(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源は、前記第1周波数のクロック信号を出力するときの前記クロック用光干渉計の光路長が変更されて前記第2周波数のクロック信号を出力するように調整されており、前記第2周波数が前記第1周波数の半値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層画像生成装置。
光源から照射されたレーザ光を被写体に照射する計測光と参照ミラーとに照射する参照光に分配し、前記被写体から反射した散乱光と前記参照ミラーから反射して戻って来た反射光とを合成させた干渉光の信号をディテクタで前記被写体の内部情報として検出して光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成方法であって、
前記光源は、
レーザ光を出力するレーザ光装置と、前記レーザ光から光源メーカ規定の撮影可能距離である第1深さの光干渉断層画像の測定に用いるクロック信号のために規定された第1周波数と前記第1周波数よりも小さな第2周波数とを含む所定周波数範囲で調整可能なクロック信号を生成及び出力するクロック用光干渉計と、を有し、
前記クロック用光干渉計は、
前記レーザ光装置から出力されるレーザ光を分岐するカップラと、
前記カップラにより分岐されたレーザ光をそれぞれ伝送する光ファイバで構成された異なる2つの光路と、
前記光路の一方に設けられて前記異なる2つの光路に所定の光路長差を発生させる光路調整部と、
前記異なる2つの光路を伝送される光信号が合波された光信号を検出し、対応した電気信号を前記第2周波数のクロック信号として出力する検出器と、を備え、
前記光路調整部を、前記第1周波数のクロック信号が出力可能な光路長よりも短い光路長に設定することで、前記クロック用光干渉計から前記第2周波数のクロック信号が出力できるように調整する工程と、
調整された前記光源を準備する工程と、
前記光源から出力される前記第2周波数のクロック信号を電気的に高周波変換して前記第1周波数よりも高い第3周波数のクロック信号を生成する工程と、
前記ディテクタで検出された信号及び前記第3周波数のクロック信号をAD変換回路に入力して、入力されたクロック信号をサンプリングの基準として、前記ディテクタで検出された信号をデジタル信号に変換して前記干渉光の波数が等間隔となるように抽出する工程と、
前記抽出されたデジタル信号を画像処理して前記被写体の断層画像を表示装置に出力する工程、
を有することを特徴とする光干渉断層画像生成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の光干渉断層画像生成装置には改良する余地があった。この特許文献1記載の光干渉断層画像生成装置に対して、クロック用光干渉計を有した光源を適用する場合、撮影された光干渉断層画像には、光源メーカにて規定された撮影可能距離の深さまでの情報しか表示することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、クロック用光干渉計を有した光源にて規定されている撮影可能距離よりも深い部位までの光干渉断層画像を生成することができる光干渉断層画像生成装置及び光干渉断層画像生成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本願発明者は、クロック用光干渉計を有した光源を用いて、深い部位までの光干渉断層画像を生成するために種々検討を行った。その結果、本来の撮影可能距離よりも深い部位まで表示するために、光源の出荷前にクロック信号の周波数が本来の設定値よりも高くなるように内蔵のクロック用光干渉計の光路を調整し直した光源から取り出したクロック信号を用いて、被写体から検出された干渉光の信号をサンプリングして光断層画像を生成した場合、この生成した光断層画像が見辛くなることを見出した。一方で、光源の出荷前にクロック信号の周波数を本来の設定値以下に調整し直した光源から取り出したクロック信号を電気的に高周波に変換してからサンプリングに用いると本来の撮影可能距離よりも深い部位までの見易い断層画像を得ることが可能であることを見出した。
【0010】
そこで、本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、レーザ光を出力する
レーザ光装置と、前記レーザ光から
光源メーカ規定の撮影可能距離である第1深さの光干渉断層画像の測定に用いるクロック信号のために規定された第1周波数と前記第1周波数よりも小さな第2周波数とを含む所定周波数範囲で調整可能なクロック信号を生成及び出力するクロック用光干渉計
と、を有した光源
と、前記レーザ光を被写体に照射する計測光と参照ミラーに照射する参照光に分配する光分割器と、前記計測光を前記被写体に照射し当該被写体の内部で散乱して戻って来た散乱光を受光するプローブと、前記参照光が前記参照ミラーから反射して戻って来た反射光と前記散乱光とを合成させて干渉光を生成する光合波器と、前記干渉光の信号を前記被写体の内部情報として検出するディテクタと、前記光源から出力される前記第2周波数のクロック信号を電気的に高周波変換して前記第1周波数よりも高い第3周波数のクロック信号を生成する周波数変換回路と、前記第3周波数のクロック信号をサンプリングの基準として、前記ディテクタで検出された信号をデジタル信号に変換して前記干渉光の波数が等間隔となるように抽出するAD変換回路と、前記抽出されたデジタル信号を画像処理して前記被写体の光干渉断層画像を表示装置に出力する制御装置と、を備え
、前記クロック用光干渉計は、前記レーザ光装置から出力されるレーザ光を分岐するカップラと、前記カップラにより分岐されたレーザ光をそれぞれ伝送する光ファイバで構成された異なる2つの光路と、前記光路の一方に設けられて前記異なる2つの光路に所定の光路長差を発生させる光路調整部と、前記異なる2つの光路を伝送される光信号が合波された光信号を検出し、対応した電気信号を前記第2周波数のクロック信号として出力する検出器と、を備え、前記光路調整部は、前記第1周波数のクロック信号が出力可能な光路長よりも短い光路長に設定されており、前記制御装置は、前記光路調整部を、前記第1周波数のクロック信号が出力可能な光路長よりも短い光路長に設定することで、前記クロック用光干渉計から前記第2周波数のクロック信号が出力できるように調整された状態で抽出されたデジタル信号を画像処理して前記被写体の光干渉断層画像を前記表示装置に出力することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置において、光源は、光源メーカ規定の本来の撮影可能距離である第1深さに応じた、規定の第1周波数のクロック信号を生成するように調整されるべきものであるが、事前に、この第1周波数
よりも低い値である第2周波数のクロック信号を出力するように調整されている。
そして、測定時には、光干渉断層画像生成装置において、光源から照射されたレーザ光は、光分割器によって、被写体に照射する計測光と参照ミラーとに照射する参照光に分配される。そして、被写体から反射した散乱光をプローブで受光し、光合波器にて、散乱光と参照ミラーから反射して戻って来た反射光とを合成して生成された干渉光の信号をディテクタで検出する。この干渉光の信号は、被写体の内部情報を表すアナログ信号であるがAD変換回路でデジタル信号に変換される。
一方で、光源外部の周波数変換回路は、光源から出力される第2周波数のクロック信号を電気的に高周波変換して第1周波数よりも高い第3周波数のクロック信号を生成し、生成したクロック信号をAD変換回路に入力する。したがって、本来の撮影可能距離である第1深さに応じた第1周波数よりも周波数が高い3周波数のクロック信号がAD変換回路へ入力する。そして、AD変換回路は、この入力したクロック信号をサンプリングクロックとして、ディテクタで検出された信号をデジタル信号に変換して干渉光の波数が等間隔となるように抽出する。したがって、AD変換回路は、被写体から検出された干渉光の時系列の信号から、干渉光の波数が等間隔となるように抽出する各データの波数間隔を従来よりも小さくすることができる。これにより、制御装置が、このデジタル信号を画像処理して被写体の光干渉断層画像を表示装置に出力すると、光源メーカ規定の本来の撮影可能距離である第1深さよりも深い部位までの見易い断層画像が得られる。
【0012】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、前記光源が、前記第1周波数のクロック信号を出力するときの前記クロック用光干渉計の光路長が変更されて前記第2周波数のクロック信号を出力するように調整されており、前記第2周波数が前記第1周波数の半値よりも大きいことが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置において、光源から出力される第2周波数のクロック信号は、規定の第1周波数の半値より大きいので、光源の事前調整では、内部のクロック用光干渉計の光路長の変更の程度を小さくすることができる。
【0014】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、前記周波数変換回路が、入力信号の周波数を2倍にして出力する逓倍器であることが好ましい。これによれば、周波数変換回路が入力信号の周波数を2倍にするだけで、第1周波数よりも高い第3周波数のクロック信号を容易に生成することができる。また、これによれば、逓倍器を使わない場合の波数間隔の半分の波数間隔にて、干渉光の信号からデータを抽出することができるので、逓倍器を使わない場合と比べて2倍の深さまでの画像を取得することができる。
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置において、前記光源は、当該光源規定の撮影可能距離が4mmであり、当該深さの光干渉断層画像の測定に用いるクロック信号のために規定された前記第
2周波数が200MHzのものであることとしてもよい。この場合、光干渉断層画像生成装置は、逓倍器により周波数変換した400MHzのクロック信号を用いて干渉光信号をサンプリングできるので、8mmの深さまでの光干渉断層画像を表示することができる。
【0015】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成方法は、光源から照射されたレーザ光を被写体に照射する計測光と参照ミラーとに照射する参照光に分配し、前記被写体から反射した散乱光と前記参照ミラーから反射して戻って来た反射光とを合成させた干渉光の信号をディテクタで前記被写体の内部情報として検出して光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成方法であって、
前記光源は、レーザ光を出力する
レーザ光装置と、前記レーザ光から
光源メーカ規定の撮影可能距離である第1深さの光干渉断層画像の測定に用いるクロック信号のために規定された第1周波数と前記第1周波数よりも小さな第2周波数とを含む所定周波数範囲で調整可能なクロック信号を生成及び出力するクロック用光干渉計
と、を有し
、前記クロック用光干渉計は、前記レーザ光装置から出力されるレーザ光を分岐するカップラと、前記カップラにより分岐されたレーザ光をそれぞれ伝送する光ファイバで構成された異なる2つの光路と、前記光路の一方に設けられて前記異なる2つの光路に所定の光路長差を発生させる光路調整部と、前記異なる2つの光路を伝送される光信号が合波された光信号を検出し、対応した電気信号を前記第2周波数のクロック信号として出力する検出器と、を備え、前記光路調整部を、前記第1周波数のクロック信号が出力可能な光路長よりも短い光路長に設定することで、前記クロック用光干渉計から前記第2周波数のクロック信号が出力できるように調整
する工程と、調整された前記光源を準備する工程と、前記光源から出力される前記第2周波数のクロック信号を電気的に高周波変換して前記第1周波数よりも高い第3周波数のクロック信号を生成する工程と、前記ディテクタで検出された信号及び前記第3周波数のクロック信号をAD変換回路に入力して、入力されたクロック信号をサンプリングの基準として、前記ディテクタで検出された信号をデジタル信号に変換して前記干渉光の波数が等間隔となるように抽出する工程と、前記抽出されたデジタル信号を画像処理して前記被写体の断層画像を表示装置に出力する工程、を有することを特徴とする。
【0016】
かかる光干渉断層画像生成方法によれば、AD変換回路への入力クロック信号の周波数である第3周波数は、光源メーカ規定の本来の撮影可能距離である第1深さに応じた第1周波数よりも周波数が高いので、AD変換回路によって、被写体から検出された干渉光の時系列の信号から、干渉光の波数が等間隔となるように抽出する各データの波数間隔を従来よりも小さくすることができる。したがって、光源メーカ規定の本来の撮影可能距離である第1深さよりも深い部位までの見易い断層画像が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クロック用光干渉計を有した光源にて規定されている撮影可能距離よりも深い部位までの光干渉断層画像を生成することができる。そのため、被写体の内部情報として従来は可視化することができなかった範囲までの断層画像の撮影が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置であるOCT装置1について詳細に説明する。
【0020】
[OCT装置の構成の概要]
OCT装置1の構成の概要について、OCT装置1によって撮影する被写体(サンプルS)を、歯科の患者の診断対象の歯牙(前歯)である場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、OCT装置1は、光学ユニット部10(光学ユニット)と、診断プローブ部30(プローブ)と、制御ユニット部50(制御ユニット)と、を主に備える。
OCT装置1は、光源11から照射されたレーザ光をサンプルS(被写体)に照射する計測光と、参照ミラー21とに照射する参照光にカップラ12(光分割器)で分配し、診断プローブ部30で、前記計測光をサンプルSに照射しサンプルSの内部から散乱して戻って来た散乱光と、参照ミラー21からの反射光と、をカップラ16(光合波器)で合成させた干渉光を解析して、光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成装置である。
【0021】
≪光学ユニット部≫
光学ユニット部(光学ユニット)10は、一般的な光コヒーレンストモグラフィの各方式が適用可能な光源、光学系、検出部を備えている。
図1に示すように、光学ユニット部10は、サンプル(被写体)Sに高帯域な波長のレーザ光を続けて(周期的に)照射する光源11と、レーザ光をサンプルSに照射する計測光と参照ミラー21に照射する参照光に分配するカップラ12(光分割器)と、計測光をサンプルSに照射しこのサンプルSの内部で散乱して戻って来た散乱光を受光する診断プローブ部30(プローブ)と、参照光が参照ミラー21から反射して戻って来た反射光と散乱光とを合成させて干渉光を生成するカップラ16(光合波器)と、その干渉光からサンプルSの内部情報を検出するディテクタ(検出器)23と、光源11とディテクタ23との間の光路中に設けられた光ファイバ19b、ケーブル60やその他光学部品等を備えている。
【0022】
ここで、光学ユニット部10の概略を説明する。
光源11から射出された光は、光分割器であるカップラ12により、計測光と参照光とに分けられる。計測光は、サンプルアーム13のサーキュレータ14から診断プローブ部30に入射する。この計測光は、診断プローブ部30のシャッタ機構31のシャッタが開状態において、受光レンズ32(コリメータレンズ)、走査手段33(ガルバノミラー)を経て集光レンズ34によってサンプルSに集光され、そこで散乱、反射した後に再び集光レンズ34、走査手段33、受光レンズ32を経てサンプルアーム13のサーキュレータ14に戻る。戻ってきた計測光の偏光成分は、偏光コントローラ15によってより偏光の少ない状態に戻され、光合波器としてのカップラ16を介してディテクタ23に入力される。
【0023】
一方、光分割器用のカップラ12により分離された参照光は、レファレンスアーム17のサーキュレータ18からコリメータレンズ19、光路長変更手段24を経て参照光集光レンズ20によって参照ミラー21(レファレンスミラー)に集光され、そこで反射した後に再び参照光集光レンズ20、コリメータレンズ19を経てサーキュレータ18に戻る。戻ってきた参照光の偏光成分は、偏光コントローラ22によってより偏光の少ない状態に戻され、光合波器用のカップラ16を介してディテクタ23に入力される。つまり、カップラ16が、サンプルSで散乱、反射して戻ってきた計測光と、参照ミラー21で反射した反射光とを合波するので、合波により干渉した光(干渉光)をディテクタ23がサンプルSの内部情報として検出することができる。
【0024】
<光源の概要>
本実施形態のOCT装置1(光干渉断層画像生成装置)において、光源11は光源メーカで注文製造されたものを用いる。
光源11としては、例えばSS−OCT方式用のレーザ光源を用いることができる。光源11は、レーザ光を出力すると共に、レーザ光から所定周波数範囲で調整可能なクロック信号を生成及び出力するクロック用光干渉計を有している。
光源11の性能としては、例えば、中心波長1310nm、掃引波長幅140nm、掃引速度50kHz、撮影可能距離=5mm、K-Clock周波数=250MHzのものを挙げることができる。
【0025】
本実施形態では、クロック用光干渉計を有した光源において、当該光源規定の撮影可能距離である第1深さ(例えば5mm)の光干渉断層画像の測定に用いるクロック信号のために規定された第1周波数(例えば250MHz)以下の第2周波数のクロック信号が出力できるように調整された光源を準備する。第2周波数の値は、第1周波数と同じ値か又は低い値である。
【0026】
さらに、第2周波数が第1周波数よりも低い場合、第1周波数(例えば250MHz)の半値よりも大きいものとする。例えば第1周波数が250MHzであるものとして、その80%の値(200MHz)を第2周波数としてもよい。この第2周波数に対応した撮影可能距離は例えば4mmである。本実施形態では、一例として、光源メーカで規定された本来の撮影可能距離である第1深さ(例えば5mm)を実現可能な基本性能を有した光源において、サンプルSの測定における深さ方向の性能を犠牲にして、光源メーカにて特注製造された光源を用いる。
【0027】
<光源の構成例>
光源11は、
図2に示すように、例えば、レーザ光装置110と、コントローラ111と、カップラ112と、クロック用光干渉計113と、レーザ光端子114と、トリガ端子115と、クロック端子116と、を備えている。
【0028】
レーザ光装置110は、レーザ光(掃引光信号)を生成するものである。
コントローラ111は、レーザ光装置110を制御するものであり、所定の掃引波長幅及び所定の掃引速度のレーザ光(掃引光信号)をレーザ光装置110が生成できるように制御する。コントローラ111は、所定の掃引速度(例えば50kHz)に対応した電気信号をトリガ(trigger)としてトリガ端子115に供給する。
【0029】
カップラ112は、レーザ光装置110から光ファイバFで伝送される光信号を、光ファイバFでレーザ光端子114に伝送される光信号と、光ファイバFでクロック用光干渉計113に伝送される光信号とに分配するものである。カップラ112は、例えば光信号の95%がレーザ光端子114に伝送され、残りの5%がクロック用光干渉計113に伝送されるように光信号を分配する。
【0030】
クロック用光干渉計113は、レーザ光装置110で生成されるレーザ光(掃引光信号)に依存したクロック信号を生成するものである。
クロック用光干渉計113は、例えばマッハツェンダー型の干渉計であって、カップラ131と、光路調整部132と、カップラ133と、検出器134と、増幅器135と、を備えている。
カップラ131は、カップラ112で分割されたレーザ光(光信号)を、光ファイバFで光路調整部132を介してカップラ133に伝送される光信号と、光ファイバFでカップラ133に直接伝送される光信号とに分配するものである。つまり、カップラ131とカップラ133との間には、光ファイバFによる異なる2つの光路が配されており、一方の光路にだけ光路調整部132が設けられている。
【0031】
光路調整部132は、異なる2つの光路に所定の光路長差を発生させるものであり、例えば光遅延器からなる。光路調整部132は、所定光路長範囲で調整可能である。例えば光路長として、光源メーカにて規定された本来の設定値(例えば10mm)に設定することができる。仮に光路長を10mmに設定する場合、クロック端子116から出力されるクロック信号をサンプリングクロックとして用いて干渉光の信号を画像処理すると、深さ5mmまでの光干渉断層画像を表示可能である。
本実施形態では、光路調整部132は、光源メーカ規定の設定値(例えば10mm)よりも短い光路長(例えば8mm)が設定されている。仮に光路長を8mmに設定する場合、クロック端子116から出力されるクロック信号をサンプリングクロックとして用いて干渉光の信号を画像処理すると、深さ4mmまでの光干渉断層画像を表示可能である。つまり、本OCT装置1では、光源11の性能を敢えて落として用いている。
【0032】
カップラ133は、カップラ131から光路調整部132を経由して光ファイバFで伝送される光信号と、カップラ131から光路調整部132を経由せずに光ファイバFで伝送される光信号と、を合波するものである。
検出器134は、カップラ133で合波されて光ファイバFから出射したレーザ光(光信号)を検出し、対応した電気信号を出力するものであり、例えばフォトダイオード等からなる。
増幅器135は、検出器134で検出された電気信号の振幅を増幅した信号(K-Clock)をクロック端子116に供給する。
【0033】
レーザ光端子114は、光ファイバケーブルによって光学ユニット部10(
図1参照)のカップラ12の入力端と接続される。
トリガ端子115は、トリガケーブルによって制御ユニット部50(
図1参照)のAD変換回路51(ADボード)の入力端と接続される。トリガ信号の周波数は例えば50kHz(周期20μs)とすることができる。
クロック端子116は、クロックケーブルによって制御ユニット部50(
図1参照)の逓倍器90の入力端に接続されている。この逓倍器90の出力端は、AD変換回路51(ADボード)の入力端と接続される。
【0034】
図1に戻って、光学ユニット部10の構成の説明を続ける。
参照光のコリメータレンズ19は、カップラ12(光分割器)で分割された参照光を平行光に収束させるレンズであり、コリメータ19dの略円筒状のレンズホルダ19a内に収容されている。
【0035】
コリメータ19dは、前記コリメータレンズ19と、コリメータレンズ19を内嵌した略円筒状のレンズホルダ19aと、レンズホルダ19aに取り付けられたコネクタ19cと、一端がコネクタ19cに接続され、他端がレンズホルダ19aとサーキュレータ18とに接続された光ファイバ19bと、を備えている。
【0036】
レンズホルダ19aは、光軸上の一端側に光ファイバ19bが取り付けられコネクタ19cを固定し、他端側に参照ミラー21に向けて開口され参照光、反射光が出入りする開口部が形成されている。
【0037】
かかる構成により、前記コリメータ19dは、サンプルS(被写体)光側の光路長と参照光側の光路長が等しくなるように予め設定された光軸上の位置に配置することができる。
【0038】
参照光集光レンズ20は、コリメータレンズ19により収束された平行光を参照ミラー21に集光させるレンズであり、例えば、コリメータレンズ19と参照ミラー21との間の予め設定された光軸上の位置に配置されている。参照光集光レンズ20は、この参照光集光レンズ20の傾きを調整可能に所定位置に固定される。
【0039】
参照光の光路長変更手段24は、手動または電動でコリメータ19dを光軸方向に移動させて、カップラ12(光分割器)から参照ミラー21までの光路長を変更したり、初期設定したりする際に使用する装置である。この参照光の光路長変更手段24は、例えば、前記参照光集光レンズ20と、前記参照ミラー21と、を備えて構成されている。
【0040】
≪診断プローブ部≫
図1に示すように、診断プローブ部30(プローブ)は、レーザ光を2次元走査する走査手段33(ガルバノミラー)を含み、光学ユニット部10からのレーザ光をサンプルSに導くと共に、サンプルS内で散乱して反射した散乱光を受光して光学ユニット部10に導くものである。この診断プローブ部30は、それぞれ後記するケーブル60と、ハウジング3と、シャッタ機構31と、受光レンズ32と、走査手段33(ガルバノミラー)と、集光レンズ34と、集光点調整機構35と、を備えている。
【0041】
ケーブル60は、診断プローブ部30と、光学ユニット部10及び制御ユニット部50とを光学的及び電気的に接続するためのものである。ケーブル60は、光学ユニット部10に接続された光ファイバと、制御ユニット部50に接続された通信線とを内蔵している。
【0042】
ハウジング3は、診断プローブ部30の構成部品を覆ったり、支持したりするケース体である。このハウジング3内には、受光レンズ32、走査手段33、集光レンズ34、シャッタ機構31、が主に設けられている。ハウジング3は、例えば、中央部を縦断面して左右に二分した2つのケース体を合致させてなる。
【0043】
シャッタ機構31は、サーキュレータ14から送られて来た計測光と、サンプルSに計測光が当たって反射した散乱光とが診断プローブ部30を通過するのを遮断する装置であり、例えば、受光レンズ32と走査手段33との間に介在されている。シャッタ機構31は、サンプルSからの反射光を遮断して、表示画面上に写るノイズ(像)をソフト的に除去するゼロ点補正を行うためのものである。
【0044】
受光レンズ32は、カップラ12からサーキュレータ14を介して送られた計測光を受光してレーザ径を調整するレンズであり、例えば、平行光に収束させるコリメータレンズからなる。受光レンズ32は、略円筒状の受光レンズユニット322に内設されている。
【0045】
受光レンズユニット322は、光軸に対して傾けたり、進退したりして受光レンズ32の向きと位置とを調整できるように構成されている。受光レンズユニット322の光軸上の一端側にセットされたコネクタ322bには、ケーブル60の光ファイバが取り付けられている。
【0046】
走査手段33は、受光レンズ32を通過したレーザ光の照射方向を変化させるためのミラーであり、受光レンズ32を透過した計測光の光軸を90度変換するX方向ガルバノミラーと、X方向ガルバノミラーで変換する光軸の向きに対して90度相違する向きに光軸を変換するY方向ガルバノミラーと、を備えて構成されている。
【0047】
光源11から照射されたレーザ光は、走査手段33を介してサンプルSに照射され、診断プローブ部30のノズル先端が正対するサンプルSの表面から内部に進む深さ方向(A方向)の内部情報をディテクタ23が取得する。1回のスキャンで1152ポイントからなるA方向のデータ(以下、Aラインデータという)を取得し、その後の周波数解析の画像処理(FFT処理)を行い、A方向のデータのFFT処理結果として1024点の各データを取得する。
【0048】
ここで、X方向及びY方向とは、診断プローブ部30のノズル先端が正対するサンプルSの表面において横方向及び縦方向(Y軸方向)に対応する。
【0049】
X方向ガルバノミラーは、受光レンズ32側に設けられている。X方向ガルバノミラーは、ミラー面(A−V平面)を、A方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプルSの表面において横方向(X軸方向)のデータであり、B方向のデータとなる。仮にガルバノミラーの動作回転角が例えば−3°〜+3°で128ポイントのB方向のデータが必要な場合、128ポイントのB方向のデータ(以下、Bラインデータという)を取得する。
【0050】
Y方向ガルバノミラーは、集光レンズ34側に設けられ、ミラー面(B−V平面)を、B方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプルSの表面において縦方向(Y軸方向)のデータであり、V方向のデータ(以下、Vラインデータという)となる。
【0051】
集光レンズ34は、走査手段33による走査光を集光すると共に、計測光をサンプルSに集光させて照射するレンズである。
【0052】
集光点調整機構35は、集光レンズ34を光軸に沿って進退させるものである。
集光点調整機構35は、集光レンズ34と、診断プローブ部30のノズル先端に当接されたサンプルS(被写体)との間の距離を調整して集光点を調整する装置である。
集光点調整機構35は、集光レンズ34が光軸方向に進退して、集光点を調整できるようになっている。
【0053】
≪制御ユニット部≫
制御ユニット部50(制御ユニット)は、逓倍器90と、AD変換回路51と、DA変換回路52と、ガルバノミラー制御回路53と、表示装置54と、OCT制御装置100とを備える。
【0054】
逓倍器90(周波数変換回路)は、光源11から出力されるクロック信号ckの周波数(第2周波数)を電気的に高周波変換して、光源規定のクロック信号の周波数である第1周波数(例えば250MHz)よりも高い第3周波数のクロック信号を生成するものである。
本実施形態では、逓倍器90は、入力信号の周波数(例えば200MHz)を例えば2倍にした第3周波数(例えば400MHz)の信号を出力することとした。
逓倍器90で周波数変換された電気信号は、AD変換回路51に入力される。
【0055】
AD変換回路51は、ディテクタ23(検出器)のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するものである。
また、AD変換回路51には、光源11のトリガ端子115から出力されるトリガ(trigger)と、逓倍器90で周波数変換された第3周波数(例えば400MHz)の電気信号(サンプリングクロック信号)とが入力される。
本実施形態では、AD変換回路51は、光源11から出力されるトリガ(trigger)に同期してディテクタ23(検出器)のアナログ出力信号の収得を開始し、逓倍器90から出力される周波数変換されたサンプリングクロック信号のタイミングに合わせて、ディテクタ(検出器)23のアナログ出力信号を収得し、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は、OCT制御装置100に入力する。
【0056】
AD変換回路51は、ディテクタ23で検出された信号(サンプルSに応じた干渉光の信号)をデジタル信号に変換して干渉光の波数が等間隔となるように抽出する。波数等間隔のデータを抽出する手法は従来公知の手法を用いることができる。例えば、光源11から出力されるレーザ光の波長掃引特性を予め記憶しておき、その波長掃引特性に基づいて波数が等間隔になるように干渉光の信号の時系列データを並べ替えた系列でデータを順次抽出する手法を採用することができる。
【0057】
DA変換回路52は、OCT制御装置100のデジタル出力信号をアナログ信号に変換するものである。本実施形態では、DA変換回路52は、光源11から出力されるトリガ(trigger)に同期して、OCT制御装置100のデジタル信号をアナログ信号に変換する。このアナログ信号は、ガルバノミラー制御回路53に入力する。
【0058】
ガルバノミラー制御回路53は、診断プローブ部30の走査手段33を制御するドライバである。ガルバノミラー制御回路53は、OCT制御装置100のアナログ出力信号に基づいて、光源11から出射されるレーザの出力周期に同期して、X方向ガルバノミラーまたはY方向ガルバノミラーのモータを駆動または停止させるモータ駆動信号を出力する。
【0059】
ガルバノミラー制御回路53は、X方向ガルバノミラーの軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、Y方向ガルバノミラーの軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、を異なるタイミングで行う。
【0060】
表示装置54は、OCT制御装置100によって生成される光干渉断層画像(以下、OCT画像という)を表示するものである。表示装置54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electronic Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等から構成される。
【0061】
OCT制御装置100は、OCT装置1の制御装置であって、レーザ光に同期して走査手段33を制御することで撮影を行うと共に、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからサンプルSのOCT画像を生成する制御を行うものである。OCT制御装置100は、不図示の入出力手段と、記憶手段と、演算手段と、を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
【0062】
[測定可能距離の伸長の原理]
次に、本OCT装置1において、測定可能距離を伸長させる原理について図面及び数式を参照して説明する。ここで、測定可能距離とは、画質の良好な光干渉断層画像の深さ方向の距離を表す。
【0063】
一般に、OCTにおいて、レーザ光(計測光)を被写体に照射して得られる干渉光の信号(以下、干渉信号という)は、被写体の表面からの深さ方向の距離(奥行き距離)をz、光の波数をkとおくと、奥行き距離に応じて、光が当該奥行き距離を往復するのに要する距離だけ変化する。つまり、この干渉信号の干渉位相は2zkである。そのため、干渉信号はcos(2zk)と表わされる。
【0064】
図3を参照して、干渉信号についてさらに詳細に説明する。
図3は、
図1のサンプル(被写体)Sの近傍と、
図1の光路長変更手段24の中の参照ミラー21の近傍とを簡略化して表した図面である。ここでは、説明のためにサンプルSが参照ミラー21に対応した1つの反射面を有したミラー(試料ミラー)であるものとする。なお、
図3の参照光路及び試料光路は、レーザ光の入射の際には光源11(
図1参照)からの光路に接続され、干渉信号の検出の際にはディテクタ23(
図1参照)への光路に接続される。
【0065】
例えば、
図3のように、参照ミラー21を固定し、試料ミラーを所定距離L(例えば1mm)だけ動かしたとすると、参照光路と試料光路との実際の距離差は2L(例えば2mm)となる。この試料ミラーを動かしたときの所定距離Lは、撮影可能距離又は前記した被写体の奥行き距離zに相当する。そのため、このときに検出される干渉信号はcos(2Lk)と表わされる。
【0066】
ここで、参照光路と試料光路との距離差が2L(奥行き距離はL)のときに検出された干渉信号cos(2Lk)の周波数が
図4(a)のように例えば100MHz(奥行き距離にして4mm)であったものとする。なお、ここでは、説明のため1つの反射面に対応した干渉信号の波形としたが、試料ミラーではない歯牙等のサンプルの場合、奥行き方向の様々な深さの反射面にて反射する干渉信号が重畳された信号波形が得られることになる。
【0067】
一方、上記100MHzの周波数信号を再現するためには、サンプリング定理により、
図4(b)に示すように、最低でも200MHzの周波数の信号を用いて、100MHzの干渉信号をサンプリングする必要がある。ここで、
図4(b)に示す信号は、
図4(a)に示す干渉信号をサンプリングするためのサンプリングクロック信号である(所謂K-Clock)。
図4(b)に示す信号は、
図4(c)で示すアナログ信号をコンパレータ等でデジタル化することで生成することができる。
【0068】
図4(c)に示す信号あるいは
図4(b)に示す信号は、光源11の内部のクロック用光干渉計113にて生成可能である。
図4(c)に示す信号の周波数は、例えば200MHzである。ここでは、
図4(c)に示す信号は、図示を省略するが、第2の参照ミラーを有する第2の参照光路と、第2の試料ミラーを有する第2の試料光路との距離差が4Lのときに、第2のディテクタで時系列に検出された干渉信号cos(4Lk)であったものとする。なお、ここでは、説明のため1つの反射面に対応した干渉信号の波形とした。
【0069】
後記する波数等間隔のデータ抽出を行った後に、例えば
図4(a)に示す干渉信号cos(2Lk)をFFT処理すると、周波数fの軸上で100MHzの地点にピークが現れる。この100MHzの干渉信号cos(2Lk)は奥行き距離4mmに対応し、撮影可能距離が4mmであることを表す。なお、試料ミラーではない歯牙等のサンプルの場合、反射面に相当する様々な深さの多数のピークが現れる。なおまた、
図4(d)及び
図4(e)の説明については後記する。
【0070】
従来、OCTにおいて、検出された時系列の干渉信号から波数等間隔のデ−タを抽出する必要がある。SS−OCTの光源のように波長掃引光源から出力されるレ−ザの波長λは、時間ともに線形に増加または減少するので、このとき波数(k=2π/λ)は非線形に減少または増加してしまう。なお、時間をt、定数をCとすると、波長λは、λ(t)=C×tと表される。光源11から出力されるレ−ザ光の波長変化を、前記した干渉信号cos(2Lk)にも反映して、直感的に認識できるように模式的に示した波形を
図5に示す。
【0071】
図5において、横軸は、t(時間)であり、縦軸は、変数tの定義域における三角関数の値である(任意単位,a.u.)。
図5に示す波形は、干渉信号の振幅の時間変化を表す波形に相当する。なお、上記干渉信号はcos関数で表されているが、その位相変化はsin関数と同様なので代用した。
【0072】
本OCT装置1では、一例として、光源メーカの工場で出荷前に調整された撮影可能距離である第2深さ(例えば4mm)までの部位を撮影可能な光源11を用いて、測定可能距離として、第2深さ(例えば4mm)の2倍の深さに当たる第3深さ(例えば8mm)を実現するものとする。
【0073】
ここでは、ディテクタ23(
図1参照)で検出する干渉信号において
図3に示すような光路長差2L(奥行き距離L=4mm)を検出する前提で、それに合わせた、
図4(b)に示すK-Clockを発生するためのクロック用光干渉計を作製して
図6(a)に示すような干渉信号cos(4Lk)を得ることとする。なお、
図6(a)の波形において横軸は波数kである。
【0074】
クロック用光干渉計で得られる干渉信号cos(4Lk)をデジタル化してサンプリングクロックとして用いる場合、
図6(a)に示すように、cos(4Lk)=0を満たす位置(以下、ゼロ点という)にて、サンプリングすることになる。ただし、通常のA/Dコンバータはサンプリングクロックの信号波形の立ち上がりまたは立ち下りのどちらかでしかサンプリングすることができない。
例えば信号波形の立ち上がりのゼロ点だけでサンプリングする場合、
図6(b)に示すように、k空間において次の式(1)を満たすような各位置が波数等間隔の位置となる。
【0075】
4Lk
n=((3/2)+2n)π … 式(1)
【0076】
ここでπは円周率であり、n=0,1,2,…である。また、波数の間隔Δkは次の式(2)で表される。
Δk=k
n−k
n-1=π/(2L) … 式(2)
【0077】
したがって、奥行き距離Lは次の式(3)のように表される。
L=π/(2Δk) … 式(3)
【0078】
よって、式(3)から、波数間隔Δkの値を例えば半分にすれば、奥行き距離Lの値を2倍にすることができることが分かる。
【0079】
ここで、この結論を一歩進めて、仮に、内部にクロック用光干渉計を有した光源を用いた場合には、光源内部で生成されるK-Clockの周波数を高周波側にシフトすれば奥行き距離Lの値を大きくすることができるという仮説を立て、この仮説を検証する実験を行った。まず、光源内部で生成されるK-Clockの周波数を高周波側にシフトする前の光源(以下、比較例1の光源という)を準備した。この比較例1の光源は、光源メーカ規定の撮影可能距離である第1深さ(例えば5mm)の光干渉断層画像の測定に用いるクロック信号のために規定された第1周波数(例えば250MHz)のクロック信号を生成するために、光源メーカの工場においてクロック用光干渉計の光路調整部の光路長が例えば10mmに設定されて出荷されている。
【0080】
この場合、
図1のOCT装置1に、光源11の代わりに比較例1の光源を組み込んで、逓倍器90を用いずに250MHzの周波数のクロック信号をAD変換回路51に入力する。そして、ディテクタ23の検出信号(干渉光の情報)を250MHzのサンプリング周波数でAD変換してOCT制御装置100にて可視化して表示装置54に表示した場合、サンプルSのOCT画像としては、5mmの深さまで断層画像を得ることができる(
図7(a)参照)。なお、
図7(a)は、所定サンプルについて深さ方向の見える範囲を示した模式図である。
【0081】
次に、光源内部で生成されるK-Clockの周波数を高周波側にシフトした後の光源(以下、比較例2の光源という)を準備した。具体的には、撮影可能距離が光源メーカ規定の第1深さ(例えば5mm)より深い深さ(例えば7mm)となるように、光源メーカの工場において、光路調整部の光路長が14mmに設定された光源を用意した。この光源は、K-Clock周波数=350MHzの周波数のクロック信号を生成する。この光源を比較例2の光源と呼称する。比較例2の光源から出力される350MHzの周波数のクロック信号は、比較例1の光源から出力される250MHzの周波数のクロック信号と比べて、ゆらぎ(ジッター)が極端に大きくなった。
【0082】
加えて、一般に、光干渉計で高周波信号を発生させると高周波になればなるほど信号強度が落ちる。すなわち、高周波になればなるほど信号の振幅が小さくなる。光干渉計でK-Clockを生成する際、信号の振幅が小さくなった状態では、上記したOCTにおいて検出された時系列の干渉信号から波数等間隔のデ−タを抽出する操作が困難になるため、信号の増幅を試みると信号の遅延が発生するという別の問題が生じる。つまり、K-Clockを生成するために光干渉計で高周波信号を発生させて、それを利用する場合、高周波数に起因した困難性が生じる。よって、光源内部で生成されるK-Clockの周波数を高周波側にシフトすれば奥行き距離Lの値を大きくすることができるという仮説が否定された。なお、上記式(3)から、波数間隔Δkの値を例えば半分にすれば、奥行き距離2Lまで可視化することができるという結論は正しい。前記仮説の手法は、波数間隔Δkの値を例えば半分にする方法に採用できないということである。
【0083】
一方、本OCT装置1では、光源内部で生成するK-Clockとして取り扱い易い信号(奥行き距離が例えば4mmに対応)を経験的に発見しておくことを前提とする。本実施形態では、
図1のOCT装置1の光源11は、光源メーカ規定の撮影可能距離である第1深さ(例えば5mm)より浅い第3深さ(例えば4mm)を実現するように、光源メーカの工場において、光路調整部の光路長が8mmに設定された光源11を用意した。この光源11は、例えば200MHzの周波数のクロック信号を生成する。光源11から出力される200MHzの周波数のクロック信号は、比較例1,2の光源から出力されるクロック信号と比べてゆらぎ(ジッター)が減少した。
【0084】
そして、本OCT装置1では、光源11から出力されて周波数が低くて取り扱い易いこの信号の周波数(例えば200MHz)を、逓倍器90を用いて電気的に逓倍して例えば400MHzの周波数のクロック信号を生成する。逓倍器90は、例えば
図4(b)に示す200MHzのK-Clockを周波数変換して、
図4(e)に示す400MHzのK-Clockを生成する。
【0085】
前記式(1)〜式(3)の関係式を
図4(e)に示すクロック信号に当てはめると次のようになる。すなわち、
図4(e)に示すクロック信号は、下記の式(4)を満たすような各位置が波数等間隔の位置となり、この場合の波数の間隔Δk´は下記の式(5)で表される。したがって、この場合の奥行き距離L´は下記の式(6)のように表される。
8Lk
n=((3/2)+2n)π (n=0,1,2,…) … 式(4)
Δk´=k
n−k
n-1=(π/(2L))/2=Δk/2 … 式(5)
L´=2×(π/(2Δk))=2L … 式(6)
【0086】
図4(e)に示す信号を用いれば、
図4(d)に示す200MHzの干渉信号cos(4Lk)をサンプリングすることが可能である。例えば
図4(d)に示す干渉信号cos(4Lk)をFFT処理すると、周波数fの軸上で200MHzの地点にピークが現れる。この200MHzの干渉信号cos(4Lk)は奥行き距離8mmに対応する。
【0087】
逓倍器90を介さない従来手法では、例えば
図4(b)に示す200MHzのサンプリングクロックで干渉信号のデータを抽出することになるが、本実施形態のOCT装置1では、例えば
図4(e)に示す400MHzのサンプリングクロックで干渉信号のデータを抽出することができる。よって、AD変換回路51により、ディテクタ23の検出信号(干渉光の情報)からデータをサンプリングする際に、逓倍器90を介さない従来手法と比べて、前記式(5)に示すように波数等間隔を従来の半分にして干渉信号のデータを抽出することができる。
【0088】
そして、ディテクタ23の検出信号(干渉光の情報)を例えば
図4(e)に示す400MHzのサンプリング周波数でAD変換してOCT制御装置100にて可視化して表示装置54に表示した場合、サンプルSのOCT画像としては、画質が向上すると共に、比較例1の光源では可視化できなかったサンプルSの8mmまでの深さの内部情報を可視化したOCT画像を得ることができる(
図7(b)参照)。歯牙特有のもの(う蝕等)を撮影するためには光軸方向における深さ方向のデータが深い方がよい。特に、臼歯の診断に効果的になることが期待される。以上の実験結果をまとめて表1に記載する。
【0090】
[作用]
次に、OCT装置1(光干渉断層画像生成装置)を使用してサンプルS(前歯)を撮影する場合を説明する。
不図示の電源スイッチをONした後、不図示の操作ボタンを操作して、シャッタ機構31を駆動させてシャッタを開放状態にする。
【0091】
診断プローブ部30は、撮影する際に、集光レンズ34と、診断プローブ部30のノズル先端に当接させたサンプルSとの間の距離を調整して集光点を調整する集光点調整機構35を備えていることによって、撮影する断層画像をサンプルSの基準面から深さ方向に位置調整して、深さ方向に広い範囲に亘って断層画像を得ることができる。
【0092】
また、OCT装置1は、コリメータ19dを光軸方向に移動させて、カップラ12(光分割器)から参照ミラー21までの光路長を変更する光路長変更手段24と、前記集光レンズ34とサンプルSとの距離を調整して集光点を調整する集光点調整機構35と、を有し、両者を作動させて互いの光路長を一致させることによって、所望の測定可能距離内の鮮明な断層画像を得ることができる。
【0093】
以上説明したように、OCT装置1は、光源メーカ規定の第1周波数以下の第2周波数のクロック信号が出力できるように調整されたクロック用光干渉計を内蔵した光源11を用いると共に、光源11から出力されるクロック信号(K-Clock)の周波数を2倍にしてAD変換回路51に供給する逓倍器90(マルチプライヤ)を備えるので、AD変換回路51にて波数等間隔を従来の半分にして干渉信号のデータを抽出することができる。したがって、光源メーカ規定の撮影可能距離よりも深い部位までの光干渉断層画像を生成することができる。そのため、被写体の内部情報として従来は可視化することができなかった範囲までの光干渉断層画像の撮影が可能となる。
【0094】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。例えば、前記実施形態では、光源内部で生成するK-Clockとして取り扱い易い信号の周波数(第2周波数)が光源規定の第1周波数よりも低いこととして説明したが、第2周波数の値は、第1周波数と同じ値であってもよい。このように構成した場合、光路調整部132は、光路長として、光源メーカにて規定された本来の設定値(奥行き距離Lが例えば5mmになる設定値)に設定され、第1周波数(例えば250MHz)のクロック信号を生成する。そして、逓倍器90で250MHzのK-Clockを周波数変換して500MHzのサンプリングクロックを生成すれば、奥行き距離2Lすなわち10mmまでの深さの内部情報を可視化したOCT画像を得ることが可能である。
【0095】
また、前記実施形態では、OCT装置1の一例として、前歯(切歯)をサンプルSとして説明したが、これに限定されるものではない。サンプルSを臼歯としても構わない。この場合、集光レンズ34の光軸を直交する方向に変換する斜鏡を設ければよい。