(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予備成形コンタクトレンズが、シリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであり、そして、少なくとも40barrersの酸素透過度;1.5MPa以下の弾性率;少なくとも1.5×10-6mm2/minのイオノフラックス拡散係数D;完全に水和した状態で18重量%〜70重量%の水分含量;又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの性質を有する、請求項1記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記予備成形コンタクトレンズの上かつ前記トップコーティングの下に物理的に付着された(PD)ベースコーティングを含み、該トップコーティングが該PDベースコーティングに共有結合しており、該PDベースコーティングが、反応性官能基及び親和性基を含むポリマーコーティング材料を含み、該反応性官能基が、カルボキシル基、アゼチジニウム基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基、ヒドロキシル基及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、該親和性基が、該反応性官能基と同一であるか又はそれらとは異なり、カルボキシル基、酸性化された第一級アミノ基、酸性化された第二級アミノ基、酸性化された第三級アミノ基、C8−C20アルキル基、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル、ジ(トリアルキルシリルオキシ)シリル、ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記ポリマーコーティング材料が、(1)アンモニウム含有ビニル系モノマー又はカルボキシル含有ビニル系モノマーのホモポリマー;(2)一つ以上のアンモニウム含有及び/又はカルボキシル含有ビニル系モノマーのコポリマー;(3)一つ以上のアンモニウム含有及び/又はカルボキシル含有ビニル系モノマーと、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン(NVP)、Ν,Ν−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1500ダルトンまでの重量平均分子量を有するC1〜C4アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、アリルアルコール、ビニルアルコール、ホスホリルコリン含有ビニル系モノマー及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビニル系モノマーと、のコポリマー;(4)ポリエチレンイミン(PEI);(5)ペンダント第一級及び/又は第二級アミノ基を有するポリビニルアルコール;(6)少なくとも一つの疎水性セグメントと、アゼチジニウム基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される反応性官能基を有するポリマーセグメントと、を含むブロックコポリマー;或いは(7)それらの組み合わせである、請求項3記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記ポリマーコーティング材料が、一つ以上のカルボキシル含有ビニル系モノマーのモノマー単位を少なくとも70モル%含むポリマー又はコポリマーであり、該一つ以上のカルボキシル含有ビニル系モノマーが、アクリル酸、C1〜C4アルキルアクリル酸、Ν,Ν−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチルアクリル酸、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3又は4記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記予備成形コンタクトレンズの上かつ前記トップコーティングの下のプラズマベースコーティングを含み、該プラズマベースコーティングが、カルボキシル基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、ヒドロキシル基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される反応性官能基を含む、請求項1又は2記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料の前記反応性官能基が、アゼチジニウム基、エポキシ基又はそれらの組み合わせである、請求項1〜8のいずれか1項記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料が、(1)三次元ネットワーク、(2)一つ以上のオリゴ−カプロラクトン結合を介して該水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料の該ネットワークにそれぞれが共有結合したダングリング親水性ポリマー鎖、及び(3)該ネットワーク内のアゼチジニウム及び/又はエポキシ基である熱架橋可能な基、を含む部分的に架橋した親水性ポリマー材料である、請求項9記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料を製造するための前記第一の親水性ポリマーが、エチレンオキシド単位、及び/又はΝ,Ν−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、N−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、1,500までの重量平均分子量を有する C1〜C4-アルコキシ ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの親水性ビニル系モノマーから誘導されるモノマー単位で構成された直鎖状又は3本腕若しくはY字形の親水性ポリマー鎖である、請求項11記載の使い捨てコンタクトレンズ。
前記水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料を製造するための前記第一の親水性ポリマーが式(I)の反応性オリゴ−カプロラクトン基を一つだけ含む、請求項11又は12記載の使い捨てコンタクトレンズ。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、架橋した親水性コーティングをシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに適用してその親水性及び滑らかさを改善するための費用効果的かつ時間効率的な方法に関する。加えて、本発明は眼科レンズ製品を提供する。
【0002】
背景技術
今日、もっとも一般的なタイプのコンタクトレンズは使い捨てである。使い捨てコンタクトレンズとは一般に、製造者によって決められた交換期日に捨てなければならないコンタクトレンズをいう。現在の遵守期日(又は交換スケジュール)は、毎日使い捨て、1〜2週で使い捨て及び1〜3ヶ月で使い捨てであり、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。眼科開業医及び患者による使い捨てコンタクトレンズの好みは、主に、健康及び利便性の恩恵によるものである。しかし、推奨される交換スケジュールへの非遵守は、異物付着、軽い装用不快感及び視力を脅かす有害イベントをはじめとする合併症を招くおそれがある。したがって、交換スケジュールの遵守を強いる組み込み機能を有する使い捨てコンタクトレンズを製造することが望ましいであろう。
【0003】
発明の概要
本発明は、一つの態様において、非シリコーンハイドロゲル材料(好ましくはシリコーンハイドロゲル材料)で構成された予備成形コンタクトレンズ、及びその上の滑らかな親水性トップコーティングを含み、滑らかな親水性トップコーティングが、涙液中に存在する酵素によって切断されやすい一つ以上のオリゴ−カプロラクトン結合を介して予備成形コンタクトレンズに直接的又は間接的に共有結合したダングリング親水性ポリマー鎖を含む使い捨てコンタクトレンズ、特に使い捨てシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、交換スケジュール期間にわたる表面親水性及び/又は滑らかさにおける制御された装用誘発性劣化を有することを特徴とする使い捨てコンタクトレンズを提供する。
【0004】
本発明のこの態様及び他の態様は、好ましい実施態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明は、本発明を単に例示するものであり、特許請求の範囲及びその均等物によって定義される発明の範囲を限定するものではない。当業者には自明であるように、本開示の新規な概念の真意及び範囲を逸脱することなく、本発明の数多くの変形及び修飾を加えることができる。
【0005】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下、本発明の実施態様を詳細に参照する。当業者には、発明の範囲又は真意を逸脱することなく様々な修飾及び変形を本発明に加えうることが明かであろう。たとえば、一つの実施態様の一部として例示又は記載される特徴を別の実施態様に使用してさらなる実施態様を生み出すことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲に入るような修飾及び変形を包含するものと解釈される。本発明の他の目的、特徴及び態様は、以下の詳細な説明に開示されるか、それから自明に理解される。本記載は、例示的な実施態様の詳細な説明にすぎず、本発明の広義な態様を限定するものとして解釈されないということが当業者には理解されよう。
【0006】
別段定めない限り、本明細書の中で使用されるすべての専門用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書の中で使用される術語及び実験手法は当技術分野において周知であり、一般に用いられている。これらの手法には、当技術分野及び様々な一般的参考文献において提供されているような従来法が使用される。ある語が単数形で提供されている場合、発明者は、その語の複数形をも考慮している。本明細書の中で使用される術語及び以下に記載される実験手法は当技術分野において周知であり、一般に使用されている。
【0007】
本明細書の中で使用される「約」とは、「約」として言及された数値が、その言及された数値のプラス又はマイナス1〜10%を含むことをいう。
【0008】
「シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」とは、シリコーンハイドロゲル材料を含むコンタクトレンズをいう。
【0009】
「ハイドロゲル」とは、水溶性ではなく、完全に水和した状態で少なくとも10重量%の水をそのポリマーマトリックス内に含有することができる架橋ポリマー材料をいう。
【0010】
「非シリコーンハイドロゲル」とは、シリコーンを含まないハイドロゲルをいう。
【0011】
「シリコーンハイドロゲル」とは、シリコーンを含有するハイドロゲルをいう。シリコーンハイドロゲルは一般に、少なくとも一つのシリコーン含有ビニル系モノマー又は少なくとも一つのシリコーン含有ビニル系マクロマー又はエチレン性不飽和基を有する少なくとも一つのシリコーン含有プレポリマーを含む重合可能な組成物の共重合によって得られる。
【0012】
本明細書の中で使用される「ビニル系モノマー」とは、エチレン性不飽和基を有し、化学線的又は熱的に重合させることができる低分子量化合物をいう。低分子量とは一般に700ダルトン未満の平均分子量をいう。
【0013】
「オレフィン性不飽和基」又は「エチレン性不飽和基」とは、本明細書中、広い意味で使用され、少なくとも一つの>C=C<基を含有する基を包含するものと解釈される。例示的なエチレン性不飽和基としては、非限定的に、
【0014】
【化1】
【0015】
又は他のC=C含有基が挙げられる。
【0016】
「(メタ)アクリルアミド」とはメタクリルアミド及び/又はアクリルアミドをいう。
【0017】
「(メタ)アクリレート」とはメタクリレート及び/又はアクリレートをいう。
【0018】
本明細書の中で使用される「親水性ビニル系モノマー」とは、ホモポリマーとして一般に、水溶性である、又は少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマーを生じさせるビニル系モノマーをいう。
【0019】
本明細書の中で使用される「疎水性ビニル系モノマー」とは、ホモポリマーとして一般に、水不溶性であり、10重量%未満の水しか吸収することができないポリマーを生じさせるビニル系モノマーをいう。
【0020】
「マクロマー」又は「プレポリマー」とは、エチレン性不飽和基を含有する中及び高分子量化合物又はポリマーをいう。中及び高分子とは一般に、700ダルトンよりも大きい平均分子量をいう。
【0021】
「ポリマー」とは、一つ以上のモノマー又はマクロマー又はプレポリマーを重合/架橋させることによって形成される材料をいう。
【0022】
本明細書の中で使用されるポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を含む)の「分子量」とは、別段記されない限り、又は試験条件がそうではないことを指示しない限り、重量平均分子量をいう。
【0023】
「アミノ基」とは、式−NHR′の第一級又は第二級アミノ基をいう(式中、R′は、別段記されない限り、水素又は非置換であるか、置換されている直鎖状又は分岐鎖状のC
1〜C
20アルキル基である)。
【0024】
「エピクロロヒドリン官能化ポリアミン」又は「エピクロロヒドリン官能化ポリアミドアミン」とは、ポリアミン類又はポリアミドアミン類をエピクロロヒドリンと反応させて、ポリアミン類又はポリアミドアミン類のアミン基のすべて又は実質的な割合をアゼチジニウム基に転換することによって得られるポリマーをいう。
【0025】
「アゼチジニウム基」とは、
【0026】
【化2】
【0027】
の正荷電基をいう。
【0028】
「ホスホリルコリン」とは、
【0029】
【化3】
【0030】
の両性イオン基をいう(式中、nは1〜5の整数であり、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、C
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8ヒドロキシアルキルである)。
【0031】
ポリマー又はポリマー材料に関連する「水溶性」とは、ポリマー又はポリマー材料を、室温で約30重量%までの濃度を有する水溶液を形成するのに十分な程度に水に溶解させることができることをいう(上記のとおり)。
【0032】
「水接触角」とは、少なくとも三回の計測で接触角の計測値を平均することによって得られる平均水接触角(すなわち、静滴法によって計測される接触角)をいう。
【0033】
「オリゴ−カプロラクトン結合」とは、
【0034】
【化4】
【0035】
の二価基を含む二価結合をいう(式中、nは、12以下、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6の整数である)。
【0036】
「反応性オリゴ−カプロラクトン基」とは、式(I)
【0037】
【化5】
【0038】
の一価基をいう(式中、「n」は、12以下(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6)の整数であり、Lは、直接結合であるか、24個までの炭素原子を有し、場合によっては、−CO−、−O−、−NR′−(R′は上記のとおり)、−S−又はそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上の結合を含む二価基であり、Bはアミノ基(上記のとおり−NHR′)又はカルボキシル基又はチオール基(好ましくはアミノ又はカルボキシル基)である)。
【0039】
使い捨てコンタクトレンズに関連する「交換スケジュール期間にわたる表面親水性及び/又は滑らかさにおける制御された装用誘発性劣化」とは、予定された交換期間(たとえば一日、一週、二週、一ヶ月)装用されたのちコンタクトレンズの表面親水性及び/又は滑らかさが有意に低下することをいう。
【0040】
本出願において使用される「架橋した親水性ポリマーコーティング」とは、完全に水和した状態で、水を含むことができる三次元ネットワークを有する架橋したポリマー材料の層をいう。架橋したポリマー材料の三次元ネットワークは、二つ以上の直鎖状又は分岐鎖状ポリマーの架橋によって形成することができる。
【0041】
「カップリング反応」とは、当業者には周知の様々な反応条件、たとえば酸化還元条件、脱水縮合条件、付加条件、置換条件、ディールス・アルダー反応条件、カチオン架橋条件、開環条件、エポキシ硬化条件及びそれらの組み合わせの下で共有結合を形成するための、カップリング剤の存在又は非存在における、対応する官能基の対の間の反応を指すものと解釈される。好ましくはアミノ基(上記のとおり−NHR′)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基及びアミド基(−CONH
2)からなる群から選択される対応する共反応性官能基の対の間の、様々な反応条件下のカップリング反応の非限定的な例を説明のために以下に記す。カルボン酸基は、カップリング剤―カルボジイミド(たとえば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はそれらの混合物)の存在下、アミノ基−NHR′と反応してアミド結合を形成し;カルボン酸基は、加熱下、イソシアネート基と反応してアミド結合を形成し;カルボキシル基はエポキシ又はアジリジン基と反応してエステル結合を形成し;カルボキシル基はハロゲン化物基(−Cl、−Br又は−I)と反応してエステル結合を形成し;アミノ基はアルデヒド基と反応してシッフ塩基を形成し、それをさらに還元することもでき;アミノ基−NHR′は酸塩化物もしくは臭化物基又は酸無水物基と反応してアミド結合(−CO−NR′−)を形成し;アミノ基−NHR′はイソシアネート基と反応して尿素結合(−NR′−C(O)−NH−)を形成し;アミノ基−NHR′はエポキシ又はアジリジン基と反応してアミン結合(C−NR′)を形成し;アミノ基はアズラクトン基と反応(開環反応)して結合(−C(O)NH−CR
1R
2−(CH
2)
r−C(O)−NR′−)を形成し;アミノ基はハロゲン化物基(−Cl、−Br又は−I)と反応してアミン結合を形成し;ヒドロキシルはイソシアネートと反応してウレタン結合を形成し;ヒドロキシルはエポキシ又はアジリジン又はハロゲン化物基(−Cl、−Br又は−I)と反応してエーテル結合(−O−)を形成し;ヒドロキシルは酸塩化物もしくは臭化物基又は酸無水物基と反応してエステル結合を形成し;ヒドロキシル基は、触媒の存在下、アズラクトン基と反応して結合(−C(O)NH−CR
1R
2−(CH
2)
r−C(O)−O−)を形成し;チオール基(−SH)はイソシアネートと反応してチオカルバメート結合(−N−C(O)−S−)を形成し;、チオール基はエポキシ又はアジリジンと反応してチオエーテル結合(−S−)を形成し;チオール基は酸塩化物もしくは臭化物基又は酸無水物基と反応してチオールエステル結合を形成し;チオール基は、触媒の存在下、アズラクトン基と反応して結合(−C(O)NH−アルキレン−C(O)−S−)を形成し;チオール基は、チオール−エン反応条件下、チオール−エン反応に基づいてビニル基と反応してチオエーテル結合(−S−)を形成し;チオール基は、適切な反応条件下、マイケル付加に基づいてアクリロイル又はメタクリロイル基と反応してチオエーテル結合を形成し;正荷電アゼチジニウム基は、スキームI
【0042】
【化6】
【0043】
(式中、Rは、化合物の残り部分であり、Lは−NR′−、−S−又は−OC(=O)−であり、R′は水素、非置換であるか、置換されている直鎖状又は分岐鎖状のC
1〜C
20アルキル基又はポリマー鎖である)
にしたがって、相対的に高い温度(約40℃〜約140℃)で、アミノ基、チオール基又はカルボキシレート−COO
-(すなわち、カルボキシル基の脱プロトン化形態)のような官能基と反応して中性ヒドロキシル含有共有結合を形成する。
【0044】
また、二つの反応性官能基を有するカップリング剤をカップリング反応に使用してもよいことが理解されよう。二つの反応性官能基を有するカップリング剤は、ジイソシアネート類、ジ酸ハロゲン化物、ジカルボン酸化合物、ジ酸ハロゲン化物化合物、ジアズラクトン化合物、ジエポキシ化合物、ジアミン類又はジオール類であることができる。当業者は、一つ以上のエチレン性不飽和基で末端修飾されたポリシロキサン類を調製するためのカップリング反応(たとえば、本出願における上記のいずれか)及びその条件を選択することを周知している。たとえば、ジイソシアネート、ジ酸ハロゲン化物、ジカルボン酸、ジアズラクトン又はジエポキシ化合物を、二つのヒドロキシル基、二つのアミノ基、二つのカルボキシル基、二つのエポキシ基又はそれらの組み合わせのカップリングに使用することができ、ジアミン又はジヒドロキシ化合物を、二つのイソシアネート、エポキシ、アジリジン、カルボン酸、酸ハロゲン化物もしくはアズラクトン基又はそれらの組み合わせのカップリングに使用することができる。
【0045】
適切なC
4〜C
24ジイソシアネート類を本発明に使用することができる。好ましいジイソシアネート類の例は、非限定的に、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチル−1,6−ジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイシソアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレン−4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,3−ビス−(4,4′−イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート及びそれらの組み合わせを含む。
【0046】
適切なジアミン類を本発明に使用することができる。有機ジアミン類は、直鎖状又は分岐鎖状のC
2〜C
24脂肪族ジアミン類、C
5〜C
24脂環式又は脂肪族脂環式ジアミン類又はC
6〜C
24芳香族又はアルキル芳香族ジアミン類であることができる。好ましい有機ジアミン類は、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びイソホロンジアミンである。
【0047】
適切なジ酸ハロゲン化物を本発明に使用することができる。好ましいジ酸ハロゲン化物の例は、非限定的に、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼラオイル、ドデカン二酸クロリド、スクシニルクロリド、グルタリルクロリド、塩化オキサリル、ダイマー酸クロリド及びそれらの組み合わせを含む。
【0048】
適切なジエポキシ化合物を本発明に使用することができる。好ましいジエポキシ化合物の例は、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びそれらの組み合わせである。そのようなジエポキシ化合物は市販されている(たとえば、Nagase ChemteX CorporationのDENACOLシリーズジエポキシ化合物)。
【0049】
適切なC
2〜C
24ジオール類(すなわち、二つのヒドロキシル基を有する化合物)を本発明に使用することができる。好ましいジオール類の例は、非限定的に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、種々のペンタンジオール、種々のヘキサンジオール、種々のシクロヘキサンジオール及びそれらの組み合わせを含む。
【0050】
適切なC
3〜C
24ジカルボン酸化合物を本発明に使用することができる。好ましいジカルボン酸化合物の例は、非限定的に、直鎖状又は分岐鎖状のC
3〜C
24脂肪族ジカルボン酸、C
5〜C
24脂環式又は脂肪族脂環式ジカルボン酸、C
6〜C
24芳香族又はアリール脂肪族ジカルボン酸、アミノもしくはイミド基又はN複素環を含むジカルボン酸及びそれらの組み合わせを含む。適切な脂肪族ジカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ジメチルマロン酸、オクタデシルコハク酸、トリメチルアジピン酸及びダイマー酸(不飽和脂肪族カルボン酸、たとえばオレイン酸の二量体化生成物)である。適切な脂環式ジカルボン酸の例は、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−及び1,4−ジカルボキシルメチルシクロヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルジカルボン酸である。適切な芳香族ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、1,3−、1,4−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシル−3−(p−カルボキシフェニル)−インダン、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス−p−(カルボキシフェニル)−メタンである。
【0051】
適切なC
10〜C
24ジアズラクトン化合物を本発明に使用することができる。そのようなジアズラクトン化合物の例は、米国特許第4,485,236号(参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されているものである。
【0052】
上記カップリング反応のための反応条件は教本に教示されており、当業者には周知である。
【0053】
材料の固有「酸素透過度」Dkとは、酸素が材料を透過する速度である。本発明において、ハイドロゲル(シリコーン又は非シリコーン)又はコンタクトレンズに関連する「酸素透過度(Dk)」とは、境界層効果によって生じる酸素流束に対する表面抵抗に関して以下の実施例に示す手順にしたがって補正された酸素透過度(Dk)をいう。酸素透過度は従来からbarrerの単位で表されている。「barrer」は、
[(cm
3酸素)(mm)/(cm
2)(sec)(mmHg)]×10
-10
と定義される。
【0054】
レンズ又は材料の「酸素伝達率」Dk/tとは、酸素が、計測区域にかけて平均厚さt[mm単位]を有する特定のレンズ又は材料を透過する速度である。酸素伝達率は従来からbarrer/mmの単位で表されている。「barrer/mm」は、
[(cm
3酸素)/(cm
2)(sec)(mmHg)]×10
-9
と定義される。
【0055】
レンズの「イオン透過性」はイオノフラックス拡散係数と相関する。イオノフラックス拡散係数D([mm
2/min]単位)は、以下のように、フィックの法則を適用することによって決定される。
D=−n′/(A×dc/dx)
式中、n′=イオン輸送速度[mol/min]であり、A=レンズ露出面積[mm
2]であり、dc=濃度差[mol/L]であり、dx=レンズ厚さ[mm]である。
【0056】
本発明は一般に、組み込み遵守機能、すなわち、レンズ加工/保存に対して安定であるが、レンズ装用中に酵素的分解によって制御された分解を起こすトップコーティングを含む使い捨てコンタクトレンズ、特に使い捨てシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに関する。本発明は、一部には、オリゴ−カプロラクトン結合を介して親水性ポリマー材料に共有結合したダングリング親水性ポリマー鎖を含む親水性ポリマー材料からトップコーティングを製造することができるという発見に基づく。トップコーティングは、レンズに滑らかさを付与するが、レンズ装用中、涙膜中の酵素(たとえばリパーゼ)の作用によってゆっくりと分解する。酵素(たとえばリパーゼ)がオリゴ−カプロラクトン結合を切断し、滑らかさの主な要因であるダングリング親水性ポリマー鎖を解放する(又は消失させる)ことができると考えられる。レンズはなおも消費者にとって十分な湿潤性を維持する(トップコーティングの残り部分及び/又は下にあるベースコーティングのおかげで)。滑らかさの損失は、レンズ装用者にとって快適さの低下として体感され、それにより、使い捨てコンタクトレンズの組み込み遵守機能として働く。
【0057】
本発明は、一つの態様において、非シリコーンハイドロゲル材料(好ましくはシリコーンハイドロゲル材料)で構成された予備成形コンタクトレンズ、及びその上の滑らかな親水性トップコーティングを含み、滑らかな親水性トップコーティングが、涙液中に存在する酵素によって切断されやすい一つ以上のオリゴ−カプロラクトン結合(上記)を介して予備成形コンタクトレンズに直接的又は間接的に共有結合したダングリング親水性ポリマー鎖を含む使い捨てコンタクトレンズ、特に使い捨てシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、交換スケジュール期間にわたる表面親水性及び/又は滑らかさにおける制御された装用誘発性劣化を有することを特徴とする使い捨てコンタクトレンズを提供する。
【0058】
予備成形コンタクトレンズ(非シリコーン又は好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)は市販のコンタクトレンズであることができる。あるいはまた、予備成形コンタクトレンズ(好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)は、当業者に周知の方法によって製造することもできる。たとえば、予備成形コンタクトレンズは、たとえば米国特許第3,408,429号に記載されているように従来の「スピンキャスト型」の中で製造することもできるし、米国特許第4,347,198号、第5,508,317号、第5,583,463号、第5,789,464号及び第5,849,810号に記載されているように完全流し込み成形法によって静止形態で製造することもできるし、カスタマイズされたコンタクトレンズの製造に使用されるようなシリコーンハイドロゲルボタンの旋削によって製造することもできる。流し込み成形においては、一般に、レンズ調合物を、コンタクトレンズを製造するための型の中に小出しし、型の中で硬化(すなわち重合及び/又は架橋)させる。予備成形シリコーンハイドロゲル(SiHy)コンタクトレンズの製造の場合、流し込み成形もしくはスピンキャスト成形又はコンタクトレンズの旋削に使用されるSiHyロッドを製造するためのSiHyレンズ調合物は一般に、当業者には周知であるような、シリコーン含有ビニル系モノマー、シリコーン含有ビニル系マクロマー、シリコーン含有プレポリマー、親水性ビニル系モノマー、疎水性ビニル系モノマー、架橋剤(約700ダルトン以下の分子量を有し、少なくとも二つのエチレン性不飽和基を含む化合物)、ラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、親水性ビニル系マクロマー/プレポリマー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの成分を含む。SiHyコンタクトレンズ調合物はまた、当業者には公知の他の必要な成分、たとえば、当業者には公知であるような、UV吸収剤、視認用着色剤(たとえば染料、顔料又はそれらの混合物)、抗微生物剤(たとえば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性物質、浸出性潤滑剤、浸出性涙液安定剤及びそれらの混合物を含むこともできる。そして、当業者には公知であるように、得られた予備成形SiHyコンタクトレンズを抽出溶媒による抽出に付して、得られたレンズから未重合成分を除去し、さらに水和工程に付すことができる。加えて、予備成形SiHyコンタクトレンズは、色付きコンタクトレンズ(すなわち、当業者には周知であるように、その上にプリントされた少なくとも一つの色付きパターンを有するSiHyコンタクトレンズ)であることもできる。
【0059】
本出願の出願日までに公開された数多くの特許及び特許出願において数多くのSiHyレンズ調合物が記載されている。それらのすべては、上記に指定されたDk及び水分含量を有するSiHy材料を生み出す限り、予備成形SiHyレンズを得ることに使用することができ、その予備成形SiHyレンズは、他方で、本発明のSiHyコンタクトレンズの内層になる。また、市販のSiHyレンズ、たとえばlotrafilcon A、lotrafilcon B、balafilcon A、galyfilcon A、senofilcon A、narafilcon A、narafilcon B、comfilcon A、enfilcon A、asmofilcon A、filcon II 3を製造するためのSiHyレンズ調合物を、予備成形SiHyコンタクトレンズ(本発明のSiHyコンタクトレンズの内層)の製造に使用することもできる。
【0060】
コンタクトレンズを製造するためのレンズ成形用型は当業者に周知であり、たとえば流し込み成形又はスピンキャスティングにおいて用いられる。たとえば、型(流し込み成形用)は一般に、少なくとも二つの型区分(又は部分)又は型半部、すなわち第一及び第二の型半部を含む。第一の型半部は第一の成形(又は光学)面を画定し、第二の型半部は第二の成形(又は光学)面を画定する。第一及び第二の型半部は、第一の成形面と第二の成形面との間にレンズ成形キャビティが形成されるように互いを受け入れるように構成されている。型半部の成形面は型のキャビティ形成面であり、レンズ形成材料と直接的に接触する。
【0061】
コンタクトレンズを流し込み成形するための型区分を製造する方法は一般に当業者に周知である。本発明の方法は特定の型形成法に限定されない。事実、いかなる型形成法をも本発明に使用することができる。第一及び第二の型半部は、射出成形又は旋盤加工のような様々な技術によって形成することができる。型半部を形成するのに適した方法の例は、同じく参照により本明細書に組み込まれる、Schadへの米国特許第4,444,711号、Boehmらへの第4,460,534号、Morrillへの第5,843,346号及びBonebergerらへの第5,894,002号に開示されている。
【0062】
型を製造するための当技術分野において公知の実質すべての材料を、コンタクトレンズを製造するための型を製造するために使用することができる。たとえば、ポリマー材料、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007−S10(Ticona GmbH(Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey)の、エチレンとノルボルネンとの明澄な非晶質コポリマー)などを使用することができる。UV光透過を許す他の材料、たとえば石英ガラス及びサファイアを使用することもできる。
【0063】
好ましい実施態様においては、再使用可能な型が使用され、シリコーンハイドロゲルレンズ形成組成物は、SiHyコンタクトレンズを形成するための化学線の空間的限定の下、化学線的に硬化される。好ましい再使用可能な型の例は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号、2003年12月10出願の米国特許出願第10/732,566号、2003年11月25日出願の米国特許出願第10/721,913号及び米国特許第6,627,124号に開示されているものである。再使用可能な型は、石英、ガラス、サファイア、CaF
2、環式オレフィンコポリマー(たとえばTicona GmbH(Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey)のTopas(登録商標)COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンとの明澄な非晶質コポリマー)、Zeon Chemicals LP(Louisville, KY)のZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPontのポリオキシメチレン(Delrin)、G.E. PlasticsのUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などでできていることもできる。
【0064】
好ましい実施態様において、使い捨てSiHyコンタクトレンズは、予備成形SiHyコンタクトレンズの上かつトップコーティングの下に物理的に付着された(PD)ベースコーティングを含み、トップコーティングがPDベースコーティングに共有結合している。PDベースコーティングは、反応性官能基及び親和性基を含むポリマーコーティング材料を含み、反応性官能基(カップリング剤の存在又は非存在において反応性親水性ポリマー材料の反応性官能基とのカップリング反応に参加して架橋ポリマーコーティングを形成することができる)は、カルボキシル基(すなわち−COOH)、アゼチジニウム基、アミノ基(すなわち、第一級及び/又は第二級アミノ基)、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基、ヒドロキシル基及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、カルボキシル基、アゼチジニウム基、アミノ基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、カルボキシル基、アゼチジニウム基、アミノ基、エポキシ基及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、さらに好ましくは、カルボキシル基、アゼチジニウム基、アミノ基、エポキシ基及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、もっとも好ましくは、カルボキシル基、アミノ基及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、親和性基は、反応性官能基と同一であるか、又はそれらとは異なり、カルボキシル基、アンモニウム基(すなわち、酸性化された第一級、第二級又は第三級アミノ基)、疎水性部分(たとえばC
8〜C
20アルキル基)、疎水性セグメント(たとえばトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル、ジ(トリアルキルシリルオキシ)シリル、ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、カルボキシル基、アンモニウム基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0065】
PDベースコーティングを形成するためのポリマーコーティング材料の親和性基は、コンタクトレンズの表面又は表面近くでコンタクトレンズ(好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)のモノマー単位及び/又は疎水性部分及び/又はセグメントと相互作用してポリマーコーティング材料と結合することができると理解されよう。ポリマーコーティング材料の親和性基は、コートされるコンタクトレンズがアミド含有ビニル系モノマー(以下に記す)又はアンモニウム含有ビニル系モノマー(以下に記す)(すなわち、酸性化された第一級、第二級又は第三級アミノ基)のモノマー単位を含むならばカルボキシル基であることができ;コートされるコンタクトレンズがカルボキシル含有ビニル系モノマー(以下に記す)のモノマー単位を含むならばアンモニウム基であることができ;コートされるコンタクトレンズがシリコーン成分を含むならば疎水性部分又はセグメントであることができる。ポリマーコーティング材料のカルボキシル基は、レンズ材料中のアミドタイプビニル系モノマー単位とイオン/極性相互作用又は水素結合のいずれかを介して相互作用してレンズ材料への親和性を維持することができ;ポリマーコーティング材料のカルボキシル基は、レンズ材料中のアンモニウム含有ビニル系モノマー単位とイオン/イオン相互作用及び水素結合を介して相互作用してレンズ材料への親和性を維持することができ;ポリマーコーティング材料のアンモニウム基は、レンズ材料中のカルボキシル含有ビニル系モノマー単位とイオン/極性相互作用又は水素結合のいずれかを介して相互作用してレンズ材料への親和性を維持することができ;またポリマーコーティング材料の疎水性部分又はセグメントは、レンズ材料中のシリコーン成分と疎水性−疎水性相互作用を介して相互作用してレンズ材料への親和性を維持することができると考えられる。
【0066】
アミド含有ビニル系モノマーがコンタクトレンズの製造に広く使用されてきた。アミドタイプビニル系モノマーの好ましい例は、非限定的に、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、Ν,Ν−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリルアミドグリコール酸、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及びそれらの混合物を含む。
【0067】
「アンモニウム基」とは、酸性化された第一級、第二級又は第三級アミノ基をいう。アンモニウム含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、アリルアミン、ビニルアミン、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アミノ−C
2〜C
4アルキル(メタ)アクリレート、C
1〜C
4アルキルアミノ−C
2〜C
4アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアミン、アミノ−C
2〜C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1〜C
4アルキルアミノ−C
2〜C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、ジ(C
1〜C
4アルキル)アミノ−C
2〜C
4アルキル(メタ)アクリレート、トリ(C
1〜C
4アルキル)アミノ−C
2〜C
4アルキル(メタ)アクリレート及びそれらの混合物を含む。
【0068】
カルボキシル含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、アクリル酸、C
1〜C
4アルキルアクリル酸(たとえばメタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸)、Ν,Ν−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸及びそれらの組み合わせを含む。
【0069】
有機ベースのコーティング溶液の全重量に対して約0.001%〜約1.5%、好ましくは約0.002%〜約1%、より好ましくは0.003%〜約0.5重量%の量を室温で水、好ましくは水と少なくとも一つの有機溶媒との混合物、より好ましくは有機溶媒又は有機溶媒の混合物に溶解させることができる限り、上記反応性官能基及び親和性基を有するポリマー又はコポリマーを本発明に使用することができる。有機ベースの溶媒はコンタクトレンズを膨潤させることができ、それによってポリマーコーティング材料の一部分がコンタクトレンズに浸透し、PDベースコーティングの耐久性を増すと考えられる。
【0070】
好ましいポリマーコーティング材料の例は、非限定的に、(1)アンモニウム含有ビニル系モノマー(上記のいずれか)又はカルボキシル含有ビニル系モノマー(上記のいずれか)のホモポリマー;(2)一つ以上のアンモニウム含有及び/又はカルボキシル含有ビニル系モノマー(上記のもの)のコポリマー;(3)一つ以上のアンモニウム含有及び/又はカルボキシル含有ビニル系モノマー(上記のもの)と、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン(NVP)、Ν,Ν−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1500ダルトンまでの重量平均分子量を有するC
1〜C
4アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、アリルアルコール、ビニルアルコール(コポリマー中の酢酸ビニルの加水分解形態)、ホスホリルコリン含有ビニル系モノマー((メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及び参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,461,433号に記載されているものを含む)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非反応性ビニル系モノマーと、場合によっては、アゼチジニウム基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される反応性官能基を有する一つ以上の反応性ビニル系モノマーとのコポリマー;(4)ポリエチレンイミン(PEI);(5)ペンダント第一級及び/又は第二級アミノ基を有するポリビニルアルコール;(6)少なくとも一つの疎水性セグメント(好ましくは、ポリジメチルシロキサン、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、一つ以上のシリコーン含有ビニル系モノマーから本質的になるポリマー鎖もしくはセグメント(好ましくは、以下に記すもの)、C
8〜C
16アルキル(メタ)アクリレート及び/又はC
8〜C
16アルキル(メタ)アクリルアミドならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される)ならびにアゼチジニウム基、アズラアクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される反応性官能基を有するポリマーセグメントを含むブロックコポリマー;(7)それらの組み合わせを含む。
【0071】
好ましいシリコーン含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルプロピルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド、N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド、N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド、N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド、N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド、N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド、N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド、N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド、N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネートを含む。もっとも好ましい式(1)のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーは、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、TRIS、N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミドである。
【0072】
PDベースコーティングのためのポリマーコーティング材料は、複数の反応性官能基を有するために、一つ以上の反応性ビニル系モノマーのモノマー単位を含むことができることが理解されよう。例示的な反応性ビニル系モノマーは、アゼチジニウム含有ビニル系モノマー、アズラクトン含有ビニル系モノマー、イソシアネート含有ビニル系モノマー、エポキシ含有ビニル系モノマー及びアジリジニル含有ビニル系モノマーを含む。アジリジニル含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(1−アジリジニル)プロピル(メタ)アクリレート、4−(1−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリレート、6−(1−アジリジニル)ヘキシル(メタ)アクリレート及び8−(1−アジリジニル)オクチル(メタ)アクリレートを含む。エポキシ含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルを含む。イソシアネート含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4−イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、6−イソシアナトヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−イソシアナトエチルメタクリレート及び1,1−ジメチル−2−イソシアナトエチルメタクリレートを含む。アズラクトン含有ビニル系モノマーの例は、非限定的に、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−エチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ドデシル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジフェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−テトラメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジエチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−ノニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−フェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ベンジル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン及び2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−6−オンを含み、好ましいアズラクトン含有ビニル系モノマーとして、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(VDMO)及び2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(IPDMO)がある。アゼチジニウム含有ビニル系モノマーは、EP1465931(参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されている手順に類似した手順にしたがって、エピクロロヒドリンを、第一級又は第二級アミノ基を含むビニル系モノマー(上記のいずれか)と反応させることによって得ることができる。
【0073】
好ましくは、ポリマーコーティング材料は、一つ以上のカルボキシル含有ビニル系モノマーのモノマー単位を少なくとも約70モル%、好ましくは少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%含むポリマー又はコポリマーであり、一つ以上のカルボキシル含有ビニル系モノマーは、アクリル酸、C
1〜C
4アルキルアクリル酸(たとえばメタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸)、Ν,Ν−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましいカルボキシル含有ポリマーコーティング材料の例は、非限定的に、直鎖状又は分岐鎖状のポリアクリル酸、直鎖状又は分岐鎖状のポリメタクリル酸、アクリル酸を少なくとも約70モル%、好ましくは少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%有する直鎖状又は分岐鎖状のポリ(アクリル酸−co−アクリルアミド)、メタクリル酸を少なくとも約70モル%、好ましくは少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%有する直鎖状又は分岐鎖状のポリ(メタクリル酸−co−アクリルアミド)、アクリル酸を少なくとも約70モル%、好ましくは少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%有する直鎖状又は分岐鎖状のポリ(アクリル酸−co−ビニルピロリドン)、メタクリル酸を少なくとも約70モル%、好ましくは少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%有する直鎖状又は分岐鎖状のポリ(メタクリル酸−co−ビニルピロリドン)を含む。
【0074】
より好ましくは、PDベースコーティングを形成するためのポリマーコーティング材料は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(C
2〜C
12アルキルアクリル酸)、ポリ[アクリル酸−co−メタクリル酸]、ポリ(N,N−2−アクリルアミドグリコール酸)、ポリ[(メタ)アクリル酸−co−アクリルアミド]、ポリ[(メタ)アクリル酸−co−ビニルピロリドン]、ポリ[C
2〜C
12アルキルアクリル酸−co−アクリルアミド]、ポリ[C
2〜C
12アルキルアクリル酸−co−ビニルピロリドン]、加水分解ポリ[(メタ)アクリル酸−co−酢酸ビニル]、加水分解ポリ[C
2〜C
12アルキルアクリル酸−co−酢酸ビニル]、ポリエチレンイミン(PEI)、塩酸ポリアリルアミン(PAH)ホモもしくはコポリマー、ポリビニルアミ
ンホモもしくはコポリマー又はそれらの組み合わせである。
【0075】
本発明において、ポリマーコーティング材料の重量平均分子量Mwは、少なくとも約50,000ダルトン、より好ましくは少なくとも約100,000ダルトン、さらに好ましくは約500,000〜5,000,000ダルトンである。
【0076】
本発明において、PDベースコーティングは、コンタクトレンズ(好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)をポリマー材料の溶液と接触させることによって得る。コンタクトレンズ(好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)とポリマーコーティング材料のコーティング溶液との接触は、それをコーティング溶液に浸漬することによって、又はそれにコーティング溶液を吹き付けることによって実施することができる。一つの接触工程は、単に、コンタクトレンズをコーティング溶液の浴に一定期間浸漬すること、あるいはまた、コンタクトレンズをコーティング溶液の一連の浴に浴ごとに固定されたより短い期間浸漬することを含む。もう一つの接触工程は、単に、コーティング溶液を吹き付けることを含む。しかし、吹き付け及び浸漬工程の様々な組み合わせを含む数多くの代替法が当業者によって設計されてもよい。コンタクトレンズとコーティング溶液との接触時間は、約10分まで、好ましくは約5〜約360秒、より好ましくは約5〜約250秒、さらに好ましくは約5〜約200秒であることができる。
【0077】
コンタクトレンズ上にPDベースコーティングを形成するためのポリマーコーティング材料の溶液は、一つ以上のポリマーコーティング材料を、水、水と水混和性有機溶媒との混合物、有機溶媒又は一つ以上の有機溶媒の混合物に溶解させることによって調製することができる。好ましくは、ポリマーコーティング材料は、水と一つ以上の有機溶媒との混合物、有機溶媒又は一つ以上の有機溶媒の混合物に溶解させる。少なくとも一つの有機溶媒を含有する溶媒系はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを膨潤させることができ、それによって反応性ポリマーの一部分がシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに浸透し、反応性PDベースコーティングの耐久性を増すと考えられる。
【0078】
いかなる有機溶媒をもポリマーコーティング材料の溶液の調製に使用することができる。有機溶媒の例は、非限定的に、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ケトン類(たとえばアセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i−プロピル、塩化メチレン、メタノール、エタノール、1−もしくは2−プロパノール、1−もしくは2−ブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエクソノルボルネオール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2−2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール及び3−エチル−3−ペンタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンならびにそれらの混合物を含む。
【0079】
もう一つの好ましい実施態様において、使い捨てコンタクトレンズ(好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)は、予備成形コンタクトレンズの上かつトップコーティングの下のプラズマベースコーティングを含み、プラズマベースコーティングは反応性官能基(ベースコーティングに関して上述したもののいずれか)を含む。プラズマベースコーティングは、予備成形コンタクトレンズをプラズマ処理に付して、コンタクトレンズ上に共有結合したプラズマベースコーティングを形成することによって、すなわち、放電によって生成されるプラズマの効果の下、一つ以上の反応性ビニル系モノマー(前記のいずれか一つ)を重合させること(いわゆるプラズマ誘導重合)によって得られる。「プラズマ」とは、電子、いずれかの極性のイオン、基底状態又は何らかの形態のより高い励起状態にある気体原子及び分子ならびに光子で構成されることができる、たとえばグロー放電によって生成される電離気体をいう。しばしば「低温プラズマ」と呼ばれる。プラズマ重合の概要及びその使用に関しては、R. Hartmann "Plasma polymerisation: Grundlagen, Technik und Anwendung, Jahrb. Oberflachentechnik (1993) 49, pp. 283-296, Battelle-Inst. e.V. Frankfurt/Main Germany、H. Yasuda, "Glow Discharge Polymerization", Journal of Polymer Science: Macromolecular Reviews, vol. 16 (1981), pp. 199-293、H. Yasuda, "Plasma Polymerization", Academic Press, Inc. (1985)、Frank Jansen, "Plasma Deposition Processes", in "Plasma Deposited Thin Films", ed. by T. Mort and F. Jansen, CRC Press Boca Raton (19)、O. Auciello et al. (ed.) "Plasma-Surface Interactions and Processing of Materials" publ. by Kluwer Academic Publishers in NATO ASI Series、Series E: Applied Sciences, vol. 176(1990), pp. 377-399及びN. Dilsiz and G. Akovali "Plasma Polymerization of Selected Organic Compounds", Polymer, vol. 37(1996) pp. 333-341を参照すること。好ましくは、プラズマ誘導重合は、WO98028026(参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されているような「アフターグロー」プラズマ誘導重合である。「アフターグロー」プラズマ重合の場合、コンタクトレンズの表面を、まず、非重合性プラズマガス(たとえばH2、He又はAr)で処理し、次いで、後続の工程において、そのように活性化された表面を、プラズマパワーをオフにした状態で、アミノ基又はカルボキシル基を有するビニル系モノマー(上記いずれかの反応性ビニル系モノマー)に暴露する。活性化は、表面上でプラズマ誘発ラジカル形成を生じさせ、それが、後続の工程において、その上でビニル系モノマーの重合を開始させる。プラズマベースコーティングが予備成形コンタクトレンズに化学的に結合する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、トップコーティングは、(1)一つ以上のオリゴ−カプロラクトン結合を介して水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料のポリマー主鎖に共有結合したダングリング親水性ポリマー鎖、及び(2)PD又はプラズマベースコーティングの反応性官能基と反応することができる複数の反応性官能基を有する水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料から得られる架橋した親水性ポリマーコーティングである。水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料の反応性官能基は、一つの反応性官能基がカップリング剤の存在又は好ましくは非存在においてポリマーコーティング材料の一つの第一の反応性官能基と反応して(カップリング反応において)架橋を形成することができるという条件で、カルボキシル基、アゼチジニウム基、アミノ基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、ヒドロキシル基、チオール基又はそれらの組み合わせ;好ましくは、カルボキシル基、アゼチジニウム基、アミノ基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基又はそれらの組み合わせ;より好ましくは、カルボキシル基、アゼチジニウム基、アミノ基、エポキシ基、チオール基又はそれらの組み合わせ;さらに好ましくは、アゼチジニウム基、エポキシ基又はそれらの組み合わせであることができる。
【0081】
本発明において、水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料は、好ましくは、反応性官能基として、熱架橋可能な基、より好ましくはアゼチジニウム基及び/又はエポキシ基、さらに好ましくはアゼチジニウム基を含む。好ましくは、水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料は、(1)三次元ネットワーク、(2)一つ以上のオリゴ−カプロラクトン結合を介して水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料のネットワークにそれぞれが共有結合したダングリング親水性ポリマー鎖、及び(3)ネットワーク内の架橋可能な(好ましくは熱架橋可能な)基(たとえばアゼチジニウム及び/又はエポキシ基)、より好ましくはアゼチジニウム基を含む、部分的に架橋した親水性ポリマー材料である。親水性ポリマー材料に関連する「部分的に架橋した」とは、架橋反応において親水性ポリマー材料を製造するための出発原料の架橋可能な基が完全には消費されていないことをいう。
【0082】
好ましい実施態様において、水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料は、(i)エピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミンから誘導される第一のポリマー鎖約20重量%〜約95重量%、好ましくは約35重量%〜約90重量%、より好ましくは約50重量%〜約85重量%、(ii)二つまで(好ましくは一つだけ)の反応性オリゴ−カプロラクトン基(上記式(I)の)を有する少なくとも一つの第一の親水性ポリマーから誘導された第一の親水性ポリマー鎖であって、親水性ポリマー中の一つのアゼチジニウム基と一つの反応性オリゴ−カプロラクトン基との間にそれぞれが形成された一つ以上の共有結合を介して第一のポリマー鎖に共有結合している第一の親水性ポリマー鎖約5重量%〜約80重量%、好ましくは約10重量%〜約65重量%、さらに好ましくは約15重量%〜約50重量%、及び(iii)第一のポリマー鎖又は第一のポリマー鎖に共有結合したペンダントもしくは末端基の一部であるアゼチジニウム基を含む。親水性ポリマー材料の組成は、熱架橋可能な親水性ポリマー材料を調製するために使用される反応体混合物の組成(反応体の総重量に基づく)によって決まる。たとえば、反応体混合物が、反応体の総重量に基づいてエピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミン約75重量%及び少なくとも一つの第一の親水性ポリマー約25重量%を含むならば、得られる親水性ポリマー材料は、エピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミンから誘導された第一のポリマー鎖約75重量%及び少なくとも一つの第一の親水性ポリマーから誘導された第一の親水性ポリマー鎖約25重量%を含む。熱架橋可能な親水性ポリマー材料のアゼチジニウム基は、熱架橋可能な親水性ポリマー材料を調製するための架橋反応に参加しないアゼチジニウム基(エピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミンの)である。
【0083】
エピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミンは、エピクロロヒドリンを、ポリアミンポリマー又は第一級もしくは第二級アミノ基を含むポリマーと反応させることによって得ることができる。たとえば、ポリアミン及びジカルボン酸から誘導される重縮合物(たとえばアジピン酸−ジエチレントリアミンコポリマー)であるポリ(アルキレンイミン)又はポリ(アミドアミン)がエピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリマーを形成する。同様に、アミノアルキル(メタ)アクリレート、モノ−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はモノ−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマーもまた、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミンを形成することができる。ポリアミン又はポリアミドアミンポリマーのエピクロロヒドリン官能化のための反応条件がEP1465931(参照により全体として本明細書に組み込まれる)に教示されている。好ましいエピクロロヒドリン官能化ポリマーは、ポリアミノアミド−エピクロロヒドリン(PAE)(又はポリアミド−ポリアミン−エピクロロヒドリンもしくはポリアミド−エピクロロヒドリン)、たとえば、HerculesのKymene(登録商標)もしくはPolycup(登録商標)樹脂(エピクロロヒドリン官能化アジピン酸−ジエチレントリアミンコポリマー)又はServo/DeldenのPolycup(登録商標)もしくはServamine(登録商標)樹脂である。
【0084】
二つまで(好ましくは一つだけ)の反応性オリゴ−カプロラクトン末端基(上記式(I)の)を有する親水性ポリマーを、本発明における水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料を調製するための第一の親水性ポリマーとして使用することができる。当業者は、第一の親水性ポリマーを製造するための出発原料としての第二の親水性ポリマーから少なくとも一つの反応性オリゴ−カプロラクトン基(上記式(I)の)を有する第一の親水性ポリマーを調製することを周知しているであろう。たとえば、一つ又は二つのヒドロキシル又はカルボキシル末端基を有する親水性ポリマー(出発原料として)を使用して、触媒(たとえばオクタン酸第一スズ触媒)の存在下、ε−カプロラクトンの開環重合を開始させて、ヒドロキシル末端基を有するオリゴ−カプロラクトン末端鎖で一端又は両端を修飾された中間親水性ポリマーを形成することができる。コハク酸無水物と反応させることによってオリゴ−カプロラクトン末端鎖のヒドロキシル末端基をカルボキシル末端基に転換することができる。さらに、カルボキシル末端基を、ジアミンと反応させることによってアミノ末端基に又はアミノ含有メルカプタン類(たとえば2−アミノエタンチオール)と反応させることによってチオール末端基に転換することができる。あるいはまた、まず、触媒(たとえばオクタン酸第一スズ触媒)の存在下、グリコール酸を使用してε−カプロラクトンの開環重合を開始させてα−ヒドロキシル−ω−カルボキシルオリゴ(ε−カプロラクトン)を形成し、次いで、得られたα−ヒドロキシル−ω−カルボキシルオリゴ(ε−カプロラクトン)をコハク酸無水物と反応させることにより、二つのカルボキシル末端基を有するオリゴ−カプロラクトンをはじめに調製することもできる。二つのカルボキシル末端基を有する得られたオリゴ−カプロラクトンは、カップリング剤の存在又は非存在において、カップリング反応にしたがって、一つ又は二つの末端官能基(たとえばアミノ、カルボキシル、イソシアネート又はエポキシ)を有する第二の親水性ポリマーと反応して、式(I)(上記)の一つ又は二つの反応性オリゴ−カプロラクトン基を有する第一の親水性ポリマーを形成することができる。また、実施例が、少なくとも一つの反応性オリゴ−カプロラクトン末端基を含む親水性ポリマーを調製する方法を例示する。
【0085】
本発明において、水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料を製造するための第一の親水性ポリマーは、エチレンオキシド単位
、及び/又はΝ,Ν−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、N−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、1,500までの重量平均分子量を有する C
1〜C
4-アルコキシ ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの親水性ビニル系モノマーから誘導されるモノマー単位で(
フリーラジカル連鎖成長重合で)構成された直鎖状又は3本腕(又はY字形)の親水性ポリマー鎖である。
【0086】
様々な一官能末端修飾PEGを販売元、たとえばShearwater Polymers, Inc.及びPolymer Sources(商標)から得ることができる。好ましい一官能化末端修飾PEGは、一つのアミノ、ヒドロキシル、酸塩化物又はエポキシ基を一端に有し、メトキシ又はエトキシ基を他端に有するPEG類である。一つの末端ヒドロキシ、カルボキシル又はチオール基を有する様々な一官能化ポリビニルピロリドン類(PVP)を販売元、たとえばPolymer Sources(商標)から得ることができる。
【0087】
反応性官能基を有しない一つ以上の親水性ビニル系モノマーの一官能基末端修飾直鎖状親水性ポリマーは、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第6,218,508号に記載されている手順に類似した手順にしたがって調製することができる。たとえば、官能基(すなわちアミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、カルボキシル基、エポキシ基、アジリジン基又はアズラクトン基)を有しない一つ以上の親水性ビニル系モノマーと、連鎖移動剤(たとえば2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸又は他のヒドロキシメルカプタン類、アミノメルカプタン類又はカルボキシル含有メルカプタン類)とを、開始剤の存在又は非存在において共重合(熱的又は化学線的に)させて、モノヒドロキシ、モノカルボキシル又はモノアミンで末端修飾された親水性ポリマー又はコポリマーを得る。一般に、連鎖移動剤と一つ以上の親水性ビニル系モノマーとのモル比は約1:5〜約1:100である。連鎖移動剤と、官能基を有しない親水性ビニル系モノマーとのモル比は、約500〜約20,000、好ましくは約750〜約10,000ダルトンの分子量を有するポリマー又はコポリマーが得られるように選択される。一つ以上の親水性ビニル系モノマーの、モノエポキシ、モノイソシアネート又はモノ酸塩化物で末端修飾されたポリマー又はコポリマーは、公知の手順にしたがって、エポキシ、イソシアネート又は酸塩化物基を、上記で得られた一つ以上の親水性ビニル系モノマーのモノヒドロキシ又はモノアミン末端修飾ポリマー又はコポリマーに共有結合させることによって調製することができる。
【0088】
あるいはまた、一官能基末端修飾親水性ポリマーは、一つ以上の親水性モノマー(エチレン性不飽和基以外の反応性官能基を含まない)を、ヒドロキシル、アミン又はカルボキシルを含有するラジカル開始剤の存在下、約1:30〜約1:700の開始剤:親水性モノマーのモル比で重合させることによって調製することができる。アミン、ヒドロキシル又はカルボキシ基を有する開始剤の例は、アゾ開始剤、たとえば2,2′−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド又は2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレートなどである。
【0089】
本発明において、一官能化3本腕親水性ポリマーの三本の腕は、互いに独立して、直鎖状親水性ポリマー鎖であり、それらは同一であることもできるし、異なることもできる。各腕は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、イソシアネート基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される三つの第一の反応性官能基を有するC
2〜C
20化合物に結合している。一官能化3本腕親水性ポリマーは、一つだけの第二の反応性末端官能基を有する第一の直鎖状親水性ポリマーを、三つの第一の反応性官能基を有するC
2〜C
20化合物と反応させて、モノ−ジ(第一の官能基)で末端修飾された直鎖状親水性ポリマーを形成し;一つだけの第三の反応性官能基を有する第二の直鎖状親水性ポリマーを、モノ−ジ(第一の官能基)で末端修飾された直鎖状親水性ポリマーと反応させて、一つの第一の反応性官能基との結合によって結合された第一及び第二の直鎖状親水性ポリマーで構成された中間親水性ポリマーを形成し;次いで、二つの第四の反応性末端官能基を有する第三の直鎖状親水性ポリマーを中間親水性ポリマーと反応させて、一つだけの第四の反応性末端官能基を有する3本腕親水性ポリマーを形成することによって調製することができる。好ましくは、一官能化末端修飾3本腕親水性ポリマーを調製するための三つの第一の反応性官能基を有するC
2〜C
20化合物は、たとえば4−アミノ−2−ヒドロキシブタン酸、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピオン酸、チロシン、セリン又はトレオニンのように、異なる反応性を有する三つの異なる反応性官能基を含む。
【0090】
官能基を有するPEG及び官能基を有する多腕PEGは、様々な販売元、たとえばPolyscience及びShearwater Polymers, Inc.などから得ることができる。
【0091】
一つ以上の非反応性親水性ビニル系モノマー又はホスホリルコリン含有ビニル系モノマーの、モノアミノ、モノカルボキシル、ジアミノ又はジカルボキシルで末端修飾されたホモ又はコポリマーは、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第6,218,508号に記載されている手順にしたがって調製することができる。たとえば、非反応性親水性ビニル系モノマーの、ジアミノ又はジカルボキシルで末端修飾されたホモ又はコポリマーを調製するためには、アミノ又はカルボキシル基を有する連鎖移動剤(たとえば2−アミノエタンチオール、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸又は他のヒドロキシメルカプタン類、アミノメルカプタン類又はカルボキシル含有メルカプタン類)及び場合によっては他のビニル系モノマーを、ラジカル開始剤の存在下、反応性ビニル系モノマー(アミノ又はカルボキシル基を有する)と共重合(熱的又は化学線的に)させる。一般に、連鎖移動剤と、反応性ビニル系モノマー以外のすべてのビニル系モノマーとのモル比は約1:5〜約1:100であり、連鎖移動剤と反応性ビニル系モノマーとのモル比は1:1である。そのような調製において、アミノ又はカルボキシル基を有する連鎖移動剤が、得られる親水性ポリマーの分子量を制御するために使用され、また得られる親水性ポリマーの末端を形成して、得られる親水性ポリマーに一つの末端アミノ又はカルボキシル基を提供すると同時に、反応性ビニル系モノマーは、他の末端カルボキシル又はアミノ基を、得られる親水性ポリマーに提供する。同様に、非反応性親水性ビニル系モノマーの、モノアミノ又はモノカルボキシルで末端修飾されたホモ又はコポリマーを調製するためには、非反応性ビニル系モノマー、アミノ又はカルボキシル基を有する連鎖移動剤(たとえば2−アミノエタンチオール、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸又は他のヒドロキシメルカプタン類、アミノメルカプタン類もしくはカルボキシル含有するメルカプタン類)及び場合によっては他のビニル系モノマーを、反応性ビニル系モノマーの非存在において共重合(熱的又は化学線的に)させる。
【0092】
二つの(好ましくは一つだけの)反応性オリゴ−カプロラクトン基を有する親水性ポリマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは約500〜約1,000,000、より好ましくは約1,000〜約500,000、さらに好ましくは約5,000〜約250,000ダルトンである。
【0093】
本発明において、水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料を形成するための、親水性ポリマーとエピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミンとの反応は、約40℃〜約100℃の温度で、アゼチジニウム基を含む水溶性の熱架橋可能な親水性ポリマー材料を形成するのに十分な期間(約0.3時間〜約24時間、好ましくは約1時間〜約12時間、さらに好ましくは約2時間〜約8時間)実施される。本発明において、得られる親水性ポリマー材料は、水不溶性(すなわち、室温で水100mlあたり0.005g未満の溶解度)でなければならず、エピクロロヒドリン官能化ポリアミン又はポリアミドアミンのアゼチジニウム基の約99%、好ましくは約98%、より好ましくは約97%、さらに好ましくは約96%超を消費してはならない。
【0094】
本発明の好ましい実施態様において、PD又はプラズマベースコーティング上への水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料の架橋は、好ましくは、PD又はプラズマコーティングをその上に有する予備成形コンタクトレンズ(好ましくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)を、シールされたレンズパッケージ中のパッケージング溶液(すなわち緩衝水溶液)中、約118℃〜約125℃の温度で約20〜90分間オートクレーブ処理することによって実施される。本発明のこの実施態様において、パッケージング溶液は、オートクレーブ後も眼科的に安全であり、水溶性の架橋可能な親水性ポリマー材料を含む緩衝水溶液である。
【0095】
もう一つの好ましい実施態様において、トップコーティングは、PD又はプラズマベースコーティングをその上に有する予備成形コンタクトレンズを、室温で、熱架橋可能な親水性ポリマー材料の水溶液と接触させて、熱架橋可能な親水性ポリマー材料のトップ層(すなわちLbLコーティング)をコンタクトレンズの表面に形成する工程、熱架橋可能な親水性ポリマー材料のトップ層を有するコンタクトレンズをレンズパッケージ中のパッケージング溶液に浸漬する工程、レンズパッケージをシールする工程、及びコンタクトレンズを中に含むレンズパッケージをオートクレーブ処理して、架橋した親水性トップコーティングをコンタクトレンズ上に形成する工程を含む方法にしたがって形成される。熱架橋可能な親水性ポリマー材料は、正電荷を有するため、コンタクトレンズの表面に共有結合しない(すなわち、物理的相互作用による)LbLコーティングをコンタクトレンズ、特に負荷電カルボキシル基をその表面に有するコンタクトレンズ上に形成することができると考えられる。
【0096】
レンズパッケージ(又は容器)は、ソフトコンタクトレンズをオートクレーブ処理し、保存する技術分野の当業者には周知である。いかなるレンズパッケージをも本発明に使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベース及びカバーを含むブリスタパッケージであり、カバーはベースに脱着可能にシールされ、ベースは、無菌パッケージング溶液及びコンタクトレンズを受けるためのキャビティを含む。
【0097】
レンズは、個々のパッケージ中にパッケージングされ、シールされ、滅菌(たとえば、約120℃以上で少なくとも30分間のオートクレーブ処理により)されたのち、ユーザに処方される。当業者は、レンズパッケージをシールし、滅菌する方法を十分に理解するであろう。
【0098】
本発明において、パッケージング溶液は、少なくとも一つの緩衝剤及び当業者には公知の一つ以上の他の成分を含有する。他の成分の例は、非限定的に、等張化剤、界面活性剤、抗菌剤、保存剤及び潤滑剤(又は水溶性粘度上昇剤)(たとえばセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)を含む。
【0099】
パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを所望の範囲、たとえば好ましくは約6〜約8.5の生理学的に許容可能な範囲に維持するのに十分な量の緩衝剤を含有する。いずれか公知の、生理学的に適合性の緩衝剤を使用することができる。本発明のコンタクトレンズケア組成物の成分として適切な緩衝剤は当業者に公知である。例は、ホウ酸、ホウ酸塩、たとえばホウ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、たとえばクエン酸カリウム、炭酸水素塩、たとえば炭酸水素ナトリウム、TRIS(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ビス−トリス(ビス−(2−ヒドロキシエチル)−イミノ−トリス−(ヒドロキシメチル)−メタン)、ビス−アミノポリオール類、トリエタノールアミン、ACES(N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3−[N−モルホリノ]−プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−N,N′−ビス(2−エタンスルホン酸)、TES(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸)、それらの塩、リン酸緩衝剤、たとえばNa
2HPO
4、NaH
2PO
4及びKH
2PO
4又はそれらの混合物である。好ましいビス−アミノポリオール類は1,3−ビス(トリス[ヒドロキシメチル]−メチルアミノ)プロパン(ビス−TRISプロパン)である。パッケージング溶液中の各緩衝剤の量は、好ましくは0.001重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%、もっとも好ましくは約0.05重量%〜約0.30重量%である。
【0100】
パッケージング溶液は、約200〜約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250〜約350mOsmの張度を有する。パッケージング溶液の張度は、張度に影響する有機又は無機物質を加えることによって調節することができる。眼に許容可能な適切な等張化剤としては、非限定的に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール類、マンニトール類、ソルビトール、キシリトール及びそれらの混合物がある。
【0101】
本発明のパッケージング溶液は、25℃で、約1センチポアズ〜約20センチポアズ、好ましくは約1.5センチポアズ〜約10センチポアズ、より好ましくは約2センチポアズ〜約5センチポアズの粘度を有する。
【0102】
好ましい実施態様において、パッケージング溶液は、トップコーティングを形成するための水溶性の熱架橋可能な親水性ポリマー材料を好ましくは約0.01重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約1.5重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約1重量%、もっとも好ましくは約0.2重量%〜約0.5重量%含む。
【0103】
架橋したコーティング及びパッケージング溶液の少なくとも一つが、ポリエチレングリコールセグメントを有するポリマー材料を含有する場合、パッケージング溶液は、好ましくは、ポリエチレングリコールセグメントの酸化分解に対する感受性低下をもたらすのに十分な量のα−オキソ多酸又はその塩を含む。所有者が同じである同時係属中の特許出願(全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開公報第2004/0116564A1号)は、オキソ多酸又はその塩がPEG含有ポリマー材料の酸化分解に対する感受性を低下させうることを開示している。
【0104】
例示的なα−オキソ多酸又はその生体適合性の塩としては、非限定的に、クエン酸、2−ケトグルタル酸もしくはリンゴ酸又はそれらの生体適合性(好ましくは眼科的に適合性)の塩がある。より好ましくは、α−オキソ多酸は、クエン酸もしくはリンゴ酸又はそれらの生体適合性(好ましくは眼科的に適合性)の塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩など)である。
【0105】
本発明において、パッケージング溶液はさらに、ムチン様物質(たとえばポリグリコール酸、ポリラクチドなど)、眼科的に有益な物質(たとえば2−ピロリドン−5−カルボン酸(PCA)、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、クエン酸、リノール酸及びガンマリノール酸、それらの塩、タウリン、グリシンならびにビタミン類)及び/又は界面活性剤を含むことができる。
【0106】
使い捨てコンタクトレンズがシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズである場合、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、好ましくは、少なくとも約40barrer、好ましくは少なくとも約50barrer、より好ましくは少なくとも約60barrer、さらに好ましくは少なくとも約70barrerの酸素透過度;約1.5MPa以下、好ましくは約1.2MPa以下、より好ましくは約1.0以下、さらに好ましくは約0.3MPa〜約1.0MPaの弾性率;少なくとも約1.5×10
-6mm
2/min、より好ましくは少なくとも約2.6×10
-6mm
2/min、さらに好ましくは少なくとも約6.4×10
-6mm
2/minのイオノフラックス拡散係数D;完全に水和した状態で好ましくは約18重量%〜約70重量%、より好ましくは約20重量%〜約60重量%の水分含量;又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの性質を有する。
【0107】
前記開示は、当業者が本発明を実施することを可能にする。本明細書に記載された様々な実施態様に対して様々な修飾、変形及び組み合わせを加えることができる。読者が具体的な実施態様及びその利点をより良く理解することができるよう、以下の実施例を参照されたい。詳細な説明及び実施例は例示的であるとみなされる。
【0108】
具体的な用語、装置及び方法を使用して本発明の様々な実施態様を説明したが、このような説明は例を示すためだけのものである。使用した語は説明のための語であり、限定のための語ではない。以下の特許請求の範囲に述べられる本発明の真意又は範囲を逸することなく当業者によって変更及び変形が加えられてもよいことが理解されよう。加えて、様々な実施態様の局面が全体的又は部分的に交換されたり、何からのやり方で組み合わされたり、いっしょに使用されたりしてもよいことが理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲の真意及び範囲は、本明細書に含まれる好ましい態様の説明に限定されるべきではない。