【実施例】
【0015】
(パチンコ機)
図1〜
図3に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠(本体部材)としての中枠12がヒンジ32,33を介して開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置(図示せず)が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された板状の透視保護部材17(
図9参照)で前後に開口する窓口(可視部)35を覆うよう構成された装飾枠として前枠(前面部材)13がヒンジ32,33を介して開閉可能に組み付けられている。また、前記外枠11と中枠12とおよび中枠12と前枠13の夫々は、前記ヒンジ32,33とは反対側の側部(開放端)に設けられた施錠機構(図示せず)により相互に閉鎖した閉鎖状態に保持されて、パチンコ機10の前面側から鍵により解錠操作することで開放し得るよう構成されている。そして、前枠13の前面下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14および下球受け皿15が上下に離間して設けられており、前枠13と一体的に上下の球受け皿14,15を中枠12に対して開閉可能に構成されている。なお、図柄表示装置としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置や、ドラム式の図柄表示装置、ドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0016】
図1に示すように、前記パチンコ機10の前面右下部には、中枠12に配設された打球発射装置18を作動させる操作ハンドル16が設けられている。前記操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置18(
図3参照)が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20の遊技領域20aに向けて1球ずつ発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置18によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aの回動量を調節することで、前記遊技領域20aへのパチンコ球の発射位置(到達位置)を任意に変更し得るようになっている。なお、実施例では前枠13の前面右下部に操作ハンドル16を設けてあるが、中枠12や球受け皿等に操作ハンドル16を設けることも可能である。また、実施例では、上下の球受け皿を前枠13に設けるよう構成したが、当該上下の球受け皿の一方または両方を前記中枠12の前面に対して個別に開閉可能に組み付けるようにしてもよく、また球受け皿を1つだけ備える構成とすることも可能である。
【0017】
(遊技盤)
図1に示すように、前記遊技盤20は、ベニヤ材や合成樹脂材により形成された略矩形状の板部材の前面(盤面)に、略円形状に湾曲させた案内レール21が配設されており、該案内レール21により画成される略円形の遊技領域20aに、中枠12に配設された打球発射装置18から発射されたパチンコ球が打ち出されるようになっている。また、遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が適宜位置に開設されており、各装着口に対して遊技盤設置部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域20aの最下部位置には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口22が開設されている。実施例の遊技盤20には、遊技領域20aの略中央で開口する装着口に、前後に開口する表示開口部(開口部)23aが形成されたセンター役とも称される枠状装飾体23が取り付けられ、該枠状装飾体23の表示開口部23aを介して図柄表示装置の表示部68が遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。枠状装飾体23は、遊技盤20の盤面より前側に突出する庇状に形成されており、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を枠状装飾体23の右側または左側に流下するように案内し得るようになっている。なお、遊技盤20には、遊技領域20a内に多数の遊技釘が設けられると共に、枠状装飾体27の左側方に、遊技領域20aを流下するパチンコ球の接触に伴って回転する所謂「風車」とも称される回転案内部材が回転自在に支持されており、遊技領域20aを流下するパチンコ球が遊技釘や回転案内部材に接触することで、流下方向が不規則に変化するよう構成されている。
【0018】
図1に示すように、前記遊技盤20には、前記遊技盤設置部品として、パチンコ球が入賞可能な各種の入球部(始動入賞部24、特別入賞部25、普通入賞部26、ゲート部27等)や、装飾部品等の各種の遊技盤設置部品が設けられており、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が入賞部に入賞することで、遊技者に有利な大当り遊技等の特別遊技状態を生起させるか否かの当り判定や、所定数の賞球の払い出し等が行われることで、所期の遊技が行われるようになっている。具体的に、パチンコ球の入球(入賞)を契機として当り判定が行われる始動入賞部24や、特別遊技状態の発生に伴ってパチンコ球が入球(入賞)可能となる特別入賞部25、始動入賞部24として入賞口を開閉可能な可変始動入賞部を備える場合に、パチンコ球の入球を契機として入賞口を開放するか否かの開放判定が行われるゲート部27が遊技盤20に配設されている。また、前記遊技盤20の裏側には、可動演出装置や発光演出装置等の各種の演出装置が配設された設置部材(何れも図示せず)が備えられており、前記図柄表示装置の表示に合わせて演出装置が作動されるよう構成してある。
【0019】
(操作手段)
図1および
図2に示すように、前枠13における上球受け皿14の左側には、操作手段28を構成する操作ボタン29および別の操作手段を構成する操作スイッチ30が設けられている。操作ボタン29および操作スイッチ30は、遊技者の手が届く前枠13の前側に配置されており、遊技者により操作可能になっている。操作ボタン29は、発光装置が内蔵されて上球受け皿14の上面より突出する大型の意匠体であって、上球受け皿14においてパチンコ球を貯留する上部球貯留部42の右側に配置されている。そして、操作ボタン29および操作スイッチ30を操作することで、パチンコ機10の遊技状態(演出種類選択用演出が行われる状態、操作変化系演出で演出を変化させる状態、デモ演出モード等)に応じて各種遊技演出(演出種類選択用演出、操作変化系演出、バトル演出など)を実行可能に構成される。なお、操作ボタン29および操作スイッチ30は、何れも押しボタンである。
【0020】
(中枠)
図3に示すように、前記中枠12は、上縁をなす上フレーム部と、下縁をなして、打球発射装置18等が設置された下フレーム部と、左側縁をなす左フレーム部と、右側縁をなす右フレーム部とから構成され、全体が外枠11の開口に整合する矩形枠状に形成される。中枠12には、遊技盤20を前側から着脱可能に設置し得る遊技盤保持部19が設けられ、中枠12の下枠部前面に、打球発射装置18が配設されている。そして、中枠12は、外枠の左上および左下に設けられた上下のヒンジ32,33を介して該外枠11に支持され、中枠12は外枠11に対して左側端部を中心として開閉し得るようになっている。なお、中枠12は、上下左右の各フレーム部が一体成形されたものであってもよい。
【0021】
(前枠)
図3および
図9に示すように、前記前枠13は、中枠12の外郭形状に略合致する板状に形成されると共に前後方向に開口する窓口35が開設された前枠ベース部材34と、この前枠ベース部材34の下方前側に固定される前枠設置基体36とを備えている。前枠ベース部材34における窓口35の上側に延在する上枠部34aの前側には、前方に膨出して後側に開放する略箱形状に形成された上部装飾カバー37が取り付けられている。また、前枠ベース部材34における窓口35の左側に延在する左枠部34bの前側には、前方に膨出して後側に開放する略箱形状に形成された左部装飾カバー38が取り付けられている。更に、前枠ベース部材34における窓口35の右側に延在する右枠部34cの前側には、前方に膨出して後側に開放する略箱形状に形成された右部装飾カバー39が取り付けられている。すなわち、窓口35は、上および左右の装飾カバー37,38,39によって囲われている。前枠ベース部材34において、上および左右の枠部34a,34b,34cには、前方に向けて光を照射し得る前枠発光体41が複数実装された前枠発光基板が夫々配設されており(
図9参照)、前枠発光体41から照射した光によって該枠部34a,34b,34cの前側を覆う装飾カバー37,38,39の所定領域を発光させ得るよう構成されている。また、前枠ベース部材34の上部には、左右に離間して2つの音出力部S1,S2が配設されている(
図1参照)。
【0022】
(前枠設置基体)
図10に示すように、前記前枠設置基体36は、前枠ベース部材34における窓口35の下側に延在する下枠部34dと略同じ外郭形状に形成された板状部材であり、下枠部34dの後側からネジ止めすることで該下枠部34dの前側に固定される。前枠設置基体36には、その前面の上部左側に、上球受け皿14においてパチンコ球を貯留する部分を画成する皿状の上部球貯留部42が取り付けられ、その前面の下部左側に、下球受け皿15においてパチンコ球を貯留する部分を画成する皿状の下部球貯留部43が取り付けられている(
図12参照)。また、前枠設置基体36には、その前面の上部右側に、操作ボタン29を有する操作手段28を支持する支持ベース44および該支持ベース44の下方に延在して該支持ベース44を支持可能な載置ベース45が取り付けられている。なお、支持ベース44および載置ベース45は何れも金属製である。更に、前枠設置基体36には、その前面の下部右側に、前記操作ハンドル16が取り付けられている。そして、前枠設置基体36の前面には、載置ベース45の下側や、下部球貯留部43および操作ハンドル16の間のスペースに、下部スピーカーユニット100が配設されると共に、上部球貯留部42の下側で、下部球貯留部43の左側のスペースに照明手段160,180の1つである第1照明手段160が配設されている。
【0023】
図1および
図10に示すように、前記前枠設置基体36には、上部球貯留部42の前側を覆って上部球皿装飾カバー46が取り付けられ、該上部球皿装飾カバー46によって上球受け皿14の意匠面が構成されている。また、前枠設置基体36には、下部球貯留部43および下部スピーカーユニット100の前側を覆って下部球皿装飾カバー(カバー部材)47が取り付けられ、該下部球皿装飾カバー47によって下球受け皿15の意匠面が構成されている。更に、前枠設置基体36には、操作手段28の前側を覆ってボタン装飾カバー48が取り付けられ、このボタン装飾カバー48が前枠13における下部右側部分の意匠面を構成している。なお、前枠13における下部左側部分の意匠面は、第1照明手段160を構成する下部装飾体166(装飾体)によって構成される。
【0024】
(スピーカーユニット)
図12および
図26に示すように、前記前枠13は、遊技に関する効果音や音声、警告音などの各種の音を出力し得るスピーカー52A,52B,102と、このスピーカー52A,52B,102が取り付けられ、スピーカー52A,52B,102の裏から出た音を遮断するエンクロージャー54A,54B,104とからなるスピーカーユニット50A,50B,100を複数備えている。複数のスピーカーユニット50A,50B,100は、前枠13の上部と下部とに分けて配置され、実施例では遊技盤20の遊技領域20aが臨む前記窓口35の上側と下側との夫々にスピーカーユニット50A,50B,100が配設されている。前枠13における窓口35の上側には、左右に離間して2基の上部スピーカーユニット(第1のスピーカーユニット)50A,50Bが配設されており(
図11参照)、前枠13における窓口35の下側には、1基の下部スピーカーユニット(第2のスピーカーユニット)100が配設されている(
図12参照)。
【0025】
前記上部スピーカーユニット50A,50Bは、上部スピーカー(スピーカー)52A,52Bが取り付けられる密閉型の上部エンクロージャー(エンクロージャー)54A,54Bを有し、前枠13の上部左隅に配設される第1上部スピーカーユニット50Aおよび前枠13の上部右隅に配設される第2上部スピーカーユニット50Bは、何れも上部エンクロージャー54A,54Bが密閉型である。下部スピーカーユニット100は、下部スピーカー(スピーカー)102が取り付けられるバスレフ型の下部エンクロージャー(エンクロージャー)104を有している。このように、実施例のパチンコ機10では、各種の音の出力を担うスピーカーユニット50A,50B,100の全てが前枠13に配設されており、中枠12などの前枠(前面部材)13の後側に配置される機体(本体部材)には、スピーカー単体またはスピーカーを含むスピーカーユニットが配設されていない(
図3参照)。また、パチンコ機には、前枠13の上部と下部とに、密閉型またはバスレフ型のタイプの異なるエンクロージャー54A,54B,104を有するスピーカーユニット50A,50B,100が配設されている。
【0026】
(上部スピーカーユニット)
前記左右の上部スピーカーユニット50A,50Bは、部品構成および前枠13に対する設置構成が基本的に同じであるので、左側の上部スピーカーユニット50Aを参照して共通する部分について説明する。
図26に示すように、左右の上部スピーカーユニット50A,50Bは、その形状がおおよそ左右対称であり、大きさもほぼ同じに設定されている。すなわち、左右の上部スピーカーユニット50A,50Bは、音に関する能力が同じになるように設定されている。左右の上部スピーカーユニット50A,50Bを区別する場合は、前枠13を開閉可能に支持するヒンジ32,33側を第1上部スピーカーユニット50Aといい、符号の末尾に「A」を付す。また、前枠13の開放端側を第2上部スピーカーユニット50Bといい、符号の末尾に「B」を付す。なお、左右の上部スピーカーユニット50A,50Bの共通する部分の説明においては、符号の末尾の「A」または「B」を省略する。
【0027】
図13および
図14に示すように、前記上部スピーカーユニット50は、箱状に形成された上部エンクロージャー54の前面にスピーカー開口56が開設されており、このスピーカー開口56に振動板53を整合させて上部スピーカー52が該上部エンクロージャー54の内側から取り付けられている。すなわち、上部スピーカーユニット50では、上部スピーカー52が振動板53をスピーカー開口56を介して前側に臨ませた状態で上部エンクロージャー54に内部画成された空気室57内に収容されている(
図15(b)および(c)参照)。
【0028】
(上部エンクロージャー)
図13および
図14に示すように、前記上部エンクロージャー54は、後側に開放した箱状の前箱分体58と、この前箱分体58の後側開口を塞ぐように該前箱分体58に取り付けられる後箱分体60とから箱状に構成されている。前箱分体58の前壁(設置面)58aには、円形状の前記スピーカー開口56が開設されており、このスピーカー開口56は、上部スピーカー52を前箱分体58の前壁58a内側に取り付けることで密閉されるようになっている。また、前箱分体58の後端縁は、外側に比べて内側が凹む段状に形成されている。後箱分体60は、前側に開放して後側が閉塞した有底円筒状の器状部60aと、この器状部60aの前縁から外方へ延出する鍔状部60bとからなり、前箱分体58の後端縁に合わせて鍔状部60bの外周縁形状が形成されている。また、後箱分体60における鍔状部60bの外周縁は、外側と比べて内側が前方に突出する段状に形成されており、両箱分体58,60を組み合わせた際に、前箱分体58の後端縁の段状部分と後箱分体60の外周縁の段状部分とが互いに噛み合うようになっている(
図15(b)および
図18(a)参照)。そして、両箱分体58,60はネジ止め固定されると共に、互いに当接する縁部が接着剤で接合され、スピーカー開口56と上部スピーカー52との間や両箱分体58,60の間などから空気の流通がない密閉された空気室57を有する上部エンクロージャー54が構成される。両箱分体58,60は、光を透過可能に構成されており、実施例では無色透明である。すなわち、上部エンクロージャー54は、全体として光を透過可能な透過部材としても機能し、前枠ベース部材34に配設された前枠発光体41から照射された光を透過し得るようになっている。
【0029】
前記上部エンクロージャー54は、前記両箱分体58,60によって構成される中空の箱状本体から前枠13における前枠ベース部材34の前面(取付面)に沿って外方へ延出するよう形成された上部ユニット取付部(取付部)62を複数有している(
図13および
図14参照)。上部エンクロージャー54は、上部ユニット取付部62を介して前枠ベース部材34の前面に設けられた取付ボス(図示せず)に前側からネジ止めすることで前枠ベース部材34に取り付けられ、この際に、鍔状部60bの後面が前枠ベース部材34の前面に対向すると共に該鍔状部60bよりも後方に突出する器状部60aが、前枠ベース部材34に前後に貫通形成されたユニット開口49に嵌まるようになっている(
図3参照)。このように、上部エンクロージャー52は、器状部60aをユニット開口49に嵌め合わせて前枠ベース部材34に配設することで、前枠ベース部材34の厚みを用いて該前枠ベース部材34から後方への突出量を小さくしている。上部ユニット取付部62は、前箱分体58に設けられており、前箱分体58には、左右方向内側の縁部から窓口35の開口縁に略沿うように延出する2つの上部ユニット取付部62,62と、左右方向外側の縁部から窓口35の開口縁に略沿うように延出する1つの上部ユニット取付部62とを有している。なお、上部ユニット取付部62は、後側に開口する凹状に形成されて、前枠ベース部材34の取付ボスを収納可能になっている。
【0030】
前記上部エンクロージャー54は、スピーカー開口56が開設されて前記上部スピーカー52が設置される前壁58aが下から上に向かうにつれて前方に傾くように形成され、後箱分体60における鍔状部60bの後面が、前枠ベース部材34の前面に合わせて鉛直に形成されている。上部スピーカー52は、前記前壁58aの内側に取り付けられて、振動板53を前斜め下向きに指向させて前から後に向かうにつれて上方傾斜する姿勢で空気室57に収容され、その後部が器状部60aの内側に位置している。上部エンクロージャー54は、空気室57を画成する箱状本体が、前後寸法よりも窓口35の開口縁(可視部の縁辺)に沿って広くなるように形成され、前枠ベース部材34の前側で空気室57を広げて該空気室57の内容積を確保している(
図26参照)。上部エンクロージャー54は、窓口35側の縁部が該窓口35の開口縁形状に合わせて形成され、該窓口35側の縁部が窓口35の開口縁に沿って延在するようになっている。
【0031】
前記上部エンクロージャー54は、前側に指向させて上部スピーカー52が配設される前記前壁58aよりも前側へ膨出形成された膨出部63によって内容積を拡張するよう構成されている(
図13および
図14参照)。膨出部63は、前箱分体58における左右方向外側の縁部に、前壁58aに設けられたスピーカー開口56に沿って延在するように設けられている。また、膨出部63は、前箱分体58において後箱分体60の鍔状部60bの前側に位置する部分に設けられ、前枠ベース部材34の前側で空気室57を画成する前箱分体58と鍔状部60bとの間が、膨出部63の存在によって前壁58aと鍔状部60bが対向する部分よりも前側に拡張されている。ここで、膨出部63は、前壁58aから左右方向外側に向けて傾斜する傾斜面と鍔状部60bの外周縁から左右方向内側に向けて傾斜する傾斜面が交わる尖った凸形状に形成されている。
【0032】
図26に示すように、前記上部エンクロージャー54には、左右方向外側の上部に、上方および左右方向外方へ開放する略L字状に切り欠いて切欠部64が形成されている。左側の第1上部エンクロージャー54Aを前枠ベース部材34に取り付けた際に、前枠ベース部材34の左上角隅において前方へ角箱状に突出する上ヒンジ部32が、切欠部64に収まるようになっている。右側の第2上部エンクロージャー54Bを前枠ベース部材34に取り付けた際に、前枠ベース部材34の左上角隅において前方へ角箱状に突出するセンサ収容部31が、切欠部64に収まるようになっている。なお、センサ収容部31は、前枠13の開放を検知する前枠開放検知センサ(図示せず)が収納される部分である。このように、左側の第1上部エンクロージャー54Aは、前枠ベース部材34の前面側において上ヒンジ部32の横側および下側のスペースに延在するように設けられ、また、右側の第2上部エンクロージャー54Bは、前枠ベース部材34の前面側においてセンサ収容部31の横側および下側のスペースに延在するように設けられ、前枠ベース部材34の上右角部に空気室57が広がっている。
【0033】
(音出力部)
図15〜
図19に示すように、前記左右の上部スピーカーユニット50A,50Bは、該上部スピーカーユニット50A,50Bの前側に配設されて該上部スピーカーユニット50A,50Bを覆うホーン部材70,80と共に音出力部S1,S2を夫々構成している。ここで、前枠13の上部には、左角隅部に位置して、第1ホーン部材70によって該前枠13における上部左側の意匠を構成する第1音出力部S1と、右角隅部に位置して、第2ホーン部材80によって該前枠13における上部左側の意匠を構成する第2音出力部S2とが設けられている(
図1および
図2参照)。このように、前枠13には、第1音出力部S1がヒンジ32,33側に設けられ、第2音出力部S2が該前枠13の開放端側に設けられている。前述したように、左右の上部エンクロージャー54A,54Bは、その外形がおおよそ左右対称な形状に形成されると共に、大きさがほぼ同じに設定されており、空気室57の容積もほぼ同じになっている(
図26参照)。また、左右の上部スピーカーユニット50A,50Bは、前枠ベース部材34への取り付け姿勢もおおよそ左右対称になっている。これに対して、第1音出力部S1と第2音出力部S2とは、前枠13の前面を構成する意匠形状の上下左右寸法および前後寸法が異なっており、第1音出力部S1における前枠13の前面を構成する意匠形状が、第2音出力部S2における前枠13の前面を構成する意匠形状よりも小さくなるよう構成されている(
図1,
図2および
図11参照)。すなわち、第1音出力部S1において前枠13の前面を構成する第1ホーン部材70が、第2音出力部S2において前枠13の前面を構成する第2ホーン部材80よりも小さくなるよう形成されている。このように、第1音出力部S1は、前枠ベース部材34の前面で占める面積および前枠ベース部材34の前面からの前方への突出寸法の何れもが、第2音出力部S2における前枠ベース部材34の前面で占める面積および前枠ベース部材34の前面からの前方への突出寸法に対して小さく設定されている。
【0034】
(第1音出力部)
図15および
図16に示すように、前記第1音出力部S1は、左側の第1上部スピーカーユニット50Aと、この第1上部スピーカーユニット50Aの前側を覆うように配設され、該第1上部スピーカーユニット50Aにおける第1上部スピーカー(第1スピーカー)52Aの前側に重なる第1放音口71およびこの第1放音口71の開口縁から前方に延出する第1導音壁72を有する第1ホーン部材70とを備えている。第1上部スピーカーユニット50Aでは、第1上部エンクロージャー54Aが無色透明であり、第1上部エンクロージャー54Aが光を透過可能な透過部材(第1透過部材)として構成されている。また、第1上部エンクロージャー54Aは、前枠ベース部材34における左側のユニット開口49の周囲に配設された前枠発光体41の光照射方向前側に重なるように設置されている(
図26参照)。すなわち、第1上部エンクロージャー54Aは、ユニット開口49に器状部60aを嵌め込んで前枠ベース部材34に設置した際に、該第1上部エンクロージャー54Aに収容された第1上部スピーカー52Aの周囲に位置する前枠発光体41の少なくとも1つの前側に、器状部60aよりも外側に延出する部分が重なるようになっている。実施例の第1上部エンクロージャー54Aは、左側のユニット開口49の上側から右側にかけて該ユニット開口49に沿って並ぶ5個の前枠発光体41の前側に重なると共に、該ユニット開口49の左側に設けられた3個の前枠発光体41の前側に重なっている。また、第1上部エンクロージャー54Aには、該第1上部エンクロージャー54Aが前側に重なる前枠発光体41および該第1上部エンクロージャー54Aの周囲に配置された前枠発光体41から前方に照射された光によって発光装飾される第1装飾部66を有している(
図13参照)。
【0035】
(第1装飾部)
図13に示すように、前記第1装飾部66は、第1上部エンクロージャー54Aの前側を構成する前箱分体58に設けられている。第1装飾部66は、前箱分体58において、前壁58aに開設されたスピーカー開口56の上側および左右方向外側(左側)の外周縁部にかけて、スピーカー開口56側から外側に向かうにつれて後方へ傾斜する傾斜面に形成されている。第1装飾部66は、光を透過可能で、かつ透過する光を拡散可能な処理が施された部分であり、実施例では前箱分体58における外周縁部の傾斜に沿って稜部および谷部が延在する凹凸形状で第1装飾部66が形成されている。このように、第1音出力部S1では、第1上部スピーカーユニット50Aの第1上部エンクロージャー54A自体に、第1装飾部66が設けられている。なお、実施例の第1上部エンクロージャー54Aは、前枠ベース部材34の前側に重なる後箱分体60の鍔状部60bやユニット開口49に収容される器状部60a、前箱分体58の前壁58aなどの第1装飾部66以外の部分に、光拡散処理が施されていない。
【0036】
(第1ホーン部材)
図15および
図16に示すように、前記第1ホーン部材70は、後方に開口する椀状に形成されたホーン本体の略中央部に、前記第1放音口71が開設されている。第1ホーン部材70は、ホーン本体で前枠ベース部材34に取り付けられた第1上部エンクロージャー54Aの前側を覆い、第1放音口71を、スピーカー開口56を介して前斜め下方に臨む第1上部スピーカー52Aの振動板53に整合させた状態で前枠ベース部材34に取り付けられる。ここで、第1ホーン部材70は、第1上部エンクロージャー54Aの箱状本体から前枠ベース部材34の前面に沿って延出する上部ユニット取付部62を含めて、該第1上部エンクロージャー54Aの前側全体を覆うように構成されている。また、第1ホーン部材70は、前枠ベース部材34の後側からネジ止め固定されており、前枠13を開放しなければ第1ホーン部材70を着脱することができず、第1ホーン部材70を取り外さなければ第1上部スピーカーユニット50Aを前枠ベース部材34に対して前側から着脱することができない。
【0037】
前記第1ホーン部材70は、ホーン本体の後側に第1放音口71を囲うように取り付けられ、ホーン本体の後面に沿って略放射状に延びる突片を多数有する第1後ホーン飾り73と、ホーン本体の前側に第1放音口71を囲うように取り付けられた環状の第1前ホーン飾り74とを備えている(
図16参照)。また、第1ホーン部材70は、第1後ホーン飾り73と第1前ホーン飾り74とで挟んで、第1放音口71に整合するように取り付けられた第1放音口飾り75を有している。第1放音口飾り75は、多数の小孔が貫通形成された円形の板状体から構成されている。第1ホーン部材70は、ホーン本体が光を透過可能に構成されて、後側に位置する前枠発光体41からの光の照射により発光した第1装飾部66を、該ホーン本体を介して視認可能に構成されている。実施例の第1ホーン部材70のホーン本体は、無色透明であり、該ホーン本体を介して第1装飾部66の意匠形状および第1後ホーン飾り73を視認可能になっている。なお、第1後ホーン飾り73は、有色透明であり、第1前ホーン飾り74および第1放音口飾り75は不透明であり、前記前枠発光体41からの光の照射によって第1後ホーン飾り73も発光するようになっている。
【0038】
前記第1ホーン部材70は、ホーン本体における第1放音口71の開口縁から前方に向かうにつれて外方へ傾斜するよう形成された第1導音壁72によって、第1上部スピーカー52Aから出力した音の指向性を高めている。第1導音壁72は、第1放音口71の上側から左右方向内側(右側)にかけての部分よりも、下側から左右方向外側(左側)にかけての部分が前方への延出寸法が大きくなるように形成されている。振動板53が前斜め下方を向く姿勢で配設された第1上部スピーカー52Aに対応して、第1導音壁72の開放端によって画成される第1ホーン開口76が、前斜め下方を指向するように形成されている。ここで、第1ホーン開口76は、前記第1放音口71より大きく設定され、第1導音壁72に画成される導音路が第1放音口71から開放端側に向かうにつれて広くなっている(
図15(b)参照)。また、第1ホーン部材70は、ホーン本体において第1導音壁72とこの第1導音壁72の外側に延在する外周壁との間に、第1上部エンクロージャー54Aにおいて前方に突出する膨出部63が収容されている。すなわち、第1放音口71の前側に導音路72を形成するために該第1放音口71より前側に突出する第1導音壁72と、この第1導音壁72の開放端に連なって第1上部エンクロージャー54Aを収容可能な空間を画成する外周壁との間に、スペースができてしまうが、このスペースを有効利用して膨出部63を収容している。換言すると、第1上部エンクロージャー54Aは、第1導音壁72と外周壁との間のスペースに応じて膨出部63を設定することが可能であり、膨出部63によって空気室57の容積を確保し得る。
【0039】
(第2音出力部)
図17〜
図20に示すように、前記第2音出力部S2は、右側の第2上部スピーカーユニット50Bと、この第2上部スピーカーユニット50Bの前側を覆うように配設され、第2装飾部79を有する被覆部材78と、この被覆部材78の前側を覆うように配設され、該第2上部スピーカーユニット50Bにおける第2上部スピーカー(第2スピーカー)52Bの前側に重なる第2放音口81およびこの第2放音口81の開口縁から前方に延出する第2導音壁82を有する第2ホーン部材80とを備えている。第2上部スピーカーユニット50Bでは、第2上部エンクロージャー54Bが無色透明であり、第2上部エンクロージャー54Bが光を透過可能な透過部材(第2透過部材)として構成されている。また、第2音出力部S2において、第2上部エンクロージャー54Bは、前枠ベース部材34における右側のユニット開口49の周囲に配設された前枠発光体41の光照射方向前側に重なるように設置されている(
図26参照)。すなわち、第2上部エンクロージャー54Bは、ユニット開口49に器状部60aを嵌め込んで前枠ベース部材34に設置した際に、該第2上部エンクロージャー54Bに収容された第2上部スピーカー52Bの周囲に位置する前枠発光体41の少なくとも1つの前側に、器状部60aよりも外側に延出する部分が重なるようになっている。実施例の第2上部エンクロージャー54Bは、右側のユニット開口49の上側から左側にかけて該ユニット開口49に沿って並ぶ5個の前枠発光体41のうち、3個の前側に重なると共に、該ユニット開口49の右側に設けられた3個の前枠発光体41の前側に重なっている。
【0040】
(被覆部材)
前記第2音出力部S2において、被覆部材78は、第2上部エンクロージャー54Bが重なる前枠発光体41の光照射方向前側に重なると共に、第2上部エンクロージャー54Bの外側に位置する前枠発光体41にもその光照射方向前側に重なるように設置されている。実施例の被覆部材78は、第2上部エンクロージャー54Bが重なる前枠発光体41に加えて、右側のユニット開口49の上側から右側にかけて該ユニット開口49に沿って並ぶ5個の前枠発光体41のうち、第2上部エンクロージャー54Bの外側に位置する2個の前枠発光体41にも重なっている。すなわち、前枠ベース部材34は、第2上部エンクロージャー54Bおよび被覆部材78の両方に加えて第2ホーン部材80が前側に重なる前枠発光体41と、第2上部エンクロージャー54Bに重ならずに被覆部材78および第2ホーン部材80が前側に重なる前枠発光体41とを有している。また、被覆部材78は、第2上部エンクロージャー54Bが前側に重なる前枠発光体41および該第2上部エンクロージャー54Bの周囲に配置された前枠発光体41から前方に照射された光によって発光装飾される第2装飾部79を有している。ここで、右側の第2上部エンクロージャー54Bは、左側の第1上部エンクロージャー54Aと異なって、前枠発光体41の前側に重なる部位に光拡散処理が施されておらず、該第2上部エンクロージャー54Bに重なる前枠発光体41から前方に照射された光の多くが、基本的に前側にそのまま透過するようになっている。
【0041】
図20に示すように、前記被覆部材78は、後方に開口する略椀状に形成され、略中央部に第2上部エンクロージャー54Bのスピーカー開口56と整合する被覆開口78aが開設されている。また、被覆部材78には、被覆開口78aを囲うように該被覆開口78aの開口面よりも前方に出っ張った被覆膨出部78bが形成されている。被覆膨出部78bは、被覆部材78の前部において、被覆開口78aの左右方向内側(左側)から上側および左右方向外側(右側)にかけて設けられ、実施例では、被覆開口78aの右側に延在する部位が他の部位よりも前方へ出っ張っている。被覆部材78には、被覆膨出部78bの稜部に連なって後方に延在する左側、上側および下側にかけての外周壁と、窓口35の開口縁に沿って延在する下側の外周壁とに、前記第2装飾部79が設けられている。ここで、被覆部材78は、第2上部エンクロージャー54Bの箱状本体から前枠ベース部材34の前面に沿って延出する上部ユニット取付部62を含めて、該第2上部エンクロージャー54Bの前側全体を覆うように構成されている(
図25参照)。被覆部材78は、窓口35側の縁部が該窓口35の開口縁形状に合わせて形成され、該窓口35側の縁部が窓口35の開口縁に沿って延在するようになっている。また、被覆部材78は、第2上部エンクロージャー54Bの前側を覆うように前枠ベース部材34に取り付けた際に、前方に出っ張って後側が開放するように形成された被覆膨出部78bの内側に、第2上部エンクロージャー54Bの膨出部63を収容するようになっている。このように、被覆部材78は、第2上部エンクロージャー54Bの外形に合わせて基本的に形成されており、内側に収容した第2上部エンクロージャー54Bとの間に大きな間隔をあけないように構成されている。
【0042】
(第2装飾部)
前記第2装飾部79は、光を透過可能で、透過する光を拡散可能な処理が施された部分であり、実施例では外周壁において前後方向に沿って稜部および谷部が延在する凹凸形状で第2装飾部79が形成されている(
図20参照)。このように、第2音出力部S2では、第1上部スピーカーユニット50Aの第1上部エンクロージャー54A自体に第1装飾部66が設けられた第1音出力部S1と異なり、第2上部エンクロージャー54Bと別体の被覆部材78に第2装飾部79が設けられている。
【0043】
(第2ホーン部材)
図18および
図20に示すように、前記第2ホーン部材80は、後方に開口する椀状に形成されたホーン本体の略中央部に、前記第2放音口81が開設されている。第2ホーン部材80は、前枠ベース部材34に取り付けられた第2上部エンクロージャー54Bの前側を覆う被覆部材78の前側をホーン本体によって覆い、第2放音口81を、スピーカー開口56および被覆開口78aを介して前斜め下方に臨む第2上部スピーカー52Bの振動板53に整合させた状態になるよう、被覆部材78と組み付けられる。実施例では、第2ホーン部材80が被覆部材78に対して該被覆部材78の後側からネジ止め固定されている。また、被覆部材78は、前枠ベース部材34の後側からネジ止め固定されており、前枠13を開放しなければ被覆部材78を着脱することができず、被覆部材78を取り外さなければ第2上部スピーカーユニット50Bを前枠ベース部材34に対して前側から着脱したり、第2ホーン部材80を被覆部材78に対して着脱することはできない。
【0044】
前記被覆部材78と前記第2ホーン部材80との間には、被覆開口78aを囲うように取り付けられ、被覆部材78の前面に沿って略放射状に延びる突片を多数有する第2後ホーン飾り83が配設され、この第2後ホーン飾り83により第2放音口81の周りを装飾している(
図20参照)。また、第2ホーン部材80は、ホーン本体の前側に第2放音口81を囲うように取り付けられた環状の第2前ホーン飾り84を備えている。そして、第2前ホーン飾り84と被覆部材78における被覆開口78aの開口縁とで挟んで、被覆開口78aおよび第2放音口81に整合するように、第2放音口飾り85が取り付けられている。第2放音口飾り85は、多数の小孔が貫通形成された円形の板状体から構成されている。第2ホーン部材80は、ホーン本体が光を透過可能に構成されて、後側に位置する前枠発光体41からの光の照射により発光した第2装飾部79を、該ホーン本体を介して視認可能に構成されている。実施例の第2ホーン部材80のホーン本体は、無色透明であり、該ホーン本体を介して第2装飾部79の意匠形状および第2後ホーン飾り83を視認可能になっている。なお、第2後ホーン飾り83は、有色透明であり、第2前ホーン飾り84および第2放音口飾り85は不透明であり、前記前枠発光体41からの光の照射によって第2後ホーン飾り83も発光するようになっている。
【0045】
前記第2ホーン部材80は、ホーン本体における第2放音口81の開口縁から前方に向かうにつれて外方へ傾斜するよう形成された第2導音壁82によって、第2上部スピーカー52Bから出力した音の指向性を高めている。第2導音壁82は、第2放音口81の左右方向内側(左側)の部分よりも、左右方向外側(右側)から下側にかけての部分が前方への延出寸法が大きくなるように形成されている。振動板53が前斜め下方を向く姿勢で配設された第2上部スピーカー52Bに対応して、第2導音壁82の開放端によって画成される第2ホーン開口86が、前斜め下方を指向するように形成されている。ここで、第2ホーン開口86は、前記第2放音口81より大きく設定され、第2導音壁82に画成される導音路が第2放音口81から開放端側に向かうにつれて広くなっている(
図18参照)。また、第2ホーン部材80は、ホーン本体において第2導音壁82とこの第2導音壁82の外側に延在する外周壁との間に、第2上部エンクロージャー54Bにおいて前方に突出する膨出部63を収容する被覆部材78の被覆膨出部78bが収容されている。すなわち、第2放音口81の前側に導音路を形成するために該第2放音口81より前側に突出する第2導音壁82と、この第2導音壁82の開放端に連なって被覆部材78および第2上部エンクロージャー54Bを収容可能な空間を画成する外周壁との間に、スペースができてしまうが、このスペースを有効利用して被覆膨出部78bを収容している。換言すると、第2上部エンクロージャー54Bは、第2導音壁82と外周壁との間のスペースに応じて膨出部63を設定することが可能であり、膨出部63によって空気室57の容積を確保し得る。
【0046】
前記第1音出力部S1の第1装飾部66および前記第2音出力部S2の第2装飾部79は、何れも凸と凹とが周回りに並ぶ凹凸形状で形成され、ホーン部材70,80を介して視認可能な意匠形状が第1装飾部66と第2装飾部79とで共通している。また、左右の音出力部S1,S2に設けられた後ホーン飾り73,83同士、前ホーン飾り74,84同士および放音口飾り75,85同士についても、共通する意匠形状で形成されている。このように、第1音出力部S1と第2音出力部S2とは、全体として共通する印象を与える意匠で形成されているが、前述したように第1音出力部S1のほうが第2音出力部S2よりも小さくなるよう構成されている。第1音出力部S1は、第1上部スピーカーユニット50Aとこの第1上部スピーカーユニット50Aの前側を覆う第1ホーン部材70との2つで基本的に構成され、第1上部スピーカーユニット50Aの第1上部エンクロージャー54Aに第1装飾部66が設けられている。これに対して、第2音出力部S2は、第2上部スピーカーユニット50Bとこの第2上部スピーカーユニット50Bの前側を覆う被覆部材78とこの被覆部材78の前側を覆う第2ホーン部材80との3つで基本的に構成され、被覆部材78に第2装飾部79が設けられている。
【0047】
(音出力部による窓口の装飾)
図1および
図11に示すように、前記音出力部S1,S2のホーン部材70,80は、その一部分が前枠ベース部材34の枠部34a,34b,34cから窓口35の開口内側に延出するように配設され、該ホーン部材70,80が窓口35の開口内側を装飾する装飾体としても機能している。前枠ベース部材34は、不透明な部分であって、前枠ベース部材34の上および左右の枠部34a,34b,34cと、上および左右の枠部34a,34b,34cの前側に配設された装飾カバー37,38,39によって、前枠13において窓口35の上および左右を囲っている。ホーン部材70,80は、少なくとも窓口35の開口内側に延出する延出部分が透明であり、当該透明な延出部分を通して該窓口35内が視認可能に構成されている。すなわち、ホーン部材70,80は、窓口35の開口内側に延出する延出部分が透明であることが必要であるが、実施例のホーン部材70,80は、ホーン本体の一部分が前記延出部分となっているので、延出部分だけでなく枠部34a,34b,34cの前側に重なる部分も透明になっている。ホーン部材70,80は、左右方向に延在して前枠ベース部材34の上部を構成する上枠部34aと、上下方向に延在して前枠ベース部材34の側部を構成する左または右の枠部34b,34cとの交差部分に配設されている。また、ホーン部材70,80は、前枠ベース部材34の前面から前方に突出する意匠形状で形成されており、窓口35の開口面に沿った平面的な広がりだけでなく、前後方向に張り出した三次元的な形状で形成されている(
図1および
図2参照)。そして、ホーン部材70,80の前記延出部分についても、前後方向に形状が変化するようになっている。
【0048】
前記左側の第1ホーン部材70は、前面視で略円形に形成された右下側の延出部分が、上枠部34aおよび左枠部34bから窓口35の開口内側に向けて延出しており、この延出部分が遊技領域20aにおいて発射通路20bの上側領域前側に重なっている(
図1および
図11参照)。第1ホーン部材70の延出部分は、右下側に延在する第1導音壁72と外周壁とで稜部が構成された前方に張り出した略山形を含み、第1放音口71を囲うように円弧状に延在する稜部が遊技領域20aの右上部前側に延在している。また、前枠ベース部材34には、上枠部34aと左枠部34bとの交差部分から窓口35の開口内側に向けて延出する第1装飾板90が配設され、該第1装飾板90が窓口35を塞ぐ前記透視保護部材17の前面に沿って延在している(
図3および
図9参照)。第1装飾板90は、第1ホーン部材70における略円弧状の前記延出部分に合わせて略円弧状に形成された無色透明な板状体であり、当該延出部分の後側開口に整合して該後側開口を塞ぐように構成される。このように、発射通路20bを介して遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が、遊技領域20aへの打ち出し直後に第1ホーン部材70の延出部分および第1装飾板90の後側を通るようになっており、透明な延出部分および第1装飾板90を介してパチンコ球の通過を視認し得る。ここで、第1音出力部S1では、窓口35の内側に第1ホーン部材70の一部が延出しているが、第1上部エンクロージャー54Aが窓口35の内側に延出しないようになっている。
【0049】
前記右側の第2ホーン部材80は、前面視で略円形に形成された左下側の延出部分が、上枠部34aおよび右枠部34cから窓口35の開口内側に向けて延出しており、この延出部分が遊技領域20aにおいて枠状装飾体23に案内されて該枠状装飾体23の右側を流下する球流下路の上部領域前側に重なっている(
図1および
図11参照)。第2ホーン部材80の延出部分は、左下側に延在する第2導音壁82と外周壁とで稜部が構成された前方に張り出した略山形を含み、第2放音口81を囲うように円弧状に延在する稜部が遊技領域20aの左上部前側に延在している。また、前枠ベース部材34には、上枠部34aと右枠部34cとの交差部分から窓口35の開口内側に向けて延出する第2装飾板91が配設され、該第2装飾板91が窓口35を塞ぐ前記透視保護部材17の前面に沿って延在している(
図3および
図9参照)。第2装飾板91は、第2ホーン部材80における略円弧状の前記延出部分に合わせて略円弧状に形成された無色透明な板状体であり、当該延出部分の後側開口に整合して該後側開口を塞ぐように構成される。このように、発射通路20bを介して遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が、前記右側の球流下路に至った際に第2ホーン部材80の延出部分および第2装飾板91の後側を通るようになっており、透明な延出部分および第2装飾板91を介してパチンコ球の通過を視認し得る。ここで、第2音出力部S2では、窓口35の内側に第2ホーン部材80の一部が延出しているが、第2上部エンクロージャー54Bおよび被覆部材78が窓口35の内側に延出しないようになっている。
【0050】
前記第2ホーン部材80の延出部分は、第1ホーン部材70の延出部分よりも、窓口35の開口内側への延出寸法が大きく、第1ホーン部材70の延出部分より窓口35に臨む遊技盤20の前側に重なる領域が広くなっている(
図1および
図11参照)。第2ホーン部材80の延出部分は、遊技領域20aにおける右側の球流下路上部を超えて枠状装飾体23の右上部の前側まで延在し、これに対して、第1ホーン部材70の延出部分は、枠状装飾体23にかかっていない。
【0051】
(下部スピーカーユニット)
図12に示すように、前記下部スピーカーユニット100は、前枠設置基体36の前面に前方に張り出して配設された上部球貯留部42および下部球貯留部43の左側に隣接して、前枠設置基体36に設置されている。より具体的には、下部スピーカーユニット100は、前枠設置基体36の上部右側から中央部にかけて配置された上部球貯留部42より下側で、前枠設置基体36の下部において左右方向中央部左寄りに配置された下部球貯留部43の左側に配置され、前枠設置基体36の下部中央部から右側にかけて延在している。下部スピーカーユニット100は、下部エンクロージャー104の右側下部が、前枠設置基体36の下部右側に設置される操作ハンドル16に合わせて前面視で円弧凹状に切り欠いた形状で形成されており、該下部エンクロージャー104の右側部分が操作ハンドル16の上部から左側にかけて延在している。下部スピーカーユニット100は、その前面(下部エンクロージャー104の前壁面)が、上部球貯留部42および下部球貯留部43の前面と略同じ位置にあるように形成され、パチンコ球を貯留するために前方へ張り出す球貯留部42,43によって前枠設置基体36の前側に生じるスペースに、下部スピーカーユニット100が収容されるよう構成されている。下部スピーカーユニット100の前面左側には、振動板103が前方に臨むように下部スピーカー102が下部エンクロージャー104に配設されている。
【0052】
前記下部スピーカーユニット100は、下部球貯留部43の前側を覆って、前枠13の下部左側から下部中央部までの前面を構成する下部球皿装飾カバー(カバー部材)47によって、スピーカー開口106が開設された下部エンクロージャー104の前側および下側が覆われている(
図4,
図7および
図10参照)。また、下部スピーカーユニット100は、操作手段28の操作ボタン29を囲って前枠13下部右側の前面を構成するボタン装飾カバー48によって、下部エンクロージャー104の右側部分の前側、上側および右側が覆われている。下部球皿装飾カバー47には、下部スピーカーユニット100のスピーカー開口106に合わせて前後に貫通形成された下部放音口47aが設けられ、この下部放音口47aに、多数の小孔を有する板状の下部放音口飾り47bが嵌め込まれている。そして、下部スピーカーユニット100は、スピーカー開口106を介して前側に臨む下部スピーカー102の振動板103が下部放音口47aに整合し、下部スピーカー102から出力した音が下部放音口47aを介して前側へ放出されるようになっている。
【0053】
図4,
図7および
図22に示すように、前記下部スピーカーユニット100は、下部スピーカー(スピーカー)102と、この下部スピーカー102が取り付けられるバスレフ型の下部エンクロージャー(エンクロージャー)104とを備えている。下部エンクロージャー104は、端面を互いに当接させて組み合わせた複数の構成体108,110によって、中空の空気室107を内部画成した箱状本体が構成されている。また、下部エンクロージャー104は、箱状本体において互いに組み合わせられる構成体108,110の間に画成される取付開口112に周面を嵌め合わせて配設され、該下部エンクロージャー104の内外に連通する筒状のダクト114を有している。実施例の下部エンクロージャー104は、前後2つの構成体108,110によって空気室107を画成しており、箱状本体が左右方向に横長に形成されている(
図6の点線および
図12参照)。下部エンクロージャー104は、ダクト114が箱状本体の下面から下方に突出して、該ダクト114の下端が下部球皿装飾カバー47とボタン装飾カバー48との間から前枠13の下面に臨んでいる(
図4参照)。また、下部スピーカーユニット100は、下部エンクロージャー104の前面にスピーカー開口106が開設されており、このスピーカー開口106に振動板103を整合させて下部スピーカー102が箱状本体の内側から取り付けられている。すなわち、下部スピーカーユニット100では、下部スピーカー102が、その振動板103をスピーカー開口106を介して前側に臨ませた状態で下部エンクロージャー104の空気室107内に収容されている。なお、実施例の下部エンクロージャー104では、下部スピーカー102が下部エンクロージャー104の左側に偏った位置に配設され、ダクト114が下部スピーカー102の後側から左右方向(実施例では右側)にずらした位置に設けられている。
【0054】
図21および
図22に示すように、前記下部スピーカーユニット100は、下部エンクロージャー104における箱状本体から該下部スピーカーユニット100の取付面となる前記前枠設置基体36の前面に沿って外方へ延出する下部ユニット取付部(取付部)116を有している。実施例の下部エンクロージャー104の箱状本体は、第1構成体108の左右の側壁の夫々から左右方向外方へ延出する下部ユニット取付部116と、第1構成体108の下壁に左右に離間して設けられ、下方へ延出する下部ユニット取付部116とを有している。下部スピーカーユニット100は、複数の下部ユニット取付部116を、前枠設置基体36の前面に該下部ユニット取付部116に対応して突設された取付ボス(図示せず)に整合させて、該下部ユニット取付部116を介して該取付ボスに前側からネジ止め固定するようになっている。そして、下部スピーカーユニット100は、前枠ベース部材34の後側からネジ止めされて前側を覆う下部球皿装飾カバー47を取り外すことで、前側から着脱可能になっている。
【0055】
(構成体)
図21および
図22に示すように、前記第1構成体108は、上下左右に延在する壁および該壁の後端間を塞ぐ後壁により前側に開口する箱状に形成され、箱状本体の後側を構成している。これに対して、第2構成体110は、上下左右に延在する壁および該壁の前端間を塞ぐ前壁により後側に開口する箱状に形成され、箱状本体の前側を構成している。第2構成体110の前壁には、円形状の前記スピーカー開口106が前後に貫通形成されており、下部スピーカー102が前壁内側にネジ止め固定される。第1構成体108と第2構成体110とは、該第1構成体108の上下左右に延在する壁の前端面(端面)と、該第2構成体110において該前端面に合わせて上下左右に延在する壁の後端面(端面)とを互いに当接させた状態で接着剤で接合すると共にネジ止め固定されている。ここで、第1構成体108には、上下左右に延在する壁の前部に、前方に臨むネジ孔を有する後構成体取付部108aが複数箇所設けられ、第2構成体110には、上下左右に延在する壁の後部に、前後に貫通する通孔を有する前構成体取付部110aが、後構成体取付部108aに対応して複数箇所設けられている。そして、下部エンクロージャー104は、第1構成体108と第2構成体110とを前後の端面を互いに突き合わせて、前側から前構成体取付部110aの通孔を介して後構成体取付部108aのネジ孔にネジ止めしている。このように、下部エンクロージャー104は、第1構成体108に設けられた下部ユニット取付部116を介して前枠設置基体36に取り付けられているので、構成体取付部108a,110aを締結するネジを着脱することで第1構成体108を取り外すことなく第2構成体110を第1構成体108に対して着脱することができる。そして、第2構成体110を取り外すことで、下部スピーカー102も併せて取り外すことができ、下部スピーカー102のメンテナンスを行い易い。
【0056】
(下部エンクロージャーにおける箱状本体の封止構造)
図21に示すように、前記第1構成体108の前端面には、該前端面よりも凹ませて溝状の構成体凹部118が形成されている。ここで、構成体凹部118は、第1構成体108の前端面において壁の厚み方向略中央部に該壁の延在方向に沿って基本的に形成されており、該第1構成体108において後構成体取付部108aが設けられた部位においては該後構成体取付部108aのネジ孔の内側を通るように曲がっている。そして、構成体凹部118は、第1構成体108の下壁に形成された前記取付開口112の後ろ半分を画成する凹部分を除いて、該第1構成体108の前端面に連続して形成されている。また、
図22に示すように、第2構成体110の後端面には、該後端面より突出させて筋状の構成体凸部120が形成されている。ここで、構成体凸部120は、第2構成体110の後端面において壁の厚み方向略中央部に該壁の延在方向に沿って基本的に形成されており、該第2構成体110において前構成体取付部110aが設けられた部位においては該前構成体取付部110aの通孔の内側を通るように曲がっている。そして、構成体凸部120は、第2構成体110の下壁に形成された前記取付開口112の前半分を画成する凹部分を除いて、該第2構成体110の後端面に、前記構成体凹部118に合わせて連続して形成されている。下部エンクロージャー104において、第1構成体108および第2構成体110を組み合わせた際に、構成体凸部120が構成体凹部118に嵌合すると共に、構成体凸部120を挟む両側の後端面と、構成体凹部118を挟む両側の前端面とが互いに当接して、第1構成体108と第2構成体110との間を封止する封止構造を構成している(
図4参照)。
【0057】
(ダクト)
図4に示すように、前記ダクト114は、前記構成体108,110と別体に形成された円筒体であり、一端部を空気室107の内側に臨ませると共に他端部を外方に臨ませるように、取付開口112を介して空気室107の内外に延出するように配置されている。実施例のダクト114は、上端部周面に左右に延出するように形成された一対のダクト取付部122,122を、第1構成体108の後壁内面に前方へ向けて立設されたダクト取付ボス123,123に夫々ネジ止めすることで、取付開口112を通って上下に延在するように配設される(
図21参照)。ここで、ダクト114は、取付開口112から空気室107内に延出する内延部分が、取付開口112から外方へ延出する外延部分よりも長くなるように設定されている。また、ダクト114の内側には、空気室107の内外に連通するポート114aが画成され、このポート114aにおいて前記取付開口112の内側に近接した部位に、該ポート114aを介する空気の流通を許容すると共に異物の侵入を阻むスクリーン124が配設されている(
図4,
図7および
図8参照)。なお、スクリーン124は、多数の小孔が並べて貫通形成された金属製の網状体であって、円形のポート114aの開口形状に合わせて円形に形成されている。
【0058】
図21および
図22に示すように、前記ダクト114は、複数の分割体126,128を周方向に組み合わせて筒状に構成されている。実施例のダクト114は、該ダクト114の後半分をなす第1分割体126と、該ダクト114の前半分をなす第2分割体128とを互いの端面を当接させた状態で前後に組み合わせて構成されている。第1分割体126は、前側に開放した半円樋状に形成され、上下に延在する左右の側縁に、前側に臨む前当接端面が夫々設けられている。第2分割体128は、後側に開放した半円樋状に形成され、上下に延在する左右の側縁に、後側に臨む後当接端面が夫々設けられている。また、各分割体126,128の上端部には、左右の側縁から左右に延出する一対のダクト取付部122,122が形成されている。ダクト114は、第1分割体126の前当接端面と第2分割体128の後当接端面とを当接させると共に、第1分割体126の左右のダクト取付部122,122と第2分割体128の左右のダクト取付部122,122とを重ね合わせて組み合わせ、前後に重ね合わせたダクト取付部122を前記ダクト取付ボス123にネジ止めすることで、両分割体126,128が一体化される。
【0059】
前記各分割体126,128の内周面には、該内周面より凹ませた取付凹部130が周方向に延在するように形成されており(
図21および
図22参照)、両分割体126,128を組み合わせた際に、両分割体126,128の取付凹部130,130が周方向に連続するようになっている。そして、ダクト114には、前記スクリーン124が、その外周縁を両取付凹部130,130に嵌め込んで周方向および上下方向に位置規制された状態でポート114aの連通方向と交差するように配設されている(
図4および
図8参照)。すなわち、ダクト114は、ダクト取付ボス123からネジを外して第1構成体108から取り外した状態で、両分割体126,128を分離することができ、スクリーン124を簡単に着脱することができる。なお、実施例では、前後の分割体126,128が後述する分割体凸部136および分割体凹部138の関係を除いて前後対称に形成されており、前後を入れ替えても構成体108,110に取り付け可能である。
【0060】
(ダクトの封止構造)
図4および
図8に示すように、前記下部エンクロージャー104は、ダクト114の周面から半径方向外側に延出して前記取付開口112の開口縁に重なる封止鍔部(鍔部)132により、ダクト114の周面と構成体108,110との間を封止する封止構造を備えている。各分割体126,128の外周面には、半径方向外側に向けて延出して外周縁が半円状に延在する封止鍔部132が夫々設けられており、両分割体126,128を組み合わせた際に両封止鍔部132,132が周方向に連なるようになっている。そして、ダクト114には、その周面全周に亘って封止鍔部132,132が延在している。封止鍔部132は、下部エンクロージャー104における箱状本体の下壁下面(外面)に上下に重なり合うように配置され、ダクト114の筒状本体部分が通る取付開口112の開口縁に外側から当接して、ダクト114の筒状本体部分周面と両構成体108,110との封止するよう構成されている。
【0061】
図4,
図7および
図8に示すように、前記ダクト114は、該ダクト114の周面から半径方向外側に延出して、前記封止鍔部132との間に前記取付開口112の開口縁を挟む位置決め鍔部134を備えている。位置決め鍔部134は、封止鍔部132に対してダクト114におけるポート114aの連通方向(上下方向)に離間して配置され、実施例では封止鍔部132の上側に配置してダクト114の筒状本体部分周面からの延出寸法が同じに設定されている。ここで、各分割体126,128の外周面には、半径方向外側に向けて延出して外周縁が半円状に延在する位置決め鍔部134が夫々設けられており、両分割体126,128を組み合わせた際に両位置決め鍔部134,134が周方向に連なるようになっている。そして、ダクト114には、その周面全周に亘って位置決め鍔部134,134が延在している。位置決め鍔部134は、下部エンクロージャー104における箱状本体の下壁上面(内面)に上下に重なるように配置され、ダクト114の筒状本体部分が通る取付開口112の開口縁の一部に内側から当接することで、構成体108,110の少なくとも一部分を封止鍔部132との間に挟んでダクト114の上下位置を規制するよう構成されている。前記スクリーン124を嵌合保持する取付凹部130は、分割体126,128において外周面に位置決め鍔部134が形成される上下位置に対応して内周面に凹設されており、位置決め鍔部134の存在によって取付凹部130を形成し得る肉厚を確保している。
【0062】
図21および
図22に示すように、前記ダクト114は、2つの分割体126,128において互いに当接する当接端面の一方には、該当接端面より突出する分割体凸部136が形成されると共に、2つの分割体126,128において互いに当接する当接端面の他方には、該当接端面より凹んで分割体凸部136が嵌め合わせられる分割体凹部138が形成され、分割体凸部136と分割体凹部138との嵌合により分割体126,128間を封止するよう構成されている(
図7参照)。第1分割体126には、右側の前当接端面に前方に突出する分割体凸部136が形成され、左側の前当接端面に該前当接端面から後方へ凹む分割体凹部138が形成されている。これに対して、 第2分割体128には、右側の後当接端面に該後当接端面から前方へ凹む分割体凹部138が形成され、右側の後当接端面に後方に突出する分割体凸部136が形成されている。分割体凸部136は、分割体126,128の当接端面において該分割体126,128を構成する壁の厚み方向(左右方向)略中央部に前記ポート114aの連通方向(上下方向)に沿って形成されている。分割体凹部138は、分割体凸部136に合わせて、分割体126,128の当接端面において該分割体126,128を構成する壁の厚み方向(左右方向)略中央部に前記ポート114aの連通方向(上下方向)に沿って形成されている。実施例のダクト114では、位置決め鍔部134より上側部分となる前記内延部分に対応する当接端面だけに、分割体凸部136および分割体凹部138が形成されており、封止鍔部132より下側部分となる前記外延部分に対応する当接端面が平坦に形成されている。そして、ダクト114では、分割体126,128の上端から、位置決め鍔部134に対応して形成された取付凹部130の上側近傍までに亘って設けられた分割体凸部136および分割体凹部138が該取付凹部130にかからないようになっている。第1分割体126および第2分割体128を組み合わせた際に、分割体凸部136が分割体凹部138に嵌合すると共に、分割体凸部136を挟む両側の当接端面と、分割体凹部138を挟む両側の当接面とが互いに当接して、第1分割体126と第2分割体128との間を封止するようになっている。
【0063】
(下部スピーカーユニットを利用した発光構造)
図4〜
図6に示すように、前記操作手段28を支持する支持ベース44には、該支持ベース44の前側を覆うボタン装飾カバー48に向けて光を照射可能な下部発光手段(発光手段)140が配設されている。支持ベース44は、前枠設置基体36の前面における上下方向略中央部に、前方へ張り出すように配設されている。支持ベース44は、上部球貯留部42より右側に位置して、前枠設置基体36の前面右側に配設されて、実施例では板金を折り曲げて架台状に形成されている。また、支持ベース44の下方には、板状の載置ベース45が前枠設置基体36の前面から略水平に前方へ張り出すように配設され(
図10参照)、載置ベース45の上面に載置される支持ベース44にかかる荷重を受け止め可能に構成される。なお、載置ベース45も板金で構成されている。支持ベース44および載置ベース45は、下部スピーカーユニット100における下部エンクロージャー104の上側に少なくとも一部が重なるように配設され、その前端が下部エンクロージャー104の上壁面前縁よりも後側に位置している。すなわち、下部エンクロージャー104の上壁面前部は、支持ベース44および載置ベース45よりも前側に出っ張り、支持ベース44の前側において上側に露出している。
【0064】
(ボタン装飾カバー)
図4および
図10に示すように、前記ボタン装飾カバー48は、後方および左方に開放した略箱状に形成されて、支持ベース44の上側に配設された操作手段28の操作ボタン29が臨むボタン開口48aが、上部に開設されている。ボタン装飾カバー48の右下部には、後方へ凹んだハンドル凹部48bが形成され、このハンドル凹部48bに開設されたハンドル開口48cを通して、操作ハンドル16が前枠設置基体36に保持される。ボタン装飾カバー48には、支持ベース44(下部エンクロージャー104)より上側に位置するボタン開口48aから該支持ベース44の前端位置(下部エンクロージャー104の上壁面を前側に延長した位置)の下側までに亘って、光を透過可能な透過装飾部142が設けられている。ここで、ボタン装飾カバー48は、前面の一部だけに透過装飾部142を設ける構成でもよいが、実施例では、前記ハンドル凹部48bおよびボタン開口48aを囲う飾り部分を除いて、光を透過可能な透過装飾部142になっている。このように、ボタン装飾カバー48は、下部放音口47aに隣接して設けられて前枠13の意匠面を構成する透過装飾部142を有している。また、ボタン装飾カバー48には、前枠13の前面を構成する透過装飾部142の内側(後側)に、光を透過可能で、かつ透過する光を拡散可能な装飾拡散部143が設けられ(
図4〜
図6参照)、この装飾拡散部143の内側(後側)から光が照射されるようになっている。ここで、実施例の装飾拡散部143は、略上下方向に延在する稜部と谷部とがボタン開口48aの周回りに並ぶ凹凸形状で形成されており、1つの稜部を構成する傾斜面の一方だけに梨地加工が施されて、他方の傾斜面が無色透明になっている。そして、透過装飾部142は、無色透明であり、該透過装飾部142を介して装飾拡散部143の意匠形状を視認可能であると共に、装飾拡散部143の発光を視認可能であり、装飾拡散部143で拡散された光によっても照らされる。
【0065】
(下部発光手段)
図4および
図5に示すように、前記下部発光手段140は、支持ベース44の前端に配設されて、載置ベース45の前端の前側に位置している。また、下部発光手段140は、操作手段28の下側に位置すると共に、下部エンクロージャー104の上側に位置するよう配置されている。このように、下部発光手段140は、前枠13の下部に設けられてパチンコ球を貯留する下部球貯留部43およびパチンコ球の発射操作を行う操作ハンドル16との間に配設された下部エンクロージャー104と、前枠13の下部に設けられた操作手段28との間に配設されている。下部発光手段140は、下部エンクロージャー104の上壁面に対して少なくも一部が上下の関係で重なるように配置され(
図6参照)、実施例では下部発光手段140の左側から中央部にかけてが下部エンクロージャー104の上壁面に重なっている。そして、下部発光手段140の下側には、下部エンクロージャー104の上壁面が略水平に延在しており、下部発光手段140よりも下部エンクロージャー104の上壁面前縁が前側に位置している。下部発光手段140は、支持ベース44の前端に取り付けらる板状の発光手段ベース144と、この発光手段ベース144の前面に、その板面を立てた姿勢で取り付けられる下部発光基板145と、発光手段ベース144に取り付けられ、下部発光基板145の前側を覆う無色透明の発光手段カバー147とを備えている(
図5参照)。下部発光基板145は、その板面が上下左右に延在し、下部エンクロージャー104の上壁面と交差(実施例では直交)する関係になっている。また、下部発光基板145は、左右方向が長手となる横長形状に形成され、左右に離間して複数の下部発光体(発光体)146が前面に設けられている(
図6および
図12参照)。更に、下部発光基板145は、各下部発光体146から前方に向けて光を照射し得るよう構成され、該下部発光基板145の前側に延在する透過装飾部142に向けて光を照射可能になっている。そして、下部発光基板145は、その左側から中央部にかけての部分が下部エンクロージャー104の上壁面に重なり、下部発光基板145の下側に下部発光体146からの光照射方向前方に沿って下部エンクロージャー104の上壁面が前方へ延在している。
【0066】
(下部スピーカーユニットの反射構造)
前記下部エンクロージャー104は、下部発光体146から照射した光の光軸上から外れて透過装飾部142と下部発光手段140との間に延在する上壁面に設けられて、光を反射し得る反射部104aを有している(
図5参照)。そして、下部発光体146からの照射光および該照射光を反射部104aで反射した反射光が透過装飾部142を通して視認可能に構成されている。ここで、反射部104aは、下部エンクロージャー104において下部発光基板145よりも前側に延在する上壁面に少なくとも設ければよいが、実施例の下部エンクロージャー104は、その外壁面全体が光を反射し得るようになっている。反射部104aは、下部エンクロージャー104の壁面を光を反射し易い白色系の色彩で構成したり、該壁面を金属メッキなどにより鏡面加工したり、該壁面をなす構成体108,110を構成する樹脂材料に反射材を混入するなどにより、光の反射作用を向上させる構成を用いることができ、実施例では下部エンクロージャー104全体が白色である。すなわち、下部エンクロージャー104は、その前壁面が第2の反射部104bとして機能するようになっている。
【0067】
前記透過装飾部142は、下部発光体146の光照射方向前側から反射部104aが指向する方向へ向けて延在するよう設けられている。すなわち、ボタン装飾カバー48において、透過装飾部142は、下部発光体146からの光照射方向前側となる下部発光基板145の前側に相対する領域だけでなく、当該領域から、下部エンクロージャー104の上壁面に設けられた反射部104aが指向する上側に向けて延在するように設けられている(
図4参照)。このように、ボタン装飾カバー48には、下部発光体によって直接照らされる領域だけでなく、反射部104aによる光の反射を考慮して、透過装飾部142が設けられている。
【0068】
(下部発光手段の導光構造)
図5に示すように、前記下部発光手段140には、下部発光体から前方へ照射した光を導く導光部148が、発光手段カバー147に設けられている。導光部148は、下部発光体146の光照射方向前側に端面が重なると共に、下部エンクロージャー104の上壁面に沿って延在する透明な第1導光板部149と、この第1導光板部149の前端に連なるように形成され、下部エンクロージャー104の前壁面に沿って延在すると共に、前側が透過装飾部142で覆われる透明な第2導光板部150とを備えている。また、下部エンクロージャー104の前壁面には、前側に重なる第2導光板部150に対応して、光を反射し得る第2の反射部104bが設けられている。そして、下部発光体146からの光の照射による第1導光板部149および第2導光板部150の発光が、装飾拡散部143および透過装飾部142を通して視認可能に構成される。
【0069】
前記導光部148は、発光手段カバー147の前面に一体的に形成され、無色透明な板状部分である。第1導光板部149は、下部エンクロージャー104の上壁面に重なる位置に設けられ、実施例で発光手段カバー147の左側半分下端に、前方に延出するように形成されている(
図6参照)。第1導光板部149は、後端面を下部発光基板145に左右方向に並んだ複数の下部発光体146の前側に重なるように配置され、下部発光体146の光照射方向前側に重なるように延在している。第1導光板部149は、下部エンクロージャー104の上壁面の上側に間隔をあけて該上壁面と略平行に延在し、上壁面に設定された反射部104aと対向配置されている。なお、実施例の第1導光板部149は、後側から前側に向かうにつれて僅かに下方傾斜する下部エンクロージャー104の上壁面に対応して、前下がりに傾斜している(
図5参照)。第1導光板部149の後端面には、下部発光体146の前側に対応した位置の夫々に、前方に凹む一対の溝および両溝の間の円弧状凸部によって構成される後光散乱部151が形成され、下部発光体146から入射した光が後光散乱部151によって第1導光板部149に広がるようになっている。また、導光部148は、第1導光板部149の前端および第2導光板部150の上端とが繋がる前角部に、第1導光板部149が重なる下部発光体146の夫々に対応して後方へ凹む前光散乱部152が形成され、導光部148に入射された光を前光散乱部152によって拡散し得るようになっている。
【0070】
図5に示すように、前記第2導光板部150は、第1導光板部149の前端から垂下して下部エンクロージャー104の前壁面に沿って略平行に延在し、前壁面に設定された第2の反射部104bと対向配置されている。第2導光板部150は、下部エンクロージャー104の前壁面との間隔が、第1導光板部149と該下部エンクロージャー104の上壁面との間隔よりも小さくなるように設定される。第2導光板部150には、該第2導光板部150を前後に貫通するよう形成された孔状の下光散乱部153が複数設けられている。第2導光板部150に分散配置された複数の下光散乱部153の夫々は、該下光散乱部153の上側を画成する上壁が後から前に向かうにつれて下方傾斜するのに対して、該下光散乱部153の下側を画成する下壁が略水平に延在している。すなわち、導光部148において、第1導光板部149を通って上側から第2導光板部150に広がる光を、複数の下光散乱部153によって該第2導光板部150全体に好適に広げることができる。
【0071】
前記導光部148は、下部発光基板145の前側に延在する下部エンクロージャー104の上壁面において載置ベース45の前縁から前側部分の左右全域に亘って重なっていてもよいが、実施例では、下部発光基板145の左右方向中央部に位置する、下部エンクロージャー104における上壁面の右前角隅部を、導光部148で覆わないように構成してある(
図6参照)。すなわち、下部発光体146から前方へ照射した光の一部を、導光部148の影響を受けることなく下部エンクロージャー104の上壁面に設定された反射部104aで反射することが可能であり、導光部148の有無によって左右方向で光の反射態様を変化を付けることができる。
【0072】
(照明手段)
図1に示すように、前記前枠13は、湾曲する照明基板164,184に設けられた照明発光体(発光体)165,185によって、該照明発光体165,185の光照射方向前側を覆う装飾体166,80の発光演出部168,188を発光させ得る照明手段160,180を備えている。実施例の前枠13は、該前枠13の下部左側に配設された第1照明手段160と、該前枠13の上部右側に配設された第2音出力部S2が具備する第2照明手段180と有している。
図19,
図20,
図23および
図24に示すように、第1照明手段160および第2照明手段180は、厚み方向に湾曲する照明基板164,184と、この照明基板164,184の湾曲凸側の面に配設され、該照明基板164,184の湾曲方向に並ぶ複数の照明発光体165,185と、該複数の照明発光体165,185の光照射方向前側を覆う装飾体166,80とを備え、前記湾曲する照明基板164,184における配設部位に応じて照明発光体165,185から異なる方向に照射される光によって、装飾体166,80の発光演出部168,188を発光させるいう基本的な構成が同じである。
【0073】
(第1照明手段)
図1および
図12に示すように、前記第1照明手段160は、上部球貯留部42の左下側で、下部球貯留部43の左側に位置して、前枠設置基体36の前面に配設されている。
図23および
図24に示すように、第1照明手段160は、前枠設置基体36の前面に取り付けられる支持部材162と、この支持部材162に支持されて、該支持部材162に支持される側と反対側が凸となるように、その厚み方向に湾曲する第1照明基板164と、この第1照明基板164の湾曲凸側の面に配設され、該第1照明基板164の湾曲方向に並ぶ複数の第1照明発光体165と、複数の第1照明発光体165の光照射方向前側を覆う下部装飾体(装飾体)166とを備えている。また、第1照明手段160は、第1照明基板164とは別に、光を照射する装飾発光体171が複数実装された射光基板172を備え、装飾発光体171からの光照射方向前側を支持部材162および下部装飾体166によって覆うように構成される。このように、第1照明手段160は、装飾発光体171からの光の照射によって、支持部材162および下部装飾体166を照明することができる。
【0074】
(支持部材)
図24に示すように、前記支持部材162は、後方に開口する略半球状に形成され、該支持部材162によって画成される空間に前記射光基板170が収納されている。支持部材162は、無色透明なベース部分と有色透明な飾り部分とを組み合わせて構成され、全体として光を透過可能になっている。また、支持部材162は、透過する光を拡散し得るように構成されており、実施例では、支持部材162の前面に、略半球形状の前側頂部から後側開口縁に向けて延びる稜部と谷部とが前後方向を軸とした周回りに並ぶ凹凸形状からなる光拡散構造を有しており、当該光拡散構造により支持部材162の後側に配置された射光基板170が前側から視認困難になっている。射光基板170は、光拡散構造を有する略半球状部分から後側に離すと共に、前枠設置基体36から前側に離れるように、支持部材162に取り付けられ、射光基板170の前面に実装された複数の装飾発光体171から前方へ向けて光を照射し得るようになっている。このように、第1照明手段160では、支持部材162が第1照明基板164を支持するためのベースとして機能するだけでなく、装飾発光体171からの光によって発光する装飾部分の一部としても機能している。
【0075】
(第1照明基板)
図23(b)に示すように、前記第1照明基板164は、支持部材162に取り付けられた第1基板支持部172に配設されて、支持部材162の前側に該支持部材162から離れた状態で支持されて、第1照明発光体165の光照射方向前側が第1基板カバー174によって覆われている。第1照明基板164は、厚み方向に自在に湾曲可能なフレキシブルシートによって構成されており、第1基板支持部172の前面に沿って湾曲変形させた状態で第1基板支持部172と第1基板カバー174との間に保持されている。第1基板支持部172は、支持部材162の略半球状の表面に沿わせて湾曲する板状部分の両長手辺に壁が設けられて前側に開放した略樋状に形成され、長手方向に離間して設けられた複数(実施例では2本)の第1基板支持ボス172aで支持されて、支持部材162の前側に離間配置されている。第1基板カバー174は、第1基板支持部172の湾曲に合わせて湾曲形成され、両長手辺に後側に向けて突出する壁が設けられて後側に開口した略樋状に形成され、第1基板支持部172の一対の壁の間に嵌め合わせて設置される。そして、第1照明基板164は、第1基板支持部172の板状部分と第1基板カバー174の壁突端との間に挟持されて、第1照明発光体165が第1基板支持部172と第1基板カバー174との間に画成される空間に収納される(
図6参照)。第1基板支持部172および第1基板カバー174は、何れも光を透過可能に構成されて、実施例では無色透明である。このように、第1照明基板164は、略半球状の支持部材162の表面形状に合わせて湾曲すると共に、支持部材162の前面から前側に離して、下部装飾体166に近接するように配置されている。また、第1照明基板164は、支持部材162の前面に沿って左上から右下に向けて斜めに延在するように配置されている(
図12参照)。更に、第1照明基板164は、前側から後側に向かうにつれて左斜め下に延在する仮想軸を中心とする円弧状に湾曲して延在している。
【0076】
(第1照明発光体)
前記第1照明基板164は、長手辺が湾曲しており、湾曲方向となる長手辺に沿って互いに離間して複数の第1照明発光体165が1列に並べて配置されている。ここで、各第1照明発光体165は、湾曲する第1照明基板164の厚み方向前側に光を照射するよう設定され、第1照明基板164において第1照明発光体165の配設部位が指向する向きに応じて、複数の第1照明発光体165の光照射向きが異なるようになっている。すなわち、第1照明基板164の左側最上部に配置された第1照明発光体165からは、左前斜め上側に光が照射され、第1照明基板164の左上側から中央部に配置される第1照明発光体165になるほど光の照射方向が前側に向くようになり、第1照明基板164の中央部から右下側に配置される第1照明発光体165になるほど光の照射方向が下側および右側に向くようになる。このように、複数の第1照明発光体165からの光照射向きが、下部装飾体166および支持部材162の湾曲に合わせて移り変わるように構成される。
【0077】
(下部装飾体)
図23(a)に示すように、前記下部装飾体166は、前枠13の左側面を構成する前後に切り立った左側面および上部球貯留部42の前側を覆う上部球皿装飾カバー46によって隠される右上部を除いて、後方に開口する略半球状に基本的に形成され、該下部装飾体166によって画成される空間に、第1照明基板164および支持部材162が収納されている。下部装飾体166は、前枠13の意匠面を構成し、支持部材162の周縁部に外方へ延出形成された支持部材取付片163の前側に、該下部装飾体166の周縁部に外方へ延出形成された装飾体取付片167を重ね合わせて、前枠設置基体36にネジ止め固定される。下部装飾体166は、光を透過可能であり、実施例では無色透明である。すなわち、第1照明手段160は、下部装飾体166を介して射光基板170の装飾発光体171の光によって発光する支持部材162を視認可能であると共に、支持部材162を通った光により下部装飾体166が照らされる。また、第1照明手段160は、支持部材162の発光の有無にかかわらず、下部装飾体166を介して該支持部材162の意匠形状を視認可能になっている。ここで、第1照明基板164は、略半球状に形成された下部装飾体166の湾曲した内面に沿って湾曲しており、下部装飾体166の形状に合わせて延在しているとも云える。更に、第1基板カバー174の前面は、下部装飾体166の内面の湾曲に合わせて湾曲しており、下部装飾体166の内面と第1基板カバー174の前面とは、ほぼ隙間なく配置されている。
【0078】
(第1発光演出部)
図23に示すように、前記第1発光演出部168は、複数の第1照明発光体165の光照射方向前側に合わせて、下部装飾体166に設けられている。第1発光演出部168は、光を透過可能に構成されると共に、透過する光を拡散し得るように構成され、実施例では表面に凹凸形状が付された前側へ膨出するレンズ状に透明な材料で形成されている。第1発光演出部168は、下部装飾体166に一体形成してもよいが、実施例では、下部装飾体166と別体に形成されて、下部装飾体166の前面に取り付けられている。下部装飾体166には、第1照明基板164の湾曲に合わせて、複数の第1発光演出部168が、その配設位置が湾曲する位置関係で並べて設けられている。第1発光演出部168は、第1照明基板164に1列に並ぶ第1照明発光体165と1対1の関係で設けられ、実施例では、第1照明基板164に並ぶ5個の第1照明発光体165に対応して5箇所の第1発光演出部168が並べて設けられている。ここで、各第1発光演出部168は、光を透過せず、前面に光を反射するメッキ処理が施された第1照明飾り169によって囲われて互いに区画されている。
【0079】
前記各第1発光演出部168は、略半球状の下部装飾体166の前面に取り付けることで、該下部装飾体166の曲面に合わせて湾曲する第1照明基板164に配設された第1照明発光体165の光照射向きに合わせて、該第1照明発光体165の光照射方向前側に重なるように配置される。また、第1発光演出部168とこれに対応する第1照明発光体165との間隔は、下部装飾体166の曲面に合わせて第1照明基板164が湾曲していることから、何れの組も同じに設定されている。更に、各第1発光演出部168は、そのレンズ形状の膨出向きが、対応する第1照明発光体165の光照射向きに揃えて形成され、レンズ形状の中心を第1照明発光体165から照射した光の光軸が通るように設定されている。このように、第1照明手段160では、第1照明発光体165とこれに対応する第1発光演出部168との組が、両者の間隔や第1照明発光体165の光軸に対する第1発光演出部168の位置関係などの発光に関係する構成が何れも同じになるように構成されている。
【0080】
(第2照明手段)
図18および
図19に示すように、前記第2照明手段180は、窓口35の上右側に配設された第2音出力部S2に配設されている。
図20に示すように、第2照明手段180は、前枠設置基体36の前面に取り付けられる支持部材としての前記被覆部材78と、この被覆部材78に支持されて、該被覆部材78に支持される側と反対側が凸となるように、その厚み方向に湾曲する第2照明基板184と、この第2照明基板184の湾曲凸側の面に配設され、該第2照明基板184の湾曲方向に並ぶ複数の第2照明発光体185と、複数の第2照明発光体185の光照射方向前側を覆う装飾体としての前記第2ホーン部材80とを備えている。
【0081】
(第2照明基板)
図18および
図19に示すように、前記第2照明基板184は、被覆部材78に取り付けられた第2基板支持部182に配設されて、被覆部材78の前側に該被覆部材78から離れた状態で支持されて、第2照明発光体185の光照射方向前側が第2基板カバー183によって覆われている。第2照明基板184は、厚み方向に自在に湾曲可能なフレキシブルシートによって構成されており、第2基板支持部182の前面に沿って湾曲変形させた状態で第2基板支持部182と第2基板カバー183との間に保持されている。第2基板支持部182は、被覆部材78において球体の一部をなすよう形成された曲面状の上部周縁部に沿わせて湾曲する板状部分の両長手辺に壁が設けられて前側に開放した略樋状に形成され、長手方向に離間して設けられた複数(実施例では2本)の第2基板支持ボス182aで支持されて、被覆部材78の前側に離間配置されている。第2基板カバー183は、第2基板支持部182の湾曲に合わせて湾曲形成され、両長手辺に後側に向けて突出する壁が設けられて後側に開口した略樋状に形成され、第2基板支持部182の一対の壁の間に嵌め合わせて設置される。そして、第2照明基板184は、第2基板支持部182の板状部分と第2基板カバー183の壁突端との間に挟持されて、第2照明発光体185が第2基板支持部182と第2基板カバー183との間に画成される空間に収納される。第2基板支持部182および第2基板カバー183は、何れも光を透過可能に構成されて、実施例では無色透明である。このように、第2照明基板184は、球体の一部をなすように曲面状に形成された被覆部材78の表面形状に合わせて湾曲すると共に、被覆部材78の前面から前側に離して、第2ホーン部材80に近接するように配置されている。第2照明基板184は、被覆部材78の前面に沿って左上から右下に向けて斜めに延在するように配置されている。また、第2照明基板184は、前側から後側に向かうにつれて右斜め上に延在する仮想軸を中心とする円弧状に湾曲して延在している。
【0082】
(第2照明発光体)
前記第2照明基板184は、長手辺が湾曲しており、湾曲方向となる長手辺に沿って互いに離間して複数の第2照明発光体185が1列に並べて配置されている。ここで、各第2照明発光体185は、湾曲する第2照明基板184の厚み方向前側に光を照射するよう設定され、第2照明基板184において第2照明発光体185の配設部位が指向する向きに応じて、複数の第2照明発光体185の光照射向きが異なるようになっている(
図19参照)。すなわち、第2照明基板184の左側最上部に配置された第2照明発光体185からは、左前斜め上側に光が照射され、第2照明基板184の左上側から中央部に配置される第2照明発光体185になるほど光の照射方向が前側に向くようになり、第2照明基板184の中央部から右下側に配置される第2照明発光体185になるほど光の照射方向が下側および右側に向くようになる。このように、複数の第2照明発光体185からの光照射向きが、第2ホーン部材80および被覆部材78の湾曲に合わせて移り変わるように構成される。
【0083】
(第2ホーン部材)
図17に示すように、前記第2ホーン部材80は、前枠13の上面を構成する前後に切り立った上面および前枠の右側面を構成する前後に切り立った右側面を除いて、第2ホーン開口86の上側および右側を囲う周縁部が球体の一部をなす曲面状に基本的に形成され、該第2ホーン部材80によって画成される空間に、第2照明基板184および被覆部材78が収納されている。第2ホーン部材80は、前枠13の意匠面を構成している。前述の如く、第2ホーン部材80は、光を透過可能であり、実施例では無色透明である。すなわち、第2音出力部S2は、第2ホーン部材80を介して前枠発光体41の光によって発光する被覆部材78を視認可能であると共に、被覆部材78を通った光により第2ホーン部材80が照らされる。また、第2音出力部S2は、被覆部材78の発光の有無にかかわらず、第2ホーン部材80を介して該被覆部材78の意匠形状を視認可能になっている。ここで、第2照明基板184は、第2ホーン部材80の曲面状に湾曲した周縁部内面に沿って湾曲しており、第2ホーン部材80の形状に合わせて延在しているとも云える。また、第2基板カバー183の前面は、第2ホーン部材80の周縁部内面の湾曲に合わせて湾曲しており、第2ホーン部材80の内面と第2基板カバー183の前面とは、ほぼ隙間なく配置されている。
【0084】
(第2発光演出部)
図17および
図19に示すように、前記第2発光演出部188は、複数の第2照明発光体185の光照射方向前側に合わせて、第2ホーン部材80に設けられている。第2発光演出部188は、光を透過可能に構成されると共に、透過する光を拡散し得るように構成され、実施例では表面に凹凸形状が付された前側へ膨出するレンズ状に透明な材料で形成されている。第2発光演出部188は、第2ホーン部材80に一体形成してもよいが、実施例では、第2ホーン部材80と別体に形成されて、第2ホーン部材80の前面に取り付けられている。第2ホーン部材80には、第2照明基板184の湾曲に合わせて、複数の第2発光演出部188が、その配設位置が湾曲する位置関係で並べて設けられている。第2発光演出部188は、第2照明基板184に1列に並ぶ第2照明発光体185と1対1の関係で設けられ、第2照明基板184に並ぶ6個の第2照明発光体185に対応して6箇所の第2発光演出部188が並べて設けられている。ここで、各第2発光演出部188は、光を透過せず、前面に光を反射するメッキ処理が施された第2照明飾り189によって囲われて互いに区画されている。
【0085】
図19に示すように、前記各第2発光演出部188は、曲面状の第2ホーン部材80の前面に取り付けることで、該第2ホーン部材80の曲面に合わせて湾曲する第2照明基板184に配設された第2照明発光体185の光照射向きに合わせて、該第2照明発光体185の光照射方向前側に重なるように配置される。また、第2発光演出部188とこれに対応する第2照明発光体185との間隔は、第2ホーン部材80の曲面に合わせて第2照明基板184が湾曲していることから、何れの組も同じに設定されている。更に、各第2発光演出部188は、そのレンズ形状の膨出向きが、対応する第2照明発光体185の光照射向きに揃えて形成され、レンズ形状の中心を第2照明発光体185から照射した光の光軸が通るように設定されている。このように、第2照明手段180では、第2照明発光体185とこれに対応する第2発光演出部188との組が、両者の間隔や第2照明発光体185の光軸に対する第2発光演出部188の位置関係などの発光に関係する構成が何れも同じになるように構成されている。
【0086】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用について説明する。
【0087】
(前枠に配設されたスピーカーユニットについて)
前記パチンコ機10には、各種の音を出力するスピーカー52A,52B,102を有するスピーカーユニット50A,50B,100を複数備えているが、複数のスピーカーユニット50A,50B,100が、機前面側を構成する前枠13に何れも配設されているので、スピーカー52A,52B,102を遊技者側に近付けて、スピーカー52A,52B,102から出力した音の認識度を向上させることができる。しかも、複数のスピーカーユニット50A,50B,100は、エンクロージャー54A,54B,104を何れも有しているので、エンクロージャー54A,54B,104によってスピーカー52A,52B,102の後側から出る音を封じ込めて、該スピーカー52A,52B,102の前側から出る音に干渉させないようにすることができ、音質を向上させることができる。例えば中枠12にスピーカーユニットを設置した場合には、中枠12にスピーカーユニットを設置するための設置スペースを要するばかりでなく、中枠12の前側を覆う前枠13に、スピーカーユニットから出力した音を前側に通すための放音用空間をスピーカーユニットの設置位置に合わせて確保しなければならない。実施例のパチンコ機10によれば、スピーカユニット50A,50B,100が前枠13に何れも配設されているので、中枠12等の前枠12を支持する本体部材側にスピーカーユニット50A,50B,100を設置するためのスペースを要さず、該中枠12等の空いたスペースを他の部品等の配設などに有効利用することができる。また、スピーカーユニット50A,50B,100が前枠13に配設されているので、中枠12に設置して前枠13に画成された放音用空間を介して音を出力する構成と異なり、放音用空間で音がこもったり、減衰するなどの弊害を回避できる。このように、パチンコ機10によれば、前枠13に配設されたスピーカーユニット50A,50B,100によって、好適な音質な音による効果的な演出をなし得る。
【0088】
(エンクロージャーのタイプと前枠での配置について)
前記パチンコ機10は、前枠13の上下に振り分けて、密閉型の上部エンクロージャー54A,54Bを有する上部スピーカーユニット50A,50Bと、バスレフ型の下部エンクロージャー104を有する下部スピーカーユニット100とが配設されているので、両スピーカーユニット50A,50B,100の夫々の特徴の組み合わせによって、全体として音質を向上させることができる。実施例のパチンコ機10は、前枠13の上部に、密閉型の上部エンクロージャー54A,54Bを有する上部スピーカーユニット50A,50Bを配設しているので、該密閉型の上部エンクロージャー54A,54Bによって比較的指向性が高い音を出力し得る上部スピーカーユニット50A,50Bを遊技者の頭部(耳)に近付けることができる。また、前枠13の上部は下部と比べて配設部材が少ないので、上部スピーカーユニット50A,50Bから出力される音を周囲の部材などに干渉させることなく遊技者に直接伝えることができ、低音域の減衰が少なく比較的素直な音を出力し得る密閉型の上部エンクロージャー54A,54Bによる上部スピーカーユニット50A,50Bの特徴を活かすことができる。前枠13の下部に配設される下部スピーカーユニット100は、バスレフ型の下部エンクロージャー104を有しているので、低音域の増強作用が良好で低音再生に優れたバスレフ型の特徴を活かして、上部スピーカーユニット50A,50Bよりも低音域の再生を主に担うことになる。すなわち、上球受け皿14や下球受け皿15や操作手段28などが周囲に配設されて、前枠13の上部と比べて遊技者の頭部から遠くなる前枠13の下部に、下部スピーカーユニット100を配置しても、該下部スピーカーユニットの特徴を活かすことができる。このように、パチンコ機10では、異なる方式のエンクロージャー54A,54B,104を有する上部スピーカーユニット50A,50Bと下部スピーカーユニット100とが、前枠13においてエンクロージャー54A,54B,104の特徴に応じた適切な上下位置に振り分けて配置されている。従って、パチンコ機10は、異なる方式のエンクロージャー54A,54B,104を有する上部スピーカーユニット50A,50Bから出力した音と下部スピーカーユニット100から出力した音が相乗させて、この相乗した好適な音質な音を遊技者に聞かせることができ、音による効果的な演出をなし得る。
【0089】
(上部エンクロージャーの形状について)
前記上部スピーカーユニット50A,50Bは、上部エンクロージャー54A,54Bが前後方向よりも窓口35の縁辺に沿って広くなるように形成され、前枠ベース部材34の前面に沿って空気室57が広がっている。このように、上部エンクロージャー54A,54Bは、前枠13において前枠ベース部材34前側における窓口35の周辺スペースを有効利用して、空気室57の内容積を確保している。すなわち、上部エンクロージャー54A,54Bにおける空気室57の内容積を確保するために要する、前枠13の裏面からの上部エンクロージャー54A,54Bの突出を抑えることができ、中枠12側に配設される部材と前枠13に配設された上部エンクロージャー54A,54Bとの取り合いの発生を極力抑えることができる。
【0090】
前記上部エンクロージャー54A,54Bは、前側に指向させて配設される上部スピーカー52A,52Bが設置される前壁よりも前側へ膨出形成された膨出部63によって空気室57の内容積を拡張するよう構成されている。前枠13は、パチンコ機10の前面を構成する機体であるので、中枠12などの前枠13の後側に配設される本体部材と異なって、前側にスペースを確保することができる。すなわち、上部スピーカーユニット50A,50Bを前枠13に配設することで、前枠13における前側の空間を利用することが可能となり、当該空間を有効利用して前側へ膨らむ膨出部63を上部エンクロージャー54A,54Bに設けることで、該上部エンクロージャー54A,54Bの内容積を比較的大きく確保することができる。従って、上部エンクロージャー54A,54Bにおける空気室57の内容積を確保するために要する、前枠13の裏面からの上部エンクロージャー54A,54Bの突出を更に抑えることができ、中枠12側に配設される部材と前枠13に配設された上部エンクロージャー54A,54Bとの取り合いの発生を極力抑えることができる。しかも、必要となる空気室57の容積を確保しつつ、上部エンクロージャー54A,54Bが前枠ベース部材34の前側で占める範囲を抑えることができ、前枠13の前面に配設される周辺部材の配設スペースを圧迫したり、窓口35の縮小などを回避することができる。
【0091】
(エンクロージャーの取り付けについて)
前記上部エンクロージャー54A,54Bは、箱状本体の外周縁に、前枠13における前枠ベース部材34の前面に沿って外方へ延出するように形成された上部ユニット取付部62を介して、前枠ベース部材34にネジ止めすることで、該前枠ベース部材34に取り付けられている。同様に、下部エンクロージャー104は、箱状本体の外周縁に、前枠13における前枠設置基体36の前面に沿って外方へ延出するように形成された下部ユニット取付部116を介して、前枠設置基体36にネジ止めすることで、該前枠設置基体36に取り付けられている。このように、上部エンクロージャー54A,54Bおよび下部エンクロージャー104は、空気室57,107を画成する箱状本体の外側にユニット取付部62,116が形成されているので、箱状本体にネジ孔をあけたり、箱状本体の内部にボスを立てるなどにより空気室57,107の容積を削るような構成ではなく、密閉性を保持しつつ該空気室57,107の容積を確保することができる。
【0092】
(下部スピーカーユニットの配置について)
前記下部スピーカーユニット100は、下部エンクロージャー104における空気室107の容積を確保すると共に、下部エンクロージャー104の内部に下部スピーカー102を前後に延在させた姿勢で配設するために、前枠設置基体36の前側に前後スペースをある程度必要とする。ここで、前枠設置基体36の前面には、上球受け皿14におけるパチンコ球の貯留部分を構成する皿状の上部球貯留部42が該前枠設置基体36の前面から前方に張り出すように設けられると共に、下球受け皿15におけるパチンコ球の貯留部分を構成する皿状の下部球貯留部43が該前枠設置基体36の前面から前方に張り出すように設けられている。そして、下部スピーカーユニット100を、上部球貯留部42および下部球貯留部43に隣接して設置することで、球貯留部42,43によって前枠設置基体36の前側に生じてしまう前後スペースを有効利用して、下部スピーカーユニット100の配設スペースおよび下部エンクロージャー104の内容積を確保することができる。また、下部スピーカーユニット100が前枠13のの裏側に出っ張ることを回避できる。
【0093】
(下部スピーカーユニットの発光構造について)
前記パチンコ機10は、前枠13の下部に設けられた操作手段28を覆うボタン装飾カバー48の透過装飾部142を、このボタン装飾カバー48の後側に配置した下部発光手段140からの光の照射によって照らすように構成されている。ここで、前枠13の下部において、ボタン装飾カバー48の後側には、下部発光手段140の下側に隣接して下部スピーカーユニット100が配設されているが、該下部スピーカーユニット100における下部エンクロージャー104の下部発光手段140に臨む上壁面に光を反射し得る反射部104aを設けることで、この反射部104aによる光の反射によって下部発光手段140による発光演出を補助し得る。すなわち、下部エンクロージャー104の反射部104aによる光の反射によって、下部発光手段140の下部発光体146からの光照射方向前側を超えた広い範囲を照らしたり、下部発光体146から照射した光における透過装飾部142から外れる下方向への拡散を防いで該透過装飾部142を明輝させたりするなど、下部発光手段140から照射した光による演出を効果的になし得る。このように、下部発光手段140の下側において光照射方向に沿って該下部発光手段140よりも前方に延在する下部エンクロージャー104の上壁面に反射部104aを設定して、該下部発光手段140から照射した光を案内する部分として下部エンクロージャー104を有効利用することで、下部発光手段140の構成を簡単にできる。このように、下部スピーカーユニット100を前枠13の下部に設置することで、前枠13の下部において下部発光手段140を配設可能なスペースが圧迫されるが、下部スピーカーユニット100の下部エンクロージャー104の反射部104aによって、下部発光手段140の発光を補助して、透過装飾部142を効果的に発光演出し得る。
【0094】
前記ボタン装飾カバー48において、透過装飾部142は、下部発光基板145における下部発光体146の光照射方向前側の領域だけでなく、当該領域から、下部発光基板145の下側に延在する下部エンクロージャー104の上壁面に設けられた反射部104aが指向する側である上側に向けて延在するように設けられている。すなわち、下部発光体146から光を照射した際に、該照射光の一部が反射部104aで反射して上方に向かう反射光による発光演出を、透過装飾部142を介してより好適に視認することができる。換言すると、透過装飾部142は、下部発光手段140の下側に延在する反射部104aの存在により、下部発光体146の光照射方向である該下部発光手段140の前側領域だけでなく、反射部104aが指向する側である下部発光手段140の上側領域までの広い範囲に亘って下部発光体146の光によって照らされる。すなわち、透過装飾部142の広がりに合わせて多くの下部発光体146を配置することなく、少ない下部発光体146によって装飾拡散部143および透過装飾部142を効率よく照らすことができる。しかも、発光装飾部142は、下部発光体146の光照射方向前側領域から上側に向かうにつれて後側に傾くように湾曲しているが、上側を指向する反射部104aの反射光によって好適に照らされる。
【0095】
前記下部発光手段140は、球貯留部42,43、操作ハンドル16、操作手段28および下部スピーカーユニット100などが周囲に配設された狭いスペースに設置されるので、下部発光基板145を大きくすることが難しく、多くの下部発光体146を実装するのが困難である。しかしながら、パチンコ機10では、下部発光手段140に隣接配置された下部エンクロージャー104の反射部104aによって、下部発光体146から照射した光の下方への拡散を抑えると共に上方へ向けて光を反射し得るので、少ない下部発光体146であっても、装飾拡散部143および下部発光手段140の前側から上側のボタン開口48aにかけて延在する透過装飾部142を照らすことができる。このように、前枠13下部の狭いスペースに配設した下部発光手段140であっても、隣接する下部エンクロージャー104の反射部104aによる効果的な発光補助によって、装飾拡散部143および透過装飾部142を好適に照らすことができる。
【0096】
(下部発光手段の導光構造について)
前記下部発光手段145は、下部発光体146から光を照射した際に、下部発光体146の前側に端面が重なるように配置された第1導光板部149に光が入射し、入射光によって下部エンクロージャー104の上壁面の上側に延在する第1導光板部149が発光される。また、第1導光板部149から該第1導光板部149の前端に連なる第2導光板部150に光が入射し、入射光によって下部エンクロージャー104の前壁面の前側に延在する第2導光板部150が発光される。このように、下部発光体146からの光の照射による第1導光板部149および第2導光板部150の発光についても、透過装飾部142および装飾拡散部143を通して視認可能になっている。ここで、第1導光板部149が相対する下部エンクロージャー104の上壁面には反射部104aが設定されているので、下部発光体146から照射した光および/または第1導光板部149から漏れた光を反射部104aで反射して第1導光板部149に入射することになり、反射部104aの反射光によって第1導光板部149をより明るくすることができる。同様に、第2導光板部150が相対する下部エンクロージャー104の前壁面には第2の反射部104bが設定されているので、第2導光板部150から漏れた光を第2の反射部104bで反射して第2導光板部150に再び入射させることができ、第2の反射部104bの反射光によって下部発光体146より遠い第2導光板部150をより明るくすることができる。更に、導光部148には、導光板部149,150に入射した光を拡散し得る後光散乱部151、前光散乱部152および下光散乱部153が形成されているので、導光部148を全体的に発光させることができる。
【0097】
(下部エンクロージャーにおける箱状本体とダクトとの封止構造について)
バスレフ型である前記下部エンクロージャー104は、2つの構成体108,110を組み合わせて構成される箱状本体と、該箱状本体に内部画成される空気室107を内外に連通するダクト114とが別体で形成されている。ダクト114の筒状本体部分の周面には、半径方向外側に延出する封止鍔部132が形成されており、2つの構成体108,110の凹部分間に前記筒状本体部分を整合させてダクト114を取付開口112を介して内外に挿通するように配設した際に、封止鍔部132が取付開口112の開口縁に外側(下側)から重なるようになっている。ここで、封止鍔部132は、2つの構成体108,110における取付開口112の開口縁下面に対して密着し、ダクト114の筒状本体部分周面と構成体108,110との間を封止することができる。このように、下部エンクロージャー104は、ダクト114の周面に延出形成されて取付開口112の開口縁に重なる封止鍔部による封止構造によって、構成体108,110とダクト114の周面との間が封止されているので、ダクト114の周面と構成体108,110との間からの音漏れを防止することができる。これにより、バスレフ型の下部エンクロージャー104による音響作用を適切に発揮でき、下部スピーカーユニット100から出力する音の質を向上させることができる。
【0098】
前記ダクト114は、筒状本体部分の周面から半径方向外側に延出する位置決め鍔部134を、前記封止鍔部132の上側に有し、2つの構成体108,110の凹部分間に前記筒状本体部分を整合させてダクト114を取付開口112を介して内外に挿通するように配設した際に、位置決め鍔部134が取付開口112の開口縁に内側(上側)から重なるようになっている。ダクト114は、封止鍔部132と位置決め鍔部134との間に、両構成体108,110における取付開口112の開口縁を挟持して、両構成体108,110に対して位置決めされる。すなわち、封止鍔部132と位置決め鍔部134とによる構成体108,110の挟持により、封止鍔部132を、構成体108,110に対して適切な位置に保持し得ると共により密に当接させることができ、封止鍔部132による構成体108,110とダクト114の周面との間の封止をより確実に行うことができる。
【0099】
(下部エンクロージャーにおける箱状本体の封止構造について)
バスレフ型である前記下部エンクロージャー104は、2つの構成体108,110を互いの端面を突き当てた状態で組み合わせて、空気室107を内部画成する箱状本体が構成されている。第1構成体108には、その前端面に該前端面より凹む構成体凹部118が設けられる一方で、第2構成体110には、その後端面に該後端面より突出する構成体凸部120が設けられ、第1構成体108と第2構成体110とを互いの端面を突き当てて組み合わせた際に、構成体凹部118と構成体凸部120とを嵌合させることで、第1構成体108と第2構成体110との端面間を封止することができる。このように、下部エンクロージャー104は、構成体108,110の端面に形成された構成体凹部118と構成体凸部120との嵌合による封止構造によって、互いに組み付けられる構成体108,110間が封止されているので、構成体108,110間からの音漏れを防止することができる。これにより、下部エンクロージャー104による音響作用を適切に発揮でき、下部スピーカーユニット100から出力する音の質を向上させることができる。
【0100】
前記第1構成体108には、前端面の厚み方向中央部に延在して前記構成体凹部118が形成され、第2構成体110には、後端面の厚み方向中央部に延在して前記構成体凸部120が形成されている。すなわち、第1構成体108と第2構成体110とを組み合わせた際には、構成体凹部118と構成体凸部120との嵌合部分の両側において、第1構成体108の前端面と第2構成体110の後端面とを当接させることができる。すなわち、下部エンクロージャー104は、両構成体108,110の間がより密に封止されている。また、両構成体108,110をネジ止め固定するための孔を有する構成体取付部108a,110aが、互いに突き当てられる端面に設けられているが、構成体取付部108a,110aの孔の内側に延在して構成体凹部118および構成体凸部120が連続して形成されているので、両構成体108,110のネジ止め固定部分においても封止構造が保たれている。
【0101】
(下部エンクロージャーにおけるダクトの構造について)
前記ダクト114は、2つの分割体126,128を周方向に組み合わせて筒状になるよう構成されているので、これらの分割体126,128で挟んで該分割体126,128によって画成されるポート114aに、該ポート114aを介して空気室107への異物の侵入を防止するスクリーン124を簡単に配設することができる。また、ダクト114は、両分割体126,128に夫々設けられたダクト取付部122,122を互いに重ね合わせて第1構成体108にネジ止めしてあるので、第1構成体108から取り外すことで、両分割体126,128を簡単に分離することができ、スクリーン124の交換やポート114aに詰まった異物の除去などのメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0102】
(下部エンクロージャーにおけるダクトの封止構造について)
前記ダクト114は、2つの分割体126,128を互いの端面を突き当てた状態で組み合わせて、下部エンクロージャー104における空気室107の内外に連通するポート114aを内部画成した筒状に構成されている。2つの分割体126,128において互いに当接する端面の一方には、該端面より突出する分割体凸部136が形成されると共に、2つの分割体126,128において互いに当接する端面の他方には、該端面より凹んで分割体凸部136が嵌め合わせられる分割体凹部138が形成されている。第1分割体126と第2分割体128とを互いの端面を突き当てて組み合わせた際に、分割体凸部136と分割体凹部138とが嵌合することにより、第1分割体126と第2分割体128との端面間を封止することができる。このように、ダクト114は、分割体126,128の端面に形成された分割体凸部136と分割体凹部138との嵌合による封止構造によって、互いに組み付けられる分割体126,128間が少なくとも空気室107に延出する内延部分で封止されているので、分割体126,128間からの音漏れを防止することができる。これにより、下部エンクロージャー104による音響作用を適切に発揮でき、下部スピーカーユニット100から出力する音の質を向上させることができる。両分割体126,128の端面には、厚み方向中央部に延在して分割体凸部136が形成され、これに対応する端面には、厚み方向中央部に延在して分割体凹部138が形成されている。すなわち、第1分割体126と第2分割体128とを組み合わせた際には、分割体凸部136と分割体凹部138との嵌合部分の両側において、両分割体126,128の端面同士を当接させることができる。すなわち、ダクト114は、両分割体126,128の間がより密に封止されている。
【0103】
(音出力部について)
前記前枠13は、左側縁に設けられたヒンジ32,33を支点として中枠12に対して開閉可能に構成されている。前枠13では、その上部におけるヒンジ32,33側となる左側に配設される第1音出力部S1における該前枠13の前面を構成する意匠形状が、上部における開放端となる右側に配設される第2音出力部S2における該前枠13の前面を構成する意匠形状よりも少なくとも前後寸法が小さくなるように構成されている。すなわち、前枠13を中枠12に対して開放した際に、第1音出力部S1がパチンコ機10が設置される遊技店の設置枠台などの周辺設備に干渉することを回避でき、また前枠13の開放角度を広くとることができる。また、前枠13の右側に配設される第2音出力部S2は、前枠13を中枠12に対して開放した際に前記周辺設備への干渉し難いので、パチンコ機10前側の空間を大きく用いて第2音出力部S2の意匠形状を大きく設定することができる。従って、第2音出力部S2は、立体感を増したりする等、意匠性を向上させることができ、前枠13の効果的に装飾し得る。
【0104】
(音出力部の発光構造について)
前記第1音出力部S1は、第1上部エンクロージャー54Aが前枠ベース部材34に配設された前枠発光体41の前側に重なるように配設され、前枠発光体41から光を照射した際に、第1上部エンクロージャー54Aに設けられた第1装飾部66が発光される。そして、第1音出力部S1は、第1装飾部66を透過した光によって、第1上部エンクロージャー54Aの前側を覆って前枠13の意匠を構成する第1ホーン部材70が照らされると共に、透明な第1ホーン部材70を介して、発光する第1装飾部66を遊技者側から視認することができる。第2音出力部S2は、第2上部エンクロージャー54Bが前枠ベース部材34に配設された前枠発光体41の前側に重なるように配設され、前枠発光体41から光を照射した際に、第2上部エンクロージャー54Bの前側を被覆する被覆部材78に設けられた第2装飾部79が発光される。そして、第2音出力部S2は、第2装飾部79を透過した光によって、被覆部材78の前側を覆って前枠13の意匠を構成する第2ホーン部材80が照らされると共に、透明な第2ホーン部材80を介して、発光する第2装飾部79を遊技者側から視認することができる。このように、左右の音出力部S1,S2は、前枠発光体41の前側に、上部エンクロージャー54A,54B、光を透過すると共に光を拡散し得る装飾部66,79、および透明なホーン部材70,80が順に重なる構成と何れもなっている。前述したように、第1音出力部S1は、前枠13の開放時の干渉を防止する必要があることから、その意匠形状を大きくすることは難しい。ここで、第1音出力部S1は、第2音出力部S2と比べて意匠形状が小さくても、第1上部エンクロージャー54A自体に第1装飾部66を設けることで、第2音出力部S2において第2上部エンクロージャー54Bと別体の被覆部材78に設けられた第2装飾部79と同様の発光構造とすることができる。すなわち、第1音出力部S1と第2音出力部S2とは、同じような印象の発光態様で発光演出を行うことができ、第1音出力部S1において、第2音出力部S2と遜色がない発光演出を行い得る。換言すると、第1音出力部S1は、第2音出力部S2の被覆部材78を省略して、第1装飾部66を第1上部エンクロージャー54Aに設けることにより、前枠発光体41の前側に重なる部材数を第2音出力部S2よりも減らして、コンパクトにしている。このように、実施例のパチンコ機10によれば、前枠13開放時にヒンジ32,33側の第1音出力部S1の干渉を防止すると共に、左右の音出力部S1,S2で同じように発光演出を行うことができる。
【0105】
(ホーン部材について)
前記第1音出力部S1および前記第2音出力部S2では、前枠13の前面意匠を構成する第1ホーン部材70および第2ホーン部材80が前枠発光体41の前側を覆うカバーとしての機能だけでなく、ホーン部材70,80で覆う上部スピーカーユニット50A,50Bにおける上部スピーカー52A,52Bの振動板53の前側に重なる放音口71,81およびこの放音口71,81の開口縁から前側に延出する導音壁72,82によって画成される放音路によって、上部スピーカー52A,52Bから出た音を導き得るようになっている。このように、音出力部S1,S2は、ホーン部材70,80によって上部スピーカー52A,52Bから出力した音の指向性を高めることができ、遊技者の音の認識度をより向上させることができる。
【0106】
前記第1音出力部S1および前記第2音出力部S2は、夫々の上部スピーカーユニット50A,50Bを構成する上部スピーカー52A,52Bの能力が同じに設定されると共に、上部エンクロージャー54A,54Bの空気室57の容積や上部スピーカー52A,52Bと上部エンクロージャー54A,54Bの位置関係なども同様に設定されている。そして、第1音出力部S1の第1上部エンクロージャー54Aと第2音出力部S2の第2上部エンクロージャー54Bとは、略同じ大きさで、かつ略左右対称な形状で形成されているから、左右の上部スピーカーユニット50A,50Bについて、音質などの音に関する能力が揃っている。すなわち、第1音出力部S1と第2音出力部S2とは、上部スピーカーユニット50A,50Bの前側に配置されるホーン部材70,80および被覆部材78の部材構成およびその大きさに違いがあるものの、第1音出力部S1および第2音出力部S2の間で音質などの違いはなく、両音出力部S1,S2からバランスよく音を出力することができる。なお、第2音出力部S2は、第1音出力部S1の第1ホーン部材70よりも第2ホーン部材80が前側に張り出しているので、該第2ホーン部材80の第2導音壁82で画成される放音路を長く設定することが可能である。
【0107】
前記第1上部エンクロージャー54Aには、前枠ベース部材34の左上角隅部に設けられた上ヒンジ部32が収まる切欠部64が設けられているので、当該切欠部64により第1音出力部S1の第1上部エンクロージャー54Aと上ヒンジ部32との干渉を回避して、第1上部エンクロージャー54Aをより上ヒンジ部32側に配設することができる。同様に、第2上部エンクロージャー54Bには、前枠ベース部材34の右上角隅部に設けられたセンサ収容部31が収まる切欠部64が設けられているので、当該切欠部64により第2音出力部S2の第2上部エンクロージャー54Bとセンサ収容部31との干渉を回避して、第2上部エンクロージャー54Bをよりセンサ収容部31側に配設することができる。
【0108】
前記第1上部エンクロージャー54Aは、前枠ベース部材34の前面に沿って外方へ延出するよう形成された上部ユニット取付部62を介して該前枠ベース部材34にネジ止め固定され、この上部ユニット取付部62を含めて第1ホーン部材70によって前側が覆われている。このように、第1音出力部S1では、第1ホーン部材70で覆って上部ユニット取付部62を隠すことができると共に、上部ユニット取付部62へのアクセスを第1ホーン部材70で阻んで第1上部スピーカーユニット50Aの不正な取り外しなどを防止できる。前記第2上部エンクロージャー54Bは、前枠ベース部材34の前面に沿って外方へ延出するよう形成された上部ユニット取付部62を介して該前枠ベース部材34にネジ止め固定され、この上部ユニット取付部62を含めて被覆部材78によって前側が覆われている。このように、第2音出力部S2では、被覆部材78で覆って上部ユニット取付部62を隠すことができると共に、上部ユニット取付部62へのアクセスを被覆部材78および第2ホーン部材80で阻んで第2上部スピーカーユニット50Bの不正な取り外しなどを防止できる。
【0109】
(第1照明手段について)
前記第1照明手段160は、厚み方向に湾曲させた第1照明基板164における湾曲凸側の面に、該第1照明基板164が湾曲する向きに並べて複数の第1照明発光体165を配設しているので、第1照明基板164の湾曲に応じて各第1照明発光体165から照射する光の向きを簡単に異ならせることができる。すなわち、第1照明手段160は、複数の第1照明発光体165によって略放射状に広がるように光を照射することが可能であり、異なる向きに照射される光によって下部装飾体166の第1発光演出部168を好適に発光させることができる。第1照明手段160は、装飾発光体171からの光の照射による支持部材162および下部装飾体166の発光と併せてまたは独立して、複数の第1照明発光体165から幅広い向きに光を照射し得るので、下部装飾体166の左上側から右下側にかけた長い範囲に配置された第1発光演出部168を好適に発光演出することができる。
【0110】
(第2照明手段について)
前記第2音出力部S2は、第2照明手段180を有している。第2照明手段180は、厚み方向に湾曲させた第2照明基板184における湾曲凸側の面に、該第2照明基板184が湾曲する向きに並べて複数の第2照明発光体185を配設しているので、第2照明基板184の湾曲に応じて各第2照明発光体185から照射する光の向きを簡単に異ならせることができる。すなわち、第2照明手段180は、複数の第2照明発光体185によって略放射状に広がるように光を照射することが可能であり、異なる向きに照射される光によって第2ホーン部材80の第2発光演出部188を好適に発光させることができる。第2音出力部S2は、前枠発光体41からの光の照射による被覆部材78の第2装飾部79および第2ホーン部材80の発光と併せてまたは独立して、複数の第2照明発光体185から幅広い向きに光を照射し得るので、第2ホーン部材80の左上側から右下側にかけた長い範囲に配置された第2発光演出部188を好適に発光演出することができる。
【0111】
(発光演出部について)
前記発光演出部168,188は、光を拡散し得るよう構成されているから、照明発光体165,185から入射した光によって全体的に発光させることができる。また、発光演出部168,188は、照明飾り169,189によって周囲が囲まれて、照明発光体165,185の光照射方向前側に対応して該照明発光体165,185毎に独立して設けられている。下部装飾体166および第2ホーン部材80には、照明基板164,184の湾曲に合わせて、複数の発光演出部168,188の配設位置が湾曲する位置関係で並べて設けられ、第照明基板164,184の湾曲凸側の面に沿って、複数の発光演出部168,188が円弧状に配列されている。ここで、下部装飾体166および第2ホーン部材80は、照明基板164,184に相対する部位が該照明基板164,184に沿った曲面状になっているので、該下部装飾体166および第2ホーン部材80の曲面上に発光演出部168,188を設置することで、複数の発光演出部168,188が照明基板164,184の湾曲に合わせた位置関係で配列されることになる。そして、照明手段160,180は、発光演出部168,188と照明基板164,184に配設された対応の照明発光体165,185との距離を一定にすることができ、複数の発光演出部168,188において発光ムラを抑えることができる。
【0112】
各発光演出部168,188は、対応する照明発光体165,185からの光照射向きに合わせて指向するように構成され、照明発光体165,185から照射した光の光軸とこの光軸に交差するように延在する発光演出部168,188との関係が、照明発光体165,185とこれに対応する発光演出部168,188との組で何れも同じになるように設定されている。前述したように、下部装飾体166および第2ホーン部材80は、照明基板164,184に相対する部位が該照明基板164,184に沿った曲面状になっているので、該下部装飾体166および第2ホーン部材80の曲面上に発光演出部168,188を設置することで、各発光演出部168,188が照明発光体165,185からの光の照射向きに揃うことになる。これにより、複数の発光演出部168,188を、対応する照明発光体165,185からの光の照射によって、同じ発光態様で一様に発光させることができる。換言すると、下部装飾体166および第2ホーン部材80では、曲面状に延在する意匠面上に該曲面位置に応じた夫々異なる向きで発光演出部168,188が設けられているが、照明基板164,184を下部装飾体166および第2ホーン部材80の曲面に合わせて湾曲させることで、該照明基板164,184上に実装した照明発光体165,185の離間位置および向きを対応の発光演出部に合わせて揃えることができ、複数の発光演出部168,188を同じように発光させることができる。また、照明基板164,184を、該照明基板164,184を支持する支持部材162または被覆部材78の曲面に沿って延在するように湾曲させることで、支持部材162または被覆部材78との意匠的な一体感を増すことができる。
【0113】
前記第1照明手段160において、第1照明基板164は、第1基板支持部172によって支持部材162から離間するように支持されて、下部装飾体166に近付けた状態で配置されている。これにより、第1照明手段160は、第1照明発光体165から照射した光によって第1発光演出部168をより明輝させることができる。同様に、第2照明手段180において、第2照明基板184は、第2基板支持部182によって被覆部材78から離間するように支持されて、第2ホーン部材80に近付けた状態で配置されている。これにより、第2照明手段180は、第2照明発光体185から照射した光によって第2発光演出部188をより明輝させることができる。
【0114】
(音出力部による窓口の装飾について)
前記音出力部S1,S2は、前枠13の窓口35を画成する前枠ベース部材34の枠部34a,34b,34cに配設した装飾体としてのホーン部材70,80が、その一部を前枠ベース部材34の前側から窓口35の開口内側に向けて延出するよう構成してある。このように、ホーン部材70,80が前枠ベース部材34の前側スペース(枠部34a,34b,34cの幅)に制限されることなく、窓口35の開口内側に重なる窓口35の前側スペースを用いて比較的大きく形成することが可能となる。これにより、前枠13の前面を構成する装飾体としてのホーン部材70,80を大型でインパクトがあるものとすることができ、ホーン部材70,80によってパチンコ機10の前面側をなす前枠13を効果的に装飾することができる。しかも、ホーン部材70,80は、窓口35の開口内側に延出する延出部分を含めて全体が透明になっているから、窓口35の内側の視認を妨げることはない。しかも、ホーン部材70,80は、前枠ベース部材34の前面および窓口35の開口面に沿った広がりだけでなく、前枠ベース部材34の前面から前方に張り出した立体的な意匠形状となっているから、該ホーン部材70,80のインパクトをより増すことができる。ホーン部材70,80は、窓口35の開口内側に延出する透明な延出部分が、窓口35の内側に臨む遊技盤20の盤面飾り部材など遊技領域20aの外側部位に重なるのではなく、遊技領域20aの前側に重なるように構成されている。従って、遊技盤20では、ホーン部材70,80が遊技領域20aの前側に重なる部位において、該ホーン部材70,80の後側をパチンコ球が通ることになり、ホーン部材70,80によって遊技領域20aを装飾することができる。しかも、ホーン部材70,80は、前枠発光体41の光を受けて発光するので、該ホーン部材70,80が重なる窓口35の開口内側も発光装飾することができる。
【0115】
前述したように、ホーン部材70,80は、上部スピーカーユニット50A,50Bの上部スピーカー52A,52Bから出力された音を導く導音壁72,82が設けられている。ホーン部材70,80は、窓口35の内側にかかるように比較的大型に設定することができるから、上部スピーカー52A,52Bから出力した音を導くホーンとして、上部スピーカー52A,52Bから出力した音の指向性を高めることができる。
【0116】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1)前述した発光体としては、様々な色で発光可能なフルカラータイプのチップLEDや白色の単色発光が可能なチップLED、電球やその他の光を発する手段を用いることができる。
(2)光を拡散する構成としては、実施例で説明した凹凸形状に限られず、例えば光反射性を有する微粒子を含有する光拡散インクを種々の濃度分布で光透過性を有する部材の表面に印刷または塗布等する加工や、部材を構成する樹脂自体に光反射性を有する微粒子を分散させる例えばラメ加工や、透過する光の屈折率を変える加工等を指し、1つの加工だけであっても、複数の加工を組み合わせてもよい。なお、表面加工の具体例としては、溝加工、ダイヤモンドカット加工、シボ加工、ブラスト加工などが挙げられ、光の屈折率を変える加工としては、部材の表面に該部材と屈折率が異なる微細な凹凸を設けたシートレンズの如きものが挙げられる。
(3)実施例では、パチンコ球を遊技媒体として遊技が行われるパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機(回胴式遊技機)等の各種遊技機を採用し得る。
例えば、スロットマシン機(回胴式遊技機)は、前方へ開口する箱状の筐体に、当該筐体の前方開口を塞ぐ前扉が開閉可能にヒンジ接続され、図柄が配列された複数のリール(回転体)が前側から視認し得るように筐体内部に配設されている。そして、遊技者が所定の開始操作手段(スタートレバー)の操作を行うことを契機にリール(回転体)が回転して図柄が変動開始すると共に、変動ゲームの当否に関連した当否判定を行い、所定の停止操作手段(ストップボタン)の操作を契機に、当否判定に基づく図柄停止制御を実行し、停止した図柄の組合せによって遊技利益が付与される制御される遊技機である。このようなスロットマシン機では、本体部材としての筐体に対して開閉可能に配設された前面部材としての前扉に適用できる。
【0117】
(4)実施例では、前枠における窓口の上側および下側にスピーカーユニットを分けて配置したが、前枠において窓口の横側にスピーカーユニットを配置してもよい。
(5)実施例では、下部エンクロージャーの壁面に反射部を設けて、この反射部によって該下部エンクロージャーに近接配置された発光手段による発光を補助したが、上部エンクロージャーの壁面に反射部を設けて、該上部エンクロージャーの周囲に配置された前枠発光体の光を反射部で反射させる構成であってもよい。
(6)エンクロージャーは、3つ以上の部材を組み合わせて箱状本体を構成してもよい。
【0118】
(7)エンクロージャーにおける箱状本体の封止構造を構成する構成体の凸部と凹部との関係は、実施例と逆であってもよい。
(8)封止鍔部によるダクトと構成体との間の封止構造は、封止鍔部が構成体の内側から取付開口の開口縁に重なる構成であってもよい。また、ダクトに設けた位置決め鍔部が構成体に当接してダクトの周面と構成体との間を封止する構成であってもよい。
(9)ダクトにおける分割体の封止構造は、一方の分割体の当接端面に凸部のみを設け、他方の分割体の当接端面に凹部のみを設ける構成であってもよい。また、ダクトの連通方向全体に亘って凸部および凹部を設けてもよい。
(10)下部エンクロージャーにおける箱状本体の封止構造を、上部エンクロージャーにおける箱分体の封止構造に適用してもよい。
【0119】
(11)実施例では、照明手段の発光演出部を照明発光体と1対1の関係で設けたが、複数の照明発光体に対応して1つの発光演出部を設けてもよい。
(12)照明手段の発光演出部は、照明基板の前側を覆う装飾体自体に形成してもよい。
(13)照明手段は、右側の音出力部と同様に、左側の音出力部に適用してもよい。この場合は、上部エンクロージャーを照明基板を支持する支持部材とすればよい。
【0120】
(14)実施例では、音出力部を構成するホーン部材を窓口の開口内側に延出させたが、これに限られず、前枠ベース部材の前側に配設される装飾カバーの一部が、窓口の開口内側に向けて延出し、この延出部分を介して窓口が視認できる構成であってもよい。