(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、前記羽根車部材とロータマグネットの間の軸方向の隙間であることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の遠心ポンプ。
前記羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、羽根車部材とロータマグネットの間の半径方向の隙間rと、羽根車部材とロータマグネットの間の軸方向の隙間hであり、
r<hの関係に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遠心ポンプ。
【背景技術】
【0002】
図7は、このような従来の遠心ポンプの縦断面図を示している。
【0003】
図7に示したように、従来の遠心ポンプ100は、回転羽根部材102を備えている。この回転羽根部材102は、円管状の軸受け部104の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材106を備えている。
【0004】
なお、本明細書中、「上側」、「上部」、「上方」、「下側」、「下部」、「下方」などの上下方向を示す用語は、各図面において、上下方向を示すものであり、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0005】
羽根車部材106は、軸受け部104の下部外周方向に延設された基端部分108と、この基端部分108から上方に外周方向に拡径した拡径部110と、この拡径部110から外周方向に延設された外側羽根部112とから構成されている。
【0006】
また、回転羽根部材102は、基端部分108の外周に、環状の永久磁石からなるロータマグネット122が設けられている。
【0007】
なお、ロータマグネット122と羽根車部材106との間は、羽根車部材106に対して、ロータマグネット122の回り止め、抜け落ちが防止される構造となっており、羽根車部材106がロータマグネット122とともに、軸部材154の周りを回転するように構成されている。
【0008】
さらに、遠心ポンプ100は、
図7に示したように、回転羽根部材102を収容する本体ケース124を備えている。本体ケース124は、上側本体ケース126を備えており、上側本体ケース126は、頂壁128と、頂壁128の外周から下方に延設された側周壁130とから構成されている。
【0009】
上側本体ケース126の側周壁130には、吸込側継手部材(吸い込み側導管)132が、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、吸込側継手部材132が連通するように構成されている。
【0010】
また、上側本体ケース126の側周壁130には、吸込側継手部材132と対向するように、吐出側継手部材136が、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、吐出側継手部材136が連通するように構成されている。
【0011】
また、
図7に示したように、本体ケース124は、下側本体ケース(ロータケース)138を備えている。そして、上側本体ケース126の側周壁130の下端141の内壁に、下側本体ケース138の外周フランジ142が密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、上側本体ケース126と下側本体ケース138で囲まれた内部空間S1が形成されている。
【0012】
この下側本体ケース138は、
図7に示したように、下側本体ケース138の外周フランジ142から、内周側に略水平に延びた羽根収容部144と、この羽根収容部144から下方に延びたロータマグネット収容部146とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部146の下方に、有底筒状の下側軸受部材収容部148が形成されている。
【0013】
そして、下側軸受部材収容部148に、下側軸受部材150が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この下側軸受部材150に形成された軸穴152に、軸部材154の下端部156が、軸支されるように固定されている。
【0014】
また、この回転羽根部材102の軸受け部104内に、回転羽根部材102が回転できるように軸部材154が挿通されている。
【0015】
さらに、本体ケース124は、羽根ケース158を備えている。この羽根ケース158は、吸込側継手部材132側において、この羽根ケース158の外周フランジ160が、上側本体ケース126の側周壁130の下方に、密封状態で固着されている。
【0016】
一方、羽根ケース158は、吐出側継手部材136側において、その側周壁162に開口部が形成され、この側周壁162の開口部の周囲が、本体ケース124の側周壁130に、吐出側継手部材136とともに、密封状態で固着されている。
【0017】
また、羽根ケース158は、外周フランジ160から上方に延びた側周壁162と、側周壁162から、羽根車部材106の外側羽根部112に沿うように水平方向内側に延設された延設部164を備えている。
【0018】
このような形状とすることで、羽根ケース158と下側本体ケース138の羽根収容部144との間に、羽根車部材106を収容することができるようになっている。
【0019】
そして、上側本体ケース126の頂壁128の中央部分に下方に突出した突設部128aに、上側軸受部材168が、固定ホルダ161によって、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164a内に下方に突出するように固定されている。
【0020】
この上側軸受部材168に形成された軸穴170に、回転羽根部材102の軸受け部104内に挿通された軸部材154の上端部172が、軸支されるように固定されている。
【0021】
また、羽根ケース158によって、上側本体ケース126と下側本体ケース138とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路174が形成されるとともに、下方に回転羽根部材102を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
【0022】
また、
図7に示したように、従来の遠心ポンプ100は、ロータマグネット122の周囲に位置するように、下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に配置され、回転羽根部材102を回転させるコイル部204を備えている。コイル部204は、ボビンケース206に巻かれた巻線208から構成される複数個のコイル210が、周方向に一定間隔で離間して設けられている。
【0023】
そして、これらのコイル210が、略円筒形状のコイルカバー本体214の内部において、本体ケース124の下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に嵌合するように装着されている、
【0024】
なお、
図7に示したように、本体ケース側固定金具186と、コイル側固定突出部216とを係合することによって、コイル部204を収容したコイルカバー本体214を、本体ケース124の下方に脱着自在に取り付けることができるように構成されている。
【0025】
なお、
図7中、符号226はコネクタ、228はリード線、230はロータマグネット122の回転方向と回転位置を検知するための磁極センサを示している。
【0026】
このように構成される従来の遠心ポンプ100では、コイル部204のコイル210に電流を流すことによって、コイル210が励磁され、これにより、回転羽根部材102のロータマグネット122に作用して、回転羽根部材102が軸受け部104に挿通された軸部材154の周りで回転できるようになっている。
【0027】
これにより、吸込側継手部材132から吸い込まれた流体が、羽根ケース158と上側本体ケース126によって形成された流体導入流路174から、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164aを通過する。そして、内周側開口部164aを通過した流体は、羽根ケース158と下側本体ケース138によって形成された回転部収容空間S2に導入されるようになっている。
【0028】
また、回転羽根部材102の羽根車部材106の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、本体ケース124の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材136を介して吐出されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
ところで、このような従来の遠心ポンプ100は、例えば、流体の循環を利用して発熱部品、機器などの冷却を補助するシステムに使用され、組込むシステムの用途によっては、産業工業用だけでなく、家庭用機器(家電)にも使用される場合がある。
【0031】
近年、家庭用機器は、小型化、静音化が進んでおり、これを実現するために、流体循環を行うポンプについても同様な仕様が求められている。
【0032】
しかしながら、例えば、流体に水分などを含まないドライ環境下の作動時において、異音が発生することがある。
【0033】
この場合、発生する異音の音質は、共振音であって、異音の発生中は、遠心ポンプ100の本体全体が振動することになる。この異音の発生は、電圧値に依存せず、電圧を下げても発生する。
【0034】
この異音の発生のメカニズムは、
図8に示したような原因で発生するものである。
なお、
図8の本発明の遠心ポンプ100では、説明の便宜上、コイル部204のコイル210を簡略化して図示するとともに、コイルカバー本体214などの構成部材を省略して図示している。
【0035】
図8に示したように、通電時において、ロータマグネット122が、矢印Fで示したように、コイル部204のコイル210に引き寄せられることになる。このため、励磁相であるコイル210に対して、ロータマグネット122と羽根車部材106から構成される回転羽根部材102は、回転中心軸Oに対して傾いた回転中心軸O'を中心として、傾きながら回転する。
【0036】
その結果、回転羽根部材102の羽根車部材106の上部の内径側106aが、
図8に示した○で囲ったT1点において、軸部材154の上部に接触する。
また、回転羽根部材102の軸受け部104の下端が、
図8に示した○で囲ったT2点において、下側軸受部材150の上端と接触することになる。
【0037】
この状態で、
図8に示したように、ロータマグネット122と羽根車部材106から構成される回転羽根部材102が、
図8の一点鎖線で示したように振れて回転することになる。これにより、回転羽根部材102の回転にともなって、T1、T2の二点で接触した状態が発生するようになり、異音(共振音)が発生すると考えられる。
【0038】
このため、
図8の○で囲ったG部分に示したように、回転羽根部材102の羽根車部材106の内径側106aと、軸部材154の外周との間の隙間Eを縮小することにより、
図8に示したような回転羽根部材102の傾き(振れを)防止して、T1点、T2点での接触を抑制して、異音の発生を防止することが考えられる。
【0039】
しかしながら、隙間Eのクリアランスの寸法管理が、例えば、0.01〜0.03mm程度の管理となってしまい、部品の精度が極めて高く要求され、コストが高くつくとともに、実際上、困難がともなうことになる。
【0040】
また、特許文献1(特開平10−9185号公報)では、ポンプから発生する全体的な振動による騒音を低減することが開示されている。
【0041】
特許文献1では、ロータマグネットと羽根部材が一体の構造であり、ロータマグネットがステータコイルに吸引されると、羽根部材も追従して回転し傾く構造で、このような異音(共振音)が発生することになる。
さらに、特許文献1では、ステーター保持部が円筒状であり、この端部を覆うカバーを備えたものであり、ステーター収納部を密閉し、騒音が直接外部に伝わらない構造としている。すなわち、特許文献1では、振動(音)の発生源ではなく、全体を覆って騒音を改善する構造である。
これに対して、後述するように、本発明の遠心ポンプでは、このような異音の発生源(機構)自体を、羽根車部材とロータマグネットの間にロータマグネットが移動できる隙間を設けることによって改善し、これにより、異音の発生を防止するように構成したものである。
【0042】
本発明は、このような現状に鑑み、従来のように、全体を覆って騒音を改善する構造ではなく、異音の発生源(機構)自体を、改善することによって、異音の発生を防止することができるとともに、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能な遠心ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の遠心ポンプは、
羽根車部材と羽根車部材に設けられたロータマグネットとから構成される回転羽根部材と、
前記回転羽根部材を収容する本体ケースと、
前記ロータマグネットの周囲に位置するように配置され、回転羽根部材を回転させるコイル部と、
前記本体ケースに設けられ、回転羽根部材がその周囲を回転するように軸支される軸部材と、
を備えた遠心ポンプであって、
前記羽根車部材とロータマグネットの間にロータマグネットが移動できる隙間を設けたことを特徴とする。
【0044】
回転羽根部材と軸部材と間のクリアランスが大きい場合、ロータマグネットはステータコイルに引き寄せられながら回転するため、ロータマグネットは同心を維持しながら回転することができない。その結果、ロータマグネットと共に回転する回転羽根部材も、ロータマグネットの動きに追従して偏心しながら回転する。このため、回転羽根部材と軸部材とが接触して、異音が発生する。
これに対して、上記のように構成することによって、羽根車部材とロータマグネットの間にロータマグネットが移動できる隙間が設けられているので、ロータマグネットの振れを吸収することができる。
【0045】
すなわち、ロータマグネットと羽根車部材の間に僅かな隙間(ガタ)を持たせることよって、ロータマグネットがコイルに引き寄せられる荷重を、羽根車部材に伝えないため、羽根車部材自身が傾かない。
【0046】
このため、羽根車部材が軸部材、本体ケースと接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0047】
また、ロータマグネットが移動できる構成であるので、たとえ、ロータマグネットと本体ケースとの間に異物が侵入して噛みこんだ状態となっても、回転羽根部材の回転にともなって、ロータマグネットが移動することができる。
これにより、この噛みこみ状態を瞬時に解除することができ、異物の噛み込みによる回転羽根部材が回転しないロック状態を防止することができる。
【0048】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、前記羽根車部材とロータマグネットの間の半径方向の隙間であることを特徴とする。
【0049】
このように、羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、羽根車部材とロータマグネットの間の半径方向の隙間であれば、ロータマグネットの振れを、この半径方向の隙間で吸収することができる。
【0050】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、前記羽根車部材とロータマグネットの間の軸方向の隙間であることを特徴とする。
【0051】
このように、羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、羽根車部材とロータマグネットの間の軸方向の隙間であれば、ロータマグネットの振れを、この軸方向の隙間で吸収することができる。
【0052】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材とロータマグネットの間の隙間が、羽根車部材とロータマグネットの間の半径方向の隙間rと、羽根車部材とロータマグネットの間の軸方向の隙間hであり、
r<hの関係に設定されていることを特徴とする。
【0053】
このように、羽根車部材とロータマグネットの間の半径方向の隙間rと、羽根車部材とロータマグネットの間の軸方向の隙間hとの関係が、r<hの関係に設定されていれば、ロータマグネットの動き(傾き)を、軸方向の隙間hで吸収するので、ロータマグネットの動き(傾き)を、羽根車部材に伝えないため、ロータマグネットの動きに追随して羽根車部材自身が傾かない。
このため、羽根車部材が軸部材、本体ケースと接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0054】
また、本発明の遠心ポンプは、前記羽根車部材とロータマグネットの脱落を防止する脱落防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0055】
このように構成することによって、脱落防止手段が設けられているので、羽根車部材とロータマグネットの脱落が防止され、異音が発生せず、ロータマグネットの回転を確実に羽根車部材に伝達することができる。
【0056】
また、羽根車部材とロータマグネットの間に適度な隙間(ガタ)を形成することができ、ロータマグネットがコイルに引き寄せられる荷重を、羽根車部材に伝えないため、羽根車部材自身が傾かず、羽根車部材が軸部材、本体ケースと接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0057】
また、本発明の遠心ポンプは、前記軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向の両端で固定されていることを特徴とする。
【0058】
また、本発明の遠心ポンプは、前記軸部材が、本体ケースにおける軸部材の軸方向のロータマグネット側の端部で固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、羽根車部材とロータマグネットの間にロータマグネットが移動できる隙間が設けられているので、ロータマグネットの振れを吸収することができる。
【0060】
すなわち、ロータマグネットと羽根車部材の間に僅かな隙間(ガタ)を持たせることよって、ロータマグネットがコイルに引き寄せられる荷重を、羽根車部材に伝えないため、羽根車部材自身が傾かない。
【0061】
このため、羽根車部材が軸部材、本体ケースと接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0062】
また、ロータマグネットが移動できる構成であるので、たとえ、ロータマグネットと本体ケースとの間に異物が侵入して噛みこんだ状態となっても、回転羽根部材の回転にともなって、ロータマグネットが移動することができる。
これにより、この噛みこみ状態を瞬時に解除することができ、異物の噛み込みによる回転羽根部材が回転しないロック状態を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0065】
図1は、本発明の遠心ポンプの縦断面図、
図2は、
図1の部分拡大断面図である。
【0066】
図1においては、符号10は、全体で本発明の遠心ポンプを示している。
【0067】
なお、
図1の本発明の遠心ポンプ10では、説明の便宜上、
図7に示した従来の遠心ポンプ100で説明したロータマグネット122の周囲に位置するように、下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に配置され、回転羽根部材102を回転させるコイル部204などの構成部材を省略して図示している。
【0068】
図1に示したように、本発明の遠心ポンプ10は、回転羽根部材12を備えている。この回転羽根部材12は、円管状の軸受け部14の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材16を備えている。
【0069】
なお、この羽根車部材16の枚数は、遠心ポンプ10の用途、必要とするポンプ能力に応じて選択すれば良く、特に限定されるものではない。
【0070】
図1に示したように、羽根車部材16は、軸受け部14の外周方向に延設された基端部分18と、この基端部分18から上方に外周方向に拡径した拡径部20と、この拡径部20から外周方向に延設された外側羽根部22とから構成されている。
【0071】
羽根車部材16の形状をこのような形状とすることで、羽根車部材16の回転による外側羽根部22の作用によって、吐出能力が向上することができる。
【0072】
また、回転羽根部材12には、軸受け部14の下部に、外周方向に延設されたロータマグネット収容部分24が形成されている。
【0073】
そして、ロータマグネット収容部分24に、環状の永久磁石からなるロータマグネット32が嵌着されている。そして、このロータマグネット32は、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、下記の構成を備えている。
すなわち、
図2の拡大図に示したように、羽根車部材16のロータマグネット収容部分24に形成された溝部13と、この溝部13にスナップリング11を装着して係止することによって、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう構造となっており、羽根車部材16がロータマグネット32とともに、軸部材64の周りを回転するように構成されている。
【0074】
このように構成することによって、脱落防止手段(この実施例では、溝部13とスナップリング11)が設けられているので、、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落が防止され、異音が発生せず、ロータマグネット32の回転を確実に羽根車部材16に伝達することができる。
【0075】
また、羽根車部材16とロータマグネット32の間に適度な隙間(ガタ)を形成することができ、ロータマグネット32がコイル210に引き寄せられる荷重を、羽根車部材16に伝えないため、羽根車部材16自身が傾かず、羽根車部材16が軸部材64、本体ケース34と接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材16に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0076】
なお、この場合、スナップリング11として、例えば、Cリング形状のスナップリング11を用いることができる。また、スナップリング11の材質は、特に限定されるものではなく、金属、樹脂製などとすることができる。
【0077】
また、本発明の遠心ポンプ10は、
図1に示したように、回転羽根部材12を収容する本体ケース34を備えている。本体ケース34は、上側本体ケース36を備えており、上側本体ケース36は、頂壁38と、頂壁38の外周から下方に延設された側周壁40とから構成されている。
【0078】
そして、
図1に示したように、上側本体ケース36の側周壁40には、吸込側継手部材42を固定するための開口部が形成されている。
図1に示したように、この開口部に、吸込側継手部材42が、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吸込側継手部材42が連通するように構成されている。
【0079】
上側本体ケース36の側周壁40には、吐出側継手部材46を固定するための開口部が形成されている。
【0080】
図1に示したように、この開口部に、吐出側継手部材46が、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吐出側継手部材46が連通するように構成されている。
【0081】
また、
図1に示したように、本体ケース34は、下側本体ケース48を備えている。そして、上側本体ケース36の側周壁40の下端51の内壁に、下側本体ケース48の外周フランジ52を、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、上側本体ケース36と下側本体ケース48で囲まれた内部空間S1が形成されている。
【0082】
この下側本体ケース48は、
図1に示したように、下側本体ケース48の外周フランジ52から、内周側に水平に延びた羽根収容部54と、この羽根収容部54から下方に延びたロータマグネット収容部56とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部56の下方に、有底筒状の下側軸受部材収容部58が形成されている。
【0083】
そして、下側軸受部材収容部58に、下側軸受部材60が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この下側軸受部材60に形成された軸穴62に、軸部材64の下端部66が、例えば、圧入などによって軸支されるように固定されている。
【0084】
また、この回転羽根部材12の軸受け部14内に、回転羽根部材12が回転できるように軸部材64が挿通されている。
【0085】
さらに、
図1に示したように、本体ケース34は、羽根ケース68を備えている。この羽根ケース68の外周フランジ70が、上側本体ケース36の下端51と、下側本体ケース48の外周フランジ52との間に挟着状態で、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。
【0086】
また、羽根ケース68は、外周フランジ70から上方に延びた側周壁72と、側周壁72から、羽根車部材16の外側羽根部22に沿うような形状で水平方向内側に延設された延設部74を備えている。
【0087】
このような形状とすることで、羽根ケース68と下側本体ケース48の羽根収容部54との間に、羽根車部材16を収容することができるようになっている。
【0088】
そして、上側本体ケース36の頂壁38の中央部分に下方に突出した突設部38aに、上側軸受部材78が、固定ホルダ71によって、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76内に下方に突出するように固定されている。
【0089】
この上側軸受部材78に形成された軸穴80に、回転羽根部材12の軸受け部14内に挿通された軸部材64の上端部82が、例えば、圧入などによって軸支されるように固定されている。
【0090】
また、
図1に示したように、羽根ケース68の側周壁72の径は、上側本体ケース36の側周壁40の径より小さく形成されているとともに、羽根ケース68の側周壁72の高さは、上側本体ケース36の側周壁40の高さより小さく形成されている。
【0091】
これにより、羽根ケース68によって、上側本体ケース36と下側本体ケース48とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路84が形成されるとともに、下方に回転羽根部材12を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
【0092】
このように構成される本発明の遠心ポンプ10は、以下のように作動される。
【0093】
先ず、コイル部204のコイル210に電流を流すことによって、コイル210が励磁され、これにより、回転羽根部材12のロータマグネット32に作用して、回転羽根部材12が軸受け部14に挿通された軸部材64の周りで回転できるようになっている。
【0094】
これにより、回転羽根部材12が回転して、
図1の矢印Aで示したように、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76を通過する。
【0095】
そして、内周側開口部76を通過した流体は、羽根ケース68と下側本体ケース48によって形成された回転部収容空間S2に導入される。
【0096】
また、回転羽根部材12の羽根車部材16の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、
図1の矢印Bで示したように、本体ケース34の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材46を介して吐出されるようになっている。
【0097】
ところで、従来の遠心ポンプ100では、
図8に示したように、ロータマグネット122と羽根車部材106から構成される回転羽根部材102が、T1、T2の二点で接触したまま、
図8の一点鎖線で示したように振れて回転することになり、異音(共振音)が発生する。
【0098】
このような振れを防止するために、この実施例の遠心ポンプ10では、
図2に示したように、
図2の○で囲った部分C、Dに、羽根車部材16とロータマグネット32の間にロータマグネット32が移動できる隙間を設けている。
【0099】
すなわち、
図2の○で囲った部分Cに、羽根車部材16の基端部分18の下端18aと、ロータマグネット32の上面33との間に、軸方向の隙間V1が形成されている。
また、
図2の○で囲った部分Dに、ロータマグネット32の軸方向に延びる外周筒状部31の内径側31aと、羽根車部材16の基端部分18の外径側18bとの間に、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間V2が形成されている。
【0100】
このように構成することによって、羽根車部材16とロータマグネット32の間に、軸方向の隙間V1と、半径方向の隙間V2が形成され、ロータマグネットが移動できる隙間が設けられている。
【0101】
従って、これにより、ロータマグネット32の振れを、これらの軸方向の隙間V1と、半径方向の隙間V2で構成され隙間で吸収することができる。
【0102】
すなわち、ロータマグネット32と羽根車部材16の間に僅かな隙間(ガタ)V1、V2を持たせることよって、ロータマグネット32がコイルに引き寄せられる荷重を、羽根車部材16に伝えないため、羽根車部材16自身が傾かない。
【0103】
このため、羽根車部材16が、軸部材64、本体ケース34(下側本体ケース48)と接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材16に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0104】
また、ロータマグネット32が移動できる構成であるので、ロータマグネット32と本体ケース34(下側本体ケース48)との間に異物が侵入して噛みこんだ状態となっても、回転羽根部材12の回転にともなって、ロータマグネット32が移動することができる。
これにより、この噛みこみ状態を瞬時に解除することができ、異物の噛み込みによる回転羽根部材12が回転しないロック状態を防止することができる。
【0105】
また、この場合、
図2の拡大図で示したように、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間rと、羽根車部材16とロータマグネット32の間の軸方向の隙間hとの関係が、r<hの関係に設定されているいるのが望ましい。
【0106】
このように、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間rと、羽根車部材16とロータマグネット32の間の軸方向の隙間hとの関係が、r<hの関係に設定されていれば、ロータマグネット32の動き(傾き)を、軸方向の隙間hで吸収するので、ロータマグネット32の動き(傾き)を、羽根車部材16に伝えないため、ロータマグネット32の動きに追随して羽根車部材16自身が傾かない。
このため、羽根車部材16が、軸部材64、本体ケース34(下側本体ケース48)と接触せず、耐久性、静音性に優れ、羽根車部材16に偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0107】
また、この場合、
図2の拡大図で示したように、羽根車部材16と軸部材64との間の隙間Rと、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間rと、ロータマグネット32の外周と本体ケース34(下側本体ケース48)との間の隙間Wとの関係が、W>R+rの関係に設定されているのが望ましい。
これにより、前述したような異物の噛み込みによる回転羽根部材12が回転しないロック状態を防止する効果に優れることになる。
【0108】
また、
図2の拡大図で示したように、羽根車部材16と軸部材64との間の隙間Rと、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間rとの関係が、R<rの関係に設定されているのが望ましい。
【0109】
このように、羽根車部材16と軸部材64との間の隙間Rと、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間rとの関係が、R<rの関係に設定されていれば、羽根車部材16が軸部材64と接触せず、ロータマグネット32の振れを、この半径方向の隙間rで吸収することができる。
【0110】
すなわち、羽根車部材16と軸部材64との間の隙間Rが狭ければ、羽根車部材16自体の傾きが小さくなる。しかしながら、クリアランスの寸法管理が、例えば、0.01〜0.03mm程度の管理となってしまい、部品の精度が極めて高く要求され、コストが高くつくとともに、実際上、困難である。
このため、羽根車部材16と軸部材64との間の隙間Rを狭くできない分、羽根車部材16とロータマグネット32の間の半径方向の隙間rを大きくしている。これにより、回転羽根部材12の傾き(振れを)防止して、羽根車部材16が軸部材64との接触を抑制して、異音の発生を防止することができる。
(実施例2)
【0111】
図3は、本発明の遠心ポンプの実施例2を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0112】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0113】
上記の実施例1の遠心ポンプ10では、羽根車部材16とロータマグネット32の間に、軸方向の隙間V1と、半径方向の隙間V2が形成されていたが、この実施例2の遠心ポンプ10では、ロータマグネット32が円筒形状であり、羽根車部材16の基端部分18の外径側18bと、ロータマグネット32の内径側32aとの間に、半径方向の隙間V3のみが形成されている。
【0114】
このように、羽根車部材16とロータマグネット32の間にロータマグネット32が移動できる隙間として、半径方向の隙間V3のみが形成されていても良い。
これにより、ロータマグネット32の振れを、この半径方向の隙間V3で構成される隙間で吸収することができるように構成されている。
【0115】
なお、上記の実施例1の遠心ポンプ10では、
図1に示したように、ロータマグネット32は、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、羽根車部材16のロータマグネット収容部分24に形成された溝部13と、この溝部13にスナップリング11を装着して係止することによって、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう装着されている。
【0116】
これに対して、この実施例の遠心ポンプ10では、
図3に示したように、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、円筒形状のロータマグネット32が、羽根車部材16の基端部分18の外径側18bに、ロータマグネット32の形状に対応するように形成された溝部13に嵌着され、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう装着されている。
(実施例3)
【0117】
図4は、本発明の遠心ポンプの実施例3を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0118】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0119】
上記の実施例1の遠心ポンプ10では、
図1に示したように、ロータマグネット32は、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、羽根車部材16のロータマグネット収容部分24に形成された溝部13と、この溝部13にスナップリング11を装着して係止することによって、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう装着されている。
【0120】
これに対して、この実施例の遠心ポンプ10では、
図4に示したように、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、羽根車部材16のロータマグネット収容部分24に形成された溝部13と、この溝部13にスナップリング11を装着して係止する他に、羽根車部材16の基端部分18の下端に、嵌合穴17が形成され、この嵌合穴17に、ロータマグネット32の上端に形成された突設部19が嵌合することによって、回転伝達部を構成し、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるようになっている。
【0121】
なお、この実施例の場合には、
図4に示したように、スナップリング11として、例えば、ゴムなどの弾性部材からなるOリング形状のスナップリング11を用いている。
また、スナップリング11として、バネ性、弾性を有する、例えば、金属製の線状部材をCリング形状に成形した止め輪からなるスナップリング11から構成することも可能である。
このようにスナップリング11を弾性部材から構成することによって、ロータマグネット32が脆い材質であっても、スナップリング11の弾性によって、ロータマグネット32を装着する際に、ロータマグネット32に亀裂が生じることがない。
【0122】
さらに、羽根車部材16とロータマグネット32が回転する際に、この固定場所に応力が集中することがなく、確実に脱落を防止することができる。
【0123】
また、この実施例3の遠心ポンプ10では、実施例2の遠心ポンプ10と同様に、ロータマグネット32が円筒形状であり、羽根車部材16の軸受け部14の下部15の外径側15aと、ロータマグネット32の内径側32aとの間に、半径方向の隙間V4のみが形成されている。
これにより、ロータマグネット32の振れを、この半径方向の隙間V4で構成される隙間で吸収することができるように構成されている。
(実施例4)
【0124】
図5は、本発明の遠心ポンプの実施例4を示す縦断面図である。
【0125】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0126】
上記の実施例1の遠心ポンプ10では、
図1に示したように、ロータマグネット32は、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、羽根車部材16のロータマグネット収容部分24に形成された溝部13と、この溝部13にスナップリング11を装着して係止することによって、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう装着されている。
【0127】
これに対して、この実施例の遠心ポンプ10では、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、下記のような構成を備えている。
すなわち、
図5に示したように、ロータマグネット収容部分24は、基端部分18の下部から下方に延設された突設部26と、突設部26の先端が拡径した支持フランジ部28を備えている。
【0128】
そして、これらの突設部26と支持フランジ部28とから装着部30が構成されている。そして、環状の永久磁石からなるロータマグネット32の嵌着孔32bに、装着部30の突設部26が挿入されている。これにより、拡径した支持フランジ部28によって、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるよう装着されている。
【0129】
なお、この場合、拡径した支持フランジ部28は、ロータマグネット32の嵌着孔32bに、装着部30の突設部26を挿入した後に、例えば、装着部30の突設部26の先端部分を溶着などによって、拡径した支持フランジ部28を形成すればよい。また、この溶着の際には、ロータマグネット32と拡径した支持フランジ部28との間に、軸方向の隙間が形成されるようにするのが、前述で説明したような異音防止効果を奏するためには望ましい。
【0130】
また、この実施例4の遠心ポンプ10では、実施例2の遠心ポンプ10と同様に、ロータマグネット32が円筒形状であり、羽根車部材16の軸受け部14の下部15の外径側15aと、ロータマグネット32の内径側32aとの間に、半径方向の隙間V5のみが形成されている。
これにより、ロータマグネット32の振れを、この半径方向の隙間V5で構成される隙間で吸収することができるように構成されている。
【0131】
さらに、上記の実施例1の遠心ポンプ10では、上側本体ケース36の頂壁38の中央部分に下方に突出した突設部38aに、上側軸受部材78が、固定ホルダ71によって、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部内に下方に突出するように固定されている。
【0132】
この上側軸受部材78に形成された軸穴80に、回転羽根部材12の軸受け部14内に挿通された軸部材64の上端部が、軸支されるように固定されている。
【0133】
これに対して、この実施例5の遠心ポンプ10では、このような上側軸受部材78が設けられておらず、軸部材64の上端部が軸支されず、いわゆる片持ち形式となっている。
【0134】
また、この実施例の遠心ポンプ10では、軸受け部14の上端部14aが、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76から上方に、流体導入流路84に露出するように突設されている。
【0135】
このように構成することによって、流体が羽根車部材16のの回転運動に沿って、流入孔である内周側開口部76を介して、内部空間S1、回転部収容空間S2に流入しやすくなり、その結果、流体損失を低減することができるように構成されている。
(実施例5)
【0136】
図6は、本発明の遠心ポンプの別の実施例を示す縦断面図である。
【0137】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示した実施例1の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0138】
上記の実施例1の遠心ポンプ10では、上側本体ケース36の頂壁38の中央部分に下方に突出した突設部38aに、上側軸受部材78が、固定ホルダ71によって、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部内に下方に突出するように固定されている。
【0139】
この上側軸受部材78に形成された軸穴80に、回転羽根部材12の軸受け部14内に挿通された軸部材64の上端部が、軸支されるように固定されている。
【0140】
これに対して、この実施例5の遠心ポンプ10では、このような上側軸受部材78が設けられておらず、軸部材64の上端部が軸支されず、いわゆる片持ち形式となっている。
【0141】
また、この実施例の遠心ポンプ10では、
図4の実施例の遠心ポンプ10と同様に、羽根車部材16とロータマグネット32の脱落を防止する脱落防止手段として、羽根車部材16のロータマグネット収容部分24に形成された溝部13と、この溝部13にスナップリング11を装着して係止する他に、羽根車部材16の基端部分18の下端に、嵌合穴17が形成され、この嵌合穴17に、ロータマグネット32の上端に形成された突設部19が嵌合することによって、回転伝達部を構成し、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止されるようになっている。
【0142】
また、この実施例4の遠心ポンプ10では、実施例2の遠心ポンプ10と同様に、ロータマグネット32が円筒形状であり、羽根車部材16の軸受け部14の下部15の外径側15aと、ロータマグネット32の内径側32aとの間に、半径方向の隙間V6のみが形成されている。
これにより、ロータマグネット32の振れを、この半径方向の隙間V6で構成される隙間で吸収することができるように構成されている。
【0143】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、本体ケース34、上側本体ケース36、下側本体ケース48、羽根ケース68などの材質は、金属製であっても樹脂製であっても良く、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0144】
さらに、上記実施例では、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数をそれぞれ1個としたが、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数を複数個設けることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。