【実施例】
【0015】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(
図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤20の後側に、図柄を変動表示可能な表示装置17が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明板13aで前後に開口する窓口13bを覆うよう構成された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
前記前枠13には、
図1に示す如く、下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。なお、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20に形成された遊技領域24(後述)への打ち込み位置を変えられるようになっている。
【0017】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材等からなる透明な平板状の板部材であって、該遊技盤20の裏側に、前記表示装置17や後述する各種の可動演出装置44や発光演出装置42,43等が配設される設置部材22が配設されている。設置部材22は、
図7に示す如く、前記遊技盤20の外郭形状より僅かに小さい形状に形成された略矩形状の背面板18と、該背面板18の外周縁部から前方に突出する画壁部19とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部19の開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材22とがネジ止め固定される(
図3,
図4参照)。そして、前記設置部材22において前記遊技盤20との間に画成される空間に、動作により演出を行う可動演出装置44や発光により演出を行う発光演出装置42,43等が設置されて、設置部材22を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。また、設置部材22の背面板18には、後述する枠状装飾体26の窓口26aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部22aが前後に開口するよう開設されて、背面板16の裏面に配設した前記表示装置17の表示部17aが、前記開口部22aおよび窓口26aを介して遊技盤20の前側に臨むよう構成される。なお、遊技盤20は、木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート等を貼付けて装飾したものであってもよい。
【0018】
前記遊技盤20の前面には、略円形状に湾曲形成した案内レール23が配設されており、該案内レール23により画成される略円形の遊技領域24に、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が適宜位置に開設されており、各装着口に対して各種の遊技部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域24の最下部位置には、該遊技領域24に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口25が開設されている。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に取り付けられる各種遊技部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜変更される。
【0019】
実施例の前記遊技盤20には、
図2に示すように、前記案内レール23で囲まれた遊技領域24の略中央で開口する装着口に、前後に開口する窓口(開口部)26aが形成されたセンター役とも称される枠状装飾体26が取り付けられ、該枠状装飾体26の窓口26aを介して前記表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。なお、前記遊技盤20には、前記遊技領域24内に多数の遊技釘27が設けられると共に、前記枠状装飾体26の左側方に、遊技領域24を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する所謂「風車」とも称される回転案内部材28が回転自在に支持されており、遊技領域24を流下するパチンコ球が遊技釘27や回転案内部材28に接触することで、流下方向が不規則に変化するよう構成されている。
【0020】
前記遊技盤20における第1装着口(枠状装飾体26)の下方に開設された第2装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口29aを有する始動入賞部29が取り付けられている。また、遊技盤20には、第2装着口の左上方に開設された第3装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口30aが設けられたサイド飾り30が取り付けられる。更に、遊技盤20における第2装着口の右上方の遊技領域24に、上側から第4装着口、第5装着口、第6装着口および第7装着口が開設される。そして、第4装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が通過可能な球通過ゲート31が取り付けられ、第5装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口32aが設けられた普通入賞口部材32が取り付けられ、第6装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口33aを有する第2始動入賞装置33が取り付けられ、第6装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口34aを有する特別入賞装置34が取り付けられている。
【0021】
(枠状装飾体26について)
前記枠状装飾体26は、前記第1装着口の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部35(
図4に一部図示)と、該枠状基部35に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域24と表示装置17の表示部17aを区切る庇状部36と、該庇状部36の後縁から外方に延出する薄板状の台板部37とを備える(
図2,
図3参照)。そして、前記枠状基部35を第1装着口に挿入すると共に台板部37を遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部37をネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体26が遊技盤20に取り付けられて、該枠状装飾体26の外側、具体的には庇状部36と案内レール23との間にパチンコ球が流下する遊技領域24が画成されるようになっている。なお、枠状装飾体26を遊技盤20に取り付けた状態で、庇状部36の後端縁から外方に延出する台板部37が遊技盤20の前面に沿って延在して、該台板部37の前側をパチンコ球が通り得るようになっている。
【0022】
前記枠状装飾体26の庇状部36は、枠状装飾体26(台板部37)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、前記表示装置17における表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。また庇状部36は、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域24に打ち出されたパチンコ球が庇状部36上で滞ることなく枠状装飾体26の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。すなわち、前記打球発射装置により遊技領域24内に向けて発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて枠状装飾体26の左側の領域か、或いは右側の領域の何れかを流下するよう構成される。なお、実施例では、遊技盤20における枠状装飾体26の左側の領域の最下部および右側の領域の最下部に前記アウト口25が夫々設けられており、各領域を最下部まで流下したパチンコ球を対応するアウト口25を介して機裏側に排出するよう構成してある。
【0023】
前記枠状装飾体26には、
図2,
図3に示す如く、窓口26aの下側(枠状装飾体26の内周下縁部)に、ステージ38が配設されると共に、窓口26aの左側に、前記遊技領域24に開口して該遊技領域24を流下するパチンコ球を枠状装飾体26の内側(ステージ38)に取り込む球導入部39が設けられ、該球導入部39がステージ38に連通するよう構成される。そして、球導入部39からステージ38に通出されたパチンコ球は、ステージ38上を左右に転動した後に、前記各入賞口29a,30aが設けられている遊技領域24に排出される。また、ステージ38の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁40が設けられ、ステージ38上を転動するパチンコ球が表示装置17の表示部17a側に移動するのを該透明壁40で防止している。
【0024】
ここで、実施例では、前記枠状装飾体26の枠状基部35や庇状部36の前側に、各種の意匠が施された複数の装飾部品41が配設され、該装飾部品41および透明壁40によって前記表示装置17の表示部17aを前側に臨ませる窓口26aが画成されている。
【0025】
(始動入賞部29について)
前記遊技盤20に配設された前記始動入賞部29の第1始動入賞口29aは、遊技領域24内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、該第1始動入賞口29aは、前記遊技領域24を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成される。また始動入賞部29は、前記第1始動入賞口29aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての第1始動入賞検出センサ(図示せず)を備えている。第1始動入賞検出センサは、パチンコ機10の裏側に配設された制御手段(図示せず)に配線接続されており、該第1始動入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。
【0026】
(始動入賞装置33について)
前記始動入賞装置33の第2始動入賞口33aは、開閉部材33bによって開閉するよう構成されており、駆動手段としての始動入賞ソレノイド(図示せず)の駆動に伴って開閉部材33bが第2始動入賞口33aを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。すなわち、第2始動入賞口33aは、始動入賞ソレノイドを駆動することでパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成される。なお、開閉部材33bを閉鎖位置から開放位置に変位して第2始動入賞口33aを開放する開放条件および開閉部材33bを開放位置から閉鎖位置に変位して第2始動入賞口33aを閉鎖する閉鎖条件としては、開閉部材33bが開放位置に変位している継続時間(第2始動入賞口33aの開放時間)が挙げられるが、その他の条件を設定してもよい。
【0027】
前記始動入賞装置33は、前記第2始動入賞口33aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての第2始動入賞検出センサ(図示せず)を備えている。第2始動入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、該第2始動入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。
【0028】
ここで、パチンコ機10では、第1および第2始動入賞検出スイッチによるパチンコ球の検出に伴って各種情報(乱数等)が取得され、この取得した情報に基づいて制御手段によって特図当り抽選(大当り判定)が行われるよう構成されている。そして、特図当り抽選の結果に基づいて前記表示装置17の表示部17aにおいて図柄変動演出が実行され、該表示装置17の表示部17aでの図柄変動演出の結果、該表示部17aに所定の組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な大当り遊技状態が付与され、大当り遊技状態の発生に伴って前記特別入賞装置34を所定の開放条件で開放する大当り遊技(当り遊技)が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。
【0029】
(特別入賞装置34について)
前記特別入賞装置34の特別入賞口34aは、開閉体(開閉部材)34bによって開閉されるよう構成される。開閉体34bは、駆動手段としての特別入賞ソレノイド(図示せず)に連繋されて、該特別入賞ソレノイドを駆動することで、開閉体34bが特別入賞口34aへのパチンコ球の入賞を阻止する閉位置と該特別入賞口34aへのパチンコ球の入賞を許容する開位置との間を進退移動するよう構成される。また特別入賞装置34には、前記特別入賞口34aに入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞検出センサ(図示せず)が配設されている。特別入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、特別入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。なお、特別入賞装置34は、開閉体34bにより特別入賞口34aを常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、前記大当り遊技(当り遊技)の発生に伴って特別入賞口34aを開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。
【0030】
(球通過ゲート31について)
前記球通過ゲート31は、該ゲート31を通過するパチンコ球を検出する球通過検出センサ(図示せず)が設けられている。この球通過検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、該球通過検出センサから制御手段への球検出信号の入力に伴って各種情報(乱数等)が取得され、この取得した情報に基づいて制御手段によって普図当り抽選が行われ、該普図当り抽選の結果に応じて前記始動入賞装置33の始動入賞ソレノイドが駆動制御されて開閉部材33bが開閉動作するようになっている。
【0031】
(普通入賞口30a,32aについて)
前記サイド飾り30には、
図2に示す如く、2つの普通入賞口30aが設けられている。これに対し、前記普通入賞部材32には、前記球通過ゲート31の下方に1つの普通入賞口32aが設けられている。普通入賞口30a,32aは、前記遊技領域24内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、遊技領域24を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成されている。パチンコ機10は、普通入賞口30a,32aに入賞したパチンコ球を検出する普通入賞検出手段としての普通入賞検出センサ(図示せず)を備えている。普通入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、普通入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。
【0032】
(発光演出装置42,43について)
前記設置部材22には、
図4に示す如く、前記開口部22aの上側位置に、前記枠状装飾体26の窓口26aの上縁を画成する前記装飾部品41の後側に重なって上部発光演出装置42が配設されている。この上部発光演出装置42は、発光基板の前面にLED等の複数の発光体を実装して構成され、該発光体を発光することで前側に位置する装飾部品41を明輝させ得るようになっている。また、設置部材22には、前記開口部22aの下側位置に、前記枠状装飾体26の窓口26aの下縁を画成する前記透明壁40の後側に重なって下部発光演出装置43が配設されている。この下部発光演出装置43は、発光基板の前面にLED等の複数の発光体を実装して構成され、該発光体を発光することで前側に位置する透明壁40を明輝させ得るようになっている。
【0033】
(可動演出装置44について)
前記設置部材22の背面板18に、
図4に示す如く、前記遊技盤20に対して変位可能な複数の可動体45,46を備える可動演出装置44が配設される。可動演出装置44は、後述する駆動機構78によって同期して相互に近接・離間移動する一対の可動体45,46を備える。実施例では、各可動体45,46が対応する待機位置(
図4,
図7等)と作動位置(
図15〜
図17)との間を夫々上下方向に往復移動することで相互に近接・離間移動すると共に、待機位置と作動位置とでは両可動体45,46の上下関係が逆転するよう構成される。上側に位置する第1の可動体45は、駆動機構78によって前記枠状装飾体26における窓口26aの上縁部側(開口部縁部側)の待機位置と、該待機位置より窓口中央側(開口部中央側)の作動位置との間を往復移動されるよう構成される。また、下側に位置する第2の可動体46は、駆動機構78によって前記枠状装飾体26における窓口26aの下縁部側(開口部縁部側)の待機位置と、該待機位置より窓口中央側(開口部中央側)の作動位置との間を往復移動されるよう構成される。第1の可動体45の待機位置では、
図4に示す如く、該第1の可動体45が前記上部発光演出装置42の後側に重なって前側から視認されない状態となり、第1の可動体45を作動位置(
図15,
図16)に移動することで、該第1の可動体45が窓口26aに臨んで前側から視認可能な状態となるよう構成される。また、第2の可動体46の待機位置では、
図4に示す如く、該第2の可動体46が前記下部発光演出装置43の後側に重なって前側から視認されない状態となり、第2の可動体46を作動位置(
図15,
図16)に移動することで、該第2の可動体46が窓口26aに臨んで前側から視認可能な状態となるよう構成される。
【0034】
(第1の可動体45について)
前記第1の可動体45は、
図10,
図12,
図13に示す如く、該第1の可動体45の往復移動方向(上下方向)と交差する左右方向に長尺な第1基体47と、該第1基体47の前端に配設された第1意匠体48と、第1基体47と第1意匠体48との間に配設された第1発光基板49とを備える。第1基体47は、横長矩形状の板部と、該板部の外周縁から前側に突出する側壁とからトレー状に形成された部材であって、該側壁の前端に第1意匠体48を取り付けることで、第1基部47と第1意匠体48との間に画成される収容空間に前記第1発光基板49が収容されている。また、第1基体47における左右方向の一方の端部(実施例では右端部)に取着部47aが設けられ、該取着部47aに、後述する右第1ガイド体70に摺動自在に支持される第1移動体50が配設される。第1基体47における左右方向の他方の端部(実施例では左端部)には、外側方に突出する第1保持体75(後述)が配設されており、該第1保持体75が後述する第1ラック部材72に取り付けられるよう構成される。
【0035】
前記第1の可動体45は、前記窓口26aの横幅寸法より長尺に形成されて、前記作動位置に移動することで窓口26aから前側に臨む前記表示部17aに対して左右方向の全幅に亘って前側に重なって、該表示部17aを覆い得るよう構成される(
図15参照)。なお、第1の可動体45の上下方向の寸法は窓口26aの上下方向の寸法より短かく設定されており、該第1の可動体45が作動位置に移動した状態では表示部17aを部分的に覆うようになっている。
【0036】
前記第1意匠体48は、光透過性で前面にパチンコ機10のモチーフとなる意匠が施され、前記第1基体47の幅方向の中央部に配設された中央意匠体48aと、該中央意匠体48aの左右両側に位置するように第1基体47に配設された側部意匠体48b,48bとで構成される。側部意匠体48bは、非光透過性に形成されている。
【0037】
前記第1発光基板49は、前記中央意匠体48aの後側に位置するように前記第1基体47に配設されている。第1発光基板49の前面に、LED等の発光体49aが複数実装されており、該発光体49aを発光することで中央意匠体48aを明輝し得るよう構成される。また、第1発光基板49と中央意匠体48aとの間に、
図10,
図12に示す如く、光透過性で光拡散処理が施された第1光拡散シート51が配設されており、前記発光体49aからの光を該第1光拡散シート51によって広範囲に拡散することで中央意匠体48aの全体を明輝させ得るようになっている。なお、第1光拡散シート51には、
図10に示す如く、前記中央意匠体48aの左右両端部に対応する部分に、第1発光基板49の対応する発光体49aと重なる位置に通孔51aが形成されている。すなわち、中央意匠体48aの略全体は第1光拡散シート51によって拡散された光が間接的に照射される一方で、該中央意匠体48aと側部意匠体48b,48bとの境界部分では通孔51aを通った光が直接的に照射されることで点状に明輝し、中央意匠体48aでの明輝態様に変化を与え得るようにしてある。
【0038】
(第2の可動体46について)
前記第2の可動体46は、
図11,
図12,
図13に示す如く、該第2の可動体46の往復移動方向(上下方向)と交差する左右方向に長尺な第2基体52と、該第2基体52の前端に配設された第2意匠体53と、第2基体52と第2意匠体53との間に配設された第2発光基板54とを備える。第2基体52は、横長で中央下部から下方に突部が突設された略T字状の板部と、該板部の外周縁から前側に突出する側壁とからトレー状に形成された部材であって、該側壁の前端に第2意匠体53を取り付けることで、第2基体52と第2意匠体53との間に画成された収容空間に前記第2発光基板54が収容されている。また、第2基体52における左右方向の一方の端部(実施例では右端部)に取着部52aが設けられ、該取着部52aに、後述する右第2ガイド体71に摺動自在に支持される第2移動体55が配設される。第2基体52における左右方向の他方の端部(実施例では左端部)には、外側方に突出す第2保持体77(後述)が配設されており、該第2保持体77が後述する第2ラック部材76に取り付けられるよう構成される。
【0039】
前記第2の可動体46は、前記窓口26aの横幅寸法より長尺に構成されて、前記作動位置に移動することで窓口26aから前側に臨む前記表示部17aに対して左右方向の全幅に亘って前側に重なって、該表示部17aを覆い得るよう構成される(
図15参照)。なお、第2の可動体46の上下方向の寸法は窓口26aの上下方向の寸法より短かく設定されており、該第2の可動体46が作動位置に移動した状態では表示部17aを部分的に覆うようになっている。また、前記第2意匠体53は光透過性に構成されると共に、幅方向の中央部前面にはパチンコ機10のモチーフとなる意匠53aが施されている。
【0040】
前記第2発光基板54は、前記第2意匠体53の後側に位置するように第2基体52に配設されている。また第2発光基板54の前面に、LED等の発光体54aが複数実装されており、該発光体54aを発光することで第2意匠体53を明輝し得るよう構成される。また、第2発光基板54と第2意匠体53との間に、光透過性で光拡散処理が施された第2光拡散シート56が配設されており、前記発光体54aからの光を該第2光拡散シート56によって広範囲に拡散することで第2意匠体53の全体を明輝させ得るようになっている。なお、第2光拡散シート56には、
図12に示す如く、前記第2意匠体53における意匠53aが施されていない領域に対応する部分に、第2発光基板54の対応する発光体54aと重なる位置に通孔56aが形成されている。すなわち、第2意匠体53において意匠53aが施されている領域では、第2光拡散シート56によって拡散された光が間接的に照射されることで全体が明輝するのに対し、意匠53aが施されていない領域では通孔56aを通った光が直接的に照射されることで点状に明輝し、第2意匠体53での明輝態様に変化を与え得るようにしてある。
【0041】
(第1および第2可動体45,46の関係について)
前記第1の可動体45と第2の可動体46とでは、左右方向の長さは略同じに設定される一方で、上下方向の寸法は第1の可動体45より第2の可動体46の方が大きく設定されて、該第2の可動体46は第1の可動体45より大型に構成されている。そして、第2の可動体46の重量は、第1の可動体45の重量より重くなるよう設定される。すなわち、実施例の可動演出装置44では、重量の異なる一対の可動体45,46を上下方向に相互に近接・離間移動するよう構成される。また実施例では、一対の可動体45,46の作動前の待機位置では、
図7〜
図9に示す如く、重量の重い第2の可動体46が下方に位置すると共に重量の軽い第1の可動体45が上方に位置するよう構成されている。更に、一対の可動体45,46は、後述するが前記窓口26aから前側に臨む前記表示部17aの前側において前後方向に離間する位置を移動するように配設されて、両可動体45,46が表示部17aの前側で前後方向で重なったり重ならなくなる動作演出を行い得るよう構成してある。実施例では、両可動体45,46が待機位置と作動位置との間を往復移動する途中で前後に重なると共に、前後の関係ですれ違い得るようになっている。そして、一対の可動体45,46の作動後の作動位置では、
図15〜
図17に示す如く、重量の重い第2の可動体46が上方に位置すると共に重量の軽い第1の可動体45が下方に位置するよう構成される。なお、実施例では一対の可動体45,46の作動位置において、
図15に示す如く、両可動体45,46の一部が前後に重なった状態となって、前記表示部17aの略全体を前側から覆い得るようになっている。
【0042】
(支持基体57について)
前記可動演出装置44は、前記設置部材22の背面板18の前側に配設されて、前記第1の可動体45および第2の可動体46が移動自在に支持される支持基体57を備える。この支持基体57は、
図5〜
図8に示す如く、左右方向に離間する一対の支持体58,59を備え、左側の第1支持体58が、前記背面板18における開口部22aより左側前面で上下方向に延在し、右側の第2支持体59が、前記背面板18における開口部22aより右側前面で上下方向に延在している。そして、両支持体58,59を背面板18に夫々ネジ止め固定することで、支持基体57が設置部材22に位置決め固定される。
【0043】
(第1支持体58について)
前記第1支持体58は、
図10,
図12に示す如く、前後の関係で組付けられて上下方向に延在する第2空間64を内部画成する第1半体60および第2半体61と、前側に位置する第1半体60の前端に配設されて第1半体60との間に上下方向に延在する第1空間63を画成する前壁部材62とから構成される。両空間63,64は、
図5に示す如く、左側(開口部22aの前側)に開放して、後述するラック部材72,76に連結した各可動体45,46の上下移動が許容されるようになっている。前壁部材62は、
図10に示す如く、上下方向に延在する前板部62aと、該前板部62aの上下端部に形成されて後方に延出するガイド支持部62b,62bとから形成されて、上下のガイド支持部62b,62bは、前記第1空間63および第2空間64の内部に臨むよう構成される。
【0044】
前記第1支持体58には、上下方向に延在する左第1ガイド体65が、前記第1空間63に臨むようにして前記上下のガイド支持部62b,62b間に配設されると共に、該左第1ガイド体65と平行で上下方向に延在する左第2ガイド体66が、前記第2空間64に臨むようにして前記上下のガイド支持部62b,62b間に配設されている(
図5参照)。各ガイド体65,66は断面円形の棒状部材であって、両ガイド体65,66は略同じ長さに設定されている。また、左第1ガイド体65と左第2ガイド体66とは、
図5に示す如く、左右方向に離間して第1支持体58に配設されている。実施例では、後側に位置する左第2ガイド体66が前側に位置する左第1ガイド体65より右側(開口部22a側に偏倚している。すなわち、左第1ガイド体65および左第2ガイド体66は、前後方向および左右方向に離間して第1支持体58に配設されている。なお、2つのガイド体65,66が配設される前壁部材62は、板金から形成されて高い剛性を確保して両ガイド体65,66を安定して支持し得るようになっている。
【0045】
(第2支持体59について)
前記第2支持体59は、
図12,
図13に示す如く、上下方向に延在する平板状の側壁部59aの前端縁に、左方に延出するように前壁部59bが設けられると共に、該側壁部59aの上端部には左方に延出するように第1上ガイド支持部59cが設けられ、該側壁部59aの下端部には左方に延出するように下ガイド支持部59eが設けられている。また、側壁部59aには、第1上ガイド支持部59cより後側で下方に離間した位置に、左方に延出するように第2上ガイド支持部59dが設けられている。第2支持体59には、
図6に示す如く、側壁部59a、前壁部59b、各支持部59c,59d,59eで画成される空間を前後に仕切る仕切部材67が配設されており、該仕切部材67と前壁部59bとの間に画成される第1空間68に臨むようにして上下方向に延在する右第1ガイド体70が第1上ガイド支持部59cと下ガイド支持部59eとの間に配設される。また、右第1ガイド体70と平行で上下方向に延在する右第2ガイド体71が、仕切部材67の後方に画成される第2空間69に臨むようにして第2上ガイド支持部59dと下ガイド支持部59eとの間に配設されている。右第2ガイド体71は、
図9に示す如く、右第1ガイド体70より短尺に形成されて、右第2ガイド体71の上端位置は、右第1ガイド体70の上端位置より低くなるよう設定されている。なお、右第1ガイド体70および右第2ガイド体71は、
図6に示す如く、前後方向において整列するように位置している。また、右第1ガイド体70は、前記左第1ガイド体65と左右方向において整列すると共に、右第2ガイド体71は、前記左第2ガイド体66と左右方向において整列している。なお、2つのガイド体70,71が配設される第2支持体59は、板金から形成されて高い剛性を確保して両ガイド体70,71を安定して支持し得るようになっている。
【0046】
(第1の可動体45の支持構造について)
前記左第1ガイド体65に、
図9に示す如く、第1ラック部材72が上下方向に移動自在に支持されている。この第1ラック部材72は、上下方向に長尺な部材であって、上下の端部の夫々に、ローラ取着部材73を介して左右に離間する一対のローラ74,74が自由回転するように取り付けられている。そして、第1ラック部材72の上端部において対をなすローラ74,74の周面間に左第1ガイド体65が移動自在に挟持されると共に、該第1ラック部材72の下端部において対をなすローラ74,74の周面間に左第1ガイド体65が移動自在に挟持される(
図5参照)。すなわち、左第1ガイド体65に対して第1ラック部材72は上下2箇所においてローラ74,74によって移動自在に支持されており、左第1ガイド体65に対して第1ラック部材72は円滑に移動し得るよう構成してある。
【0047】
前記第1ラック部材72には、
図10に示す如く、右端縁部に上下方向に所定長さでラック72aが形成されている。また、第1ラック部材72の前面に、
図9に示す如く、該第1ラック部材72と前記第1の可動体45とを連結する第1保持体75が配設されている。第1保持体75は、
図10に示す如く、上下方向に延在する固定部75aと、該固定部75aの右側縁の上部から右方に延出するように形成された取付部75bとから構成され、該固定部75aを第1ラック部材72にネジ止め固定することで、取付部75bが第1ラック部材72の右側縁から右方へ延出するようになっている。そして、この取付部75bに、前記第1の可動体45の左端部がネジ止め固定されており、該第1の可動体45の左端部は第1保持体75を介して第1ラック部材72に取り付けられるようになっている。また、第1の可動体45の右端部に配設された前記第1移動体50が、前記右第1ガイド体70に上下方向に摺動自在に支持されている。すなわち、前記設置部材22の開口部22aを挟んで左右方向に離間して配置した一対の第1ガイド体65,70に架け渡されるように第1の可動体45が支持されており、該第1の可動体45は両第1ガイド体65,70に沿って上下方向に安定して移動するよう構成される。なお、第1ラック部材72と第1の可動体45とを連結する第1保持体75は、所要の剛性を確保するために板金から構成してある。
【0048】
ここで、前記第1保持体75は、第1の可動体45に配設した状態で、該第1の可動体45の左端から取付部75bが所定長さで延出しており、該取付部75bの延出部分には、下方に開口する逃げ部75cが上下方向に所定長さで形成されている(
図10参照)。そして、第1の可動体45が待機位置から作動移動に移動する際に、後述する作動機構80の歯車86,87を支持する軸部86a,87aに取付部75bが干渉するのを逃げ部75cによって回避するよう構成してある。また、取付部75bの下端に、前方に突出する突部75dが設けられており、第1の可動体45が作動位置に至った際に、該突部75dが後述する緩衝部材89に当接して衝撃を和らげ得るようになっている。
【0049】
(第2の可動体46の支持構造について)
前記左第2ガイド体66に、
図9に示す如く、第2ラック部材76が上下方向に移動自在に支持されている。この第2ラック部材76は、上下方向に長尺な部材であって、上下の端部の夫々に、ローラ取着部材73を介して左右に離間する一対のローラ74,74が自由回転するように取り付けられている。そして、第2ラック部材76の上端部において対をなすローラ74,74の周面間に左第2ガイド体66が移動自在に挟持されると共に、該第2ラック部材76の下端部において対をなすローラ74,74の周面間に左第2ガイド体66が移動自在に挟持される(
図5参照)。すなわち、左第2ガイド体66に対して第2ラック部材76は上下2箇所においてローラ74,74によって移動自在に支持されており、左第2ガイド体66に対して第2ラック部材76は円滑に移動し得るよう構成してある。
【0050】
前記第2ラック部材76には、
図11に示す如く、右端縁部に前方に突出する突部が上下方向の全長に亘って形成されると共に、該突部の左側面に上下方向に延在するようにラック76aが形成されている。また、第2ラック部材76の後面に、該第2ラック部材76と前記第2の可動体46とを連結する第2保持体77が配設されている。この第2保持体77は、上下方向に延在する固定部77aと、該固定部77aにおける上下方向の中央の右側縁から右方に延出するように形成された取付部77bとから構成され、該固定部77aを第2ラック部材76にネジ止め固定することで、取付部77bが第2ラック部材76の右側縁から右方へ延出するようになっている。そして、この取付部77bに、前記第2の可動体46の左端部がネジ止め固定されており、第2の可動体46の左端部は第2保持体77を介して第2ラック部材76に取り付けられている。また、第2の可動体46の右端部に配設された前記第2移動体55が、前記右第2ガイド体71に上下方向に摺動自在に支持されている。すなわち、前記設置部材22の開口部22aを挟んで左右方向に離間して配置した一対の第2ガイド体66,71に架け渡されるように第2の可動体46が支持されており、該第2の可動体46は両ガイド体66,71に沿って上下方向に安定して移動するよう構成される。なお、第2ラック部材76と第2の可動体46とを連結する第2保持体77は、所要の剛性を確保するために板金から構成してある。
【0051】
ここで、前記第2保持体77を第2の可動体46に配設した状態で、該第2の可動体46の左端から右方に離間する位置に臨む固定部77aの下端に、後方に突出する突部77cが設けられており、第2の可動体46が作動位置から待機位置に移動した際に、該突部77cが後述する緩衝部材89に当接して衝撃を和らげ得るようになっている(
図8参照)。
【0052】
図5,
図6,
図9に示す如く、前記第1ガイド体65,70および第2ガイド体66,71は前後に離間して配置されており、一対の第1ガイド体65,70に支持された第1の可動体45と、一対の第2ガイド体66,71に支持された第2の可動体46とは前後方向に離間する位置を上下に移動するよう構成される。また、対応するガイド体65,70,66,71に支持された第1ラック部材72のラック72aと第2ラック部材76のラック76aとは、前後に離間した位置において左右方向で対向するよう構成されて、両ラック72a,76aが共通の作動歯車87(後述)に噛合し得るようになっている。
【0053】
(駆動機構78について)
前記第1支持体58の前壁部材62における前板部62aに、両可動体45,46を連動して相互に反対方向に移動する駆動機構78が配設されている。この駆動機構78は、
図9,
図14に示す如く、駆動手段としての駆動モータ79と、該駆動モータ79と前記第1ラック部材72および第2ラック部材76と連繋し、該駆動モータ79の駆動に伴い作動して両ラック部材72,76(可動体45,46)を連動させる作動機構80とを備える。駆動モータ79は、モータ取付部材81の裏側に、出力軸を該モータ取付部材81の前側に延出した状態で配設されると共に、駆動モータ79はモータ取付部材81に配設されたモータカバー82により覆われている。そして、モータ取付部材81を前板部62aにネジ止めすることで、駆動モータ79が前板部62aに位置決め固定される。また、駆動モータ79の出力軸に駆動歯車83が一体回転するよう連結されており、該駆動歯車83は前板部62aに回転自在に支持される。
【0054】
前記作動機構80は、前板部62aに軸部84aを介して回転自在に枢支されて駆動歯車83に噛合する第1伝達歯車84と、前板部62aに軸部85aを介して回転自在に枢支され、第1伝達歯車84に噛合する小径歯車部85bおよび該小径歯車部85bより大径の大径歯車部85cが軸方向に離間して形成された第2伝達歯車85と、前板部62aに軸部86aを介して回転自在に枢支され、第2伝達歯車85の大径歯車部85cに噛合する第3伝達歯車86と、前板部62aに軸部87aを介して回転自在に枢支され、第3伝達歯車86に噛合する作動歯車87とを備える。作動歯車87は、前記第1ラック部材72のラック72aおよび第2ラック部材76のラック76aの間に位置して、該作動歯車87に対して両ラック72a,76aが回転軸線を挟む左右両側で噛合している(
図9参照)。すなわち、駆動モータ79を正転および逆転するように駆動することで、複数の伝達歯車84,85,86を介して作動歯車87が正転方向および逆転方向に回転し、該作動歯車87に対して左右両側で噛合する第1ラック部材72と第2ラック部材76とが相互に反対方向に移動するよう構成される。これにより、第1の可動体45および第2の可動体46は、対応するガイド体65,70,66,71に沿って上下方向に相互に反対方向に移動するようになっている。すなわち、一方の可動体45,46が上から下に移動する際にラック72a,76aを介して作動歯車87に作用する力が、他方の可動体45,46を下から上に移動する方向に該作動歯車87を回転するように作用する関係となっている。言い替えれば、一方の可動体45,46が上から下に移動する動き(可動体45,46の重量)が、他方の可動体45,46の下から上への移動を補助する駆動力として作用するように構成されており、駆動モータ79に加わる負荷を軽減し得るようになっている。
【0055】
前記作動機構80において前記作動歯車87が最上部に位置して、該作動歯車87の下側に第3伝達歯車86および第2伝達歯車85が上下方向に整列するように配置されると共に、作動歯車87および該作動歯車87の直下に位置する第3伝達歯車86は、前記軸部87a,86aによって前記前板部62aから後方に離間して位置するよう構成される。そして、作動歯車87および第3伝達歯車86と前板部62aとの間を、前記第1の可動体45に設けた第1保持体75の取付部75bが通り得るようになっている。また、取付部75bに設けた前記逃げ部75c内に各歯車87,86の軸部87a,86aが収まることで、取付部75bが軸部87a,86aに干渉することなく第1の可動体45の作動位置を下方に下げることができるようになっている(
図17参照)。なお、
図11において符号88は、前記第1半体60に配設されて、前記駆動モータ79から導出する配線(図示せず)を保持する配線保持部材を示している。
【0056】
図14に示す如く、前記モータ取付部材81の上面に取付受部81aが設けられ、該取付受部81aに、ゴム等からなる緩衝部材89が配設されており、前記第1保持体75の突部75dが、第1の可動体45の作動位置において該緩衝部材89の上面に当接するようになっている。また、
図8,
図11に示す如く、前記第2半体61の下部位置に取付受部61aが設けられ、該取付受部61aに、ゴム等からなる緩衝部材89が配設されており、前記第2保持体77の突部77cが、第2の可動体46の待機位置において該緩衝部材89の上面に当接するよう構成されている。
【0057】
図10に示す如く、前記第1ラック部材72の上端部に検出片72bが上方に突出するように設けられ、該検出片72bは、前記第1支持体58の上面に設けた検出手段90によって検出可能に構成されている。なお、前記前壁部材62に設けた上側のガイド支持部62bにおける検出片72bと対応する位置に上下方向に貫通する通孔62cが形成されると共に、前記第1半体60の上側の壁には、該通孔62cと対応する位置に切欠部60aが形成されている。すなわち、第1ラック部材72の検出片72bは、通孔62cおよび切欠部60aを介して第1支持体58の上方に延出可能に構成されており、該第1支持体58から上方に延出した検出片72bを検出手段90で検出し得るよう構成されている。
【0058】
前記検出手段90は、前記制御手段に配線接続されており、該検出手段90からの検出信号の入力に基づいて制御手段が前記駆動モータ79を駆動制御し得るよう構成される。前記検出片72bは、第1の可動体45の待機位置(第2の可動体46の待機位置)において検出手段90で検出されて、該検出手段90の検出信号の入力に基づいて駆動モータ79を制御手段が停止制御することで、第1の可動体45および第2の可動体46を上下方向に最も離間した待機位置に停止保持し得るよう構成される。駆動モータ79としてステッピングモータが採用され、該駆動モータ79の駆動によって待機位置から移動を開始した第1の可動体45および第2の可動体46を、移動パルス信号の制御によって作動位置で停止するように駆動モータ79を制御手段で駆動制御し得るよう構成されている。また、駆動モータ79の回転方向について、可動体45,46を待機位置から作動位置へ移動させる方向を正転方向、可動体45,46を作動位置から待機位置へ移動させる方向を逆転方向と指称する場合もある。
【0059】
(第1の可動体45に係る配線構造について)
前記第1支持体58の前壁部材62における前板部62aには、
図10に示す如く、前記駆動機構78の配設位置より上側に、左端から右側に向けて所定長さで切欠部62dが形成されており、該切欠部62dを塞ぐようにしてガイド板91が前板部62aに取り付けられている(
図7参照)。また、ガイド板91の前面下端部に、差込口を上向きに開口したコネクタ受部を設けた第1中継基板92が配設されている。またガイド板91には、第1中継基板92の配設位置より上方で前後方向に貫通する第1配線用通孔91aが形成されており、前記第1発光基板49に接続する配線が該第1配線用通孔91aから外側(前側)に引き出され、該配線の端部が第1中継基板92のコネクタ受部に接続されるようになっている。なお、ガイド板91は、合成樹脂を材料として形成されており、該ガイド板91と配線との接触抵抗を低く抑え得るよう構成される。
【0060】
前記第1の可動体45に内蔵された前記第1発光基板49と第1中継基板92とを接続する配線として、可橈性を有する第1フラットケーブル(フレキシブルフラットケーブル)93が好適に用いられる(
図10参照)。フラットケーブルは、帯板型の導体をシート状の絶縁体で被覆した可橈性を有するリボン状の配線材であって、幅に対して厚みが極めて小さく設定されて、厚み方向での可橈が容易となっている。第1中継基板92に一端が接続された第1フラットケーブル93は、厚み方向が前後方向を向く姿勢で第1配線用通孔91aから第1空間63内に引き込まれる。そして、該第1空間63内を逆U字状に湾曲された状態で上下方向に延在するように引き回された第1フラットケーブル93は、延在方向が90度折れ曲がるように折り返されることで左右方向に延在し、この左右方向に延在する該ケーブル93の他端が第1発光基板49に接続されるようになっている。なお、第1フラットケーブル93の折り返し部分および左右方向に延在する部分は、前記第1の可動体45の第1基体47に配設された第1配線保持部材94によって変位しないように保持されている。そして、第1の可動体45が上下方向に移動する際には、第1の可動体45の左端部から導出した第1フラットケーブル93の上下方向に延在する部分が可撓することで、該第1の可動体45のスムーズな移動を許容するよう構成される。また、可橈する第1フラットケーブル93は、第1半体60とガイド板91とによって前後方向の変位が規制されるようになっている。
【0061】
(第2の可動体46に係る配線構造について)
前記第1支持部58における第2半体61の裏面に、
図5,
図8,
図11に示す如く、該第2半体61の後壁との間に左側方に開口する配線用空間95を画成する配線変位規制部材96が配設されると共に、該配線変位規制部材96より下側には第2中継基板97が配設されている。前記第2の可動体46に内蔵された前記第2発光基板54と第2中継基板97とを接続する配線として、前記第1フラットケーブル93と同様な可橈性を有する第2フラットケーブル98が好適に用いられる。第2中継基板97に一端が接続された第2フラットケーブル98は、配線変位規制部材96に形成されて前後方向に貫通する第2配線用通孔96aから配線用空間95内に厚み方向が前後方向を向く姿勢で引き込まれる。そして、該空間95内を逆U字状に湾曲された状態で上下方向に延在するように引き回された第2フラットケーブル98は、延在方向が90度折れ曲がるように折り返されて左右方向に延在し、この左右方向に延在する該ケーブル98の他端が第2発光基板54に接続されるようになっている。なお、第2フラットケーブル98の折り返し部分および左右方向に延在する部分は、前記第2の可動体46の第2基体52に配設された第2配線保持部材99によって変位しないように保持されている。また、第2配線保持部材99の左端部は、開口を介して前記配線用空間95内に挿入されると共に上下方向への移動が開口によって許容されるようになっている(
図5参照)。そして、第2の可動体46が上下方向に移動する際には、第2の可動体46の左端部から導出した第2フラットケーブル98の上下方向に延在する部分が可撓することで、該第2の可動体46のスムーズな移動を許容するよう構成される。また、可橈する第2フラットケーブル98は、第2半体61と配線変位規制部材96とによって前後方向の変位が規制されるようになっている。なお、第2配線保持部材99は、前後の関係で組付けられる2つの半体から構成されて両半体によって第2フラットケーブル98を挟持した状態で保持し得るようになっている。
【0062】
実施例のパチンコ機10では、前後の関係で配設された可動体45,46に設けられる発光基板(電気部品)49,54から導出するフラットケーブル(配線)93,98は、前記第2半体61によって前後に仕切られている空間63,95(
図5参照)内に可橈可能に収容されている。すなわち、可動体45,46が待機位置と作動位置との間を移動する際に、該可動体45,46が前後の関係で重なると共に上下位置が反転する(すれ違う)構成においても、フラットケーブル93,98が相互に干渉したり、一方の可動体45,46のフラットケーブル93,98が他方の可動体45,46に干渉して移動を妨げるのを防止し得るようになっている。
【0063】
前記第2フラットケーブル98は、前記第2中継基板97に接続する端部から第2配線用通孔96aを介して配線用空間95内に引き込まれるまでの部分は、配線変位規制部材96の裏面に沿って引き回されており、該引き回し部分は配線変位規制部材96と該配線変位規制部材96の裏面に配設された挟持板100とによって挟持されて変位しないよう構成される。
【0064】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0065】
前記前枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技盤20に設けた遊技領域24内に打ち出される。このとき、前記操作レバー16aの回動量に応じてパチンコ球の打ち出し位置が変化し、打ち出し位置に応じて遊技領域24の異なる経路をパチンコ球が流下する。遊技領域24を流下するパチンコ球が第1始動入賞口29aまたは第2始動入賞口33aに入賞すると、前記制御手段の制御に基づいて前記表示装置17での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、表示装置17に所定の図柄組み合わせが表示されると大当りが発生する。大当りが発生すると、表示装置17に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤20に設けられた特別入賞装置34が開放されると共に、前記制御手段の制御に基づいて表示装置17において大当り演出が行われる。
【0066】
前記パチンコ機10では、前記表示装置17で行われる図柄変動演出や大当り演出に応じて、前記各発光演出装置42,43の発光体が発光されたり点滅され、前記枠状装飾体26の窓口26aの外周において行われる装飾部品41や透明壁40を明輝させる発光演出により遊技の興趣が向上される。また、前記可動演出装置44の可動体45,46が動作されると共に、可動体45,46に内蔵の発光体49a,54aが発光されたり点滅されることで意匠体48,53が明輝する発光演出によって遊技の興趣が向上される。
【0067】
(可動演出装置44の動作演出について)
前記可動演出装置44の各可動体45,46が待機位置に位置する状態では、
図4に示す如く、前記第1の可動体45が前記上部発光演出装置42の裏側に隠れると共に、第2の可動体46が前記下部発光演出装置43の裏側に隠れている。前記駆動モータ79が正転方向に回転駆動されると、前記作動機構80によって第1ラック部材72および第2ラック部材76が相互に反対方向に移動される。すなわち、
図15,
図16に示す如く、第1の可動体45が窓口26aの上端縁側から下降することで窓口26aから前側に臨む前記表示部17aの前側に重なって、該表示部17aの一部を隠すようになる。また、第2の可動体46は、窓口26aの下端縁側から上昇することで窓口26aから前側に臨む表示部17aの前側に重なって、該表示部17aの一部を隠すようになる。
【0068】
前記第1の可動体45および第2の可動体46が夫々作動位置に至ると、
図15,
図16に示す如く、上側から下降してきた第1の可動体45が窓口26aに臨んで第2の可動体46の下側に位置すると共に、下側から上昇してきた第2の可動体46が窓口26aに臨んで第1の可動体45の上側に位置する。すなわち、窓口26aを横切る幅寸法の可動体45,46が窓口26aの中央側において移動途中で前後に重なってすれ違うように移動して、待機位置とは上下が逆転した位置関係となるので(
図9,
図17参照)、インパクトのある動作演出によって興趣を向上し得る。また、両可動体45,46の作動位置では、前記表示部17aの略全体が前側から覆われるので、よりインパクトを与えて興趣の更なる向上を図ることができる。
【0069】
実施例のパチンコ機10では、1基の駆動モータ79を駆動することで2つの可動体45,46を作動機構80によって連動するよう構成したので、動作を行う可動体の数より少ない駆動手段で対応でき、製造コストの増加を抑制することができる。また、複数の可動体45,46に対して駆動モータ79は1基で済むので、可動演出装置44の設置スペースを小さくすることができ、省スぺース化を図り得る。更に、実施例のパチンコ機10では、一対の可動体45,46が連動して相互に反対方向に移動するよう構成したので、一方の可動体45,46を上から下に移動する際に、該一方の可動体45,46の重量を他方の可動体45,46を下から上に移動させる駆動力として作用させることができ、駆動モータ79に加わる負荷を軽減できる。具体的には、
図9に示す如く、第1の可動体45における第1ラック部材72のラック72aと、第2の可動体46における第2ラック部材76のラック76aとを共通の作動歯車87に対して回転軸線を挟んで噛合するよう構成してあるので、一方の可動体45,46が上から下に移動する際に対応するラック72a,76aに噛合する作動歯車87は他方の可動体45,46を下から上に移動する方向に回転されるので、駆動モータ79の駆動力を軽減でき、小型の駆動モータ79を採用して更なる低コスト化および省スペース化を図り得る。すなわち、一対の可動体45,46を1基の駆動モータ79で動作させる際に、該駆動モータ79に作用する負荷を軽減することができる。また、実施例のように一対の可動体45,46を略鉛直な上下方向に移動する構成は、上から下に移動する可動体45,46の重量を、他方の可動体45,46を下から上に移動する駆動力として効率的に作用させることができ、駆動モータ79の負荷軽減効果が大きい。
【0070】
実施例のパチンコ機10では、
図8,
図9に示す如く、両可動体45,46の待機位置において重量の重い第2の可動体46を第1の可動体45より下側に位置するようにしたので、第2の可動体46の重量は、前記作動機構80によって第1の可動体45を上方に引き上げる方向に作用し、該第1の可動体45を待機位置に安定して保持することができる。すなわち、第1の可動体45を上方の待機位置に保持するために駆動モータ79を常に正転方向に回転付勢したり、第1の可動体45を待機位置に保持するための磁石や引張りばね等の手段を別途用いる必要はなく、駆動モータ79の負担を軽減し得ると共に部品点数を低減し得る。また、両可動体45,46を作動位置に移動した後、該可動体45,46を待機位置に戻す際には、重量の重い第2の可動体46が下降する動作によって、重量の軽い第1の可動体45の作動位置から待機位置への上昇移動を補助する駆動力を大きくすることができるので、駆動モータ79に加わる負荷を増大させることなく両可動体45,46の動作速度を向上することが可能となる。
【0071】
前記第1の可動体45を支持する一対の第1ガイド体65,70および第2の可動体46を支持する一対の第2ガイド体66,71が配設される前壁部材62および第2支持体59の夫々を、剛性の高い板金から形成してあるので、第1の可動体45および第2の可動体46を安定して移動させることができる。また、前記作動機構80に連繋されて左側の第1ガイド体65および第2ガイド体66に移動自在に支持される第1ラック部材72および第2ラック部材76は、各ガイド体65,66に対してローラ74,74を介して支持されているので(
図5参照)、両可動体45,46のスムーズな移動を図ることができる。
【0072】
実施例のパチンコ機10では、上方の待機位置と下方の作動位置との間を移動する第1の可動体45に設けた第1保持体75の取付部75bに、前記作動機構80を構成する軸部87a,86aとの干渉を回避する逃げ部75cを形成しているので、作動機構80と干渉することなく第1の可動体45の作動位置を下げることができる。すなわち、相互に連動する第1の可動体45および第2の可動体46の移動範囲を大きくして、インパクトのある動作演出を行うことができ、遊技の興趣を向上し得る。
【0073】
前記各可動体45,46の発光基板49,54から導出するフラットケーブル93,98を、前後の関係で仕切られている空間63,95に収容するようにしたので、該ケーブル93,98同士が干渉して可動体45,46の動作を妨げることはない。また、一方の可動体45,46のフラットケーブル93,98が他方の可動体45,46に干渉して移動を妨げるのを防止することができ、可動体45,46が前後で重なって上下位置が反転するような大きな動きをする構成においても、可動体45,46の円滑な移動を図ることができる。
【0074】
また、フラットケーブル93,98は厚み方向を前後方向に向けた姿勢で対応する空間63,95内に収容されているので、各可動体45,46が移動する際にはフラットケーブル93,98が容易に可橈し、該可動体45,46の移動をスムーズに行うことができる。更に、フラットケーブル93,98は厚み方向を前後方向に向けた姿勢としてあるので、該フラットケーブル93,98を引き回すために必要となる前後寸法を小さく抑えることができ、複数の可動体45,46を前後の関係で配置した構成において、可動演出装置44の前後寸法の抑制に寄与し得る。
【0075】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、一対の可動体をラックと歯車を用いた作動機構によって連動するよう構成したが、作動機構としてはベルト等の索体とプーリを用いた機構やリンク機構等、その他公知の各種機構を採用し得る。
(2) 実施例では、一対の可動体を上下方向に移動するよう構成したが、斜め方向に移動するようにしてもよい。
(3) 実施例では、一対の可動体を平行移動するよう構成したが、前後方向に延在する回転軸回りに揺動する構成を採用することができ、ラック−ピニオン、歯車列またはリンク機構等によって一方の可動体が上方から下方に傾動する際に、他方の可動体が下方から上方に傾動するように構成された作動機構を採用すればよい。
(4) 実施例では、一対の可動体が前後方向に離間した位置を移動するよう構成することで、両可動体が前後に重なったり重ならなくなる演出を行い得るようようにしたが、一対の可動体を同一面内で移動するよう構成し、待機位置および作動位置の一方の位置では対向する端部が相互に離間すると共に他方の位置では対向する端部が近接または当接するものであってもよい。
(5) 実施例では、重量が異なる一対の可動体を同期して移動(連動)するよう構成したが、一対の可動体は重量が同じであってもよい。
(6) 実施例では、同期して移動(連動)する可動体が2つの場合で説明したが、可動体の数は3つ以上であってもよい。
(7) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球やコインを用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。