(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地震時の横揺れや台風の時の横からの強風等の建物の横からくる力(水平力)を支える耐力壁は、耐震性能を高めるため重要性が増してきており、必要十分な強度を有するものを確保する必要がある。しかし、耐力壁を強靱なものにすると、窓等の開口スペースは確保しにくくなり建物の快適性が損なわれる場合があるという問題点がある。
特に、近年、室内景観を向上させるために、最上階の天井面や小屋梁面を省略し、最上階の室内上部の空間を広くしたいという要望がある。このような場合、小屋梁を設けずに耐力壁を設けるための筋交いや面材等を屋根を構成する部材にまで延ばして固定しようとしても屋根を構成する部材の強度や剛性が十分でなく、耐力壁としての十分な剛性が得られないという問題点がある。
【0005】
請求項1に記載の発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、垂木を補強して十分な剛性の屋根構面を確保し、耐力壁の剛性を高めて耐震性を向上させることができ、経済的で、室内大空間も確保することができて建物の快適
性が向上した耐力壁構造を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、筋交いを設けることで耐力壁として機能させ、さらに、より強固な耐力壁を構成することが可能な耐力壁構造を提供することを目的とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、筋交いの部材の共通化を図ることができ、より経済的なものにすることが可能な耐力壁構造を提供することを目的とする。
請求項4に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、筋交いの部材の共通化を図ることができ、さらにより経済的なものにすることが可能な耐力壁構造を提供することを目的とする。
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、荷重が集中することを抑えることができ、耐震性に優れた耐力壁を設けることが可能な耐力壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、棟梁30、母屋50及び桁梁40間に架け渡される垂木70と平行に設けられている耐力壁構造であって、前記垂木70のうちの少なくとも一部の下面に該垂木70に沿った補強部材60が固定されていて、前記補強部材60に達する複数の柱120が設けられ、隣接する前記柱120間に前記補強部材60まで達する耐力材200が設けられていることを特徴とする。
なお、耐力材200には、筋交い220及び面材(壁面材240)の両方が含まれる。
【0008】
本発明では、補強部材60が、該垂木70のうちの少なくとも一部の下面に垂木70に沿って固定されていることで、垂木70及び補強部材60が拘束(補強)されて両者が一体化することで、垂木70及び補強部材60の剛性が高くなり垂木70及び補強部材60の変形や移動が抑えられる。
棟梁30、母屋50及び桁梁40と、これらの間に架け渡される垂木70及びその下面の補強部材60とにより、屋根構面を構成することができる。垂木70は補強部材60により固定されていることで、垂木70及び補強部材60が一体となって剛性の高い屋根構面にすることができ、耐震性を向上させることができる。
【0009】
補強部材60に達する複数の柱120のうち、隣接する柱120間に補強部材60まで達する耐力材200が設けられていることで、この隣接する柱120間を耐力壁とすることができる。垂木70及び補強部材60が固定されて両者が一体化していることで、この補強部材60に達している耐力材200の剛性も高めることができる。
また、本発明では、垂木70及び補強部材60を固定して屋根構面の剛性を高くすることで十分に剛性の高い水平構面を確保している。そして、剛性が高まった屋根構面の補強部材60にまで耐力材200を到達させて耐力壁を設けている。これにより、水平構面の剛性を高くするための他の構造(例えば、火打ち梁や、小屋梁等)を少なくしたり、又は省略することが可能となる。耐力材200を屋根構面の補強部材60よりも低い位置に設けられる他の構造に固定させる必要が無く、経済的であり、室内空間をすっきりとした大空間にすることが可能となる。
【0010】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、前記耐力材200は筋交い220であることを特徴とする。
本発明では、隣接する柱120間の耐力材200は筋交い220であることにより、隣接する柱120間の内部に三角計の構造を作り、地震等の水平力を受けたときの変形を抑えることができ、隣接する柱120間を耐力壁として機能させることができる。さらに、この筋交い220は、垂木70の下面に固定された補強部材60に到達している。垂木70及び補強部材60が一体となって剛性が高められていることで、より強固な耐力壁を構成することができる。
【0011】
なお、ここで、筋交い220は、隣接する柱120間にクロス状(たすき掛け状)に2本の部材が設けられるものが含まれるが、隣接する柱120間に部材が斜めに1本だけ設けられるものも含まれる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は
、次の点を特徴とする。すなわち、
棟梁30、母屋50及び桁梁40間に架け渡される垂木70と平行に設けられている耐力壁構造であって、前記垂木70のうちの少なくとも一部の下面に該垂木70に沿った補強部材60が固定されていて、前記補強部材60に達する複数の柱120が設けられ、前記補強部材60の下面に、水平辺270を有するスペーサ部材260が固定され、
隣接する前記柱120間に耐力材200としての筋交い220が設けられ、前記筋交い220の上端は前記水平辺270に固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、筋交い220が隣接する柱120間にクロス状(たすき掛け状)に2本の部材が設けられるような場合、筋交い220の上端がスペーサ部材260の水平辺270に固定されることで同一の長さのものを用いることができる。
また、筋交い220を斜めに1本だけ設けるとき、強度設計により、いずれの斜め方向に設けるか変更するような場合にも、同一長さの部材で対応することができる。
これにより、筋交い220の部材の共通化を図ることができ、より経済的なものにすることができる。
【0013】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記補強部材60は、水平辺270を有し、前記筋交い220の上端は前記水平辺270に固定されていることを特徴とする。
本発明では、筋交い220が隣接する柱120間にクロス状(たすき掛け状)に2本設けられるような場合、筋交い220の上端が補強部材60の水平辺270に固定されることで同一の長さのものを用いることができる。
【0014】
また、筋交い220を斜めに1本だけ設けるとき、強度設計により、いずれの斜め方向に設けるか変更するような場合にも、同一長さの部材で対応することができる。
これにより、筋交い220の部材の共通化を図ることができ、長さの異なる筋交い220の部材を準備し管理する必要もなく、特殊な別部材(例えばスペーサ部材260)を準備して固定する必要もないので、現場施工を簡単なものにし、より経済的なものにすることができる。
(請求項5)
請求項5記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記耐力材200は面材(具体的には壁面材240)であることを特徴とする。
【0015】
本発明では、前記耐力材200を面材(壁面材240)にすることで、地震等により耐力材200に加わる力を面材(壁面材240)の辺に分散させることができ、耐力材200として筋交い220を用いるよりも荷重が集中することを抑えることができ、耐震性に優れた耐力壁を設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、垂木の一部を補強部材により補強して十分な剛性の屋根構面を確保し、この補強部材にまで耐力壁を設けることで、耐力壁の剛性を高めて耐震性を向上させることができ、経済的で室内大空間も確保することができて建物の快適
性を向上可能な耐力壁構造を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、耐力材として筋交いを設けたことにより、水平力を受けたときの変形を抑えることができ、隣接する柱間を耐力壁として機能させ、さらに、この筋交いは、垂木及び補強部材が一体となって剛性が高められた補強部材に到達していることで、より強固な耐力壁を構成することが可能な耐力壁構造を提供することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、筋交いの部材の共通化を図ることができ、より経済的なものにすることが可能な耐力壁構造を提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、筋交いの部材の共通化を図ることができ、さらにより経済的なものにすることが可能な耐力壁構造を提供することができる。
請求項5記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、荷重が集中することを抑えることができ、耐震性に優れた耐力壁を設けることが可能な耐力壁構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
本実施の形態における耐力壁構造は、木造の建物10における耐力壁に適用され得るものである。
図1に示すように、本実施の形態では、屋根は、一端から他端へ向かうに従って高さが次第に高くなるように傾斜した、いわゆる片流れ屋根である。この屋根構造における最も低い位置に設けられている水平材としての横架材20が、桁梁40であり、また、屋根構造における最も高い位置に設けられている水平材としての横架材20が、棟梁30である。また、本実施の形態では、屋根の勾配は「0.5/10」とされている。
【0020】
なお、便宜上、この建物10の棟梁30がある方の壁面を建物10の正面、桁梁40がある方の壁面を背面、建物10の正面から見たときの右側の側壁面を右側面(
図1の左側)、建物10の正面から見たときの左側の側壁面を左側面(
図1の右側)とする。
本実施の形態では、建物10は、地面に打設された基礎(図示せず)と、この基礎の上に載置され基礎に対してアンカーボルトで固定された土台15とを備えている。この土台15は、建物10の外壁線に沿って設けられ、土台15の上には、複数本の柱120が立設されている。
【0021】
建物10の外壁線上に複数本の柱120が配置され、これらの柱120の上に背面側(手前側)の外壁線に沿って水平に横架材20としての桁梁40が架け渡されている。また、正面側(奥側)の外壁線に沿って水平に横架材20としての棟梁30が架け渡されている。
また、桁梁40と棟梁30との間には、これらと平行にすなわち水平に1本の母屋50が設けられている。なお、母屋50の本数は、これに限定されるものではなく、2本以上設けてもよいものである。
屋根の勾配に沿って、横架材20(棟梁30、母屋50及び桁梁40)と直行するように、これらの複数の横架材20間に垂木70が架け渡されている。
【0022】
複数の垂木70のうち一部の下面に垂木70に沿った複数の補強部材60としての登り梁61が固定されている。
具体的には、棟梁30から母屋50や、桁梁40に向かって斜めに渡される補強部材60としての登り梁61が設けられている。この登り梁61は、上述した屋根の勾配に沿って設けられているものである。具体的には、棟梁30から桁梁40まで3本の登り梁61が設けられ、棟梁30から母屋50まで1本の登り梁61が設けられている。これらの登り梁61は、横架材20(棟梁30、母屋50及び桁梁40)と直行する。
【0023】
補強部材60としての登り梁61が設けられている箇所では、垂木70の下面が登り梁61の上面に釘により固定されている。その他の垂木70は、棟梁30、母屋50及び桁梁40の上に載せるようにして配置され、これらの横架材20と交差する位置で、これらの横架材20にそれぞれ釘により固定されている。
垂木70の上には、面材としての野地板130が設けられている(
図3、4参照)。この野地板130は複数の垂木70に跨がるように配置されて、垂木70に固定されているものである。なお、特に図示していないが、この野地板130の上には、防水シートや、屋根表面材が設けられる。
【0024】
この建物10の左側面及び正面の角部付近の屋根の一部において、複数の横架材20と、複数の補強部材60とで囲まれた空間の四囲に枠体80が形成されている。この枠体80は、一方の妻側において、横架材20としての棟梁30及び母屋50と、2本の登り梁61(補強部材60)とで囲まれた空間の四囲に枠状に形成され、上から見ると正方形状に形成されている。この枠体80は、釘により棟梁30、母屋50、2本の登り梁61に固定されている。さらに、この枠体80の内部には、棟梁30及び母屋50と平行な3本の補強受材110が渡されている。
枠体80及び補強受材110の下面には、補強面材90(
図1中の斜線部分)が釘により固定されている。具体的には、2枚の長方形状の補強面材90を並べて配置して、全体として枠体80の正方形状に開口する部分を塞ぐように固定されている(
図2参照)。補強面材90は、枠体80を介して横架材20(棟梁30及び母屋50)と登り梁61(補強部材60)とに固定されている。
【0025】
図2に示すように、枠体80は、2本の横架材20(棟梁30及び母屋50)と、2本の補強部材60(登り梁61)とで囲まれた内側面側に締結部材280としての釘により固定されている。2枚の補強面材90は、枠体80の下面側に締結部材280としての釘により固定されている。
なお、補強面材90は、長方形状のものを2枚用いて、正方形状の枠体80の下面側を塞ぐように固定されているが、補強面材90の形状は特にこれに限定されるものではない。枠体80の下面側の正方形状の開口に整合するような正方形状の1枚の面材を用いてもよく、さらに、3枚以上の長方形状の面材を並べて固定してもよいものである。
【0026】
また、枠体80の横架材20(棟梁30及び母屋50)及び補強部材60(登り梁61)への固定手段(締結部材280)も、釘に限定されるものではなく、ネジでもよいものであり、また、両者を固定できるような取り付け金具を用いてもよいものである。
また、補強面材90の枠体80への固定手段(締結部材280)も釘に限定されるものではなく、ネジでもよいものであり、また、両者を固定できるような取り付け金具を用いてもよいものである。
図3に示すように、母屋50の側面に締結部材280としての釘により枠体80が固定され、この枠体80の下面に補強面材90が締結部材280としての釘により固定されている。
【0027】
母屋50の上面には、母屋50と直交する方向に垂木70が固定されている。また、母屋50の上面には、垂木70間に設けられて垂木70の移動や変形を抑えるためのいわゆる転び止めとしての拘束部材100が締結部材280としての釘により固定されている。母屋50の下部側面には、天井廻り縁150が固定され、この天井廻り縁150の上面に天井材140が固定されている。
図4に示すように、登り梁61の上面に垂木70が釘(締結部材280)により固定されている。補強部材60としての登り梁61の側面に枠体80が釘(締結部材280)により固定され、この枠体80の下面に補強面材90が釘(締結部材280)により固定されている。垂木70間には、いわゆる転び止めとしての拘束部材100が固定されている。
【0028】
図5に示すように、
図1の建物10の右側面図(
図1の矢印C方向から見たもの)において、建物10の正面側(棟梁30側)の柱120と、これに隣接する中央側(母屋50側)の柱120との間に土台15から補強部材60(登り梁61)に達する耐力材200としての筋交い220が設けられている。
この筋交い220(2本の部材)は、隣接する2本の柱120と、土台15と、補強部材60(登り梁61)とにより構成される台形状の対角線上にクロス状(たすき掛け状)に設けられている。この筋交い220の各部材は、下端において、土台15及び柱120により構成される入り隅状の角部において、金属金具(図示せず)により土台15及び柱120に固定されている。また、この筋交い220の各部材は、上端において、補強部材60(登り梁61)及び柱120により構成される入り隅状の角部において、金属金具(図示せず)により補強部材60(登り梁61)及び柱120に固定されている。
【0029】
なお、この筋交い220の2本の部材の長さは、補強部材60(登り梁61)が傾斜しているため、異なるものとなっている。
この建物10の右側面側は壁が形成されるものであるが、筋交い220が設けられている領域(
図5の左半分)の壁は耐力壁となり、筋交い220が設けられていない領域(
図5の右半分)の壁は非耐力壁となる。
また、この建物10の右側面側の垂木70の下面に補強部材60が釘(締結部材280)により固定されている。
【0030】
なお、筋交いの上端及び下端の固定は、前記金属金具(図示せず)を用いることに限定されるものではなく、釘やネジ等により固定してもよいものである。
(作用及び効果)
本実施の形態では、補強部材60が、垂木70の一部の下面に垂木70に沿って固定されていることで、垂木70が拘束(補強)され剛性が高くなり垂木70の変形や移動が抑えられる。
複数の横架材20(棟梁30、母屋50及び桁梁40)と、複数の横架材20間に架け渡される複数の垂木70及びその下面の補強部材60(登り梁61)とにより、屋根構面の一部を構成することができる。垂木70は補強部材60により固定されていることで、垂木70及び補強部材60が一体となって剛性の高い屋根構面にすることができ、耐震性を向上させることができる。
【0031】
枠体80が、複数の横架材20(棟梁30及び母屋50)と複数の補強部材60(登り梁61)とで囲まれた空間の四囲に形成されている。枠体80の下面側の端面に、補強面材90の表面を当接させて釘で固定することにより、簡単に両者を固定することができる。また、枠体80を用いて、この枠体80の下面に補強面材90を当接して固定させている。このため、組み立て作業において、横架材20及び補強部材60の取り付け位置の寸法精度の誤差が大きいような場合であっても、枠体80を取り付ける際に、前記下面への補強面材90の取り付け位置を調整することで、その誤差を調整することが可能となり、補強面材90の取り付けを容易なものにすることができる。
【0032】
さらに、この枠体80の下面に補強面材90が固定されていることで、枠体80が拘束され、枠体80の変形が抑えられる。これにより、この枠体80が固定されている複数の横架材20及び複数の補強部材60も拘束されて変形が抑えられ、結果として、横架材20及び補強部材60により構成される屋根構面の剛性をさらに高くすることができる。
さらに、枠体80の内側には、補強面材90を受けるための補強受材110が渡されている。この補強受材110により補強面材90と枠体80との固定を強固なものにすることができ、枠体80及びこの枠体80が固定された横架材20及び補強部材60(登り梁61)の剛性もさらに増すことができる。
【0033】
本実施の形態では、一部の垂木70の下面に補強部材60(登り梁61)が固定されているため、その垂木70の剛性が高まり、垂木70の変形や移動が抑えられる。これにより、垂木70の変形や移動等を阻止するためのいわゆる転び止めとしての拘束部材100の成を通常よりも低くすることができる。具体的には
図3に示すように断面が長方形状の拘束部材100(転び止め)を横に倒した状態でも十分な垂木70の拘束が確保される。これにより、拘束部材100(転び止め)の断面形状の下端から上端までの高さを低くすることができ、拘束部材100(転び止め)と野地板130との間のスペースを通常よりも空けることができ、結果として、天井裏の空気の移動(
図3の黒矢印)を良好なものにすることができ、天井裏の通気性能を向上させることができる。これにより、天井裏の換気のために連通する通路を設ける必要がなく、天井面を屋根の勾配に沿って屋根の近くまで高い位置に設けることができる。結果として、さらに天井高さを高くすることができることで室内の空間を増加させることができる。
【0034】
ここで、通常の建物10では水平構面は、(1)屋根面と、(2)天井面又は小屋梁面との両方で構成するのが基本となっている。それに対して、本実施の形態では、(1)の剛性が高い屋根構造による屋根構面により十分に剛性の高い水平構面を確保することができ、(2)の天井面や小屋梁面で水平構面を確保するための構造を不要にすることができる。これにより、火打ち梁等の室内側に突出するものを省略することができ、室内空間を火打ち梁等の突出するものや、小屋梁面等が無いすっきりとした大空間にすることができる。
【0035】
さらに、具体的に説明する。
図5に示すように、本実施の形態では、補強部材60に達する複数の柱120のうち、隣接する柱120間に補強部材60まで達する耐力材200としての筋交い220が設けられていることで、この隣接する柱120間を耐力壁とすることができる。垂木70及び補強部材60が固定されて両者が一体化していることで、この補強部材60に達している耐力材200の剛性も高めることができる。
本実施の形態では、隣接する柱120間の耐力材200は筋交い220であることにより、隣接する柱120と、補強部材60(登り梁61)と、土台15とにより構成される長方形の構造体の内部に三角計の構造を作り、地震等の水平力を受けたときの変形を抑えることができ、隣接する柱120間を耐力壁として機能させることができる。さらに、この筋交い220は、垂木70の下面に固定された補強部材60に到達している。垂木70及び補強部材60が一体となって剛性が高められていることで、より強固な耐力壁を構成することができる。
【0036】
本実施の形態では、垂木70及び補強部材60を固定して屋根構面の剛性を高くすることで十分に剛性の高い水平構面を確保している。そして、剛性が高まった屋根構面の補強部材60(登り梁61)にまで耐力材200としての筋交い220を到達させることで耐力壁を設けている。これにより、水平構面の剛性を高くするために屋根構面よりも低い位置に設けられる他の構造(例えば、火打ち梁や、小屋梁等)を省略することができる。耐力材200としての筋交い220を屋根構面の補強部材60よりも低い位置に設けられる小屋梁等の他の構造に固定させる必要が無く、経済的であり、室内空間をすっきりとした大空間にすることが可能となる。
【0037】
なお、ここで、筋交い220は、隣接する柱120間にクロス状(たすき掛け状)に2本の部材が設けられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、隣接する柱120間に部材が斜めに1本だけ設けられるものでもよいものである。
上述した実施の形態では、複数の垂木70のうち3本のみに補強部材60(登り梁61)を設けて垂木70及び補強部材60を固定しているが、特にこれに限定されるものではない。補強部材60は、1本、2本、又は4本以上設けてもよく、補強部材60を垂木70の2本おきに設けたり、1本おきに設けたり、また、全ての垂木70に設けるようにしてもよいものである。
【0038】
また、補強部材60として登り梁61を用いているが、補強部材60は登り梁61に限定されるものではなく、垂木70を固定して、垂木70の剛性を高めることができるものであれば登り梁61とは別の他の形状を有する他の部材でもよい。
また、補強部材60は、垂木70に固定されて垂木70の剛性を高めることができるものであれば、木質に限定されるものではなく、垂木70に沿って固定可能な金属金具等であってもよい。
上述した実施の形態では、屋根構造のうち全体の約6分の1程度のごく一部の領域に1個だけ枠体80を設け、この枠体80の下面に補強面材90を設けているが、これに限定されるものではなく、屋根構造の対角線上の角部に1個ずつ合計2個形成してもよい。また、屋根構造の4つの角部に合計4個形成するようにしてもよい。また、屋根構造を格子状の複数の領域に分割して補強面材90を市松模様状に交互に配置して補強面材90の各辺に隣接する箇所には補強面材90を設けないようにしてもよい。また、屋根構造の全ての部分に枠体80及び補強面材90を設けてもよいものである。
【0039】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、第1の実施の形態の
図5の代わりに
図6を用いるものである。
第1の実施の形態では、
図5に示すように、垂木70に沿って斜めに配置された補強部材60の下部に耐力材200としての筋交い220を直接、固定していた。
本実施の形態では、
図6に示すように、補強部材60の下面に水平辺270を有する台形状のスペーサ部材260を固定し、耐力材200としての筋交い220の上端は、このスペーサ部材260の水平辺270に固定することを特徴とするものである。
【0040】
すなわち、筋交い220の上端は、柱120とスペーサ部材260の水平辺270とにより構成される入り隅状の角部に固定されるものである。筋交い220は、隣接する2本の柱120と、土台15と、スペーサ部材260の水平辺270とにより構成される長方形の対角線上に設けられる。この筋交い220は、クロス状(たすき掛け状)に2本の部材により設けられるが、前記長方形の対角線の長さは同一となるため、2本の部材の長さも同一のものが用いられる。
本実施の形態では、筋交い220の2本の部材の上端がスペーサ部材260の水平辺270に固定されることで、同一の長さのものを用いることができる。また、筋交い220を斜めに1本だけ設けるとき、強度設計により、いずれの斜め方向に設けるか変更するような場合にも、同一長さの部材で対応することができる。これにより、筋交い220の部材の共通化を図ることができ、長さの異なる筋交い220の部材を準備し管理する必要もなく、より経済的なものにすることができる。
【0041】
なお、上述したスペーサ部材260を用いること以外の構成や作用や効果は、第1の実施の形態と同一であってそれらの説明を省略する。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、第1の実施の形態の
図5の代わりに
図7を用いるものである。
第1の実施の形態では、
図5に示すように、垂木70に沿って斜めに配置された補強部材60の下端面に筋交い220を固定するものであり、その補強部材60の下端面も垂木70の傾斜と同様に傾斜していた。
【0042】
本実施の形態では、
図7に示すように、補強部材60の形状が台形状であって、下端面に水平辺270を有しているものである。筋交い220の上端は、その補強部材60の下端面の水平辺270に固定されることを特徴としているものである。
すなわち、筋交い220の上端は、柱120と台形状の補強部材60の水平辺270とにより構成される入り隅状の角部に固定されるものである。筋交い220は、隣接する2本の柱120と、土台15と、台形状の補強部材60の水平辺270とにより構成される長方形の対角線上に設けられる。この筋交い220は、クロス状(たすき掛け状)に2本の部材により設けられているが、前記長方形の対角線の長さは同一となるため、2本の部材の長さも同一のものが用いられる。
【0043】
本実施の形態では、筋交い220の2本の部材の上端が補強部材60の水平辺270に固定されることで同一の長さのものを用いることができる。これにより、筋交い220の部材の共通化を図ることができ、長さの異なる筋交い220の部材を準備し管理する必要もなく、特殊な別部材(例えばスペーサ部材260)を準備して固定する必要もないので、現場施工を簡単なものにし、より経済的なものにすることができる。
なお、上述した水平辺270を有する台形状の補強部材60を用いること以外の構成や、作用や、効果は、第1の実施の形態と同一であってそれらの説明を省略する。
【0044】
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、第1の実施の形態の
図5の代わりに
図8を用いるものである。
第1の実施の形態では、
図5に示すように、耐力材200として筋交い220が用いられることで耐力壁が構成されていた。
本実施の形態では、
図8に示すように、耐力材200は、面材(具体的には壁面材240)が用いられることで耐力壁が構成されているものである。
本実施の形態では、隣接する2本の柱120と、土台15と、垂木70の下面に斜めに固定されている補強部材60とにより構成される台形状の空間領域を埋める壁面材240が固定されているものである。すなわち、この壁面材240の下辺が土台15に固定され、壁面材240の側辺の一方が左側の柱120に固定され、壁面材240の側辺の他方が右側の柱120に固定され、壁面材240の上辺が補強部材60の下端に固定されているものである。なお、特に図示していないが、各辺の固定は、釘により行われている。もちろん、固定手段は、釘に限定されるものではなく、ネジ等の他の締結部材280であってもよく、また、金属金具等で固定してもよいものである。
【0045】
本実施の形態では、前記耐力材200を面材(壁面材240)にしたことで、地震等により耐力材200に加わる力を壁面材240の各辺の全長に分散させることができ、耐力材200として筋交い220を用いるような場合よりも荷重の集中を抑えることができ、耐震性に優れた耐力壁を設けることができる。
なお、耐力材200として上述した面材を筋交い220の代わりに用いること以外の構成や、作用や、効果は、第1の実施の形態と同一であってそれらの説明を省略する。
(第5の実施の形態)
上述した第1〜4の実施の形態では、平屋(1階建て)の建物10に適用されていたものであるが、本実施の形態では、
図9及び
図10に示すように2階建ての建物10に適用されているものである。
【0046】
本実施の形態では、2階の傾斜した屋根の垂木70の下面に補強部材60としての登り梁61が固定されているものである。その補強部材60に達する複数の柱120が設けられ、隣接する柱120間の一部に補強部材60まで達する耐力材200としての筋交い220が設けられている。
上述した第1〜4の実施の形態では、耐力材200の下端は土台15に固定されていたが、本実施の形態では、2階の壁に設けられる耐力材200は、土台15の代わりに1階と2階との間の胴差300に固定されているものである。
【0047】
また、本実施の形態では、2階の壁において、第2の実施の形態と同様に補強部材60の下端に水平辺270を有するスペーサ部材260が固定されてあり、このスペーサ部材260と柱120との間の入り隅状の角部に耐力材200としての筋交い220が固定されている。
なお、2階の壁において、耐力材200の上端は、スペーサ部材260を設けずに第1の実施の形態と同様に傾斜する補強部材60の下端に固定してもよく、また、第3の実施の形態と同様に水平辺270を有する補強部材60の下端に固定してもよい。また、第4の実施の形態と同様に耐力材200として筋交い220ではなく面材(壁面材240)により耐力壁を構成してもよいものである。それらの構成や、作用や、効果は、各実施の形態で説明したものと同様であるのでそれらの説明は省略する。