特許第6180979号(P6180979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180979
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ポンプ装置及び液圧アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/08 20060101AFI20170807BHJP
   F15B 15/18 20060101ALI20170807BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20170807BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B63H20/08
   F15B15/18
   F15B11/00 D
   F04C15/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-62716(P2014-62716)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-182690(P2015-182690A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】筒井 隼人
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸明
(72)【発明者】
【氏名】植木 武
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−228294(JP,A)
【文献】 米国特許第5444979(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/08
F04C 15/00
F15B 11/00,15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置の前記第1室又は前記第2室への作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケースと、
前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が、前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースとを備え、
前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室に、前記弁室に作用する前記作動液の圧力が前記第1ケースに向かって作用する面が形成されているポンプ装置。
【請求項2】
ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置の前記第1室又は前記第2室に作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケースと、
前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が、前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースとを備え、
前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室のうち、前記第1ケースに面する部分が、前記弁室のうち前記作動弁が摺動する範囲の内径よりも小径に形成されているポンプ装置。
【請求項3】
前記弁室は、前記第1ケースとは反対側に開口し、
前記弁室の開口した部分を、前記第1ケースとは反対側から覆い、前記弁室に作用する前記作動液の圧力に抗する覆い部材を備えた請求項1又は2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置と、
前記第1室又は前記第2室に作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケース及び前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースを有し、前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室に、前記弁室に作用する前記作動液の圧力が前記第1ケースに向かって作用する面が形成されているポンプ装置と、を備えた液圧アクチュエータ。
【請求項5】
ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置と、
前記第1室又は前記第2室に作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケース及び前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースを有し、前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室のうち、前記第1ケースに面する部分が、前記弁室のうち前記作動弁が摺動する範囲の内径よりも小径に形成されているポンプ装置と、を備えた液圧アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及び液圧アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
船体に対して船外機の傾きを変化させる等に用いられる液圧アクチュエータには、ピストンによって内部が下室(第1室)と上室(第2室)とに区画されたシリンダ装置とポンプとの間の流路に、下室又は上室に作動液の流れを切り替える切替弁が設けられている。この切替弁は、下室に通じる側の開放弁と上室に通じる側の開放弁とが連動するように構成されており、各開放弁は弁室内で摺動する作動弁と逆止弁とが組み合わされている。
【0003】
ここで、切替弁は以下のように動作する。ポンプから、下室に通じる側の開放弁の弁室に作動液が流入すると、その下室の側の逆止弁が作動液の圧力を受けて開放され、作動液が下室に流れる。この逆止弁の動作と並行して、作動液の流入により圧力を受けた下室の側の作動弁が弁室内で変位し、変位した作動弁の圧力が、連通路を介して上室に通じる側の開放弁の作動弁を弁室内で変位させる。そして、変位した上室側の作動弁が上室の側の逆止弁を押して逆止弁を開かせ、上室からの作動液をポンプに戻す。
ポンプから、上室に通じる側に開放弁の弁室に作動液が流入すると、上記とは逆の動作により、上室に作動液を送り、下室からの作動液をポンプに戻す。
従来、各作動弁はポンプケースに形成された弁室に収容され、逆止弁は、組み合わされる作動弁に対向して、ポンプケースが重ねられるマニホールドに収容されている。このとき、各作動弁は、ポンプケースとマニホールドとが重ねられた方向に変位するように配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−228294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術文献に記載の液圧アクチュエータは、ポンプケースの弁室がマニホールドの面に臨んでいるため、ポンプから弁室に作動液が流入すると、弁室の圧力が、ポンプケースとマニホールドとの重ね合わせを離す方向に作用する。
特に、ポンプケースに、作動弁だけでなく他の弁も収容しようとすると、それらの弁を収容するための弁室を形成する必要があり、ポンプケースの剛性が低下するおそれがある。そして、ポンプケースの剛性が仮に低下した場合には、作動弁の弁室に作用する圧力によって、ポンプケース内の重ね合わせ面に隙間が生じるおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、作動弁が収容されたケースと逆止弁が収容された他のケース(ポンプケース)の重ね合わせ面に作用する圧力を低減することができるポンプ装置及び液圧アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置の前記第1室又は前記第2室への作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケースと、前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が、前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースとを備え、前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室に、前記弁室に作用する前記作動液の圧力が前記第1ケースに向かって作用する面が形成されているポンプ装置である。
また、本発明は、他の観点で捉えると、ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置の前記第1室又は前記第2室に作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケースと、前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が、前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースとを備え、前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室のうち、前記第1ケースに面する部分が、前記弁室のうち前記作動弁が摺動する範囲の内径よりも小径に形成されているポンプ装置である。
これらの発明のポンプ装置は、前記弁室は、前記第1ケースとは反対側に開口し、前記弁室の開口した部分を、前記第1ケースとは反対側から覆い、前記弁室に作用する前記作動液の圧力に抗する覆い部材を備えてもよい。
本発明は、ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置と、前記第1室又は前記第2室に作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケース及び前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースを有し、前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室に、前記弁室に作用する前記作動液の圧力が前記第1ケースに向かって作用する面が形成されているポンプ装置と、を備えた液圧アクチュエータである。
また、本発明は、他の観点で捉えると、ピストンによって内部が第1室と第2室とに区画されたシリンダ装置と、前記第1室又は前記第2室に作動液の流れを切り替える切替弁のうち逆止弁が収容された第1ケース及び前記第1ケースに重ねられ、前記切替弁のうち作動弁が前記第1ケースが重ねられた方向に変位するように収容された第2ケースを有し、前記第2ケースの前記作動弁を収容した弁室のうち、前記第1ケースに面する部分が、前記弁室のうち前記作動弁が摺動する範囲の内径よりも小径に形成されているポンプ装置と、を備えた液圧アクチュエータである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るポンプ装置によれば、作動弁が収容された第1ケースと逆止弁が収容された第2ケースとの重ね合わせ面に作用する圧力を低減することができる。
本発明に係る液圧アクチュエータによれば、作動弁が収容された第1ケースと逆止弁が収容された第2ケースとの重ね合わせ面に作用する圧力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係るポンプ装置を含むトリム・チルト装置の外観を示す斜視図である。
図2】トリム・チルト装置の要部断面図である。
図3】トリム・チルト装置のハウジング及びシリンダを示す斜視図である。
図4】トリム・チルト装置が用いられる、船体と船舶推進機との配置を示す側方視の模式図である。
図5】トリム・チルト装置の油圧回路を示す図である。
図6】ポンプ装置の外観を示す図である。
図7】ポンプ装置を構成部品に分解した分解斜視図である。
図8図6におけるVIII−VIII線に沿った、アップブローバルブ及びダウンブローバルブを含む面による断面図である。
図9図6におけるIX−IX線に沿った、切替弁の第1開放弁、第2開放弁及び第3リリーフ弁を含む面による断面図である。
図10】第1弁室における受圧面を説明する、図9相当の断面図である。
図11】実施形態2における第1弁室を示す、図10相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<実施形態1>>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るポンプ装置20を含むトリム・チルト装置100(液圧アクチュエータの一例)の外観を示す斜視図、図2はトリム・チルト装置100の要部断面図、図3はトリム・チルト装置100のハウジング81及びシリンダ11を示す斜視図である。
【0010】
<トリム・チルト装置100の概略構成>
トリム・チルト装置100は、図1,2に示すように、作動液の一例であるオイルの供給、排出によって伸縮するシリンダ装置10と、オイルを送出するポンプ装置20と、ポンプ装置20を駆動するモータ40と、オイルを貯めるタンク80とを備えている。
【0011】
(シリンダ装置10)
シリンダ装置10は、図2に示すように、軸C方向に延びたシリンダ11と、シリンダ11の内部に配置され、シリンダ11の軸C方向に沿って摺動するピストン12と、ピストン12を一端に固定してピストン12と一体的に変位し、シリンダ11に対して軸C方向に進退するピストンロッド13とを備えている。
シリンダ装置10は、ピストン12によって内部が第1室Y1と第2室Y2とに区画されていて、第1室Y1にオイルが供給されるとシリンダ装置10は伸び、第2室Y2にオイルが供給されるとシリンダ装置10は縮む。ここで、シリンダ装置10が伸びるときは第2室Y2からオイルが排出され、シリンダ装置10が縮むときは第1室Y1からオイルが排出される。
シリンダ11の図示下端には、後述する船舶推進機300(後述する図4参照)のスターンブラケット340に接続するためのピン(図示省略)が挿入されるピン孔11aが形成されている。一方、ピストンロッド13の図示上端には、船舶推進機300(図4参照)のスイベルケース330に接続するためのピン(図示省略)が挿入されるピン孔13aが形成されている。
【0012】
(タンク80)
タンク80は、ハウジング81と、ハウジング81によって囲まれた空間であるタンク室82によって構成されている。ハウジング81はシリンダ11と一体的に形成されている。そして、図3に示すように、ハウジング81及びシリンダ11には、ポンプ装置20とシリンダ装置10の第1室Y1及び第2室Y2とを結ぶオイルの流路として、シリンダ側第1室側流路71Aの一部とシリンダ側第2室側流路72Aの一部との2つだけが形成されている。
【0013】
ここで、シリンダ側第1室側流路71Aの一部は、ハウジング第1孔81aと、ハウジング第2孔81bと、ハウジング第3孔81cと、シリンダ第1孔81dと、シリンダ第2孔81eとが接続されて形成されている。
ハウジング第1孔81aは、ハウジング81の底面から下方に、ハウジング81の底部を貫通しないように延びて形成されている。ハウジング第2孔81bは、ハウジング81の底部の側面からハウジング第1孔81aに交差するようにシリンダ11に向けて水平に延びて形成されている。ハウジング第3孔81cは、ハウジング81とシリンダ11との境界部分の側面からハウジング第2孔81bに直交するように水平に延びて形成されている。シリンダ第1孔81dは、シリンダ11の側面からハウジング第3孔81cに交差するように斜め上方に延びて形成されている。シリンダ第2孔81eは、シリンダ11の側面からシリンダ第1孔81dに交差し、第1室Y1に開口するように水平に延びて形成されている。
なお、ハウジング第2孔81b、ハウジング第3孔81c、シリンダ第1孔81d及びシリンダ第2孔81eは、それぞれハウジング81の外部に臨んだ部分及びシリンダ11の外部に臨んだ部分が図示を略した栓などによって塞がれている。
【0014】
シリンダ側第2室側流路72Aの一部は、ハウジング第4孔81fと、ハウジング第5孔81gと、ハウジング第6孔81hと、シリンダ第3孔81iと、シリンダ第4孔81jとが接続されて形成されている。
ハウジング第4孔81fは、ハウジング81の底面から下方に、ハウジング81の底部を貫通しないように延びて形成されている。ハウジング第5孔81gは、ハウジング81の底部の側面からハウジング第4孔81fに交差するように水平に延びて形成されている。ハウジング第6孔81hは、ハウジング81の底部の側面からシリンダ11に向けて、ハウジング第5孔81gに直交するように水平に延びて形成されている。シリンダ第3孔81iは、シリンダ11の上面からハウジング第6孔81hに直交するように下方に延びて形成されている。シリンダ第4孔81jは、第2室Y2からシリンダ第3孔81iに交差するように斜め下方に延びて形成されている。
なお、ハウジング第5孔81g、ハウジング第6孔81h及びシリンダ第3孔81iは、それぞれハウジング81の外部に臨んだ部分及びシリンダ11の外部に臨んだ部分が図示を略した栓などによって塞がれている。
タンク室82の底部にはポンプ装置20が配置されている。タンク室82にはオイルが貯められているため、ポンプ装置20はオイルに浸漬されている。
【0015】
(モータ40)
モータ40は、タンク室82の上部開口を液密に塞ぐようにハウジング81に載せられて、ハウジング81に固定されている。この状態で、モータ40の駆動軸41(図2参照)が、タンク室82に配置されたポンプ装置20のギヤポンプ21(後述する図7参照)に連結されて、モータ40によりギヤポンプ21を駆動することができる。
ポンプ装置20については後述する。
【0016】
図4はトリム・チルト装置100が用いられる、船体200と船舶推進機300との配置を示す側方視の模式図である。
図4に示すように、船舶推進機300は推進力を発生する船舶推進機本体310を備え、船舶推進機本体310は、垂直方向(上下方向)に設けられたスイベルシャフト(図示省略)と、水面に対して水平方向に設けられた水平軸320と、スイベルシャフトが回動自在に収容されるスイベルケース330と、スイベルケース330を船体200に接続するスターンブラケット340と、を有している。
そして、スイベルケース330とトリム・チルト装置100のシリンダ11のピン孔11aとがピンにより連結され、スターンブラケット340とピストンロッド13のピン孔13aとがピンにより連結される。シリンダ装置10が伸縮することで、スターンブラケット340とスイベルケース330との間の距離が変化して、船体200に対する船舶推進機300の傾斜角度θを変化させる。
【0017】
<トリム・チルト装置100の油圧回路>
図5は、トリム・チルト装置100の油圧回路である。まず、トリム・チルト装置100の油圧回路について、図5を参照して説明する。
シリンダ装置10は、ピストン12によって、内部が第1室Y1と第2室Y2とに区画されていて、第1室Y1にオイルが供給されるとシリンダ装置10は伸び、第2室Y2にオイルが供給されるとシリンダ装置10は縮む。ここで、シリンダ装置10が伸びるときは第2室Y2からオイルが排出され、シリンダ装置10が縮むときは第1室Y1からオイルが排出される。
この油圧回路は、第1室Y1及び第2室Y2へのオイルの供給、排出を制御する回路である。
ポンプ装置20に備えられた一対のギヤからなるギヤポンプ21とシリンダ装置10との間には、第1室Y1に通じた第1室側流路71と第2室Y2に通じた第2室側流路72とが形成されている。第1室側流路71及び第2室側流路72には、これら第1室側流路71と第2室側流路72とに跨がるように、切替弁51が配置されている。
【0018】
(切替弁51)
切替弁51は、第1室Y1又は第2室Y2へのオイルの流れの向きを切り替える。切替弁51は、第1室側流路71上に設けられた第1開放弁51aと第2室側流路72上に設けられた第2開放弁52aとを備えている。
第1開放弁51aは、第1作動弁51bと第1逆止弁51eとを備えている。第1作動弁51bは、第1弁室51f内を摺動するスプール51cと、スプール51cに内蔵された作動弁ボール51dとを備えている。第1弁室51fはスプール51cによって、第1逆止弁51eに通じる側のメイン油室51gと反対側のサブ油室51hとに仕切られている。第1室側流路71のうちギヤポンプ21から第1開放弁51aに通じるポンプ側第1室側流路71Bは、第1開放弁51aのメイン油室51gに接続されている。
【0019】
スプール51cには、第1逆止弁51eに向かって突出し、第1逆止弁51eの側に変位したとき第1逆止弁51eを押す突起51iが備えられている。また、スプール51cには、後述する図9に示すように、メイン油室51gとサブ油室51hとを通じさせる第1孔51j及びサブ油室51hと後述する連通路51Rとを通じさせる第2孔51kが形成されている。
作動弁ボール51dは、メイン油室51gの圧力がサブ油室51hの圧力より高いときは第1孔51jを開き、メイン油室51gの圧力がサブ油室51hの圧力より低いときは第1孔51jを閉じる。
【0020】
第2開放弁52aについても第1開放弁51aと同様の構成である。すなわち、第2開放弁52aは、第2作動弁52bと第2逆止弁52eとを備えている。第2作動弁52bは、第2弁室52f内を摺動し、第1逆止弁51eを押す突起51iが備えられているとともに第1孔52j及び第2孔52kが形成されたスプール52cと、スプール52cに内蔵されメイン油室52gとサブ油室52hとの圧力の高低関係に応じて第1孔52jを開閉する作動弁ボール52dとを備えている。第2弁室52fはスプール52cによって、第2逆止弁52eに通じる側のメイン油室52gと反対側のサブ油室52hとに仕切られ、第2室側流路72のうちギヤポンプ21から第2開放弁52aに通じるポンプ側第2室側流路72Bは、第2開放弁52aのメイン油室52gに接続されている。
【0021】
第1開放弁51aのサブ油室51hと第2開放弁52aのサブ油室52hとは連通路51Rによって通じている。
ここで、例えば、ギヤポンプ21を正回転することでギヤポンプ21からポンプ側第1室側流路71Bに送出されたオイルは、第1開放弁51aのメイン油室51gへ流入する。メイン油室51gの圧力が高くなることで第1逆止弁51eが開き、オイルは、第1室側流路71のうち第1開放弁51aからシリンダ装置10の第1室Y1に通じるシリンダ側第1室側流路71Aに流れ、シリンダ装置10の第1室Y1に流入し、ピストン12を第2室Y2に向けて押す。
【0022】
また、第1開放弁51aのメイン油室51gに流入したオイルは、第1作動弁51bのスプール51c内の作動弁ボール51dを開いてサブ油室51hに流入する。そして、サブ油室51hに流入したオイルは、連通路51Rを通じて第2開放弁52aのサブ油室52hに到達する。第2作動弁52bの作動弁ボール52dは閉じているため、サブ油室52hのオイルは、スプール52cをメイン油室52g側に押圧する。
第2作動弁52bがメイン油室52g側に移動することで、第2逆止弁52eが押されて開き、第2室側流路72のうち第2開放弁52aからシリンダ装置10の第2室Y2に通じるシリンダ側第2室側流路72Aとポンプ側第2室側流路72Bとが通じる。これにより、ピストン12によって押された側の第2室Y2のオイルは、第2室側流路72に排出され、第2室側流路72を通ってギヤポンプ21に戻る。
【0023】
一方、ギヤポンプ21を逆回転することでギヤポンプ21からポンプ側第2室側流路72Bに送出されたオイルの流れも、ギヤポンプ21の正回転の場合と同様である。すなわち、オイルは、第2開放弁52aのメイン油室52gへ流入し、第2逆止弁52eを開弁させてシリンダ側第2室側流路72Aに流れ、シリンダ装置10の第2室Y2に流入し、ピストン12を第1室Y1に向けて押す。
【0024】
また、第2開放弁52aのメイン油室52gに流入したオイルは、第2作動弁52bのスプール52c内の作動弁ボール52dを開いてサブ油室52hに流入し、連通路51Rを通じて第1開放弁51aのサブ油室51hに到達し、第1作動弁51bのスプール51cをメイン油室51g側に押圧する。押圧されたスプール51cは第1逆止弁51eを押して開き、シリンダ側第1室側流路71Aとポンプ側第1室側流路71Bとが通じ、ピストン12によって押された側の第1室Y1のオイルが第1室側流路71に排出され、第1室側流路71を通ってギヤポンプ21に戻る。
【0025】
このように、第1作動弁51b及び第2作動弁52bは、ギヤポンプ21からのオイルの圧力を受けて変位し、この変位により、変位方向の第2逆止弁52e又は第1逆止弁51eを開かせる機能を有する。
第1逆止弁51e及び第2逆止弁52eは、第2作動弁52b又は第1作動弁51bの変位により開かれてシリンダ装置10からオイルを戻す機能と、第1弁室51f又は第2弁室52fに作用する圧力により開かれてシリンダ装置10にオイルを供給する機能とを有する。
【0026】
(アップブローバルブ53)
ここで、ポンプ側第1室側流路71Bには、アップブローバルブ53(第1室側リリーフ弁)が接続されている。アップブローバルブ53は、通常閉じていて、ポンプ側第1室側流路71Bの圧力が予め設定された圧力以上になったときに開き、ポンプ側第1室側流路71Bのオイルを、タンク80に通じる第1開放流路73に逃がす。
ポンプ側第1室側流路71Bの圧力が予め設定された圧力以上になる場合としては、例えば、以下のような場合がある。すなわち、シリンダ装置10の第1室Y1にオイルが供給されてシリンダ装置10が伸縮範囲の最大限まで伸びた後も、ギヤポンプ21の回転が止まらずに、第1室側流路71にオイルが供給され続ける場合である。この場合、アップブローバルブ53が開いて、ポンプ側第1室側流路71Bに供給されるオイルを、第1開放流路73を通じてタンク80に戻す。
【0027】
(ダウンブローバルブ54)
また、ポンプ側第2室側流路72Bには、ダウンブローバルブ54(第2室側リリーフ弁)が接続されている。ダウンブローバルブ54は、通常閉じていて、ポンプ側第2室側流路72Bの圧力が予め設定された圧力以上になったときに開き、ポンプ側第2室側流路72Bのオイルを、タンク80に通じる第2開放流路74に逃がす。
ポンプ側第2室側流路72Bの圧力が予め設定された圧力以上になる場合としては、例えば、以下のような場合がある。すなわち、シリンダ装置10が縮むときに第2室Y2に進入してくるピストンロッド13の体積の増加分による第2室側流路72の圧力の増大や、シリンダ装置10の第2室Y2にオイルが供給されてシリンダ装置10が伸縮範囲の最小限まで縮んだ後もギヤポンプ21の回転が止まらずに、第2室側流路72にオイルが供給され続ける場合などである。この場合、ダウンブローバルブ54が開いて、ポンプ側第2室側流路72Bに供給されるオイルを、第2開放流路74を通じてタンク80に戻す。
【0028】
なお、シリンダ装置10の伸縮の際、第1室Y1のオイルと第2室Y2のオイルとは、切替弁51及びギヤポンプ21を介して、大部分が循環しているだけである。しかし、前述したように、第2室Y2へのピストンロッド13の進入量に応じて第1室Y1のオイルと第2室Y2のオイルとの総量が変化するため、第1室Y1又は第2室Y2へ送出するオイルの量が不足する場合は、それぞれチェック弁57,58が設けられた第1供給流路77又は第2供給流路78を通じて、不足分に対応した量のオイルが、タンク80からギヤポンプ21に供給される。タンク80からギヤポンプ21にオイルが供給される流路が第1供給流路77となるか又は第2供給流路78となるかは、ギヤポンプ21の回転方向に応じて決まる。
【0029】
(第3リリーフ弁55)
また、シリンダ側第1室側流路71Aには、第3リリーフ弁55(第3のリリーフ弁)が接続されている。第3リリーフ弁55は、通常閉じていて、シリンダ側第1室側流路71Aの圧力が予め設定された圧力(アップブローバルブ53が開放される圧力よりも高い圧力)以上になったときに開き、シリンダ側第1室側流路71Aのオイルを、タンク80に通じる第3開放流路75に逃がす。
シリンダ側第1室側流路71Aの圧力が予め設定された圧力以上になる場合としては、例えば、以下のような場合がある。すなわち、シリンダ装置10が伸びている状態で、シリンダ装置10を縮ませる方向への衝撃等荷重が掛った場合や、オイルの温度が上昇することによりシリンダ側第1室側流路71Aの圧力が上昇した場合などである。この場合、第3リリーフ弁55が開いて、シリンダ側第1室側流路71Aに供給されるオイルを、第3開放流路75を介してタンク80に戻す。
なお、タンク80に通じる流路にはフィルタ83が設けられていて、タンク80内のオイルに混じった異物等が、上述した各流路に流入するのを防止している。
【0030】
<ポンプ装置20>
図6はポンプ装置20の外観を示す図、図7はポンプ装置20を構成部品に分解した分解斜視図、図8はアップブローバルブ53及びダウンブローバルブ54を含む面による断面図、図9は切替弁51の第1開放弁51a、第2開放弁52a及び第3リリーフ弁55を含む面による断面図である。
【0031】
ポンプ装置20は、図7に示すように、ポンプケース25と、ギヤポンプ21と、切替弁51、アップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54、第3リリーフ弁55及び2つのチェック弁57,58と備えている。ポンプケース25は、図示の下から第1ケース22、第2ケース23及び覆い板24(覆い部材)がこの順序で重ねられ、5本の締結部材28a,28b,28c,28d,28eで一体化された、いわゆる三体構造となっている。なお、5本の締結部材28a,28b,28c,28d,28eのうち一部の締結部材は、ポンプ装置20をハウジング81(図1参照)に固定する機能も果たしている。
そして、ポンプ装置20は、ポンプケース25の内部に、ギヤポンプ21、切替弁51、アップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54、第3リリーフ弁55及び2つのチェック弁57,58が収容されて、図6に示すように一体的に構成されている。
【0032】
第1ケース22は、底面に溝22bが形成されている。また、第1ケース22には、ギヤポンプ21が収容されるポンプ室22a、チェック弁57,58が収容されるチェック弁室22g,22h並びに第1逆止弁51e及び第2逆止弁52eが収容される第1逆止弁室22m(図9参照)及び第2逆止弁室22nが形成されている。
第1逆止弁室22m及び第2逆止弁室22nはそれぞれ、第1ケース22と第2ケース23とが重ねられた方向に貫通して形成されている。
また、第2ケース23には、第1弁室51f及び第2弁室52fが形成されている。第1弁室51f及び第2弁室52fもそれぞれ、第2ケース23を厚さ方向に貫通して形成されている。また、第2ケース23には、アップブローバルブ53が収容されるアップブローバルブ室23aと、ダウンブローバルブ54が収容されるダウンブローバルブ室23bと、第3リリーフ弁55が収容される第3リリーフ弁室23cとが形成されている。
覆い板24は例えば鉄板であり、第2ケース23に形成された第1弁室51f及び第2弁室52fの開口23x(後述する図10参照)を塞いでいる。
【0033】
図8に示すように、ギヤポンプ21はポンプ室22aに配置されている。
また、アップブローバルブ53はアップブローバルブ室23aに、ダウンブローバルブ54はダウンブローバルブ室23bにそれぞれ配置されている。アップブローバルブ53は、チェック弁室22gに連なるポンプ側第1室側流路71Bとタンク室82に連なる第1開放流路73との間を開閉する弁ボール53dと、弁ボール53dに上方から接触するプッシュピン53cと、プッシュピン53cと同軸で、アップブローバルブ室23aにねじ結合し、工具用の溝53eが形成された上部が第2ケース23の上方に突出した調整ねじ53aと、プッシュピン53cと調整ねじ53aとの間に配置されて、プッシュピン53cに対して、プッシュピン53cと調整ねじ53aとの間の距離に応じた軸方向の弾性力を作用させるコイルばね53bとを備えている。
【0034】
このように構成されたアップブローバルブ53は、第2ケース23の外部に突出した調整ねじ53aの溝53eに、例えばマイナスドライバー等入手容易な工具を挿入して、工具を軸回りに回転させることで、第2ケース23に対する調整ねじ53aのねじ込み深さを変化させることができる。
そして、調整ねじ53aのねじ込み深さが深くなるにしたがって、プッシュピン53cと調整ねじ53aとの間の距離が短くなり、コイルばね53bの初期圧縮量が増加してコイルばね53bがプッシュピン53cを下方に押圧する弾性力が強くなり、プッシュピン53cに接触している弁ボール53dが、ポンプ側第1室側流路71Bを塞いでいる荷重が強くなる。このことは、閉じているアップブローバルブ53が開く動作に移行するときの、ポンプ側第1室側流路71Bの圧力が、より高く設定されたことになる。
【0035】
一方、調整ねじ53aのねじ込み深さが浅くなるにしたがって、プッシュピン53cと調整ねじ53aとの間の距離が長くなり、コイルばね53bの初期圧縮量が減少してコイルばね53bがプッシュピン53cを下方に押圧する弾性力が弱くなり、プッシュピン53cに接触している弁ボール53dが、ポンプ側第1室側流路71Bを塞いでいる荷重が弱くなる。このことは、閉じているアップブローバルブ53が開く動作に移行するときの、ポンプ側第1室側流路71Bの圧力が、より低く設定されたことになる。
このように、アップブローバルブ53の調整ねじ53aは、アップブローバルブ53が作動する(閉状態から開状態へ移行する)際の圧力(作動圧力)を調整する圧力調整機構となっている。
【0036】
ダウンブローバルブ54もアップブローバルブ53と同様に、チェック弁室22hに連なるポンプ側第2室側流路72Bとタンク室82に連なる第2開放流路74との間を開閉する弁ボール54dと、弁ボール54dに上方から接触するプッシュピン54cと、プッシュピン54cと同軸で、ダウンブローバルブ室23bにねじ結合し、工具用の溝54eが形成された上部が第2ケース23の上方に突出した調整ねじ54aと、プッシュピン54cと調整ねじ54aとの間に配置されて、プッシュピン54cに対して、プッシュピン54cと調整ねじ54aとの間の距離に応じた軸方向の弾性力を作用させるコイルばね54bとを備えている。ダウンブローバルブ54の調整ねじ54aも、アップブローバルブ53の調整ねじ53aと同様に圧力調整機構となっている。
ダウンブローバルブ54の作動圧力の調整作用はアップブローバルブ53による調整作用と同じであるため、説明を省略する。
【0037】
チェック弁57,58は第1ケース22に形成されたチェック弁室22g,22hにそれぞれ配置されている。これらチェック弁57,58は、第1ケース22と第2ケース23とが重ね合わされる以前の工程で、各チェック弁室22g,22hに配置される。
チェック弁室22g,22hは、下方に延びた孔22c,22dに連通している。この孔22c,22dは、チェック弁57,58によって塞がれる大きさで形成され、ポンプケース25の下面に形成された溝22bに連なる。ポンプ装置20は、タンク室82においてオイルに浸漬されているため、溝22bはオイルで満たされ、孔22c及び22dが油圧回路における第1供給流路77及び第2供給流路78に相当する。
【0038】
図9に示すように、切替弁51の第1開放弁51a及び第2開放弁52aのうち第1作動弁51b及び第2作動弁52bは、第2ケース23に形成された第1弁室51f及び第2弁室52fに配置されている。これら第1作動弁51b及び第2作動弁52bは、第2ケース23と覆い板24とが重ね合わされる以前の工程で、それぞれ第1弁室51f及び第2弁室52fに配置される。
第1弁室51fに第1作動弁51bが配置され、第2弁室52fに第2作動弁52bが配置された状態で、第2ケース23に覆い板24が重ね合わされて固定されることで、第1弁室51f及び第2弁室52fの上面が塞がれる。このとき、第1弁室51fと覆い板24との間及び第2弁室52fと覆い板24との間にはそれぞれOリング24a,24bが装着され、第1弁室51f及び第2弁室52fの液密が確保されている。
【0039】
第1弁室51f及び第2弁室52fはそれぞれ、第2ケース23を厚さ方向に貫通して形成されているため、収容された第1作動弁51b及び第2作動弁52bはいずれも、第1ケース22と第2ケース23とが重ねられた方向に沿って摺動する。
なお、第2ケース23には、油圧回路において説明した連通路51Rが形成されていて、第1弁室51fのサブ油室51hと第2弁室52fのサブ油室51hとを接続している。
【0040】
図10は、第1弁室51fの詳細を示す図である。前述したように、第1弁室51fは、第2ケース23の厚さ方向に貫通して形成されており、図10に示すように、第2ケース23の上面において第1弁室51fは開口している。そして、この上面における開口23xは、第1弁室51fに第1作動弁51bが収容された後に、覆い板24によって塞がれている。
メイン油室51gの第1ケース22の側には、メイン油室51gの内側に向かって突出した段差部23mが形成されている。
この段差部23mは、メイン油室51gの内側に向かって突出していることで、メイン油室51gに作用するオイルの圧力p1が第1ケース22に向かって作用する受圧面23sを形成している。受圧面23sは、第1ケース22と第2ケース23とが重ね合わされた面22A,23Aに平行で、円環状に形成されている。
円環状の受圧面23sの内周縁は、メイン油室51gのうちスプール51cが摺動する範囲の内径D1よりも小径の直径D2(<D1)に形成されている。そして、メイン油室51gは、受圧面23sの内径D2で、第1ケース22の面22Aに臨んでいる。
なお、図示を省略したが、第2弁室52fも図10に示した第1弁室51fと同様の構成であり、第1ケース22の側にメイン油室52gの内側に向かって突出した段差部23mが形成され、この段差部23mによって受圧面23sが形成されている。
【0041】
第1ケース22に形成された第1逆止弁室22mは、第1ケース22と第2ケース23とを重ね合わせた状態で、第1弁室51fに対向する部分に形成されている。また、第1ケース22に形成された第2逆止弁室22nは、第1ケース22と第2ケース23とを重ね合わせた状態で、第2弁室52fに対向する部分に形成されている。
第1逆止弁51eは、Oリング51mと、弁ケース51nと、弁ボール51pと、プッシュピン51qと、コイルばね51rと、ばね押え51oと、Oリング51tとを備えた構成である。
【0042】
弁ケース51nはOリング51mを介して第1逆止弁室22mに嵌めこまれている。弁ケース51nには、上部に、対向する第1作動弁51bの突起51iを通過させる小孔51uが形成されている。弁ボール51p、プッシュピン51q及びコイルばね51rは、弁ケース51nの内側に形成されたケース内室51sに配置されている。
弁ボール51pは、弁ケース51nに形成された小孔51uを塞ぐ大きさに形成されている。プッシュピン51qは、上面に弁ボール51pが接するように弁ボール51pの下に配置されている。ばね押え51oは、第1逆止弁室22mの下部に嵌めこまれ、弁ケース51nを下から支持している。Oリング51tは、ばね押え51oの周囲に配置されている。コイルばね51rは、プッシュピン51qとばね押え51oとの間に配置され、プッシュピン51qに対して軸方向の弾性力を作用させる。
図2に示すようにポンプ装置20がハウジング81に固定された状態では、ばね押え51oの中央部に形成された開口22eが、ケース内室51sとハウジング81に形成されたハウジング第1孔81aとを通じさせる。このとき、Oリング51tによって、ケース内室51s及びハウジング第1孔81aと、タンク室82との間の液密が確保される。
【0043】
このように構成された第1逆止弁51eは、コイルばね51rの弾性力により上方に持ち上げられたプッシュピン51qが弁ボール51pを上方に押し上げ、弁ボール51pが弁ケース51nの小孔51uを閉じる。これにより、第1作動弁51bのメイン油室51gと、第1逆止弁51eのケース内室51sとの間は閉じられる。
ここで、第1作動弁51bのメイン油室51gにオイルが供給されてメイン油室51gの圧力が上昇すると、メイン油室51gの圧力が小孔51uを通じて弁ボール51pに作用し、弁ボール51pがコイルばね51rの弾性力に抗して下方に押し下げられ、メイン油室51gとケース内室51sとが通じ、メイン油室51gのオイルが、ケース内室51sを通じてハウジング第1孔81aに供給される。
【0044】
また、第2作動弁52bのメイン油室52gにオイルが供給されてメイン油室52gの圧力が上昇すると、メイン油室52gのオイルがスプール52cの第2孔52kを通じてサブ油室52h、第1孔52j、連通路51Rの順で流れ、さらに、第1作動弁51bの第1孔51jを通じて第1作動弁51bのサブ油室51hに流入する。
第1作動弁51bのサブ油室51hは、圧力の上昇により作動弁ボール51dがサブ油室51hとメイン油室51gとの連通を遮断し、これにより、第1作動弁51bのスプール51cがメイン油室51gの側に移動する。スプール51cの移動により、スプール51cに備えられた突起51iが弁ボール51pに作用し、コイルばね51rの弾性力に抗して下方に押し下げられ、メイン油室51gとケース内室51sとが通じ、ハウジング第1孔81aからケース内室51sに戻ったオイルがメイン油室51gに戻される。
【0045】
第2逆止弁室22nに収容された第2逆止弁52eは、第1逆止弁51eと同様の構成であり、Oリング52mと、弁ケース52nと、弁ボール52pと、プッシュピン52qと、コイルばね52rと、ばね押え52oと、Oリング52tとを備えている。第2逆止弁52eの作用は第1逆止弁51eと同じであるため、説明を省略する。
なお、ポンプ装置20がハウジング81に固定された状態(図2参照)では、ばね押え52oの中央部に形成された開口22fが、ケース内室52sとハウジング81に形成されたハウジング第4孔81fとを通じさせる。このとき、Oリング52tによって、ケース内室52s及びハウジング第4孔81fと、タンク室82との間の液密が確保される。
【0046】
第3リリーフ弁55は、第1ケース22と第2ケース23とに跨って配置されている。第3リリーフ弁55もアップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54と同様に、第1逆止弁51eのケース内室51sに通じるシリンダ側第1室側流路71Aと第3開放流路75との間を開閉する弁ボール55dと、弁ボール55dに上方から接触するプッシュピン55cと、プッシュピン55cと同軸で、第2ケース23にねじ結合し、ねじ溝55eが形成された上部が第2ケース23の上方に突出した調整ねじ55aと、プッシュピン55cと調整ねじ55aとの間に配置されて、プッシュピン55cに対して、プッシュピン55cと調整ねじ55aとの間の距離に応じた軸方向の弾性力を作用させるコイルばね55bとを備えている。第3リリーフ弁55の調整ねじ55aも、アップブローバルブ53の調整ねじ53aと同様に圧力調整機構となっている。
第3リリーフ弁55の作動圧力の調整作用はアップブローバルブ53やダウンブローバルブ54による調整作用と同じであるため、説明を省略する。
【0047】
<ポンプ装置20の作用、効果>
以上のように構成された本実施の形態のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100によると、図10に示したように、メイン油室51g,52gに作用するオイルの圧力p1は、メイン油室51g,52gの内面に均等に作用する。
したがって、メイン油室51g,52gの圧力p1は、第1ケース22の面22Aに臨んだ部分においては、第1ケース22の面22Aを押圧するように作用する。つまり、メイン油室51g,52gの圧力p1は、第1ケース22の面22Aと第2ケース23の面23Aと互いに離すように作用する。
【0048】
ここで、第1ケース22の面22Aに臨むメイン油室51gの面積S2は、S2=πD2/4であるから、第1ケース22と第2ケース23とが離れる方向に作用する荷重F2は、F2=p1πD2/4となる。
これに対して、受圧面23sが形成されていない従来のポンプ装置では、第1ケース22の面22Aに臨むメイン油室51gの面積S3は、S3=πD1/4であるから、第1ケース22と第2ケース23とが離れる方向に作用する荷重F3は、F3=p1πD1/4となる。D2<D1であるから、F2<F3となる。
【0049】
このように、本実施の形態のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100によれば、受圧面23sが形成されていないものに比べて、第1ケース22と第2ケース23とが重ね合わされた面22A,23Aに作用する、第1ケース22と第2ケース23とを互いに離す方向に向く圧力を低減することができる。
さらに、メイン油室51g,52gの圧力p1は、第1弁室51f及び第2弁室52fにそれぞれ形成された受圧面23sにも作用する。そして、受圧面23sに作用する圧力p1は、段差部23mを第1ケース22の側に押圧するように作用する。したがって、この受圧面23sに作用する圧力p1は、第2ケース23の面23Aを第1ケース22の面22Aに押し付けるように作用する。つまり、受圧面23sに作用する圧力p1は、第1ケースと第2ケース23の面22A,23Aが離れるのを阻害するように作用する。
メイン油室51g,52gの受圧面23sの面積S1は、S1=π(D1−D2)/4であるから、第1ケース22と第2ケース23の面22A,23Aが離れるのを阻害する荷重F1は、F1=p1π(D1−D2)/4となる。
【0050】
このように、本実施の形態のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100によれば、受圧面23sが形成されていないものに比べて、第1ケース22と第2ケース23とが重ね合わされた面22A,23Aに作用する、第1ケース22と第2ケース23とを互いに離す方向に向く圧力を低減するとともに、第1ケース22と第2ケース23とが離れるのを阻害する圧力を作用させることができる。
これにより、第1ケース22と第2ケース23とが重ね合わされた面22A,23Aにおけるオイルの漏れを防止乃至抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態のポンプ装置20は、シリンダ装置10に接続される油圧回路に含まれる切替弁51、アップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54、第3リリーフ弁55及びチェック弁57,58がポンプ装置20に一体的に備えられている。
したがって、ポンプ装置20をシリンダ装置10と組み付ける以前の単体の状態で、ギヤポンプ21のオイル圧送能力等性能を測定する工程において、切替弁51、アップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54、第3リリーフ弁55及びチェック弁57,58が組み込まれた油圧回路全体での性能も測定することができる。
これにより、ポンプ装置20及び油圧回路の性能測定による工数を低減することができる。
【0052】
また、油圧回路における切替弁51、アップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54、第3リリーフ弁55及びチェック弁57,58が、ポンプ装置20に一体的に備えられていることで、ハウジング81には油圧回路のバルブや弁が配置されない。
したがって、本実施の形態におけるハウジング81は、バルブや弁が配置されている従来におけるトリム・チルト装置のハウジングと比較して、形成される流路(シリンダ側第1室側流路71Aとシリンダ側第2室側流路72A)を単純化することができる。この結果、ハウジング81に形成される流路(シリンダ側第1室側流路71Aとシリンダ側第2室側流路72A)においては、流路となる孔同士の交差によって繋がれる部分を低減することができる。
孔同士が交差する部分では、孔を穿孔して加工した際に生じるバリが残留し易い傾向があり、孔同士が交差する部分が低減されることで、流路にバリが残りにくくすることもできる。
【0053】
なお、本発明に係るポンプ装置及び油圧アクチュエータは、トリム・チルト装置100の油圧回路における切替弁51、アップブローバルブ53、ダウンブローバルブ54、第3リリーフ弁55及びチェック弁57,58がポンプ装置20に一体的に備えられている形態に限定されるものではなく、バルブや弁がポンプ装置20とは別体に、例えばハウジング81に設けられていてもよい。
ただし、ポンプ装置20に一体的に備えられるバルブ及び弁が多くなるにしたがって、バルブや弁を収容するための弁室が第2ケース23にも数多く形成されるため、第2ケース23の剛性が低下し易い。そして、第2ケース23の剛性が低いほど、メイン油室51gに作用するオイルの圧力によって、第1ケース22と第2ケース23とが重なり合う面22A,23Aが離れ易くなる。したがって、そのような剛性が低い第2ケースを備えたポンプ装置に対して、本発明を適用することにより、面22A,23Aを離れ難くするという本発明の効果を、より顕著に発揮させることができる。
【0054】
また、本実施の形態のポンプ装置20は、第1弁室51f及び第2弁室52fが第1ケース22とは反対側に開口が23xが形成されている。したがって、第1弁室51f及び第2弁室52fの第1ケース22側に、段差部23m等による受圧面23sを形成しても、開口23xの側から第1弁室51fに第1作動弁51bを収容することができ、また、開口23xの側から第2弁室52fに第2作動弁52bを収容することができる。
【0055】
本実施の形態のポンプ装置20は、第1弁室51f及び第2弁室52fが第1ケース22とは反対側に開口し、それらの開口23xが覆い板24によって塞がれ、覆い板24は締結部材28a〜28eによって第1ケース22及び第2ケース23と一体に固定されている。したがって、第1弁室51f及び第2弁室52fの開口が形成されたことによる第2ケース23の剛性が低下しても、覆い板24によって低下した剛性を向上させることができる。
【0056】
上述した実施形態のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100は、図5に示すように、シリンダ装置10の第1室Y1に通じる第1室側流路71に、アップブローバルブ53と第3リリーフ弁55という2つのリリーフ弁が設けられたものであるが、本発明に係るポンプ装置及び液圧アクチュエータは、この形態に限定されるものではない。
また、本実施形態のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100は、図10に示すように、第1弁室51f及び第2弁室52fの各開口23xを覆う覆い部材として鉄板等の覆い板24を適用したものであるが、本発明のポンプ装置及び液圧アクチュエータは、この形態に限定されるものではない。例えば、覆い部材としては、第1弁室51f及び第2弁室52fの周面にねじ溝を形成し、このねじ溝に噛み合わせてねじ込まれて固定されることで開口23xを覆う、有底円筒状の栓などを適用することもできる。
【0057】
<<実施形態2>>
実施形態1のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100は、段差部23mによって、受圧面23sを形成したものであるが、本発明に係るポンプ装置及びトリム・チルト装置は、この形態に限定されるものではない。
図11は、本発明の第2の実施形態(実施形態2)のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100における第1弁室51fの詳細を示す図である。なお、図示はしないが、第2弁室52fも第1弁室51fと同様の構成である。
実施形態2におけるメイン油室51gの第1ケース22の側には、メイン油室51gの内周面から第1ケース22の面22Aに向かって傾斜した傾斜面23nが形成されている。
傾斜面23nは、第1ケース22の面22Aに対して傾斜しているが、この受圧面23sに作用する圧力p1は、第1ケース22の面22Aに直交する成分を有している。したがって、この傾斜面23nは、メイン油室51gに作用するオイルの圧力p1が第1ケース22に向かって作用する受圧面23sを形成している。
【0058】
そして、この傾斜面23nが形成されていることによって、メイン油室51gが第1ケース22の面22Aに臨む面の面積が、傾斜面23nが形成されていないものよりも小さい。
メイン油室51gには内面に均等に圧力p1が作用するため、メイン油室51gのオイルの圧力p1が第1ケース22の面22Aに作用する、第1ケース22の面22Aと第2ケース23の面23Aと互いに離す荷重は、受圧面23sが形成されていないものよりも小さい。
【0059】
また、メイン油室51gのオイルの圧力p1は受圧面23sにも作用し、この受圧面23sに作用する圧力は、第2ケース23の面23Aを第1ケース22の面22Aに押し付ける荷重として作用する。つまり、受圧面23sに作用する圧力p1は、第1ケース22と第2ケース23の面22A,23Aが離れるのを阻害するように作用する。
このように、本実施の形態のポンプ装置20及びトリム・チルト装置100によれば、第1ケース22と第2ケース23とを互いに離す方向に向く圧力を低減するとともに、第1ケース22と第2ケース23とが離れるのを阻害する圧力を作用させることができる。
これにより、第1ケース22と第2ケース23とが重ね合わされた面22A,23Aにおけるオイルの漏れを防止乃至抑制することができる。
【0060】
なお、受圧面23sとしては、上述した実施形態1,2のものに限定されるものでは、なく、要するに、第2ケースの作動弁を収容した弁室に形成され、かつ、その弁室に作用する作動液の圧力を第1ケースに向けて作用させる面であれば、いかなる形態の面であってもよい。
また、上述した各実施形態は、液圧アクチュエータの一例として、トリム・チルト装置を適用したものであるが、本発明の液圧アクチュエータはこれらトリム・チルト装置に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
22…第1ケース、23…第2ケース、23s…受圧面(面)、51b…第1作動弁、51e…第1逆止弁、51f…第1弁室、51g…メイン油室
図1
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図11