(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸収性物品であって、前記吸収性物品が失禁保護材、生理用ナプキン、パンティライナー、テープ留め具式おむつ、パンツ式おむつ、またはベルト付きおむつなどの個人用衛生用品であり、液体浸透性のトップシートと、液体不浸透性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に封入された吸収性コアと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された流体流れ制御部材と、を備え、前記流体流れ制御部材が、繊維の三次元網状組織を備える不織布材でできており、前記繊維が、388〜564μmの厚さを有し、前記不織布材が、5kPaにおいて最大18%のひずみを有することを特徴とする、吸収性物品。
前記吸収性コアが、第1の吸収性コアの層と、第2の吸収性コアの層と、を備え、かつ前記流体流れ制御部材が、前記第1の吸収性コアの層と第2の吸収性コアの層との間に位置する、請求項1から12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記第1の吸収性コアの層が、前記トップシートと前記第2の吸収性コアの層との間に配置され、前記第1の吸収性コアの層が、前記層を貫通するように延在する開口を有する、請求項13に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
個人用衛生用品である本発明の吸収性物品は、失禁保護材、生理用ナプキン、パンティライナー、テープ留め具式おむつ、パンツ式おむつ、またはベルト付きおむつなどの吸収性の個人用衛生用品のタイプであってよい。
【0010】
吸収性物品は、液体浸透性のトップシートと、液体不浸透性のバックシートと、トップシートとバックシートとの間に封入された吸収性のコアと、トップシートとバックシートとの間に配置された流体流れ制御部材と、を備える。流体流れ制御部材は、繊維の三次元網状組織を備える不織布材でできており、繊維は、200〜700μmの厚さを有する。流体流れ制御部材の不織布材は、5kPaにおいて最大50%のひずみを有する。不織布材のひずみは、材料が圧縮に対してどのくらい抵抗するかの測定値であり、そこに働く特定の圧力における材料の相対的な圧縮を表しており、材料のひずみが低いほど、圧縮に対する抵抗力は高くなる。本発明の流体流れ制御部材の材料は、吸収性物品における流体流れ制御のためにこれまで使用されてきた材料よりも圧縮抵抗性が高い。この低いひずみにより、流体流れ制御部材の流体流れ特性が、吸収性物品の使用中に維持されることが保証される。圧縮抵抗性は、以下に記載されるようにひずみを判定するための「Mecano法」により得られ、これは、インストロン「Bluehill」ソフトウェアを使用する。
【0011】
衛生吸収性物品が着用者により使用される際、衛生吸収性物品は圧力に曝され、この圧力は物品を圧縮する傾向にある。このような圧力は典型的には、吸収パッドの中央において、立っているとき、または歩行中は約2〜5kPaであり、座っているときは約10〜20kPaであり、座って前方に寄りかかるときには30kPaであり、自転車に乗っているときは50kPaまでである。吸収性物品における優れた液体分散特性を維持するため、流体流れ制御部材が、このような圧力に耐えることができることが重要である。
【0012】
本発明の流体流れ制御部材の材料のパラメータは、吸収性物品が、物品を着用するユーザが及ぼす圧力に、曝された場合でも、圧縮に対する高い抵抗性の結果として、自由体積(free volume)が存在する多孔性の材料を確実なものにする。この自由体積により、流体流れ制御部材は、比較的多量の液量を収容することができる。したがって、排出される体液を流体流れ制御部材内に効率的に受けることができ、その内部で吸収性コアの異なる部分へと流すことができ、吸収性コアの異なる部分で体液は吸収されるため、漏れのリスクが、最小化される。
【0013】
これに加えて、多孔性の流体流れ制御部材材料の開放構造が、空気の循環を促進させ、これにより、吸収性物品内の温度を下げることになり、これは着用者の皮膚にためにもよい。
【0014】
流体流れ制御部材の不織布材は好ましくは、15kPaにおいて最大65%、好ましくは15kPaにおいて最大45%のひずみを有することにより、流体流れ制御特性をさらに高める。
【0015】
流体流れ制御部材の不織布材の繊維は好ましくは、250〜650μm、好ましくは300〜600μmの厚さを有することにより、十分な圧縮抵抗性を得る。繊維の断面は好ましくは、実質的に中実であり、繊維の長さに沿って均一であってよく、円形または非円形、例えば正方形または矩形などの任意の形状であってよい。繊維の直径は、顕微鏡での測定手段を利用して測定することができる。直径は、繊維の最大寸法および断面において測定すべきである。
【0016】
繊維の網状組織は、非線形の繊維により画定されるマクロ細孔の開放した網状構造を形成する。細孔は、材料全体にわたってサイズおよび配向がランダムである。不織布材は好ましくは、15kPaを下回る圧縮圧力において少なくとも0.85の多孔性を有する。さらに流体流れ制御部材の不織布材は好ましくは、200〜900g/m
2、好ましくは200〜700g/m
2の基本重量を有する。好適には、流体流れ制御部材は、少なくとも20mlの全自由体積(total free volume)を有することにより、漏れを確実に阻止する。流体流れ制御部材は有利には、0.2kPaにおいて4〜20mm、好ましくは5〜10mm、好ましくは15kPaにおいて2〜7mmの厚さを有することにより、最適に機能し、快適に着用される。この部材は、40mm未満、例えば30〜40mm未満の幅を有する場合がある。部材の長さは、150mm未満、例えば120〜150mmなどであってよい。
【0017】
このインサートは、例えば約30×120×8mmのサイズを有することにより、股の領域に適切にフィットすることができる。流体流れ制御部材の密度は、0.01から0.10g/cm
3であり、好ましくは0.2kPaにおいて0.03から0.10g/cm
3であってよい。
【0018】
流体流れ制御部材は、単一の不織布材の層で構成されてよく、好ましくは吸収繊維および超吸収材は実質的に存在しない。不織布材は好ましくは、実質的に連続する繊維で作製される。本明細書の実質的に連続する繊維とは、不織布材の作製中に形成される意図的ではない偶発的な繊維の切断も含めることを意味する。繊維は好ましくは、主に連続することにより、繊維が物品の表面を貫通して着用者を傷つけるリスクを抑え、変換(converting)プロセスにおける粒子汚染を低下させる。流体流れ制御部材における繊維の網状組織は、溶融押出などの技術により生成され得るいわゆる「コイル状」繊維であってよく、それに続いて繊維を冷却することによりコイル状の繊維同士を接着する。コイルは、ランダムに配向されてよいが、製造工程の結果として主要な方向に配向される、すなわち、溶融押出工程およびその後の冷却ステップの流れ方向(machine direction)に配向される場合もある。
【0019】
流体流れ制御部材の不織布材は好ましくは、熱可塑性ポリマー繊維を備え、好ましくは、これに限定するものではないが、ポリエステル、ポリアミドならびにポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンから選択され、これらのいずれかの混合体の場合もある。不織布材はまた、迅速に排出させ、いずれの液体も保持することのないように、液体の浸透を促進するための界面活性剤を含む場合もあり、これにより液体の次の噴出のための自由体積容量(free volume capacity)を維持する。
【0020】
流体流れ制御部材は有利には、好ましくは不織布材またはフィルム材の支持キャリア層を含むことにより、変換作用を促進させ、形成する際に真空状態で保持することができる。さらに流体流れ制御部材の不織布材は、管状の構造を有するように折り畳むことができるため、鋭利な縁部を回避するとともに、追加の自由体積を中に形成することができる。流体流れ制御部材は、折り畳みを容易にするため、1つまたは複数の圧縮線(compressed line)を備えてもよい。
【0021】
流体流れ制御部材は、繊維が交差するポイントで、製造工程時に実現されるように、繊維が好ましくは接着される、すなわち好ましくは溶融接着される不織布材で作製されてよい。接着された不織布は、圧縮に対してより抵抗性があるという利点を有し、材料を通る優れた液体流れを確実にする。あるいは、流体流れ制御部材は、接着され、延伸され、その後、緩められた不織布材で作製される場合もある。このような材料は、接着されるだけでなく、繊維が交差するランダムに破断された接着ポイント(bonding point)を有する。この材料は、ランダムに接着ポイントが破断するまで、接着された不織布材を引き延ばすことにより実現される。材料の機械的健全性は、それでもなお十分であり、材料は十分に機能し、より少ない材料を用いることができるという利点を有する。このような材料は、上記に記載した繊維の主要な方向に平行な方向に引き延ばすことにより、材料の伸張を得るとともに、接着ポイントのより制御された破断を実現することができる。材料の伸張は、少なくとも25%であってよい。
【0022】
延伸された材料は、1cm
3当たり少なくとも1、2、または3つの破断された接着ポイントを有することができる。破断された接着ポイントの分布は、材料を通して均一に分散されてよい。延伸された材料は、典型的には、事前の細糸と細糸の接着ポイントが破断されているという、顕微鏡による証拠を示すことができる。したがって、cm
3当たりの破断された接着箇所の数は、顕微鏡により数えることができる。
【0023】
吸収性物品のトップシートおよびバックシートは、吸収性コアの全周に沿って吸収性コアの横方向外側に一緒に延在してよく、吸収性コア外縁周囲の縁部接合部において互いに接続されてよい。バックシートは好ましくは、トップシートの一部を覆うことにより、縁部の仕切りを形成することができる。縁部の接合部は、当該分野で知られる任意の好適なやり方で、例えば接着剤、超音波接着、熱接着、ステッチ溶接などを利用して形成されてよい。取り囲む形のカバー(wrapped-around cover)などの代替のカバー構成もまた、本発明の要旨の範囲内で考えられる。
【0024】
トップシートは、この目的に適した、すなわち柔軟かつ液体透過性の任意の材料で構成されてよい。一般的に見られるトップシート材の例は、不織布材、穿孔されたプラスチックフィルム、プラスチックまたは布のメッシュおよび流体浸透性の発泡体の層である。流体浸透性で着用者に面する面の異なる部分が異なる材料で構成されたトップシートのように、2つ以上のトップシート材からなるラミネートもまた一般的に用いられる。
【0025】
バックシートは流体不浸透性である。しかしながら、特に、比較的少量の尿が吸収されることが予測される場合には単に流体忌避剤であるバックシート材が利用される場合もある。バックシートは一般に、薄く、柔軟な流体不浸透性のプラスチックフィルムにより構成されるが、流体不浸透性の不織布材、流体不浸透性の発泡体および流体不浸透性のラミネートもまた、本発明の要旨の範囲内で考えられる。バックシートは好ましくは、通気性があってよく、これは、空気や蒸気がバックシートを通過することができることを示唆している。さらにバックシートは、不織布などの布材の外側の衣服に面する表面を有する場合もある。
【0026】
吸収性コアは、従来技術で知られるような任意の好適な吸収剤または流体吸い上げ材で作製されてよく、例えば1つまたは複数のセルロースフラッフパルプ層、発泡体、繊維の詰め物などである。吸収性コアは、一般には超吸収材として知られる高い吸収性のポリマー材の繊維または粒子を包含する場合もあり、これらは、ヒドロゲルを形成する際、多量の流体を吸収して保持する能力を有する材料である。超吸収材が、セルロースフラッフパルプと混合される場合がある、および/または吸収性コア内のポケットまたは層内に配置される場合もある。繊維は、パルプ繊維であってよく、超吸収材は、ポリアクリレートベースの粒子であってよい。吸収性構造体は、40〜80%の超吸収材と、60〜20%のパルプ繊維と、を含むことができる。
【0027】
吸収性コアはさらに、吸収性コアの特性を高めるためのコンポーネントを組み入れる場合もある。このようなコンポーネントの一部の例は、従来技術で知られるようにバインダー繊維、流体分散材、湿気指示材、流体捕捉材などである。
【0028】
吸収性物品は典型的には、パッドまたは生理用ナプキンの場合、全ての方向に完全に広げられたとき、細長い概ね矩形の形状を有する。この文脈において、概ね矩形の形状は、例えば吸収性物品の角が丸められている場合、あるいは吸収性物品の縁部が完全に直線ではない場合も含めることが意図されている。したがって、任意の好適な形状が吸収性物品に用いられてよく、例えば砂時計形状、台形、三角形および楕円形などである。本発明の物品の形状は、物品を貫通する横方向の中心線に対して対称的であってよい、あるいは異なる形状および/または異なるサイズを有する端部部分により非対称的である場合もある。
【0029】
吸収性物品は、2つの長手方向の側縁部を有することができ、これらは、均等な長さを有し、吸収性物品を貫通する長手方向の中心線と概ね同一方向に延在する。前方および後方端縁部は典型的には、吸収性物品の端部において長手方向の中心線を横切るように延在している。後縁部は、吸収性物品の使用中、後ろの方に配向されるように意図されており、前縁部は、着用者の腹部に向かって前方に向くように意図されている。
【0030】
吸収性物品は、前方端部部分、後方端部部分およびこれらの端部部分の中間に位置する股の部分を有することができ、股の部分は、物品を使用する際、着用者の股に接するように配置され、吸収性物品に到達する体液のための主要な補足領域を構成するように意図されている。
【0031】
吸収性物品はさらに、(下着の)パンツなどのサポートパンツ衣類(supporting pant garment)の内側に吸収性物品を留めるための固定手段を含む場合がある。固定手段は、バックシートの衣服に面する表面に配置された感圧接着剤の、2つの長手方向に延在するバンドの形態であってよい。固定手段は、例えばシリコンで覆われた紙、不織布または当該分野で知られる任意の他の解放可能な材料などの解放可能な保護層により覆うことができる。吸収性物品をサポートパンツ衣類の中に配置する前に、固定手段から保護層を除去することにより接着剤を露出させて、パンツ衣類に固定するために、接着剤を利用可能にする。
【0032】
弾性要素は、吸収性コア横方向外側の側縁部に沿って配置される場合がある。弾性要素は、バンドまたは弾性材料であってよい。弾性要素は、本発明の吸収性物品の任意選択のコンポーネントであり、省略される場合もある。
【0033】
固定手段は、本発明に対して任意選択であり、所望であれば省略される場合もある。接着剤の固定手段を用いる場合、バックシートの完全なコーティング、1つまたは複数の長手方向の接着剤のバンド、横方向のバンド、ドット、円、カーブ、星型などの任意の好適な接着剤パターンが利用されてよい。さらに固定手段は、フック式の留め具、クリップ、スナップなどの機械的な留め具であってよい、あるいは、摩擦によるコーティングなどの摩擦式の留め具または開放セル発泡体の場合もある。異なるタイプの留め具の組み合わせも考えられる。
【0034】
流体流れ制御部材は、吸収性コアより上または下に、好ましくは吸収性コアより上に配置されてよい。吸収性物品の吸収性コアは好ましくは、第1の吸収性の層と、第2の吸収性の層と、を備える。流体流れ制御部材は、第1の吸収性の層と第2の吸収性の層との間で吸収性物品内に配置されてよい。第1の吸収性の層は、トップシートの真下に直接接触するように配置されてよい、あるいは代替として、組織層、捕捉層または別の吸収性の層などの1つまたは複数の介在コンポーネントを介してトップシートを間接的に接触するように配置される場合もある。同様に、第2の吸収性の層は、流体流れ制御部材の真下に直接、流体流れ制御部材およびバックシートに直接接触するように配置されてよい、あるいは介在コンポーネントにより、これらのコンポーネントの一方または両方と間接的に接触する場合もある。流体流れ制御部材を第1の吸収性の層と第2の吸収性の層との間に配置することにより、それは、吸収性物品内にチャネルを形成して、流体を、物品の前方および後方に導く。流体流れ制御部材と吸収性コアとの間の接触領域が増大することにより、物品内での液体の分散および迅速な吸収を促進する。プロセスの優位性を得るために、およびユーザの不快感を防ぐために、流体流れ制御部材は、平滑にされる、または平らにされてもよい。
【0035】
吸収性の層は、均質な構造体であってよい、あるいはそれ自体、同一または異なる材料の吸収性ラミネートなどの層状の構造体である場合もある。吸収性の層は、均一な厚さを有することができる、あるいは層の異なる部分において厚さが異なる場合もある。同様に、基本重量および構成も吸収性の層内で異なる場合がある。一例として、吸収性の層は、吸収材および/または非吸収性繊維と超吸収材との混合体を備える場合もあり、この場合、超吸収材と繊維との比率は、層内で異なる可能性がある。
【0036】
第1および第2の吸収性の層は、例えば幅広の端部部分と、股の部分の狭くなった部分とを備えた砂時計形状、または矩形などの任意の好適な形状を有することができる。第2の吸収性の層は、第1の吸収性の層の真下に配置されてよく、第1の吸収性の層より幾分小さい場合がある。第1の吸収性の層は、第2の吸収性の層より吸収性物品内でさらに前方および後方に延在してよい。さらに第2の吸収性の層は、本発明に係る吸収性物品において省略される場合がある、あるいはこの物品は、1つまたは複数の別の吸収性の層を備える場合もある。
【0037】
第1の吸収性の層は有利には、吸収性物品の股の部分においてこの層を完全に貫通するように延在する開口を有し、これにより物品の中に空洞を形成する。この開口は好ましくは、細長い形状を有し、吸収性の層の形状を概ね模倣している。
【0038】
トップシートは、好ましくは、第1の吸収性の層内の開口とトップシートに面する流体流れ制御構造体の面とにより画定される空洞の下方に延在する。これにより空洞は、トップシート材と一直線になり、吸収性物品の表面に面する外側本体からアクセスすることが可能になる。空洞は有利には、吸収性物品の濡れ領域(wetting area)内に位置しており、その後、使用する際、女性の着用者の尿道および膣口の真下に直接配置される。したがって、吸収性物品に対して放出されるいかなる体液も、この空洞内へと流れ、吸収性コア内にその全体にわたるようにさらに分散される。
【0039】
空洞内に集められる流体の一部は、空洞の壁を通って第1の吸収性の層により吸収することができる。しかしながら、流体の大部分は、吸収性物品内を下方に、空洞の底部を通って、流体流れ制御部材内に流れ続け、流体流れ制御部材で流体は流れ制御部材に沿って長手方向および横方向に分散される。
【0040】
流体流れ制御部材は、矩形であってよく、吸収性コアの一部により長手方向および横方向に囲繞されてよい。流体流れ制御構造体に関する他の形状および構成も利用される可能性がある。しかしながら、流体流れ制御部材が、吸収性コアより小さい幅を有し、これより短い場合、これにより吸収性コアの大きな領域への分散を促進させるため、一般に有利である。1つまたは複数の圧縮ラインがヒンジとして作用し、流体流れ制御部材内に有利に配置される場合があり、この制御部材は、吸収性物品を折り畳む作業を容易にするため、比較的硬い。
【0041】
本発明を、
図1および
図2を参照する例を利用して以下に記載する。本発明のこの例において、吸収性物品は、尿失禁保護材1である。
図1において、着用される際、着用者の身体の方に面するように意図された吸収性物品の側から吸収性物品を見ており、
図2では、
図1のII−II線に沿った断面図において見ている。吸収性物品1は、吸収性物品1の着用者に面するように意図され、吸収性物品1の頂部面に配置された流体浸透性のトップシート2と、着用者の下着に面するように意図された失禁保護材1の下方の裏側に配置された流体不浸透性のバックシート4と、トップシート2とバックシート4との間に封入された吸収性コア6と、を備える。
【0042】
失禁保護材1のトップシート2およびバックシート4は、吸収性コア6の全周に沿って吸収性コア6の外側横方向に併せて延在し、吸収性コア6の縁部周囲の縁部接合部7において互いに接続される。吸収性物品の2つの長手方向の側縁部8、9は、均一な長さを有し、吸収性物品1を貫通する長手方向の中心線10と概ね同一方向に延在する。前方および後方端縁部11、12は、失禁保護材の端部において長手方向の中心線10を横切るように延在する。失禁保護材1は、前方端部部分13と、後方端部部分14と、端部部分13、14の中間に位置する股の部分15と、を有し、股の部分15は、使用する際、着用者の股に接するように配置され、吸収性物品1に到達する体液のための主要な捕捉領域を構成するように意図されている。
【0043】
失禁保護材1はさらに、パンツなどのサポートパンツ衣類の内側に失禁保護材1を固定するための固定手段16を含む場合がある。固定手段16は、バックシート4の衣服に面する表面に配置された感圧接着剤の、2つの長手方向に延在するバンドの形態である。
図2において、固定手段16は、解放可能な保護層17により覆われるように見ることができる。弾性材料のバンドの形態の弾性要素18、19もまた、トップシート2およびバックシート4の一部により形成されたサイドフラップ20、21内で側縁部8、9に沿って配置されてよく、吸収性コア6の外側横方向に延在することにより、失禁保護材の解剖学的なフィット感を高める。
【0044】
吸収性コア6は、第1の吸収性の層22と、第2の吸収性の層23と、を備える。流体流れ制御部材24が、第1の吸収性の層22と第2の吸収性の層23との間に配置される。この例において、第1の吸収性の層22は、トップシート2の真下に直接接触するように配置される。
【0045】
第1の吸収性の層22は、失禁保護材1の股の部分15において吸収性の層22を完全に貫通するように延在する開口25を有する。開口25は、楕円形を有し、吸収性の層22、23の形状を模倣している。トップシート2は、第1の吸収性の層22内の開口25と流体流れ制御部材24のトップシートに面する表面とにより画定される空洞26の下方に延在する。空洞26は、失禁保護材1の濡れる領域の中に位置しており、使用する際、女性の着用者の尿道および膣口の真下に直接配置される。失禁保護材1に対して放出されるいかなる体液も、空洞26内へと直接流れ込み、流体流れ制御部材24を介してさらに吸収性コア6内にその全体にわたるように分散される。
【0046】
実験
高ロフトのエアースルータイプのボンド不織布(high lofts of air through bonded nonwoven)である、一般に用いられる液体捕捉分散材のひずみを、本発明の流体流れ制御部材に用いられる材料のひずみと比較するため、いくつかの異なる材料が、圧縮テストされた。テストは、以下に記載される方法により、行われた。
【0047】
[多孔性]
この試料に対する特定の圧縮負荷における多孔性は、以下の式および方法を用いて推定された。
【0049】
この場合の繊維密度は、この繊維の密度であり、中空の繊維にある細孔または穴を含める。繊維密度=(繊維の単位長さ当たりの重量(g/cm))/(細孔を含む繊維の断面積(cm
2))。
【0050】
細孔を含めた円形繊維の断面積は、πr
2(cm
2)であり、ここで、rは、繊維の半径である。繊維の単位長さ当たりの重量は、センチメートル当たりのグラムで表された繊維のデニールの測定値として受け取られる。実際の圧力における厚さは、本明細書で開示されるMecano法を利用して測定される。
【0051】
材料が異なる繊維で構成される場合、平均繊維密度が用いられる:平均繊維密度=1/Σ(x
i/p
i)、この場合x
iは、実際の繊維密度の重量比であり、p
iは、実際の繊維の密度であり、Σは、試料中の全ての成分iに関する総量を表す。
【0052】
[ひずみ(Mecano法)]
手順:
この方法の原理は、金属ロッドにより材料を5Nの力までゆっくりと圧縮し、その間に材料の厚さを継続的に測定することである。その結果は、力および伸張に関するデータポイントで構成される。この力は、ロッドの接触領域に与えられる特定の圧力へと変換する。金属ロッドは、円筒形であり、7cm超の直径を有する平坦なベースを備えた10mmの直径を有する。ロッドは、インストロンテスト装置の上部固定具内で10Nロードセル内に設置される。平坦なプレートが、底部固定具内に設置され、ロッドの下で中心に配置され、それに対して試料がプレートの頂部に配置されてよく、プレートを移動させることなく圧縮されてよい。ロッドの移動速度は、1分当たり5mmである。このような設定は、「New Mecano 5N」と呼ばれるインストロンBluehillプログラム内に予めプログラムされているが、テストを実施する前に、全ての限界値をそれぞれの適切な値に設定することを確実にするためにプログラムの設定をチェックすべきである。修正版(modified version)による稼働は、設備、特にデリケートなロードセルのダメージにつながる可能性がある。
【0053】
テストの実施:
最初の工程は、試料なしでの空の工程である。この工程は、ゼロの厚さの位置(zero thickness position)を見つけるために用いられ、この位置は、この場所で鋼のプレートがロッドを止める場所である。空の工程は典型的には、ロッドが停止する前の最大の限界設定よりも高い力を生成するが、これはロッドが金属にぶつかる際に生じる力が急速に増大し、そのために装置が、十分に迅速に補償することができないためである。ロードセルが損傷することなくこの衝撃に耐えることができることを確認するために、注意を払う必要がある。この空の工程に対して特有の設定を用いることにより、ロッドの力および速度に対する最大値を制限することができる。
【0054】
ロッドが停止する際、インストロン装置は、ユーザ入力を待つ。その後、伸張は、手動でゼロになるように再設定される。これにより、ロッドがベースにタッチする正確な補正ポイントで、伸張はゼロに設定されて、伸張は、底部プレートに対して測定される。ロッドは、その後、手動で上方に移動されることにより、試料を下方プレートに配置することができる。
【0055】
試料をテストするため、ロッドが手動で移動されることにより、ロッドは試料の表面の上にあり、プログラムが開始される。ロッドは、限界力(limiting force)に到達するまで、毎分当たり5mmの速度で下方に移動する。
【0056】
試料:
試料は、テストされる材料から打ち抜かれた、50mmの辺を有する正方形である。材料が不均一な厚さである場合、試料は、材料の最も厚い部分から取られた。ロッドは、試料の中心に押し込められ、各試料は、それぞれの工程の間移動されることなく3回テストされた。各々のテスト後の材料のうちの10個の試料が用いられ、空の工程を含めて全部で30の測定値が得られ、31のテスト工程が、各々のテスト後の材料に対して行なわれた。
【0057】
結果:
結果は、力および伸張に関するデータポイント一式である。この力は、ロッドの底面積(bottom area)で割った測定力を用いて、圧力へと再計算される。結果は、グラフ表示されて報告されてよい、あるいは特定の圧力が選択されて、その厚さが指摘される場合もあることにより、この結果は、所与の圧力に関する厚さである。ひずみは、圧力が基準圧力レベルから最終的な圧力レベルへ上昇する場合の、材料の相対的な圧縮であり、すなわちひずみ(%)=(元の厚さ)−(最終的な厚さ)/(元の厚さ)である。元の厚さ、すなわち0%のひずみは0.2kPaの圧力で測定され、最終的な厚さは、15kPaの圧力で測定される。
【0058】
[繊維の厚さ]
不織布材における繊維の(マイクロメートルでの)厚さは、光学顕微鏡にある直径測定ツールを用いて、光学顕微鏡において手動で測定された。カットされたフィラメントの端部(cut filament end)が測定された。本明細書で言及される繊維の厚さは、10個の測定値の平均である。
【0059】
テストされた材料は、表1で以下に示される通りである。
【0060】
テストの結果は、表1および
図3のグラフに示されており、この場合、5つの最も上の線は、テストされた、従来のロフト材料(loft material)(比較材料)を表しており、これより下の5つの線は、本発明の材料を表している。これらの結果は、本明細書で使用される材料の圧縮に顕著な違いがあることを示しており、これまで一般に使用されていた材料と比較した元の試料の厚さのパーセントを表している。本発明を代表する試料は、従来技術の材料よりも有意に高い圧縮抵抗性を有しており、それらが、不織布材が実質的に全く圧縮せずに、通常の使用において着用者が通常及ぼす圧力に耐えることができることを示している。本発明に係る接着された材料および実質的に接着されない材料は共に、高い圧力に耐えることができることに留意されたい。この結果はまた、接着された不織布材が、本発明の目的のために特に良好なひずみ特性を有していることを示している。
【0062】
[流量測定値]
本発明に係る流体流れ制御部材、および標準的な高ロフト(standard high loft)を用いて、定常状態における流量は、以下の方法で測定された。
【0063】
試料材料は、30×150mmの寸法、および0.2kPaで約4mmの材料の厚さを有していた。各試料材料は、水密フィルムに包まれた。一方の横方向側縁部(30×4mmの寸法を有する)は密閉されたが、他方の横方向側縁部は開放したままであった。試料の頂端部でフィルムから窓が切り取られた。切り取られた窓は、20×50mmであった。
【0064】
試料は4.5kgの負荷を受け、これは、この試料のサイズの場合、10kPaに匹敵する。測定中、8mmの水柱が一定に維持されて、試料を通る液体の流れが、スケール(scale)により測定された。窓の上に穴を有するプレキシガラスプレートを介して圧力が試料に加えられて、液体の流れが、スケールにより記録された。浮きが処理槽の中に沈められるとともに、固定アームを介して、スケールに接続された。これにより、テストの間、流れの継続的な記録が可能になる。液体は、窓開口を通して加えられるとともに、試料を通過して試料材料の開放した横方向端部に向けて流された。
【0066】
10kPaの圧力下で、本発明に係る流体流れ制御部材を通過する流量は、標準的な高ロフトに関する0.4ml/sと比較して、7.8ml/sであった。流量の差は、かなりのものである。これは、圧力下で流量を測定する任意の方法により、明らかなはずである。
【0067】
したがって、流体流れ制御部材を含む本発明の吸収性物品は、着用者が及ぼす圧力に曝されたときでも、その優れた流体分散特性を維持する。したがって、当該分野で一般的に用いられる標準的な高ロフトを有する物品と比較して、大幅に漏れを減らすことが、実現される。