(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181076
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ワイヤレスドッキングリンクバジェット最適化システム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20170807BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20170807BHJP
H02J 50/00 20160101ALI20170807BHJP
【FI】
H04B7/08 020
H02J7/00 301D
H02J50/00
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-551699(P2014-551699)
(86)(22)【出願日】2013年1月4日
(65)【公表番号】特表2015-509323(P2015-509323A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】IB2013050079
(87)【国際公開番号】WO2013105005
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/586,357
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163810
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 広和
(72)【発明者】
【氏名】ドラーイエル モーリス ヘルマン ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ラール フランシスクス アントニウス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ホルトマン コーエン ヨハンナ ガイラウム
【審査官】
大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−277922(JP,A)
【文献】
特開2008−312294(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0057969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H02J 7/00
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスモバイルデバイスとドッキングするためのワイヤレスドッキングステーションであって、
前記ワイヤレスモバイルデバイスとドッキングするためのプラットフォームと、
ラジオに対するインタフェースと、
複数のアンテナと、
アンテナスイッチと、
信号センサと、
制御ユニットとを含み、
前記プラットフォームは、前記複数のアンテナを有するドッキングパッドであり、前記複数のアンテナは、前記ドッキングパッドの面の下に設けられ、
前記制御ユニットは、前記信号センサにより前記ワイヤレスモバイルデバイスから発せられるビーコン信号に基づいて前記複数のアンテナからアンテナを選択し、選択されたアンテナを前記インタフェースに接続するように前記アンテナスイッチを制御する、ワイヤレスドッキングステーション。
【請求項2】
前記複数のアンテナは、指向性アンテナである、請求項1に記載のワイヤレスドッキングステーション。
【請求項3】
前記複数のアンテナは、前記信号センサの一部である、請求項1に記載のワイヤレスドッキングステーション。
【請求項4】
前記プラットフォームは、動作中に前記ワイヤレスモバイルデバイスが載置される平坦な表面である、請求項1に記載のワイヤレスドッキングステーション。
【請求項5】
誘導充電機能を備えたワイヤレスモバイルデバイス内の充電バッテリ用の充電コイルを更に有する、請求項1に記載のワイヤレスドッキングステーション。
【請求項6】
1よりも多いワイヤレスモバイルデバイスが前記ワイヤレスドッキングステーションとドッキングされる場合、複数のアンテナのうちの1よりも多いアンテナが、前記インタフェースに接続される、請求項1に記載のワイヤレスドッキングステーション。
【請求項7】
ドッキング対象をドッキングステーションにワイヤレスでドッキングするための方法であって、
前記ドッキングステーションは、ドッキング対象と接続するための複数のアンテナを有し、前記複数のアンテナは、ドッキングパッドの面の下に設けられ、
当該方法は、
前記複数のアンテナを介して前記ドッキングパッドの面の上の前記ドッキング対象を検出するステップと、
前記ドッキング対象から発せられるビーコン信号に基づいて、前記複数のアンテナからアンテナを選択するステップと、
前記の選択されたアンテナを用いて前記ドッキング対象と接続するステップとを有する、方法。
【請求項8】
前記の検出の前に前記複数のアンテナのうちの1つと前記ドッキング対象とを接続するステップを更に有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記の検出は、
前記複数アンテナのそれぞれにおける信号強度測定、
前記複数のアンテナのそれぞれにおける待ち時間測定、及び
前記ドッキング対象の位置測定のうち少なくとも1つを有する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスドッキングに関し、より詳細には、リンクバジェット最適化のためのワイヤレスドッキングシステム及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
周辺機器にモバイルデバイスを接続する将来は無線であると期待される。Wi−Fi又はBLUETOOTH(商標)のようなモバイルデバイスのために用いられる共通の通信規格が存在する。ユーザがコンテンツをモバイルデバイスからテレビスクリーンに流れ出させたい場合、唯一の一般に利用可能なオプションは、Wi−Fi 802.11a/b/g/n規格である。残念なことに、Wi−Fiのような現在のワイヤレス規格は、他のデバイスからの干渉に苦しむ。これらの規格は、2.4GHz及び5.2GHzの範囲における無認可の帯域を用い、斯様な帯域の有効性及び性能は保証されない。これは、実際には、帯域幅性能がこれらのフリーな帯域におけるアクティビティに非常に依存することを意味する。Wi−Fi機器だけでなく、ビデオリンク、電子レンジ及び多くの他のデバイスも、同じスペクトルにおいて動作する。それ故、斯様な環境において動作するデバイスのためのリンクバジェットを最適化する必要性が存在する。リンクバジェットは、通信システムにおけるトランスミッタから媒体を介してレシーバへのゲイン及びロスのすべてのアカウンティングであることに留意されたい。
【0003】
上記の問題のため、この干渉を減少させるとともにモバイルデバイスとこれらの周辺機器との間の接続のリンクバジェットを増大させる解決策は、より大きな価値がある。これらの解決策を適用することにより、例えばモバイルデバイスからスクリーンへのビデオストリーミングの質は大幅に増大するだろう。
【0004】
他の関連した技術はワイヤレス充電である。ワイヤレス充電パッドはよく知られている。典型的に、ワイヤレス充電パッドは、電磁誘導を介して充電されるべきモバイルデバイス内の充電コイルと結合する充電コイルを含む。モバイルデバイスの充電コイル上の誘導電流は、モバイルデバイス内のバッテリを充電する。
【0005】
リンクバジェット最適化の上記の問題を回避するために、リンクバジェットは、或る状況において、例えばモバイルデバイスを充電しているときに、増大され得る。通常、モバイルデバイスは、有線又は無線の充電ユニット又はパッド上で充電している間、近くのアクセスポイントに接続される。それ故、充電パッドがリンクバジェット最適化回路又は部品を備えることにより充電及びドッキングパッドになるように変更された場合、モバイルデバイスが充電されると同時にリンクバジェットが増大され得る。これは、モバイルデバイスが斯様なドッキングパッド上に配置されたときに、モバイルデバイス内のアンテナとドッキングパッド内のアンテナとの間の距離が最小化され、ドッキング対象(dockee)とドッキングステーションとの間の最小の信号損失をもたらす、という事実を考慮する。それ故、単一のユニットにワイヤレス充電機能とワイヤレスドッキングステーション機能とを組み合わせるパッドは、ユーザにとってより大きな価値があり、便利である。一般に、ドッキングステーションは、パッド、クレイドル、スロット等のような異なる形状及び形式において実現され得ることに留意されたい。ドッキングステーションがパッドとして実現されたときには、ドッキングステーションは、ドッキングパッドと呼ばれてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、充電パッドは、通常、モバイルデバイスを最適に配置することを目的とする任意の構造体を伴うことなく、モバイルデバイスを受けるための平坦な表面を有するだけである。それ故、モバイルデバイスは、パッド上にどこにでも任意に配置されてもよく、任意の恣意的な向きであってもよい。ドッキング対象とドッキングするためのパッドを有するワイヤレスドッキングステーションは、ドッキング対象内のアンテナとドッキングステーション内のアンテナとの間の距離及び向きがドッキング対象をパッド上に恣意的に配置することにより、最適にならないかもしれないという課題に直面する。結果として、ドッキング対象とドッキングステーションとの間のリンクバジェットは最適化されないかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで述べられる特定の実施形態は、ワイヤレス充電と任意に組み合わせられ得るワイヤレスドッキング環境におけるアンテナ設計について述べる。特定の実施形態は、有利には、現在のWi−Fi規格の下で最適化されたビデオストリーミング又はデータ転送の間にワイヤレス充電を提供する。提案されたアンテナ設計の1つの利点は、ドッキング対象がドッキングステーション上に任意に配置された場合であっても、リンクバジェットが依然として大幅に増大され得ることである。
【0008】
本発明の他の利点は、モバイルデバイスの特性を変えることなくリンクバジェットが大幅に増大され得ることである。有利には、特定の実施形態は、ブランド、タイプ又はWi−Fi規格(例えば802.11a/b/g/n)から独立して、任意のモバイルデバイス上に実装されてもよい。
【0009】
一実施形態において、ここで述べられる本発明は、ワイヤレスデバイスとドッキングするためのワイヤレスドッキングステーションであって、前記ワイヤレスデバイスとドッキングするためのプラットフォームと、ラジオに対するインタフェースと、複数のアンテナと、アンテナスイッチと、信号センサとを含み、前記ワイヤレスデバイスが当該ワイヤレスドッキングステーションにドッキングされているときに、前記アンテナスイッチは、ドッキングされたワイヤレスデバイスから送信されて前記信号センサにより検出された信号に基づいて前記複数のアンテナのうち1つを前記インタフェースに接続する、ワイヤレスドッキングステーションに関する。
【0010】
一般に、本発明の種々の態様は、本発明の範囲内で考えられる任意の手段において組み合わせられてもよく、結合されてもよい。本発明とみなされる主題は、とりわけ、明細書の結びにある請求項において指し示され、明確に請求される。本発明の前述の及び他の特徴及び利点は、添付図面と併用される以下の詳細な説明からの明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるワイヤレスドッキングステーションとドッキングされるワイヤレスデバイスを示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるワイヤレスドッキングステーションの部品を示す。
【
図3】本発明の一実施形態によるドッキングプロセスフローを示す。
【
図4】本発明の一実施例によるワイヤレスドッキングステーションの指向性無線電波の範囲を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ワイヤレスドッキング
ワイヤレスドッキングは、典型的には静的なドッキング環境に携帯電話機、ラップトップ等のようなポータブルデバイスを接続するためにワイヤレス技術を用いる。斯様なポータブルデバイスは、ドッキング対象(dockee)又はワイヤレスドッキング対象(wireless dockee)と呼ばれている。ワイヤレスドッキング環境は、ドッキング対象に対して、大きなスクリーン、キーボード、マウスのような周辺機器、及び、ドッキング対象上で実行するアプリケーションとインタラクトするときに、エンドユーザの体験及び生産性を向上させるために用いられ得る入出力ポートへのアクセスを与える。ワイヤレスドッキングのための1つの例は、携帯電話機上で実行する、電子メールクライアント又はウェブブラウザのようなアプリケーションとインタラクトしているときに、TV又はPCモニタのようなより大きいスクリーンを用いる能力を携帯電話機のユーザに与えることである。
【0013】
ワイヤレスドッキングを実現するために、ドッキング対象は、ワイヤレスドッキング環境内の周辺機器に接近するために、ワイヤレスドッキングホストとしても知られている1又はそれ以上のワイヤレスドッキングステーションにワイヤレスで接続する。最も単純なケースにおいて、ワイヤレスドッキング環境は、(リビングルーム内、オフィス内の机上等の)或る位置で、TV、PCモニタ、キーボード等のような周辺機器が全て接続される単一のワイヤレスドッキングステーションを有することにより実現される。1つの特定の例において、Bluetoothワイヤレスキーボード及びUSBウェブカメラは、ドッキング環境の部分になるために、ドッキングステーションに接続され得る。それ故、ドッキング対象は、ドッキングステーションとドッキングした後に、ワイヤレスキーボード及びUSBウェブカメラに接続されるだろう。
【0014】
実用的な用語において、Wi−Fiは、多くの(潜在的な)ドッキング対象デバイスが既に搭載されたWi−Fiサポートを備えるので、ドッキングステーションとドッキング対象デバイスとの間のワイヤレスドッキングを可能にするための最も論理的なワイヤレスプロトコルであるだろう。しかしながら、ユーザフレンドリな手段で異なるドッキング対象とドッキングステーションとの間の相互デバイス及び相互製造互換性を保証することを目的とした完全なワイヤレスドッキングシステムは、関連した周辺機器によりドッキング対象とドッキングステーションとの間のより容易且つ便利な自動Wi−Fi接続設定を実現する、ドッキング対象とドッキングステーションとの間の一組のメカニズム又はプロトコルにより更に規定される。
【0015】
ワイヤレスドッキング環境において、"ドッキングされている"状態、ドッキングされた状態は、この文脈において、ドッキング対象がワイヤレスドッキング環境内の周辺機器へのアクセス、又は、少なくともドッキング対象がアクセスするために選択されたワイヤレスドッキング環境内の周辺機器へのアクセスを有する状態である。単一のワイヤレスドッキング環境への多くの周辺機器のグループ化、及び、ユーザが単一の"ドッッキング"動作を開始することによりドッキング対象をワイヤレスドッキング環境内のこれらの周辺機器を接続することを可能にすることは、使いやすさを可能にするというキーコンセプトである。ドッキング解除の状態は、ワイヤレスドッキング環境内の周辺機器へのアクセスがない状態である。好ましくは、ドッキング及びドッキング解除の手順は可能な限り自動であり、最小のユーザ介入及びユーザによる最小の事前設定を要する。
【0016】
ドッキングステーションは、多くの方法で実現され得る。それは、特別に設計された単一目的のデバイスであってもよく、又は、例えば、ドッキングをより便利及び/又は効率的にするために取り付けられた幾つかの追加のハードウェアを有し得る幾つかのソフトウェアアプリケーションを実行するPCであってもよい。HDTVは、ドッキングステーションとして機能するために内蔵型機能を有してもよい。ドッキングステーションの全てのこれらの種類のために考慮される1つの設計オプションは、ステーションに、ドッキング対象が配置され得るクレイドルを備えることである。クレイドルにおけるドッキング対象の配置は、ドッキング動作をトリガするという効果を概ね有するだろう。他のオプションは、ドッキングステーションに、表面にドッキング対象が置かれ得るドッキングパッドを備えることである。前と同じように、置くことは、少なくともドッキング対象が置かれる前にドッキング解除の状態にあったときに、ドッキング動作をトリガするだろう。
【0017】
ドッキングステーションにクレイドル、パッド又は他の境界を定められたエリアを備えることは、ビルにおける単一の部屋又は単一のエリアが潜在的なワイヤレス範囲内に多くのドッキングステーションを含む場合、ユーザがどのステーション及び包含されたワイヤレスドッキング環境とドッキングしたいかをユーザが示すための容易な手段があるという利点を有する。他のトリガ動作は、ドッキング対象デバイス上のメニューを用いることによるものであってもよい。例えば、リビングルームにおいて、ユーザがその手にドッキング対象デバイスを持って椅子に座っているときに、ドッキング対象上のメニューを用いることにより、腕の長さの範囲内にないドッキングステーションによりドッキング動作をトリガするために便利であるだろう。ドッキング解除状態からドッキング状態にするための追加のトリガは、(a)ドッキング対象による、又は、(b)ドッキング対象上の、又は、(c)ドッキングステーション上の、特定のボタンを押しているユーザによる、ドッキングステーション上のNFC(Near Field Communication)タグのスキャン含む。最大限に役立つワイヤレスドッキング規格は、多くのこれらのタイプのトリガ動作を可能にするべきであり、デバイス製造者及びエンドユーザに、彼らにとって最も便利であるものを選択するための選択肢を与える。
【0018】
最大の利便性を作り出すために、ドッキング解除動作のトリガは、常にドッキング動作のトリガの逆になるべきではない。例えば、ドッキングがドッキングパッド上に携帯電話機ドッキング対象を置いているユーザにより自動的に開始され得る場合、ユーザが呼び出しに応答するために携帯電話機をとるときにドッキング解除が自動的に起こる場合に便利ではないかもしれない。電話機とドッキングステーションとの間のWi−Fiリンクは、幾つかのケースにおいてリンクのスループットがユーザの体により直接的な信号経路をブロックしているユーザにより苦しみ得るにもかかわらず、ユーザがドッキングパッドから電話機をとるときに、同様に維持され得る。
【0019】
ドッキング対象が、ドッキングパッド上に置かれるか、クレイドル内に配置されるか、又は、ドッキングステーション若しくはドッキング環境に関連する(物理的にマークされていないか、若しくは、存在が知られている)エリア内にユーザにより置かれる場合には、ドッキング対象は、"物理的にドッキングされている"状態を有するものとみなされる。ドッキング対象が物理的にドッキングされている状態に入った場合には、これがドッキング動作をトリガしてもよく、ドッキング対象が論理的にドッキングされることをもたらす。ドッキング対象が物理的にドッキングされている状態のままの場合、論理的にドッキングされることを必ずしも停止する必要はないかもしれない。
【0020】
物理的なドッキングは、多くの理由によりユーザにより行われ得る。これらの理由の幾つかは、同時に以下を適用し得る。
1.論理的ドッキングプロセスをトリガする。
2.ドッキング対象が充電パッド上に電話機を配置することにより電源(例えばワイヤレス充電)に接続されることを保証する。
3.ドッキング対象とドッキングステーション/ドッキング環境との間の無線通信の質を最適化するか又はより予測可能にする。通信の質(速度、待ち時間)及び予測性は、結局、ドッキング環境内の周辺機器とのドッキング対象の組み合わせの実用性に対して効果を有するだろう。
4.セキュリティメカニズムへの入力を生成する。従って、(a)ドッキングプロセスは、よりしっかりと進行し得る、及び/又は、(b)ドッキングプロセスは、離れて論理的にドッキングしているときに、ユーザが通らなければならない幾つかのセキュリティダイアログステップを省略することができる。ワイヤレス接続は、中間者攻撃の対象になり得る。これにより、正しい機器をもつ(遠隔の)攻撃者は、ドッキングステーションに対するドッキング対象又はドッキング対象に対するドッキングステーションに扮し得る。(Bluetoothからの)ピンコード認証のような既知のメカニズムが好結果の攻撃のチャンスを低下させ得る一方で、これらはユーザフレンドリではない。遠隔の中間攻撃者が影響するのが難しい物理的なドッキングのための検出メカニズムを伴う物理的なドッキングは、それ故、セキュリティを強化するための重要な手段であり、利便性を犠牲にすべきではない。
【0021】
幾つかの重要なプロセス要素は、ドッキング解除からドッキング状態をもたらすプロセスのために識別される。これらのプロセス要素は、固定された順序において発生する必要もないし、予想されたドッキングプロセスのタイプ毎に常に発生する必要もない。これらの要素の幾つかは以下のとおりである。
1.トリガが無線範囲にある複数のワイヤレスドッキング環境の中から単一のワイヤレスドッキング環境を選択し得る、実行しているドッキングプロセスを得るトリガ又はキックオフメカニズム/イベント。
2.中間者攻撃を防御する"信頼関係生成/検出"メカニズムに多くの場合依存するこれらの安全な接続の初期化を伴う、ドッキング対象とドッキングステーション又はドッキング環境内の他の要素との間の1又はそれ以上の安全な無線接続の生成。
3.例えばWi−Fiチャネルのような、ドッキング状態における周辺機能への及び周辺機能からの通信のために用いるインタフェースの設定及び最適な無線プロトコルの選択。
【0022】
本発明の一実施形態において、無線ドッキングステーションは、切り替え可能なアンテナアレイを含む。必要というわけではないが、理想的には、切り替え可能なアンテナアレイは、無線充電パッドと組み合わせられ、これにより、同時のバッテリ充電及びリンクバジェット最適化を提供する。
【0023】
本発明の他の実施形態において、ドッキングステーションは、モバイルデバイスに向かって指向された指向性アンテナビームを含む。ドッキングステーションからのラジオ信号が指向性であるので、他方向におけるラジオエネルギ損失は最小化される。この手法において、ドッキングステーションとモバイルデバイスとの間のリンクバジェットは最適化される。位相シフタ並びに他のラジオ回路及び部品は、当業者により知られているように、斯様な指向性ビームを作り出すために必要とされることに留意されたい。
【0024】
一実施形態において、短距離接続のために設計された無線ドッキングステーションにおける切り替え可能なアンテナアレイが用いられる。切り替え可能なアンテナアレイにおける複数のアンテナの中のアンテナは、モバイルデバイス内部のアンテナと通信するために用いられる。選択されたアンテナは、モバイルデバイスがそのアンテナを保持するポイントの極めて近くに最適に配置される。
【0025】
無線ドッキングステーションは、モバイルデバイスがドッキングするためのプラットフォームを有する。プラットフォームは、単純に、モバイルデバイスが載置され得る平坦な表面であり得る。代わりとして、プラットフォームは、スロットにモバイルデバイスを挿入することにより、又は、モバイルデバイスをドッキングステーションにおける特定の向き及び位置に配向することによりドッキングが生じるのを可能にするために、スロットを有してもよく、又は、特定の形状であってもよい。
【0026】
一実施形態において、切り替え可能なアンテナアレイは、モバイルデバイスのアンテナとドッキングステーション内の切り替え可能なアンテナアレイとの間の距離を最小化するために、無線ドッキングステーションの表面より下に配置される。モバイルデバイスのアンテナに最も近い切り替え可能なアンテナアレイのアンテナを選択することにより、リンクバジェットは増大され得る。しかしながら、ドッキングステーションにおけるアンテナに対するモバイルデバイスの向きに依存して、リンクバジェットがアンテナ間の角度及び距離により影響を受け得るので、最適なリンクバジェットを与えるアンテナは、モバイルデバイスのアンテナまでの距離について最も近いものでなくてもよいことに留意されたい。
【0027】
一実施形態において、信号センサは、最適リンクバジェットを与えるアンテナを決定するために用いられる。信号センサは、ドッキング対象のアンテナの位置及び向きを決定するためにドッキング対象からのラジオ信号を検出するために多数の無線受信装置を使用してもよい。三角測量のような既知の技術が斯様な決定を行うために用いられてもよい。他の実施形態において、ドッキングステーション内のアンテナの少なくともいくつかは、信号センサ用のラジオ受信装置としても用いられる。
【0028】
他の実施形態において、ドッキングステーション内のアンテナの各々は、最適なリンクバジェットをもたらすアンテナを選択するために、ドッキング対象のアンテナと結合するために個別に用いられてもよい。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるドッキングステーションとドッキングしたモバイルデバイス120を示している。ドッキングステーションは、ドッキングパッド100として実現される。アンテナ121を含むモバイルデバイス120は、ドッキングパッド100の表面110上に配置される。ドッキングパッド100は、充電コイル130がパッドに含まれる場合、充電パッドとして機能してもよい。表面110の下に設けられた複数のアンテナ111,112,113,114及び115がある。一実施形態において、複数のアンテナ111,112,113,114及び115のうちの1つは、モバイルデバイスのアンテナ121と通信するために選択される。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態による、
図1におけるドッキングステーションに適用可能な、切り替え可能なアンテナアレイを示している。アンテナスイッチ220は、ラジオインタフェース230を複数のアンテナ221,222,223,224及び225のうちの1つと接続する。ラジオは、例えば、802.11a/b/g/n信号を供給するWi−Fiデバイス又はWi−Fiダイレクトアクセスポイントであり得る。信号は、アンテナスイッチ220により選択されたアンテナに運ばれる。制御ユニット240は、信号センサ210と共に、複数のアンテナ221,222,223,224及び225のうちどれがアンテナスイッチ220によりラジオインタフェース230に切り替え可能に接続されるかを決定するために用いられる。アンテナ221,222,223,224及び225の少なくとも幾つかは、各々がモバイルデバイスのアンテナからの信号強度及び質を検出し得るので、信号センサの一部であってもよいことに留意されたい。検出された信号は、アンテナ221,222,223,224及び225の各々を順次ドッキング対象と接続することにより得られてもよい。信号センサ210からのセンシング結果に基づいて、制御ユニット240は、どのアンテナを用いるべきかを決定し、ラジオインタフェース230と接続するためにアンテナスイッチ220に対してスイッチングコマンドを発行する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態によるドッキングプロセスフローを示している。
【0032】
310において、ドッキングステーション内のアンテナは、ドッキング対象内のアンテナと接続するために用いられる。ドッキングステーションにおいて使用されるアンテナ(例えばデフォルトアンテナ)は、任意に選択され得る。このアンテナは、アンテナ選択プロセスの完了を待つ必要なくドッキング対象とドッキングステーションとの間の接続を与えるが、リンクバジェットはこの場合において最適でなくてもよい。それ故、ドッキング対象とドッキングステーションとの間のデータフローは既に進行中であり得る一方で、アンテナ選択プロセスが生じる。
【0033】
オプションとして、ステップ310は、ドッキングプロセスの実装を簡素化するために省略され得る。しかしながら、この場合、アンテナの選択が完了された後にのみデータフローが生ずる。
【0035】
一実施形態において、センサは、最適なアンテナを選択するために、受信した信号の信号強度を測定する。他の実施形態において、センサは、信号の待ち時間を測定する。ほとんどの標準Wi−Fiチップセットは、信号強度を供給することができ、及び/又は、測定機能を遅延させることができ、これにより、追加のハードウェアは必要とされないが、振幅及び/又はタイミング測定のための別個の回路が他の実施形態において検討されることに留意されたい。信号強度測定又は遅延測定は、ドッキングステーション内のアンテナの、全てではないにしても少なくとも幾つかについて1アンテナずつ、ドッキング対象のビーコン信号を待つことにより実行され得る。
【0036】
センサは、ドッキング対象の位置を測定してもよい。音波はこのドッキング環境において比較的ゆっくり進むので、音響原理を用いてオブジェクトの場所を突き止めることはあまり難しくない。一実施形態において、固有の音は、より容易な識別のために、ドッキング対象の位置を決定するために用いられる。しかしながら、このアプローチは、追加の音響ハードウェアを必要とするだろう。
【0037】
上記の測定の少なくとも幾つかの組み合わせが生じてもよい。
【0038】
330において、最適なリンクバジェットを提供するドッキングステーション内のアンテナがセンサ測定を用いて選択される。一実施形態において、最も強い信号強度を有するアンテナが選択される。他の実施形態において、最も短い待ち時間を有するアンテナが選択される。他の実施形態において、ドッキング対象の位置に最も近いアンテナが選択される。上記のファクタの組み合わせに基づく選択基準がアンテナを選択するために用いられ得ることも考えられる。例えば、類似の信号強度を提供する2つのアンテナの間で、最も短い待ち時間を有するものが選択される。
【0039】
340において、ドッキングステーションは、(310で)他のアンテナを用いた接続が既に存在する場合、選択されたアンテナへの接続を切り替える。310がオプションとして省略される場合、接続は、ドッキング対象内のアンテナ及びドッキングステーション内の選択されたアンテナによりドッキング対象とドッキングステーションとの間で確立される。
【0040】
例えば、ユーザがドッキングステーション上の異なるスポットにドッキング対象を移動した場合、選択されたアンテナはもはや最適なアンテナではないかもしれないことに留意されたい。また、
図3は、一実施形態において、340と320との間のループを示しており、センサ測定は、最適なアンテナが選択及び使用されることを保証するために連続的又は周期的に行われる。
【0041】
ここの特定の実施形態の1つの利点は、多くの標準部品が、あったとしてもあまり多くのカスタム化を伴うことなく用いられ得ることである。
図2に示されたアンテナスイッチ220のようなアンテナスイッチングユニットは、よく知られており、多くの無線アプリケーションにおいて広く用いられる。例えば、2.5GHz及び5.2GHzの周波数をそれぞれもつa周波数帯域とb/g周波数帯域との間で切り替えるためのスイッチングユニットを用いることは、良く知られた技術であり、広く適用される。SKYWORKS(登録商標)により製造されたPHEMT GaAs SPDT Switch(AS213−92、AS213−92LF)のようなスイッチング部品は、Wi−Fi信号を切り替え可能である。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態による、パッド表面上に載置されているモバイルデバイスに向かって複数の無線電波401,402,403を生成するドッキングパッド400を示している。とりわけ、これらのビームは、アンテナが配置されるエリアに渡って生成される。アンテナが指向性である場合、無線電波は、モバイルデバイスに向かって良好に指向され得る。指向性アンテナを実装することは、非常に改良されたリンクバジェットをもたらし得る。
【0043】
1よりも多いデバイスがパッド上に配置される場合、より多くのアンテナが同時に活性化され得る。この場合にはインピーダンスがマッチされなければならないことに留意されたい。加えて、放射されたエネルギがアンテナ毎に低くなるので、信号強度がマッチされなければならないだろう。検出されるドッキング対象の数に基づいて、制御ユニットは、適切なインピーダンス及びラジオ出力を供給するように回路を制御するだろう。
【0044】
他の実施形態において、ドッキング対象とドッキングステーションとの間のリンクバジェットは、MIMO対応ビームステアリング又はマルチパスフェーディングの抑制によりドッキングステーション内の複数のアンテナを用いることにより強化され得る。しかしながら、これは、複数のアンテナ間の位相アレイ又は時間情報をサポートするために追加のハードウェアを必要とするだろう。
【0045】
アンテナアレイ内の複数のアンテナは、異なるタイプ、サイズ及び形状であってもよい。例えば、アンテナは、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ又はコイルであってもよい。一実施形態において、パッドの下にアンテナのアレイを生成するために、アンテナの特定タイプの選択は、広い表面(例えばワイヤレス充電パッド)を介して再現される。加えて、リンクバジェット最適化のための特定の挙動を有する形状がある。例えば、他の実施形態において、2つの平行した伝導性のプレートにより形成される容量性アンテナが用いられる。充電パッドのコイルは、アンテナとして利用されてもよい。しかしながら、斯様なコイルは、典型的には、ワイヤレス充電のために最適化され、通常、良好なWi−Fiリンクバジェットをもたらすことにおいてあまり効率的ではない。これは、それらが非常に低い周波数及び主としてHタイプの電磁波に基づくためである。好ましい実施形態において、Eタイプの電磁波のために設計されたアンテナが実装される。
【0046】
更に、セラミック材料のような他のアンテナ材料が適用され得る。異なる伝播速度のため、これらの異なる材料は、最適周波数で異なるサイズを有し、従って、設計利点を与える。
【0047】
本発明は、ワイヤレスドッキング、及び、ユーザが或る固定された位置に無線デバイスを自由に配置する混雑した無線環境においてワイヤレス接続が行われる必要がある他の状況に適用可能である。
【0048】
前述の詳細な説明は、本発明がとり得る多くの形式のうち幾つかを記載した。前述の詳細な説明は、本発明がとり得る選択された形式の図として理解され、本発明の定義に対する限定として理解されるものではないものと意図される。本発明の範囲を規定するものと意図されるのは全ての均等物を含む請求項だけである。
【0049】
最も好ましくは、本発明の原理は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせとして実装される。更に、ソフトウェアは、好ましくは、プログラムストレージユニット上に明白に具現化されたアプリケーションプログラムとして、又は、部分からなる、若しくは、特定のデバイスからなる、及び/若しくは、デバイスの組み合わせからなるコンピュータ読み取り可能なストレージ媒体として、実装される。アプリケーションプログラムは、任意の適切なアーキテクチャを有するマシンにアップロードされてもよく、前記マシンにより実行されてもよい。好ましくは、マシンは、1又はそれ以上の中央処理ユニット(CPU)のようなハードウェアを有するコンピュータプラットフォーム、メモリ及び入出力インタフェース上に実装される。コンピュータプラットフォームは、オペレーティングシステム及びマイクロ命令コードを含んでもよい。ここで述べられた種々のプロセス及び機能は、マイクロ命令コードの部分、アプリケーションプログラムの部分、又は、これらの任意の組み合わせのいずれかであってもよく、これは、斯様なコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されるかどうかにかかわらず、CPUにより実行され得る。加えて、種々の他の周辺装置は、追加のデータ記憶装置及び印刷ユニットのようなコンピュータプラットフォームに接続されてもよい。