(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180942
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】温水器具
(51)【国際特許分類】
F24D 3/00 20060101AFI20170807BHJP
F24D 19/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
F24D3/00 J
F24D19/10 C
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-553385(P2013-553385)
(86)(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公表番号】特表2014-508271(P2014-508271A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】NL2012000013
(87)【国際公開番号】WO2012108761
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】2006176
(32)【優先日】2011年2月10日
(33)【優先権主張国】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513151266
【氏名又は名称】インターガス・ヒーティング・アセッツ・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】INTERGAS HEATING ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コール,ペーター・ヤン
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−159268(JP,A)
【文献】
特開昭53−146455(JP,A)
【文献】
特開2004−028459(JP,A)
【文献】
特開2004−293838(JP,A)
【文献】
実開昭57−125911(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00
F24D 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの遠隔サーモスタットから分離された温水器具であって、
前記温水器具は、
水を加熱するための加熱部材と、
前記加熱部材を制御するための制御部とを備え、前記制御部は、暖めるべき空間の所望の温度を記憶するためのメモリ、および前記制御部に接続される入出力部を含み、
前記入出力部は測定された温度を表わす信号を受取るよう適合され、さらに
前記制御部は所望の温度および測定された温度に基づき、前記加熱部材を制御し、
前記少なくとも1つの遠隔サーモスタットは、
ハウジングと、
温度を表わす信号を与える温度センサと、
前記制御部に送られる所望の温度が入力されるコントロールパネルとを備え、
前記制御部は、所望の温度が送られ、前記加熱部材を駆動させる目的で制御作用を定めるように構成され、前記温水器具のハウジング内に組み込まれる、温水器具。
【請求項2】
前記入出力部は、前記入出力部に接続されている少なくとも1つの作動装置から動作命令を受取るよう適合され、前記制御部は受取られた動作命令に基づき、前記加熱部材を制御するよう適合される、請求項1に記載の温水器具。
【請求項3】
前記制御部は、受取った動作命令をメモリに記憶するよう適合される、請求項2に記載の温水器具。
【請求項4】
予め設定された所望の温度または所望の温度向けの予め定められたプログラムがメモリに記憶され、前記制御部は、動作命令が受取られないまたは記憶されない場合、前記予め設定された温度または前記予め定められたプログラムに基づき、前記加熱部材を制御するよう適合される、請求項2または3に記載の温水器具。
【請求項5】
前記入出力部は、ネットワークを介してデータを交換するためのネットワーク結合部をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の温水器具。
【請求項6】
前記温水器具を作動させる目的のために、前記ネットワーク結合部を介してユーザインターフェイスを利用可能にするためのウェブサーバをさらに備える、請求項5に記載の温水器具。
【請求項7】
前記ウェブサーバによって利用可能となった前記ユーザインターフェイスは、前記ネットワーク結合部を介してアクセス可能となる、請求項6に記載の温水器具。
【請求項8】
前記ユーザインターフェイスは、ユーザが以下の動作の少なくとも1つを行なうことができるよう適合される:
−所望の温度を入力する、
−所望の温度用のプログラムを入力する、
−測定された温度を見る、
−前記温水器具に関連する状態情報を見る、
−メンテナンス情報を見る、
−エラーメッセージを見る、
−性能データを見る、および
−前記温水器具を調整する、請求項6または7に記載の温水器具。
【請求項9】
前記入出力部は無線通信装置を含む、請求項1から8のいずれかに記載の温水器具。
【請求項10】
前記作動装置は前記無線通信装置を介して前記制御部に接続可能である、請求項9に記載の温水器具。
【請求項11】
前記メモリは、暖めるべき2つ以上の空間の所望温度を記憶するよう適合され、
前記制御部は、前記暖めるべき2つ以上の空間の所望温度および測定された温度に基づき、前記加熱部材を制御するよう適合される、請求項1から10のいずれかに記載の温水器具。
【請求項12】
前記入出力部は、各々が測定された温度を表わす2つ以上の信号を受取るよう適合され、
前記制御部は、前記暖めるべき空間の所望温度または前記暖めるべき2つ以上の空間の所望温度と、前記2つ以上の測定された温度とに基づき、前記加熱部材を制御するよう適合される、請求項1から11のいずれかに記載の温水器具。
【請求項13】
前記制御部は、暖めるべき空間もしくは暖めるべき2つ以上の空間の所望温度と、測定された温度との偏差を定め、前記加熱部材を制御するために、前記偏差に重み付けを与える、請求項1から12のいずれかに記載の温水器具。
【請求項14】
前記無線通信装置を介して通知を送るための通知部材をさらに備える、請求項9に記載の温水器具。
【請求項15】
前記加熱部材、前記制御部、および前記入出力部が収容されるハウジングをさらに備える、請求項1から14のいずれかに記載の温水器具。
【請求項16】
前記装置はCHボイラーまたはコンビボイラーを含む、請求項1から15のいずれかに記載の温水器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温水器具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物を集中暖房(CH)するための従来のシステムは、バーナーがガスを燃焼させる中央ボイラーを含む。燃焼の際に出される熱は、熱交換器を用いて水に変換される。ボイラーのポンプは加熱された水を建物のパイプシステムを通ってラジエータに送り、ラジエータは水の熱を、主に放射および対流によって、ラジエータが配置されている部屋に伝える。戻し導管を介して、冷却された水は再度ボイラーに達し、ここで水が加熱される。
【0003】
ボイラーはサーモスタットで制御される。サーモスタットは、暖めるべき部屋の1つに配置される。サーモスタットは、温度センサと、所望の温度を設定するための作動部材とを含む。サーモスタットは本来はバイメタルスイッチまたは水銀スイッチからなり、ボイラーにオン/オフ信号を送る。温度に依存する電子コンポーネントは、今日温度センサとして用いられている。今のサーモスタットはオン/オフ信号を生成するのではなく、変調された信号をボイラーに送って、可変熱需要を示すことができる。今のサーモスタットはさらにクロックが設けられており、それによりサーモスタットは時間に依存するプログラムに従うことができる。昔からの理由により、これらのサーモスタットはまだ二線式接続によってボイラーと通信する。これは乗り越えられない問題ではないが、いくつかの制限を課す。互換性の理由により、サーモスタットは自己の電源(一般に電池)を持たなければならず、熱の需要に加えて、付加的情報を二線式接続で送ることは諸経費を招く。
【0004】
US 2010/045470A1は、異なる住居の建物を暖めるためのスチーム分配システムを記載している。このシステムは、住居のラジエータにある遠隔制御されるスチーム弁に基づいている。動作は、住居で測定される温度と、住居にあるサーモスタットを介して任意に入力することができる設定温度に基づいている。中央制御システムがあり、これはスチーム弁の制御に加えて、スチームボイラーのスイッチオンおよびオフを遠隔制御する。この中央制御は、ローカルネットワークを介してバルブおよびスチームボイラーと無線通信する。
【0005】
DE 102 29 222 A1は一般に中央制御システムを記載しており、このシステムはエネルギ消費を最小限にするために、センサによる測定に基づき、建物のすべての技術的設備を作動させる。本システムにある温水器具がどのように制御されているかについては記載されていない。
【0006】
住居または他の建物にある技術的装置の中央制御はWO01/13577 A2にも記載されている。当該制御は、建物内のネットワークを利用する。暖房および温水供給についての具体的な詳細はあまり記載されていない。しかし、ネットワークを介して温水器具と通信する中央サーモスタットがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、加熱ボイラーの開発の次のステップに進んで、新たな機能範囲を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、温水器具を提供することによって達成され、当該温水器具は、水を加熱するための加熱部材と、加熱部材を制御するための制御部とを備え、制御部は暖めるべき空間の所望の温度を記憶するメモリと、制御部に接続される入出力部とを含み、入出力部は測定された温度を表わす信号を受取るよう適合され、制御部は所望の温度および測定された温度に基づき加熱部材を制御する。本発明は、制御部、すなわち制御工学という点でコントローラは、温度センサの場所に属するのではなく、ボイラーの場所に属するという考察に基づいている。これは昔からこのような態様で展開されている。なぜなら、温度センサおよびコントローラは従来のサーモスタットでは単一の物理的コンポーネントであったからである。たとえば温度依存抵抗器といった電子温度センサの導入により、温度を検出するコンポーネントと制御作用を定めるためのコンポーネントとが別個にあるサーモスタットをもたらすことになった。CH設備の性質、すなわち熱の集中発生により、熱は熱の需要がある屋内の異なる場所に分散されるが、熱の需要がボイラー側で判断されることにも理屈がある。従来のCH設備に比べて、コントローラはサーモスタットからCHボイラーに移さなければならない。ここでは、従来のサーモスタットは、温度センサおよび作動装置であるという分類に追いやられる。「サーモスタット」は測定された温度および設定された温度に基づく偏差を判断し、これをボイラーに送る。ボイラー側では、制御部は加熱部材を駆動させるために、その偏差に対応する制御作用を定める。(多くの場合、加熱部材はバーナー内でガスが燃焼するための空気を引込むファンの回転速度を制御することにより、制御されている)。
【0009】
しかし、コントローラ(制御部)を単に物理的に移すという工程を超えて、より大きいオプションの範囲がもたらされる。このさらなる工程は、(ボイラー内の)制御部の偏差を判断することである。ここでは、従来のサーモスタットは単なる温度センサに追いやられる。利点は以下の実施の形態に基づき説明される。
【0010】
制御部を温水器具のハウジング内に組込むことは厳密には必要ないが、奨励される。
暖めるべき空間は必ずしも1つの部屋に限定されない。従来的には、住居には1つのサーモスタットしかなく、温度は一部屋でのみ測定され、1つの所望の温度しか設定できない。このような場合でも、CH設備は二部屋以上を暖める。大抵の場合、サーモスタットがある部屋の温度が、設定される所望温度に最も近いであろうが、同じサーモスタットを用いて他の部屋の温度も「制御」する。同様に、本発明の「空間」の用語は、一部屋に限定されると理解してはならない。空間は二部屋以上を含み得る。多くの場合、空間はある部屋の一部のみを含むことができる。たとえば熱損失が大きい長い廊下の場合、廊下の2つの端は、自己の制御回路を有する各ラジエータによって暖められる。
【0011】
測定される温度は必ずしも部屋の温度である必要はない。いわゆる天候依存温度コントロールでは、戸外の温度計およびフィードフォワードコントローラが用いられる。フィードフォワードコントローラは、戸外の温度、干渉する(外の温度)の(予測される)既知の効果、および制御作用(加熱部材の動作)の(予測される)既知の効果に基づき、制御動作を定める。
【0012】
さらなる実施の形態において、温水器具が提供され、入出力部は入出力部に接続される少なくとも1つの作動装置からの動作命令を受取るよう適合され、制御部は受取られた動作命令に基づき加熱部材を制御するよう適合される。ユーザによる、装置が制御されることに基づく動作命令は、こうして温水器具と遠隔に生成できる。
【0013】
本発明に従う温水器具のさらなる実施の形態において、制御部はメモリに受取った動作命令を記憶するよう適合できる。こうして、定められた期間の所望温度のプログラムを記憶することができる。
【0014】
入出力部と作動装置との接続が損なわれたという思いもよらない事態において、温水器具がスイッチオフされるのを防止するために、予め設定された所望の温度または所望の温度向けの予め定められたプログラムがメモリ内に記憶され、制御部は動作命令が受取られないまたは記憶されない場合に、その予め設定された温度または予め定められたプログラムに基づき、加熱部材を制御するよう適合される。制御部は構成可能制御アルゴリズムを有し、温水器具は記憶されている標準設定(デフォルト)に基づき独立して機能することができるが、制御の構成は、入出力部と通信する作動装置によって変更することができる。
【0015】
特定の実施の形態において、入出力部は、統合された温度センサを有する作動装置と二線式通信を行なうための2コンタクトインレット/アウトレットを含む。入出力部は、2コンタクトインレット/アウトレットを介してメッセージを送受信するよう適合され、これは二線式接続の二方向通信ならびに作動装置および温度センサからのメッセージを多重化するのに適するプロトコルに従う。代替の特定の実施の形態において、入出力部は2つの物理的に別個の一方向接続が使用されるよう、適合される。さらに代替の特定の実施の形態において、入出力部は、温度センサおよび作動装置向けに2つの物理的に別個の接続が用いられるよう適合される。別の代替の特定の実施の形態において、入出力部は3つの物理的に別個の一方向接続が用いられるよう適合され、1つは温度センサからのメッセージを入力するため、1つは作動装置空のメッセージを入力するため、そして1つは作動装置からのメッセージを出力するためにある。
【0016】
さらなる実施の形態において、温水器具が提供され、入出力部はネットワークでデータを交換するためのネットワーク結合部をさらに含む。ネットワーク結合部を入出力部に組込むことにより、温度センサまたは作動装置といったコンポーネントを、ネットワーク接続、たとえば既存の家庭のLANまたはオフィスのLANによって、制御部と結合することができる。LANは、好ましくはイーサネット(登録商標)を介したTCP、UDPおよびIPプロトコルに基づいている。
【0017】
さらなる実施の形態において、本発明は温水器具を提供し、当該温水器具を動作させるために、ネットワーク結合部を介してユーザインターフェイスを利用可能にするためのウェブサーバをさらに備える。さらに他の実施の形態において、本発明は温水装置を提供し、ウェブサーバによって利用可能となるユーザインターフェイスは、ネットワーク結合部を介してアクセス可能である。さらに別の実施の形態において、本発明は温水器具を提供し、ユーザインターフェイスはユーザが以下の動作の少なくとも1つを実行できるよう適合されている:所望の温度を入力する;所望の温度用のプログラムを入力する;測定された温度を見る;温水器具に関する状態情報を見る;メンテナンス情報を見る;エラーメッセージを見る;性能データを見る;および温水器具を調整する。導入されたウェブサーバにより、たとえばスマートフォンのブラウザを用いることにより、温水器具のウェブサーバにナビゲートすることができる。ユーザにユーザインターフェイスが示され、それを用いてユーザは温水器具を作動もしくはプログラミングする、または情報を見ることができる。したがって、たとえば接続された温度センサによって測定された温度を見る、空間向けの所望の温度を入力または変更する、1日の間または1週間の間の温度変動用のプログラムを入力または変更する、休日プログラムを設定または起動させる、状態情報またはメンテナンス情報を読むことができる。
【0018】
従来の設備からネットワークを介して動作を可能にする自明な態様は、従来のサーモスタット(統合された温度センサ、動作手段およびコントローラを有する)にネットワークインターフェイスと組込まれたウェブサーバとを設けることである。
【0019】
本発明に従うさらなる実施の形態において、温水器具が提供され、入出力部は無線通信装置を含む。特定の実施の形態において、通信装置はいずれかのWiFiプロトコルを使用する。通信装置は、WiFiアクセス点として働き得る。代替的に、通信装置は既存のWiFiアクセス点に接続するWiFiクライアントである。この構成において、温水器具はWiFiアクセスポイントが関連付けられるLANの一部をなし、温度センサおよび作動装置は既存のLANを介して温水器具に接続することができる。別の代替の実施の形態において、WiFiアドホックまたはダイレクトWiFiが使用されて、温度センサおよび作動装置を接続する。
【0020】
さらに別の実施の形態において、本発明は温水器具を提供し、作動装置は無線通信装置を介して制御部に接続できる。作動装置は特殊な専用作動装置に限定されず、専用のアプリケーションがインストールされた携帯電話、上記のようにウェブブラウザを介して温水器具に組込まれたウェブサーバとコンタクトする携帯電話、およびウェブブラウザを介してウェブサーバとコンタクトするパーソナルコンピュータも想定される。
【0021】
本発明はさらなる温水器具を提供し、メモリは暖めるべき2つ以上の空間の所望の温度を記憶するよう適合され、制御部は2つ以上の暖めるべき空間の所望の温度および測定された温度に基づき、加熱部材を制御するよう適合される。本実施の形態において、制御部は2つ以上の目標温度(所望温度)、1つの測定された温度、および1つの測定値を有する。1つの測定された温度は、所望の温度が求められるいずれかの空間の温度であり得るが、測定された温度は、たとえば天候依存温度制御の場合には屋外の温度といった異なる温度であり得る。さらに、ここでは2つ以上の目標温度がある。温水器具は複数の独立した温水路を有し、各所望温度は個別の温水路に実質的に対応する場合、異なる所望の温度を実現するために、各温水路を別個に制御するのは相対的に容易となる。そうでなければ、制御部はある程度の妥協、たとえば所望の温度での公差を許可することにより、または所望の温度の代わりに所望の温度範囲を用いることにより、妥協しなければならない。代替的に、所望の温度の間の優先度を示すために重み付けを用いることができる。測定された温度よりも多くの所望温度がある場合には、制御部は所望の温度が入力されているが、実際には測定された温度が利用できない空間の実際の温度をある程度の信頼性で推定できる必要がある。
【0022】
さらに別の実施の形態において、本発明は温水器具を提供し、入出力部は各々が測定された温度を表わす2つ以上の信号を受取るよう適合され、制御部は暖めるべき空間の所望の温度、または暖めるべき2つ以上の空間の所望の温度、ならびに2つ以上の測定された温度に基づき、加熱部材を制御するよう適合される。特定の実施の形態において、温度信号は有線接続を介して入出力部に与えられる。特定の代替の実施の形態において、温度信号は無線で入出力部に与えられる。さらに別の特定の実施の形態において、温度信号は有線および無線接続の両方を介して与えられる。
【0023】
さらなる実施の形態において、温水器具が提供され、制御部は暖めるべき空間もしくは暖めるべき2つ以上の空間における所望の温度と、測定された温度との間の偏差を定め、加熱部材を制御するために、偏差に重み付けを与える。これは特に独立した温水路の数よりも対応する所望の温度を有する空間の数が多い場合に奨励される。重み付けにより、特定の所望の温度に対して優先度を与えることができる。なぜなら、対応する温度を有する空間における実際に実現される温度は、互いに独立していないからである。
【0024】
さらに別の実施の形態において、本発明は温水器具を提供し、通信装置を介して通知を送るための通知部材をさらに備える。この通知はたとえばエラーメッセージを含むことができる。この通知は、たとえばEメールメッセージまたはSMSメッセージを含む。
【0025】
本発明に従う一実施の形態において、温水器具が提供され、装置はCHボイラーまたはコンビボイラーを含む。
【0026】
さらなる利点および実施の形態は、添付の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来技術に従うサーモスタットを有する温水器具を示す図である。
【
図2】先行技術に従うサーモスタットを有する代替の温水器具を示す図である。
【
図4】本発明に従う温水器具の他の実施の形態を示す図である。
【
図5】本発明に従う温水器具のさらに別の実施の形態を示す図である。
【
図6】本発明に従う温水器具の代替の実施の形態を示す図である。
【
図7】本発明に従う温水器具のさらなる代替の実施の形態を示す図である。
【
図8】本発明に従う温水器具のさらに他の代替の実施の形態を示す図である。
【
図9】
図8の温水器具の制御部および加熱部材を概略的に示す図である。
【
図10】温水器具がどのように制御されるかを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
先行技術に従う温水器具10(
図1)は、水の供給導管22を含む。水はポンプ24によって温水路で循環される。水は熱交換器26を通って送られ、熱交換器で熱せられる。温水は水出口28を介して温水器具10を出る。熱交換器26の水は、バーナー30によって熱せられる。バーナー30は、ミキサ32(たとえば、ベンチュリ)からの空気/ガス混合物を含む。空気はファン34によって空気供給36を介して引込まれ、ミキサ32内に噴き出される。ガス供給38からのガスは、ガスブロック39を介してミキサ32に達する。
【0029】
ファン34およびポンプ24は、他の場所に配置される外部サーモスタット50から制御される。サーモスタット50はケーブル42を介して温水器具10に接続される。ケーブル42は典型的に二線式接続である。サーモスタット50は、コントローラ54への信号を生成する温度センサ52を含む。コントローラ54はさらにコントロールパネル56に接続される。コントロールパネルを介して所望の温度を入力し、プログラムを設定することができる。コントロールパネルは一般に表示画面が設けられ、そこに測定温度が示される。表示画面は所望の温度またはプログラムの入力を容易にするための情報をも一般に示す。
【0030】
一部の先行技術の温水器具10には、2つの温水路を実現できるようデュアル導管が設けられている。
図2の温水路10は、水が第1のポンプ24aによって送られる第1の水供給22aを示し、その後水は第1の熱交換器26aを介して水排出部28aに流れる。ここで第1の温水路には温水が提供される。第2の温水路は、水を第2の水供給22bに送る。水は第2のポンプ24bによって送られて、第2の熱交換器26bを介して第2の水排出部28bに流れる。このように、2つの別個の温水路が実現される。他の態様では、第1の熱交換器26aおよび第2の熱交換器26bを1つの熱交換器に統合するのが有利である。
【0031】
図1の温水器具10および
図2の温水器具10のどちらにおいても、温度コントローラはサーモスタット50にある。コントローラは温度センサ52によって測定された温度と、コントロールパネル56を介して入力された所望の温度との偏差を定める。この偏差に基づき、熱需要があることがケーブル42を介して表示され、変調信号の場合には、その熱需要がどれだけ大きいかも示される。
【0032】
本発明に従う温水器具100(
図3)は概ね先行技術の温水器具10に対応する。水は水供給122によって与えられ、ポンプ124によって循環される。水は熱交換器126を介して排水部128に送られる。熱交換器126内の水は、バーナー130によって熱せられる。バーナーは空気/ガス混合物を燃焼させる。空気はファン134によって空気供給136を介して引込まれ、ミキサ132に噴き出される。ガスはガス供給138からガスブロック139を介してミキサ132に移動し、そこで空気と混合される。ファン134およびポンプ124を制御するコントローラまたは制御部154は、サーモスタット50に組込まれるのではなく、温水器具100自体に組込まれる。コントローラ154は、所望の温度を記憶することができるメモリ153と、入出力部155(
図9)とを含む。ハウジング150は、ケーブル42を介して温水器具100のコントローラ154の入出力部155に接続される。ハウジング150はコントローラ54を有さず、温度を表わす信号を与える温度センサ152のみを含む。さらに、コントロールパネル156がハウジング150に配置される。このコントロールパネル156によって、所望の温度を入力することができ、これはケーブル42を介して温水器具100のコントローラ154に送られ、メモリ153に記憶される。他の動作命令、たとえばコントロールパネル156によって入力されたプログラムに従うスイッチオンおよびスイッチオフ時間は、ケーブル42を介して制御装置154に送ることができ、そこでメモリ153内に記憶される。ケーブル42には2本の信号線が引かれている。これらは必ずしも2つの物理的に分離している導体ではない。実施の形態に依存して、これはたとえばデータバスでもあり得る。
【0033】
代替の実施の形態(
図4)において、温水器具の制御部154に2つの温度センサ152aおよび152bが接続されている。第1の温度センサ152aはコントロールパネル156aと同じハウジング150a内にあり、第1のケーブル42aを介して温水器具100に接続される。第2の温度センサ152bは第2のハウジング150bにあり、第2のケーブル42bを介して温水器具100に接続される。特定の実施の形態において、第1の温度センサ152aを有する第1のハウジング150aは、暖められる部屋であって、温度を規制しなければならない部屋にある。第1の温度センサは、この部屋の温度を測定する。コントロールパネル156aを介して設定された所望の温度との差は、制御154によって取除かなければならない偏差である。第2の温度センサ152bを有する第2のハウジング150bは外に配置される。第2の温度センサ152bは外の温度を検出する。コントローラ154は第1の温度センサ152aからの信号を用いて、フィードバックにより、屋内の温度で検出された偏差を除去し、コントローラ154は第2の温度センサ152bからの信号を用いて、フィードフォワード結合により、外の温度変化に積極的に応答する。他の実施の形態において、第2の温度センサ152bはたとえば屋内に配置されるが、温度センサ152aと異なる部屋に配置される。その場合には、別の制御アルゴリズムが必要となる可能性が高い。
【0034】
別の実施の形態(
図5)において、温水器具100は2つの温水路に温水を提供するよう適合される。温水器具10は第1の水供給122aを含む。第1の水供給122aから、水が第1のポンプ124aによって第1の熱交換器126aを介して第1の排水128aに送られる。この部分は、第1の温水路の一部をなす。第2の水供給122bから、水が第2の熱交換器126bを介して第2のポンプ124bによって第2の排水128bに送られる。この部分は、第2の温水路の一部をなす。他の態様では、第1の熱交換器126aおよび第2の熱交換器126bを、2つの別個の水供給部を有する単一の熱交換器に統合するのが有利である。
【0035】
本実施の形態において、従来のものと同様に、2つの温度センサ152aおよび152bが温水器具に接続される。第1の温度センサ152bは、第1の温水路を用いて暖められる第1の空間内に受入れられる。第2の温度センサ152bは、第2の温水路を用いて暖められる第2の空間内に受入れられる。コントローラ154は2つの別個の制御回路を有する。第1の制御回路は、第1の温度センサ152aによって測定された温度を用いて、これを第1の空間用に設定された第1の所望温度と比較する。その偏差に基づき、この制御回路は第1の温水路のポンプ124a(およびファン134)を制御する。第2の制御回路は、第2の温度センサ152bによって測定された温度を用いる。この温度は、第2の空間用に設定された第2の所望温度と比較される。第2の温水路の第2のポンプ124b(およびもちろんファン134)は、測定された温度および所望の温度に基づき制御される。
【0036】
さらなる実施の形態(
図6)において、第2の温度センサ152bと温水器具100との間の通信は、たとえば直接WiFi接続を介して無線の形で行なわれる。第2のハウジング150bは、この目的のために、WiFiネットワークトランスミッタ/レシーバ158bが設けられる。温水器具100はWiFiネットワークトランスミッタ/レシーバ168が設けられる。ここでは、別のケーブルを引く必要はない。
【0037】
さらに別の実施の形態(
図7)において、第1のハウジング150aにコントロールパネル156aが設けられる。コントロールパネルは、第1のハウジング150aに同様に配置されるWiFiネットワークトランスミッタ/レシーバに接続される。このWiFiネットワークトランスミッタ/レシーバを介して、コントロールパネルは温水器具100のWiFiネットワークトランスミッタ/レシーバ168と通信する。コントロールパネル156aから温水器具100に送られるメッセージは主にどのキーが押下されたかについての情報を含む。反対方向のメッセージは、コントロールパネル156aに伴う画面上に示される情報を主に含む。ある実施の形態において、コントロールパネル156aは専用の作動装置(無線リモートコントロール)の一部である。代替の実施の形態において、ハウジング150aは、直接WiFi接続を介して温水器具100と通信するために、専用のアプリケーションを実行させる携帯電話のハウジングである。
【0038】
さらに別の実施の形態(
図8)において、温水器具100にウェブサーバ169が設けられる。このウェブサーバは、たとえばネットワークカードを介してホームネットワーク210への(無線または有線)接続を有する。携帯電話または(キーボードおよびスクリーン156aを有する)タブレットコンピュータ150aにはWiFiネットワークチップが設けられ、ホームネットワーク210と無線通信する。ウェブサーバ169のアドレスは、携帯電話またはタブレット150aのインターネットブラウザによってアクセスできる。ウェブサーバは携帯電話またはタブレット150aのユーザに、温水器具100を作動させるためのユーザインターフェイスを提供する。ユーザは、たとえば所望の温度を変える、プログラムを変更する、(温度センサ152bによって)測定された温度を見る、1日の間での温度変動を見る、温水器具100の状態情報を見る(たとえば、1日当たりの暖房時間)およびエラーメッセージを見ることができる。ホームネットワーク210がインターネットからの接続を可能にするのなら、技術者は自分のパソコンを用いてインターネットを介してウェブサーバ169を調べて、誤機能を直したり、オンラインの燃焼チェックを行なうことができる。
【0039】
さらに別の実施の形態(
図9)において、ユーザインターフェイスがあるウェブサーバは外部サーバであり、制御部154はインターネット210を介してこのウェブサーバと通信する。制御部154はインターネットを介してアクセスできるよう、IPアドレスだけを必要とする。温水器具100に導入されている機能は、ここではポンプ124およびファン134の実際の制御に限定される。外部ウェブサーバにユーザインターフェイスを設けることにより、動作は温水器具100において当該目的のために実行することなく簡単な態様で変更することができる。こうしてユーザインターフェイスは、新しい技術的オプションが利用可能になった場合には、改良して、追加することができる。温水器具100の制御部154は、外界との接続が失われた場合でも、最も基本的な機能を実行できる最小のハードウェアおよびソフトウェアしか必要とせず、ユーザインターフェイスが変更された場合には常に再構成することができる。
【0040】
本実施の形態において、制御部154は2つの動作モードを有する。第1のモードにおいて、制御はユーザインターフェイスを介して入力されかつインターネットを介して入出力部155に送られた動作命令に基づいており、第2のモードにおいて、制御はメモリ153に記憶されている所望の温度に基づき行なわれる。これは1つの温度、または1日の間の定められた時間での温度についての所定プログラムであり得る。第1のモードは通常の動作モードであるのに対して、第2のモードは例外モードである。後者のモードは、作動装
置が何の動作命令も受取らなかった思いもよらない事態、たとえば、入出力部155が接続されているネットワークが駄目になった場合に、温水器具100の動作が続けられることを保証するためにのみある。どちらのモードでも、温度センサ152から得られる実際の測定された温度が基準となる。両方の動作モードを実現可能にするためには、制御部154の実際に制御する部分157は2つの動作プログラムを含み、これは以下で概略的に示される:入出力部155を介して入来する動作命令に基づき実行される広範囲な正規の作動プログラム162、およびメモリ153に記憶されている情報に基づき実行されるより制限された非常事態プログラム161。
【0041】
図10は制御部154がどのように2つの動作モード間を切換えるかを概略的に示す。ブロック201で制御サイクルが開始されると、ブロック202において、入出力部155が動作命令を含み得る信号を受取っているか否かについて、チェックがなされる。
【0042】
この場合、これらの命令はブロック203で読取られ、情報の中から所望の温度値T
gewが引出される。測定された温度Tは後でブロック205において読込まれる。この測定された温度はブロック206において所望の温度T
gewと比較される。この比較から所望の温度に達したことがわかると、制御部はさらなる制御動作を行なう必要はなく、プログラムはブロック202に戻って入力信号があるか否かをチェックする。反対に、ブロック206での温度比較により制御動作が必要であるのなら、ポンプ124およびファン134用の制御信号がブロック207で生成される。次に、プログラムはブロック202に戻る。
【0043】
ブロック202において入出力部155が動作命令を受信中ではない(または受取っていない)ことが判断されると、緊急事態プログラムに切換えられる。メモリ153に記憶されている温度T
gewの所望の値がこの場合ブロック204で読込まれる。次に、プログラムはブロック205において測定温度の読取を続ける。後のプログラム工程はすべて入力信号が検出された工程と同じである。
【0044】
このような態様で、温水器具において高度なユーザフレンドリー動作のために大掛かりな設備を設けることなく広範囲なオプションを利用可能にするために、インターネットや他の外部ソースの可能性を最適に利用することができる。さらに、このような態様での温水器具の動作的信頼性は、通信手段が駄目になった場合でも、常に保証することができる。
【0045】
説明された実施の形態および図面に示されている実施の形態は、本発明を示す例示的実施の形態にすぎない。本発明はこれらの実施の形態に限定されない。当業者にとって、上記の実施の形態に多くの変更および変形が本発明内において可能であることは明らかである。制御部のメモリに所望の温度を記憶する代わりに、他の制御パラメータ、たとえばスイッチオン/オフ時間を有するテーブルも記憶することができる。その場合には入出力部は温度信号の代わりに時間信号を受取ることになる。さらに本発明から逸脱することなく、異なる実施の形態の特徴を容易に組合せて新しい実施の形態を形成することもできる。したがって、示される実施の形態は権利化の範囲を制限するものではない。権利化の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。