【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するため、本発明に係り内燃機関を搭載する自動車で実行されるガス流内オイルデカンテーション方法は、分離すべきオイルを含むガス流をインレットエリア・アウトレットエリア間で循環させる一方、捕獲されたオイルを収集・排出するためのカーム真空エリアを発生させる方法において、その片面がカーム真空エリアに通流している少なくとも1個の多孔質媒体にガス流を接触させることで、オイル滴を多孔質媒体にて捕獲しその多孔質媒体を介しカーム真空エリア内に吸引することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係り上掲の方法を実行するために使用されるガス流内オイルデカンテーション装置は、分離すべきオイルを含むガス流を受け容れるインレットエリアと、デオイルされたガスを排出するためのアウトレットエリアと、ガス流に含まれるオイルの滴を捕獲する手段を伴う少なくとも1個の中間エリアと、捕獲されたオイルを収集及び排出する少なくとも1個のカーム真空エリアと、を備え、カーム真空エリアにおける真空がそのカーム真空エリアとアウトレットエリアの間の通流によって実現される装置において、少なくとも1個の多孔質媒体を有するオイル滴捕獲手段を中間エリア・カーム真空エリア間に配することで、多孔質媒体によって捕獲されたオイル滴がその多孔質媒体を介し吸引されカーム真空エリア内に来るようにしたことを特徴とする。
【0019】
即ち、本発明における多孔質媒体は、概ねその重量での下降搬送によるオイル滴チャネリングではなく、まっすぐ進入してきたオイル滴の捕獲及びカームエリア内への吸引に使用される。こうしたオイル分離回収原理には次のような利点がある:
− 多孔質媒体の量に対応し、大きな吸引面積を実現することができる。カームエリア内で速度を上昇させる必要はない。これは多孔質媒体の透過性による;
− 多孔質媒体内に存するオイルが定常的に真空にさらされカームエリア内に吸引される。制御が難しいコアレッセンス現象を制御する必要がない;
− 捕獲されたオイルが壁沿いに重力によって流されることなく吸引される。オイル滴のインパクト面及び捕獲面への衝突によるストレスが主ガス流に及ばない;
− オイルがガス流によって搬送されその行く手にある多孔質媒体に堆積される。従来技術では、オイルがガス流によって多孔質媒体へと輸送され、重力によってその多孔質媒体内を流れていた。本発明によるオイル搬送により、例えば、多孔質媒体内オイル堆積効率を向上させることができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る装置は、その中間エリアが中間チャンバでありそのなかにインパクタが鉛直配置されている装置であって、各インパクタが、略平坦な外観を有する多孔質媒体と、その多孔質媒体の後背にありオイル回収用カーム真空エリアに通じている閉空間と、を有する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る装置では、少なくとも1個のインパクタが中央部及び周辺部を有し、その中央部におけるガス流の透過性が周辺部のそれに比べ有意に低い。中央部及び周辺部はガス流横断面にて定義される。即ち、オイル滴が中央部への衝突によって堆積される一方、インパクタを横断するガス流が主ガス流に対し接線方向となる。好ましくは、全てのインパクタがそうした中心部及び周辺部を有する。
【0022】
言い換えれば、中央部はオイル滴をその衝突及び堆積によって捕獲する。周辺部はクロスフローフィルタリングにて作用し、接線方向流が中央部上に向かうオイル流を回収する。こうした構成のインパクタによれば、インパクタを横断するガス流に対し、中間チャンバ内に流入する主ガス流の量を十分に抑えることができる。
【0023】
本発明の他の実施形態に係る装置では、その中央部が低多孔度層によって形成され、その低多孔度層におけるガス流の透過性を多孔質媒体の残りの部分におけるそれに比べ50%未満とする。言い換えれば、中央部は周辺部に比べ透過性が低いが、中央部及び周辺部は共に多孔質媒体に属する。即ち、多孔質媒体のうちガス流が通る部分の体積が大きい。その中央部もガス流の一部を吸引するからである。
【0024】
本発明の他の実施形態に係る装置では、その中央部が中実壁を有し、周辺部が多孔質媒体によって形成され、当該中実壁が多孔質媒体の下流側の面に向かい合うよう配置される。即ち、この構成は比較的製造しやすい。多孔質媒体の多孔度を一定にすることができ、また1枚のプレートで中実壁を形成できるためである。
【0025】
下流側に面する中実壁があるため、中央部上にオイル滴が堆積するだけではない。それに加え、プレート沿いに接線方向に流れるようになる前に、多孔質媒体の上流部分にガス流を通さねばならない。
【0026】
本発明の前掲の諸実施形態においては、中央部の表面が、各インパクタの断面積に比し20〜90%、好ましくは30〜70%を占める。即ち、多孔質媒体を通過するガス流と、中間チャンバを通過する主ガス流との比率を、この面積比にて最適化することができる。
【0027】
本発明の一実施形態に係る装置では、少なくとも1個の閉空間がカーム真空エリアと隣り合わせに配置され、閉空間それぞれをカーム真空エリアから仕切るよう配された隔壁を備え、その隔壁が、閉空間それぞれをカーム真空エリアに通流させる少なくとも1個のダクトを備え、そのダクトが閉空間の下部に位置する。
【0028】
即ち、上流側のコンパートメントでは、鉛直方向に延びる壁上に排出されたオイルが収集され、それが下方へと流れる。こうした装置は、個々の閉空間にカームエリアを隣り合わせに配置することでサイズが抑えられるため、特にコンパクトになる。
【0029】
本発明の他の実施形態に係る装置は、更に、少なくとも1個のサイフォン及び排出ダクトを備え、各排出ダクトが、少なくとも1個の上流側コンパートメントの下部又は下流側コンパートメントの下部に、それに対応するサイフォンが接続・連結されるように配される。こうした排出ダクト及びサイフォンにより、オイルをエンジンのシリンダヘッドに向けてチャネリングすることができる。
【0030】
好ましくは、多孔質媒体の後背に位置する閉空間をダクトを介しオイル回収用のカーム真空エリアに連結し、そのダクトを当該空間の下部から本装置の横又は下側に延ばす。
【0031】
即ち、これにより得られる装置は、その構成が従来のセパレータ乃至インパクタ付デカンタに部分的に似ているが、各インパクタの多孔質媒体で捕獲されたオイル滴がそのインパクタの背後にある空間へと輸送され、更にダクトを介しオイル回収用のエリアへと差し向けられる構成となる。上述したダクトの始点は上述した空間の下側にあるので、捕獲されたオイル全てがダクト内に向かうこととなる。略平坦外観の多孔質媒体を、十分に精細なメッシュを有するグリッドの形態にすることができる。比較的堅固な形態にすることができる。その透過率の値を好適に調整することができる。即ち、
ー ガス流全てが多孔質媒体を透過するほど(オイル回収用のエリアがカームエリアとはいえなくなるほど)透過性が高くなく、
ー オイルが多孔質媒体を通れないほど透過性が低くない、
構成にすることができる。
【0032】
本実施形態は、従来のインパクタ付セパレータに比し、次のような長所を呈する:
ー 同じ効率下ではインパクタの個数を抑えることができる。例えば3個から2個に減らせるため単純化及びスペース節約が実現される;
ー 従って、同じ体積であれば装置の効率が上昇する;
ー インパクタに到来するオイルがインパクタを迂回できない。回収エリア内に吸引された全てのガスが、多孔質媒体を通ることでフィルタリングされる。従来のセパレータのように小さな孔によってガスが吸引される構成とは違う。ガスに含まれるオイル滴がインパクタ上にプロジェクトされることがない。
ー 装置の中央部にてオイル捕獲が実行されている限り、回収がそのインパクタについて対称となる。この回収は、フラットエンジンにて特に容易に実行される。現在使用されている手段を使用する必要もない。例えばデカンタの下部を傾斜させる手段は、デカンタ内の使用可能体積を減少させ、或いはインパクタの各側にあるエリアでオイル回収エリアを倍増させるため、装置の構成が複雑になる。
【0033】
本発明の他の実施形態に係る装置では、その中間エリアがサイクロンの内部空間であり、カーム真空エリアがそのサイクロンの横又は下に位置するオイル貯留用の空間であり、多孔質媒体がサイクロンの下部、並びに同サイクロンの横壁の一部又は全部を形成する。
【0034】
即ち、本発明はサイクロンセパレータにも適用することができる。効率/体積比の有意なる向上という効果も得られる。加えて、サイクロンの形状ひいては特性に関する制約条件も緩くなる。
【0035】
本発明をインパクタ付オイルデカンタに適用する場合、例えばその多孔質媒体をワイヤを織り込んだ金属グリッドとし、そのワイヤを織り/編みワイヤとする。また、サイクロンセパレータに適用する場合、例えばその多孔質媒体を焼成金属粉体ベースで形成するか、熱可塑性粉体の焼成又は射出を通じ熱可塑性素材ベースで形成する。
【0036】
本発明の一実施形態に係る装置では、その多孔質媒体が、透過性が異なる少なくとも2個の隣り合う層、即ち比較的透過性が高い第1の層及び比較的透過性が低い第2の層を有する。ここでいう「隣り合う」層とは、互いに接合されている層、僅かな距離(例えばエアフィルム)を以て隔てられている層等のことである。即ち、その透過性が互いに異なる複数個の層で、様々なサイズ及び性質の粒子をフィルタリングする構成である。
【0037】
多孔質媒体を構成するメッシュの寸法は、その多孔質媒体の全厚に亘り一定でもよいし、少なくとも1個の第1層で広め、少なくとも1個の第2層で狭めといった具合に変化させてもよい。後者の場合、第1層は固体粒子を捕獲保持し、第2層はオイル粒子を捕獲してガス流から分離する。