特許第6181050号(P6181050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181050
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】医療用ポンプ用の通気式リザーバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20170807BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61M5/142 500
   A61M5/168 516
【請求項の数】25
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-516486(P2014-516486)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公表番号】特表2014-519942(P2014-519942A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】IB2012053177
(87)【国際公開番号】WO2012176171
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年5月19日
(31)【優先権主張番号】11171155.2
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】11172494.4
(32)【優先日】2011年7月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511280951
【氏名又は名称】デバイオテック・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シャペル
(72)【発明者】
【氏名】リカルド・アレンデス
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ネフテル
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−531111(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0142688(US,A1)
【文献】 特開2010−260597(JP,A)
【文献】 特表2010−502873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142 − A61M 5/155
A61M 5/168
A61M 1/00
F04B 15/00
F04B 19/00
F04B 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.上部硬質シェル(24)及び底部硬質シェル(1)を備え、中で剛性壁(3)及び可動膜(2)が、第一のチャンバ(23)、第二のチャンバ(29)及び第三のチャンバ(22)からなる三つの別個のチャンバを作出する、硬質ハウジングの、
i.該可動膜が、該第二のチャンバ(29)及び第三のチャンバ(22)を密に隔て、
ii.該第一のチャンバ及び第三のチャンバが、水密インターフェースを有し、
iii.該第二のチャンバ(29)が、流体を含むように設計され、
iv.該第一のチャンバ(23)が、該第一のチャンバ(23)及び外部環境間の流体連通を与えるように配置される第一の通気手段(20)を備え、
v.該第三のチャンバ(22)が、該第三のチャンバ(22)及び外部環境間の流体連通を与えるように配置される第二の通気手段を備える、
該硬質ハウジング;
b.第一のチャンバ(23)内に位置するポンプ要素(4);
c.第一のチャンバ(23)及び第二のチャンバ(29)間の圧力勾配を測定する少なくとも一つの圧力センサ;
d.i.該第二のチャンバ(29)該ポンプ要素(4)との間の第一の流体接続(27)、
ii. 該ポンプ要素及び患者ライン(30)間の第二の流体接続(28)、
を可能にする流路;
を備える医療用ポンプ。
【請求項2】
前記第二の通気手段が、数本の通路(7)によって設けられる、請求項1に記載の医療用ポンプ。
【請求項3】
前記可動膜が、第三のチャンバ(22)の圧力を前記第一の流体接続(27)に伝達する、請求項1に記載の医療用ポンプ。
【請求項4】
前記圧力センサが、第一のチャンバ(23)内、第三のチャンバ(22)内、ポンプ要素(4)内、第一の流体接続内、及び/又は第二の流体接続内に位置し得る、請求項1〜
3のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項5】
前記圧力センサが、前記第一のチャンバ(23)及び前記第二のチャンバ(29)間の圧力勾配を測定するゲージ圧センサであり、該ゲージ圧センサの基準ポートが外部環境、第一のチャンバ(23)、又は第三のチャンバ(22)であり得る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項6】
センサ信号用の処理手段をさらに備え、ここで該処理手段が、前記第一のチャンバ及び/又は第三のチャンバにおける過少圧力又は過剰圧力を検出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項7】
前記第一のチャンバの前記第一の通気手段(20)が、疎水性及び/又は疎油性の通気
孔である、請求項1に記載の医療用ポンプ。
【請求項8】
前記第一のチャンバの前記第一の通気手段(20)が、第一のチャンバ及び第三のチャ
ンバ間に位置する、請求項7に記載の医療用ポンプ。
【請求項9】
疎水性通気孔であり、第一のチャンバ及び第三のチャンバ間に位置する第三の通気手段を備える、請求項1に記載の医療用ポンプ。
【請求項10】
前記通路(7)が、第三のチャンバの側面(10)に向けて配向される、請求項2に記載の医療用ポンプ。
【請求項11】
前記通路(7)が、第三のチャンバの側面(10)内に位置する、請求項2に記載の医療用ポンプ。
【請求項12】
前記通路(7)が、第三のチャンバの下面(9)内に位置する、請求項2に記載の医療用ポンプ。
【請求項13】
前記通路(7)が、それらのそれぞれの通路(7)の主方向と30°を超える角度を形成する方向に配向される孔(5)を含む、請求項2、及び10〜12のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項14】
前記通路(7)の内端部が、バッフル(6)を備える、請求項2、及び10〜13のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項15】
前記第一の通気手段(20)及び/又は前記第二の通気手段が詰まった場合、患者に警告する警報手段を備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項16】
第三のチャンバ(22)の硬質シェル(1)が透明である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項17】
第三のチャンバ(22)の硬質シェル(1)がモアレパターンを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項18】
疎水性表面処理又は疎水性表面コーティングが、通路(7)の周囲に付与される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項19】
通路(7)が、除去可能な又は透過性のテープによって保護される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の医療用ポンプ。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の医療デバイスの通気孔詰まりを検出するための方法であって、該方法が前記第一のチャンバ(23)及び第二のチャンバ(29)における圧力の測定、並びにこれらの圧力の比較を含む、上記方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、−第一のゲージ圧センサによる−第一の流体接続(27)及び第一のチャンバ(23)間、並びに/又は−第二のゲージ圧センサによる−第二の流体接続(28)及び第一のチャンバ(23)間、の圧力勾配の測定をさらに含み、ここで両センサの基準ポートが第一のチャンバ(23)である、上記方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記第二の通気手段の詰まりは、第一のゲージ圧センサが圧力勾配を測定したが、第二のゲージ圧センサが圧力勾配を測定しなかったとき、検出される、上記方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、前記第一の通気手段(20)の詰まりは、第一のチャンバ(23)における圧力が、外部環境圧力と相違したとき、そして同じことを誘起する圧力の差が、ポンプをプライミングする前に圧力センサ信号を測定するか、又は較正データを使用するかのいずれかによって得られる基準値に対して両ゲージ圧センサ上でオフセットされたとき、検出される、上記方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、全ての通気手段の詰まりは、第二のゲージ圧センサが圧力勾配を測定したが、第一のゲージ圧センサがいずれの圧力勾配も測定しなかったとき、検出される、上記方法。
【請求項25】
第一のチャンバ(23)及び/又は第三のチャンバ(22)における圧力が、外部環境圧力と、又は該チャンバの一方と相違することになったとき、警告をトリガするステップを含んでなる、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ポンプ、より詳しくはインスリンポンプと共に使用されるリザーバ、及びリザーバ内のいずれの過剰圧力又は過少圧力を防止し、検出するための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば図1で示されているような幾つかのインスリンポンプは、剛性壁(3)、及び底部(1)硬質シェルの間で画成された剛性チャンバを有する。ポンプ要素(4)は、剛性壁(3)に固定される。チャンバは、剛性壁(3)上に熱成形又は熱はんだ付けされたような(例えば、特許文献1参照)、可動膜(2)(例えば、軟質パウチ又は可撓性フィルム)で作られるリザーバを含む。底部硬質シェル(1)は、膜(2)を外部機械力に抗して保護し、システムの水密性を確実にする。ポンプは、圧力変化又は温度変化に起因する与圧を防止するために疎水性のフィルタを使用して通気式にされる。このフィルタで詰まる危険性は高く、従って起る可能性がある過剰用量が現実となり得る。さらに、そのような詰まりは、検出器の基準ポートがリザーバそれ自体と同じフィルタで通気式にされているので、ポンプのゲージ圧検出器で検出できない。従って、特許文献1に記載される該デバイスでは、患者に対してインスリンの過剰送達又は過少送達を引き起こすこの起り得る通気孔の詰まりを検出できない。
【0003】
さらなるフリーフロー防止弁の実装は、この課題を克服するための可能性ある方法である。特許文献2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第2007/113708号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第2008/029051号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の弁は、使い捨て製品にとって高価になる可能性があり、そして全くフェイルセーフであるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、リザーバと外部環境との間の圧力勾配が変化したときに誘起される、流体(例えばインスリン)の患者への過剰送達又は過少送達を防止するための他の有利な解決を提供するものである。さらに、本発明は、欧州特許出願第11172494.4号に記載の方法と共に有利に使用し得る。
【0007】
この趣旨で、本発明は、三つの別個のチャンバを備える医療用ポンプに関する。該医療デバイスは、上部硬質シェル及び底部硬質シェルを備える硬質ハウジングを形成するように設計される。該ハウジングは、さらに前記三つの別個のチャンバを作出する硬質壁及び可動膜を備える。該可動膜が、第二のチャンバ及び第三のチャンバを密に(tightly)隔てる。第一及び第三のチャンバは、水密インターフェースを有する。該第二のチャンバは、流体を含むように設計される。前記可動膜は、流体密(fluid tight)リザーバが第二のチャンバによって形成されるような形で前記剛性壁及び底部硬質シェル間を移動可能である。前記第一のチャンバは、該第一のチャンバ及び外部環境間の流体連通を与えるように配置される第一の通気手段を備える。前記第三のチャンバは、該第三のチャンバ及び外部環境間の流体連通を与えるように配置される第二の通気手段を備える。さらに、本デバイスは、第一のチャンバ内に位置するポンプ要素、第一のチャンバ及び第三のチャンバ間の圧力勾配を測定する少なくとも一つのセンサを備える。該医療デバイスは、該第二のチャンバ及び該ポンプ要素間の第一の流体接続、及び該ポンプ要素及び患者ライン間の第二の流体接続を可能にする流体流路を備える。
【0008】
本発明の場合、第三のチャンバは、機械力又は鋭利な先端部のような固形異物の侵入に抗して保護を維持しながら、前記第二の通気手段によって完全に通気式にされる。一つの実施態様において、該第二の通気手段は、数本の通路によって形成される。水の浸入に抗する保護は、該可動膜が密性の(tight)膜である場合必ずしも必要としない第三のチャンバでは、確保されない。一方、第一のチャンバは、電子部材を保護するための疎水性及び/又は疎油性であり得る通気孔によって通気式にされる。
【0009】
一つの実施態様において、前記可動膜は、第三のチャンバの圧力を、第二のチャンバ及び可動膜を経由する前記第一の流体接続に伝達し得る。一方又は双方の通気手段が詰まると、デバイスにおける圧力と、外部環境の圧力は相違する可能性がある。内部デバイスの、特に第三のチャンバにおける圧力、及び外部環境間の圧力勾配は、患者への流体の過剰送達又は過少送達を誘起しかねない。
【0010】
この理由のため、第二の通気手段は、数本の通路(詰まる危険性を低減する)を備え、本デバイスでは、少なくとも一つの通気手段が詰まる場合の保護のための欧州特許出願第11172494.4号に部分的に記載された方法が、使用される。
【0011】
センサは、前記チャンバ内、前記流体接続内、及び/又は外部に局在化し得る。
【0012】
センサは:
−第三のチャンバ及び第一のチャンバ間;及び/又は
−前記第一の流体接続及び第一のチャンバ間;及び/又は
−前記第二の流体接続及び第一のチャンバ間;及び/又は
−前記第三のチャンバ及び外部環境間;及び/又は
−前記第一のチャンバ及び外部環境間;
に局在化したゲージ圧センサであり得る。
【0013】
該ゲージ圧センサの基準ポートは、外部環境、第一のチャンバ、又は第三のチャンバであり得る。
【0014】
一つの実施態様において、本デバイスは、第三のチャンバ及び第一のチャンバ又は外部環境の間の圧力勾配を測定し得るセンサ信号用の処理手段を備える。さらに、該処理手段は、該第一のチャンバ及び/又は第三のチャンバにおける過少圧力又は過剰圧力を検出する。
【0015】
該処理手段は、前記第一の通気手段及び/又は前記第二の通気手段の詰まりを検出可能である。
【0016】
本医療用ポンプは、該第一の通気手段及び/又は第二の通気手段が詰った場合患者に警告する警報手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】複数の孔を備えない先行技術の医療用デバイスを示す図である。
図2】一つの硬質シェル上に数個の孔を備える本発明の実施態様を示す図である。
図3図2に示されたものと同一であるが、他の側面から見た実施態様を表す図である。
図4】完全な本システムを示す部分組立図である。
図5】外部環境に直接接続される双方の通気手段を備えた本医療デバイスの実施態様を示す図である。
図6】第一のチャンバ及び第三のチャンバ間に位置する第一の通気手段を備えた本医療デバイスの別の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1.底部硬質シェル
2.可動膜
3.剛性壁
4.ポンプ要素
5.孔
6.バッフル
7.第二の通気手段
8.第二のチャンバ及び/又は第三のチャンバの上面
9.第三のチャンバの下面
10.第三のチャンバの側面
11.底部シェル上のマーク
12.第二のチャンバの充填ポート
13.横スライド
14.握り
16.電池
17.PCB(印刷回路基板)
18.ばね接点
19.電池接点
20.第一の通気手段
21.ロック
22.第三のチャンバ
23.第一のチャンバ
24.上部硬質シェル
25.第一のチャンバの上面
26.第一のチャンバの下面
27.第一の流体接続
28.第二の流体接続
29.第二のチャンバ
30.患者ライン
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の医療用ポンプは、三つの別個のチャンバ(23、29、22)を備える。第二のチャンバ(29)及び第三のチャンバ(22)は、底部硬質シェル(1)及び剛性壁(3)間を移動可能な可動膜(2)によって隔てられ、上面(8)、下面(9)及び側面(10)を備える。該底部シェル(1)は、第三のチャンバ及び外部環境間を連通する通路の内端部を形成している数個の孔(5)を含む。
【0020】
第一のチャンバ(23)は、上部硬質シェル(24)及び剛性壁(3)間で画成される。該第一のチャンバ(23)は、上面(25)、下面(26)、ポンプ要素(4)、及び第一の通気手段(20)を備える。
【0021】
第三のチャンバ及び第一のチャンバは、少なくとも、水密インターフェースを形成するように設計される前記剛性壁(3)で、密に隔てられる。
【0022】
該一つの実施態様において、疎水性表面処理又は疎水性表面コーティングもまた、水浸入を制限するために、孔(5)上に及び/又はその周囲に使用可能である。
【0023】
該一つの実施態様において、該第一のチャンバ(23)は、電子的要素を備える。
【0024】
該一つの実施態様において、該チャンバの側面は、本医療デバイスの上部硬質シェル及び底部硬質シェルの部分間の接合によって形成される。
【0025】
本医療デバイスは、前記第二のチャンバ(29)及び前記ポンプ要素間の第一の流体接続(27)、並びに該ポンプ要素及び患者ライン間の第二の流体接続(28)を備える。
【0026】
センサは、流体と、前記第一のチャンバ(23)及び/又は前記第三のチャンバ(22)との間の、又は該両チャンバ間の圧力勾配を測定し得る。該センサは、ポンプ要素の上流及び/又は下流に位置可能である。
【0027】
好ましい実施態様において、センサはゲージ圧センサである。該ゲージ圧センサの基準ポートは、前記第一のチャンバ(23)に接続され、
−前記第三のチャンバ及び第一のチャンバ間;及び/又は
−流体及び該第一のチャンバ間;及び/又は
−流体及び該第三のチャンバ間;及び/又は
−流体及び患者ライン間;
の過少圧力又は過剰圧力の検出を可能にする。
【0028】
一方又は双方の通気手段が詰まると、正圧又は負圧が、第三のチャンバ(22)及び/又は第一のチャンバ(23)において捕捉され得る。従って、本デバイスは、さらに、第一のチャンバの第一の通気手段(20)又は/及び該第三のチャンバ(22)の第二の通気手段(7)が詰まった場合に患者に警告可能な警報手段を備える。
【0029】
通気孔詰まりの事例研究:
好ましい実施態様において、詰まりに起因する圧力の変化は、ポンプ要素内に位置する二つのゲージセンサを使用してモニタ可能である。第一のゲージ圧センサは、可動膜(2)を介して第二のチャンバ(29)[及び第一の流体接続(27)]に伝達される第三のチャンバの圧力を測定し得る第一の流体接続(27)内に位置する。第二のゲージ圧センサは、患者ラインの圧力を測定し得る第二の流体接続(28)内に位置する。両センサについて、基準ポートは、第一のチャンバ(23)である。
【0030】
1.第二の通気手段(7)のみの詰まり→第三のチャンバ(22)の起り得る過剰圧力又は過少圧力は、可動膜(2)を介して第二のチャンバ(29)内の流体に伝達され、第一のセンサを介して検出される。なぜならば、該センサの基準ポート[第一のチャンバ(23)]は加圧されないからである。第一のセンサは、第三のチャンバ(22)及び第一のチャンバ(23)間の圧力勾配を検出するが、第二のセンサは、患者ライン及び第一のチャンバ(23)間のいずれの圧力勾配も検出しない。
【0031】
2.第一の通気手段(20)のみの詰まり→第一のチャンバ(23)、従って両センサの基準ポートは、外部環境に対して過剰圧力又は過少圧力を示す可能性があることになる。該過剰圧力又は過少圧力は、両センサによって検出されることになる。該第一のチャンバ(23)の正圧(個別に負圧)は、正常状態のポンプ作動チャンバにおける負圧(個別に正圧)に等しい圧力信号をもたらす。従って、該第一の通気手段(20)の詰まりは、第一のチャンバ(23)における圧力が外部環境圧力と相違することになったとき検出される。同じことを誘起する該圧力の差は、ポンプをプライミングする前に圧力センサ信号を測定するか、又は較正データを使用するかのいずれかによって得られる基準値に対してゲージ圧センサ上でオフセットされる。
【0032】
3.全ての通気手段の詰まり→第一のチャンバ及び第三のチャンバ(23、22)は、外部環境に対して過剰圧力又は過少圧力にある可能性がある。従って、第一のセンサは、第一のチャンバと、第二のチャンバ又は第三のチャンバとの間のいずれの圧力勾配も検出できない。しかし、患者ラインの圧力は、相違する可能性がある。従って、第二のセンサは、第一のチャンバ(23)及び患者ライン間の圧力勾配を検出可能である。
【0033】
図2は、底部シェル(1)が第三のチャンバのその側面(10)上に通路(7)を備える本発明の実施態様を示す。各通路(7)は、該側面(10)に向かって、底面に対して平行である方向に、配向された二つの対向する孔(5)を画成するバッフル(6)を備える。他の実施態様において、孔は、該側面(10)内に、又は第三のチャンバの前記下面(9)内に位置する。
【0034】
好ましい実施態様において、該孔(5)は、それらのそれぞれの通路(7)の主方向と30°を超える角度を形成している方向に配向される。
【0035】
図4は、図2で示されたものと同一の実施態様、及び上部硬質シェル(24)、電池(16)、ロック(21)、第一の通気手段(20)、PCB(17)、及びポンプ要素(4)に接続用のそのばね接点(18)、及び最後に電池接点(19)を含む、完全なシステムの部分組立図を示す。
【0036】
本発明において、底部シェルの設計、より詳しくは第二の通気手段(7)の設計は:
・ポンプ上の塵埃の存在、衣服下のポンプの摩耗、・・・を含んで、あらゆる予見可能な使用又はポンプのありそうな誤使用に対しての膜(2)を通気式にする性能;
・固形異物に抗する保護;
によって主導される。
【0037】
孔(5)のような数本の通路である第二の通気手段(7)を底部シェルに設けた場合、それらの特有の配置のため全ての開口部を偶発的に閉鎖することは不可能である。上部シェル上の軟質材料に対してのポンプの圧縮は、これらの通路の横に配向された位置のため、通常はこれらを閉塞できない。横の圧縮による通路の閉鎖は、また、通常指の利用を制限するバッフル(6)によって妨げられる。
【0038】
通路(7)は、スリットの形状、又は好ましくは1mm未満の一次元を有する任意の他の形状であり得る。
【0039】
また、通路(7)は、リセスにされ、そして真直ぐで剛性の先端部の挿入を防止するために第三のチャンバ(22)の側面(10)の法線に対して垂直に配向されてもよく、ここで開口部の最小寸法は、このリセスに従うこの構成においては、好ましくはもはや1mmに限定されない。
【0040】
底部シェル(1)は、好ましくは透明であり;患者が、食品やいずれかの粘着性材料に起因するどのような大きな閉塞をも見ることができ、ついにはその使い捨てを交換できるようにすべきである。
【0041】
底部シェル(1)及び/又は剛性壁(3)及び/又は膜(2)は、好ましくはプラスチック、より一般的にはインスリンと適合性の特定のグレードを有する任意の材料で作られる。同一材料の使用は、熱溶着(thermowelding)にとって望ましい。上部シェル及び底部シェル間の接着又は熱溶着用の接触面は、1バールまでのリザーバ過剰圧力及び高さ1m以上からの落下試験に耐えるのに十分大きく取る必要がある。
【0042】
膜材料は、理想的には低い弾性及び低い透過性を有する。膜厚は、典型的には100ミクロン未満である。
【0043】
膜(2)の表面は、理想的には、膜のいかなる面内応力をも、従って膜の弾性に起因するいかなる作用をも防止するように、底部シェルの第三のチャンバ(22)の下面(9)の表面より大きい。
【0044】
底部シェル(1)は、モアレパターン(Moire pattern)を有利に含み得る。リザーバに過充填した場合に、膜が底部シェルに直接接触すると、リザーバ圧が底部シェルを曲げ、モアレパターンの変化を誘起し、過充填の視覚的なフィードバックを患者に与える。モアレパターンは、リザーバ内の泡の観察を可能にするように底部シェル(1)の表面を部分的に覆う。
【0045】
通路(7)は、リザーバの通気孔を確実にする除去可能で透過性のテープによって、部分的に覆われていても、又は完全に覆われていてもよい。通路(7)上の粘着性材料の突出物が生じた場合、患者は、デバイスの清掃を試みるか、又はそれをあっさり交換する代わりに、そのテープを除去でき、有利である。テープは、繰り返して除去できる数枚のシートで作成されていてもよい。また、そのような空気透過性テープは、第一のチャンバ(23)の第一の通気手段(20)を覆っていてもよい。
【0046】
底部シェル(1)は、患者がセプタムを含む充填ポート(12)を見つけられるように手助けするマーク(11)を含み得る。
【0047】
底部シェル(1)は、理想的には、平坦で、パッチ挿入(パッチのクリップ)用の横スライド(13)及びパッチ取り外し(パッチのクリップ外し)用の握り(14)を有する。
【0048】
流体、例えば水は、通路(7)を通して、次いで底部シェル(1)及び膜(2)間の間隙に流動可能であり、流体密は、要素の中でもとりわけ電池(16)を含むポンプの第一のチャンバ(23)のみに備え付けられる。電子コントローラ及びポンプコントローラは、水密である第一のチャンバ(23)内にあるが、酸素を必要とする空気亜鉛電池の場合で、ゲージ圧センサを用いるとき、通気式にしなければならない。第一のチャンバ(23)は、印刷回路基板(PCB)(17)のばね接点(18)を介してポンプのパッドに電気的に接触する剛性壁(3)の上面上にロック(21)、又はクリップ、又は任意の他の手段を使用して密に組立てられる。
【0049】
第一のチャンバ(23)は、第一の通気手段(20)(これは従って好ましくは疎水性及び/又は疎油性である)を使用する。
【0050】
他の実施態様(図6)において、疎水性である第一の通気手段(20)は、第一のチャンバ及び第三のチャンバ間に位置する。
【0051】
他の実施態様において、本デバイスは、さらに、三個の別個の通気手段を備える。第一の通気手段は、第一のチャンバを外部環境に直接接続し、第二の通気手段は第三のチャンバを外部環境に直接接続し、そして第三の通気手段は、第三のチャンバ及び第一のチャンバ間に位置する。この実施態様は、一個の通気手段が詰まる場合でさえ、第三のチャンバ及び第一のチャンバの良好な通気を確実にする。該第三の通気手段は、好ましくは疎水性及び/又は疎油性である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6