非伸長末端)に連結され、そのライゲーションは、本明細書の他の箇所に記載の任意の好適な手段により実現可能である。特に好ましい実施形態では、ライゲーション反応はテンプレートライゲーションであり、伸長オリゴヌクレオチドの3’末端および5’末端が、核酸分子、例えば、伸長オリゴヌクレオチドの3’末端と5’末端との間で「スプリント」または「分子ブリッジ」として作用させるために反応に加えられる(本明細書の他の箇所で定義の)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることによって互いに近づけられる。伸長オリゴヌクレオチドの末端が「スプリント」核酸分子にハイブリダイズする際に、それらの末端は、例えばリガーゼ酵素の活性によって連結されて、伸長生成物の伸長部位を含む環状オリゴヌクレオチドを形成し得る。そのため、例えばローリングサークル増幅による前記環状オリゴヌクレオチドの増幅によって、伸長生成物の増幅がもたらされる。この場合、増幅生成物は、伸長生成物の伸長部位の相補体である配列を含む。そのため、環状化オリゴヌクレオチドの増幅によって、伸長生成物の間接的な増幅がもたらされる。
【0067】
上記から、伸長生成物の伸長部位は比較的少数のヌクレオチドを含んでいればよいことが分かる。さらに、伸長生成物の最大の大きさは、伸長生成物の鋳型として作用する近接プローブの核酸ドメインの大きさおよび/またはスプリントオリゴヌクレオチド(下記で規定)の大きさによって左右される。伸長生成物は、核酸ドメインおよび/または伸長生成物の鋳型として作用するスプリントオリゴヌクレオチドの完全なまたは部分的な伸長によってもたらされ得る。即ち、伸長反応によって、鋳型核酸の末端まで伸長された伸長生成物がもたらされ得るか、または伸長反応で、伸張生成物が鋳型核酸の部分的に相補的な鎖のみとなるような条件が用いられ得る。
【0068】
本明細書では、「検出する」または「検出される」という用語が、検体の存在(即ち、それが存在しているか否か)を特定する任意の手段または検体を測定する任意の形態を含むものとして広く用いられている。本発明の方法では、伸張生成物を増幅し(伸張生成物に基づく、または由来する、またはそれを用いて生成される生成物を増幅することも含む)、その増幅生成物を検出することによって、検体が間接的に検出される。そのため、検体を検出することは、上記で定義した増幅生成物を検出することと同義であり、本明細書ではこれらの用語が互換的に用いられている。
【0069】
そのため、「検出する」は、検体の有無、または量、または場所を、特定する、測定する、評価する、または分析するためのあらゆることを含み得る。半定量を含む、定量および定性試験、測定、または評価が含まれる。そのような試験、測定、または評価は、例えば、2つ以上の異なる検体が試料中で検出された場合は相対的であってもよく、または絶対的であってもよい。そのようなことから、試料中の標的検体を定量化する文脈で「定量」という用語が用いられる場合、それは絶対定量または相対定量を意味し得る。絶対定量は、既知の濃度の1つ以上のコントロール検体を含めることおよび/または既知のコントロール検体を用いて標的検体の検出レベルを参照することにより(例えば、標準カーブを生成するにより)実現し得る。他方、相対定量は、2つ以上の異なる標的検体の検出レベルまたは量を比較して、前記2つ以上の異なる検体のそれぞれ、即ち、互いに相対的な相対定量を得ることにより実現し得る。
【0070】
「検体」は、本発明の方法によって検出することが望まれる任意の物質(例えば、分子)または実在物であり得る。検体は、本発明のアッセイ法の「標的」である。従って、検体は、検出することが望まれ得る任意の生体分子または化学化合物、例えば、ペプチドもしくはタンパク質、または核酸分子もしくは有機分子および無機分子を含む小分子であり得る。検体は、ウイルス、またはその断片もしくは生成物を含む細胞または微生物であり得る。従って、検体は、それに対して特定の結合パートナー(例えば、親和性結合パートナー)を作製することのできる任意の物質または実在物であり得ることが分かる。検体には、少なくとも2つの結合パートナー(より具体的には、少なくとも2つの近接プローブの検体結合ドメイン)を同時に結合させることができることだけが求められる。本発明のアッセイ等の近接プローブを使用するアッセイは、タンパク質またはポリペプチドの検出にとりわけ有用であることが分かっている。そのため、検体としてとりわけ対象になるものとしては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、プリオン、またはタンパク質成分またはポリペプチド成分等やその断片を含む任意の分子等のタンパク様分子が挙げられる。本発明の特に好ましい実施形態では、検体が完全にまたは部分的にタンパク様分子である。検体は、単一分子、または2つ以上の分子サブユニット(それらは互いに共有結合していても、またはしていなくてもよく、また同じであっても異なっていてもよい)を含む複合体であり得る。よって、細胞または微生物に加えて、そのような複合体検体もタンパク質複合体であり得る。そのため、そのような複合体は、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーであり得る。分子、例えばタンパク質の集合体、例えば、同一のタンパク質または異なるタンパク質の集合体も標的検体となり得る。検体は、DNAまたはRNA等の核酸分子と、タンパク質またはペプチドとの複合体でもあり得る。とりわけ対象となるものとしては、例えば、転写因子等の調節因子と、DNAまたはRNAの相互作用等のタンパク質と核酸との相互作用であり得る。
【0071】
全ての生体試料および臨床試料、例えば、生体の任意の細胞試料もしくは組織試料、またはそれに由来する任意の体液もしくは調製物、および細胞インキュベート物、細胞調製物、細胞溶解物等の試料が含まれる。環境試料、例えば土壌試料および水試料、または食品試料も含まれる。試料は、新たに調製したものでもよいし、任意の簡便な方法、例えば貯蔵により予め処理されたものであってもよい。
【0072】
そのため、代表的な試料は、生体分子を含み得る任意の物質、または例えば、食品および近縁製品、臨床試料および環境試料を含む任意の他の所望の検体または標的検体を含み得る。試料は、全ての原核細胞または真核細胞、ウイルス、バクテリオファージ、マイコプラズマ、プロトプラスト、およびオルガネラを含む、任意のウイルス性物質またはセルラーマテリアルを含み得る生体試料であり得る。よって、そのような生体物質は、全ての種類の哺乳動物および非哺乳動物の細胞、植物細胞、藍藻類を含む藻類、菌類、バクテリア、原虫等を含み得る。そのため、代表的な試料は、全血、および血漿、血清ならびにバッフィーコート等の血液由来の生成物、血球、尿、大便、髄液、またはその他の体液(例えば、気道分泌物、唾液、母乳等)、生体組織、バイオプシー、細胞インキュベート物、細胞懸濁液、培養上清、細胞インキュベート物成分の他の試料等を含む。試料は、任意の簡便な方法または所望の方法、例えば、細胞分解または精製、検体の分離等によって予め処理して、本発明の方法に供してもよい。
【0073】
本発明の方法で用いるための近接プローブは、検体結合ドメインと核酸ドメインとを含み、事実上、それらは(検体結合ドメインを介して)検体に結合する検出プローブであり、前記結合の際にプローブの核酸ドメインの間で起こる相互作用を検出する手段により、(検体を検出するために)そのような結合が検出され得る。従って、プローブは、検体に対する核酸タグ化アフィニティーリガンドまたは核酸タグ化結合パートナーとしてみなすことができ、この場合、検体結合ドメインが親和性結合パートナーであり、核酸ドメインが核酸タグである。核酸ドメインは検体結合ドメインに連結されており、この「連結」または接続は、当該技術において知られている所望のまたは簡便な任意の手段によるものでよく、直接であっても、または例えば連結基を介した間接的なものであってもよい。例えば、前記ドメインは、共有結合により(例えば、化学架橋)、または非共有の会合、例えばストレプトアビジン―ビオチンを用いた連結(一方のドメインにビオチンを設け、他方にストレプトアビジンを設ける)により互いに連結されていてもよい。
【0074】
検体結合ドメインは、標的検体にとっての任意の結合パートナーであってもよく、また、直接または間接的な結合パートナーであってもよい。そのため、検体結合ドメインは、標的検体に直接結合するか、または標的検体に結合する結合パートナーまたは中間分子を介して間接的に結合してもよく、その場合、検体結合ドメインは前記中間分子(結合パートナー)に結合する。特に、検体結合ドメインまたは中間結合パートナーは、検体に対して特異的な結合パートナーである。結合パートナーは、その標的、例えば標的検体に結合可能な任意の分子または実在物であり、特異性の結合パートナーは、その標的(例えば標的検体)に特異的に結合可能なもの、即ち、同結合パートナーは、試料中の他の成分に対してよりも、標的(例えば検体)に対して高い親和性および/または特異性で結合する。そのため、標的検体への結合は、非標的検体への結合とは区別され得る。特異性の結合パートナーは非標的検体に結合しないか、もし結合しても、それは取るに足らない程度か、それを検出できないか、またはそのような非特異性の結合が起こってもそれは区別可能であり得る。標的検体とその結合パートナーとの結合は、一般には非共有性である。
【0075】
検体結合ドメインは、標的検体に高い結合親和性を有するように選択され得る。高い結合親和性とは、結合親和性が少なくとも約10-4M、通常少なくとも10-6M以上、例えば10-9M以上であることを意味する。検体結合ドメインは、それが近接プローブの一部として存在する場合に、標的タンパク質への結合親和性が前記の要件を満たすものであれば、様々な異なる種類の分子の任意のものであってよい。他の実施形態では、検体結合ドメインは、その標的検体への親和性が中程度かそれよりも低い、例えば約10-4未満のリガンドであり得る。
【0076】
検体結合ドメインは、小分子リガンドまたは大分子リガンドであり得る。小分子リガンドとは、その大きさが約50〜約10,000ダルトン、一般的に約50〜約5,000ダルトン、より一般的に約100〜約1,000ダルトンの範囲のリガンドを意味する。大分子とは、その大きさが、分子量で約10,000ダルトン以上の範囲のリガンドを意味する。
【0077】
小分子は、要求される親和性で標的検体と結合可能な任意の分子、および結合部またはその断片であり得る。概して、小分子は、対象となる標的検体に結合可能な有機小分子である。小分子は、標的検体との構造的な相互作用に必要な1つ以上の官能基、例えば、疎水相互反応、親水相互反応、静電相互反応、または共有相互作用に必要な基を含む。標的検体がタンパク質である場合、小分子リガンドは、水素結合、疎水−親水相互反応、静電相互反応等のタンパク質との構造的な相互反応に必要な官能基を含み、少なくともアミン基、アミド基、スルフィドリル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基、好ましくは前記官能化学基のうちの少なくとも2つを一般的に含む。小分子は、その小分子の標的検体に結合する能力が実質的に悪影響を受けることなく、近接プローブの核酸ドメインとの共有連結に加わるかおよび/またはその際に修飾され得る領域も含み得る。
【0078】
概して、小分子アフィニティーリガンドは、上記の官能基の1つ以上で置換された環状炭素構造または複素環状構造および/または芳香構造またはポリ芳香構造を含む。ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン類、ピリミジン、その誘導体、構造類似体、またはその組み合わせを含む、生体分子の中にある構造も、対象となる小分子である。そのような化合物が、対象となるものを特定するためにスクリーニングされ、様々な異なるスクリーニングプロトコルが当該技術において知られている。
【0079】
小分子は、合成または天然の化合物のライブラリを含む、広範なソースから取得され得る天然の化合物または合成の化合物に由来し得る。広範な有機化合物および生体分子をランダム合成および直接合成(directed synthesis)するのに、数多くの手段が利用可能であり、それには、ランダム化オリゴヌクレオチドおよびランダム化オリゴペプチドの調製が含まれる。あるいは、細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形体の天然の化合物のライブラリが利用可能であるか、または容易に製造される。さらに、天然のまたは合成により生成されたライブラリおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的手段により容易に修飾でき、それらは、コンビナトリアルライブラリを生成するために用いられ得る。公知の小分子を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の直接またはランダム化学修飾して構造類似体を生成してもよい。
【0080】
そのようなことから、前記小分子は、コンビナトリアルな手段から生成される化合物のライブラリ、即ち、化合物多様性コンビナトリアルライブラリ(compound diversity combinatorial library)を含む、天然のまたは合成の分子のライブラリから取得され得る。そのようなライブラリから取得された場合、利用される小分子は、簡便な結合アフィニティーアッセイにおいて、標的タンパク質に対してある程度望ましい親和性を示す。コンビナトリアルライブラリ、並びにそれらの製造方法およびスクリーニング方法は当該技術において知られており、米国特許第5,741,713号、米国特許第5,734,018号、米国特許第5,731,423号、米国特許第5,721,099号、米国特許第5,708,153号、米国特許第5,698,673号、米国特許第5,688,997号、米国特許第5,688,696号、米国特許第5,684,711号、米国特許第5,641,862号、米国特許第5,639,603号、米国特許第5,593,853号、米国特許第5,574,656号、米国特許第5,571,698号、米国特許第5,565,324号、米国特許第5,549,974号、米国特許第5,545,568号、米国特許第5,541,061号、米国特許第5,525,735号、米国特許第5,463,564号、米国特許第5,440,016号、米国特許第5,438,119号、米国特許第5,223,409号に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に含まれる。
【0081】
検体結合ドメインは、大分子でもあり得る。大分子検体結合ドメインとしてとりわけ対象となるのは、抗体ならびにその結合断片、誘導体、または模倣物である。抗体が検体結合ドメインの場合、それらは、特異性が異なる抗体の異種集団(heterogeneous population)が同じタグ化核酸でそれぞれ「タグ化」されるようにしたポリクロナール組成物に由来するものであっても、標的検体に同じ特異性を有する同一抗体の同種集団(homogeneous population)のそれぞれが同じタグ核酸にタグ化されたモノクロナール組成物に由来してもよい。そのようなことから、検体結合ドメインは、モノクロナール抗体またはポリクロナール抗体のいずれかであり得る。さらに別の実施形態では、アフィニティーリガンドは、抗体結合断片、その誘導体または模倣物であり、これらの断片、誘導体、および模倣物は、標的検体に対して必要な結合親和性を有する。例えば、Fv、F(ab)2、およびFab等の抗体断片は、無傷のタンパク質(intact protein)の切断、例えば、プロテアーゼ切断又は化学切断により調製され得る。一本鎖抗体もしくはscFvs、またはキメラ抗体もしくはCDRグラフト抗体等の組み替えまたは合成により生成された抗体断片または誘導体も対象となり、そのような組み替えまたは合成により生成された抗体断片は、上記抗体の結合特性を維持している。そのような抗体断片または誘導体は、対象抗体の結合特性を維持するために、少なくとも対象抗体のVHおよびVLドメインを通常含む。本発明のそのような抗体断片、誘導体、または模倣物は、米国特許第5,851,829号および5,965,371号(それらの開示は、参照により本明細書に含まれる)に開示の方法論等の任意の簡便な方法論を用いて容易に調製され得る。
【0082】
上記の抗体、その断片、誘導体、および模倣物は、市販のソースから取得しても、および/または任意の簡便な技術を用いて調製してもよく、ポリクリナール抗体、モノクロナール抗体、その組み換え誘導体を含むその断片、誘導体、および模倣物の製造方法は、当業者に公知である。
【0083】
ポリ核酸アプタマーも、結合ドメインとしての使用が好適である。ポリ核酸アプタマーは、レセプターまたは抗体とほぼ同じ様に選択的にタンパク質を結合させる作用を持ち得るRNAオリゴヌクレオチドであり得る(Conrad et al., Methods Enzymol. (1996), 267 (Combinatorial Chemistry), 336-337)。検体結合ドメインが核酸、例えばアプタマーである特定の実施形態では、標的検体は核酸ではない。
【0084】
検体結合ドメインは、標的検体への検体結合ドメインの結合親和性を実質的に消失することなく、核酸ドメインに共有結合可能な部位を含むものであることが重要である。
【0085】
抗体ベースのペプチド/ポリペプチドまたはタンパク質ベースの結合ドメインに加えて、検体結合ドメインは、レクチン、可溶性細胞表面レセプター、またはその誘導体、アフィボディ、またはコンビナトリアル由来の任意のタンパク質、またはファージディスプレイもしくはリボソームディスプレイ由来のペプチド、または任意の種類のコンビナトリアルペプチドまたはタンパク質ライブラリでもあり得る。任意の検体結合ドメインの組み合わせを用いてもよい。
【0086】
セットにおける近接プローブのそれぞれの検体結合ドメインは、検体上の結合サイトが同じであっても異なっていてもよい。そのため、例えば、2つ以上の同一のサブユニットまたはタンパク質成分を含むホモメリック(homomeric)タンパク質複合体または集合体の場合は、2つ以上のプローブの検体結合ドメインは同じであり得る。検体が単一分子または異なるサブユニットまたは成分を含む場合(例えば異なるタンパク質のヘテロメリック複合体または集合体)、検体結合ドメインは異なり得る。
【0087】
近接プローブの核酸ドメインの長さは、様々な分子距離にわたるように構成することができるため、検体結合ドメインの検体上の結合サイトは同じ分子上にある必要はない。それらは別々ではあるが近接した分子上にあり得る。例えば、バクテリアもしくは細胞、またはウイルス等の微生物の複数の結合ドメインを本発明の方法の標的とすることができる。
【0088】
上記のように、検体結合ドメインは、検体に直接または間接的に結合し得る。間接的な結合の場合、標的検体は先ず特定の結合パートナー(又はアフィニティーリガンド)によって結合され、近接プローブの検体結合ドメインがその特定の結合パートナーに結合し得る。これは、近接プローブを万能試薬として設計することを可能にする。例えば、検体に特異的なパートナーは抗体であり、万能近接プローブのセットは、検体に特異的な様々な異なる抗体のFc領域に結合することによって異なる検体を検出するのに用いられ得る。
【0089】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインは、相互に反応して、検体の検出を知らせるために検出され得る検出可能な生成物を形成する核酸「タグ」であるとみなすことができる。そのため、核酸ドメインは、相互に反応して、検体の検出に用いられる信号(より具体的には信号付与生成物)を提供する反応性核酸官能基(reactive nucleic acid functionalities)であるとみなすことができる。換言すれば、核酸ドメインは、相互に反応して「検出可能」なタグまたは生成物を形成するかまたはその形成を可能にする「検出タグ」であるとみなすことができる。同じ試料中に2つ以上の検体が存在する場合、それらは、近接プローブのセットを2つ以上用いて同時に検出され、各セットの近接プローブは、相互反応に際して1つ以上の独自の核酸配列伸長生成物または「検出可能なタグ」を形成するように設計されている。これらの独自の「検出可能タグ」は、増幅と同時にまたはその後で、液体クロマトグラフ、電気泳動法、質量分析法、DNA塩基配列決定法、ビーズベースおよび平面双方のDNAアレイ技術、およびマルチカラーリアルタイムPCRを含む文献で公知な方法を用いて、別々に検出および定量される。
【0090】
好ましい実施形態では、検出可能タグ(即ち、伸長生成物)が、リアルタイムPCRとしても知られる定量PCR(qPCR)によって増幅および検出される。特に好ましい実施形態では、核酸分子とインターカレートして検出可能な信号、好ましくは蛍光信号を提供する色素がqPCRで用いられる。本発明で特に有用であり得る蛍光インターカレート色素は、SYBRGreen(登録商標)およびEvaGreenTMであるが、本発明のqPCRの実施形態はこれらの色素に限定されない。
【0091】
本発明の方法では、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインの一方または双方が伸長され、それにより、増幅または検出され得る新たな核酸分子または「伸長生成物」の形成がもたらされる。
【0092】
いくつかの実施形態では、一方の核酸ドメインが伸長された後で、核酸ドメインが互いにライゲーションされて、伸長生成物または検出可能タグが生成され得る。即ち、「スプリント」オリゴヌクレオチドを鋳型として用いるポリメラーゼ酵素によって核酸ドメインの間の隙間が「埋められる」。核酸ドメインがライゲーションされる実施形態において、このライゲーションは、上記のように、一方の近接プローブの核酸ドメインの一部であると考えられ得るスプリントに仲介される、即ち、核酸ドメインは部分的に二本鎖である。前記スプリントを、フリーな核酸分子として別途提供してもよく、または第3の近接プローブの核酸ドメインとして提供することもできる。
【0093】
前記ライゲーションにより、増幅および検出され得る新たな核酸分子または核酸配列の形成がもたらされる。
【0094】
核酸ドメインは、一本鎖核酸分子(即ち、オリゴヌクレオチド)、部分的に二本鎖で部分的に一本鎖の分子、または二本鎖の領域と2つの核酸鎖が相補的ではなく、そのため一本鎖である領域とを含む二本鎖分子であり得る。そのようなことから、特定の実施形態では、核酸ドメインは一本鎖核酸からなる。他の実施形態では、核酸ドメインは、2つの部分的に相補的な核酸鎖からなり、前記2つの鎖はハイブリダイズ領域と非ハイブリダイズ領域とを含む。
【0095】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインは、ハイブリダイゼーションによる相互反応、即ち、1つ以上のデュプレックスの形成が可能でなければならない。この相互反応は直接的、例えば、核酸ドメインが、互いに相補的な領域を、好ましくはそれらの3’末端に含む(相補的な領域は1つの核酸ドメインの内部にあり得る、例えば、図1のバージョン2および4参照)か、または間接的(例えば、前記第1および第2の近接プローブの核酸ドメインのそれぞれが、いわゆる「スプリント」オリゴヌクレオチドの領域とハイブリダイズし得る)であり得る。
【0096】
一般的に、核酸ドメインは、標的検体に結合した際に(またはスプリントに仲介された相互反応の際に)他方の近接プローブの核酸ドメインと相互に反応できるような十分な長さを有する。概して、核酸ドメインは約8〜約1000ヌクレオチド長の範囲であり、特定の実施形態では、核酸ドメインは、約8〜約250ヌクレオチド長を含む約8〜約500ヌクレオチド長の範囲、例えば、約12〜約150ヌクレオチド長、約14〜約130ヌクレオチド長、約16〜約110ヌクレオチド長、約8〜約90ヌクレオチド長、約12〜約80ヌクレオチド長、約14〜約75ヌクレオチド長、約16〜約70ヌクレオチド長、約16〜約60ヌクレオチド長等の約8〜約160ヌクレオチド長であり得る。特定の代表的な実施形態では、核酸ドメインは、約10〜約80ヌクレオチド長、約12〜約75ヌクレオチド長、約14〜約70ヌクレオチド長、約34〜約60ヌクレオチド長の範囲、およびこれらの範囲の間の任意の長さであり得る。いくつかの実施形態では、核酸ドメインは概して約28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、44、46、50、55、60、65、または70ヌクレオチド長以下である。
【0097】
核酸ドメインは、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチド、並びにワトソン―クリック型または類似の塩基対による相互反応、即ち、「ハイブリダイゼーション」または「デュプレックス」の形成に加わることが可能な合成ヌクレオチド残基からなり得る。そのため、核酸ドメインは、DNAまたはRNAまたはその任意の修飾物、例えば、PNAまたは非ヌクレオチド骨格を含む他の誘導体であり得る。
【0098】
第1および第2の近接プローブの核酸ドメインの配列(即ち、「検出」核酸ドメイン)は、デュプレックスの形成が可能な任意の配列であり、お互いに照らして、またはあればスプリントにも照らして選択または選定され得る。そのため、第1および第2のドメインが互いに、または第3の核酸ドメイン(スプリント)にハイブリダイズし得さえすれば、その配列は重要ではない。しかしながら、第1および第2の近接プローブの核酸ドメイン間のハイブリダイゼーションまたはスプリントオリゴヌクレオチドの核酸ドメインとのハイブリダイゼーション以外のハイブリダイゼーションの発生が防止されるように配列を選択すべきである。一度配列が選択または特定されると、核酸ドメインは任意の簡便な方法を用いて合成され得る。
【0099】
近接プローブの2つの成分は、結合によって直接、または連結基を介して間接的に接合されている。連結基を利用する場合、そのような基は、連結基を介して核酸ドメインと検体結合ドメインとが共有結合し、検体結合ドメインがその標的検体に対して所望の結合親和性を維持するように選択され得る。対象となる連結基は、検体結合ドメインによって大きく異なり得る。多くの実施形態では、連結基が存在する場合、それは生物学的に不活である。様々な連結基が当業者に知られており、本近接プローブに用いることができる。代表的な実施形態では、連結基は概して少なくとも約50ダルトンであり、一般的に少なくとも約100ダルトンであり、最高で1000ダルトン以上、例えば、連結基がスペーサーを含む場合は最大で1000000ダルトンであるが、一般的には約500ダルトン未満で一般的に約300ダルトン未満である。一般的に、そのようなリンカーは、核酸部位または検体結合部位に共有結合可能な反応性官能基(reactive functionality)により何れかの末端で終結されたスペーサー基を含む。対象となるスペーサー基は、脂肪族鎖および不飽和炭化水素鎖、酸素または窒素等の複素原子を含むスペーサー(酸素の場合はポリエチレングリコール等のエーテル、窒素の場合はポリアミン)、ペプチド、炭化水素、複素原子を含み得る環状または非環状システムを含み得る。スペーサー基は、金属イオンの存在により2つ以上のリガンドが配位結合し複合体を形成するように金属に結合するリガンドからもなり得る。具体的なスペーサー要素としては、1,4−ジアミノヘキサン、キシリレンジアミン、テレフタル酸、3,6−ジオキサオクタン二酸、エチレンジアミン−N,N−二酢酸、1,1’−エチレンビス(5−オキソ−3−ピロリジンカルボキシル酸)、4,4’−エチレンジピペリジンが挙げられる。潜在的な反応性官能基としては、求核性官能基(アミン、アルコール、チオール、ヒドラジド)、求電子性官能基(アルデヒド、エステル、ビニルケトン、エポキシド、イソシアネート、マレイミド)、シクロ付加反応、ジスルフィド結合の形成、または金属への結合が可能な官能基が挙げられる。具体的な例としては、第1級および第2級アミン、ヒドロキサム酸、N−ヒドロキシサクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシサクシンイミジルカルボネート、オキシカルボニルイミダゾール、ニトロフェニルエステル、トリフルオロエチルエステル、グリシジルエーテル、ビニルスルホン、およびマレイミドが挙げられる。本発明の近接プローブで有用となり得る具体的なリンカー基としては、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ]プロピオンアミド)、ビス−スルホスクシンイミジルスベラート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジル酒石酸塩、N−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−イオドアセチル]アミノベンゾエート、グルタールアルデヒド、およびスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロロヘキサン−1−カルボキシレート等のヘテロ官能性化合物、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(SPDP)、4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシル酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)等が挙げられる。
【0100】
本発明の方法で利用される近接プローブは、任意の簡便な方法を用いて調製され得る。代表的な実施形態では、核酸ドメインが、直接または連結基を介して間接的に検体結合ドメインに結合される。それらの成分は、当該技術において知られているように官能基を介して互いに共有結合されていてもよく、そのような官能基は、構成要素上に存在していても、例えば酸化反応、還元反応、切断反応等の1つ以上の工程を用いて構成要素に導入してもよい。構成要素を互いに共有結合させて、近接プローブを製造するのに用いられ得る官能基としては、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、アミノ基等が挙げられる。共有結合をもたらすために修飾された異なる構成要素の特定部分は、標的検体に対する当該構成要素の所望の結合親和性を実質的に妨げることのないように選択され得る。必要に応じておよび/または所望により、当該技術において知られているように、封鎖基を用いて構成要素上の特定部位を保護してもよい。例えば、Green & Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis (John Wiley & Sons) (1991)参照。核酸/抗体結合体の製造方法は当業者に公知である。例えば、米国特許第5,733,523号(その開示は参照により本明細書に含まれる)を参照のこと。
【0101】
他の実施形態では、核酸−タンパク質結合体、即ち、タンパク質に共有結合された核酸、例えばコーディング配列を有する分子が得られるインビトロプロトコルを用いて近接プローブが製造され得る。即ち、検体結合ドメインが、近接プローブをエンコードするベクターからインビトロ製造される。対象となるインビトロプロトコルの例としては、RepAを使用すプロトコル(例えば、Fitzgerald, Drug Discov. Today (2000) 5:253-258およびWO98/37186参照)、リボソームディスプレイを使用するプロトコル(例えば、Hanes et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA (1997) 94:4937-42、Roberts, Curr Opin Chem Biol (1999) Jun; 3:268-73、Schaffitzel et al., J Immunol Methods (1999) Dec 10; 231: 119-35、およびWO98/54312号参照)等が挙げられる。
【0102】
スプリントオリゴヌクレオチド(第3の近接プローブの核酸ドメインであり得る)を利用する実施形態では、同スプリントオリゴヌクレオチドが、第1および第2の近接プローブの核酸ドメイン(即ち、「検出」ドメイン)間の相互反応を仲介する機能を有する。上記のように、スプリントオリゴヌクレオチドは、伸長される核酸ドメインとしても作用し得るため、本発明の方法に従って増幅および検出される伸長生成物がもたらされる。そのため、同スプリントは、第1および第2の近接プローブの検出ドメインが、相互に反応するかまたは互いにライゲーションされるようにそれらを接続するまたは「いっしょに保持する」ように作用する「コネクタ」オリゴヌクレオチドであるとみなすことができる。あるいは、またはそれに加えて、スプリントは、核酸ドメインの伸長可能なドメイン、またはタグ、または増幅および検出すべき伸長生成物を生成するために、伸長用の「プライマー」として作用する別の核酸ドメインとしてみなされ得る。
【0103】
これらの実施形態では、スプリントが第1および第2の近接プローブの核酸ドメインとハイブリダイズする。より具体的には、スプリントは、少なくとも第1および第2の近接プローブの核酸ドメインと同時にハイブリダイズ(アニール)する。しかしながら、「スプリント」オリゴヌクレオチドが、少なくとも一方の前記近接プローブの核酸ドメインにプレハイブリダイズされている場合は、一方とハイブリダイズする前に他方の近接プローブの核酸ドメインとハイブリダイズする。しかしながら、「スプリント」が、両方の近接プローブの核酸ドメインと同時にハイブリダイズされて、伸長可能な安定した複合体が形成できるようにすることが好ましい。
【0104】
スプリントオリゴヌクレオチドが、第3の近接プローブの核酸ドメインとして提供される場合、全てのセットの近接プローブの核酸ドメインが互いにハイブリダイズされることによって、標的検体に結合する際にプローブ−標的複合体の結合活性が高まる。この結合活性効果は、信号を付与する近接プローブと標的検体との複合体の形成をサポートすることによってアッセイの感度に貢献する。
【0105】
本明細書で用いる「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」という用語は、ワトソン−クリック塩基対合によりデュプレックスを形成するのに十分に相補的なヌクレオチド配列間でのデュプレックスの形成を意味する。2つのヌクレオチド配列は、それらの分子が塩基対の組織的な相同性(organizational homology)を共有している場合、互いに「相補的」である。「相補」ヌクレオチド配列は、特異性と組み合わされて、適切なハイブリダイゼーション条件下で安定したデュプレックスを形成する。例えば、2つの配列は、第1の配列の一部が第2の配列の一部にアンチパラレルな向き(anti-parallel sense)に結合できる場合相補的であり、各配列の3’末端は、他方の配列の5’末端に結合し、一方の配列の各A、T(U)、G、およびCは、他方の配列のT(U)、A、C、およびGとそれぞれアライメントを取る。RNA配列も、相補的なA=UまたはU=Aの塩基対を含むことができる。そのため、本発明では、2つの配列が「相補的」になるのに、相同性が完全である必要なない。通例、2つの配列は、相補的と判断される分子または少なくとも約85%(好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%)のヌクレオチドが、ドメインの所定の長さに対して塩基対構成を共有していれば、十分に相補的である。そのため、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインは、他方の近接プローブの核酸ドメインに相補的な領域を含む。あるいは、スプリントオリゴヌクレオチドが用いられる場合、第1および第2の近接プローブは、スプリントオリゴヌクレオチド(第3の近接プローブ上に存在し得る)に相補的な領域を含み、それに対してスプリントオリゴヌクレオチドは、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインのそれぞれに相補的な領域を含む。
【0106】
相補領域(即ちハイブリダイゼーション領域)は、4〜30bp、例えば、6〜20、6〜18、7〜15、または8〜12bpの範囲の長さを有し得る。
【0107】
一般的に、スプリント核酸ドメインは、上述した第1および第2のプローブの核酸ドメインの同時結合がもたらされるのに十分な長さを有する。代表的な実施形態では、スプリントオリゴヌクレオチドは、約20〜約40ヌクレオチド長を含む約6〜約500ヌクレオチド長の範囲にあり、例えば約25〜約30ヌクレオチド長である。
【0108】
上記のように、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインの相互反応は、主としてデュプレックスの形成であり、一方または双方の核酸ドメインが伸長、特に、他方の近接プローブの核酸ドメインを鋳型として用いる鋳型指向性伸長(template-directed extension)に供され得る。この結果、例えば、双方のドメインが完全に伸長される場合は完全な二本鎖の核酸が、または、例えば1本の鎖のみが伸長されるかまたは双方の鎖が部分的に伸長される場合は、部分的に2本鎖の分子が形成され得る。そのため、一方または双方の核酸ドメインの伸長は、それぞれのドメインを接合すること、例えば、2つの一本鎖分子から1つの二本鎖核酸を生成することであると考えられ得る。
【0109】
他の実施形態では、この「接合」がライゲーションであり得る。特に、例えば、第1の近接プローブの核酸ドメインが、その3’末端が、第2の近接プローブの5’末端に近接して2つのドメインを鋳型指向性ライゲーション(template-directed ligation)できるように伸長される。そのような場合、一方の核酸ドメインの一部を形成するか、または溶液中でフリーな状態でもしくは第3の近接プローブの核酸ドメインとして別途提供され得るスプリントによってライゲーション鋳型が提供されることが分かる。そのようなライゲーションは、例えばポリメラーゼによって仲介される第1の近接プローブの核酸ドメインの伸長の後で反応に加えられ得るリガーゼ酵素を用いて行われ得る。
【0110】
そのため、本発明の方法の好ましい実施形態では、第1および第2のプローブの核酸ドメインは、ハイブリダイズされたスプリントによって鋳型される反応を用いてライゲーション可能であり、それらの核酸ドメインはライゲーションされて(一方の核酸ドメインの伸長の後)、伸長生成物でもある「ライゲーション」生成物が増幅および検出される。従って、そのような実施形態では、スプリントは、「スプリント鋳型」または「ライゲーション鋳型」または「鋳型オリゴヌクレオチド」としてみなされ得る。そのような実施形体では、スプリントは、増幅および検出されるさらなる「伸長生成物」を生成するために伸長もされ得る。
【0111】
上記のように、核酸ドメインの間で様々な相互反応が起こるようにするには、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインは、特定の向きで検体結合ドメインに連結している必要がある。例えば、双方のドメインを伸長する場合、それらのドメインは一本鎖核酸を含み、各核酸ドメインはその5’末端で検体結合ドメインに連結して、近接する場合に「アニール」されるかまたは「ハイブリダイズ」されるフリーな3’ヒドロキシル末端を残しておかなければならない。しかしながら、一つのドメインおよび/または2つのドメインの結合体を伸長する場合は、第1の近接プローブの核酸ドメインをその5’末端により連結させ(伸長され得るフリーな3’ヒドロキシル末端を残す)、他方のドメインをその3’末端により連結させる(従来のポリメラーゼを用いて伸長することができないフリーな5’ホスフェート末端を残す)のが一般的(必須ではない。図1のバージョン4参照)である。
【0112】
核酸ドメインが連結可能な実施形態において、第1および第2の核酸ドメインのそれぞれは、スプリントにハイブリダイズするか、または一方の近接プローブの核酸ドメインが、一本鎖オーバーハングを有する部分的に2本鎖のドメインである場合、他方の近接プローブの核酸ドメインは前記オーバーハングのドメインとハイブリダイズする。3’末端を有するドメインは、その後鋳型指向性伸長により他方のドメインの5’ホスフェート末端まで伸長され、リガーゼ酵素を利用して2つの鎖が結合され得る。そのため、3’末端および5’末端のそれぞれは、スプリント(鋳型)上で近接しても即座には互いにハイブリダイズせずにスプリントにハイブリダイズするため、それらの間にスペース(又はヌクレオチドのストレッチ)が残る。
【0113】
2つの末端の間の間隙、スペース、またはヌクレオチドのストレッチは、約8〜約1000ヌクレオチド長の範囲にあり、特定の実施形態では、それらは、約8〜約250ヌクレオチド長を含む約8〜500ヌクレオチド長の範囲、例えば、約12〜約150ヌクレオチド長、約14〜約130ヌクレオチド長、約16〜約110ヌクレオチド長、約8〜約90ヌクレオチド長、約12〜約80ヌクレオチド長、約14〜約75ヌクレオチド長、約16〜約70ヌクレオチド長、約16〜約60ヌクレオチド長等の約8〜約160ヌクレオチド長であり得る。特定の代表的な実施形態では、核酸ドメインは、約10〜約80ヌクレオチド長、約12〜約75ヌクレオチド長、約14〜約70ヌクレオチド長、約34〜約60ヌクレオチド長の範囲、およびこれらの範囲の間の任意の長さであり得る。いくつかの実施形態では、核酸ドメインは一般的に約28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、44、46、50、55、60、65、または70ヌクレオチド長以下である。
【0114】
そのため、スプリントは、5’フリー近接プローブの核酸ドメインに相補的な第1の3’領域と、3’フリー近接プローブの核酸ドメインに相補的な第2の5’領域とを含み得る。スプリントの第1および第2領域は、3〜20、6〜17、6〜15、または6〜12、または8〜12ヌクレオチド長、例えば、約13〜17、12〜16、11〜15、もしくは12〜14ヌクレオチド長、または約6〜12、7〜11、もしくは8〜10ヌクレオチド長であり得る。
【0115】
下記で詳細に説明するように、ライゲーション/伸長生成物の増幅は、検出工程の前にまたはそれと同時に行われる。従って、いくつかの実施形態では、そのような工程で起こり得る誤った増幅、例えば、スプリントが増幅で用いられるポリメラーゼの鋳型として作用する可能性が最小限に留められるようにスプリントを設計することが望ましいと考えられる。そのため、スプリントが、例えば、RNAオリゴヌクレオチドまたはDNA/RNAハイブリッドとして提供され得る(増幅反応で一般的に用いられるTaqポリメラーゼはRNA鋳型を用いることができないため)。あるいは、2つの短いハイブリダイゼーション領域を有するDNAスプリントを用いて同様の効果が実現され得る(ハイブリダイゼーションが弱いため、そのようなスプリントは、PCRで用いられる高温でDNA重合を鋳型しないため)。
【0116】
あるいは、他の好ましい実施形態では、スプリントが有利に伸長されて、先に定義した伸長生成物が生成され、それ自体が本発明の方法に従って増幅および検出される。
【0117】
特定の実施形態では、試料が2つ以上の異なる標的検体を調べるためにアッセイされ得る。そのような実施形態では、試料が、各標的検体用の近接プローブのセットに、試料に接触されるセットの数が2以上、例えば、3以上、4以上等となるように接触される。そのような方法は、多重・高スループット用途で特に有用である。
【0118】
近接プローブが標的検体に結合せずに、互いにランダムな形で近接しないようにするために(少なくともこれが大規模にまたは実質的に起こらないようにするために)、反応混合物中の近接プローブの濃度が十分低くなるように試料に加えられる近接プローブの量が選択され得る。そのため、近接プローブの検体結合ドメインと検体の結合サイトの間の結合相互作用を通じて近接プローブが検体に結合した時だけ、近接プローブが互いに近接することを意味する。
【0119】
しかしながら、驚くべきことに、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分を加えることで、フリーで保護されていない3’末端を有する核酸ドメインが分解され、標的検体に結合していない近接プローブ間の相互反応の数が低減され得ることを分かった。これに関して、そのような相互反応は、標的検体に結合したプローブ間の相互反応よりも安定していないため、過渡的である。その結果、そのような結合していないプローブは、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分によって分解される。そのため、本発明の方法では、近接ベース検出アッセイにおいてこれまで用いることのできなかった濃度の近接プローブを用いることが可能であり得る。これは、近接プローブの検体結合ドメインの標的検体への親和性が中または低程度であることから、より高い濃度で必要な場合に特に有利である。
【0120】
代表的な実施形態では、試料と混合した後の反応混合物中での近接プローブの濃度は、約1pM〜約100nMを含む、約1pM〜約1nM等の約1fM〜1μMの範囲内である。
【0121】
試料と近接プローブのセットの混合の後、近接プローブが試料中の標的検体(もしあれば)に結合するのに十分な期間反応混合物をインキュベートする。代表的な実施形態では、生成混合物が、約30分〜約12時間を含む約5分〜約48時間の期間、約20〜約37℃を含む約4〜約50℃の範囲の温度でインキュベートされ得る。近接プローブが検体に特異的に結合するのが促進され、他方で非特異性の相互反応が抑制されるように、反応混合物が維持される条件を最適化すべきである。条件は、上記の核酸ドメインの間での効率的で特異的なハイブリダイゼーションも可能にすべきである。
【0122】
いくつかの実施形態では、近接プローブが凍結乾燥される。本発明の一態様において、その凍結乾燥された近接プローブは、検体を含む試料に接触させる前に再度水和される。本発明の好ましい態様において、凍結乾燥された近接プローブは、標的検体を含む試料に加える際に再度水和される。
【0123】
特定の実施形態では、試料中に標的検体が存在する場合に、近接プローブが標的検体に結合するインキュベート工程の少なくとも一部の間、インキュベート混合物の有効体積が低減される。これらの実施形態では、インキュベート混合物の有効体積が多くの様々な理由から低減され得る。特定の実施形態では、親和性が中または低程度の検体結合ドメインの使用を可能にするため、および/またはアッセイの感度を高めるために、インキュベート混合物の有効体積が低減される。例えば、インキュベート混合物の有効体積が低減される特定の実施形態では、検体結合ドメインは、親和性が中または低程度のバインダであり、親和性が中または低程度とは、標的検体への検体結合ドメインの結合親和性が1nMkd等の約10-4M未満であることを意味する。特定の実施形態では、1μLの試料においてわずか約75以下の標的検体、1μLの試料においてわずか約50以下の標的検体を含む、1μLの試料においてわずか約100以下の標的検体をアッセイで検出できるように、アッセイの感度が高められ得る。
【0124】
特定の実施形態では、例えば、近接プローブがそれらの標的検体に結合する間にインキュベート混合物の有効体積を低減するために、上記インキュベート工程の間に「クラウディング剤(crowding agent)」または「ボリュームエクスクルーダー(volume excluder)」が混合物に含められる。通常、「クラウディング剤」は水溶性の巨大分子物質である。好適な巨大分子物質は、平均分子量が約1500〜数百万の生体適合性の自然または合成ポリマーを広く含み、混合物中の他の試薬または生成物と特異的に相互反応しない。そのようなポリマーは、それらの主たる機能がインビトロ反応媒体において体積を占めて、生化学反応のために高濃度の環境を提供する、例えば、インビボ状態に近づけることであるから、当該技術では「ボリュームエクスクルーダー」として知られている。当然のことながら、体積排除ポリマーは、必要な濃度を提供するために十分に可溶性でなければならない。好適な例示のポリマーとしては、これらに限定されないが、市販の、例えば、平均分子量が約2000を超えるポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、平均分子量が約70,000のFICOLLポリマー等のFICOLLポリマー、ウシ血漿アルブミン、グリコゲン、ポリビニルピロリドン、例えば、架橋デキストランであるセファデックス(登録商標)等のデキストラン等が挙げられる。分子量の高いPEGポリマー、特に、平均分子量がそれぞれ約1450、3000〜3700、6000〜7500、および15,000〜20,000であるPEG1450、PEG3350、PEG6000(PEG8000としても販売されている)、およびPEG20000は、代表的な実施形態で利用される。PEG6000およびPEG8000が代表的な実施形態で用いられる。代表的な実施形態でのインキュベート反応における体積排除ポリマーの濃度は、ポリマーの種類およびその分子量に応じて、約5%w/v〜約45%w/vの範囲内にある。一般に、酵素活性に対して同じ効果を得るには、分子量の高い所定の種類のポリマーは、分子量の低い同じ種類のポリマーよりも低濃度で存在している必要がある。
【0125】
好ましい実施形態では、クラウディング剤またはボリュームエクスクルーダーはセファデックスである。特に好ましい実施形態では、セファデックスはG−100型である。
【0126】
ボリュームエクスクルーダーが利用される実施形態では、本発明の方法の次の工程の前に、ボリュームエクスクルーダーの存在量や希釈流体の特性等に応じて、ボリュームエクストルーダーの存在が、例えば、少なくとも約2倍以上、例えば少なくとも約10倍以上を含む少なくとも5倍以上になるように、インキュベート混合物が希釈され得る。代表的な実施形態では、希釈流体は水、または水および1つ以上の溶質、例えば塩、緩衝剤等を含む他の好適な水性流体である。
【0127】
ボリュームエクスクルーダーを用いる代わりに、またはそれに加えて、インキュベート混合物から水の一部を、例えば蒸発により除去することで、インキュベート混合物の体積をインキュベートの間に低減してもよい。これらの実施形態では、少なくとも約2倍以上、例えば少なくとも約10倍以上を含む少なくとも約5倍以上流体の体積が所望により低減され得る。これらの実施形態では、インキュベート混合物から全ての水を除去しないことが重要である。任意の簡便なプロトコルを用いて、水の一部をインキュベート混合物から取り除くことによりインキュベート混合物の体積を低減すればよい。湿度および温度を観測および調整することで、蒸発率を制御するための手段を用いてもよく、特定の実施形態では、例えば、インキュベート混合物の体積を継続的に測定することによりインキュベート混合物の体積を観測し、適切に蒸発したときに、上記のようにポリメラーゼおよびPCR混合物が加えられ得る。蒸発を強めるために、所望により加熱ブロックが用いられ得る。あるいは、水を濾過し除去することでインキュベート混合物の体積を低減してもよい。代表的な実施形態では、サイズ排除フィルタを用いて、排除リミットよりも大きいサイズの分子を選択的に含め、それよりも小さい分子および水をフィルタに通過させて除外する。溶液をフィルタに通すために溶液にかけられる力は、延伸分離または真空吸引のいずれかであり得る。
【0128】
近接プローブの結合ドメインが検体に結合する際、近接プローブの核酸ドメインは互いに接近する。その結果、第1および第2のプローブの核酸ドメインは、直接、または例えばスプリントを介して間接的に互いにハイブリダイズすることができる。
【0129】
スプリントが存在する場合は、スプリントは、近接プローブよりも先に、それと同時に、または後で試料に加えられ得る。一実施形態では、スプリントは近接プローブにプレハイブリダイズされている。他の実施形態では、スプリントオリゴヌクレオチドは、近接プローブの核酸ドメインの一部を形成する。さらに他の実施形態では、スプリントオリゴヌクレオチドは、第3の近接プローブの形で、検体結合ドメインに連結され、好ましくは第1および第2の近接プローブと同時に加えられる。
【0130】
試料を近接プローブと混合した後、試料が、3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分ではなく、好ましくは、例えば、緩衝剤、塩、ヌクレオチド等の伸長反応用の非酵素成分を加えて希釈され得る。好ましい実施形態では、希釈は、増幅反応用の試薬、例えば、緩衝剤、塩、ヌクレオチド、プライマー、およびポリメラーゼも含む。希釈工程には、結合していない近接プローブの間の相互作用および/またはそれらと試料中の他の成分との相互作用の可能性を低減する働きがある。
【0131】
希釈は、結合したプローブの核酸ドメイン間の相互作用も妨げ得る。しかしながら、結合したプローブは互いに接近していることから、妨げられた相互作用があったとしても、それらは適切な条件下で安定(即ち、再びアニールまたはハイブリダイズ)する。そのため、一実施形態では、結合した近接プローブの間の相互作用が安定するのに十分な期間、試料がさらにインキュベートされ得る。代表的な実施形態では、生成混合物が、約30分〜約12時間を含む約5分〜約48時間の範囲の期間、約20〜約37℃を含む約4〜約50℃の範囲の温度でインキュベートされ得る。近接プローブの検体への特異的な結合が保持され、他方で非特異的な相互反応が抑制されるように、反応混合物がインキュベートされる条件が最適化されるべきである。条件は、上述したように核酸ドメインの間での効率的で特異的なハイブリダイゼーションも可能にすべきである。
【0132】
プローブと試料をインキュベートする工程の後に増幅試薬を試料に加える場合、上記のようにプライマーの3’末端を修飾することにより、プライマーが3’ エキノヌクレアーゼ活性から保護されていることが好ましい。あるいは、またはそれに加えて、さらに好ましい実施形態では、プライマーはホットスタートPCRプライマー、例えば、ステムループプライマー(stem loop primer)であり得る。好ましい実施形態では、ポリメラーゼは、下記でさらに定義するように熱安定性ポリメラーゼである。さらに他の好ましい実施形態では、緩衝剤および/または塩が、試料に加えられる全ての酵素の活性を可能にする。
【0133】
任意の希釈工程に続き、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分を試料に接触させる。この工程は、試料の更なる希釈、例えば、適切な緩衝剤および/または他の塩/成分の成分を加えることを含み得る。上記のように、3’ エキノヌクレアーゼ活性を含む成分は、伸長反応に必要なポリメラーゼ酵素よりも先にまたは同時に加えられ得る。好ましい実施形態では、ポリメラーゼ酵素も3’エキノヌクレアーゼ活性を含む。その3’エキノヌクレアーゼ活性を、結合していない近接プローブの核酸ドメインに作用させるために、適切な条件下で試料がさらにインキュベートされ得る。同条件は、試料中にポリメラーゼが存在する場合、核酸ドメインの伸長にも寄与すべきである。いくつかの実施形態では、3’ エキノヌクレアーゼ活性を含む成分の後でポリメラーゼが加えられ得る。この場合、伸長生成物を生成するために、試料がさらにインキュベートされ得る。インキュベート条件は、反応に用いられる成分によって異なり、いくつかの代表的な条件は上述したものである。しかしながら、核酸ドメインの伸長に用いられるポリメラーゼが、前に定義した超好熱性ポリメラーゼ、例えば修飾Taqポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、PwoDNAポリメラーゼ等、またはTaqポリメラーゼ等の熱安定性ポリメラーゼである実施形態では、本発明の方法のエキノヌクレアーゼ段階および/また伸長段階で他の反応条件、特に他の温度条件が好ましい場合がある。例えば、伸長反応のための温度、およびポリメラーゼも3’エキノヌクレアーゼ活性を含む場合にはエキノヌクレアーゼ反応のための温度は、約20〜約75℃、約30〜約60℃、または約45〜約55℃を含む約4〜約80℃の範囲であり得る。そのため、いくつかの実施形態では、伸長反応のための温度、およびポリメラーゼも3’エキノヌクレアーゼ活性を含む場合にはエキノヌクレアーゼ反応のための温度は、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、または75℃であり得る。
【0134】
伸長生成物の生成に続いて、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分が不活化され得る。好ましい実施形態では、例えば65〜80℃で10分間熱変性させることにより、3’エキノヌクレアーゼ活性が不活化されるが、成分の性質によって必要な条件が変わること、例えば、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む超好熱性ポリメラーゼは上記の条件では不活化され得ないことが分かる。いくつかの実施形態では、熱不活化は、増幅反応の第1の工程であり得る。
【0135】
近接プローブを試料に接触させる工程の後で増幅反応物が試料に加えられなかった場合、その反応物をこの段階で試料に接触させるべきである。好ましい実施形態では、増幅成分を含む新たな容器に試料のアリコートが移され増幅および検出され得る。これに関して、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分の不活化後、プライマーは、3’エキノヌクレアーゼ活性に対する耐性を持っている必要はない。
【0136】
いくつかの実施形態では、近接プローブの核酸ドメインの伸長が可能なポリメラーゼが、上記の超好熱性ポリメラーゼまたは熱安定性ポリメラーゼ、例えばPfuDNAポリメラーゼ、PwoDNAポリメラーゼ等である場合、同ポリメラーゼも伸長反応で有用となり得る。
【0137】
近接プローブを試料に接触させる工程の後に増幅試薬を試料に加えた場合、増幅反応を直接進めることができる。好ましい実施形態では、新たな容器に試料のアリコートが移され増幅および検出される。
【0138】
一般的に、近接依存的な相互作用の存在を検出可能な任意の簡便なプロトコルが用いられ得る。検出プロトコルは、別の工程を必要としてもよいし、しなくてもよい。
【0139】
代表的な一実施形態(本発明の方法の他の代表的な実施形態は上述してある)では、第1および第2の近接プローブの相互作用から生成される伸長生成物は、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインのフリーな3’ヒドロキシル末端の核酸伸長により実現され、この相互作用は、後に伸長生成物を増幅および検出することで検出される。この代表的な実施形態では、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインの伸長は、反応混合物を、例えば、好適な核酸ポリメラーゼにより提供される核酸伸長活性に接触させ、核酸ドメインの伸長が起こるのに十分な条件下でその混合物を維持することにより実現される。
【0140】
当該技術で知られているように、ポリメラーゼは、並置されたヌクレオチド間のホスフォジエステル結合の形成に触媒作用を及ぼし、3’ヒドロキシル部位(3’末端)を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの既存のポリマー、即ち核酸の一部を形成し得る。一般に、同核酸は、フリーな3’末端を有する核酸の伸長の鋳型として作用する相補的な核酸分子(即ち、鋳型核酸)にアニールされるか、またはハイブリダイズされる。そして、鋳型核酸上の次のヌクレオチドに相補的な、フリーな5’ホスファート部位を有するフリーなヌクレオチドが、フリーな3’末端を有する核酸に接合してそれを伸長する。この工程は、例えば鋳型の終わりに達するまで繰り返される。任意の簡便なポリメラーゼを用いてもよく、対象となる代表的なポリメラーゼとしては、これらに限定されないが、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分も含むポリメラーゼ、例えば、T4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、ファイ29(Φ29)DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、PfuDNAポリメラーゼ、および/またはPwoDNAポリメラーゼが挙げられる。3’エキノヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、これらに限定されないが原核生物、真核生物、または原始生物(archael organisms)を含む任意の好適な生物から得られる。特定のRNAポリメラーゼを本発明の方法に用いてもよい。
【0141】
3’エキノヌクレアーゼ活性を有さないポリメラーゼ、例えば、クレノウexo(-)、Taqポリメラーゼ、Pfu(exo-)DNAポリメラーゼ、Pwo(exo-)DNAポリメラーゼ等によって伸長工程が行われる(伸長生成物が生成される)場合、そのポリメラーゼよりも先にまたはそれと同時に3’エキノヌクレアーゼを含む成分、例えばエキノヌクレアーゼ酵素が試料に加えられる。任意の簡便な3’エキノヌクレアーゼ、例えばエキノヌクレアーゼIを用いてもよい。特定のRNAエキソヌクレアーゼを本発明の方法で用いてもよい。
【0142】
この伸長工程において、好適なポリメラーゼと、必要に応じて別の3’エキノヌクレアーゼ、および必要なおよび/または所望の任意の試薬を反応混合物と混合し、ハイブリダイズされた核酸ドメインの伸長が起こるのに十分な条件下で維持する。当該条件は、結合していない近接プローブの核酸ドメインの分解が起こるのに十分なものでもあるべきである。ポリメラーゼおよびエキノヌクレアーゼ反応の条件は、当業者に公知である。伸長および/または分解の間、反応混合物は、特定の実施形態において、約4℃〜約80℃の範囲、約20〜約75℃、約30〜約60℃等の温度、例えば、約45〜約55℃または約20℃〜約37℃(アッセイに用いられるポリメラーゼに最適な条件による)で、約1分〜約1時間等の約5秒〜約16時間の範囲の期間維持され得る。さらに他の実施形態では、反応混合物が、約37℃〜約42℃等の約35℃〜約45℃の範囲の温度、例えば、38℃、39℃、40℃、または41℃でまたはそれら付近で、または約40℃超〜約60℃、約45℃〜55℃等の約35℃〜約75℃の範囲、例えば、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃または54℃でまたはそれら付近で、約2分〜約8時間を含む約1分〜約1時間等の約5秒〜約16時間の範囲の期間維持され得る。代表的な実施形態では、増幅成分が3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分を加える前に含まれておらず、伸長および分解反応混合物は、70mMのTrispH7.5、17mMの硫酸アンモニウム、1mMのDTT、40μmの各dNTP、3mMのMgCl2、62.5ユニット/mlのDNAポリメラーゼ、例えば、T4DNAポリメラーゼを含む。代表的な実施形態では、増幅成分が3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分を加える前に含まれており、伸長および分解反応混合物は、50mMのKCI、20mMのTris−HCIpH8.4、0.2mMの各dNTP、3mMのMgCl2、SYBRGreenI、20nMのフルオレセイン、3’−チオエート保護ヘアピンプライマー、25ユニット/mlのiTaqDNAポリメラーゼ、および62.5ユニット/mlのDNAポリメラーゼ、例えば、T4DNAポリメラーゼを含む。
【0143】
伸長の後、伸長生成物(例えば、第1および第2のプローブの伸長核酸ドメイン)が、試料中の検体の存在を示すものとして、または試料中の検体の量および任意で場所の目安として増幅および検出される。上記のように、伸長生成物は、一本鎖または二本鎖核酸分子を含み得る。一本鎖核酸分子は、第1および第2の近接プローブの核酸から解離されたものであるか、または検体結合ドメインにおける各末端で終結されている第1および第2のプローブの2つの近接した核酸ドメインの共役生成物であり得るスプリントオリゴヌクレオチドの伸長によりもたらされ得る。
【0144】
伸長工程に続く本発明の方法の次の工程は、試料中の標的検体を検出するために、反応混合物中の伸長生成物の存在を特定する工程である。即ち、アッセイされている試料中の標的検体の存在を検出するために、反応生成物をスクリーニング等(即ち、アッセイ、評価、数値を求める、分析試験、等)して、得られた伸長生成物の存在を確認する。本発明によれば、検出工程は、伸長生成物の全てまたは一部の増幅によって通常検出される増幅生成物を生成する増幅工程を含む。
【0145】
上記の方法によって生成される伸長生成物、より具体的には増幅生成物は、最も広い意味において、任意の簡便なプロトコルを用いて検出され得る。所望とする感度および本発明の方法が実践される用途に応じて特定の検出プロトコルは異なり得る。本明細書に記載のように、本発明の方法では、検出プロトコルが増幅成分を含み、伸長生成物の核酸(またはその一部)の複製数が増加され、例えば、特定のアッセイの感度が高められ得る。しかしながら、他の方法では、伸長生成物が増幅することなく直接検出され得る。
【0146】
本発明の方法の好ましい実施形態ではないが、増幅を伴わない検出が実行可能な場合、核酸伸長生成物は多くの様々な方法で検出され得る。例えば、伸長生成物の1つ以上は、伸長生成物が直接標識化されるように、例えば直接蛍光標識されるか、その他の場合では分光光度法または放射性同位体による標識化、または任意の信号供与ラベルで標識化され得る。これらの実施形態では、伸長核酸を検出するために、直接標識化された伸長生成物が、伸長されていないオリゴヌクレオチド(即ち、核酸ドメインオリゴヌクレオチドまたはスプリントオリゴヌクレオチド)を含む反応混合物の残りからサイズ分離され得る。あるいは、配座選択性プローブ(conformationally selective probe)、例えば(下記でより詳細に説明する)分子ビーコンを用いて、伸長生成物の存在を検出してもよく、その場合、これらのプローブは伸長核酸生成物中にのみ存在する配列に向けられている。
【0147】
上記のように、本発明の方法の好ましい実施形態では、検出工程は増幅工程を含み、例えばアッセイの感度を高めるために、伸長核酸またはその一部の複製数が増加される。前記増幅は、所望によりリニアであっても指数関数的であってもよく、対象となる典型的な増幅プロトコルとしては、これらに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、ローリングサークル増幅等が挙げられる。本発明の特に好ましい実施形態では、前記増幅プロトコルは定量PCR(qPCR)またはリアルタイムPCRである。
【0148】
例えば、米国特許第6,558,928号に記載のパドロックプローブまたは任意の環状核酸分子を鋳型として用いるローリングサークル増幅も、既存の「信号」核酸分子またはその一部、例えば近接伸長アッセイから生成された伸長生成物の増幅に有用である。そのため、本発明の好ましい態様では、伸長生成物(またはその一部)が、ローリングサークル増幅によって増幅され得る。一実施形態では、パドロックプローブを用いてローリングサークル増幅が行われる。他の実施形態では、環状鋳型(環状オリゴヌクレオチド)を用いてローリングサークル増幅が行われる。
【0149】
前記検出工程が増幅工程(より具体的には、伸長生成物またはその一部のインビトロ増幅工程)を含む場合、増幅された生成物(または増幅生成物)を検出して、検体が検出され得る。
【0150】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は当該技術で公知であり、米国特許第4,683,202号、第4,683,195号、第4,800,159号、第4,965,188号、および第5,512,462号に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に含まれる。代表的なPCR増幅反応では、上記の伸長核酸または伸長生成物(増幅反応では鋳型核酸とみなすこともできる)が、プライマー伸長反応で用いられる1つ以上のプライマー、例えば、PCRプライマー(幾何学的(または指数関数的)増幅で用いられる順方向プライマーおよび逆方向プライマー、またはリニア増幅で用いられるシングルプライマー)と組み合わされる。鋳型核酸(便宜上、以下では鋳型DNAと呼ぶ)が接触させられるオリゴヌクレオチドプライマーは、アニール条件(下記でより詳細に説明)下で相補的な鋳型DNAへのハイブリダイゼーションを提供できる十分な長さを有する。プライマーの長さは、通常少なくとも10bpであり、一般には少なくとも15bp、より一般には少なくとも16bpであり、長い場合は30bp以上であり、プライマーの長さは、通常18〜50bpであり、一般には約20〜約35bpであり得る。鋳型DNAは、プライマー伸長、鋳型DNAのリニア増幅または指数関数的増幅が所望されるかどうかに応じて、単一のプライマーまたは2つのプライマー(順方向プライマーおよび逆方向プライマー)のセットに接触させられ得る。
【0151】
上記のように、プライマーは、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分を加える前に試料に加えられ得る。その場合、そのプライマーは、例えば3’末端の修飾等により、3’エキノヌクレアーゼ活性に耐性を持つように修飾されている。さらに、プライマーは上記のようにホットスタートプライマーであってもよい。
【0152】
上記成分に加えて、本発明の方法で生成される反応混合物は、ポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)を通常含む。望ましいポリメラーゼ活性は、1つ以上の別個のポリメラーゼ酵素によって提供され得る。多くの実施形態では、反応混合物は少なくともファミリーAポリメラーゼを含み、対象となる代表的なファミリーAポリメラーゼとしては、これらに限定されないが、天然(naturally occurring)ポリメラーゼ(Taq)およびKlentaq(Barns et al, Proc. Natl. Acad. Sci USA (1994) 94:2216-2220に記載)またはiTaq(BioRad)等のその誘導体および類似体を含む好熱菌ポリメラーゼ;天然ポリメラーゼ(Tth)およびその誘導体および類似体等を含む高度好熱菌ポリメラーゼが挙げられる。行われる増幅反応が高忠実度反応(high fidelity reaction)である特定の実施形態では、反応混合物は、例えばファミリーBポリメラーゼによって提供され得る3’−5’エキノヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素をさらに含み得る。対象となるファミリーBポリメラーゼとしては、これらに限定されないが:Perler et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:5577-5581に記載の超好熱始原菌DNAポリメラーゼ(Vent);ピュロコックス種GB-D(Deep Vent);Lundberg et al., Gene (1991) 108:1-6に記載のピュロコックス・フリオススDNAポリメラーゼ(Pfu)、ピュロコックス・ヴェッセイ(Pwo)等が挙げられる。反応混合物がファミリーAポリメラーゼおよびファミリーBポリメラーゼの双方を含む場合、反応混合物中のファミリーAポリメラーゼの存在量は、ファミリーBポリメラーゼよりも多く、活性の差異は一般的に少なくとも10倍、より一般的には少なくとも100倍である。通常、反応混合物は、存在する4つの天然塩基、即ち、dATP、dTTP、dCTP、およびdGTPに対応する4種類の異なるdNTPを含む。本発明の方法では、各dNTPの存在量は、通常約10〜5000μMであり、一般的には約20〜1000μMである。
【0153】
本発明の方法の検出工程で調製された反応混合物は、一価イオンのソース、二価陽イオンのソース、および緩衝剤を含む水性緩衝媒体をさらに含み得る。KCI、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、グルタミン酸カリウム、NH4Cl、硫酸アンモニウム等の任意の簡便な一価イオンのソースが用いられ得る。二価陽イオンは、マグネシウム、マンガン、亜鉛等でよく、一般的に陽イオンはマグネシウムである。MgCl2、酢酸マグネシウム等を含む任意の簡便なマグネシウム陽イオンのソースが用いられ得る。バッファーに存在するMg2+の量は0.5〜10mMの範囲であり得るが、約3〜6mMの範囲が好ましく、約5mMが理想的である。バッファーに存在し得る代表的な緩衝剤または塩としては、Tris、トリシン、HEPES、MOPS等が挙げられ、緩衝剤の量は、通常約5〜150mMの範囲であり、一般的には約10〜100mMであり、より一般的には約20〜50mMであり、特定の好ましい実施形態では、緩衝剤は、72℃で、pHが約6.0〜9.5の範囲、最も好ましくはpHが7.3になるのに十分な量存在する。緩衝媒体に存在し得る他の薬剤としては、EDTA、EGTA等のキレート剤が挙げられる。
【0154】
本発明の方法のこの工程の反応混合物を調製する際、様々な構成成分が任意の簡便な順番で混合され得る。例えば、バッファーをプライマー、ポリメラーゼ、そして鋳型DNAと順番に混合してもよいし、または様々な構成成分の全てを同時に混合して反応混合物を生成してもよい。特に好ましい実施形態では、増幅反応物が伸長反応および分解反応の成分と混合される。これに関して、反応の成分は、反応の酵素成分の全て、即ち、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分、伸長生成物の生成のための「第1」のポリメラーゼ、および任意で「第1」のポリメラーゼとは異なり得る、増幅工程のための「第2」のポリメラーゼの活性に適していることが好ましい。いくつかの実施形態では、「第1」のポリメラーゼと「第2」のポリメラーゼは同一、即ち、ポリメラーゼは近接プローブの核酸ドメインを伸長すること、および伸長されたドメインの少なくとも一部を増幅することが可能である。さらなる実施形態では、ポリメラーゼが3’エキノヌクレアーゼ活性を含む。例えば、伸長反応の生成物がRCAにより検出される実施形態では、ファイ29(Φ29)DNAポリメラーゼが有用であり得る。即ち、ファイ29(Φ29)DNAポリメラーゼを、3’エキノヌクレアーゼ成分、伸長成分、および増幅成分として用いることができる。さらに非限定的な例は、伸長反応の生成物がPCRによって検出される実施形態で有用であり得るPfuDNAポリメラーゼである。即ち、PfuDNAポリメラーゼを、3’エキノヌクレアーゼ成分、伸長成分、および増幅成分として用いることができる。
【0155】
増幅反応の増幅生成物は、任意の簡便なプロトコルを用いて検出してもよく、下記でより詳細に説明するように、用いられる特定のプロトコルにより、増幅生成物が非特異的にまたは特異的に検出され得る。対象となる代表的な非特異的な検出プロトコルとしては、二重鎖DNA生成物を、例えばインターカレーションにより選択的に検出する信号生成システムを用いるプロトコルが挙げられる。そのような実施形態で有用な検出可能な分子の代表例としては、核酸と複合体を形成すると高い蛍光をもたらすフェナントリジニウム色素(そのモノマー、ホモダイマーまたはヘテロダイマーを含む)等の蛍光核酸染色試薬(fluorescent nucleic acid stain)が挙げられる。フェナントリジニウム色素の例としては、エチジウムホモダイマー、エチジウムブロミド、プロピジウムヨウ化物、および他のアルキル置換フェナントリジニウム色素が挙げられる。本発明の他の実施形態では、核酸染色試薬は、アクリジンオレンジ、アクリジンホモダイマー、エチジウム−アクリジンヘテロダイマー、または9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン等のアクリジン色素またはそのホモダイマーまたはヘテロダイマーであるか、またはそれらを含む。本発明のさらに他の実施形態では、核酸染色試薬は、Hoechst33258、Hoechst33342、Hoechst34580(BIOPROBES34、モレキュラープローブ社、オレゴン州ユージン(2000年5月))、DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニリンドール)またはDIPI(4’,6−(ジイミダゾリン−2−イル)−2−フェニリンドール)等のインドール色素またはイミダゾール色素である。他の使用可能な核酸染色試薬としては、これらに限定されないが、7−アミノアクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジン、LDS751、特定のソラーレン(フロクマリン)、スチリル色素、ルテニウム錯体等の金属錯体、および遷移金属錯体(例えば、Tb+3およびEu+3を含むもの)が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、核酸染色試薬は、核酸と結びついた時に高い蛍光をもたらすシアニン色素またはシアニン色素のホモダイマーまたはヘテロダイマーである。Leeの米国特許第4,883,867号(1989年)、Yueらの米国特許第5,582,977号(1996年)、Yueらの米国特許第5,321,130号(1994年)、およびYueらの米国特許第5,410,030号(1995年)(4つの特許の全ては参照により含まれる)に記載の色素のいずれかを用いてもよく、これらには、TOTO、BOBO、POPO、YOYO、TO−PRO、BO−PRO、PO−PRO、およびYO-PROの商標でオレゴン州ユージンのモレキュラープローブ社により市販されている核酸染色試薬が含まれる。Hauglandらの米国特許第5,436,134号(1995年)、Yueらの米国特許第5,658,751号(1997年)、およびHauglandらの米国特許第5,863,753号(1999年)(3つの特許の全ては参照により含まれる)に記載の色素のいずれかを用いてもよく、それらにはSYBRGreen、SYTO、SYTOX、PICOGREEN、OLIGREEN、およびRIBOGREENの商標でオレゴン州ユージンのモレキュラープローブ社により市販されている核酸染色試薬が含まれる。本発明のさらに他の実施形態では、核酸染色試薬は、アザベンゾオキサゾール、アザベンジイミダゾール、またはアザベンゾチアゾール等のアザ複素環またはポリアザベンザゾリウム複素環を含み、核酸と結びついた時に高い蛍光をもたらすモノメリックシアニン色素、ホモジメリックシアニン色素、またはヘテロジメリックシアニン色素であり、それらにはSYTO、SYTOX、JOJO、JO−PRO、LOLO、LO−PROの商標でオレゴン州ユージンのモレキュラープローブ社により市販されている核酸染色試薬が含まれる。本発明の方法で有用であり得るインターカレート色素(intercalating dye)は、バイオチウム社のEVAGreenTMである。
【0156】
本発明の特に好ましい実施形態では、伸長生成物がPCRにより増幅され、前記PCRは定量PCRであり、増幅された核酸分子は、インターカレート色素を用いて定量される。好ましい実施形態では、前記インターカレート色素がSYBRGreen(登録商標)およびEVAGreenTMから選択される。
【0157】
さらに他の実施形態では、一般的な二本鎖分子とは対照的に、増幅生成物に特異的な信号生成システムを用いて増幅が検出され得る。これらの実施形態では、信号生成システムは、増幅生成物内にある配列に特異的に結合するプローブ核酸を含み得る。その場合、前記プローブ核酸は、直接または間接的に検出可能なラベルで標識化され得る。直接検出可能なラベルが、付加的な試薬を用いることなく直接検出できるものであるのに対して、間接的に検出可能なラベルは、1つ以上の付加的な試薬を用いることで検出できるものであり、例えば、前記ラベルは、2つ以上の成分からなる信号生成システムの一部である。多くの実施形態では、前記ラベルは直接検出可能なラベルであり、対象となる直接検出可能なラベルとしては、これらに限定されないが、蛍光ラベル、放射性同位体ラベル、化学発光ラベル等が挙げられる。多くの実施形態では、前記ラベルは蛍光ラベルであり、そのような実施形態で用いられる標識化試薬は、蛍光タグ化ヌクレオチド(fluorescently tagged nucleotide)、例えば、蛍光タグ化CTP(Cy3-CTP、Cy5-CTP等)である。ヌクレオチドをタグ化して標識化プローブ核酸を生成するのに用いられ得る蛍光部位としては、これらに限定されないが、フルオレセイン、およびCy3、Cy5、Alexa555、Bodipy630/650等のシアニン色素が挙げられる。当該技術で知られているように、上記のもの等の他のラベルを用いてもよい。
【0158】
特定の実施形態では、特異的に標識化されたプローブ核酸は、「エネルギー転移」ラベルで標識化される。本明細書で用いる「エネルギー転移」とは、蛍光基(fluorescent group)の蛍光放射が、蛍光修飾基(fluorescence-modifying group)によって変更されるプロセスを意味する。蛍光修飾基が消光基である場合、蛍光基からの蛍光放射が減衰(消光)する。エネルギー転移は、蛍光共鳴エネルギー転移を介して、または直接的なエネルギー転移を介して起こり得る。これらの2つの場合における厳密なエネルギー転移のメカニズムは異なる。なお、本願でのエネルギー転移への参照は、これらのメカニズムが異なる現象の全てを含むことが分かる。本明細書で用いる「エネルギー転移対」とは、エネルギー転移に加わる任意の2つの分子を意味する。一般に、前記分子の一方が蛍光基として作用し、他方が蛍光修飾基として作用する。「エネルギー転移対」は、その中でエネルギー転移が起こる単一の複合体を形成する分子の群を意味するものとして用いられる。そのような複合体は、例えば、互いに異なり得る2つの蛍光基と1つの消光基、2つの消光基と1つの蛍光基、または複数の蛍光基と複数の消光基とを含み得る。複数の蛍光基および/または複数の消光基が存在する場合、個々の基は互いに異なり得る。本明細書で用いる「蛍光共鳴エネルギー転移」または「FRET」とは、励起された蛍光基によって放たれた光が、蛍光修飾基によって少なくとも部分的に吸収されるエネルギー転移現象を意味する。蛍光修飾基が消光基であるなら、その基は吸収した光を波長の異なる光として出射することができるか、またはそれを熱として放射することができる。FRETは、蛍光基の発光スペクトラムと消光基の吸光スペクトラムとの間の重なりに依拠する。FRETは、消光基と蛍光基との間の距離にも依拠する。特定の臨界距離を越えると、消光基は、蛍光基によって放出された光を吸収することができないか、またはできてもその程度は不十分である。本明細書で用いる「直接エネルギー転移」とは、蛍光基と蛍光修飾基との間で光子のやりとりが起きないエネルギー転移メカニズムを意味する。単一のメカニズムに縛られることなく、直接エネルギー転移では、蛍光基と蛍光修飾基が、それぞれの電気構造を互いに妨げあうと考えられる。蛍光修飾基が消光基である場合は、蛍光基が光を発することさえも消光基によって妨げられることになる。
【0159】
エネルギー転移標識化プローブ核酸、例えば、オリゴヌクレオチドは、ドナー、アクセプター、および標的核酸結合ドメインを含んでいる限り、様々な異なる構成を有していてもよい。そのため、本発明の方法のこれらの実施形態で用いられるエネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドは、蛍光エネルギードナー、即ち、ドナーが位置するフルオロホアドメインと、蛍光エネルギーアクセプター、即ち、アクセプターが位置するアクセプタードメインとを含む核酸ディテクターである。上記のように、ドナードメインはドナーフルオロホアを含む。ドナーフルオロホアは、核酸ディテクターのどこに位置していてもよいが、一般的にはディテクターの5’末端に存在する。アクセプタードメインは蛍光エネルギーアクセプターを含む。同アクセプターは、アクセプタードメインのどこに位置していてもよいが、一般的には核酸ディテクターまたはプローブの3’末端に存在する。
【0160】
フルオロホアドメインおよびアクセプタードメインに加えて、エネルギー転移標識化プローブオリゴヌクレオチドは、例えば、(上記で定義の)厳密なハイブリダイゼーション条件下で(上記の)対象となる増幅生成物中にある標的核酸配列に結合する標的核酸結合ドメインも含む。この標的結合ドメインは、通常約10〜約60ヌクレオチド長の範囲であり、一般的には約15〜約30ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドおよびアッセイ自体の性質に応じて、標的結合ドメインは、鋳型核酸の一領域またはプライマー伸長生成物の一領域にハイブリダイズし得る。例えば、アッセイが、例えばTaqMan(登録商標)型オリゴヌクレオチドプローブを用いる5’ヌクレアーゼアッセイの場合、標的結合ドメインは、厳密な条件下で、プライマー結合サイトの下流またはプライマー結合サイトの3’である鋳型核酸の標的結合サイトにハイブリダイズする。代替的な実施形態、例えば、分子ビーコン型アッセイでは、標的結合ドメインが、プライマー伸長生成物の一ドメインにハイブリダイズする。これらの実施形態で用いられる、上記の3つのドメインを全て含むエネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドの全長は、通例、約10〜約60オリゴヌクレオチド長の範囲であり、一般的には約15〜約30ヌクレオチド長である。
【0161】
特定の実施形態では、エネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドは、エネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズしていない場合は、フルオロホアの励起に際してエネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドプローブのフルオロホアとアクセプターとの間でエネルギー転移が起きるように構成されている。
【0162】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、分子内構造を形成しない一本鎖分子であり、ドナーとアクセプターの間隔が一本鎖リニア形式のエネルギー転移をもたらすためにエネルギー転移が起こる。これらの実施形態では、標識化オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズした時のフルオロホア励起の際に標識化オリゴヌクレオチドプローブのフルオロホアとアクセプターとの間でもエネルギー転移が起こる。そのような標識化オリゴヌクレオチドプローブの具体例としては、参照によりその開示が本明細書に含まれる米国特許第6,248,526号(およびHeld et al., Genome Res. (1996) 6:986-994; Holland et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA (1991) 88:7276-7280;およびLee et al., Nuc. Acids Res. (1993) 21:3761-3766)に記載のTaqMan(登録商標)型プローブが挙げられる。これらの実施形態の多くでは、標的核酸結合ドメインは、鋳型核酸の配列にハイブリダイズする、即ち相補的である。即ち、標的核酸結合ドメインの標的核酸は、鋳型核酸に存在する配列(即ち、擬似標的核酸(pseudotarget nucleic acid)または代替核酸(surrogate nucleic acid))である。
【0163】
他の実施形態では、プローブオリゴヌクレオチドは、エネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズした時のフルオロホア励起の際に、エネルギー転移標識化オリゴヌクレオチドプローブのフルオロホアとアクセプターとの間でエネルギー転移が起きないような構造を有する。これらの種類のプローブ構造の例としては、スコーピオンプローブ(Whitcombe et al., Nature Biotechnology(1999) 17:804-807; 米国特許第6,326,145号に記載のもの。これらの開示は参照により本明細書に含まれる。)、サンライズプローブ(Nazarenko et al., Nuc. Acids Res.(1997) 25:2516-2521; 米国特許第6,117,635号に記載のもの。これらの開示は参照により本明細書に含まれる。)、分子ビーコン(Tyagi et al., Nature Biotechnology (1996) 14:303-308; 米国特許第5,989,823号。これらの開示は参照により本明細書に含まれる。)、および配座補助プローブ(conformationally assisted probes)(米国仮出願60/138,376号に記載のもの。その開示は参照により本明細書に含まれる。)が挙げられる。これらの実施形態の多くでは、標的結合配列またはドメインが、増幅反応のプライマー伸長生成物の配列には相補的であるが、擬似標的核酸にある配列には相補的ではないハイブリダイゼーションドメインを含む。
【0164】
本発明の方法における次の工程は、対象となる標識化増幅生成物から信号を検出する工程であり、用いられる特定の信号生成システムに応じて信号の検出が異なり得る。特定の実施形態では、単に検出可能な信号の有無、例えば蛍光が測定され、それを当該アッセイで用い、例えば、擬似標的核酸および/またはその増幅生成物の検出により標的核酸の有無を測定または特定する。用いられる特定のラベルに応じて、信号の検出は標的核酸の有無を示し得る。
【0165】
信号生成システムが蛍光信号生成システムである実施形態では、信号の検出は一般的に蛍光信号の変化を反応混合物から検出して、アッセイの結果を得ることを含む。言い換えれば、反応混合物によって生成された蛍光信号のあらゆる変調が評価される。用いられるラベルの性質によって、前記変化は蛍光の増加または減少であり得るが、特定の実施形態では蛍光の増加である。任意の簡便な手段、例えば、熱安定性キュベット蛍光光度計またはプレートリーダー蛍光光度計等の好適な蛍光光度計を用いて、蛍光の増加を調べるために試料がスクリーニングされる。蛍光を公知の蛍光光度計を用いて観察することが好適である。これらの装置からの信号が、例えば光電子倍増電圧の形でデータ処理ボードに送られ、各試料の管に関連付けられたスペクトラムに変換される。複数の管、例えば96本の管を同時に評価することができる。
【0166】
前記検出プロトコルが、例えばリアルタイムPCR反応プロトコルで用いられるようなリアルタイムプロトコルである場合、データがこのように頻繁な間隔で、例えば3分間に一回、反応全体を通して収集され得る。各周期の間試料からの反応分子の蛍光を観察することにより、増幅反応の進展を様々な方法で観察することができる。例えば、融解ピーク(melting peak)によって提供されるデータを、例えば融解ピーク下の領域を計算し、これらのデータを周期の数に対してプロットすることで分析することができる。本発明の好ましい実施形態では、蛍光信号が、二本鎖核酸分子にインターカレートする色素を用いて得られ、前記インターカレート色素はSYBRGreen(登録商標)およびEvaGreenTMから選択されることが好ましい。
【0167】
このように生成されたスペクトラムは、例えば、色素等の予め選択された蛍光部位の「はまり(fits)」を用いて各信号部位(即ちフルオロホア)を表すピークを形成するように分解することができる。各信号の強度値を表すピーク下の領域を決定し、必要に応じて互いの商として表される。信号強度の差異および/または比は、標識化プローブの変化を、反応を通じてまたは温度等の異なる反応条件で記録することを可能にする。前記変化は、オリゴヌクレオチドプローブと標的配列との間の結合現象または標的配列に結合したオリゴヌクレオチドの分解に関連する。差分ピーク(differential peak)下の領域の積分は、標識化効果の強度値の計算を可能にする。
【0168】
蛍光の変化を求めるために混合物をスクリーニングすることで、試料がプライマー伸長反応の終わりに一度スクリーニングされたか、または複数回、例えば増幅反応の各サイクルの後でスクリーニング(例えば、リアルタイムPCRモニタリングでなされるように)されたかによって、1つ以上のアッセイの結果がもたらされる。
【0169】
上記のように生成されたデータは、様々な方法で読み解くことができる。最も単純な方式では、増幅反応の最中またはその最後における試料からの蛍光の増加または減少は、例えば反応混合物中で検出された増幅生成物の量に関連付けられていることから、試料中に存在する標的検体の量の増加を示し、増幅反応が進み、そのため当初の試料に標的検体が実際に存在していたことを示唆する。増幅工程に渡って増幅反応をモニタリングすることによって定量も可能となる。定量は、上記のように反応混合物中の1つ以上の核酸コントロールをアッセイすることも含み得る。
【0170】
このように、標的検体の存在を調べるために、反応混合物が容易にスクリーニング(または評価またはアッセイ等)され得る。本発明の方法は、単一の標的検体の検出および試料中において2つ以上の異なる標的検体がアッセイされる多重分析に好適である。これらの後者の多重分析の場合では、用いられ得るプローブの異なるセットの数は、通常約2〜約20以上の範囲、例えば最高で100以上、1000以上等である。
【0171】
複数の異なる近接プローブのセットを用いて一回の反応で多くの検体を同時に分析することは(多重化)、3’エキノヌクレアーゼ法により実現される特異性および感度の増大によって可能になる。各プローブセットは、同プローブセットによって調べられている検体の有無、量、および/または位置を特定するのに用いることができる独自の伸長生成物を生成するように設計することができる。その伸長生成物は直接、好ましくは増幅の後で、液体クロマトグラフィー、電気泳動法、質量分析法、顕鏡法、リアルタイムPCR(定量PCR)、蛍光プローブ等を含む文献から公知で、十分に確立された核酸分子の分析方法を用いて検出され得る。本発明の方法の好ましい実施形態では、定量またはリアルタイムPCRが用いられる。とりわけ対象となるのは、本発明とDNAアレイ読み出し形式との組み合わせである。本明細書に記載の多重近接伸長アッセイに由来するいくつかの独自の伸長生成物が、その伸長生成物の配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列(タグ)を数多く保持する標準化DNAアレイにハイブリダイズされ得る。そのアレイにハイブリダイズされた各伸長生成物は、DNAアレイ上のその位置により特定され、所定のハイブリダイゼーションスポットで検出された強度は、その特定の伸長生成物の量そしてその伸長生成物の元となる検体の量を示すものとなる。伸長生成物の検出は、分光測定、蛍光、放射性同位体等により実現され得る。増幅反応(PCR)において蛍光標識化プライマーまたは蛍光標識化ヌクレオチドを用いることで、伸長生成物に蛍光部位が簡便に導入され得る。DNAアレイは、少数のスポットを含む膜上の単純なドットブロットアレイであるか、または数百、数千のスポットを保持する高密度アレイであり得る。
【0172】
非特異性の核酸のハイブリダイゼーションに関連するバックグラウンドをさらに低減するために、本発明の方法に変更が加えられ得る。そのような変更としては、あらゆる非特異性の核酸のハイブリダイゼーションを低減するように本発明の方法を調整することが挙げられる。いくつかの実施形態では、弱く且つ非特異的なDNAハイブリダイゼーションを低減するために、試料および近接プローブを含む混合物にタンパク質が加えられ得る。例えば、プライマー伸長反応およびPCR反応の歩留まりおよび特異性を高めるために、大腸菌一本鎖DNA結合タンパク質が用いられている(米国特許第5,449,603号および5,534,407号)。ファージT4の遺伝子32タンパク質(一本鎖DNA結合タンパク質)は、より大きなDNA断片を増幅する能力を明らかに向上させ(Schwartz, et al., Nucl. Acids Res. 18: 1079 (1990))、DNAポリメラーゼの忠実性を高める(Huang, DNA Cell. Biol. 15: 589-594 (1996))。そのようなタンパク質を用いる場合、反応混合物中のその濃度が約1ng/μL〜約10ng/μLを含む約0.1ng/μL〜約100ng/μL等の約0.01ng/μL〜約1μg/μLの範囲になるように用いられる。
【0173】
いくつかの実施形態では、poly-A RNAおよび/またはバルクRNA(bulk RNA)をアッセイに加えることによってバックグラウンドが低減され得る。バルクRNAはトータルRNAとしても知られている。即ち、バルクRNAは単に試料、例えば2以上の形体を含み、好ましくは同試料中に存在する様々な種類のRNAの全て、例えばmRNA、rRNA、マイクロRNA等を含む細胞から抽出したトータルRNAである。
【0174】
他の実施形態では、弱く且つ非特異的なDNAハイブリダイゼーションを低減するために、部分的に二重鎖の核酸が、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインとして用いられ得る。
【0175】
上記のように、本発明の方法は、第1および第2のプローブが検体に結合した場合のみ、同プローブの核酸ドメインの間で相互作用が起こるように設計されている。何故なら、フリーで保護されてない3’末端を有する結合していないプローブの核酸ドメインは、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分によって完全にまたは部分的に分解されるからである。しかしながら、この種のアッセイの全てに言えることであるが、これを常に保証することはできず、溶液中でプローブがランダムに近接すると、核酸ドメインのバックグラウンド相互作用がある程度起こり得る(スプリントによってプローブの核酸ドメインが互いにハイブリダイズすることを、そのような相互作用が起こるために必要とする実施形態では、この可能性が低減される。それは、2プローブアッセイと比較した場合、3つのドメインの全てがランダムに近接する可能性が低減されるためであるが、それでもある状況では依然として生じ得る)。結合していない(即ち反応していない)プローブによるバックグラウンドの可能性を低減するかまたは最小限に留めるために、上記で説明し当該技術で公知な他のブロッキング剤に加えて、ブロッキングオリゴヌクレオチドが用いられ得る。好ましい実施形体では、近接プローブを加える前に、試料が1つ以上のブロッキング剤、例えばBSA等と共にインキュベートされ得る。
【0176】
ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1および第2の近接プローブの核酸ドメインのフリーな末端に結合(即ち、ハイブリダイズまたはアニール)する。そのため、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、5’近接プローブの核酸ドメインのフリーな3’OH末端および3’近接プローブの核酸ドメインのフリーな5’ホスフェート末端に結合し得る。例えばスプリントオリゴヌクレオチドが高局所濃度で存在する場合、ブロッキングオリゴヌクレオチドの結合が競り負けることがあり、これは本発明のいくつかの実施形態で起こり得る。このように、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、検体結合がない場合は、第1および第2のドメインがスプリントにハイブリダイズするのを妨げ得る。他の実施形態では、1つ以上の特定の「競合」オリゴヌクレオチドが、例えば近接プローブが標的検体に結びついた後にアッセイに加えられ、プローブの核酸ドメインの末端からブロッキングオリゴヌクレオチドを分離させて、近接するプローブのドメインが相互作用できるようにする。そのため、5’および/または3’プローブのフリーな末端は、それらが検体に結合された後まで相互作用することが妨げられる。スプリントオリゴヌクレオチドが用いられ、第3の近接プローブの核酸ドメインを形成する実施形態では、3つのプローブの全てが検体に結合した時、スプリントの局所濃度は、ブロッキングオリゴヌクレオチドに競り勝つのに十分であるため、第1および第2ドメインがスプリントにハイブリダイズしてブロッキングオリゴヌクレオチドが置換される。
【0177】
そのため、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、バックグラウンドを低減してアッセイの感度を高める上で、競争ベースの方法の使用を可能にする。
【0178】
ブロッキングオリゴヌクレオチドの長さは、約4〜100ヌクレオチド、例えば6〜75または10〜50ヌクレオチドの範囲であり得る。それらは、第1または第2のプローブの核酸ドメインのフリーな末端にある、またはその付近の領域にハイブリダイズし得る(「付近」とは、フリーな3’または5’末端の1〜20、または1〜10ヌクレオチド、例えば1〜6ヌクレオチド以内を意味する。)。ハイブリダイゼーションの領域は、3〜15ヌクレオチド長、例えば3〜12、3〜10、3〜8、4〜8、3〜6、4〜6ヌクレオチド長であり得る。
【0179】
一般に、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、それぞれのプローブよりも多く、例えば2〜1000倍、例えば20〜500、50〜300、100〜500または100〜300倍、例えば20、200、または300倍多く用いられる。
【0180】
一般に、競合オリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドよりも多く、例えば2〜1000倍、例えば20〜500、50〜300、100〜500、または100〜300倍、例えば20、200または300倍多く用いられる。
【0181】
親和性が低く、且つ結合速度が遅い近接プローブを用いて検体を検出する場合、十分に高い濃度で近接プローブをプレインキュベートする工程によって、近接プローブの検体への結合が促進される。このプレインキュベート工程は、大量の冷バッファー(例えば、検体または近接プローブを含まないバッファー)中で素早く希釈され、次いでこの希釈物の一部が伸長反応混合物に添加される。約4℃〜約10℃を含む、例えば約0℃〜約20℃の範囲の低温によって、既存の近接プローブ−検体複合体の分離が極力抑えられるのと同時に、大幅な希釈により、結合していない近接プローブの濃度が低減されるため、それらの反応性が低減され、バックグラウンド信号が極力抑えられる。
【0182】
そのような実施形態では、約1μl〜約20μlの少量のインキュベート体積、例えば、約1μl、または約2μl、または約3μl、または約4μl、または約5μl、または約6μlの試料および近接プローブを用いてアッセイが行われる。最終的なインキュベート体積における近接プローブの有効濃度は希釈されるため、バックグラウンドが低減されるのと同時に、信号が維持される。これは、第1および第2の核酸ドメインが伸長される前に、プローブと検体との間の結合が分離する時間がないためである。伸長生成物が100μl超またはそれ以上等のおおきな量から伸張生成物を濃縮することができる限り、この手法は、非常に高い感度と近接依存的な相互作用の検出を可能にする。そのような実施形態では、一本鎖結合タンパク質を用いることによって、プローブとプローブの相互作用を低減させることができる。
【0183】
複合試料に伴う問題は、分析の前に複合試料を希釈することによって解消され得る。これによりプローブが非特異的に結合し得るタンパク質の量が大幅に低減するため、必要となるプローブの濃度が低減される。検体も希釈されるものの、高い感度の近接プロービングによって良好な検出および定量がもたらされる。
【0184】
本発明の方法は、上記のように均質的に(即ち、溶液中で)用いてもよいし、あるいは、固相を使い異質的に用いてもよい。後者では、例えば結合検体が固相に上に固定化されるため、洗浄工程の使用が可能になる。固相アッセイの使用は、とりわけ難しい試料を検出する上で、洗浄工程が抑制成分の除去を手助けし、望ましくない程大量の試料から検体を濃縮することができるという利点を提供する。結合していない検体およびプローブを洗浄により除去できるため、より高濃度でより大量の近接プローブを用いることができる。洗浄によって、結合していない、または共役していないプローブを取り除くことができるということは、固相アッセイでは均質アッセイと比較して純度の低い近接プローブが許容されることも意味する。
【0185】
検体の固相への固定化は様々な方法で実現し得る。従って、本発明の固相アッセイのいくつかの実施形態が考えられる。そのような一実施形態では、第1および第2の近接プローブ(使用される場合は第3の近接プローブも)のうちの1つ(またはそれ以上)が固相(または固体担体)に固定化され得る(または固定化が可能である)。まず、検体は1つ(またはそれ以上)の固定化された(または固定化が可能な)プローブによって捕捉され、次に、その後加えられたプローブによって結合される。そのようなスキームでは、前述の結合活性効果が結合工程の間には存在しないかもしれないが、それは洗浄工程に関係する。結合活性効果が検出(結合)工程にも寄与するように、固定化されてない/固定化不可能なプローブを反応混合物に加えるのと同時に、固相に結合された(即ち、固定化されたまたは固定化可能な)プローブに検体を接触させることが好ましい。
【0186】
固定化された近接プローブは、任意の簡便な方法で固定化、即ち担体に結合され得る。そのため、固定化の方法または手段および固体担体は、好みに応じて、当該技術で公知で、文献に記載の多数の固定化手段および固体担体から選択され得る。そのため、プローブは、例えば検体結合ドメインを介して(例えば、化学架橋により)直接担体に結合してもよいし、リンカー基または中間結合基により(例えばビオチン−ストレプトアビジン相互作用により)間接的に結合してもよい。そのため、近接プローブに、担体上に設けられた固定化手段(例えば、その結合パートナー、即ち同族結合パートナー、例えばストレプトアビジンまたは抗体等に結合可能な親和性結合パートナー、例えばビオチンまたはハプテン)を設けてもよい。プローブは、検体に結合する前にまたはその後で固定化してもよい。また、そのような「固定化可能な」プローブを、担体と共に試料に接触させてもよい。
【0187】
固体担体は、現在幅広く用いられているもの、または固定化、分離等のために提案されている任意の公知な担体またはマトリクスであり得る。これらは、粒子(例えば、磁性または非磁性であり得るビーズ)、シート、ゲル、フィルタ、薄膜、繊維、毛細管、またはマクロタイターストリップ、管、プレート、またはウェル等の形体であり得る。
【0188】
担体は、ガラス、シリカ、ラテックス、またはポリマー材料からなり得る。検体との結合のための高い表面面積を有する材料が好適である。そのような担体は不規則な表面を有し、例えば、多孔性または粒子状、例えば粒子、繊維、ウェブ、焼結物、またはシーブであり得る。粒子状物質、例えばビーズ、特にポリマービーズは結合能力が高いため有用である。
【0189】
本発明に従って用いられる粒子状の固体担体は球面ビーズを含んでいると都合がよい。同ビーズのサイズは重要ではないが、例えば、直径が少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μmで、最大直径が好ましくは10μm以下、例えば6μm以下であり得る。
【0190】
単分散粒子、即ちサイズが実質的に均一なもの(例えば、直径標準偏差が5%未満のサイズ)には、非常に均一な反応の再現性をもたらすという利点がある。代表的な単分散ポリマー粒子は、米国特許第4,336,173号に記載の方法により製造され得る。
【0191】
しかしながら、操作および分離の支援には磁性のビーズが有利である。本明細書で用いる「磁性」という用語は、担体が磁界に配置されるとそれに付与された磁気モーメントを持つことができること意味し、例えば、担体は常磁性であり得るため、その磁界の作用の下では置換させることができる。即ち、磁性粒子を含む担体は、磁気集合により容易に取り除くことができ、検体結合工程の後で前記粒子を分離するための素早く、簡単で効率的な方法を提供する。
【0192】
他の実施形態では、均質アッセイの非固定化近接プローブに加えて、結合ドメイン(即ち、検体捕捉プローブ)のみを含む固定化された(または固定化可能な)検体特異性プローブを用いることができる。そのため、そのような実施形態では、先ず、検体を固相に固定化する役割のみを有する固定化または固定化可能な捕捉プローブに検体が捕捉され、次いで固定化された検体が近接プローブとともにインキュベートされる。そのような実施形態では、捕捉プローブは、検体に直接または間接的に結合可能な任意の結合パートナーであり得る(例えば、近接プローブの検体結合ドメインに関連して上述したように)。より具体的には、そのような捕捉プローブは、検体に特異的に結合する。本発明のこの実施形態では、少なくとも3つのプローブ(結合ドメイン)が検体または複合検体に同時に結合することが要求されるため、潜在的に少なくとも3つの異なるエピトープを調べることができ、アッセイに高い特異性を付与する。
【0193】
さらなる実施形態では、検体自体が、例えば非特異的な吸収によって固相に固定化され得る(固定化可能となり得る)。そのような特定の実施形態では、検体は、細胞内において任意で固定化および/または浸透可能な状態で存在し、固体担体に結合されている(結合可能となっている)。
【0194】
上記の方法により、反応混合物中に存在する、スプリントに媒介された近接依存的な相互作用が検出され、それによりアッセイされている試料中の標的検体の量を測定することができるようになる。測定は定性的または定量的であり得る。
【0195】
従って、上記の複合試料中の1つ以上の標的検体の検出方法は、様々な異なる用途で有用である。
【0196】
本発明の方法は、試料中の1つ以上の標的検体の有無を調べるために、試料をスクリーニングするのに用いられ得る。上記のように、本発明は試料中の1つ以上の標的検体の存在を検出するまたはその量を定量する方法を提供する。
【0197】
本発明の方法は、大量の非標的物を有する複合試料を含む様々な異なる種類の試料中の1つ以上の標的検体の存在を検出するのに用いることができ、本発明の方法により、標的検体が高い感度で検出される。そのため、本発明の方法は、試料中または複合試料中の1つ以上の標的検体を高感度で検出する方法である。本発明の方法でアッセイされる試料は、多くの実施形態では、上記で詳述したように生理学的ソースに由来するものである。
【0198】
本発明の方法は、幅広い検体の検出に加えて、近接プローブの検体結合ドメインと検体の結合領域との相互作用、即ち検体結合ドメインの検体への結合を調整する化合物をスクリーニングするのに用いられ得る。調整するという用語は、2つの分子間の相互作用を低減する(例えば、抑制する)ことおよび高めることを含む。スクリーニング法は、インビトロであっても、インビボであってもよく、双方の形式は当業者により容易に開発可能である。
【0199】
様々な異なる候補剤(candidate agent)が上記の方法によりスクリーニングされ得る。候補剤には数多くの化学薬品クラスが含まれるが、一般にそれらは有機分子、好ましくは分子量が50ダルトンよりも大きく約2500ダルトン未満の小有機化合物である。候補剤は、タンパク質との構造的な相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、一般的には少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含み、好ましくはこれらの官能化学基の少なくとも2つを含む。候補剤は多くの場合環式炭素構造または複素環式構造および/または上記の官能基の1つ以上に置換された芳香構造またはポリ芳香構造を含む。候補剤は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン体、ピリミジン、それらの誘導体、構造類似体、または組み合わせを含む生体分子にも見られる。
【0200】
候補剤は、合成または天然の化合物のライブラリを含む幅広いソースから得られる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む数多くの手段を、幅広い有機化合物および生体分子のランダム合成および直接合成に利用できる。あるいは、バクテリア、真菌、植物および動物からの抽出物の形でもある天然の化合物のライブラリが利用可能であるかまたは容易に製造される。それに加えて、天然のまたは合成により生成されたライブラリおよび化合物を、従来の化学的、物理的および生化学的手段により容易に修飾し、コンビナトリアルライブラリを生成するのに用いてもよい。公知の薬物を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の直接またはランダム化学修飾して構造類似体を生成してもよい。
【0201】
上記のスクリーニングアッセイで特定した薬剤は、標的検体の作用およびその存在および/または活性に関する条件を調整する方法を含む様々な方法で有用である。
【0202】
上記の本発明の方法を実施するのに有用なキットも提供される。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法を実施するためのキットは、少なくとも1セットの近接プローブを含み、その近接プローブのそれぞれは、上記のように検体結合ドメインと核酸ドメインとを含む。上記の、特定のプロトコルは、例えば多重および/または高スループット形式において、試料中の2つ以上の標的検体を同時に検出するために、そのようなプローブの2つ以上の異なるセットを用いる。そのため、特定の実施形態では、前記キットが2つ以上の異なる近接プローブのセットを含む。さらに、キットの成分を用いて実施されるプロトコルで必要となるまたは所望の付加的な試薬が存在していてもよく、その付加的な試薬としては、これらに限定されないが、3’エキノヌクレアーゼ活性を含む成分、1つ以上のポリメラーゼ酵素、スプリントオリゴヌクレオチド(任意で第3の近接プローブの形のもの)、ブロッキングオリゴヌクレオチド、競合オリゴヌクレオチド、プローブ、結合ドメイン、または検体を固定化するための固体担体、プローブ、結合ドメインまたは検体を固定化するための手段、増幅手段および検出手段、例えば、蛍光標識化ヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドまたはインターカレート色素(例えば、SYBRGreen(登録商標)および/またはEvaGreenTM)、補助的な核酸のペア、一本鎖結合タンパク質、およびPCR増幅試薬(例えば、ヌクレオチド、バッファー、陽イオン等)等が挙げられる。特定の実施形態では、前記キットは、上記で説明したインキュベート混合物の有効体積を低減するのに用いられる要素、例えばボリュームエクスクルーダーを含み得る。前記キットの成分は別々の容器内に存在していてもよいし、前記成分の1つ以上が同じ容器内に存在していてもよく、同容器は貯蔵容器および/またはそのためにキットが設計されたアッセイの間に用いられる容器であり得る。
【0203】
上記の成分に加えて、本発明のキットはさらに本発明の方法を実施するための取扱説明をさらに含み得る。本発明のキットにおいて、これらの取扱説明は様々な形で存在してもよく、その1つ以上がキット内に存在し得る。これらの取扱説明が取り得る形の1つは、キットのパッケージ、パッケージの挿入物等の好適な媒体または基材に印刷された情報、例えば、同情報が印刷された紙である。さらに他の手段はコンピュータ可読媒体、例えば情報が記録されたディスク、CD、フラッシュドライブ等であり得る。存在し得るさらに他の手段はウェブサイトのアドレスであり、インターネットを介してそれを用い、移動先のサイトの情報にアクセスする。任意の簡便な手段がキットに存在していてもよい。
【0204】
従って、本発明はさらなる態様において、試料中の検体を検出するための方法に用いるキットであって、
(a)それぞれが検体結合ドメインと核酸ドメインとを含み、前記検体に同時に結合することが可能な少なくとも第1および第2の近接プローブを少なくとも1セットと、
(b)3’エキソヌクレアーゼ活性を含む成分と、
(c)任意で、前記第1および第2の近接プローブの少なくとも一方の核酸ドメインを伸長して伸長生成物を生成するための手段と、
(d)任意で、前記伸長生成物を増幅および検出するための手段、とを含むキットを提供する。
【0205】
上記で示したように、核酸ドメインを伸長するための手段はポリメラーゼ酵素であってもよく、そのような手段は、任意で、ポリメラーゼ反応に必要な試薬(例えば、ヌクレオチド)をさらに含み得る。伸長生成物の増幅および検出のための手段は、前記アッセイ法の文脈で上述した手段のいずれか、例えば、増幅手段およびその増幅生成物を検出するための手段、例えばPCR反応用の試薬(例えば、増幅プライマー、および任意でポリメラーゼおよび/またはヌクレオチド、等)およびPCR増幅等を検出するための試薬(例えば、Taqman(登録商標)プローブ、SYBRGreen(登録商標)および/またはEvaGreenTM等のインターカレート色素)である。
【0206】
前記キットは、第1および第2のプローブ用のスプリントオリゴヌクレオチドおよび/またはブロッキングオリゴヌクレオチドを任意でさらに含む。
【0207】
前記キットは、検体用の固定化捕捉プローブ、または固定化手段が設けられた捕捉プローブを任意でさらに含み得る。あるいは、前記キットは、検体を捕捉するまたは検体に結合させる固相を含み得るか、または前記第1または第2の近接プローブの1つ以上が固定化されているか、または固定化手段を備え得る。
【0208】
下記の図面を参照しながら下記の非限定の実施例を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0209】
図1図1は、5つの異なるバージョンの近接伸長アッセイの模式図である。
図2図2は、本発明の方法を用いたインターロイキン−8(50pM)の検出における、3’エキソヌクレアーゼ活性を持つ様々なポリメラーゼの活性または3’エキソヌクレアーゼを組み合わせた場合の活性を示す棒グラフである。
図3図3は、「クラウディング剤」であるセファデックスG−100の存在下および不在下で試料中の検体(ICAM抗体)を本発明の方法を用いて検出した際に生成された信号をプロットしたグラフである。
図4図4は、本発明の方法を用いた試料中の検体(フィコエリトリン、PE)の検出から生成された信号をプロットしたグラフであり、同検体はバッファーまたは血漿のいずれかに加えられたものである。
図5図5は、本発明の方法を用いた試料中の検体(グリア細胞由来の神経栄養因子、GDNF)の検出から生成された信号をプロットしたグラフであり、同検体はバッファーに追加されたものかまたは血漿中に自然に存在したものである。
図6図6は、本発明の「一段階」法を用いた試料中の検体(インターロイキン−8、IL8)の検出から生成された信号をプロットしたグラフである。
図7図7は、本発明の「一段階」法を用いた試料中の検体(血管内皮成長因子、VEGF)の検出から生成された信号をプロットしたグラフである。
図8図8は、本発明の方法を用いたインターロイキン−8(100pM)の検出における3’エキソヌクレアーゼ活性を持つ2つの超好熱性ポリメラーゼ、即ちPfu DNAポリメラーゼおよびPwo DNAポリメラーゼ(DNA GDANSK社より市販のポリメラーゼでHypernovaTMと表記)の活性を示す棒グラフである。
【実施例】
【0210】
実験手順:インターロイキン−8(IL8)の検出
近接プローブの調整
イノバスライトニングリンク接合(Innovas Lightning-Link conjugation)技術を用いて、1バッチのポリクロナール抗体(RnDシステム社、AF−208−NA)を、2つの異なるssDNA鎖に連結し、一方は5’末端に:
5’−GGCCCAAGTGTTAATTTGCTTCACGATGAGACTGGATGAA−3’(SEQ ID NO:1)
第2のものは3’末端に:
5’−TCACGGTAGCATAAGGTGCAGTATGAGAACTTCGCTACAG−3’(SEQ ID NO:2)
に連結した。
「伸長オリゴ」と呼ぶ第3のオリゴヌクレオチドを、3’−連結抱合体(3'-attached conjugates)に2:1(オリゴ:結合体)の割合で加えた。
【0211】
PEAプロトコル1(二段階型)
1μLの試料(PBS+0.1%BSAバッファー、RnDシステムズ社製のIL−8抗体標準物質である208−IL−010、EDTA血漿)を、0.21mg/mlのヤギIgG(シグマアルドリッチI9410)、107μg/mlの一本鎖サケ精子DNA(シグマアルドリッチD7656)、0.085%のBSA、4.3mMのEDTA、0.21%のTriton−X100、0.02%のアジ化ナトリウム、および2.5μMのブロッキング抱合体(Olink AB、WO2012/007511)を含む1μLのブロッキングバッファーと混合した。試料を25℃で20分間ブロックした。
【0212】
2μLのブロックした試料に、2μLのプローブ混合物(Tris-HCI:25mM、EDTA:4mM、ビオチン:1mM、一本鎖サケ精子DNA(シグマアルドリッチD7656):0.016mg/ml、アジ化ナトリウム:0.02%、および各PEA抱合体:100pM)を加え、その後37℃で1時間インキュベートした。
【0213】
プローブのインキュベート後、試料をサーマルサイクラー(thermal cycler)に移して37℃で静置した。70.5mMのTris-HCl、17.7mMの硫酸アンモニウム、1.05mMのジチオトレイトール、および40μM(各)のdNTPを含む76μLの希釈混合物を、インキュベートした試料に加えた。37℃で5分間置いた後、2回目の添加物として20μLの伸長混合物(Tris-HCl:66.8mM、硫酸アンモニウム:16.8mM、ジチオトレイトール:1mM、塩化マグネシウム:33mM、およびT4DNAポリメラーゼ(Fermentas、EP0062):62.5U/mL)、または他のDNAポリメラーゼを加えた。伸長反応を37℃でさらに20分間行い、その後80℃で10分間熱不活化した。
【0214】
伸長生成物をqPCRで検出するために、4μLの伸長生成物をqPCRプレートに移し、6μLのqPCR混合物(Tris-HCl:25mM、塩化マグネシウム:7.5mM、塩化カリウム:50mM、硫酸アンモニウム:8.3mM、トレハロース(アクロスオーガニックス、182550250):8.3%、dNTP(各):333μM、ジチオトレイトール:1.67mM、各プライマー:833nM(順方向:5’−TCGTGAGCCCAAGTGTTAATTTGCTTCACGA−3’(SEQ ID NO:3)、逆方向:5’−TGCAGTCTGTAGCGAAGTTCTCATACTGCA−3’(SEQ ID NO:4)、Biomers)、分子ビーコン:417nM(FAM−CCCGCTCGCTTATGCTACCGTGACCTGCGAATCCCGAGCGGG−DABSYL(SEQ ID NO:5)Biomers)、組み換えTaqポリメラーゼ(Fermentas、EP00402):41.7U/mL、およびROX標準(ROX-TTTTTTT、Biomers):1.33μM)と混合した。最初の変性を95℃で5分間、次いで95℃での変性を15秒間45サイクル、そして60℃でのアニーリングおよび伸長の組み合わせを1分間行って2段階qPCRを実行した。
【0215】
異なるDNAポリメラーゼの比較
3’−>5’エキソヌクレアーゼ活性を持つDNAポリメラーゼ(T4DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、ファイ29DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、クレノウ断片)の試料を、当該活性を持たないもの(クレノウ断片exo(-))と比較した際、バックグラウンドに対する信号が明らかに異なっていることが分かった(図2参照)。3’エキソヌクレアーゼ活性を持たないクレノウ断片は、クレノウ断片(3’exo+)よりもはるかにバックグラウンドが高く、エキノヌクレアーゼIをクレノウ断片exo(-)に加えた場合、クレノウ断片(3’exo+)を用いたものと同様の結果が得られた。そのため、DNAポリメラーゼではないエキノヌクレアーゼIは、クレノウ(exo-)に重合された反応を救うことができる。
【0216】
3’エキソヌクレアーゼ活性を含むいくつかのDNAポリメラーゼ、例えば、T7およびファイ29DNAポリメラーゼでは、バックグラウンドおよび抗体試料の双方に対する信号が小さかった(図2)。この結果は、これらの酵素に存在する強い3’エキソヌクレアーゼ活性によるものであり、これらの酵素の特定の反応条件をさらに最適化することで、これらの酵素が本明細書に記載の方法で有用になり得ると想定される。
【0217】
近接伸長アッセイで3’エキソヌクレアーゼ活性を含む酵素を用いることのプラスの効果は、フリーで近位にないDNA末端の分解から生じるものと考えられるため、それらは、伸長反応自体の間に渡って伸長生成物を蓄積することができない。
【0218】
セファデックスG−100ビーズを用いたプローブのインキュベート
近接ライゲーションアッセイに係る米国特許出願2009/0162840号において示唆されている、分子クラウディング剤、例えばクラウディングポリマーの使用によるPEA性能の向上の可能性を調べるために、上記の方法を用いてセファデックスビーズの使用をテストした。乾燥セファデックスビーズは、溶液中で再水和させる際に水を吸収することで膨張でき、溶液中に存在し得るタンパク質(即ち、検体)や近接プローブ等の大きな分子はビーズの外に残る。これは前記タンパク質および近接プローブの濃度を効果的に高め、それらのプローブによる標的への結合を促進させる。図3は、PEAインキュベート管の底で凍結乾燥されていた0.5μgのセファデックスG−100にプローブ混合物および試料を添加したアッセイの結果を示す。感度および信号対ノイズ比の大幅な改善が見られ、標的への結合が増加したことを示している。
【0219】
血漿のリカバリーおよびPEAに対するマトリックス効果
3’エキソヌクレアーゼ有効DNAポリメラーゼを用いるPEAの能力をテストして、複雑マトリックス(complex matrix)中のタンパク質を正確に検出するために、ヒトEDTA調製血漿を用いて上記のアッセイを行った。非ヒトタンパク質フィコエリトリン(PE)を様々な濃度で、BSAが0.1%の非複雑マトリクスPBS(リン酸塩緩衝食塩水)または超複雑マトリクス(very complex matrix)EDTA血漿のいずれかに加え、PEAにより定量した。低濃度であってもリカバリーを評価できるように非ヒトタンパク質を選択した。複雑および非複雑マトリクスの間で実質的に信号の違いがなかったことから、10pMであっても血漿中のこの検体の良好なリカバリーが観測された(図4)。
【0220】
他の実施例では、ヒトタンパク質GDNF(グリア細胞由来の神経栄養因子)をヒト血漿に加えた(図5)。血漿中におけるこのタンパク質の量は非常に少なく、標準的な技術で検出するのは困難である。この検体の場合でも再び優れたリカバリーが観測され、0.1pM以下であっても内因性GDNFを定量可能であることが示された。
【0221】
簡略化されたPEAプロトコル(2)
実験手順を簡略化できる可能性があるならば、そうすることが常に望ましい。伸長混合物をqPCR混合物と組み合わせることができることが分かった。これにより、さらなる分注を何ら必要とすることなく、且つ短い実地時間で伸長生成物をサーマルサイクラーからqPCR機器に直接移すことが可能となる。このプロトコルは、良好な正確性と共に高い感度および信号を維持することを証明した(図6および7)。qPCRプライマーの存在下で近接伸長反応に3’エキソヌクレアーゼDNAポリメラーゼを用いることができるようにするには、そのプライマーにエキソヌクレアーゼに対する耐性を持たせる必要がある。これは、PEA反応の低温でヘアピン構造を形成するプライマーを生成し、その3’末端の最後の2つの残基をリン酸チオエートで修飾することにより実現できた。一段階型のPEAプロトコルを下記に記す。IL8およびVEGFの検出の結果を図6および図7にそれぞれ示す。これらの結果は一段階プロトコルを用いて得られたものである。
【0222】
PEAプロトコル2(一段階型)
1μLの試料(PBS+0.1%BSAバッファー、RnDシステムズ社製のIL−8抗体標準物質である208−IL−010、EDTA血漿)を、0.19mg/mlのヤギIgG(シグマアルドリッチI9410)、94μg/mlの一本鎖サケ精子DNA(シグマアルドリッチD7656)、0.075%のBSA、3.8mMのEDTA、0.19%のTriton−X100、0.015%のアジ化ナトリウム、および2.5μMのブロッキング抱合体(Olink AB、WO2012/007511)を含む1μLのブロッキングバッファーと混合した。試料を25℃で20分間ブロックした。
【0223】
2μLのブロックした試料に、2μLのプローブ混合物(Tris-HCI:25mM、EDTA:4mM、ビオチン:1mM、一本鎖サケ精子DNA(シグマアルドリッチD7656):0.016mg/ml、アジ化ナトリウム:0.02%、および各PEA抱合体:100pM)を加え、その後37℃で1時間インキュベートした。
【0224】
プローブのインキュベート工程の後、試料をサーマルサイクラーに移し、37℃で静置した。1xのiTaq SYBR Green Supermix(BioRad、172−5851)および3’−チオエート保護ヘアピンプライマー(順方向:5’−TCGTGAGCCCAAGTGTTAATTTGCTTCAC**A−3’(SEQ ID NO:6)、逆方向:TGCAGTCTGTAGCGAAGTTCTCATACTG**A−3’(SEQ ID NO:7)*はチオエート修飾を示す)を含む36μLの希釈混合物を試料に加えた。37℃で3分間置いた後、10μLの伸長混合物(1X iTaq SYBR Green Supermix(BioRad、172−5851)およびT4DNAポリメラーゼ(Fermentas、EP0062):62.5U/mL)を加えた。伸長反応を37℃でさらに20分間行い、その後65℃で10分間T4DNAポリメラーゼを熱不活化させた。
【0225】
反応混合物(50μL)は、伸長生成物とqPCRに必要な試薬の全てを含んでいた。10μLの反応混合物を定量のために光学qPCRプレートに移した。最初の変性を95℃で5分間、次いで95℃での変性を15秒間45サイクル、そして64℃でのアニーリングおよび伸長の組み合わせを1分間行って2段階qPCRを実行した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]