(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態における可変容量素子について]
本実施の形態では、
図1に示すような可変容量デバイスに対して印加するバイアス電圧の制御について説明する。
【0019】
本実施の形態における可変容量デバイスにおいては、入力端子(in)から出力端子(out)までの信号ラインに、可変容量素子VC1乃至VC4が形成されている。可変容量素子VC1の入力側は、抵抗R1を介してバイアス電圧印加用の端子であるDC1端子に接続されており、可変容量素子VC1の出力側は、抵抗R4を介してバイアス電圧印加用の端子であるDC2端子に接続されている。同様に、可変容量素子VC2の入力側は、抵抗R4を介してDC2端子に接続されており、可変容量素子VC2の出力側は、抵抗R2を介してDC1端子に接続されている。さらに、可変容量素子VC3の入力側は、抵抗R2を介してDC1端子に接続されており、可変容量素子VC3の出力側は、抵抗R5を介してDC2端子に接続されている。そして、可変容量素子VC4の入力側は、抵抗R5を介してDC2端子に接続されており、可変容量素子VC4の出力側は、抵抗R3を介してDC1端子に接続されている。
【0020】
このように、本願発明者による新たな知見によれば、各可変容量素子の入力側及び出力側に対してDC1端子及びDC2端子から印加されるバイアス電圧によって、その容量が制御される。なお、本実施の形態では、可変容量素子の数は偶数個とする。
【0021】
なお、以下の説明では、可変容量素子VC1乃至VC4についてはそれらの合成容量を有する可変容量素子として扱えばよいので、
図2に示すように、可変容量デバイスは、1つの可変容量素子VC10を有するものとして説明する。
【0022】
図1に示したような可変容量デバイスの入力端子には、一般的には、
図3に示すように、DCカットコンデンサC
DC1が接続され、出力端子には、DCカットコンデンサC
DC2が接続される。
【0023】
一般的には、
図3で示すように、DC2端子には、可変容量コンデンサVC10で実現される容量を調整するための制御電圧(バイアス電圧)を印加して、DC1端子をグランドに接地する。これを順接続と呼ぶことにする。
【0024】
しかしながら、従来技術でも述べられているように、このような制御電圧の印加を繰り返すと、ヒステリシス特性及び容量エージング特性によって、正確な容量制御が難しくなる。そこで、
図4で示すように、DC1端子に制御電圧を印加して、DC2端子をグランドに接地するようなバイアス電圧制御も行うことにする。これを逆接続と呼ぶことにする。
【0025】
なお、DCカットコンデンサC
DC1及びC
DC2の容量については、系全体の可変率を可能な限り大きくするという観点から設定される。例えば、
図5に示すように、制御電圧非印加時における可変容量デバイスの合成容量Cが100pFであり、DCカットコンデンサの容量「なし」の場合、系全体の容量(CとC
DC1とC
DC2との合成容量)は100pFであり、系全体の可変率が33.0%となる。これに対して、DCカットコンデンサの容量を100pFから100nFに変化させると、系全体の容量は徐々に大きくなり、それに応じて系全体の可変率も増加する。100nF程度になれば、DCカットコンデンサが設けられない場合と同様の可変率が実現される。すなわち、
図6に示すように、可変容量デバイスの容量に対するDCカットコンデンサの容量の比が1000程度になると、系全体の可変率が十分大きくなるので、このような関係が得られるように、DCカットコンデンサの容量を設定すればよい。
【0026】
図1に示すような可変容量デバイスのように、可変容量素子を偶数個直列に接続するように形成すると、順接続(
図3)の場合には良いが、逆接続(
図4)の場合には、容量変化の応答速度が落ちてしまうという現象が生じる。
【0027】
例えばDCカットコンデンサが10nFで、可変容量素子VC1の容量が100pFであり、抵抗R4が1MΩであるとすると、順接続であれば、応答時間(時定数)が4ms程度になる。すなわち、
図7(a)に示すようにDC1端子には0Vが印加され、
図7(b)に示すようにDC2端子には3Vを印加する場合、
図7(c)に示すように約4ms程度で目標とする容量値に変化し、同様に4ms程度で元の容量値に戻る。このような速度で応答するのであれば、問題は少ない。
【0028】
一方、逆接続であれば、応答時間が100ms程度になる。
図8(b)に示すようにDC2端子には0Vが印加され、
図8(a)に示すようにDC1端子には3Vを印加する場合、
図8(c)に示すように約100ms程度で目標とする容量値に変化し、同様に100ms程度で元の容量値に戻る。このような速度で応答する場合には、その分だけ可変容量デバイスによる所望の効果を得ることができるまでの時間が遅くなる。
【0029】
可変容量素子が偶数個で順接続であれば、DC1端子が接地されて、DC2端子に印加されたバイアス電圧により、
図9においてAで示すように、抵抗R4を経由して、可変容量素子VC1及びDCカットコンデンサC
DC1にチャージすることになる。但し、可変容量素子VC1及びDCカットコンデンサC
DC1は直列に接続されており、可変容量素子VC1の容量はDCカットコンデンサC
DC1の容量に比して非常に小さいので、チャージに要する時間は短くなる。同様に、DC2端子に印加されたバイアス電圧により、
図9においてBで示すように、抵抗R5を経由して、可変容量素子VC4及びDCカットコンデンサC
DC2にチャージすることになる。但し、可変容量素子VC4及びDCカットコンデンサC
DC2は直列に接続されており、可変容量素子VC4の容量はDCカットコンデンサC
DC2の容量に比して非常に小さいので、チャージに要する時間は短くなる。よって
図7に示すように容量変化も速くなる。
【0030】
一方、可変容量素子が偶数個で逆接続でれば、DC2端子が接地されて、DC1端子に印加されたバイアス電圧により、
図9においてCで示すように、抵抗R1を経由して、DCカットコンデンサC
DC1にチャージすることになる。但し、DCカットコンデンサC
DC1の容量は、可変容量素子VC1の容量に比して非常に大きいので、チャージに要する時間は長くなる。同様に、DC1端子に印加されたバイアス電圧により、
図9においてDで示すように、抵抗R3を経由して、DCカットコンデンサC
DC2にチャージすることになる。但し、DCカットコンデンサC
DC2の容量は、可変容量素子VC4の容量に比して非常に大きいので、チャージに要する時間は長くなる。よって
図8に示すように容量変化も遅くなる。
【0031】
このように、可変容量素子が偶数個の場合には、順接続と逆接続とでは、容量の応答速度が非対称となる。
【0032】
なお、例えば可変容量素子が3個で奇数の場合には、順接続であれば、
図10に示すように、DC1端子が接地されて、DC2端子に印加されたバイアス電圧により、
図10においてEで示すように、抵抗R4を経由して、可変容量素子VC1及びDCカットコンデンサC
DC1にチャージすることになる。但し、可変容量素子VC1及びDCカットコンデンサC
DC1は直列に接続されており、可変容量素子VC1の容量はDCカットコンデンサC
DC1の容量に比して非常に小さいので、チャージに要する時間は短くなる。しかし、DC2端子に印加されたバイアス電圧により、
図10においてFで示すように、抵抗R5を経由して、DCカットコンデンサC
DC2にチャージすることになる。DCカットコンデンサC
DC2の容量は、可変容量素子の容量に比して非常に大きいので、チャージに要する時間は長くなる。よって、全体としての応答速度は遅くなる。
【0033】
また、可変容量素子が奇数で逆接続の場合でも、
図10でDC2端子が接地されて、DC1端子に印加されたバイアス電圧により、
図10においてGで示すように、抵抗R1を経由して、DCカットコンデンサC
DC1にチャージすることになる。但し、DCカットコンデンサC
DC1の容量は、可変容量素子VC1の容量に比して非常に大きいので、チャージに要する時間は長くなる。一方、DC1端子に印加されたバイアス電圧により、
図10においてHで示すように、抵抗R2を経由して、可変容量素子VC3及びDCカットコンデンサC
DC2にチャージすることになる。DCカットコンデンサC
DC2と可変容量素子VC3は直列に接続されており、可変容量素子VC3の容量はDCカットコンデンサC
DC2の容量に比して非常に小さいので、チャージに要する時間は短くなる。よって、全体としての応答速度は遅くなる。
【0034】
このように、可変容量素子が奇数個あれば、応答速度の非対称性は生じない。しかし、このような応答速度の非対称性が生ずる場合については従来技術では考察されていない。
【0035】
さらに、従来技術では、通信を1回行う期間(例えば従来技術では2.2秒)を1つの単位として、制御電圧の印加を行う例を示している。しかし、このような通信を1回行う期間をベースに制御電圧印加の切り替えを行うのは、制御回路の消費電力増大につながる。
【0036】
本願発明者によれば、
図11において点線で示すように、制御電圧3Vを、順接続又は逆接続のみで継続印加した場合には、時間経過と共に徐々に容量が低下して250秒程度経過すると、1%程度低下してしまっている。一方、
図11において実線で示すように、順接続と逆接続を44秒ごとに切り替えた場合には、おおよそ0.5%程度の変化で済んでいる。
【0037】
このような変化率は、可変容量素子の形成に用いられる誘電体薄膜の材料によって異なるが、常誘電体であるチタン酸ストロンチウム(SrO
3)薄膜や、強誘電体であるチタン酸バリウムストロンチウム((Ba,Sr)TiO
3)薄膜などのペロブスカイト構造を有する酸化物が用いられる。
【0038】
なお、SrTiO
3薄膜で形成された可変容量デバイスを用いて、制御電圧5Vの印加時間を変化させると、
図12に示すような容量変化率が得られている。このように、印加時間を長くすると、容量変化率の絶対値は増加するが、100000秒程度であっても、この材料であれば0.5%以内の変化に収まると予想される。
【0039】
このように、通信を1回行う期間よりも長い時間制御電圧を印加しても、順接続での印加時間(T
C1と呼ぶ)と逆接続での印加時間(T
C2と呼ぶ)とを一致させれば、ヒステリシス特性及び容量エージング特性を回避できるようになる。
【0040】
[実施の形態1]
図13Aは、本実施の形態に係る通信装置の構成例を示す。本通信装置は、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)部100と、電圧制御部200と、共振アンテナ回路モジュール部300とを有する。
【0041】
共振アンテナ回路モジュール部300は、共振アンテナを形成すべく、インダクタLと、当該インダクタLと並列に接続される、DCカットコンデンサC
DC1と可変容量デバイスVCとDCカットコンデンサC
DC2との直列接続回路とを有する。共振アンテナ回路モジュール部300の共振周波数は、インダクタLと上記直列接続回路の容量とで決定される。
【0042】
また、RFIC部100は、信号処理部120と、演算部110とを有する。信号処理部120は、共振アンテナ回路モジュール部300で受信された高周波信号RFを復調するといった通信のための処理を行う。また、演算部110は、信号処理部120の動作タイミングを制御すると共に、電圧制御部200に対してDC1端子にバイアス電圧を印加してDC2端子を接地する第1のモード(すなわち逆接続)と、DC2端子にバイアス電圧を印加してDC1端子を接地する第2のモード(すなわち順接続)とのいずれかを所定のタイミングで指示する処理を行う。また、演算部110は、可変容量デバイスVCに印加すべきバイアス電圧をも、電圧制御部200に指示する。
【0043】
電圧制御部200は、
図13Bに示すように、演算部110からの指示に応じたバイアス電圧を出力する電源部230と、電源部230の出力電圧を演算部110の指示に応じてDC1端子又はDC2端子若しくは両方に出力するためのスイッチ210と、演算部110の指示に応じてDC1端子又はDC2端子若しくは両方を接地するためのスイッチ220とを含む。
【0044】
電圧制御部200は、演算部110からの指示に応じて、第1のモードであれば、DC1端子に対して指示されたバイアス電圧を印加してDC2端子を接地し、第2のモードであれば、DC2端子にバイアス電圧を印加してDC1端子を接地する。
【0045】
第1の実施の形態に係るバイアス電圧の制御方式を
図14(a)及び(b)を用いて説明する。
図14(a)は、DC1端子に印加されるバイアス電圧の時間変化を表しており、
図14(b)は、DC2端子に印加されるバイアス電圧の時間変化を表している。
【0046】
第1の実施の形態では、第2のモードをT
C2継続した後に、第1のモードをT
C1継続するというサイクルを、繰り返す。ここでT
C1=T
C2となる。これによって容量エージングなどを回避できるようになる。なお、本実施の形態では、可変容量素子に用いられる材料に依存するが、T
C1=T
C2は1秒乃至100000秒程度であって、長い時間継続できるので、細かく切り替える場合に比して消費電力を削減できる。T
C1及びT
C2については、演算部110が、電圧制御部200に対して指示して、電圧制御部200がバイアス電圧の切り替えを行う。
【0047】
さらに、第1の実施の形態における特徴は、期間T
C1及びT
C2において、複数回通信を行う点を含む。
【0048】
さらに、DC1端子にバイアス電圧を印加する場合には、バイアス電圧の印加開始から、DC1端子にバイアス電圧を印加した場合における応答の時定数(上の例では100ms)以上の所定時間τ
1経過後に、最初の通信を行うようにする。また、DC2端子にバイアス電圧を印加する場合には、バイアス電圧の印加開始から、DC2端子にバイアス電圧を印加した場合における応答の時定数(上の例では4ms)以上の所定時間τ
2経過後に、最初の通信を行うようにする。
【0049】
演算部110は、DC1端子にバイアス電圧を印加するように電圧制御部200に指示した後所定時間τ
1経過すると、信号処理部120に通信を行わせるようにする。同様に、演算部110は、DC2端子にバイアス電圧を印加するように電圧制御部200に指示した後所定時間τ
2経過すると、信号処理部120に通信を行わせるようにする。
【0050】
なお、
図14では、期間T
C1と期間T
C2とは重ならないように設定されているが、一部重なるようにしても良い。この場合、重なっている部分は、容量エージングなどのキャンセルには寄与しないので、非重複部分の長さが一致するようにする。また、
図14では、第1のモードと第2のモードとの間を空けないようにしているが、空けるようにしても良い。
【0051】
このようにすれば、容量エージングなどを回避しつつ、モード切替で消費する電力を削減でき、さらに応答時間の非対称性の影響を通信に与えることも回避できるようになる。
【0052】
なお、期間T
C1内の通信の回数、期間T
C2内の通信の回数は任意である。また、できるだけ通信可能な期間を長くするためには、
図14に示すように、第2のモードの最後の通信が終わった後は、応答速度が遅いので速やかに第1のモードに移行することが好ましい。一方、第1のモードから第2のモードへの移行については、応答速度が速いので
図14に示すように速やかな移行ではなくても良い。
【0053】
さらに、第1のモードと第2のモードとの1つの組み合わせで、T
C1=T
C2が成り立てばよく、第1のモードと第2のモードとの他の組み合わせについては、他の値でT
C1=T
C2が成り立つようにすることもある。
【0054】
また、バイアス電圧は、可変容量デバイスで実現すべき容量に基づき設定される。
【0055】
なお、通信の時間は、数十ms乃至数百msである。
【0056】
[実施の形態2]
第1の実施の形態では、第1のモードにおいて複数回通信を行い、第2のモードにおいても複数回通信を行う例を示した。通信の回数は、通信装置が行う通信の頻度や周期によって定まる場合がある。
【0057】
例えば
図15(a)及び(b)に示すように、T
C1=T
C2は維持されるが、T
C1における通信回数が1回、T
C2における通信回数も1回というようにしても良い。
【0058】
但し、その他の部分は第1の実施の形態と同様である。特に、DC1端子にバイアス電圧を印加する場合には、バイアス電圧の印加開始から、DC1端子にバイアス電圧を印加した場合における応答の時定数(上の例では100ms)以上の所定時間τ
1経過後に、最初の通信を行うようにする。また、DC2端子にバイアス電圧を印加する場合には、バイアス電圧の印加開始から、DC2端子にバイアス電圧を印加した場合における応答の時定数(上の例では4ms)以上の所定時間τ
2経過後に、最初の通信を行うようにする。
【0059】
[実施の形態3]
第1及び第2の実施の形態では、容量エージングなどを回避するために、DC1端子にバイアス電圧を印加する時間T
C1と、DC2端子にバイアス電圧を印加する時間T
C2とを一致させる実施の形態を説明した。しかしながら、一方の端子にのみバイアス電圧を印加することでも同様の効果を得ることができる場合がある。
【0060】
本実施の形態では、DC2端子にバイアス電圧を印加する方が応答速度が速いため、DC2端子を選択して、正のバイアス電圧をDC2端子に印加する第2のモードと、負のバイアス電圧をDC2端子に印加する第3のモードとを切り替えるようにする。但し、第2のモードの期間T
C2と、第3のモードの期間T
C3とは同一になるようにする。
【0061】
この例を
図16(a)及び(b)に示す。
図16(a)に示すように、DC1端子にはバイアス電圧は印加されない。一方、
図16(b)に示すように、DC2端子には、第2のモードの期間T
C2において正のバイアス電圧を印加し、第3のモードの期間T
C3において負のバイアス電圧を印加する。期間T
C2と期間T
C3の各々において、通信が複数回行われる。
【0062】
期間T
C2の開始から所定時間τ
2経過後に初回の通信が行われ、期間T
C3の開始から所定時間τ
2経過後に初回の通信が行われる。DC2端子を用いるため、第2のモードでも第3のモードでも、初回の通信までの時間は、所定時間τ
2となる。
【0063】
その他、期間T
C2と期間T
C3の一部重複が許容される点、期間T
C2と期間T
C3の間にバイアス電圧印加がない期間を設け得る点等については、第1の実施の形態と同様である。
【0064】
なお、演算部110は、DC2端子に正のバイアス電圧を印加するように電圧制御部200に指示した後所定時間τ
2経過すると、信号処理部120に通信を行わせるようにする。同様に、演算部110は、DC2端子に負のバイアス電圧を印加するように電圧制御部200に指示した後所定時間τ
2経過すると、信号処理部120に通信を行わせるようにする。
【0065】
このように、可変容量デバイスVCに対するバイアス電圧制御は、2つの端子のそれぞれに同一電圧極性のバイアス電圧を印加することで極性反転させる場合だけではなく、本実施の形態のように一方の端子に異なる電圧極性のバイアス電圧を印加することで極性反転させる場合もある。
【0066】
このようにすれば、応答速度が遅いDC1端子にバイアス電圧が印加されることはないので、通信を行うことができる期間が増加する。
【0067】
[実施の形態4]
第3の実施の形態では、第2のモードにおいて複数回通信を行い、第3のモードにおいても複数回通信を行う例を示した。通信の回数は、通信装置が行う通信の頻度や周期によって定まる場合がある。
【0068】
例えば
図17(a)及び(b)に示すように、T
C2=T
C3は維持されるが、T
C2における通信回数が1回、T
C3における通信回数も1回というようにしても良い。
【0069】
但し、その他の部分は第3の実施の形態と同様である。特に、DC2端子に正又は負のバイアス電圧を印加する場合には、バイアス電圧の印加開始から、DC2端子にバイアス電圧を印加した場合における応答速度の時定数(上の例では4ms)以上の所定時間τ
2経過後に、最初の通信を行うようにする。
【0070】
このような場合でも、容量エージングなどを回避でき、応答速度が遅いDC1端子にバイアス電圧が印加されることはないので、通信を行うことができる期間が増加する。
【0071】
[実施の形態5]
図18(a)及び(b)は、第5の実施の形態に係るバイアス電圧の印加制御の態様を示す。応答速度が遅いDC1端子にもバイアス電圧は印加するが、DC1端子にバイアス電圧を印加している間には通信を行わず、DC2端子にバイアス電圧を印加している間に通信を行う。すなわち、DC1端子にバイアス電圧を印加するのはダミーであり、容量エージングなどを回避するためのみに用いられる。
【0072】
なお、DC2端子にバイアス電圧を印加している期間T
C2後、期間T
s21は、DC1端子にもDC2端子にもバイアス電圧を印加しない。同様に、DC1端子にバイアス電圧を印加している期間T
C1後、期間T
s12は、DC1端子にもDC2端子にもバイアス電圧を印加しない。但し、T
C2=T
C1であるが、T
s21とT
s12は、一致せずとも良い。また、応答速度が遅いので、T
s21は0であってもよい。
【0073】
このようにDC2端子にのみバイアス電圧を印加するので応答の時定数は短くなり、図では通信を行う期間とバイアス電圧を印加する期間とを同じに記載している。
【0074】
このような実施の形態の場合には、演算部110は、信号処理部120と電圧制御部200とを同期させるように制御を行う。
【0075】
本実施の形態の考え方は、第1及び第2の実施の形態に適用し得る。
【0076】
[実施の形態6]
第1の実施の形態乃至第4の実施の形態では、順接続でも逆接続でも通信を行うようにしていたので、DC1端子に印加されるバイアス電圧とDC2端子に印加されるバイアス電圧とは同一であった。しかしながら、第5の実施の形態のように、応答速度が遅いDC1端子にバイアス電圧を印加する際に通信を行わないのであれば、異なるバイアス電圧を印加しても、容量エージングなどを回避するためのバイアス電圧印加制御ができる。例えば
図19(a)及び(b)に示すように、DC2端子に印加されるバイアス電圧V
2より低いバイアス電圧V
1をDC1端子に印加するが、T
C2<T
C1とすることで、容量エージングなどを回避する。
【0077】
逆に、
図20(a)及び(b)に示すように、DC2端子に印加されるバイアス電圧V
2より高いバイアス電圧V
1をDC1端子に印加するが、T
C2>T
C1とすることで、容量エージングなどを回避する。
【0078】
このような変形を行うことでも、応答速度の非対称性の影響を回避することができる。
【0079】
[実施の形態7]
これまで説明した実施の形態では、DC2端子にバイアス電圧を印加する1つの期間T
C2と、DC1端子にバイアス電圧を印加する1つの期間T
C1とで、容量エージングなどを回避するようにしていた。しかしながら、n回の期間T
C2毎に、1回の期間T
C1を設けても、容量エージングなどを回避することができる。
【0080】
図21(a)及び(b)の例では、n=2であり、2回の期間T
C2毎に、1回の期間T
C1を設けている。すなわち、2×T
C2=T
C1となっている。但し、DC1端子に印加されるバイアス電圧とDC2端子に印加されるバイアス電圧とは同じである。
【0081】
第7の実施の形態に係る考え方は、第1及び第2の実施の形態に適用し得る。
【0082】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明の回路構成は様々に変形可能である。例えば、電圧制御部200がRFIC部100とは別に設けられる例を示したが、RFIC部100に含まれる場合もある。また、RFIC部100の演算部110は、プロセッサとプログラムの組み合わせで実装される場合もある。信号処理部120についても同様である。
【0083】
また、可変容量デバイスが可変容量素子を偶数個有する場合には応答速度の非対称性が発現し、奇数個有する場合には応答速度の非対称性が発現しない例を示したが、可変容量デバイスの構造によっては異なる条件で応答速度の非対称性が生ずる場合もあれば、全く応答速度の非対称性が生じない場合もある。応答速度の非対称性が生じない場合でも、通信を行う期間より長い時間バイアス電圧を印加するようにしてバイアス電圧のスイッチング頻度を抑えるという観点については適用可能である。すなわち、スイッチング頻度を抑えることで制御によって消費される電力を抑制するという観点において効果的である。