(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、車両のステアリング系に電動モータを備え、電動モータの動力にてドライバの操舵力をアシストする電動パワーステアリング装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、以下のように構成されている。すなわち、操舵補助の制御を行うマイクロコンピュータは、トルクセンサと車速センサとから信号を受けてブラシレスモータ(電動モータ)に供給する電流を演算して指令する目標電流演算手段と、電動機駆動回路を制御する駆動制御手段とを備えている。また、マイクロコンピュータは、レゾルバからの信号に基づいてブラシレスモータの回転電気角を演算する電気角演算手段と、電気角演算手段の出力と検出されたブラシレスモータの電流とに基づいてフィードバック電流値を演算するフィードバック電流演算手段と、フィードバック電流値と目標電流演算手段からの指令電流値との偏差ΔIを演算する偏差演算手段とを備えている。また、マイクロコンピュータは、偏差演算手段からの電流偏差ΔIにそれぞれ比例制御および積分制御を施した信号を加算処理してPI信号を出力する電流制御手段と、PI信号と電気角演算手段にて演算された回転電気角とによりブラシレスモータを駆動するためのPWM信号を生成し、電動機駆動回路に与える三相電圧指令演算手段とを備えている。
【0003】
上述した特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、レゾルバからの信号に基づいて演算した電動モータ(ブラシレスモータ)の回転角度(電気角)を用いて電動モータの駆動を制御する。それゆえ、レゾルバからの信号に基づいて演算した回転角度と電動モータの実際の回転角度との間の誤差が小さいことが望ましい。
【0004】
これに対して、特許文献2には、センサ用ロータ部とマグネットとの相対的な位置ズレを防止することにより、所望の回転特性を得ることができるブラシレスモータを提供することを目的として以下に述べる技術が開示されている。すなわち、ブラシレスモータのロータを構成するロータ軸には段部が形成されている。ロータ軸には、マグネット、レゾルバ用ロータ部及び介在部材が固定されている。レゾルバ用ロータ部はロータ軸の回転位置を検出する。介在部材はマグネットとレゾルバ用ロータ部との間に配置されている。マグネット及び介在部材は第1の係合部によって互いに周方向に係合されている。介在部材及びレゾルバ用ロータ部は第2の係合部によって互いに周方向に係合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
構成の簡略化などの観点からは、上述した特許文献2に記載された技術のようなメカニカルな位置ズレ防止機構を設けることなく、レゾルバからの信号に基づいて電動モータの回転角度を精度高く把握できることが望ましい。そして、これにより、簡易な構成で電動モータの駆動制御を適切に行うことができる。
本発明は、簡易な構成のレゾルバからの信号に基づいて電動モータの駆動制御を適切に行うことができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。また、簡易な構成のレゾルバの故障を検出することができるレゾルバ故障検出装置、レゾルバ故障検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明は、レゾルバを有する3相ブラシレスの電動モータと、前記レゾルバからの出力値に基づいて前記電動モータの回転角度を算出する算出手段と、ステアリングホイールの操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記電動モータの特定の2相間に所定の直流電流を通電する通電手段と、前記通電手段が前記所定の直流電流を通電した際に前記算出手段が算出した回転角度と予め定められた角度との差に基づいて当該算出手段が算出した回転角度を補正する補正手段と、前記補正手段が補正した補正後の回転角度に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御手段と、を備え
、前記通電手段は、前記トルクセンサが検出した前記操舵トルクが予め定められた操舵トルク以下である場合に前記所定の直流電流を通電することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
【0008】
ここで
、前記電動モータは、前記特定の2相間に前記所定の直流電流を通電した場合に前記予め定められた角度となるように設定されていてもよい。
【0009】
他の観点から捉えると、本発明は、3相ブラシレスの電動モータに設けられたレゾルバの故障を検出するレゾルバ故障検出装置であって、前記レゾルバからの出力値に基づいて前記電動モータの回転角度を算出する算出手段と、前記電動モータの特定の2相間に所定の直流電流を通電する通電手段と、前記通電手段が前記所定の直流電流を通電した際に前記算出手段が算出した回転角度と予め定められた角度との差に基づいて前記レゾルバの故障を検出する検出手段と、を備え
、前記通電手段は、トルクセンサが検出したステアリングホイールの操舵トルクが予め定められた操舵トルク以下である場合に前記所定の直流電流を通電することを特徴とするレゾルバ故障検出装置である。
【0010】
ここで、前記検出手段は、前記算出手段が算出した回転角度と予め定められた角度との差が基準角度より大きい場合に前記レゾルバの故障と判定してもよい。
【0011】
他の観点から捉えると、本発明は、3相ブラシレスの電動モータに設けられたレゾルバの故障を検出するレゾルバ故障検出方法であって、
トルクセンサが検出したステアリングホイールの操舵トルクが予め定められた操舵トルク以下である場合に前記電動モータの特定の2相間に所定の直流電流を通電し
、前記所定の直流電流を通電した際に前記レゾルバからの出力値に基づいて算出した当該電動モータの回転角度と予め定められた角度との差が基準角度より大きい場合に当該レゾルバの故障と判定することを特徴とするレゾルバ故障検出方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜3の発明によれば、簡易な構成のレゾルバからの信号に基づいて電動モータの駆動制御を適切に行うことができる。
請求項4〜8の発明によれば、簡易な構成のレゾルバの故障を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車に適用した構成を例示している。
【0016】
ステアリング装置100は、自動車の進行方向を変えるために運転者が操作する車輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101に一体的に設けられたステアリングシャフト102とを備えている。また、ステアリング装置100は、ステアリングシャフト102と自在継手103aを介して連結された上部連結シャフト103と、この上部連結シャフト103と自在継手103bを介して連結された下部連結シャフト108とを備えている。下部連結シャフト108は、ステアリングホイール101の回転に連動して回転する。
【0017】
また、ステアリング装置100は、転動輪としての左右の前輪150のそれぞれに連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。また、ステアリング装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106の下端部に形成されている。これらラック軸105、ピニオンシャフト106などが、ステアリングホイール101の回転操作力を前輪150の転動力として伝達する伝達機構として機能する。ピニオンシャフト106は、前輪150を転動させるラック軸105に対して、回転することにより前輪150を転動させる駆動力を加える。
【0018】
また、ステアリング装置100は、ピニオンシャフト106を収納するステアリングギヤボックス107を有している。ピニオンシャフト106は、ステアリングギヤボックス107内にてトーションバー112を介して下部連結シャフト108と連結されている。そして、ステアリングギヤボックス107の内部には、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対回転角度に基づいて、言い換えればトーションバー112の捩れ量に基づいて、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTを検出するトルクセンサ109が設けられている。
【0019】
また、ステアリング装置100は、ステアリングギヤボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを有している。減速機構111は、例えば、ピニオンシャフト106に固定されたウォームホイール(不図示)と、電動モータ110の出力軸に固定されたウォームギヤ(不図示)などから構成される。電動モータ110は、ピニオンシャフト106に回転駆動力を加えることにより、ラック軸105に前輪150を転動させる駆動力を加える。本実施の形態に係る電動モータ110は、電動モータ110の回転角度であるモータ回転角度θを検出するレゾルバ120を有する3相ブラシレスモータである。また、本実施の形態に係る電動モータ110は、U−V相に直流電流を通電した際のモータ回転角度θが零になるように設定されている。また、ステアリングホイール101が中立状態(操舵角が零(deg))であるときには、電動モータ110のモータ回転角度θが零になるように設定されている。
【0020】
また、ステアリング装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルクセンサ109からの出力信号が入力される。また、制御装置10には、自動車に搭載される各種の機器を制御するための信号を流す通信を行うネットワーク(CAN)を介して、自動車の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ170などからの出力信号が入力される。
【0021】
以上のように構成されたステアリング装置100は、トルクセンサ109が検出した検出トルクに基づいて電動モータ110を駆動し、電動モータ110の発生トルクをピニオンシャフト106に伝達する。これにより、電動モータ110の発生トルクが、ステアリングホイール101に加える運転者の操舵力をアシストする。
【0022】
次に、制御装置10について説明する。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号v、レゾルバ120からの電動モータ110のモータ回転角度θに応じた出力信号である回転角度信号θs、などが入力される。
【0023】
そして、制御装置10は、トルク信号Td、車速信号vなどに基づいて電動モータ110が供給するのに必要となる目標電流Itを算出(設定)する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流Itに基づいてフィードバック制御などを行う制御部30と、レゾルバ120の故障を検出する検出手段の一例としてのレゾルバ故障検出部70とを有している。
【0024】
次に、目標電流算出部20について詳述する。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流Itを設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて目標電流Itを決定する目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号v、後述するモータ回転速度信号Nmsなどが入力される。
【0025】
図4は、操舵トルクTおよび車速Vcとベース電流Ibとの対応を示す制御マップの概略図である。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Tsと、車速センサ170からの車速信号vとに基づいてベース電流Ibを算出する。言い換えれば、ベース電流算出部21は、位相補償部26にて位相補償された操舵トルクTと、車速Vcとに応じたベース電流Ibを算出する。なお、ベース電流算出部21は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とベース電流Ibとの対応を示す
図4に例示した制御マップに、操舵トルクTおよび車速Vcを代入することによりベース電流Ibを算出する。
【0026】
イナーシャ補償電流算出部22は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Ts、車速信号vに基づいてイナーシャ補償電流Isを算出する。言い換えれば、イナーシャ補償電流算出部22は、位相補償部26にて位相補償された操舵トルクTと、車速Vcとに応じたイナーシャ補償電流Isを算出する。なお、イナーシャ補償電流算出部22は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とイナーシャ補償電流Isとの対応を示す制御マップに、位相補償された操舵トルクTおよび車速Vcを代入することによりイナーシャ補償電流Isを算出する。
【0027】
ダンパー補償電流算出部23は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Ts、車速信号v、モータ回転速度信号Nmsなどに基づいてダンパー補償電流Idを算出する。言い換えれば、ダンパー補償電流算出部23は、位相補償部26にて位相補償された操舵トルクTと、車速Vcと、モータ回転速度Nmに応じたダンパー補償電流Idを算出する。なお、ダンパー補償電流算出部23は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)、車速Vc(車速信号v)およびモータ回転速度Nm(モータ回転速度信号Nms)と、ダンパー補償電流Idとの対応を示す制御マップに、位相補償された操舵トルクT、車速Vcおよびモータ回転速度Nmを代入することによりダンパー補償電流Idを算出する。
【0028】
目標電流決定部25は、ベース電流算出部21にて算出されたベース電流Ib、イナーシャ補償電流算出部22にて算出されたイナーシャ補償電流Isおよびダンパー補償電流算出部23にて算出されたダンパー補償電流Idに基づいて目標電流Itを決定する。目標電流決定部25は、例えば、ベース電流Ibに、イナーシャ補償電流Isを加算するとともにダンパー補償電流Idを減算して得た電流を目標電流Itとして決定する。
また、目標電流決定部25は、レゾルバ故障検出部70から、後述するような、電動モータ110のU−V相に所定の直流電流を通電するための指示命令(コマンド)を取得した場合には、所定の直流電流を目標電流Itとして決定する。このように目標電流決定部25は、電動モータ110の特定の2相間に所定の直流電流を通電する通電手段の一例として機能する。
【0029】
次に、制御部30について詳述する。
図5は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、
図5に示すように、電動モータ110の作動を制御する制御手段の一例としてのモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部33とを有している。また、制御部30は、電動モータ110のモータ回転角度θを算出する算出手段の一例としてのモータ回転角度算出部35と、モータ回転角度算出部35で算出されたモータ回転角度θを補正する補正手段の一例としての回転角度補正部36と、回転角度補正部36が補正した補正後の回転角度θcに基づいて電動モータ110のモータ回転速度Nmを算出するモータ回転速度算出部37と、を有している。また、制御部30は、モータ電流検出部33が検出した実電流Imと回転角度補正部36が補正した補正後の回転角度θcとに基づいてフィードバック電流Ifを算出するフィードバック電流算出部38を有している。
【0030】
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itと、フィードバック電流算出部38にて算出されたフィードバック電流Ifとの偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部40と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部60とを有している。
【0031】
フィードバック制御部40は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itとフィードバック電流算出部38にて算出されたフィードバック電流Ifとの偏差を求める偏差演算部41と、その偏差がゼロとなるようにフィードバック処理を行うフィードバック(F/B)処理部42とを有している。
【0032】
フィードバック(F/B)処理部42は、目標電流Itとフィードバック電流Ifとが一致するようにフィードバック制御を行うものであり、例えば、偏差演算部41にて算出された偏差に対して、比例要素で比例処理し、積分要素で積分処理し、加算演算部でこれらの値を加算する。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値と回転角度補正部36が補正した補正後の回転角度θcとに基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
【0033】
モータ駆動部32は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
モータ電流検出部33は、モータ駆動部32に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流Imの値を検出する。
【0034】
モータ回転角度算出部35は、レゾルバ120の出力信号に基づいてモータ回転角度θを算出する。回転角度補正部36については後で詳述する。モータ回転速度算出部37は、回転角度補正部36が補正した補正後の回転角度θcに基づいて電動モータ110のモータ回転速度Nmを算出し、算出したモータ回転速度Nmが出力信号に変換されたモータ回転速度信号Nmsを出力する。
フィードバック電流算出部38は、予めROMに記憶しておいた演算式、モータ電流検出部33が検出した実電流Im、および回転角度補正部36が補正した補正後の回転角度θcに基づいてフィードバック電流Ifを算出する。
【0035】
次に、レゾルバ故障検出部70(
図2参照)について詳述する。
レゾルバ故障検出部70は、レゾルバ120からの出力信号に基づいて算出したモータ回転角度θ(以下、「検出回転角度θd」と称す。)と実際のモータ回転角度θ(以下、「実回転角度θa」と称す。)との差の絶対値が予め定められた基準角度θbよりも大きい場合にレゾルバ120に故障が生じていると判断する。
【0036】
より具体的には、本実施の形態に係る電動モータ110のU−V相に予め定められた直流電流を通電した際の電動モータ110の実回転角度θaが零になるように設定されていることに鑑み、レゾルバ故障検出部70は、U−V相に所定の直流電流を通電した際の検出回転角度θdと実回転角度θaである零との差の絶対値が基準角度θbよりも大きい場合に故障が生じていると判断する。
また、レゾルバ故障検出部70は、検出回転角度θdと実回転角度θaとの差の絶対値が基準角度θb以下の場合には、検出回転角度θdと実回転角度θaとの差をEEPROMに記憶する。
【0037】
次に、フローチャートを用いて、レゾルバ故障検出部70が行う故障検出処理の手順について説明する。
図6は、レゾルバ故障検出部70が行う故障検出処理の手順を示すフローチャートである。レゾルバ故障検出部70は、この故障検出処理を予め定めた期間毎(例えば、1ミリ秒毎)に繰り返し実行する。
【0038】
先ず、レゾルバ故障検出部70は、ステアリングホイール101を中立状態から一方方向に回転したときの操舵トルクTの符号をプラス、他方方向に回転したときの操舵トルクTの符号をマイナスとした場合の、直近にトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの絶対値が予め定められた基準操舵トルクTb以下であるか否かを判別する(ステップ(以下、単に、「S」と記す。)101)。基準操舵トルクTbは、
図4に示したマップで、ベース電流Ibが零に決定される操舵トルクTの範囲内の値であることを例示することができる。言い換えれば、S101の処理は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが不感帯領域内の値であるか否かを判別する。
【0039】
そして、検出された操舵トルクTの絶対値が基準操舵トルクTb以下である場合(S101でYes)、電動モータ110のU−V相に所定の直流電流を通電するように、目標電流算出部20に指示命令(コマンド)を送る(S102)。この指示命令を受けた目標電流算出部20の目標電流決定部25は、所定の直流電流を目標電流Itとして決定する。
その後、電動モータ110のU−V相に所定の直流電流が予め定められた時間通電されたか否かを判別する(S103)。そして、所定の直流電流が所定時間通電された場合(S103でYes)、レゾルバ120からの出力信号に基づいて算出された検出回転角度θdを読み込むと共に、読み込んだ検出回転角度θdと実回転角度θa(零(deg))との角度差Δθを算出する(S104)。他方、所定の直流電流が所定時間通電されていない場合(S103でNo)、S102以降の処理を再度行う。
【0040】
その後、S104にて算出した角度差Δθの絶対値が基準角度θb以下であるか否かを判別する(S105)。そして、角度差Δθの絶対値が基準角度θb以下である場合(S105でYes)、検出回転角度θdと実回転角度θaとの角度差ΔθをEEPROMに記憶する(S106)。他方、角度差Δθの絶対値が基準角度θbよりも大きい場合(S105でNo)、レゾルバ120に故障が生じていると判定し、ステアリング装置100としての機能を停止する(S107)。ステアリング装置100としての機能を停止する手法としては、電動モータ110へ供給する目標電流Itを零とするための指示命令(コマンド)を目標電流算出部20に送る、制御装置10に供給する電力を停止するべくリレーをOFFにする、などを例示することができる。
【0041】
一方、検出された操舵トルクTの絶対値が基準操舵トルクTb以下ではない場合(S101でNo)、通常の電動モータ110の制御を実行するべく、電動モータ110のU−V相への所定の直流電流通電は行わない(S108)。
【0042】
次に、回転角度補正部36について詳述する。
回転角度補正部36は、レゾルバ120からの出力信号に基づいて算出したモータ回転角度θを、レゾルバ故障検出部70にて算出され、EEPROMに記憶された角度差Δθの分、補正する。つまり、検出回転角度θdが実回転角度θaよりも進角している場合には、回転角度補正部36は、検出回転角度θdから角度差Δθの絶対値を減算した値を補正後の回転角度θcとして出力する。他方、検出回転角度θdが実回転角度θaよりも遅角している場合には、回転角度補正部36は、検出回転角度θdに角度差Δθの絶対値を加算した値を補正後の回転角度θcとして出力する。
【0043】
以上のように構成された制御装置10においては、回転角度補正部36がレゾルバ120からの出力信号に基づいて算出したモータ回転角度θを補正するので、モータ駆動制御部31は実回転角度θaと同じ値を取得し易くなる。つまり、モータ駆動制御部31は、モータ回転角度θを精度高く把握し易い。これにより、モータ駆動制御部31は、電動モータ110を適切に駆動制御するための制御信号を出力することができる。このように、本実施の形態に係る制御装置10によれば、レゾルバ120に、実回転角度θaに対する検出回転角度θdのズレを防止するためのメカニカル機構を設けることなく、レゾルバ120からの信号に基づいて電動モータ110の回転角度(モータ回転角度θ)を精度高く把握でき、電動モータ110の駆動制御を適切に行うことができる。
【0044】
また、本実施の形態に係る制御装置10によれば、レゾルバ120の故障を精度高く検出することができる。このように、制御装置10は、上述した
図6に示したフローチャートに示したレゾルバ故障検出方法を用いてレゾルバ120の故障を検出するレゾルバ故障検出装置として機能する。
また、検出された操舵トルクTの絶対値が基準操舵トルクTb以下である場合には、所定の直流電流が電動モータ110のU−V相に通電されるので、自動車が直進しているときにはステアリングホイール101が中立状態に保持され易くなる。したがって、ステアリングホイール101の中立位置が明確となり、直進走行時のセンタ感が向上する。
【0045】
なお、上述した実施形態においては、電動モータ110は、U−V相に直流電流を通電した際のモータ回転角度θが零になるように設定されているが、特にかかる態様に限定されない。電動モータ110を、V−W相、あるいはW−U相に直流電流を通電した際にモータ回転角度θが零になるように設定してもよい。かかる場合には、レゾルバ故障検出部70が故障検出処理を実行するにあたっては、モータ回転角度θが零になるように設定されたV−W相、あるいはW−U相に所定の直流電流を通電したときの検出回転角度θdと実回転角度θaとの角度差Δθに基づいて故障を検出するとよい。