【文献】
J. Phys. Chem. A,2006年,Vol.110, No.10,p.3533-3545,Figure1, NcPc3, Table1-2, Experimental section
【文献】
J. Phys. Chem. A,1997年,Vol.101, No.35,p.6202-6213,Figure1(structure4), Figure3(a)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記したような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は可視光透過率が高く、かつ熱線遮蔽性に優れたポルフィラジン色素を提供することにある。また、黄色味を抑え、住宅や自動車の分野でも意匠性を損なわず、産業上その利用価値を高めたポルフィラジン色素と該色素を含有する熱線遮蔽性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の下記式(1)で表されるポルフィラジン色素又はこれを含有する色素分散組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は
(1)下記式(1)で表されるポルフィラジン色素
【0006】
【化1】
[式(1)中、Mは金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、若しくは金属ハロゲン化物、又は水素原子を表し、環A、B、Cは、それぞれ独立して下記式(2)〜(8)
【0007】
【化2】
(ただしA、B、Cがすべて上記式(8)であるものを除く)であり、上記式(2)〜(8)中の*は結合部位を示し、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基を表し、Yは二価の架橋基を、Zはスルホン酸基、カルボキシ基、第1〜2級アミノ基の窒素原子上の水素の少なくとも1つを除いた残基、又は窒素を含む複素環の窒素原子上の水素の少なくとも1つを除いた残基を表し、a及びbはいずれも平均値であり、a、bはそれぞれ0以上12以下、かつ、aとbとの和は0以上12以下である]、
(2)式(1)中の環A、B、Cがそれぞれ式(2)、式(4)または式(8)である(1)に記載のポルフィラジン色素、
(3)式(1)中の環A、B、Cがそれぞれ式(4)または式(8)である(1)に記載のポルフィラジン色素、
(4)式(1)中のMはVOまたはCuである(3)に記載のポルフィラジン色素、
(5)式(1)中、Yは炭素数1〜3のアルキレン基であり、Zは置換基を有してもよいフタルイミド基又は置換基を有してもよいピペラジノ基である(4)に記載のポルフィラジン色素、
(6)下記式(9)で表されるポルフィラジン色素
【0008】
【化3】
[式(1)中の環A、B、C、がそれぞれ式(4)または式(8)である(ただし、A、B、Cがすべて式(8)であるものを除く)]、
(7)(1)〜(6)の何れか一項に記載のポルフィラジン色素を分散媒中に分散することを特徴とする色素分散組成物、
(8)分散媒がアクリル系粘着組成物であることを特徴とする(7)に記載の色素分散組成物、
(9)(8)に記載の色素分散組成物を塗布してなるシート、
(10)(8)に記載の色素分散組成物に熱線遮蔽性金属微粒子を含有することを特徴とする色素分散組成物、
(11)(10)に記載の熱線遮蔽性金属微粒子が酸化スズ、酸化インジウムまたは酸化亜鉛のいずれかである色素分散組成物、
(12)(11)に記載の色素分散組成物を塗布してなるシート、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポルフィラジン色素を熱線遮蔽性材料として利用することにより、高い可視光透過率および優れた熱線遮蔽性が得られ、かつ黄色味を抑えることができた。これにより、意匠性を損なわずにこのポルフィラジン色素を住宅や自動車の分野へ応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を詳細に説明する。本発明は、前記式(1)のポルフィラジン色素に関するものであり、該色素を各種分散媒に分散させ、色素分散組成物とすることを特徴とする。さらに、この色素分散組成物に熱線遮蔽性金属微粒子を含有させることも出来る。これら組成物は熱線遮蔽性粘着シートへ応用できる特徴がある。
【0011】
前記式(1)中、破線で表される環A乃至Cにおける芳香環としては、例えば、ベンゼン環またはナフタレン環をはじめ、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環等の窒素原子を1個又は2個含む含窒素複素芳香環が挙げられる。これらの中ではベンゼン環、ピリジン環、ナフタレン環の組み合わせが好ましく、ピリジン環、ナフタレン環の組合せがより好ましい。また、ピリジン環は前記式(4)であることが最も好ましい。
【0012】
前記式(1)において、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。Mが水素原子以外である場合、該Mは式(1)におけるポルフィリン環がいわゆる中心金属を有することを意味する。又、Mが水素原子である場合、該ポルフィリン環は中心金属を有しないことを意味する。
【0013】
前記Mにおける金属原子の具体例としては例えば、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
【0014】
金属酸化物としてはVO、GeO等が挙げられる。金属水酸化物としては例えば、Si(OH)
2、Cr(OH)
2、Sn(OH)
2、AlOH等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては例えば、SiCl
2、VCl、VCl
2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、AlCl等が挙げられる。これらの中でもFe、Co、Cu、Ni、Zn、Al、V等の金属原子、VO等の金属酸化物、AlOH等の金属水酸化物等が好ましい。より好ましくはCu、VOが挙げられ、VOが最も好ましい。
【0015】
前記式(1)中のXは低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基を示す。本発明における「低級」とは炭素数1〜4を示す。
【0016】
Yは二価の架橋基であり、例えば炭素数1〜3のアルキレン基、−CO
2−、−SO
2−、-SO
2NH(CH
2)c−(ここで、cは0〜4を表す)が挙げられるが、炭素数1〜3のアルキレン基、cが0である-SO
2NH−であることが好ま
しく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましい。Zはスルホン酸基、カルボキシ基、第1〜2級アミノ基の窒素原子上の水素の少なくとも1つを除いた残基、又は窒素を含む複素環の窒素原子上の水素の少なくとも1つを除いた残基を表し、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基置換基を有してもよいフタルイミド基、置換基を有してもよいピペラジノ基、置換基を有してもよいピペリジノ基等を示すが、カルボキシ基、スルホン酸基、置換基を有してもよいフタルイミド基が好ましく、置換基を有してもよいフタルイミド基が好ましい。なお、Zが置換基を有してもよいフタルイミド基、置換基を有してもよいピペラジノ基、置換基を有してもよいピペリジノ基であるときの置換基としては水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、置換アミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、スルホン酸基を示し、水素原子、ハロゲン基であることが好ましい。
【0017】
本発明において置換アミノ基は特に限定されないが、例えば低級アルキル基又は低級アルコキシ基が置換したアミノ基が含まれる。本発明における「低級」とは炭素数1〜4を示し、ハロゲン基はCl、Br、Iを指す。
【0018】
前記式(1)中のa、bはそれぞれ0以上12以下、かつ、aとbとの和は0以上12以下である。好ましくはa、bはそれぞれ0以上4以下、aとbとの和は0以上4以下である。
【0019】
前記式(1)で表される本発明のポルフィラジン色素における、環A乃至C、X、Y、及びZの具体例、a及びbの数を下記表1に示す。
下記の例は、本発明の色素を具体的に説明するために代表的な色素を示すものであり、本発明は下記の例に限定されるものではない。また、環A乃至Cの含窒素複素芳香環が前記式(2)、(3)及び(5)である場合、窒素原子の位置異性体が存在し、色素合成の際には異性体の混合物として得られる。これら異性体の単離は困難であり、また分析による異性体の特定も困難である。このため、通常は混合物のまま使用する。本発明の色素は、このような混合物をも含むものである。本明細書においては、これらの異性体等を区別することなく、構造式で表示される場合は、便宜的に代表的な1つの構造式を記載する。
【0021】
前記式(1)で表される本発明のポルフィラジン色素の製造方法を説明する。
前記式(1)で表されるポルフィラジン色素は、例えば、国際公開第2010/143619号パンフレット及び国際公開第2010/013455号パンフレットに開示された公知の方法に準じて合成することができる。また、式(1)で表されるポルフィラジン色素は、公知の二トリル法、又はワイラー法にて合成を行う際に、反応原料として使用する前記式(2)乃至(7)それぞれの誘導体と、ナフタル酸誘導体との配合比率を変化させることによっても合成することが出来る。なお、上記方法によって得られる前記式(1)で表される化合物は、環A乃至Cにおける含窒素複素芳香環の置換位置、及び含窒素複素芳香環の窒素原子の置換位置に関する位置異性体の混合物となることも、上記公知文献に記載の通りである。
表1中の化合物No.3やNo.18で示される化合物は、例えば、特許第2507786号パンフレット、国際公開2010/013455号パンフレット及び特許第3813750号パンフレットに開示された公知の方法に準じて合成することが出来る。
【0022】
前記式(1)の化合物を分散媒へ分散する方法としては従来の方法を用いることができる。すなわち、前記式(1)の化合物と分散媒を所定比率に混合し、必要に応じて分散剤、界面活性剤等を添加し、サンドミル、アトライター、ボールミル、ホモジナイザー、ロールミル、ビーズミル等の分散装置を用いて分散することができる。これらの中でもビーズミルが好ましい。またビーズミルにおける顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましく、更に粉砕処理後に濾過、遠心分離などでビーズを除去することが好ましい。
【0023】
分散に使用する分散媒は、特に限定されるものではないが、本発明では水や有機溶媒、粘着組成物等を指す。また、これら分散媒は混合して混合物として使用しても良い。有機溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル等)、エーテル系溶媒(イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1,4−ジオキサン等)、グリコール系溶媒(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、グリコールエーテル系溶媒(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、グリコールエステル系溶媒(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、グライム系溶媒(モノグライム、ジグライム等)、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン)や、ピリジン、テトラヒドロフラン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドが挙げられる。好ましくは、水、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、炭化水素系溶媒であり、より好ましくは、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンである。
【0024】
また、分散媒がアクリル系粘着組成物である場合、耐久性の高いアクリル共重合体系粘着樹脂が用いられることが好ましい。アクリル共重合体系粘着樹脂は、通常、ポリマーにした際のガラス転移点が低い主モノマーとガラス転移点が高いコモノマーの共重合により作ることができる。
【0025】
アクリル共重合体系粘着樹脂の原料となるモノマーとしては、ポリマーにした際のガラス転移点が低くアルキル基の炭素数が2乃至14のアクリル酸アルキルエステルまたはアルキル基の炭素数が4乃至16のメタアクリル酸アルキルエステル、およびポリマーにした際のガラス転移点がそれらより高く、それらと共重合可能なモノマーが使用される。
【0026】
ポリマーにした際のガラス転移点が低いアクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸メトキシエチル、アクチル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸セカンダリーブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソステアリル等を例示することができる。
【0027】
また、ポリマーにした際のガラス転移点の低いメタアクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸n−ラウリル等を例示することができる。
【0028】
また、共重合可能モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアマイド、スチレン、メタアクリル酸メチル、アクリル酸メチル等を例示することができる。
【0029】
前記モノマー以外に所要の粘着性能を得るために、官能基含有モノマーとして(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアマイド、メチロールアクリルアマイド、ジメチルアクリルアミド、グリシジリルメタアクリレート、無水マレイン酸等も使用される。
【0030】
また、分子量についてはアクリル系粘着組成物の重量平均分子量が10万〜120万であることが好ましい。より好ましくは20万〜80万である。
【0031】
粘着組成物を構成する高分子材料の架橋度は、高分子材料の種類、組成等の諸条件により異なり、特に限定されないが、必要に応じ高分子材料に可塑剤が添加されてもよい。この可塑剤としてはフタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸トリエステル又はグリコールエステル等のエステル類や、プロセスオイル、液状ポリエーテル、液状ポリテルペン、その他の液状樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を混合して用いることができる。このような可塑剤は、粘着組成物との相溶性が良いものであるのが好ましい。また、粘着組成物へは、前記可塑剤の他、必要に応じ、例えば、紫外線吸収剤又は酸化防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0032】
分散を行うときの前記式(1)の化合物と分散媒の重量比は前記式(1)の化合物を1に対して好ましくは分散媒3〜500であり、更に好ましくは分散媒15〜100であり、最も好ましくは分散媒20〜50である。
分散剤としては、脂肪酸塩(石けん)、α−スルホ脂肪酸エステル塩(MES)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルキル硫酸トリエタノールといった低分子陰イオン性(アニオン性)化合物、脂肪酸エタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)、ソルビトール、ソルビタンといった低分子非イオン系化合物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、といった低分子陽イオン性(カチオン性)化合物、アルキルカルボキシルベタイン、スルホベタイン、レシチンといった低分子両性系化合物や、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ビニル化合物とカルボン酸系単量体の共重合体塩、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどに代表される高分子水系分散剤、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミンといった高分子非水系分散剤、ポリエチレンイミン、アミノアルキルメタクリレート共重合体といった高分子カチオン系分散剤が代表的なものであるが、本発明の粒子に好適に適用されるものであれば、ここに例示したような形態のもの以外の構造を有するものを排除しない。
【0033】
添加する分散剤としては、具体的名称を挙げると次のようなものが知られている。フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17(共栄社化学株式会社製)、ソルプラスAX5、ソルプラスTX5、ソルスパース9000、ソルスパース12000、ソルスパース17000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース35100、ソルスパース54000、ソルシックス250、(日本ルーブリゾール株式会社製)、EFKA4008、EFKA4009、EFKA4010、EFKA4015、EFKA4046、EFKA4047、EFKA4060、EFKA4080、EFKA7462、EFKA4020、EFKA4050、EFKA4055、EFKA4400、EFKA4401、EFKA4402、EFKA4403、EFKA4300、EFKA4330、EFKA4340、EFKA6220、EFKA6225、EFKA6700、EFKA6780、EFKA6782、EFKA8503(エフカアディディブズ社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPN411、フェイメックスL−12(味の素ファインテクノ株式会社製)、TEXAPHOR−UV21、TEXAPHOR−UV61(コグニスジャパン株式会社製)、DisperBYK101、DisperBYK102、DisperBYK106、DisperBYK108、DisperBYK111、DisperBYK116、DisperBYK130、DisperBYK140、DisperBYK142、DisperBYK145、DisperBYK161、DisperBYK162、DisperBYK163、DisperBYK164、DisperBYK166、DisperBYK167、DisperBYK168、DisperBYK170、DisperBYK171、DisperBYK174、DisperBYK180、DisperBYK182、DisperBYK192、DisperBYK193、DisperBYK2000、DisperBYK2001、DisperBYK2020、DisperBYK2025、DisperBYK2050、DisperBYK2070、DisperBYK2155、DisperBYK2164、BYK220S、BYK300、BYK306、BYK320、BYK322、BYK325、BYK330、BYK340、BYK350、BYK377、BYK378、BYK380N、BYK410、BYK425、BYK430(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ディスパロン1751N、ディスパロン1831、ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン1934、ディスパロンDA−400N、ディスパロンDA−703−50、ディスパロンDA−725、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−7301、ディスパロンDN−900、ディスパロンNS−5210、ディスパロンNVI−8514L、ヒップラードED−152、ヒップラードED−216、ヒップラードED−251、ヒップラードED−360(楠本化成株式会社)、FTX−207S、FTX−212P、FTX−220P、FTX−220S、FTX−228P、FTX−710LL、FTX−750LL、フタージェント212P、フタージェント220P、フタージェント222F、フタージェント228P、フタージェント245F、フタージェント245P、フタージェント250、フタージェント251、フタージェント710FM、フタージェント730FM、フタージェント730LL、フタージェント730LS、フタージェント750DM、フタージェント750FM(株式会社ネオス製)、AS−1100、AS−1800、AS−2000(東亞合成株式会社製)、カオーセラ2000、カオーセラ2100、KDH−154、MX−2045L、ホモゲノールL−18、ホモゲノールL−95、レオドールSP−010V、レオドールSP−030V、レオドールSP−L10、レオドールSP−P10(花王株式会社製)、エバンU103、シアノールDC902B、ノイゲンEA−167、ブライサーフA219B、ブライサーフAL(第一工業製薬株式会社製)、メガファックF−477、メガファック480SF、メガファックF−482、(DIC株式会社製)、シルフェイスSAG503A、ダイノール604(日信化学工業株式会社製)、SNスパーズ2180、SNスパーズ2190、SNレベラーS−906(サンノプコ株式会社製)、S−386、S−420(AGCセイミケミカル株式会社製)といったものが例示できる。
【0034】
本発明の色素分散組成物が熱線遮蔽性金属微粒子を含有する場合、用いる熱線遮蔽性金属微粒子としては、可視光の吸収が小さく、近赤外部から遠赤外部にかけて良好な吸収特性を有しているものが適している。そのようなものとして、近赤外域にプラズマ波長を持っている電気伝導性の金属酸化物が挙げられる。具体的には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン等を例示することができる。このうち、可視光領域において光吸収が少ない酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛が好ましい。
【0035】
また、これらの酸化物の電気導電性を向上させるために第三成分をドープすることは、大変好ましい。このためのドーパントとしては、酸化スズに対してはSb,V,Nb,Ta等が選ばれ、酸化インジウムに対してはZn,Al,Sn,Sb,Ga,Ge等が選ばれ、酸化亜鉛に対しては、Al,Ga,In,Sn,Sb,Nb等が選ばれる。
【0036】
分散媒が粘着組成物であり、かつ熱線遮蔽性金属微粒子を含有させた色素分散組成物を得る方法としては、熱線遮蔽性金属微粒子や近赤外吸収色素をアクリル系粘着組成物の主原料となるモノマーへ分散し、次いでこれを重合することで目的の熱線遮蔽性色素分散組成物を得ることが出来る。また、予め公知の方法(特願2011−203869)で熱線遮断性金属微粒子の分散液を作成し、有機溶剤に近赤外吸収色素を分散させた組成物と共にモノマーと混合したのちモノマーを重合させることにより目的の色素分散組成物を得ることもできる。さらにより簡便な方法としては、アクリル系粘着組成物である分散媒に式(1)の色素を分散させた組成物に、予め作成した熱線遮断性金属微粒子の分散液を直接混合することにより目的の色素分散組成物を得ることもできる。
【0037】
分散媒が有機溶媒、粘着組成物又はこれらの混合物を用いた色素分散組成物又はこれらに熱線遮蔽性金属微粒子を含有した色素分散組成物の塗布方法に関しては特に限定されないが、コンマコーター、バーコーター、スピンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター又はその他の各種のコーティング装置の使用が可能である。
【0038】
アクリル系粘着組成物に対する熱線遮蔽性金属微粒子と前記式(1)の化合物の分散割合は、粘着層の塗工厚と遮蔽性能により決定される。色素分散組成物を塗工したフィルムの光学性能としては、可視光透過率が高く、日射透過率が低いことが理想的であるが、一般には両者は比例関係にあり、どちらの性能を重視するかにより光学性能を決定することになる。
【0039】
一般に、粘着層の塗工厚は、被接着面への追従性や粘着力および経済性を考慮して通常10〜50μmの厚みが採用されるが、この範囲で上記の熱線遮蔽性を与える微粒子の量として、(熱線遮断性金属微粒子+前記式(1)の化合物):樹脂固形分=3:97〜1:1(重量比)の範囲が好適である。
【実施例】
【0040】
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例中にある%及び部は、特にことわりないかぎり重量基準である。
【0041】
実施例1(前記化合物例No.1)
スルホラン120部にフタル酸無水物3.0部、ナフタル酸無水物11.9部、尿素29部、モリブデン酸アンモニウム0.40部及び塩化バナジル(V)3.5部加え、得られた組成物を200℃まで昇温し、同温度で11時間反応させた。反応終了後反応液を65℃まで冷却し、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100部加え、析出固体をろ過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキ20.3部得た。得られたウェットケーキをDMF100部に加え、得られた組成物を80℃に昇温し、同温度で2時間撹拌した。析出固体をろ過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキを18.9部得た。得られたウェットケーキを水150部に加え、得られた組成物を90℃に昇温し、同温度で2時間撹拌した。析出固体をろ過分離し、水200部で洗浄してウェットケーキ16.1部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、前記化合物例No.1を12.3部得た。この化合物の濃硫酸中の極大吸収波長は943nmであった。
【0042】
実施例2(前記化合物例No.2)
実施例1中のフタル酸無水物3.0部を5.9部に、ナフタル酸無水物11.9部を7.9部にする以外は実施例1と同様にして、前記化合物例No.2を12.1部得た。この化合物の濃硫酸中の極大吸収波長は951、882、815nmであった。
【0043】
実施例3(前記化合物例No.9)
スルホラン120部に3,4−ピリジンジカルボン酸3.3部、ナフタル酸無水物7.9部、尿素29部、モリブデン酸アンモニウム0.40部及び塩化バナジル(V)3.5部加え、得られた組成物を200℃まで昇温し、同温度で11時間反応させた。反応終了後反応液を65℃まで冷却し、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100部加え、析出固体をろ過分離した。得られた固体を80℃のDMF200部で洗浄し、ウェットケーキ20.3部得た。得られたウェットケーキをDMF100部に加え、得られた組成物を80℃に昇温し、同温度で2時間撹拌した。析出固体をろ過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキを40.1部得た。得られたウェットケーキを水150部に加え、得られた組成物を90℃に昇温し、同温度で2時間撹拌した。析出固体をろ過分離し、水7.9部で洗浄してウェットケーキ35.2部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、前記化合物例No.9を10.8部得た。この化合物の濃硫酸中の極大吸収波長は933nmであった。
【0044】
実施例4(前記化合物例No.10)
実施例3中の3,4−ピリジンジカルボン酸3.3部を6.7部に、ナフタル酸無水物11.9部を7.9部にする以外は実施例3と同様にして、前記化合物例No.10を11.4部得た。この化合物の濃硫酸中の極大吸収波長は939、804、711nmであった。
【0045】
実施例5(前記化合物例No.3)
ポリリン酸(116%)40部中に、実施例1で得られた化合物No.1を3.4部、フタルイミド4.9部、パラホルムアルデヒド1.0部加え、得られた組成物を140℃に昇温し、同温度で6時間反応させた。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、水100部を加えた。析出固体をろ過分離、水洗してウェットケーキを34.0部得た。
得られたウェットケーキを10%水酸化カリウム水溶液100部に加え、得られた組成物を50℃で2時間反応させた。析出固体をろ過分離し、水洗してウェットケーキ29部を得た。
得られたウェットケーキをDMF100部に加え、得られた組成物を25℃で反応させた。析出固体をろ過分離し、水洗してウェットケーキを13.3部得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、化合物No.3を6.5部得た。この化合物の濃硫酸中の極大吸収波長は949nmであった。
【0046】
実施例6(前記化合物例No.11)
実施例5中、実施例1で得られた化合物No.1の3.4部を実施例4で得られた化合物No.10の3.1部に替える以外は実施例5と同様にして化合物No.11を5.7部得た。この化合物の濃硫酸中の極大吸収波長は940nmであった。
【0047】
実施例7(色素分散組成物1)
トルエン7mlに、実施例1で得た前記式(4)の化合物0.21g、分散剤DisperBYK140を0.21g加え、さらに解砕ビーズとしてジルコニアビーズを加え、バッチ式ビーズミリング装置(T.K.フィルミックス30−25型、プライミクス(株)製)にて分散処理を行った。得られた分散体を、遠心分離機(日立工機株式会社
himac CR18)を用いて遠心処理を行うことにより、色素分散組成物1を得た。
【0048】
実施例8〜10(色素分散組成物2、3、4)
実施例7中の色素を実施例2、3、又は5で得られた化合物に替える以外は実施例7と同様にして、色素分散組成物2〜4を得た。
【0049】
合成例1(アクリル系粘着組成物)
アクリル酸n−ブチル291gとアクリル酸9gをトルエン366gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを添加して、窒素気流下において70℃で6時間重合してアクリル樹脂共重合体(重量平均分子量:Mw=32万)を得た。この共重合体をトルエンで希釈し、固形分率29.36%、粘度2700mPasのアクリル系粘着組成物を得た。
【0050】
分散媒が有機溶媒とアクリル系粘着組成物の混合物である色素分散組成物と該組成物塗布シートの作製
実施例13
合成例1で得たアクリル系粘着組成物 100重量部(アクリル酸ブチル:アクリル酸=97:3)、実施例7で得た色素分散組成物2 8.1重量部を均一になるように混合溶解し、色素分散組成物を得た。また、これを離型シートのポリエステルフィルム(片面側にシリコーン処理を施したもの)(リンテック社製 3811 厚さ:38μm)上にコンマコーターで塗布して塗膜を乾燥し、離型シートのポリエステルフィルム(片面側にシリコーン処理を施したもの)(リンテック社製 3801 厚さ:38μm)で覆うことにより色素分散組成物塗布シート(厚さ:15μm)を作製した。
【0051】
実施例14〜16
実施例7で得た色素分散組成物を実施例8〜10で得られた色素分散組成物に替える以外は実施例13と同様にして色素分散組成物塗布シート(厚さ:15μm)2〜4を得た。
【0052】
比較例1
実施例1で得られた色素の代わりに特許文献1に記載の式(2)で示される化合物を用いた以外実施例7と同様にして色素分散組成物を作製し、実施例7で得た色素分散組成物の代わりにこの色素分散組成物を用いた以外実施例13と同様にして色素分散組成物塗布シート(厚さ:15μm)を作製した。
【0053】
実施例17(色素分散組成物塗布シートの評価)
実施例13〜16、比較例1で作成した組成物塗布シートの評価を行った。試験方法及び結果の評価方法を以下に記載する。
【0054】
(a)組成物塗布シートの透過率の算出
上記で得られた組成物塗布シートの透過スペクトルを、分光光度計(島津製作所製
UV−3150)を用いて測定し、透過率を算出した。
【0055】
(b)全日射エネルギー(Tts)の算出
全日射エネルギー(Tts;Total
Solar Transmittance)は太陽からの熱的エネルギーが、対象となる材料をどの程度透過するかという尺度であり、ISO13837に定義されている計算式にて算出した。算出された数値が小さいほど全日射エネルギーが小さいことを示し、熱線遮蔽性が高いことを示す。
【0056】
(C)CIE1976(L*a*b*)表色系のb*値の算出
CIE1976(L*a*b*)表色系のb*値は測定対象物の黄色の色相を表す数値であり、数値が大きいほど黄色味が強くなり、数値が小さいほど黄色味が弱くなる。このb*値は(a)で得られた透過スペクトルより算出した。
【0057】
本評価では、熱線遮蔽性を示す全日射エネルギー(Tts)値を同一にした時のb*値を比較し、表2にまとめた。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示すとおり、本発明の色素を用いた場合、同じ熱線遮蔽性を示す比較例よりもb*値が小さくなっており、黄色味が大幅に軽減されていることがわかった。実施例14の組成物塗布シートは、黄色味は目視で確認できなかったが、比較例1のシートは目視で確認できるほど強い黄色味であることが確認できた。
【0060】
製造例1(熱線遮蔽性金属微粒子分散液)
トルエン70部に、酸化インジウムスズ11.2部、アセチルアセトン7.0部、分散剤DisperBYK140を1.75部加え、さらに解砕ビーズとしてジルコニアビーズを加えてバッチ式ビーズミリング装置(T.K.フィルミックス30−25型、プライミクス(株)製)にて分散処理をおこなった。また、得られた分散体(熱線遮断性金属微粒子分散液)を、遠心分離機(日立工機株式会社
himac CR18)を用いて遠心処理を行った。
【0061】
分散媒として有機溶媒、粘着組成物又はこれらの混合物を用いた色素分散組成物又はこれらに熱線遮蔽性金属微粒子を含有した色素分散組成物の塗布シートの作製
実施例18
合成例1で得たアクリル系粘着剤A 100重量部(アクリル酸ブチル:アクリル酸=97:3)、製造例1で得たスズ含有酸化インジウム(ITO)のトルエン分散液 144部、実施例7で得た色素分散液 14.7部を均一になるように混合溶解し、熱線遮蔽性粘着組成物を得た。また、これを離型シートのポリエステルフィルム(片面側にシリコーン処理を施したもの)(リンテック社製 3811 厚さ:38μm)上にコンマコーターで塗布して塗膜を乾燥し、離型シートのポリエステルフィルム(片面側にシリコーン処理を施したもの)(リンテック社製 3801 厚さ:38μm)で覆うことにより、色素分散組成物塗布シート(厚さ:15μm)を作製した。
【0062】
比較例2
実施例7で得た色素分散液の代わりに比較例1で作製した色素分散組成物を用いた以外実施例18と同様にして熱線遮蔽性金属微粒子を含有した色素分散組成物塗布シート(厚さ:15μm)を作製した。
【0063】
実施例19
実施例18、比較例2で得られたシートを実施例17と同様にして評価を行った。その結果を表3にまとめた。
【0064】
【表3】
【0065】
表3に示すとおり、(1)のポルフィラジン色素を分散媒に分散させた組成物に熱線遮蔽性金属微粒子分散液を混合して得られた色素分散組成物を用いた場合でも、実施例19で示した評価結果と同様に、特許文献1に記載の式(2)で示される色素を用いた色素分散組成物よりもb*値が小さくなっており、熱線遮蔽性金属微粒子の有無に影響されずに黄色味が大幅に軽減されていることがわかった。