(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一方向に延びる材料収容室を画定し、且つ前記第一方向と交差する方向に貫通した材料供給路を有する周壁、及び、前記第一方向における前記周壁の一端に連設され、前記材料収容室と連通する吐出口を画定するノズル部を有するシリンダーと、前記吐出口を開閉する弁体部を有する開閉機構と、前記材料収容室内に配置され、且つ、前記材料収容室内における前記材料供給路よりも前記第一方向における前記シリンダーの一端側の第一限界位置と、前記材料収容室内における前記材料供給路よりも前記第一方向における前記シリンダーの他端側の第二限界位置との間を前記第一方向に移動可能なピストンと、を備え、前記弁体部は、前記ピストンが前記材料供給路を越えて前記第一限界位置に至る過程で前記吐出口を開放し、少なくとも前記ピストンが前記第二限界位置に位置したときに前記吐出口を閉鎖していることを特徴とする流動性材料塗布装置。
前記弁体部は、前記シリンダー内で前記第一方向に移動可能に設けられ、且つ前記第一方向における前記シリンダーの前記一端側に位置した状態で前記吐出口を開閉する栓体部と、前記栓体部を前記第一方向における前記シリンダーの前記一端側に付勢する付勢手段とを有し、前記栓体部は、前記第一方向における前記シリンダーの前記他端側に向けて作用する圧力を受圧可能な受圧部を有し、前記受圧部が受圧して前記吐出口を開放する請求項1に記載の流動性材料塗布装置。
流動性材料は、固形体を加熱溶融させたものであり、前記貯留壁部は、前記材料貯留室に前記固形体を貯留可能に構成され、前記材料貯留室内の前記固形体を加熱溶融可能な加熱手段を有する請求項3に記載の流動性材料塗布装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の塗布装置900は、1回の吐出に対する吐出口Pの開放時間が一定に設定されている。そのため、この種の塗布装置900は、材料供給装置930による流動性材料に対する加圧状態の変化に伴い、単位時間当たりの流動性材料の吐出量を変動させてしまう。すなわち、この種の塗布装置900は、吐出口Pからの流動性材料の吐出を材料供給装置930による加圧に頼るため、流動性材料に対する加圧が大きくなると流動性材料の吐出量が多くなり、流動性材料に対する加圧が小さくなると流動性材料の吐出量が少なくなる。そのため、この種の塗布装置900は、塗布対象に対して流動性材料を適正量で塗布することができないといった問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、塗布対象に対して流動性材料を適正量で塗布することのできる流動性材料塗布装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る流動性材料塗布装置は、第一方向に延びる材料収容室を画定し、且つ第一 方向と交差する方向に貫通した材料供給路を有する周壁、及び、第一方向における周壁の 一端に連設され、材料収容室と連通する吐出口を画定するノズル部を有するシリンダーと 、吐出口を開閉
する弁体部を有する開閉機構と、材料収容室内に配置され、且つ、材料収容室内における材料供給路よりも第一方向におけるシリンダーの一端側の第一限界位置と、材料収容室内における材料供給路よりも第一方向におけるシリンダーの他端側の第二限界位置との間を
前記第一方向に移動可能なピストンと、を備え
、前記弁体部は、前記ピストンが前記材料供給路を越えて前記第一限界位置に至る過程で前記吐出口を開放し、少なくとも前記ピストンが前記第二限界位置に位置したときに前記吐出口を閉鎖していることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、材料供給路は、周壁を第一方向と交差する方向に貫通しているため、材料供給路は、材料収容室と外部とを連通させている。これに伴い、ピストンが第二限界位置にあるときに(外部から材料収容室に流動性材料を供給可能な状態で)開閉機構が吐出口を閉鎖すると、材料収容室は、材料供給路の開口を除いて密閉される。そのため、材料供給路を介して流動性材料が供給されると、材料収容室は、材料供給路を介して外部から流動性材料を受け入れ、流動性材料で満たされる。
【0011】
この状態でピストンが第二限界位置から第一限界位置に移動するに伴い、ピストンは、材料収容室内に向けて開放する材料供給路の開口面積を徐々に小さくし、最終的に材料供給路を遮る。これにより、材料収容室への流動性材料の供給が停止し、シリンダー及びピストンは、流動性材料を収容する領域を画定する。このように、材料収容室は、周壁の径、及びシリンダーの一端から材料供給路までの距離によって決まる体積に応じた量の流動性材料を収容する。
【0012】
ピストンが材料供給路を遮る位置から第一限界位置側へ移動するに伴い、ピストンは、材料収容室内の流動性材料を押圧し始め、材料収容室の内圧が上昇する。そのため、開閉機構が吐出口を開放すると、吐出口は、ピストンの移動量に応じた量の流動性材料を材料収容室の外部へ吐出する。
【0013】
このように、かかる構成の流動性材料塗布装置では、材料収容室から外部に吐出される流動性材料の量は、ピストンの移動量によって決まる。従って、ピストンの移動量を設定することで、塗布対象に対して適正量の流動性材料を塗布することができる。
【0015】
このようにすれば、ピストンが材料供給路を遮る位置からシリンダーの一端側に変位すると、材料収容室内の圧力が上昇する。その結果、材料収容室内が所定の圧力に達すると、弁体部は、吐出口を開放する。そのため、吐出口は、ピストンの移動に伴って確実に流動性材料を吐出することができる。
【0017】
このようにすれば、弁体部は、少なくともピストンが第二限界位置に位置すると吐出口を閉鎖するため、流動性材料の吐出後、ピストンが第二限界位置にくると、材料収容室は、材料供給路の開口を除いて密閉された状態となる。そのため、材料供給路を介して流動性材料が供給されると、材料収容室は、再度流動性材料で満たされる。従って、ピストンが往復動することで、連続して流動性材料を塗布対象に塗布することができる。
【0018】
本発明の他態様として、前記弁体部は、シリンダー内で第一方向に移動可能に設けられ、且つ第一方向におけるシリンダーの一端側に位置した状態で吐出口を開閉する栓体部と、栓体部を第一方向におけるシリンダーの一端側に付勢する付勢手段とを有し、前記栓体部は、前記第一方向における前記シリンダーの他端側に向けて作用する圧力を受圧可能な受圧部を有し、受圧部が受圧して前記吐出口を開放してもよい。
【0019】
かかる構成の流動性材料塗布装置では、ピストンが材料収容室内の流動性材料を押圧するに伴い(材料収容室の内圧の上昇に伴い)、受圧部は、第一方向におけるシリンダーの他端側に向けて(ピストンの押圧方向とは反対方向に)圧力を受ける(押される)。受圧部が付勢手段による付勢力よりも大きな力を受けると、栓体部は、押圧方向とは反対方向に変位し(ピストン側に押し上げられ)、吐出口が開放される。これに伴い、吐出口は、材料収容室内の流動性材料を外部へ吐出する。
【0020】
吐出口が流動性材料を吐出すると材料収容室の内圧が下がり、付勢手段は、復元しようとする。そのため、栓体部は、付勢手段によってシリンダーの一端側に(吐出口側に)付勢され、吐出口を閉鎖する。これにより、流動性材料の吐出が遮られる。このように、弁体部は、ピストンの移動に伴って、吐出口を開閉する。そのため、かかる構成の流動性材料塗布装置は、ピストンが第二限界位置から第一限界位置に移動するだけで、流動性材料を適正量吐出することができる。
【0021】
本発明の別の態様として、流動性材料を貯留するための材料貯留室を画定する貯留壁部であって、前記材料供給路を介して前記材料収容室と連通する貯留壁部を備えていてもよい。
【0022】
このようにすれば、貯留壁部は、材料貯留室に貯留した流動性材料を、材料供給路を介して、材料収容室に供給することができる。そのため、かかる構成の流動性材料塗布装置は、流動性材料を貯留するための装置を別途用意することなく、材料収容室に流動性材料を供給することができる。
【0023】
本発明の別の態様として、流動性材料は、固形体を加熱溶融させたものであり、前記貯留壁部は、前記材料貯留室に前記固形体を貯留可能に構成され、前記材料貯留室内の前記固形体を加熱溶融可能な加熱手段を有していてもよい。
【0024】
このようにすれば、加熱手段は、固形体を材料貯留室内で固体から液体に状態変化させることができるため、材料貯留室が固形体の材料を貯留していても、貯留壁部は、固形体を加熱溶融することで流動性材料として材料収容室に供給することができる。従って、かかる構成の流動性材料塗布装置では、材料を固形体として運搬することができ、材料の取り扱いが容易になる。
【0025】
また、本発明の更に別の態様として、前記ピストンから前記第一方向と交差する方向に延び、前記ピストンの移動に伴って前記材料貯留室内を移動可能な羽根部を備えていてもよい。
【0026】
このようにすれば、羽根部は、ピストンの動きに応じて材料貯留室内を移動するため、材料貯留室内の流動性材料に動きを与えることができる。そのため、貯留壁部は、均質な状態で流動性材料を貯留することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、塗布対象に対して流動性材料を適正量で塗布することのできる流動性材料塗布装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る流動性材料塗布装置(以下、単に塗布装置という)について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1〜7に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、第一方向Xに延びる材料収容室21を画定し、且つ第一方向Xと交差する方向に貫通した材料供給路22を有する周壁201、及び、第一方向Xにおける周壁201の一端231に連設され、材料収容室21と連通する吐出口203を画定するノズル部202を有するシリンダー2と、吐出口203を開閉可能な開閉機構4と、材料収容室21内に配置され、且つ、材料収容室内21における材料供給路22よりも第一方向Xにおけるシリンダー2の一端側の第一限界位置Aと、材料収容室21内における材料供給路22よりも第一方向Xにおけるシリンダー2の他端側の第二限界位置Bとの間を移動可能なピストン5と、を備える。本実施形態の開閉機構4は、前記吐出口203を開閉する弁体部400を有し、前記弁体部400は、材料収容室21内が所定の圧力に達すると吐出口203を開放する。また、弁体部400は、ピストン5が材料供給路22を越えて第一限界位置Aに至る過程で吐出口203を開放すると共に、少なくともピストン5が第二限界位置Bに位置したときに吐出口203を閉鎖する。
【0031】
また、本実施形態に係る塗布装置1の弁体部400は、シリンダー2内で第一方向Xに移動可能に設けられ、且つ第一方向Xにおけるシリンダー2の一端側に位置した状態で吐出口203を開閉する栓体部402と、栓体部402を第一方向Xにおけるシリンダー2の一端側に付勢する付勢手段403とを有し、前記栓体部402は、前記第一方向Xにおける前記シリンダー2の他端側に向けて作用する圧力を受圧可能な受圧部401を有し、受圧部401が受圧して前記吐出口203を開放する。
【0032】
また、本実施形態に係る塗布装置1は、流動性材料Mを貯留するための材料貯留室701を画定する貯留壁部7であって、前記材料供給路22を介して前記材料収容室21と連通する貯留壁部7を備える。また、流動性材料Mは、固形体を加熱溶融させたものであり、前記貯留壁部7は、前記材料貯留室701に前記固形体を貯留可能に構成され、前記材料貯留室701内の前記固形体を加熱溶融可能な加熱手段71を有する。
【0033】
本実施形態に係る塗布装置1は、ピストン5を第一限界位置Aと第二限界位置Bとの間を移動させるための駆動部91と、塗布装置1を把持するための把持部92と、把持部92に設けられたスイッチ93と、スイッチ93による起動を検知し、駆動部91に連絡するセンサー94と、貯留壁部7に材料を供給する供給路95と、貯留壁部7の外周を覆う外装体96を更に備える。
【0034】
流動性材料Mは、変形自在であり、流動可能な液体等の流体である。流動性材料Mには、粘性の高い流体、及び粘性の低い流体の双方が含まれる。例えば、流動性材料Mには、ホットメルト等の熱可塑性組成物を加熱溶融させた流体が含まれる。また、該熱可塑性組成物には、フェライト等の磁性を有する組成物が含まれる場合がある。
【0035】
周壁201は、一端231から他端241に亘って所定の厚みを有する円筒状に形成されている。これに伴い、材料収容室21は、周壁201の軸線方向に延びている。即ち、本実施形態では、周壁201の軸線方向と第一方向Xとが一致している。また、第一方向Xに直交する方向Yと周壁201の径方向Yとが一致している。以下、第一方向Xを軸線方向Xとし、第一方向Xに直交する方向Yを径方向Yと称する。また、周壁201の軸線方向Xのうちの一端231が位置する側を下方、他端241が位置する側を上方とする。
【0036】
周壁201は、一端231から他端241に亘って同径で形成されるとともに、一端231の端面と他端241の端面とが略平行となるように形成されている。周壁201は、第一方向Xと交差する方向に貫通した材料供給路22を有する。
【0037】
本実施形態では、材料供給路22は、周壁201を第一方向Xと直交する方向Yに貫通している。材料供給路22は、円形状に形成されている。材料供給路22は四つ形成され、隣り合う材料供給路22同士は、周壁201の周方向における間隔が全て等しくなるように同位に配置されている。即ち、四つの材料供給路22は、一端231から同じ距離離れた周壁201の途中位置に形成されている。
【0038】
ノズル部202は、周壁201の一端231に連設されている。ノズル部202は、周壁201の一端231と接続される接続部204と、該接続部204の一端に連設された吐出部205とを有する。接続部204は、吐出部205の周縁に亘って設けられている。本実施形態の接続部204は、筒状に形成されている。吐出部205は、所定の厚みを有する円盤状に形成され、軸線方向Xにおける両面は、凹凸のない平面状に形成されている。これに伴い、ノズル部202は、吐出口203を除いた部分が周壁201の一方の開口23を覆うように周壁201の一端231に連設されている。
【0039】
吐出口203は、吐出部205を厚み方向に貫通している。本実施形態の吐出口203は、吐出部205の中央部を厚み方向に貫通している。吐出口203は、円形状である。吐出口203の開口中心は、周壁201の中心と同心となるように形成されている。
【0040】
開閉機構4は、吐出口203を開閉する弁体部400を有する。本実施形態の弁体部400は、周壁201の他方の開口24からシリンダー2内に挿通され、シリンダー2内に配置されている。弁体部400は、シリンダー2内を軸線方向Xに移動して吐出口203を開閉する。弁体部400は、シリンダー2内で軸線方向Xに延びる部材である。弁体部400は、吐出口203を開閉する栓体部402と、該栓体部402と第一方向Xに並ぶ付勢手段403とを有する。
【0041】
栓体部402は、軸線方向Xにおけるシリンダー2の他端側に向けて作用する圧力を受圧可能な受圧部401と、付勢手段403が連設された本体部41と、該本体部41からノズル部202側に延出して吐出口203を開放及び閉鎖可能な延出部42と、を有する。
【0042】
本体部41は、一端411から他端412に亘って同径を有する棒状に形成されている。本実施形態の本体部41は、円柱状に形成されている。本体部41の一端411は、軸線方向Xに対して交差する対向面411aと、該対向面411aと連続する対向側面411bとを有する。対向面411aは、軸線方向Xに直交する方向に広がる第一対向面411cと、第一対向面411cの端縁から軸線方向Xに対して傾斜して延びる第二対向面411dとを有する。本実施形態では、対向面411aは、受圧部401である。対向側面411bは、対向面411aの端縁から軸線方向Xに沿って上方に延びる面である。
【0043】
第一対向面411cは、環状に形成されている。本実施形態の第一対向面411cは円環状に形成されている。第一対向面411cの中心は、周壁201の中心と一致している。第一対向面411cは、凹凸のない平面状に形成されている。第一対向面411cは、ノズル部202と対向して位置している。
【0044】
第二対向面411dは、環状に形成されている。本実施形態の第二対向面411dは円環状に形成されている。第二対向面411dは、第一対向面411cの端縁と連続して該端縁を包囲している。これに伴い、対向面411aは、円形状に形成されている。第二対向面411dの中心は、第一対向面411c及び周壁201の中心と一致している。第二対向面411dは、軸線方向Xに対して傾斜している。第二対向面411dは、凹凸のない平面状に形成されている。第一対向面411c及び第二対向面411dの中心は、本体部41の中心を構成している。
【0045】
延出部42は、一端421から他端422に亘って同径を有する棒状に形成されている。延出部42は、円柱状に形成されている。延出部42の外径は、吐出口203の径よりも大きく形成されている。延出部42の両端面は、軸線方向Xに直交する方向に広がっている。延出部42の両端面は、凹凸の無い平面状に形成されている。
【0046】
延出部42は、軸線が第一対向面411c、及び第二対向面411dの中心と一致するように、本体部41の一端411に連設されている。即ち、延出部42の中心は、周壁201の中心と一致している。これに伴い、周壁201、本体部41、及び延出部42は、同心となるように配置されている。延出部42の外径は、本体部41の外径よりも小さく形成されている。
【0047】
付勢手段403は、一端404側に本体部41、他端405側にピストン5を位置させて、本体部41とピストン5との間に挟まれる。本実施形態の付勢手段403は、コイルスプリングである。
【0048】
ピストン5は、周壁201の内壁面25に対して摺動可能に構成されている。ピストン5は、周壁201の他方の開口24からシリンダー2内に挿通されている。ピストン5は、摺動本体部53と、該摺動本体部53の一端531に連結され、ノズル部202と対向配置される先端部51と、摺動本体部53の他端532に連結され、駆動部91を介して該摺動本体部53を軸線方向Xに移動させる支持部54とを有する。
【0049】
摺動本体部53は、一端531から他端532に亘って同径を有して形成されている。摺動本体部53は、円柱状又は円筒状に形成されている。摺動本体部53は、先端部51と一体的に形成されている。摺動本体部53の外径は、周壁201の内径と略同一に形成され、周壁201の内壁面25に対して摺動可能となっている。また、軸線方向Xにおける摺動本体部53の長さは、軸線方向Xにおける周壁201の長さよりも短く形成されている。摺動本体部53は、摺動本体部53の中心が周壁201の中心と同心となるように周壁201の他方の開口24からシリンダー2に挿通されている。本実施形態では、周壁201とピストン5との間に潤滑油を設けることで、周壁201とピストン5とが直接接触しながら摺動するのを防止している。
【0050】
先端部51は、軸線方向Xに沿って延びるとともに、周壁201の内壁面25に対して摺動する側面512と、該側面512の周縁から径方向Yに延びる端面511と、側面512と端面511との境界となる端縁521とを有する。側面512は、ピストン5の往復動に伴い、材料供給路22を開放及び閉鎖する部分である。
【0051】
支持部54は、摺動本体部53の他端532から軸線方向Xに延びる棒状部材である。具体的には、支持部54は、円柱状の棒状部材である。支持部54は、軸線が摺動本体部53の軸線と一致するように、摺動本体部53の他端532から軸線方向Xに延びている。
【0052】
本実施形態のピストン5には、先端部51の中央部から軸線方向Xに延びる凹部Sが形成されている。凹部Sは、先端部51側から摺動本体部53の他端532に至るまで同径の円柱がくり抜かれた形状となっている。即ち、ピストン5は、先端部51から摺動本体部53の他端532に亘って、部分的に円筒状となっている。
【0053】
ピストン5は、開閉機構4の本体部41を凹部Sに密接に嵌合可能に形成されており、ピストン5の凹部Sに開閉機構4の本体部41が嵌合すると、摺動本体部53の軸線と開閉機構4の本体部41の軸線とが一致するように形成されている。凹部Sの径と、開閉機構4の本体部41の外径とは略同一となっており、本体部41は、凹部Sを画定する内周面S1に対して摺動可能となっている。軸線方向Xにおける凹部Sの深さは、開閉機構4の本体部41よりも長くなるように形成されている。
【0054】
本実施形態では、ピストン5は、凹部S内に付勢手段403を配置している。ピストン5は、付勢手段403の一端404側に栓体部402、付勢手段403の他端405側に凹部Sの底部S2が位置するように、凹部S内に付勢手段403を配置している。また、本実施形態のピストン5は、付勢手段403の全体を凹部Sの中に収めている。
【0055】
貯留壁部7は、流動性材料Mを貯留するための材料貯留室701を画定している。貯留壁部7は、加熱手段71と、筒状の胴部72と、該胴部72の一方の開口を塞ぐ底壁部73とを有する。また、貯留壁部7は、材料供給路22と連通している。貯留壁部7は、熱可塑性組成物等を固形体として、又は流動性材料Mとして材料貯留室701に貯留可能に構成されている。
【0056】
本実施形態の貯留壁部7は、シリンダー2の外側に、該シリンダー2を部分的に囲むように配置されている。具体的には、胴部72は、周壁201の外周面との間に間隔を開けて配置され、底壁部73は、周壁201の外周面に沿って配置されている。これに伴い、本実施形態では、胴部72、底壁部73、及びシリンダー2の外周面によって熱可塑性組成物を貯留する材料貯留室701が形成されている。胴部72と底壁部73とは、熱伝導率が高い材料で形成されている。
【0057】
底壁部73は、軸線方向Xにおける両端面のうちの上面731が材料供給路22の内周面222と段差なく平面的に連続するように、周壁201の外周面に沿って配置されている。胴部72の他方の開口は、熱可塑性組成物を供給する供給路95と連通する部分以外は閉鎖されている。
【0058】
加熱手段71は、胴部72の外周面に近接して設けられている。加熱手段71は、固形体(固体状態で)として供給された熱可塑性組成物(
図2においてPによって示される)を溶融するのに十分な熱容量を有する。また、加熱手段71は、ピストン5の往復動の速度に追従して(側面512が材料供給路22を開閉する開閉速度に追従して)、熱可塑性組成物を溶融可能な熱量を有する。本実施形態の加熱手段71は、カートリッジヒーターである。加熱手段71は、軸線方向Xにおける胴部72の長さと略同一の長さを有する。
【0059】
駆動部91は、エアシリンダー911と、該エアシリンダー911内に配置されたピストン912と、ピストン912を往復動させる電磁弁913と、ピストン912の往復動をピストン5の支持部54に伝達する駆動伝達機構(図示しない)とを有する。このように、駆動部91は、支持部54を軸線方向Xに移動可能(往復動可能)に構成されている。
【0060】
把持部92、は使用者が把持する部分である。把持部92は、把持されやすいように、その他の部分と比較して細く形成されている。本実施形態の把持部92は、プラスチックで形成されている。
【0061】
スイッチ93は、把持部92に設けられている。また、本実施形態の塗布装置1には、センサー94が内蔵されており、スイッチ93が起動されると、センサー94は、これを検知し、駆動部91を駆動させる。
【0062】
供給路95は、熱可塑性組成物を外部から貯留壁部7を介して材料収容室21に供給するための通路である。供給路95は、熱可塑性組成物を流動性材料Mとして、及び固形体として(固体状態で)貯留壁部7に送り出すことができるようになっている。
【0063】
外装体96は、貯留壁部7の外周を覆っている。本実施形態で、外装体96は、シリンダー2、開閉機構4、及びピストン5を覆っている。また、外装体96が把持部92を構成している。
【0064】
本実施形態の塗布装置1の説明は以上である。次に、本実施形態の塗布装置1の使用方法及び流動性材料Mが塗布対象に塗布されるまでの工程について説明する。本実施形態の塗布装置1は、ホットメルト接着剤等を塗布対象に塗布する場合に使用される。例えば、車のシート材に使用される緩衝材に塗布する場合に使用される。この場合、緩衝材と該緩衝材に重ね合される磁性を有する骨材とを磁着させる目的で、フェライトを含有する熱可塑性組成物が使用される。
【0065】
まず、
図2に示すように、塗布装置1の使用前においては、ピストン5は、材料供給路22を開放する第二限界位置BAに位置し、材料供給路22は完全に開放されている。栓体部402は、付勢手段403によってノズル部202側へ付勢され、延出部42がノズル部202の吐出口203を閉鎖している。この状態で、供給路95から固形体としての熱可塑性組成物(本実施形態ではペレットであり、
図2においてPで示される)が貯留壁部7に供給される。そして、加熱手段71によって熱可塑性組成物が加熱溶融され、流動性材料Mとなった熱可塑性組成物が、材料供給路22を介して材料収容室21に供給される。流動性材料Mを材料収容室21に供給する際は、塗布装置1の先端(ノズル部202側)を下方に向け、流動性材料Mを自重で材料収容室21に供給し、材料収容室21を流動性材料Mで満たす。この場合、加熱手段71に十分な熱容量を持たせることによって、熱可塑性組成物を供給する過程で熱可塑性組成物を貯留壁部7内において完全に溶融してもよく、又は材料供給路22の径を小さく設定することで、熱可塑性組成物が固形体のままで材料収容室21に供給されないようにしておく。
【0066】
把持部92に設けられたスイッチ93が起動されると、センサー94がスイッチ93の起動を検知し、駆動部91を駆動させる。これによりエアシリンダー911内のピストン912が下降すると共に、駆動力が駆動伝達機構を介して支持部54に伝達され、摺動本体部53が下降を開始する。
【0067】
図3に示すように、ピストン5が下降すると先端部51の側面512が材料供給路22を覆い始める。そして、
図4に示すように、先端部51の端縁521が材料供給路22の開口端縁221と一致する位置まで下降すると、側面512は、材料供給路22を閉鎖する。
図5に示すように、先端部51の端縁521が材料供給路22の開口端縁221を下方に越えた位置から、先端部51の端面511が材料収容室21内の流動性材料Mを下方に押圧し始める。これに伴い、材料収容室21内の圧力が上昇すると共に、端面511による押圧力Fと同じ力が開閉機構4に作用する。具体的には、力Fは、本体部41の対向面411a(受圧部401)に押圧方向とは反対方向(軸線方向Xのうちの上方)に作用する。流動性材料Mが端面511によって付勢手段403の付勢力よりも大きな力Fで押圧されることで、栓体部402は上昇を開始する。本実施形態では、この時の材料収容室21内の圧力が、弁体部400が吐出口203を開放する際の材料収容室21内の所定の圧力となっている。
【0068】
栓体部402が上昇すると、延出部42がノズル部202の吐出口203から離れ、吐出口203が開放される。そして、材料収容室内21の流動性材料Mが外部に吐出される。これにより、材料収容室21の内圧が下がることで付勢手段403が復元し、栓体部402の延出部42が再度ノズル部202の吐出口203を閉鎖する。これにより、流動性材料Mの吐出が終了する。
【0069】
図6に示すように、ピストン5が上昇するに伴い、材料収容室21が減圧雰囲気となるため、側面512によって覆われていた材料供給路22が開放されると、貯留壁部7に貯留されていた流動性材料Mが材料供給路22から材料収容室21に供給される。このように、材料収容室21は、
図7に示すように、再度流動性材料Mで満たされる。そして、次の塗布点に流動性材料Mを塗布可能な状態となる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る塗布装置1は、第一方向Xに延びる材料収容室21を画定し、且つ第一方向Xと交差する方向に貫通した材料供給路22を有する周壁201、及び、第一方向Xにおける周壁201の一端231に連設され、材料収容室21と連通する吐出口203を画定するノズル部202を有するシリンダー2と、吐出口203を開閉可能な開閉機構4と、材料収容室21内に配置され、且つ、材料収容室21内における材料供給路22よりも第一方向Xにおけるシリンダー2の一端側の第一限界位置Aと、材料収容室21内における材料供給路22よりも第一方向Xにおけるシリンダー2の他端側の第二限界位置Bとの間を移動可能なピストン5と、を備える。
【0071】
かかる構成によれば、材料供給路22は、周壁201を第一方向Xと交差する方向に貫通しているため、材料供給路22は、材料収容室21と外部とを連通させている。これに伴い、ピストン5が第二限界位置Bにあるときに(外部から材料収容室21に流動性材料Mを供給可能な状態で)開閉機構4が吐出口203を閉鎖すると、材料収容室21は、材料供給路22の開口を除いて密閉される。そのため、材料供給路22を介して流動性材料Mが供給されると、材料収容室21は、材料供給路22を介して外部から流動性材料Mを受け入れ、流動性材料Mで満たされる。
【0072】
この状態でピストン5が第二限界位置Bから第一限界位置Aに移動するに伴い、ピストン5は、材料収容室21内に向けて開放する材料供給路22の開口面積を徐々に小さくし、最終的に材料供給路22を遮る。これにより、材料収容室21への流動性材料Mの供給が停止し、シリンダー2及びピストン5は、流動性材料Mを収容する領域を画定する。このように、材料収容室21は、周壁201の径、及びシリンダー2の一端から材料供給路22までの距離によって決まる体積に応じた量の流動性材料Mを収容する。
【0073】
ピストン5が材料供給路22を遮る位置から第一限界位置A側へ移動するに伴い、ピストン5は、材料収容室21内の流動性材料Mを押圧し始め、材料収容室21の内圧が上昇する。そのため、開閉機構4が吐出口203を開放すると、吐出口203は、ピストン5の移動量に応じた量の流動性材料Mを材料収容室21の外部へ吐出する。
【0074】
このように、かかる構成の塗布装置1では、材料収容室21から外部に吐出される流動性材料Mの量は、ピストン5の移動量によって決まる。従って、ピストン5の移動量を設定することで、塗布対象に対して適正量の流動性材料Mを塗布することができる。
【0075】
本実施形態において、開閉機構4は、前記吐出口203を開閉する弁体部400を有し、前記弁体部400は、材料収容室21内が所定の圧力に達すると吐出口203を開放する。これにより、ピストン5が材料供給路22を遮る位置からシリンダー2の一端側に変位すると、材料収容室21内の圧力が上昇する。その結果、材料収容室21内が所定の圧力に達すると、弁体部400は、吐出口203を開放する。そのため、吐出口203は、ピストン5の移動に伴って確実に流動性材料Mを吐出することができる。
【0076】
本実施形態において、弁体部400は、ピストン5が材料供給路22を越えて第一限界位置Aに至る過程で吐出口203を開放すると共に、少なくともピストン5が第二限界位置Bに位置したときに吐出口203を閉鎖する。これにより、弁体部400は、少なくともピストン5が第二限界位置Bに位置すると吐出口203を閉鎖するため、流動性材料Mの吐出後、ピストン5が第二限界位置Bにくると、材料収容室21は、材料供給路22の開口を除いて密閉された状態となる。そのため、材料供給路22を介して流動性材料Mが供給されると、材料収容室21は、再度流動性材料Mで満たされる。従って、ピストン5が往復動することで、連続して流動性材料Mを塗布対象に塗布することができる。
【0077】
また、本実施形態において、前記弁体部400は、シリンダー2内で第一方向Xに移動可能に設けられ、且つ第一方向Xにおけるシリンダー2の一端側に位置した状態で吐出口203を開閉する栓体部402と、栓体部402を第一方向Xにおけるシリンダー2の一端側に付勢する付勢手段403とを有し、前記栓体部402は、前記第一方向Xにおける前記シリンダー2の他端側に向けて作用する圧力を受圧可能な受圧部401を有し、受圧部401が受圧して前記吐出口を開放する。
【0078】
本実施形態の塗布装置1では、ピストン5が材料収容室21内の流動性材料Mを押圧するに伴い(材料収容室21の内圧の上昇に伴い)、受圧部401は、第一方向Xにおけるシリンダー2の他端側に向けて(ピストン5の押圧方向とは反対方向に)圧力を受ける(押される)。受圧部401が付勢手段403による付勢力よりも大きな力を受けると、栓体部402は、押圧方向とは反対方向に変位し(ピストン5側に押し上げられ)、吐出口203が開放される。これに伴い、吐出口203は、材料収容室21内の流動性材料Mを外部へ吐出する。
【0079】
吐出口203が流動性材料Mを吐出すると材料収容室21の内圧が下がり、付勢手段403は、復元しようとする。そのため、栓体部402は、付勢手段403によってシリンダー2の一端側に(吐出口203側に)付勢され、吐出口203を閉鎖する。これにより、流動性材料Mの吐出が遮られる。このように、弁体部400は、ピストン5の移動に伴って、吐出口203を開閉する。そのため、本実施形態の塗布装置1は、ピストン5が第二限界位置Bから第一限界位置Aに移動するだけで、流動性材料Mを適正量吐出することができる。
【0080】
また、本実施形態において、流動性材料Mを貯留するための材料貯留室701を画定する貯留壁部7であって、前記材料供給路22を介して前記材料収容室21と連通する貯留壁部7を備えている。そのため、貯留壁部7は、材料貯留室701に貯留した流動性材料Mを、材料供給路22を介して、材料収容室21に供給することができる。そのため、本実施形態の塗布装置1は、流動性材料Mを貯留するための装置を別途用意することなく、材料収容室21に流動性材料Mを供給することができる。
【0081】
また、本実施形態において、流動性材料Mは、固形体を加熱溶融させたものであり、前記貯留壁部7は、前記材料貯留室701に前記固形体を貯留可能に構成され、前記材料貯留室701内の前記固形体を加熱溶融可能な加熱手段71を有している。加熱手段71は、固形体を材料貯留室701内で固体から液体に状態変化させることができるため、材料貯留室701が固形体の材料を貯留していても、貯留壁部7は、固形体を加熱溶融することで流動性材料Mとして材料収容室21に供給することができる。従って、本実施形態の塗布装置1では、材料を固形体として運搬することができ、材料の取り扱いが容易になる。
【0082】
上記実施形態では、軸線方向Xにおける吐出部205の両面が凹凸の無い平面状に形成され、且つ栓体部402における延出部42の一端421が凹凸の無い平面状に形成されているため、延出部42が吐出口203を閉鎖したときに、吐出部205と延出部42とが密接に接触する。そのため、本実施形態の塗布装置1は流動性材料Mが漏れ難い。
【0083】
上記実施形態では、ピストン5に凹部Sが形成され、付勢手段403は凹部Sに収まっているため、付勢手段403が流動性材料Mに晒されない。これにより、付勢手段403(本実施形態ではコイルスプリング)に流動性材料Mが付着することを防止することができ、そのため、流動性材料Mの固化に起因して付勢手段403の付勢力が低下するのを防止することができる。
【0084】
上記実施形態では、底壁部73は、軸線方向Xにおける底壁部73の両端面のうちの上面731が材料供給路22の内周面222と段差なく平面的に連続するように、周壁201の外周面に沿って配置されている。そのため、ノズル部202を下方に位置させると、材料供給路22で流動性材料Mのヘッド圧を十分に取ることができる。また、材料供給路22と底壁部73との間にデッドスペースが形成されないため、流動性材料Mを無駄なく使用できるとともに、デッドスペースに流動性材料Mが溜まることを防止することができる。これにより、流動性材料Mの固化に起因して、材料供給路22が塞がれる虞もない。
【0085】
貯留壁部7は、固形体の(固体状態の)熱可塑性組成物を加熱手段71によって溶融可能となっている。そのため、熱可塑性組成物を固形体として(固体状態で)運搬することができるため、熱可塑性組成物を融解させた状態で塗布装置1に供給する場合に必要となる配管や、該配管を断熱するための断熱材等が不要となる。更に、熱可塑性組成物を固形体として(固体状態で)扱うことができるため、熱可塑性組成物がフェライトを含有していても、流動性材料Mとして塗布装置1に供給する際に、フェライトとその他の成分とが分離するという問題も発生しない。
【0086】
上記実施形態では、栓体部402は、吐出口203が流動性材料Mを吐出して材料収容室21の内圧が下がると、付勢手段403によってシリンダー2の一端側に付勢される。即ち、流動性材料Mの吐出が完了するに伴い、延出部42がノズル部202の吐出口203を閉鎖する。そのため、上記実施形態にかかる塗布装置1は、材料収容室21内に流動性材料Mが残存していても、流動性材料Mが液だれし難い。
【0087】
尚、本発明の塗布装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0088】
上記実施形態では、塗布装置1は、付勢手段403と、貯留壁部7とを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。塗布装置1は、付勢手段403、及び貯留壁部7を有していなくてもよく、また、何れか一方のみを有していてもよい。
【0089】
上記実施形態では特に言及しなかったが、
図8に示すように、前記ピストン5から前記第一方向Xと交差する方向に延び、前記ピストン5の移動に伴って前記材料貯留室701内を移動可能な羽根部8を備える。羽根部8は、ピストン5の動きに応じて材料貯留室701内を移動するため、材料貯留室701内の流動性材料Mに動きを与えることができる。そのため、貯留壁部7は、均質な状態で流動性材料Mを貯留することができる。特に、熱可塑性組成物がフェライトを含有している場合には、羽根部8により流動性材料Mが混ぜられることで、フェライトとその他の成分とが分離し難くなる。
【0090】
上記実施形態では、ノズル部202における吐出部205の形状について特に言及しなかったが、
図9に示すように、吐出部205は、軸線方向Xにおける下方側が所定の深さで凹状に窪んでいてもよい。これにより、吐出口203から吐出された流動性材料Mを吐出部205と塗布対象との間に保持することができ、流動性材料Mの形状を所定の形状とすることができる。この場合、吐出部205は、円形状、楕円形、多角形状等、塗布目的に応じた形状で凹状に窪んでいてもよい。
【0091】
更に、
図10に示すように、ノズル部202の吐出口203には螺旋状の溝が形成されていてもよい。このようにすれば、流動性材料Mが材料収容室21から吐出される際に、吐出口203で螺旋状の渦が形成され、流動性材料Mを撹拌する効果を与えることができる。これにより、熱可塑性組成物がフェライトを含有していても、フェライトとその他成分とが分離し難くなる。
図10には、螺旋状の溝が同方向に二つ形成されている場合について示されているが、溝は、二つ以上形成されていてもよい。また、逆方向に走る溝が形成されていてもよい。
【0092】
上記実施形態では、材料供給路22は、周壁201に円形状に四つ形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。材料供給路22は、例えば楕円形上、多角形状等に形成されていてもよい。また、少なくとも一つ形成されていればよく、四つよりも多く、又は少なくてもよい。
【0093】
上記実施形態では、栓体部402の本体部41は、対向面411aと対向面411aから軸線方向における上方側に延びる対向側面411bを有し、対向側面411bは軸線方向Xに延びる場合について説明したが、これに限定されるものではない。本体部41は、対向側面411bを有していなくてもよい。即ち、栓体部402が受圧部401を有していればよく、例えば、本体部41は、軸線方向Xにおける上方に向けて径が広がるテーパー状であってもよい。また、栓体部402自体が一端から他端に亘ってテーパー状に形成されていてもよい。栓体部402は、凹状部分と凸状部分とが連続するように形成されていてもよい。また、栓体部402は、中途部がくびれた形状であってもよい。
【0094】
上記実施形態では、開閉機構4は、周壁201の他方の開口24からシリンダー2内に挿通されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。開閉機構4は、シリンダー2内に挿通されず、ノズル部202の外側に設けられ、吐出口203を開放及び閉鎖可能であってもよい。この場合、開閉機構4の形状は、とくに限定されるものではなく、板状に形成される部分を有することで吐出口203を閉鎖するものでもよく、また、栓体を有することで該栓体を吐出口203に嵌入させることによって吐出口203を閉鎖するものであってもよい。
【0095】
上記実施形態では、吐出口203は、材料収容室21内の圧力の増減に伴って開閉機構4によって自動的に開閉される場合について説明したが、これに限定されるものではない。圧力に影響されない方法で吐出口203を開閉してもよい。例えば、開閉機構4は、手動で吐出口203を開閉するものであってもよい。
【0096】
上記実施形態では、栓体部402の延出部42は、一端421から他端422に亘って同径を有する棒状に形成され、延出部42の外径は、吐出口203の径よりも大きく形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。延出部42は、吐出口203を閉鎖することができるものであればよく、一端421の径が吐出口203の径よりも小さく形成されると共に他端422側ほど径が大きく形成され、一端421が吐出口203に嵌入するものであってもよい。また、球体状に形成され、一部が吐出口203の端縁に沿うことによって吐出口203を閉鎖するものであってもよい。
【0097】
上記実施形態では、ピストン5の先端部51の端面511は、側面512から軸線方向Xと直交する方向に延びる場合について説明したが、これに限定されるものではない。端面は曲面を形成していてもよい。
【0098】
上記実施形態では、ピストン5に凹部Sが形成され、付勢手段403は凹部Sに収まっている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
図11に示すように、付勢手段403は、栓体部402を軸線方向Xにおけるノズル部202側に付勢するものであればよく、材料収容室21に露出していてもよい。
【0099】
上記実施形態では、熱可塑性組成物を固形体として(固体状態で)貯留壁部7に供給し、加熱手段71によって熱可塑性組成物を加熱溶融する場合について説明したが、これに限定されるものではない。加熱溶融された熱可塑性組成物を流動性材料Mとして供給路95から貯留壁部7に供給し、加熱手段71は、加熱溶融された熱可塑性組成物を保温するものであってもよい。
【0100】
上記実施形態では、駆動部91は、エアシリンダー911と、該エアシリンダー911内に配置されたピストン912と、ピストン912を往復動させる電磁弁913とによってピストン5の支持部54を上下動させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。駆動部91は電動モータ等のその他の手段によって支持部54を上下動させるものであってもよい。
【0101】
上記実施形態では、塗布装置1は、把持するための把持部92を有し、手作業で塗布することを前提に説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、手作業に関わらず、流動性材料Mを吐出するための装置に利用し得ることは言うまでもない。