【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、皮膚に色素斑を生じる色素脱制御における、細胞外マトリックスおよび真皮表皮接合部に関連づけられる真皮遺伝子の関与、特に、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる遺伝子の関与を初めて、実証している。
【0020】
細胞外マトリックスは、組織および細胞に支持および粘着を与えるその能力により、ならびに張力(特に、コラーゲンの存在による)および圧迫(特にプロテオグリカンの存在による)に抵抗できることを意味するその力学的性質により、皮膚において構造的役割を果たしている。
【0021】
それはまた表皮および真皮の恒常性の制御における主要な主役でもあるため、重要な生物学的役割を果たしている。とりわけ、その増殖因子とサイトカインの貯蔵所という性質により、それは、形態形成、増殖、細胞分化、および組織修復に関与している。
【0022】
真皮表皮接合部(DEJ)自体は、1面の細胞外マトリックスによって構成され、かつ表皮を真皮から分離する基底膜によって形成されている。それは、透過性障壁を構成し、その2つの組織間の分子交換、特に、栄養素の交換を制御する。それは、表皮の、その下にあるマトリックスへの接着およびアンカリングの機能、ならびに上皮の構造的粘着の機能を果たす。それはまた、分化を制御することにおいて、および表皮細胞の遊走において、加えて、表皮の形態形成のステップにおいて、重要な役割を果たす。
【0023】
形質転換増殖因子β(TGF−β)は、ほとんどの細胞において増殖、細胞分化、および他の機能を制御する。それは、免疫および癌において役割を果たす。
【0024】
特定の細胞は、TGF−βを分泌し、TGF−βについての受容体でもある。SMADは、TGF−βについてのシグナル伝達経路を構成する。TGF−βが膜受容体に結合した場合、それらはシグナル伝達を可能にする。この経路によって誘導される細胞応答は、所与の細胞型について、その細胞状況に依存して変わり得る。それは、非常に動的なシグナル伝達系である。
【0025】
標準経路において、TGF−βは、第2のI型受容体と二量複合体を形成するII型膜受容体に結合する。III型受容体(ベータグリカン)は、TGF−βを捕獲し、それを二量体受容体複合体に提示することにより、この結合過程を援助する。TGF−βに結合したII型受容体は、I型受容体をリン酸化し、そのI型受容体は、次に、細胞質タンパク質、すなわち、SMADファミリー(SMAD2および3)をリン酸化することによりシグナルを伝播する。I型受容体を介して制御されるSMADファミリー(R−SMAD)は、その後、共通SMAD、SMAD4に結合して、活性化複合体を形成する。その後、この複合体は、細胞核に入り、そこで、それは、複数の遺伝子についての転写因子として働き、活性化または抑圧応答を生じる。
【0026】
様々なBMP(骨形成タンパク質)などの他のリガンドによって活性化される特定のI型受容体は、他のSMAD(1、5、8)を介するシグナル伝達経路を活性化する。
【0027】
一般的に、経路の活性化はまた、負の逆制御を与える、SMAD6および7などのSMADを阻害する刺激を生じる。
【0028】
TGF−β経路の標的遺伝子の中には、主に構造的役割をもたらすコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、トロンボスポンジンを含む細胞外マトリックスの分子、同時にマトリックスの分子の再生および分解に関与するマトリックスリモデリングタンパク質をコードする多数の遺伝子がある。
【0029】
この経路はまた、真皮細胞による多数の増殖因子およびサイトカインの産生における刺激作用または阻害作用を生じる。
【0030】
初めて、細胞外マトリックスまたは真皮表皮接合部に関連づけられる、特にTGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる特定の遺伝子が、健康な皮膚と色素斑から得られる皮膚の間で有意に異なる転写レベルを有することを本発明者らによって実証されており、それにより、細胞外マトリックスおよび真皮表皮接合部内の脱制御、特にTGF−β−SMADシグナル伝達の脱制御と、特に色素斑の出現を誘導する、色素沈着の調節との間の関連を実証している。
【0031】
TGF−βかまたはBMPのいずれかに依存する、これらの様々な経路に関与する特定のタンパク質の増加または低下は、真皮恒常性、接合部恒常性を撹乱させて、表皮にドミノ効果を生じ得る、増加した、および/または異常なシグナル伝達を起こす可能性があることが考えられ得る。
【0032】
特定の理論に縛られるつもりはないが、この細胞外マトリックスおよび真皮表皮接合部に関連づけられる様々な遺伝子の発現が改変するということは、マトリックスおよび真皮表皮接合部のタンパク質によって果たされる役割により、真皮コンパートメント全体の改変の徴候である、これらの遺伝子の脱制御が、表皮の恒常性を撹乱させ、特に色素斑における表皮の組織学的構築において、実質的な改変(例えば、真皮における表皮隆起の延長)を発生させることであると、本発明者らは確信するに至った。結果として、表皮メラニン負荷は増加し、色素斑が生じる。
【0033】
本発明は、色素斑から得られる皮膚と、隣接した健康な皮膚との間に存在する遺伝子発現における差を表す分子シグネチャー、ならびに、特に色素斑の美容的処置において皮膚の色素沈着を調節するために、または顔貌を一様にするために、または皮膚の色を均質化するために、このシグネチャーの知識を利用する種々の適用および方法に関係する。このシグネチャーは、以下の遺伝子によって構成される:TGFBR2(形質転換増殖因子β受容体2[70/80kDa])、TGFBI(形質転換増殖因子β誘導型、68kDa)、BMP2(骨形成タンパク質2)、SMAD3(SMADファミリーメンバー3)、THBS2(トロンボスポンジン2)、TGFBR3(形質転換増殖因子β受容体III)、SEMA5A(semaドメイン、7トロンボスポンジンリピート、セマフォリン5A)、SMAD7(SMADファミリーメンバー7)、SOSTDC1(スクレロスチンドメイン含有タンパク質1)、FRAS1(フレーザー症候群1)、LEPREL1(leprecan様1)、MATN2(マトリリン2)、DST(ジストニン、別名BPAG1)、PLOD2(プロコラーゲン−リジン,2−オキソグルタレート5−ジオキシゲナーゼ2)、ITGA2(インテグリンα2(CD49B、VLA−2受容体のサブユニットα2))、COL6A3(6型コラーゲン、α3)、CRTAP(軟骨関連タンパク質、別名LEPREL3)、LAMC1(ラミニンγ1、以前はLAMB2)、LAMB3(ラミニンβ3)、LAMA3(ラミニンα3)、ITGAV(インテグリンαV(ビトロネクチン受容体))、ITGB1(インテグリンβ1)、およびACTN1(アクチニンα1)。ITGB1遺伝子は、このリストから除外される場合がある。SEMA5A遺伝子および/またはITGB1遺伝子がこのリストから除外される場合がある。
【0034】
これらの遺伝子は以下のように機能的に分類することができる:
− リストA:TGF−β−SMADシグナル伝達経路の活性化に関与する因子をコードする遺伝子:TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1。しかし、遺伝子SEMA5Aは、任意で、このリストAから除外してもよい;ならびに
− リストB:以下の遺伝子を含む:FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1。遺伝子ITGB1は、任意で、このリストBから除外することができる。リストBにおいて、以下の機能的グループを識別することができる:
− 細胞外マトリックスの構成要素である、コラーゲン、より特に、間質の線維状コラーゲン、ならびに生合成およびコラーゲン会合体に関連した分子をコードする遺伝子:LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAP;
− 細胞外マトリックスの接着性タンパク質である、ラミニンをコードする遺伝子:LAMC1、LAMB3、およびLAMA3;
− 基底膜帯域に関連したマトリックスタンパク質をコードする遺伝子:FRAS1、MATN2、およびDST;
− 細胞の細胞外マトリックスへの結合に関与したインテグリンをコードする遺伝子:ITGA2およびITGAV、任意でITGB1を含む;ならびに
− 細胞外マトリックスの構成要素である、アクチンをコードする遺伝子:ACTN1。
【0035】
リストAを構成する真皮遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1からの好ましい遺伝子は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3である。
【0036】
リストBを構成する真皮遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1からの好ましい遺伝子は、遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2である。
【0037】
「前記遺伝子」とは、本明細書に言及されたヒト遺伝子を意味する。
【0038】
遺伝子リストAおよびBはまた、これらのリストを構成する様々な遺伝子間の公知の相互作用の数によっても関連づけられる。これらの関連づけは、特に、例えば、書誌データから始まって、遺伝子間またはタンパク質間に存在する様々な直接的または間接的関連づけを示すために用いることができるIPA(独創性経路分析)ソフトウェアを用いて作成されるような相互作用ネットワークによって実証され得る。このIPAソフトウェアによって作成される相互作用ネットワークは、実際、遺伝子および/またはタンパク質TGFBR2、TGFBR3、SMAD3、SMAD7、BMP2、THBS2(リストA)、およびMATN2、DST、ITGA2、COL6A3、LAMC1、LAMB3、ITGAV、ITGB1、ACTN1(リストB)の間の直接的または間接的な関連づけを実証している。
【0039】
さらに、様々な書誌的参照文献もまた、リストAに言及された遺伝子とリストBに言及された遺伝子の間の直接的相互作用を例証しており、それにより、これらの2つのファミリーを合体させる機能的関連づけ、特に、実例として、遺伝子SMAD3とCOL6A3の間(Verrecchiaら、2001)、遺伝子TGFBR2とTHBS2とCOL6A3の間(Berkingら、2001)、およびSMAD3とLAMC1の間(Kawataら、2002)の機能的関連づけに信用を与えている。
【0040】
本発明者らは、実際、色素斑から得られる皮膚と対応する健康な皮膚との間でのリストAおよびB由来の遺伝子の発現レベルの有意かつ再現性のある調節を実証している。
【0041】
さらに、色素沈着過剰班内のTGF−βシグナル伝達経路に関与するリストA由来の遺伝子の調節は、TGF−β−SMADシグナル伝達を増加させる傾向にある。したがって、本発明者らが本実施例4において検証しているように、リストA由来の遺伝子について観察される調節は、TGF−β−SMADシグナル伝達経路の活性化/刺激と、色素沈着の増加との間の関連づけを実証している。
【0042】
第1態様において、本発明は、特に、皮膚色素斑を特徴づけるための方法に関する。そのような方法は、とりわけ、色素斑がすでに、例えば視覚的に肉眼で、はっきり見える場合において、色素斑の性質を確認するために用いることができる。その方法はまた、斑の出現がまだ観察できずに、疑われるだけである場合、斑の出現を予測するために、またはある人の皮膚が、例えば、斑をまだ見ることができない場合、皮膚斑を形成する傾向がある、もしくは色素沈着欠損を起こしやすいと結論するために用いることもできる。
【0043】
関係する皮膚色素斑は、色素沈着過剰斑、すなわち色素の過剰に対応する過剰に色素沈着した斑、または色素脱失斑、すなわち色素沈着欠損に対応する色素沈着が低下した斑である。本発明の関連において想定することができる特別な色素脱失は、白斑および白皮症である。(日焼けは別として)メラニンの異常な蓄積によって特徴づけられる、本発明の関連において想定することができる良性色素沈着過剰障害の例は、光線性黒子、黒皮症、ざ瘡関連色素沈着、炎症後色素沈着、ライム病、ツタウルシに関係した色素沈着、またはさらに良性顔面色素異常症である。本発明における「色素斑」はまた、顔貌を不均一にし、または皮膚の色を不均質にする色素沈着の欠陥、不完全、または不規則を含む。
【0044】
問題の色素斑は、好ましくは、ヒト皮膚上の色素斑である。しかしながら、本発明者らによって実証された真皮における細胞外マトリックスおよびTGF−β−SMADシグナル伝達経路の障害は、全く一般的であり、それゆえ、類似した方法は、同様に色素斑を患っている他の動物種について想定することができる。この場合、本発明の様々な方法、使用、または組成物は、本発明のヒト遺伝子とオルソロガスな様式で、考慮中の種の遺伝子に関して用いられるであろう。
【0045】
方法は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1によって構成されるリストから選択される細胞外マトリックスに関連づけられる少なくとも1つの真皮遺伝子の、前記斑から得られる皮膚における発現レベルと、好ましくは同じ個体由来のそれに隣接した、未損傷皮膚からの発現レベルを比較することを含む。あるいは、真皮遺伝子は、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる遺伝子によって構成されるリストAから、または遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1によって構成されるリストBから選択してもよい。いくつかの実施形態において、SEMA5Aは、これらのリストから除外される。代わりに、または加えて、このことは、遺伝子ITGB1について同じことがいえる。
【0046】
遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1は、本発明の遺伝子である。それらは、細胞外マトリックスの構造または再生において役割を果たす;特に、それらは、TGF−β−SMADシグナル伝達経路の活性化に関与する遺伝子、または細胞外マトリックスの構成要素をコードする遺伝子、またはこのマトリックスの構成要素の合成に関与し、もしくはさらに、この結合性マトリックスの再生に関連づけられるタンパク質をコードする遺伝子、または真皮表皮接合部および基底膜帯域に関連したマトリックスタンパク質をコードする遺伝子である。本発明の遺伝子と細胞外マトリックスとの間の関連づけは、言及された役割の一つに関係する。
【0047】
用語「本発明の遺伝子」はまた、リストA由来の真皮遺伝子、またはさらに、リストB由来の真皮遺伝子も意味する。
【0048】
遺伝子SEMA5Aおよび/または遺伝子ITGB1は、これらのリストから除外してもよい。
【0049】
さらに、本発明の前記遺伝子は、それらが主に真皮において発現する遺伝子であり、真皮コンパートメントの、またはその真皮表面に関しての真皮表皮接合部の特徴的なタンパク質を生じることから、真皮遺伝子として知られている;このことは、例えば、ケラチノサイトタンパク質、細胞内タンパク質、または、特に角質層に優先的に発現するタンパク質などの表皮タンパク質とは大いに異なる。
【0050】
本発明の遺伝子の少なくとも1個の発現のレベルは、疑われる、または既知の斑から得られる皮膚において、および隣接した未損傷皮膚から測定される。好ましくは、レベルは、斑および隣接した未損傷帯域から摘出された皮膚の試料において測定される。試料は、例えば、皮膚生検である。直径が数ミリメートルの生検で十分であり、例えば、2mmまたは3mmの直径の生検である。病変の完全切除もまた想定され得る。
【0051】
本発明の遺伝子の用語「発現レベル」は、皮膚真皮の細胞内、または調べられることになっている試料の細胞内の発現レベルを意味する。
【0052】
未損傷帯域は、好ましくは、斑にできるだけ近いが、その帯域または試料が、色素斑に属する可能性があるいかなる細胞も含有しないように十分な距離にある、隣接帯域である。好ましくは、隣接した未損傷帯域は、色素斑帯域と同等の様式で光または日光に曝露されている帯域である。あるいは、未損傷帯域は、同一の位置で対象の反対側の対称帯域に由来してもよい;例として、左手の斑の場合、未損傷帯域は、右手の対応する帯域であり得る。この場合、未損傷帯域は、厳密には隣接帯域とは言えない。用語「未損傷の」は、少しの色素斑も、または色素不規則も有しない帯域、好ましくは色素沈着に関して均質の帯域を意味する。
【0053】
未損傷帯域は参照としての役割を果たすため、それはまた、全ての場合において、斑の帯域にできるだけ同等であるが、色素欠損を含んではならない。
【0054】
本記載に用いられる場合、用語「遺伝子の発現レベル」は、好ましくは、前記遺伝子の転写の程度を意味する。しかしながら、その発現レベルはまた、その翻訳の程度を意味すると解釈してもよく、ただし、それがタンパク質をコードする遺伝子であると仮定される。これは、本発明の遺伝子についての場合である。
【0055】
選択された遺伝子の転写の程度の評価に関して、これは、直接的に、またはさらに、逆転写後、当業者によく知られている種々の様式で行ってもよい。転写の程度は、特に、この目的のために市販されているRNAまたはDNAアレイを用いることにより評価してもよい。1つの可能な評価方法は、実験セクションに記載されている。
【0056】
本発明の方法が、本発明の遺伝子の少なくとも1個、またはリストAもしくはリストB由来の遺伝子の少なくとも1個の発現レベルを比較することを含むことに留意することもまた重要である。このことから、発現レベルのそれぞれを個々に評価し、かつ定量化することさえもせずに、2つの発現レベル間の差を定量的に、または定性的に評価することが十分であり得る。
【0057】
本発明の遺伝子の少なくとも1個の発現レベルは、発現レベルが斑においてと選択された未損傷皮膚帯域において実質的に同一であると仮定される他の遺伝子の発現レベルへの参照により、またはその発現レベルでの標準化後に評価してもよい。そのような標準化のための遺伝子は、当業者によく知られており、斑が位置している身体の帯域に依存し得る。例として、以下をコードする遺伝子は、本発明の遺伝子の発現レベルの標準化のために用いられやすいものとして引用され得る:リボソームタンパク質L13a(RPL13A)、β−2−ミクログロブリン(B2M)、リボソームタンパク質S9(RPS9)、リボソームタンパク質S28(RPS28)、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)。
【0058】
本発明の方法は、好ましくは、インビトロで、またはさらにエクスビボで行われる。
【0059】
本発明の方法の一実施形態において、色素斑は、特に、母斑などの病理学的病変とは異なって、良性である非病理学的斑である;それは、皮膚の色素沈着において不規則であり得る。
【0060】
好ましくは、本発明による方法は、本発明の遺伝子から選ばれた少なくとも2個の別個の遺伝子、好ましくは、少なくとも3個の別個の遺伝子、またはさらに5個の別個の遺伝子の発現レベルを比較することを含む。本発明の遺伝子の少なくとも6個の遺伝子、またはさらに少なくとも8個の別個の遺伝子、またはさらに10個、12個、15個、20個、もしくはさらに全部の発現レベルを比較することも可能である。
【0061】
一実施形態において、別個の遺伝子は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1から、またはさらにTGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SMAD7、およびSOSTDC1から選択される。
【0062】
2個の遺伝子が選択される場合、それらは、好ましくは、6個の好ましい遺伝子の以下のリストから選択される:TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3。例として、選択される遺伝子は、TGFBR2とTGFBI、またはTGFBR2とBMP2、またはTGFBIとBMP2、またはTGFBR2とTGFBR3であってもよい。6個の好ましい遺伝子からのいずれのペアの組合せも、本発明を行うための好ましい組合せである。同様に、6個の好ましい遺伝子のうちの1個と、リストA由来のその他の遺伝子のうちの1個を含むいずれの組合せも特に好ましい。
【0063】
以下の組合せは、3個の遺伝子の組合せについて想定されている:TGFBR2とTGFBIとBMP2;TGFBR2とTGFBIとSMAD3;TGFBR2とTGFBIとTGFBR3;SMAD3とSEMA5AとSMAD7;TGFBR2とBMP2とSOSTDC1;およびTGFBIとBMP2とSMAD3。
【0064】
以下の組合せは、本発明の5個の遺伝子の組合せについて想定されている:TGFBR2とTGFBIとBMP2とSMAD3とTHBS2;TGFBR2とTGFBIとBMP2とSMAD3とTGFBR3;およびTGFBR2とTGFBIとBMP2とTHBS2とTGFBR3。
【0065】
特別な組合せは、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7を含むものであり、それは、それらが同じ様式で調節される;特に、それらが色素沈着過剰斑において過剰発現するという事実、およびそれらがTGF−β−SMADシグナル伝達経路に関与しているという事実を共通して有する。他の組合せもまた、本発明の関連において想定することができ、特に、TGFBR2、TGFBI、THBS2、およびTGFBR3から選択される少なくとも1個の遺伝子と、SMAD3、SEMA5A、およびSMAD7から選択される少なくとも1個の遺伝子とを含む組合せである。
【0066】
遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1は、それらがTGF−β−SMADシグナル伝達経路に属し、かつ色素斑において協同的様式で調節されるという事実を共通して有し、すなわち、このシグナル伝達経路に正に関与する遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7は、全て、同じ方向で調節され、それらは、遺伝子SOSTDC1(BMPアンタゴニストであり、それゆえ、このシグナル伝達経路において負に関与する)と逆の方向で調節される。
【0067】
別の実施形態において、別個の遺伝子は、リストB由来の遺伝子から、または以下の6個の好ましい遺伝子:FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2から選択される。例として、選択される遺伝子は、FRAS1とLEPREL1、またはさらにFRAS1とMATN2、またはさらにLEPREL1とMATN2、またはさらにDSTとPLOD2であってもよい。6個の好ましい遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2のいずれのペアの組合せも、本発明を行うための優先的な組合せである。同様に、6個の好ましい遺伝子のうちの1個と、リストB由来のその他の遺伝子のうちの1個を含むいずれの組合せも特に好ましい。
【0068】
以下の組合せは、3個の遺伝子の組合せについて想定される:FRAS1とLEPREL1とMATN2;FRAS1とLEPREL1とDST;FRAS1とLEPREL1とPLOD2;FRAS1とMATN2とPLOD2;LEPREL1とMATN2とPLOD2。
【0069】
以下の組合せは、5個の遺伝子の組合せについて本発明において想定される:FRAS1とLEPREL1とMATN2とDSTとPLOD2;FRAS1とLEPREL1とMATN2とDSTとITGA2;FRAS1とLEPREL1とMATN2とPLOD2とITGA2。
【0070】
特別な組合せは、遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1によって構成されるものであり、それは、それらが同じ様式で調節されるという事実、特に、色素沈着過剰斑において過剰発現するという事実を共通して有する。
【0071】
他の組合せもまた、本発明の関連において想定することができ、特に、コラーゲンファミリーに属する遺伝子から、すなわち、LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPから選択される少なくとも1個の遺伝子;ラミニンファミリーに属する遺伝子から、すなわち、LAMC1、LAMB3、およびLAMA3から選択される少なくとも1個の遺伝子;基底膜帯域に関連したマトリックスタンパク質をコードする遺伝子から、すなわち、FRAS1、MATN2、およびDSTから選択される少なくとも1個の遺伝子;インテグリンファミリーから、すなわち、ITGA2およびITGAV、および任意でITGB1からの少なくとも1個の遺伝子;ならびに遺伝子ACTN1を含む組合せである。
【0072】
あるいは、本発明の好ましい実施形態において、発現レベルが損傷皮膚と、好ましくは隣接した、健康な皮膚との間で比較される遺伝子は、遺伝子LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPによって構成されるサブグループから選択される。実際、これらの遺伝子は、コラーゲンファミリー、特に間質コラーゲン原線維ファミリーに属するという事実を共通して有する。
【0073】
他の組合せが本発明の関連において想定することができ、特に、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子と遺伝子PLOD2を含む組合せである。
【0074】
本発明のさらに別の実施形態によれば、他の組合せが想定され、特に、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関与する遺伝子から、すなわち、リストAから選択される少なくとも1個の遺伝子と、リストBから、好ましくは、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2から選択される少なくとも1個の遺伝子を含む組合せである。例として、1つの想定される組合せは、色素沈着過剰斑において過剰発現しているという事実を共通して有する、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1からの少なくとも2個の遺伝子によって構成されるものである。
【0075】
他の特別な組合せは、1個がリストA由来で、もう1個がリストB由来である、2個の遺伝子の組合せ、2個がリストA由来で、1個がリストB由来であり、もしくはその逆の場合の3個の遺伝子の組合せ;それらのリストのそれぞれから各2個である4個の遺伝子の組合せ、またはさらに、3個がリストA由来で、1個がリストB由来であり、もしくはその逆の場合の4個の遺伝子の組合せである。
【0076】
2個の遺伝子の特に好ましい組合せは、遺伝子TGFBR2とMATN2の組合せである。3個の遺伝子の特に好ましい組合せは、組合せTGFBR2とBMP2とMATN2、および組合せTGFBR2とMATN2とLEPREL1である。4個の遺伝子の特に好ましい組合せは、組合せTGFBR2とBMP2とSMAD3とMATN2;組合せTGFBR2とMATN2とLEPREL1とPLOD2;および組合せTGFBR2とBMP2とMATN2とLEPREL1である。
【0077】
本発明のこの態様に関する特定の好ましい遺伝子の全ての組合せまたはサブグループはまた、本発明の他の態様にとっても好ましい。
【0078】
本発明の方法を行うことにより、発現レベルが、
− 遺伝子がTGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより高く、
− 遺伝子がSOSTDC1およびPLOD2から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより低い
場合、疑われ、または観察される斑が色素沈着過剰斑であるという結論が導かれる。
【0079】
本発明者らは、実際に、隣接した未損傷皮膚における発現レベルと比較して、色素沈着過剰斑、特に光線性黒子から得られる皮膚において、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1の過剰発現を実証している。彼らはまた、隣接した未損傷皮膚における発現レベルと比較して、色素沈着過剰斑、特に光線性黒子から得られる皮膚において、遺伝子SOSTDC1およびPLOD2の低発現を実証している。
【0080】
対照的に、本発明の方法を行うことにより、発現レベルが、
− 遺伝子がTGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより低く、
− 遺伝子がSOSTDC1およびPLOD2から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより高い
場合、疑われ、または観察される斑が色素脱失斑であるという結論が導かれる。
【0081】
用語「より高い」または「より低い」は、統計学的に有意であり、バックグラウンドノイズより高く、かつ再現性がある、発現レベルにおける差を意味する。例として、発現レベルにおける差は、少なくとも10%であり、すなわち、未損傷皮膚における本発明の遺伝子の発現レベルが1に定められる場合、調節の程度が、病変皮膚において過剰発現している遺伝子について少なくとも1.1であり、病変皮膚において低発現する遺伝子について最大限でも0.9である。
【0082】
好ましくは、本発明の方法は、少なくとも2個の遺伝子に関して行われ、1個は、色素沈着過剰斑において過剰発現し、かつ色素脱失斑において低発現する遺伝子のカテゴリーに属し、もう1個が、色素斑において1個目と逆の様式で調節される遺伝子のカテゴリーに属する。好ましくは、方法は、少なくとも3個の遺伝子:TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される2個の遺伝子と、色素斑において最初の2個と逆の様式で調節される、SOSTDC1およびPLOD2から選択される1個の遺伝子;またはさらに、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7から選択される2個の遺伝子と、遺伝子SOSTDC1;またはさらに、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される2個の遺伝子と、色素斑において最初の2個と逆の様式で調節される遺伝子PLOD2に関して行われる。
【0083】
好ましくは、この特徴づけの方法に関連して、本発明の遺伝子の1個の発現レベルは、白人型個体の皮膚において比較される。好ましくは、前記個体は、少なくとも40歳、好ましくは少なくとも50歳、またはさらに60歳である。本発明の関連において考慮中の個体は、好ましくは女性である。上記で詳述されているように、本発明の1個または複数の遺伝子の発現レベルは、前記個体由来の皮膚試料内で比較してもよい。
【0084】
さらに、本発明者らはまた、色素斑から得られた皮膚と、好ましくは隣接した、未損傷皮膚の間での他の真皮遺伝子の示差的な調節を実証している。本発明者らは、特に、細胞外マトリックスに関連づけられる、以下の真皮遺伝子の調節を実証している:
− 細胞外のプロテオグリカンおよび糖タンパク質のファミリーのタンパク質をコードする遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、およびFLRT2;
− マトリックスリモデリングに関連づけられるタンパク質をコードする遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1。
【0085】
結果として、本発明による特徴づけの方法はまた、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1によって構成されるリストから選択される少なくとも1個の真皮遺伝子と、以下の遺伝子のリスト:EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2、MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される少なくとも1個の第2の遺伝子の、前記斑から得られる皮膚における発現レベルと、好ましくは隣接した、未損傷皮膚における発現レベルを比較することを含む;例えば、第2の遺伝子は、以下の遺伝子リスト:EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2から、またはさらに以下の遺伝子リスト:MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される。
【0086】
真皮遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2のリスト由来の好ましい遺伝子は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、およびCHSY1である;MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1もまた好ましい遺伝子である。
【0087】
好ましくは、第2の遺伝子は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、およびFLRT2から、好ましくは、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、およびCHSY1から選択される。あるいは、第2の遺伝子は、遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される。
【0088】
別の実施形態において、第1の遺伝子は、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関与する真皮遺伝子のリストAから選択される;第2の遺伝子は、上記で述べられているように選択される。さらに別の実施形態によれば、第1の遺伝子はリストBから選択される;第2の遺伝子は上記のように選択される。
【0089】
1つの特定の実施形態において、方法は、少なくとも3個の別個の遺伝子の発現レベルを比較することを含み、1個は遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1から選択され、第2は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、およびFLRT2から選択され、第3は、遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される。あるいは、3個の別個の遺伝子が選択される場合、第2および第3は、上記のように選択して、第1はリストBの遺伝子から選択してもよい。もう一つの代替によれば、第1の遺伝子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1を含む遺伝子のリストから選択される;しかしながら、任意で、SEMA5Aが除外してもよい。
【0090】
さらに別の実施形態によれば、方法は、少なくとも4個の別個の遺伝子の発現レベルを比較することを含み、最初の3個は上記のように選択され、第4は、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1によって構成されるリストからである。
【0091】
上記の遺伝子の全ての組合せはまた、本発明のその他の態様の関連においても好ましい組合せである。
【0092】
1個または複数の追加の遺伝子が、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2、MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される場合には、特徴づけの方法は、発現レベルが、
− 遺伝子がEFEMP1、ASPN、PAPLN、CHSY1、MXRA5、LYZ、PLAU、およびTIMP1から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより高く、
− 遺伝子がHS3ST6、FLRT2、ECM1、およびCTSL2から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより低い
場合、色素沈着過剰斑の存在を確認するという結果をもたらすことができる。
【0093】
対照的に、本発明の方法は、発現レベルが、
− 遺伝子がEFEMP1、ASPN、PAPLN、CHSY1、MXRA5、LYZ、PLAU、およびTIMP1から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより低く、
− 遺伝子がHS3ST6、FLRT2、ECM1、およびCTSL2から選択される場合には、隣接した未損傷皮膚における、または隣接した未損傷皮膚の試料におけるレベルと比較して、斑から得られる皮膚において、または斑から得られる皮膚試料においてより高い
場合、色素脱失斑の存在を確認することができる。
【0094】
記載された方法は、対象において皮膚斑の形成を予測するための試験方法でもある。この実行形態において、本発明の遺伝子の少なくとも1個、好ましくは数個の発現レベルは、皮膚試料において、正常皮膚におけるその発現レベルと比較される。正常皮膚と比較しての、発現レベルへの有意な改変は、試験対象の皮膚が、皮膚斑を形成する傾向があることを意味する。
【0095】
用語「正常皮膚」は、所与の対象の、斑がないことが知られているその身体の帯域、例えば、日光に曝露されていない帯域における皮膚か、または色素斑を形成する傾向が低い帯域における皮膚のいずれかを意味することができる。それはまた、斑がなく、かつ好ましくは試験対象と同じ型の皮膚を有する人の皮膚における前記遺伝子の平均発現レベルを意味する場合もある。上記の標準化遺伝子は、本発明の遺伝子の発現レベルを標準化するために用いることができる。
【0096】
第2の態様において、本発明はまた、本発明者らにより実証されたシグネチャーを用いる、斑または色素不規則の処置の有効性を評価するための方法に関する。評価される処置は、色素斑もしくは任意の他の色素沈着調節を減弱させ、特に、顔貌を一様にし、皮膚の色を均質にし、または色素異常症と闘うことを意図された処置であり得る。第1の実行形態において、この評価方法は、本発明の遺伝子、すなわち、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される少なくとも1個の真皮遺伝子の、処置前と処置後の、色素斑から得られる皮膚における発現レベルを比較するためのステップを含む。
【0097】
一実施形態において、遺伝子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1から、またはさらにTGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SMAD7、およびSOSTDC1から選択される。別の実施形態によれば、遺伝子は、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される。SEMA5Aおよび/またはITGB1は、任意でそのリストから除外してもよい。
【0098】
この評価方法において、選択された1つまたは複数の遺伝子の発現レベルは、処置前と処置後の、色素斑から得られる皮膚において、または対応する試料において比較される。したがって、健康な未損傷皮膚における発現レベルとの比較はない。
【0099】
本発明の第1の態様による特徴づけの方法についてそうであったように、発現レベルは、有利には、リボソームタンパク質L13a(RPL13A)、β−2−ミクログロブリン(B2M)、リボソームタンパク質S9(RPS9)、リボソームタンパク質S28(RPS28)、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をコードする遺伝子の発現レベルを活用して、標準化される。
【0100】
記載された評価方法を用いて、所与の処置は、発現レベルが、
− 遺伝子がTGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により低く、
− 遺伝子がSOSTDC1およびPLOD2から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により高い
場合、色素沈着過剰斑の処置に有効であるとみなされる。
【0101】
対照的に、本発明の評価方法を用いて、所与の処置は、発現レベルが、
− 遺伝子がTGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により高く、
− 遺伝子がSOSTDC1およびPLOD2から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により低い
場合、色素脱失斑の処置に有効であるとみなされる。
【0102】
処置は、処置前と処置後の選択された遺伝子の発現レベルが実質的に同一である場合、またはさらに、観察された差が有意ではない場合には、効果がないとみなされるであろう。
【0103】
1個より多い遺伝子の発現レベルが比較される場合、個々に選ばれた、試験遺伝子の大部分について、好ましくは試験遺伝子の全部について、処置が有効であるとみなされた場合には、処置は、斑または色素不規則の処置に有効であるとみなされる。その他の選択された遺伝子について、処置は、好ましくは、効果はないが、逆効果を生じてはならない。
【0104】
別の実施形態によれば、皮膚色素斑の処置の有効性を評価するための方法は、処置前と処置後の、本発明の方法を用いる色素斑または色素不規則の特徴づけ、ならびに、色素斑または色素不規則の損傷皮膚と健康な皮膚の間の観察される発現レベルにおける差を比較することを含む。
【0105】
処置有効性を評価するためのこの実施形態によれば、処置は、好ましくは隣接した、健康な皮膚と比較された、斑から得られる損傷皮膚における選択された1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの差が、処置前にあった差と比較して、処置後により小さい場合には、有効であるとみなされる。
【0106】
1個より多い遺伝子の発現レベルが比較される場合、好ましくは、個々に選ばれた、選択遺伝子の大部分について、好ましくは選択遺伝子の全部について、結論が、処置が有効であるという場合、処置は、有効であると結論づけられる。
【0107】
好ましくは、選択された1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの比較は、色素斑から摘出された皮膚の試料において行われる。
【0108】
本発明の方法を用いて評価される、考慮中の処置は、1つの特定の型の処置に限定されない。それは、化学分子、活性成分、天然抽出物、特にエッセンシャルオイル、核酸、特に干渉RNA、タンパク質複合体、または任意の他の分子もしくは分子の組合せを用いる処置であってもよい。それはまた、物理的手段または波動、特に電磁波を用いる処置であってもよい。それは、好ましくは、局所処置であるが、経口で、注射により、または任意の他の投与手段により、投与される処置の有効性を評価することも含み得る。
【0109】
試験される処置は、皮膚斑を減弱させ、またはそれを消失させ、皮膚色素沈着を調節し、顔貌を一様にし、皮膚の色を均質にし、または色素異常症を減弱させることを意図され得る。
【0110】
本発明の関連において特に好ましい処置は、美容的処置、より特に、局所的美容的処置である。この場合、考慮中の色素斑は、非病理学的な色素斑または色素不規則、例えば、光線性、日光性、または老年性黒子である。
【0111】
本発明の方法を用いて、いくつかの処置の組合せの有効性を評価することも可能である。リストA由来かリストB由来かに関わらず、本発明の遺伝子の1個、一部、または全部の発現レベルを、それらが未損傷皮膚で発現しているように回復させることにおいて最善である組合せを評価することは、実際、可能である。
【0112】
上記の評価方法を用いて、色素沈着過剰か色素脱失かに関わらず、色素斑に対する、新規の想定される処置の有効性を評価すること、または実存の処置の有効性を定量化もしくは認定することも可能である。このようにして、特に、有効、相乗的、または相補的であり得る処置の組合せを想定することも可能である。
【0113】
本発明の第1の態様による特徴づけの方法について説明されているように、好ましくは、1個より多い遺伝子の発現レベルが比較され、好ましくは、本発明の遺伝子の少なくとも2個、3個、5個、6個、8個、10個、12個、15個、18個、もしくはさらに全部の、またはさらにリストA由来の遺伝子の、またはさらにリストB由来の遺伝子の発現レベルが比較される。
【0114】
特に好ましい遺伝子または遺伝子の組合せは、本発明の第1の態様に関してすでに述べられている;同じ遺伝子または組合せが、この態様において好ましい。特に、選択される遺伝子は、より特には、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1から選択され、最も特には、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3から選択され、これらのリストから任意の2個ずつ、または3個ずつの組合せが特に好ましい。別の実施形態によれば、遺伝子はリストB由来の遺伝子から、特に、遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2のリストから選択され、これらのリストから任意の2個ずつ、または3個ずつの組合せが特に好ましい。
【0115】
さらに、発現レベルが色素斑において調節されている他の真皮遺伝子に関する本発明者らによって得られた補完的な結果により、記載されているような評価方法は、好ましくは、以下に関して行われる:
− 遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から、さらに好ましくは、リストA由来の遺伝子から、もしくは遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3から、またはリストB由来の遺伝子から、もしくは重ねて、遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2から選択される少なくとも1個の遺伝子、ならびに
− 遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2、MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される少なくとも1個の第2の遺伝子。あるいは、第2の遺伝子は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2から、またはさらに遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択してもよい。
【0116】
真皮遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2の中からの好ましい遺伝子は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、およびCHSY1である。
【0117】
1個または複数の追加の遺伝子が、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2、MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される場合には、評価方法は、発現レベルが、
− 遺伝子がEFEMP1、ASPN、PAPLN、CHSY1、MXRA5、LYZ、PLAU、およびTIMP1から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により低く、
− 遺伝子がHS3ST6、FLRT2、ECM1、およびCTSL2から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により高い
場合、処置が色素沈着過剰斑の処置として有効であるとみなす。
【0118】
対照的に、評価方法は、発現レベルが、
− 遺伝子がEFEMP1、ASPN、PAPLN、CHSY1、MXRA5、LYZ、PLAU、およびTIMP1から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により高く、
− 遺伝子がHS3ST6、FLRT2、ECM1、およびCTSL2から選択される場合には、処置前の発現レベルと比較して、処置後により低い
場合、処置が色素脱失斑の処置として有効であるとみなす。
【0119】
好ましくは、皮膚試料は、好ましくは少なくとも40歳、好ましくは少なくとも50歳、またはさらに少なくとも60歳の、白人型ヒトに由来する。
【0120】
好ましくは、本発明の関連において、特に、記載された評価方法について、それは、色素沈着過剰斑の処置、非常に好ましくは、光線性、日光性、または老年性黒子の処置である。
【0121】
本発明の処置の有効性を評価するための方法は、好ましくは、インビトロまたはエクスビボで行われる。それはインビボで行うこともできる。皮膚試料は、望ましくは、処置前および処置後に同じ色素斑から、または斑のサイズのせいで、試料を処置前および処置後に容易には採取できないならば、それに非常に近い色素斑から、摘出されるべきである。
【0122】
本発明はまた、色素斑の処置の有効性を評価するためのインビトロ方法に関する;そのような方法は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1によって構成されるリストから選択される少なくとも1個の真皮遺伝子の、皮膚を表す細胞モデルにおける発現レベルを、または前記選択された遺伝子の発現産物の発現もしくは活性レベルを、処置前と処置後で比較することを含む。あるいは、遺伝子は、SEMA5Aを含む、もしくは含まない、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる真皮遺伝子のリストAから、またはさらにリストBから、またはさらにこの後者のリストの様々なサブグループから、すなわち、LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPから、もしくはさらにLAMC1、LAMB3、およびLAMA3から、もしくはさらにFRAS1、MATN2、およびDSTから、もしくは重ねてITGA2、ITGAV、およびITGB1から、もしくはITGA2とITGAVの間から、選択されてもよい。
【0123】
細胞モデルは、当業者によって適切であるとみなされる任意の型であってもよい。特に、それは、再構築皮膚の単一培養もしくは共培養細胞モデルまたは3次元モデル、またはさらに、エクスビボで培養された皮膚であってもよい。色素斑、より特に、光線性黒子を表す細胞モデルもまた存在し、それは、この方法の関連において用いてもよい。そのような細胞モデルは、色素斑(または黒子)を完全に模倣する必要はないが、色素斑、特に黒子において観察される生物学的事象、形態学的特徴、または色素的特徴を模倣しなければならない。そのようなインビトロモデルは、当業者によく知られている。
【0124】
上記のインビトロ方法の好ましい実施形態によれば、それは、本発明の他の評価方法について説明されているように、本発明の少なくとも2個の遺伝子、好ましくは少なくとも3個、5個、または6個の遺伝子の発現レベルを比較することを含み、前記遺伝子は、本発明の遺伝子から、またはさらにSEMA5Aを含むもしくは含まない、リストA由来の遺伝子から、またはさらにITGB1を含むもしくは含まない、リストB由来の遺伝子から、選択される。最も特に好ましい遺伝子は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3、加えて、遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2である。
【0125】
同様に、他の評価方法について説明されているように、それらは、好ましくは、以下の少なくとも2個の遺伝子に関して行われる:
− 遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、およびSOSTDC1から、またはさらにリストB由来の遺伝子から、または重ねて、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される1個、ならびに
− 遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2、MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から、好ましくは遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、およびFLRT2から、またはさらに遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される2個目。
【0126】
特に好ましくは、第1の遺伝子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3から、またはさらにFRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2から選択される。
【0127】
本発明の評価方法に関して、一つの好ましい実施形態において、第1の遺伝子は、コラーゲンファミリー、特に間質コラーゲン原線維ファミリーに属する遺伝子LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPによって構成されるサブグループから選択される。
【0128】
別の実施形態によれば、第1の遺伝子は、ラミニンをコードし、かつ色素沈着過剰斑において過剰発現する遺伝子LAMC1、LAMB3、およびLAMA3によって構成されるグループから選択される。
【0129】
別の実施形態によれば、第1の遺伝子は、基底膜帯域に関連したマトリックスタンパク質をコードし、かつ色素沈着過剰斑において過剰発現する遺伝子FRAS1、MATN2、およびDSTによって構成されるグループから選択される。
【0130】
さらに別の実施形態によれば、第1の遺伝子は、インテグリンをコードし、かつ色素沈着過剰斑において過剰発現する遺伝子ITGA2、ITGAV、およびITGB1によって構成されるグループから選択される。
【0131】
あるいは、方法は、アクチンをコードする遺伝子ACTN1に関して行ってもよい。
【0132】
本発明の他の態様に関して記載された特定の遺伝子の全ての組合せもまた、この態様の関連において好ましい。
【0133】
さらに、これらの評価方法を用いて、本発明に記載された有効性を評価するための方法においてこの処置で得られた結果を強調することにより、消費者に処置を販売促進することが可能である。したがって、本発明はまた、上記のような有効性を評価するための方法によって構成される試験プロトコールにおいてその効果を示すことによって、製品を推奨するために用いることができる方法を提供する。したがって、本発明はまた、化粧品または美容的処置を販売促進するための方法であって、上記のように運用される少なくとも1つの方法によって実証された、前記製品または処置の有効性、作用、または性質を強調することからなる方法に関する。
【0134】
そのような製品の販売促進は、任意の伝達経路を用いて行うことができる。具体的には、それは特に、販売員により、直接、販売の地点において、ラジオ放送およびテレビ放送を介して、特に広告という形で、行うことができる。それはまた、書面の記事を通して、または特に広報(事業内容説明書)を目的とした、任意の他の文書によって、販売促進することができる。それはまた、インターネットまたは任意の他の適切なデータネットワークを介して、販売促進することができる。それはまた、直接的に製品上で、特に、その包装、またはそれに添付することができる任意の他の説明書上で、販売促進することができる。本発明はまた、皮膚色素斑の処置のための分子をスクリーニングするための方法であって、その分子に基づいた処置の有効性を決定するために上記の評価方法の1つを行うことを含む方法に関する。
【0135】
さらなる態様において、本発明はまた、ヒト皮膚の非病理学的皮膚色素斑または色素不規則の処置または予防のための美容的方法であって、真皮遺伝子の発現または活性のレベルの調節を含み、前記遺伝子が、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1によって構成されるリストから選択される、美容的方法に関する。あるいは、遺伝子は、好ましくはSEMA5Aを含まない、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる真皮遺伝子のリストAから、またはさらに、好ましくはITGB1を含まない、真皮遺伝子のリストBから、またはさらにこの後者のリストの様々なサブグループから、すなわち、LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPから、もしくはさらにLAMC1、LAMB3、およびLAMA3から、もしくはさらにFRAS1、MATN2、およびDSTから、もしくは重ねて、ITGA2、ITGAV、およびITGB1から、もしくはITGA2とITGAVの間で、選択してもよい。
【0136】
用語「非病理学的皮膚色素斑」は、治療的理由ではなく、審美的理由のみで除去することが望ましい良性斑を含む。色素沈着不規則には、顔貌を不均一に、または皮膚色を不均質にする色素性不完全が挙げられる。
【0137】
本発明者らは、色素斑の真皮における本発明の遺伝子の重要な役割、特に、これらの遺伝子の発現レベルの脱制御と色素斑の出現との間の関連づけを実証している。このため、これらの遺伝子の調節を中止または低下させることは、観察される脱制御を低下または消滅させ得ることを意味し、したがって、色素斑の欠如、ならびにそれに従って、一様な顔貌および均質な皮膚色に対応する状況を、細胞外マトリックスにおいて回復することができる。
【0138】
本発明の他の態様について示された理由のため、好ましくは、1個より多い遺伝子、例えば、少なくとも2個の遺伝子、または少なくとも3個、5個、6個、もしくは8個の遺伝子が、本発明の遺伝子から選択される。一実施形態において、美容的方法は、本発明の遺伝子の全部、またはSEMA5Aを含む、もしくは含まないリストA由来の遺伝子の全部、またはさらにリストB由来の遺伝子の全部の発現レベルを調節することが意図される。好ましくは、遺伝子ITGB1は、その後、リストBから除外される。本発明の美容的方法は、例えば色素斑に隣接した、健康な皮膚において観察されるものに近い発現レベルを回復することを意図される。特に好ましい遺伝子は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、およびTGFBR3、加えて遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、およびITGA2である。
【0139】
一つの好ましい実施形態において、前記色素斑は、色素沈着過剰斑、例えば、光線性、老年性、または日光性黒子である。そのような場合、本発明の美容的方法における望ましい調節は以下である:
− 遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7から、もしくはさらに遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から、もしくはさらに遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現の完全な、部分的な、もしくは一時的な阻害、またはさらに
− 遺伝子SOSTDC1もしくは遺伝子PLOD2の発現における、場合により一時的な、増加。
【0140】
好ましくは、阻害は、完全な阻害ではなく、部分的な阻害であり、選択された遺伝子の発現レベルを、その発現を決して完全に阻害することなく、低下させる傾向にある。
【0141】
別の実施形態によれば、前記色素斑は、色素脱失斑である。そのような場合、望ましい調節は、前の状況の逆である;特に、そのような方法は、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7から、もしくはさらに遺伝子FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から、もしくはさらに遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子の発現を増加させることを、またはさらに、遺伝子SOSTDC1もしくは遺伝子PLOD2の発現レベルを阻害し、もしくは低下させることを目指す。
【0142】
用語「発現レベルの増加または低下」には、前記遺伝子の転写の程度を増加または低下させること、および前記遺伝子の翻訳の程度を増加または低下させること、加えて、それらの遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を増加または低下させることが挙げられる。
【0143】
好ましくは、本発明の遺伝子の1個について望まれる発現レベルを調節すると同時に、本発明の美容的方法はまた、好ましくは、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、FLRT2、MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1から選択される少なくとも1個の他の真皮遺伝子を調節することを含む。この第2の真皮遺伝子リストからの好ましい遺伝子は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLNおよびCHSY1、ならびに遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAUおよびTIMP1である。
【0144】
色素沈着過剰斑の処置の場合に適用される調節は、遺伝子EFEMP1、ASPN、PAPLN、CHSY1、MXRA5、LYZ、PLAU、およびTIMP1の発現レベルの低下、ならびに遺伝子ECM1、HS3ST6、FLRT2、およびCTSL2についての発現レベルの増加である。色素脱失斑の処置の場合、逆の調節が適用される。
【0145】
したがって、本発明による美容的方法は、本発明の真皮遺伝子の少なくとも1個の発現産物の発現または活性のレベルを調節する生成物、特に、化学分子、天然抽出物、核酸、ペプチド、または処置を適用することを含む。
【0146】
調節は、好ましくは、本発明の遺伝子の少なくとも1個を対象とし、その発現を阻害するアンチセンス、マイクロRNA、またはsiRNAを用いて得られる。
【0147】
それが生成物である場合には、それは、好ましくは局所的に適用される。
【0148】
好ましくは、調節は、本発明の遺伝子の1個の調節因子を用いて行われる。そのような調節因子は、実施例3および表3に記載されている。例として、本発明の美容的方法は、有利には、脱ミネラル化骨粉(DBP)、ピオグリタゾン、GW0742、Cristata Lフラボノイド、フェノフィブラート、オキシマトリン、サルビアノール酸B、SB−431542、Wen−pi−tang−Hab−Wu−ling−san抽出物、テトランドリンおよびN−アセチル−セリル−アスパルチル−リジル−プロリン(Ac−SDKP)、ビタミンK2メナキノン、β−アミノプロピオニトリル(bAPN)およびバンデタニブ(ZD6474 5)から選択される化合物を適用すること、またはさらに、低強度超音波の適用、またはこれらの調節因子の少なくとも2つの組合せを含む。
【0149】
さらに、本発明の美容的方法は、有利には、第1の態様による方法を用いる、処置することになっている色素斑の特徴づけ後に行われる。実際、この第1ステップは、斑を特徴づけるために、および、したがって、発現レベルが、斑の帯域と、好ましくは隣接した、未損傷帯域の間で強く調節されている、遺伝子を検出するために、用いることができる。それゆえに、その斑において示差的に調節されている本発明の1つまたは複数の遺伝子に対して、前記遺伝子についての調節因子を特異的に適用することにより、作用するように用いることができる処置を適応させることが可能である。
【0150】
考慮される処置に関わらず、本発明の美容的方法はまた、所望の効果を強化することを意図される1つまたは複数の追加の活性化合物、例えば、脱色素性、角質溶解性、および/もしくは剥離性物質、抗酸化剤、化学的もしくは物理的UV日焼け止め、抗炎症性および/もしくは鎮静性物質と言われる任意の物質、またはデオキシリボ核酸およびそれらの誘導体を適用することを含んでもよい。
【0151】
本発明の美容的方法はまた、色素斑、または顔貌もしくは皮膚色における他の不規則さ、特に光線性黒子などの色素沈着過剰斑の出現を予防する場合にも適用できる。
【0152】
実際、本発明者らによって得られ、実験セクションにおいて述べられたデータにより、本発明者らによって明らかにされた遺伝子を用いての細胞外マトリックス、特にTGF−β−SMADシグナル伝達経路へのチャレンジは、斑が出現する前に行うことが可能であることが明らかにされている。色素沈着過剰斑における生物学的事象の順序は、以下の通りであると考えることができる:1)(本出願において同定された遺伝子の発現の調節による)真皮の変化、それが結果として、2)真皮における表皮隆起の形成を伴う表皮の改変を生じ、それが結果として、3)真皮表皮接合部の長さの増加および複雑なネットワークの形成を生じ、それが結果として、4)メラニン負荷の増加を生じる。
【0153】
本発明はまた、非病理学的皮膚色素斑の処置における、またはより一般的には、皮膚色素沈着の調節における美容的適用のための、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1によって構成されるリストから選択される少なくとも1個の真皮遺伝子の発現産物の発現または活性のレベルの調節因子の使用に関する。あるいは、遺伝子は、SEMA5Aを含む、もしくは含まない、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる真皮遺伝子のリストAから、またはさらに真皮遺伝子のリストBから、またはさらにこの後者のリストの様々なサブグループから、すなわち、LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPから、もしくはさらにLAMC1、LAMB3、およびLAMA3から、もしくはさらにFRAS1、MATN2、およびDSTから、もしくは重ねてITGA2、ITGAV、およびITGB1から、もしくはITGA2とITGAVの間から、選択してもよい。ITGB1は、その様々なリストから除外することができる。
【0154】
色素沈着過剰斑の処置について、用いられる調節因子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子の阻害剤、またはさらに遺伝子SOSTDC1もしくは遺伝子PLOD2の活性化剤である。好ましくは、阻害剤は、前記遺伝子の発現産物の発現レベルの低下、または活性の低下をもたらす部分的阻害剤であり、その遺伝子の発現または活性を決して完全には停止させることはない。一態様において、調節因子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7から、もしくはSEMA5Aを含まない前記遺伝子から選択される少なくとも1個の遺伝子の阻害剤、またはさらにSOSTDC1の活性化剤である。別の態様において、調節因子は、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子の阻害剤、またはさらにPLOD2の活性化剤である。
【0155】
対照的に、色素脱失斑の処置について、用いられる調節因子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、ITGB1、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子の活性化剤、またはさらに遺伝子SOSTDC1もしくは遺伝子PLOD2の阻害剤である。一実施形態において、調節因子は、TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、およびSMAD7から、もしくはSEMA5Aを含まない前記遺伝子から選択される少なくとも1個の遺伝子の活性化剤、またはさらにSOSTDC1の阻害剤である。別の態様において、調節因子は、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1から選択される少なくとも1個の遺伝子の活性化剤、またはさらにPLOD2の阻害剤である。
【0156】
公知の特徴づけられた阻害剤または活性化剤の例は、実験セクションの実施例3に開示されている。そのような調節因子は、特に、色素沈着過剰斑の美容的処置に用いられる、サルビアノール酸B、Wen−pi−tang−Hab−Wu−ling−san抽出物、または低強度の超音波パルスであってもよい。
【0157】
よく知られた調節因子はまた、アンチセンス分子、siRNA、およびマイクロRNAである。特に想定される調節因子は、本発明の遺伝子の少なくとも1個を対象とし、その発現を阻害するアンチセンス分子、マイクロRNA、およびsiRNAである。
【0158】
本発明の関連における特別の好ましい調節因子は、脱ミネラル化骨粉(DBP)、ピオグリタゾン、GW0742、Cristata Lフラボノイド、フェノフィブラート、オキシマトリン、サルビアノール酸B、SB−431542、Wen−pi−tang−Hab−Wu−ling−san抽出物、テトランドリン、N−アセチル−セリル−アスパルチル−リジル−プロリン(Ac−SDKP)、ビタミンK2メナキノン、β−アミノプロピオニトリル(bAPN)、およびバンデタニブ(ZD6474 5)、またはさらに、低強度超音波の適用である。これらの調節因子の少なくとも2つの組合せの使用もまた想定され得る。
【0159】
調節因子の有効量は、所望の結果、ならびに用いられる調節因子の型および数に応じて、適応するべきである;それらは、0.001重量%〜30重量%の範囲であり得る。
【0160】
記載されたものなどの調節因子は、遺伝子EFEMP1、ECM1、ASPN、HS3ST6、PAPLN、CHSY1、およびFLRT2の調節因子、またはさらに遺伝子MXRA5、LYZ、CTSL2、PLAU、およびTIMP1の調節因子と共に、本発明の美容的方法に用いてもよい。
【0161】
遺伝子の好ましい組合せはすでに記載されている。
【0162】
調節因子は、他の生成物、活性成分、または賦形剤と共に用いてもよい。好ましくは、それらは、局所適用のための適切な形で、例えば、軟膏、クリーム、もしくは膏薬の形で、またはローション、セラム、石鹸などのスキンケアに適した任意の形で、包装される。
【0163】
本発明の美容的方法に関するセクションにおいて詳述された様々な実行形態は、上記の美容的適用に用いるように適用できる。
【0164】
本発明の調節因子は、特に、顔貌を一様にし、皮膚色を均質にし、または色素異常症と闘うことを目的として、美容的適用に用いてもよい。
【0165】
さらに、別の態様において、本発明は、皮膚色素斑の処置における、例えば、治療的処置の関連における適用のための、遺伝子TGFBR2、TGFBI、BMP2、SMAD3、THBS2、TGFBR3、SEMA5A、SMAD7、SOSTDC1、FRAS1、LEPREL1、MATN2、DST、PLOD2、ITGA2、COL6A3、CRTAP、LAMC1、LAMB3、LAMA3、ITGAV、およびACTN1から選択される少なくとも1個の真皮遺伝子の発現産物の発現または活性のレベルの調節因子に関する。前記斑は、色素沈着過剰斑、またはさらに色素脱失斑であってもよい。あるいは、遺伝子は、TGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられる真皮遺伝子のリストAから、または真皮遺伝子のリストBから、またはさらにこの後者のリストの様々なサブグループから、すなわち、LEPREL1、PLOD2、COL6A3、およびCRTAPから、もしくはさらにLAMC1、LAMB3、およびLAMA3から、もしくはさらにFRAS1、MATN2、およびDSTから、もしくは重ねてITGA2、ITGAV、およびITGB1から、もしくはITGA2とITGAVの間から、選択してもよい。
【0166】
好ましい調節因子は、本発明の他の態様に関してすでに記載されている。
【0167】
それらは、他の生成物、活性成分、または賦形剤と共にしてもよい。好ましくは、それらは、局所適用のための適切な形で、例えば、軟膏、クリーム、もしくは膏薬の形で、またはローション、セラム、石鹸などのスキンケアに適した任意の形で、包装される。
【0168】
本発明による様々な方法および適用において、考慮中の色素斑は、好ましくは、色素沈着過剰斑、より好ましくは光線性、日光性、または老年性黒子である。本発明の方法および適用は、そのような色素斑についてのシグネチャーの、本発明者らによる実証に基づいている。
【0169】
このシグネチャーは、それが、引用された遺伝子の全リストまたは一部によって構成され得るという事実によって特徴づけられる。
【0170】
本発明はまた、このシグネチャーの生物学的機能の欠乏を通して光線性黒子を選択および予想するための新規な方法としてのこのシグネチャーの使用に関する。この新規な方法は、隣接した未損傷皮膚とは対照的な、色素沈着過剰病変における本発明に記載された遺伝子の全部または一部の発現レベルの研究に基づいている。
【0171】
この発明はまた、病変と隣接した健康な皮膚との間に存在する遺伝子発現の差の分子シグネチャーとしてこれらの遺伝子を用いることによる光線性黒子の処置の関連の範囲内にある。このシグネチャーはまた、適切な処置の選択を決定し、生成物(活性成分、分子、天然抽出物)の効果だけでなく、皮膚に有益であると推定される方法(光、注入、経口による)の効果も測定することにおいて明らかな有利性を示す。本発明は、実際、記載された遺伝子の全部または一部の病変における発現レベルを、それらの発現プロファイルが健康な皮膚のそれに近いように調節することにより光線性黒子を処置することが意図される生成物または方法の有効性を評価するために用いることができる。
【0172】
本発明はまた、光線性黒子についての阻害因子または阻止因子をスクリーニングするための方法に存する。それは、引用された遺伝子の発現、および/または前記遺伝子からのタンパク質産物の発現もしくは活性を阻害し、または増加させる能力について化合物を評価するステップ、ならびに光線性黒子を予防または処置することができる因子を選択するステップからなる。化合物の有効性の検証は、再構築皮膚の単一培養もしくは共培養モデルまたは3次元モデル、またはエクスビボ皮膚、またはインビボの皮膚において行ってもよい。
【0173】
本発明はまた、病変を予防または矯正するために、皮膚をその正常な状態へ回復させるために、すなわち、健康な未損傷皮膚の発現に近い発現を回復させるために、光線性黒子のバイオマーカーから同定される遺伝子の発現を調節する化合物の使用に関する。特に、色素異常症(色素沈着過剰または色素脱失)を予防または処置するための、同定されたタンパク質に作用する化合物は、今まで提案されたことはない。そのような化合物は存在し、実施例3の表3に報告されている。
【0174】
選択される作用因子は、特に、細胞外マトリックス、特にTGF−β−SMADシグナル伝達経路のタンパク質に関して過剰発現するタンパク質の負の調節因子、または低発現タンパク質の正の調節因子である。
【0175】
引用することができる、細胞外マトリックス、特にTGF−β−SMADシグナル伝達経路に関連づけられるタンパク質の具体的な負の調節因子には、黒子において過剰発現することが見出されているタンパク質の合成および/もしくは分泌の阻害剤、ならびに/または分解の活性化剤が挙げられる。
【0176】
対照的に、引用することができる正の調節因子は、黒子において低発現するタンパク質の合成刺激剤、分泌誘導剤、または分解の阻害剤である。