【課題を解決するための手段】
【0005】
広範な努力の後に、本発明者は、驚くべきことにウマNGFに特異的に結合するウマ化抗体およびそれに由来する結合性断片を製造した。全く予期しないことに、ウマNGFへの本発明の抗体および結合性断片の結合により、高親和性TrkA受容体またはp75受容体に対するウマNGFの結合が阻害されることによってウマNGFの生物学的活性が奪われることを本明細書で示す。これにより、ひいては、感覚ニューロンにおける神経ペプチドの上方制御が妨げられ、疼痛の感覚が減少または除去されるという効果が結果として得られる。抗体は、実質的に免疫原性でない、すなわち、ウマ対象に投与した場合に中和抗体がそれらに対して誘導されないように、組換えDNA法を用いて製造した。例えば、CDR移植などの標準的な方法を用いて抗体を製造しなかったので、そのような所見は、全く意外であり、予期されないことである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ウマに用いるのに適する抗体を調製する方法であって、
−ウマに存在する標的抗原に対する結合特異性を有する、ウマ以外の種のドナー抗体を提供するステップと、
−ドナー抗体のフレームワーク領域のアミノ酸配列の各アミノ酸残基を1つまたは複数のウマ抗体のフレームワーク領域のアミノ酸配列における対応する位置に存在する各アミノ酸残基と比較して、1つまたは複数のウマ抗体のフレームワーク領域のアミノ酸配列内の対応する位置における1つまたは複数のアミノ酸残基と異なるドナー抗体のフレームワーク領域のアミノ酸配列内の1つまたは複数のアミノ酸残基を特定するステップと
−ドナー抗体における1つまたは複数の特定されたアミノ酸残基を1つまたは複数のウマ抗体における対応する位置に存在する1つまたは複数のアミノ酸残基で置換するステップと
を含むまたは本質的にそれらのステップからなる方法を提供する。
【0007】
発明者は、修飾された抗体が、
フレームワーク領域内のいずれの位置においても、ウマにおける当該位置において
外来性であるような
アミノ酸を含まないような方法でウマに用いるドナー抗体を修飾する方法を特定した。したがって、修飾抗体は、標的抗原に対するドナー抗体の特異性および親和性を保持しているが、重要なことに潜在的に
外来性であるエピトープが形成されないように修飾されている。したがって、修飾抗体は、ウマにおいて
外来性とみなされず、したがって、特に長期投与後の抗体の有効性の中和をもたらす可能性があるウマにおける免疫応答を誘導しない。
特定の実施形態において、1つまたは複数の特定されたアミノ酸残基を置換するステップは、1つまたは複数の特定されたアミノ酸残基を、1つまたは複数の置換されるアミノ酸残基との最高の相同性を有する対応する位置に存在する1つまたは複数のアミノ酸残基で置換するステップを含む。
特定の実施形態において、該方法は、ドナー抗体の重鎖および/または軽鎖の定常ドメインをウマ抗体に由来する重鎖および/または軽鎖の定常ドメインで置き換えるステップをさらに含む。一般的に、重鎖の定常ドメインをHC2型ウマ定常ドメインで置き換える。
特定の実施形態において、標的抗原は、神経成長因子(NGF)である。
本発明の第1の態様の方法は、CDR移植を含まない。本発明の第1の態様の方法により調製される抗体は、ドナー抗体のCDR、本発明の第1の態様の方法により調製されるウマ化フレームワーク領域およびウマ定常ドメインを含む。
本発明は、以下で述べるような本発明の第1の態様により調製される抗体に及ぶ。
【0008】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、ウマ神経成長因子(NGF)に特異的に結合するウマ化抗体またはその結合性断片を提供する。一般的に、ウマ化抗体またはその結合性断片は、それに結合するとき、NGFの生物学的機能を中和する。すなわち、NGFへのウマ化抗体またはその結合性断片の結合により、TrkA受容体またはp75受容体に結合するNGFの能力が奪われる。特定の実施形態において、ウマ化抗体またはその結合性断片は、1×10
-8以下の結合親和性K
DでNGFに結合する。一般的に、ウマ化抗体は、ウマにおいて免疫原性でない。
【0009】
特定の実施形態において、ウマ化抗体は、本発明の第1の態様の抗体を調製する方法により調製する。
本発明のさらなるまたは関連態様において、ウマ神経成長因子(NGF)に特異的に結合することができ、抗体または抗体結合性断片が配列番号1またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる、中和抗体またはその抗原結合性断片を提供する。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0010】
いくつかの実施形態において、中和抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、ウマ化抗体、すなわち、ウマ対象に投与された場合にそれに対する中和抗体が産生されないように脱免疫化(de-immunised)されたアミノ酸配列を有する抗体である。特定の実施形態において、ウマ化抗体は、本発明の第1の態様の抗体を調製する方法により調製する。一般的に、抗体の重鎖定常ドメインは、該定常ドメインが下流エフェクター機能を媒介しないように、選択するか、またはアミノ酸置換もしくは欠失により修飾する。一般的に前記重鎖は、ウマHC2またはHC6重鎖である。これらのアイソタイプは、エフェクター機能を欠いていることが示された(Lewis et al, Mol Immunol. 2008 Feb; 45(3); 818-827)。さらにより一般的には、前記重鎖は、ウマHC2重鎖である。このアイソタイプは、本発明者らによりプロテインAに結合させることによって精製できることが示された。
特定の実施形態において、抗体または抗体結合性断片は、配列番号4またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0011】
さらなるまたは関連態様において、ウマ神経成長因子(NGF)に特異的に結合することができ、抗体または抗体結合性断片が配列番号2のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖(heavy)可変領域を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる、中和抗体またはその抗原結合性断片を提供する。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0012】
一般的に、重鎖の可変領域(VH)は、少なくとも1つの免疫グロブリン定常ドメインを含むさらなるアミノ酸配列に結合している。特定の実施形態において、免疫グロブリン定常ドメインは、本発明のウマ化抗体の完全な重鎖を形成するためにサブクラスIgG(免疫グロブリンG)の抗体に由来する。7つの異なるウマ免疫グロブリンガンマ(IgG)重鎖定常ドメインは、公知である。一般的に、前記定常ドメインは、CH1、CH2およびCH3ならびに前記CH1およびCH2ドメイン間に位置する適切なリンカー(または「ヒンジ」)を含む。一般的に、本発明の抗ウマNGF抗体は、定常ドメインに結合した重鎖可変ドメインを含み、該定常ドメインは、例えば、補体結合、ADCC、Fc受容体結合または同類のものなどの下流エフェクター機能を媒介しない。そのような重鎖は、HC2またはHC6アイソタイプを有する重鎖を含み得、配列番号5、6または7のアミノ酸配列を有し得る。より一般的には、前記重鎖はウマHC2重鎖である。
【0013】
特定の実施形態において、抗体または抗体結合性断片は、ウマ定常ドメインIgG2(HC2)に関連する配列番号6もしくはウマ定常ドメインIgG6(HC6)に関連する配列番号7のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%のアミノ酸同一性を有する配列を含む重鎖を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
特定のさらなる実施形態において、抗体または結合性断片は、当該残基のグリコシル化を防ぐために定常ドメインにおける少なくとも1つの残基を置換または欠失させた重鎖を含み得る。定常ドメインの残基の脱グリコシル化により、細胞上に備わったFc受容体(FcR)に対する定常ドメイン(Fcドメイン)の結合が妨げられることによって下流エフェクター機能が制限され得る。したがって、特定のさらなる実施形態において、抗体または抗体結合性断片は、配列番号8(IgG2(HC2)の脱グリコシル化異形)もしくは配列番号9(IgG6(HC6の脱グリコシル化異形)のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0014】
さらなるまたは関連態様において、本発明は、ウマ神経成長因子(NGF)に特異的に結合することができ、抗体または抗体結合性断片が軽鎖および重鎖を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる、中和抗体またはその抗原結合性断片におよび、軽鎖の可変領域(VL)は、配列番号1のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖の可変領域(VH)は、配列番号2のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列と同じまたは実質的に相同であるアミノ酸配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0015】
特定の実施形態において、抗体または結合性メンバーは、配列番号4のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85%、より好ましくは95%、より好ましくは少なくとも98%の同一性を有する配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる軽鎖を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
特定の実施形態において、抗体または結合性メンバーは、配列番号5、配列番号6もしくは配列番号7のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85%、より好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる重鎖を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0016】
一般的に、抗体の重鎖定常ドメインは、該定常ドメインが下流エフェクター機能を媒介しないように選択するか、またはアミノ酸置換もしくは欠失により修飾する。一般的に、前記重鎖は、ウマHC2またはHC6重鎖である。より一般的には、前記重鎖は、ウマHC2重鎖である。特定の実施形態において、抗体または結合性メンバーは、配列番号5もしくは配列番号6のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85%、より好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる重鎖を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。配列番号5および配列番号6は、エフェクター機能を欠いていることが示されたが、プロテインAカラムを用いて精製することができる、HC2重鎖を含む。これは、HC2重鎖を有する抗体を製造に際して大規模に精製することを可能にするものであり、したがって、利点である。
【0017】
特定の実施形態において、抗体は、少なくとも1つのリポーター分子にコンジュゲートさせることができる。
特定のさらなる実施形態において、定常ドメインにおける少なくとも1つの残基は、当残基のグリコシル化を防ぐために、置換または欠失させることができる。したがって、特定のさらなる実施形態において、抗体または抗体結合性断片は、配列番号8もしくは配列番号9のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85%、より好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する配列を含む重鎖を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0018】
発明者は、ウマ化重および軽鎖可変ドメインを形成するために相補性決定領域(CDR)と組み合わせることができる一連のフレームワーク領域(FR)をさらに定義した。ウマ重および軽鎖ドメインのそれぞれは、FR1、FR2、FR3およびFR4と呼ばれる4つのフレームワーク領域を有する。
抗体分子は、CDR1、CDR2およびCDR3領域ならびに関連挿入フレームワーク領域を含む重鎖可変ドメインを含み得る。重鎖可変ドメイン(VH)CDRは、HCDRとして公知であり、これらのCDRは、Kabat番号付けシステムによる以下の位置に見いだされる:HCDR1−Kabat残基31〜35、HCDR2−Kabat残基50〜65、HCDR3−Kabat残基95〜102(Kabat EA et al. (1991) Sequences of proteins of immunological interest, 5
th edition. Bethesda: US Department of Health and Human Services)。
【0019】
さらに、抗体は、CDR1、CDR2およびCDR3領域ならびに関連挿入フレームワーク領域を含む軽鎖可変ドメインをさらに含む。軽鎖可変ドメイン(VL)CDRは、LCDRとして公知であり、これらのCDRは、Kabat番号付けシステムによる以下の位置に見いだされる:LCDR1−Kabat残基24〜34、LCDR2−Kabat残基50〜56、LCDR3−Kabat残基89〜97。
軽または重鎖可変ドメインは、以下の配列でCDRが介在している4つのフレームワーク領域FR1、FR2、FR3およびFR4を含む:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4。
【0020】
さらなるまたは関連態様において、本発明は、抗NGF抗体またはそのNGF抗原結合性断片に及び、抗体または抗体結合性断片は、
配列番号10のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR1フレームワーク領域、
配列番号11のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR2フレームワーク領域、
配列番号12のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR3フレームワーク領域、および
配列番号13のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR4フレームワーク領域
の少なくとも1つを含む軽鎖可変領域
ならびに/あるいは
配列番号14のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR1フレームワーク領域、
配列番号15のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR2フレームワーク領域、
配列番号16のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR3フレームワーク領域、および
配列番号17のアミノ酸配列からなるまたはそれを含むFR4フレームワーク領域
の少なくとも1つを含む重鎖可変領域
を含む。
【0021】
一般的に、軽および重鎖CDRは、NGF、好ましくはウマNGFに対する結合特異性を有する抗体に由来する。
一般的に、本発明のウマ化抗ウマNGF抗体の製造には、軽または重鎖可変ドメインのフレームワーク領域に復帰突然変異を導入する必要はない。
特定の実施形態において、上述の前記少なくとも1つのフレームワーク領域を含む軽鎖可変ドメインは、ウマ由来の軽鎖定常ドメイン、一般的に軽鎖カッパ定常ドメインに結合しているが、ラムダ軽鎖に結合していてもよい。特定の実施形態において、前記軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を有するFR1領域、配列番号11のアミノ酸配列を有するFR2領域、配列番号12のアミノ酸配列を有するFR3領域および配列番号13のアミノ酸配列を有するFR4領域または前述のものとの少なくとも85、90、95もしくは98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約5アミノ酸、好ましくは約10アミノ酸の長さにわたる。
【0022】
特定のさらなる実施形態において、上述のフレームワーク領域の少なくとも1つを含む重鎖可変領域は、ウマ由来の重鎖定常ドメインに結合している。特定の実施形態において、定常ドメインのアミノ酸配列は、定常ドメインが脱グリコシル化されるように、翻訳後修飾を欠き、またはN結合グリコシル化もしくはO結合グリコシル化を受け得る任意もしくはすべての残基を除去するために修飾することができる。特定の実施形態において、重鎖は、配列番号14のアミノ酸配列を有するFR1領域、配列番号15のアミノ酸配列を有するFR2領域、配列番号16のアミノ酸配列を有するFR3領域および配列番号17のアミノ酸配列を有するFR4領域または前述のものとの少なくとも85、90、95もしくは98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約5アミノ酸、好ましくは約10アミノ酸の長さにわたる。
【0023】
特定のさらなる実施形態において、修飾は、本明細書で述べたフレームワーク領域に対して行うことができる。すなわち、発明者は、各フレームワーク領域におけるいくつかの残基について、所定の位置のえり抜きのアミノ酸が存在することを確認した。重要なことに、これらのフレームワーク領域の修飾は、相補性決定領域の立体配座の変化をもたらさない。その理由は、これにより、得られる抗体の結合特異性および/または親和性が変化する可能性があるためである。特定の実施形態において、本発明は、軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸残基への2以上のアミノ酸置換の導入に及ぶ。
【0024】
したがって、特定のさらなる実施形態において、本発明は、以下のアミノ酸置換(アミノ酸をそれらの1文字コードによって表す)の1つまたは複数により修飾された配列番号10のアミノ酸配列を含むFR1領域を有する軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片のようなポリペプチドに及ぶ:2位におけるアミノ酸残基I(I2)がアミノ酸残基Vにより置き換えられ、S7がTであり、A9がEであり、L11がVであり、S12がTまたはAであり、A13がVであり、S14がTであり、E17がQであり、T18がRであり、T20がEであり、I21がI、L、MまたはVであり、E22がKである。さらに、1つまたは複数の以下の置換をさらに行うことができる:D1がG、KまたはVであり、I2がF、N、SまたはTであり、V3がA、G、IまたはMであり、M4がL、QまたはVであり、T5がAまたはIであり、S7がFであり、A9がD、PまたはSであり、S10がF、LまたはTであり、L11がSであり、S12がEまたはVであり、A13がL、QまたはTであり、S14がAまたはPであり、L15がPまたはRであり、G16がRであり、T18がS、GまたはKであり、V19がAであり、T20がDまたはVであり、I21がTであり、E22がL、N、Q、R、SまたはTである。
【0025】
特定のさらなる実施形態において、配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖FR2領域は、以下のアミノ酸置換の1つまたは複数により修飾することができる:K5がRであり、Q8がEであり、S9がAであり、K11がRまたはEであり、L12がRである。
さらに、1つまたは複数の以下の置換をさらにもたらすことができる:Y2がFまたはHであり、Q3がRまたはSであり、Q4がH、K、RまたはVであり、K5がVであり、P6がI、LまたはSであり、S9がP、R、VまたはTであり、P10がLであり、K11がIまたはLであり、L12がA、E、G、H、QまたはWであり、L13がF、I、MまたはVであり、I14がF、T、MまたはVであり、Y15がA、C、D、E、F、G、H、Q、R、S、TまたはVである。
【0026】
特定のさらなる実施形態において、配列番号12のアミノ酸配列を有する軽鎖FR3領域は、以下のアミノ酸置換の1つまたは複数により修飾することができる:S4がDであり、F6がYであり、D14がEであり、Y15がFであり、S16がTであり、N20がSであり、S24がAであり、S29がI、SまたはTであり、F31がYである。さらに、1つまたは複数の以下の置換をさらにもたらすことができる:G1がDまたはFであり、V2がAまたはFであり、P3がLまたはSであり、S4がA、E、GまたはLであり、F6がLであり、S7がC、F、G、N、RまたはTであり、G8がAであり、S9がD、E、G、K、R、TまたはWであり、G10がA、RまたはVであり、S11がA、F、TまたはYであり、G12がEまたはTであり、T13がA、SまたはWであり、S16がAまたはVであり、L17がFまたはPであり、T18がA、I、SまたはVであり、I19がVであり、N20がD、GまたはTであり、S21がD、E、P、RまたはTであり、Q23がEまたはRであり、S24がEまたはTであり、E25がA、D、GまたはTであり、D26がNであり、V27がA、L、E、GまたはSであり、A28がGであり、S29がD、E、F、L、M、NまたはVであり、Y30がCであり、F31がH、S、T、VまたはWである。
【0027】
特定のさらなる実施形態において、配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖FR4領域は、以下のアミノ酸置換により修飾することができる:L9がIである。さらに、1つまたは複数の以下の置換をさらにもたらすことができる:F1がIまたはLであり、Q3がLであり、T5がSであり、K6がM、NまたはRであり、L7がMまたはVであり、E8がA、DまたはKであり、L9がF、MまたはVであり、K10がA、E、G、I、Q、R、TまたはVである。
特定のさらなる実施形態において、配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖FR1領域は、以下のアミノ酸置換により修飾することができる:N13がKであり得る。さらに、1つまたは複数の以下の置換をさらにもたらすことができる:K5がQであり得、G10がDであり得、L11がQであり得、V12がMであり得、N13がMまたはRであり得、P14がIまたはSであり得、S15がAまたはGであり得、Q16がEであり得、T17がAであり得、S19がTであり得、T21がSまたはVであり得、T23がA、FまたはSであり得、V24がIであり得、S25がTであり得、G26がAであり得、F27がA、G、I、M、N、QまたはSであり得、S28がD、H、I、L、NまたはPであり得、L29がD、S、TまたはVであり得、T30がE、I、NまたはRであり得る。
【0028】
特定のさらなる実施形態において、配列番号15のアミノ酸配列を有する重鎖FR2領域は、以下のアミノ酸置換により修飾することができる:W12がFである。さらに、1つまたは複数の以下の置換をさらにもたらすことができる:V2がLであり得、A5がP、SまたはVであり得、K8がWであり得、G9がRであり得、L10がPまたはWであり得、W12がE、H、R、VまたはYであり得、G14がA、DまたはSであり得る。
【0029】
特定のさらなる実施形態において、配列番号16のアミノ酸配列を有する重鎖FR3領域は、以下のアミノ酸置換の1つまたは複数により修飾することができる:T3がSであり、R6がKであり、F14がYであり、Q16がTであり、M17がLであり、R32がGである。さらに、A2がC、G、I、TまたはVであり得、T3がD、I、M、NまたはRであり得、I4がVであり、T5がI、LまたはSであり、R6がEまたはSであり、D7がEまたはNであり、T8がA、E、I、P、SまたはYであり、S9がE、G、KまたはTであり、K10がE、L、N、QまたはRであり、S11がG、K、NまたはRであり、Q12がE、HまたはRであり、V13がA、I、L、FまたはSであり、F14がL、R、S、TまたはVであり、L15がVであり、Q16がIであり、M17がVであり、N18がD、K、R、SまたはTであり、S19がD、E、G、K、MまたはTであり、L20がMまたはVであり、T21がSであり、S22がD、E、GまたはRであり、E23がDまたはGであり、T25がAであり、A26がSであり、V27がDであり、Y29がA、F、IまたはWであり、A31がE、G、I、S、TまたはVであり、R32がA、E、G、H、I、KまたはSである。
【0030】
特定のさらなる実施形態において、配列番号17のアミノ酸配列を有する重鎖FR4領域は、以下のアミノ酸置換により修飾することができる:Q3がPである。
本発明の上述の態様の特定の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。一般的に、抗体は、ウマ抗体である。
本発明の上述の態様の特定のさらなる実施形態において、本発明のウマ化NGF中和抗体、またはそれに由来する結合性断片は、1×10
-8以下の平衡解離定数(K
D)を有する結合親和性でウマNGF(神経成長因子)に特異的に結合する。さらに、該ウマ化抗体がウマに存在する他のエピトープに対して交差反応性でないこと、さらに、それらをウマに投与した場合に本発明の抗体に対する中和抗体が発生しないことが好ましい。さらに、抗体の定常ドメインが、補体結合および活性化、ADCCならびにFc受容体結合および活性化を含むが、これらに限定されない下流エフェクター機能を媒介しないことが好ましい。
【0031】
特定のさらなる実施形態において、重鎖の定常領域のアミノ酸配列の修飾は、本発明の抗体に対して行うことができる。前記修飾は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、置換または欠失を含み得る。前記アミノ酸変化は、一般的に抗体の機能特性を修正するために行われる。例えば、アミノ酸修飾は、例えば、Fc受容体に結合する、補体を活性化する、またはADCCを誘導する抗体の能力を妨げることによって、抗体の定常ドメインにより媒介される下流エフェクター機能を妨げるために行うことができる。さらに、修飾は、ウマに投与する場合の抗体の循環半減期を修正するために、重鎖定常ドメインのヒンジ領域に対して行うことができる。
一般的に、抗体の重鎖定常ドメインは、該定常ドメインが下流エフェクター機能を媒介しないように選択するか、またはアミノ酸置換もしくは欠失により修飾する。一般的に前記重鎖は、ウマHC2またはHC6重鎖である。さらにより一般的には、前記重鎖は、ウマHC2重鎖である。
さらなるまたは関連態様において、本発明は、1つまたは複数のウマ可溶性タンパク質に特異的に結合する抗体またはその結合性断片に及び、抗体は、下流エフェクター機能を媒介せず、抗体は、プロテインAへの結合により精製される。
【0032】
特定の実施形態において、CSF、インターロイキン、成長因子およびニューロトロフィンからなる群から選択される。特定の実施形態において、1つまたは複数の可溶性タンパク質は、ニューロトロフィンである。特定の実施形態において、1つまたは複数の可溶性タンパク質は、NGFである。
【0033】
特定の実施形態において、抗体は、抗体が下流エフェクター機能を媒介しないように選択されたまたはアミノ酸置換もしくは欠失により修飾された重鎖を含む。
特定の実施形態において、抗体は、HC2アイソタイプを有する重鎖を含む。HC2アイソタイプを含む抗体は、エフェクター機能を欠き、プロテインAカラムまたはプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製できることが示された。
特定の実施形態において、抗体は、例えば、プロテインAカラムまたはプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いたプロテインAへの結合による精製後に得られた抗体である。
特定の実施形態において、抗体は、軽鎖および重鎖を含み、軽鎖の可変領域(VL)は、配列番号1のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖の可変領域(VH)は、配列番号2のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85、90、95もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列と同じまたは実質的に相同であるアミノ酸配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
【0034】
特定の実施形態において、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85%、より好ましくは95%、より好ましくは少なくとも98%のアミノ酸同一性を有する配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる軽鎖を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
特定の実施形態において、抗体は、配列番号5もしくは配列番号6のアミノ酸配列またはそれとの少なくとも85%の同一性、より好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を有する配列を含む、それからなるまたは本質的にそれからなる重鎖を含む。特定の実施形態において、前記同一性は、少なくとも約15アミノ酸、好ましくは約20アミノ酸、より好ましくは約25アミノ酸の長さにわたる。
特定の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。一般的に、抗体は、ウマ化抗体である。
【0035】
特定のさらなる実施形態において、本発明の抗体、またはそれに由来する結合性断片は、1×10
-8以下の平衡解離定数(K
D)を有する結合親和性でウマNGF(神経成長因子)に特異的に結合する。さらに、抗体がウマに存在する他のエピトープに対して交差反応性でないこと、さらに、それらをウマに投与した場合に本発明の抗体に対する中和抗体が発生しないことが好ましい。
特定の実施形態において、抗体、またはその抗原結合性断片は、下流エフェクター機能を媒介しない。一般的に、抗体または結合性断片は、ウマ重鎖サブタイプHC2を有する。
特定の実施形態において、ウマ化抗体は、本発明の第1の態様の抗体を調製する方法に従って調製する。
本発明は、ウマNGFに結合し、ウマp75およびTrkA受容体に結合するその能力を奪う抗体断片に及ぶ。
【0036】
特定の実施形態において、本発明の抗体のいずれかの抗体結合性断片は、フレキシブルリンカーにより連結されて単鎖抗体を形成する本発明の重鎖および軽鎖配列を含み得る。単鎖Fv(scFv)は、VHおよびVLドメインを含む。VHおよびVLドメインは、結合して標的結合部位を形成する。これらの2つのドメインは、ペプチドリンカーによって共有結合により連結されている。scFv分子は、軽鎖可変ドメインがN末端において必要である場合にはVL−リンカー−VHの形態を、またはVHドメインがN末端において必要である場合にはVH−リンカー−VLとしての形態を有し得る。したがって、特定のさらなる実施形態において、抗原結合性断片は、単鎖Fv(scFv)抗体断片である。特定のさらなる実施形態において、抗体結合性断片は、Fab抗体断片、Fab’抗体断片、F(ab’)
2抗体断片、Fv抗体断片、sFV抗体断片および同類のものからなるが、これらに限定されない群から選択される。
【0037】
特定のさらなる実施形態において、本発明は、併用療法用の異なる結合特異性を有する他の抗体と連結または結合した本発明の抗NGF抗体または結合性断片を含む多重特異性または多価抗体を提供する。多重特異性抗体は、第1のNGFエピトープに特異的な少なくとも1つの抗体または結合性断片およびウマNGF上に存在する他のエピトープまたは異なる抗体に特異的な少なくとも1つの結合部位を含む。多価抗体は、同じNGFエピトープに対する結合特異性を有する抗体または抗体結合性断片を含む。したがって、特定の実施形態において、本発明は、本発明のウマ化抗体の4つ以上のFv領域またはFab領域を含む抗体融合タンパク質に及ぶ。さらなる実施形態は、本明細書で述べる抗体に由来する1つまたは複数のFab領域ならびにウマNGFに特異的な抗体の1つまたは複数のFabまたはFv領域を含む抗体融合タンパク質に及ぶ。特定のさらなる実施形態において、本発明は、本発明による抗体またはその結合性断片が第2の標的に対する結合特異性を有する第2の抗体またはその結合性断片に連結されていて、前記標的がウマNGFでない、二重特異性抗体に及ぶ。好ましくは、前記第2の標的は、p75またはTrkA受容体を介するNGF媒介性シグナル伝達を妨げることを促進する。そのような多価、二重特異性または多重特異性抗体は、当業者に周知であると思われる様々な組換え法により作製することができる。
【0038】
本発明のさらに他の態様において、配列番号1のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインおよび/または配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含む抗ニューロトロフィン中和抗体を提供する。特定の実施形態において、ニューロトロフィンは、ウマ神経成長因子(NGF)である。
本発明のさらに他の態様は、ウマにおける疼痛を治療、阻害または改善する方法であって、
−治療有効量の、ウマ化抗体である抗ウマNGF抗体またはその抗原結合性断片を提供するステップと、
−それを必要とするウマにそれを投与するステップと
を含む、方法を提供する。
【0039】
特定の実施形態において、ウマ化抗体は、配列番号1のアミノ酸配列もしくはそれとの少なくとも95%の同一性を有する配列を含む軽鎖可変ドメインおよび/または配列番号2のアミノ酸配列もしくはそれとの少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
特定の実施形態において、ウマ化抗体は、配列番号4のアミノ酸配列もしくはそれとの少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖ならびに/または配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8もしくは配列番号9および前述のものとの少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%のアミノ酸同一性を有する配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、それからなるもしくは本質的にそれからなる重鎖を含む。
特定の実施形態において、ウマ化抗体またはその抗原結合性断片は、本発明の前述の態様によって提供されるもののいずれかである。
【0040】
特定の実施形態において、疼痛は、神経障害性疼痛である。特に、疼痛は、術後または外科手術後疼痛であり得る。術後疼痛は、ウマにおける整形外科手術、軟組織外科手術、卵巣子宮摘出処置および同類のものを含むが、これらに限定されない手術処置後に生じ得る。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、癌および癌性状態に関連する慢性疼痛(腫瘍疼痛)である。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、炎症、掻痒症、関節リウマチまたは変形性関節症に関連する、または起因する。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、手掌足底疼痛(palmar foot pain)、蹄底挫傷(subsolar brusing)、蹄葉炎、蹄膿瘍、展示後外傷(post showing trauma)、レース後外傷(post race trauma)、舟状骨症候群および近位けい靭帯炎に関連する、または起因する。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、ウマ対象における関節炎の治療の方法であって、
−治療有効量の本発明による抗ウマNGF抗体またはその抗原結合性断片を提供するステップと、
−それを必要とするウマにそれを投与するステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、抗体は、ウマ化抗体である。特定の実施形態において、ウマ化抗体は、配列番号1もしくは配列番号3のアミノ酸配列もしくはそれとの少なくとも85%の同一性を有する配列を含む軽鎖可変ドメインおよび/または配列番号2もしくは配列番号4のアミノ酸配列もしくはそれとの少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0042】
特定の実施形態において、関節炎または関節炎状態は、免疫介在性多発性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症および関連状態からなる群から選択される状態を含む。
一般的に、関節炎または関節炎状態の治療は、関節炎状態に関連する、または起因する疼痛を改善すること、阻害すること、低減すること、抑制することまたはその発症を遅延させることを含む。
本発明のさらなる態様は、ウマ対象における神経成長因子(NGF)に対する感受性の増大により引き起こされる、関連する、またはそれをもたらす状態の治療の方法であって、
−治療有効量の本発明による抗ウマNGF抗体またはその抗原結合性断片を提供するステップと、
−それを必要とするウマにそれを投与するステップと
を含む、方法を提供する。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、ウマにおけるNGFにより増殖するように誘導される腫瘍およびそれに関連する状態の治療の方法であって、
−治療有効量の本発明による抗ウマNGF抗体またはその抗原結合性断片を提供するステップと、
−それを必要とするウマにそれを投与するステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、腫瘍は、骨肉腫である。特定の実施形態において、腫瘍は、自己分泌型または傍分泌型NGFにより増殖するように誘導される。
特定の実施形態において、本発明の前述の方法は、本発明の抗NGF抗体の有効性を増大させ、かつ/または補完し得る少なくとも1つのさらなる薬剤を同時投与するステップをさらに含む。例えば、抗体またはその抗原結合性断片は、少なくとも1つの鎮痛薬、NSAID、オピオイド、コルチコステロイド、ステロイド、ヒアルロナンまたはヒアルロン酸とともに同時投与することができる。
適切な鎮痛薬の例は、ブトルファノール、ブプレノルフィン、フェンタニル、フルニキシンメグルミン、メルピジン、モルヒネ、ナルブフィンおよびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。適切なNSAIDsは、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、カルプロフェン、エトドラク、ケトプロフェン、メロキシカム、フィロコキシブ、ロベナコキシブ、デラコキシブなどを含むが、これらに限定されない。
【0044】
特定のさらなる実施形態において、少なくとも1つのさらなる薬剤は、抗生物質、抗真菌薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬または同様な治療薬から選択される1つまたは複数の群であり得る治療上有効な薬剤であり得る。さらに、少なくとも1つのさらなる薬剤は、PGE受容体アンタゴニストなどの炎症のメディエーター(単数または複数)の阻害薬、シクロスポリンなどの免疫抑制薬、抗炎症性グルココルチコイドであり得る。特定のさらなる態様において、少なくとも1つのさらなる薬剤は、高齢ウマにおいてますます優勢になり得る記憶喪失または関連状態などの認知機能不全または障害の治療に用いられる薬剤であり得る。さらに、少なくとも1つのさらなる薬剤は、例えば、高血圧、心筋虚血、うっ血性心不全などを治療するための抗高血圧薬または心血管機能不全の治療に用いられる他の化合物であり得る。さらに、少なくとも1つのさらなる薬剤は、利尿薬、血管拡張薬、ベータアドレナリン受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンII変換酵素阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、フェニルブタゾン、ヒアルロン酸、多硫酸化グリコサミノグリカン、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、IRAP、ジクロフェナクおよび疾患修飾性変形性関節症薬であり得る。
【0045】
特定の実施形態において、抗体または抗原結合性断片は、約0.01mg/kg体重〜約10mg/kg体重、特に0.03mg/kg体重〜約3mg/kg体重の範囲の用量で前述の方法の一部としてウマに投与する。
様々なさらなる態様において、本発明は、本発明のいずれかの前述の態様による抗体またはその結合性断片を含む組成物に及ぶ。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む。
本発明のさらなる態様は、薬学的に有効な量の本発明による抗ウマNGFウマ化抗体を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と一緒に含む、ウマにおける疼痛、または慢性疼痛をもたらす、もしくはそれによって引き起こされる状態を治療するための医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも1つの鎮痛薬、NSAID、オピオイド、コルチコステロイドまたはステロイドをさらに含み得る。
【0046】
様々なさらなる態様において、本発明は、本発明の抗体または抗体結合性断片をコードする単離核酸に及ぶ。
したがって、本発明のさらに他の態様は、本発明の前述の態様のいずれかによる抗体または抗原結合性断片をコードする単離核酸を提供する。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、抗ウマNGFウマ化抗体の軽鎖可変ドメインまたは配列番号1のアミノ酸配列を有する抗体断片または配列番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖をコードする。
特定のさらなる実施形態において、ポリヌクレオチドは、抗ウマNGFウマ化抗体の重鎖可変ドメインまたは配列番号2のアミノ酸配列を有する抗体断片または配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8もしくは配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖をコードする。
【0047】
特定の実施形態において、単離核酸は、それに作動可能に連結した1つまたは複数の調節配列をコードする核酸をさらに含む。
さらなる態様において、本発明の重および/または軽鎖可変ドメインあるいは重および/または軽鎖定常ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。特定の実施形態において、発現ベクターは、1つまたは複数の調節配列をさらに含む。特定の実施形態において、ベクターは、プラスミドまたはレトロウイルスベクターである。
さらに他の態様は、本発明の前述の態様の発現ベクターを組み込んだ宿主細胞を提供する。本発明のさらなる態様は、本発明の前述の態様のいずれかの抗体を産生する宿主細胞を提供する。
【0048】
本発明のさらに他の態様は、本発明の前述の態様の宿主細胞を培養して、細胞がウマ化抗ウマNGF中和抗体を発現することを可能にするステップを含む、ウマ化抗ウマNGF中和抗体を製造する方法を提供する。
【0049】
本発明のさらに他の態様は、適切な宿主細胞中で本発明の抗体の軽および/または重鎖を発現する本発明の前述の態様の1つまたは複数のポリヌクレオチド/核酸またはベクターを発現させるステップと、宿主細胞中で一緒に、または異なる宿主細胞中で別個に発現させることができる、発現ポリペプチドを回収するステップと、抗体を単離するステップとを含む、本発明による抗ウマNGFウマ化抗体を製造する方法を提供する。
本発明のさらに他の態様は、ウマにおける疼痛を治療する、改善するまたは抑制する方法であって、本発明の前述の態様のいずれかによる有効量のポリヌクレオチドをウマに投与するステップを含む、方法を提供する。
本発明のさらに他の態様は、ウマにおける疼痛の治療、予防または改善に用いる本発明の前述の態様のいずれかによる抗体もしくは抗体結合性断片、または本発明の前述の態様による医薬組成物、または本発明の前述の態様による核酸、または本発明の前述の態様のいずれかによるベクターを提供する。
【0050】
特定の実施形態において、疼痛は、急性疼痛である。さらなる実施形態において、疼痛は、慢性疼痛である。さらに、疼痛は、術後疼痛、またはウマにおける整形外科手術、軟組織外科手術、卵巣子宮摘出処置および同類のものを含み得るが、これらに限定されない、いずれかの手術処置に起因する疼痛であり得る。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、癌または癌性状態に関連する慢性疼痛である。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、炎症、掻痒症、関節リウマチまたは変形性関節症に関連する、または起因する。疼痛は、手掌足底疼痛、蹄底挫傷、蹄葉炎、蹄膿瘍、展示後外傷、レース後外傷、舟状骨症候群および近位けい靭帯炎に関連する、または起因する。
【0051】
本発明のさらに他の態様は、治療または変形性関節症および/または関節リウマチに用いる本発明の前述の態様のいずれかによる抗体もしくは抗体結合性断片、または本発明の前述の態様による医薬組成物、または本発明の前述の態様による核酸、または本発明の前述の態様のいずれかによるそれを含むベクターを提供する。
本発明のさらに他の態様は、ウマにおけるNGFにより増殖するように誘導された腫瘍およびそれに関連する状態、特に骨肉腫の治療に用いる本発明の前述の態様のいずれかによる抗体もしくは抗体結合性断片、または本発明の前述の態様による医薬組成物、または本発明の前述の態様のいずれかによる核酸もしくはそれを含むベクターを提供する。特定の実施形態において、腫瘍は、自己分泌型または傍分泌型NGFにより増殖するように誘導される。
本発明のさらに他の態様は、ウマにおける疼痛の治療または予防用の医薬の調製における本発明の前述の態様のいずれかによる抗体もしくは抗体結合性断片、または本発明の前述の態様による医薬組成物、または本発明の前述の態様による核酸、または本発明の前述の態様のいずれかによるそれを含むベクターの使用を提供する。
【0052】
疼痛は、急性または慢性疼痛であり得る。特定の実施形態において、疼痛は、慢性疼痛である。さらに、疼痛は、術後疼痛、またはウマにおける整形外科手術、軟組織外科手術および同類のものを含み得るが、これらに限定されない、いずれかの手術処置に起因する疼痛であり得る。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、癌または癌性状態に関連する慢性疼痛である。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、炎症、掻痒症、関節リウマチまたは変形性関節症に関連する、または起因し、さらに手掌足底疼痛、蹄底挫傷、蹄葉炎、蹄膿瘍、展示後外傷、レース後外傷、舟状骨症候群および近位けい靭帯炎に関連する、または起因する。
本発明のさらに他の態様は、ウマにおける関節リウマチまたは変形性関節症の治療、阻害、改善または予防用の医薬の調製における、本発明の前述の態様のいずれかによる抗体もしくは抗体結合性断片、または本発明の前述の態様による医薬組成物、または本発明の前述の態様による核酸、または本発明の前述の態様のいずれかによるそれを含むベクターの使用を提供する。
【0053】
本発明のさらに他の態様は、ウマにおけるNGFにより増殖するように誘導された腫瘍およびそれに関連する状態、特に骨肉腫の治療用の医薬の調製における本発明の前述の態様のいずれかによる抗体もしくは抗体結合性断片、または本発明の前述の態様による医薬組成物、または本発明の前述の態様のいずれかによる核酸もしくはそれを含むベクターの使用を提供する。特定の実施形態において、腫瘍は、自己分泌型または傍分泌型NGFにより増殖するように誘導される。
さらに他の態様において、本発明による抗ウマNGF中和モノクローナル抗体またはその断片を産生する細胞系、またはその派生もしくは子孫細胞を提供する。
【0054】
本発明のさらに他の態様は、本発明の前述の態様のいずれかによる抗ウマNGF抗体およびそれの使用説明書を含む、ウマにおける疼痛の治療用、または疼痛に関連する状態の治療用、または変形性関節症、関節リウマチ、炎症、掻痒症、手掌足底疼痛、蹄底挫傷、蹄葉炎、蹄膿瘍、展示後外傷、レース後外傷、舟状骨症候群および近位けい靭帯炎に関連する疼痛の治療、改善もしくは阻害用キットを提供する。
本発明のさらに他の態様は、前記抗体の濃度を測定するのに用いるin vitro、ex vivoおよびin vivoでの体液中の抗ウマNGFモノクローナル抗体の検出用の診断キットを提供する。キットは、本発明の抗体のいずれかまたはその結合性断片を含み得る。キットは、それの使用説明書を含み得る。