(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップ(b)が、ラビリンスシールまたはメカニカルシールで、前記第1の端部と前記第2の端部との間にある空間をシールするステップを含む、請求項7に記載の軸シール方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,図面を参照して,クローズドサイクル発電システムの実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は,第1の実施形態に係るクローズドサイクル発電システム(発電プラント)10の構成要素を示す概略図である。
図2は,
図1中の軸シール装置20a,20bの構造を示す概略図である。
【0014】
クローズドサイクル発電システム10は,加熱装置11,タービン12,発電機13,熱交換器15,ガス分離装置16,圧縮機17,回転軸18a,18b,軸シール装置20a,20b,シールガス供給タンク31,シールガス配管32a,32b,シールガス・作動媒体混合配管33a,33b,圧縮機34,モータ35を有する。
【0015】
クローズドサイクル発電システム10において,加熱装置11,タービン12,熱交換器15,ガス分離装置16,圧縮機17は,作動媒体G1(例えば,二酸化炭素(CO
2))が循環する循環路Rを構成する。即ち,作動媒体G1は,加熱装置11,タービン12,熱交換器15,ガス分離装置16,圧縮機17を繰り返し,循環する。
【0016】
この循環路Rは,クローズドサイクル発電システム10のクローズドループを構成する。ここで,循環路R中の作動媒体G1の一部は,軸シール装置20a,20bの循環路R側(端部E1,E3側)から大気側(端部E2,E4側)へと漏れる可能性がある。後述のように,軸シール装置20a,20b内にシールガスG2(例えば,窒素ガス(N
2))を印加する。この結果,循環路R側から大気側に向かう作動媒体G1が流路La,Lbを経由して,循環路Rに帰還し,軸シール装置20a,20bからの作動媒体G1の漏れが低減される。即ち,循環路Rを実質的なクローズドループとして,作動媒体G1を循環させることが可能となる。なお,この詳細は後述する。
【0017】
加熱装置11は,作動媒体G1を加熱し,タービン12に供給する。例えば,燃料を燃焼させて,熱を発生させ,作動媒体G1を加熱できる。
【0018】
タービン12は,加熱された作動媒体G1により駆動される。具体的には,加熱装置11により加熱された作動媒体G1が,膨張することで,タービン12を回転駆動させる。タービン12は,例えば,静翼(ステータ),動翼(ロータ)を有し,膨張する作動媒体G1によって,動翼が回転する。
【0019】
発電機13は,タービン12の回転力により駆動され,発電する。回転軸18aによって,タービン12の回転力が発電機13に伝達される。なお,回転軸18aの詳細は後述する。
【0020】
タービン12にて膨張した作動媒体G1は,圧縮機34にて加圧されたリーク混合ガス(G1+G2)と混合され,熱交換器15へ導かれる。リーク混合ガス(G1+G2)は,軸シール装置20a,20bから漏れる作動媒体G1と後述のシールガスG2が混合されたものである。なお,この詳細は後述する。
【0021】
熱交換器15は,作動媒体G1を冷却,凝縮させる(液化)。具体的には,熱交換器15に導かれた作動媒体G1(リーク混合ガス(G1+G2)も混合)は,冷却水と熱交換し,凝縮される。凝縮した作動媒体G1はガス分離装置16へ導かれる。
【0022】
ガス分離装置16は,作動媒体G1に混入するシールガスG2(例えば,窒素ガス:N
2)を作動媒体G1から分離する。分離されたシールガスG2は大気に放出される。一方,作動媒体G1は圧縮機17に導かれる。
【0023】
ガス分離装置16は,例えば,作動媒体G1とシールガスG2の液化条件の相違に基づいて,作動媒体G1とシールガスG2を分離できる。具体的には,作動媒体G1が液化し,シールガスG2が液化しない環境下に,ガス分離装置16内を保持する。このようにすることで,作動媒体G1と,シールガスG2とをそれぞれ液体,気体として,分離できる。液体された作動媒体G1は,必要に応じて,ガス分離装置16内で気体に戻される。
【0024】
圧縮機17は,作動媒体G1を加圧して,加熱装置11へと導く。圧縮機17は,回転軸18bから印加される回転力により駆動され,作動媒体G1を加圧する。臨界点状態下で作動媒体G1を圧縮することにより,圧縮動力を削減できる。なお,回転軸18bの詳細は後述する。
【0025】
以上のように,作動媒体G1が循環路R(加熱装置11,タービン12,熱交換器15,ガス分離装置16,圧縮機17)を繰り返し,循環する。後述のように,軸シール装置20a,20bから漏れる作動媒体G1は,リーク混合ガス(G1+G2)として回収され,経路La,Lbを経由して,循環路Rに戻される。
【0026】
回転軸18aは,棒形状(略円柱形状)であり,タービン12に接続される端部E1と,発電機13に接続される端部E2とを有し,タービン12の回転力を発電機13に伝達する。端部E1,E2はそれぞれ,循環路R側(回転機器(タービン12)側),大気側(発電機13側)であり,圧力差を有する。なお,圧力の点から考えると,タービン12内(循環路R内)の回転軸18aの部分を端部E1とすべきものと考えられる。
【0027】
回転軸18bは,棒形状(略円柱形状)であり,圧縮機17に接続される端部E3と,回転力が印加される端部E4とを有し,端部E4に印加された回転力を圧縮機17に伝達する。端部E3,E4はそれぞれ,循環路R側(回転機器(圧縮機17)側),大気側であり,圧力差を有する。なお,圧力の点から考えると,圧縮機17内(循環路R内)の回転軸18bの部分を端部E3とすべきものと考えられる。
【0028】
端部E4への回転力の印加は種々の手法を採用できる。例えば,発電機13で発電された電力によって動作する電動モータによって,端部E4に回転力を印加できる。また,回転軸18aの回転力を端部E4に印加しても良い。この場合,回転軸18a,18bを直接または間接に接続する。なお,回転軸18a,18bを直結(直接接続)すると,回転軸18a,18bは,全体として,1つの回転軸として機能することになる。
【0029】
軸シール装置20aは,例えば,タービン12のケーシングに設置され,回転軸18aの端部E1,E2間を封止する。回転軸18aにおいて,圧力差に起因して,作動媒体G1が循環路R側(端部E1側)から大気側(端部E2側)に漏れ出そうとする。軸シール装置20aは,回転軸18aからの作動媒体G1の漏れを防止する。軸シール装置20aの中心を回転軸18aが貫通している。
【0030】
軸シール装置20bは,例えば,圧縮機17のケーシングに設置され,回転軸18bの端部E3,E4間を封止する。回転軸18bにおいて,圧力差に起因して,作動媒体G1が循環路R側(端部E3側)から大気側(端部E4側)に漏れ出そうとする。軸シール装置20bは,回転軸18bからの作動媒体G1の漏れを防止する。軸シール装置20bの中心を回転軸18bが貫通している。
【0031】
軸シール装置20aは,略円筒形状であり,ラビリンスシール21a〜23a,シールガス供給室24a,シールガス・作動媒体回収室25a,圧力検出器26aを有する。
【0032】
軸シール装置20bは,略円筒形状であり,ラビリンスシール21b〜23b,シールガス供給室24b,シールガス・作動媒体回収室25b,圧力検出器26bを有する。
【0033】
また,軸シール装置20a,20bは,制御装置27を共用する。
【0034】
ラビリンスシール21a〜23aはそれぞれ,封止部材211,212,封止部材221,222,封止部材231,232を有する。
【0035】
封止部材211,221,231(以下,封止部材211等という)は,回転軸18a側に固定される略円筒形状の部材であり,回転軸18aの回転中心Caに対して回転対称な凹凸を有する。
【0036】
封止部材212,222,232(以下,封止部材212等という)は,軸シール装置20a側に固定される略円筒形状の部材であり,回転軸18aの回転中心線Caに対して回転対称な形状の凹凸を有する。封止部材211等は,回転軸18aの回転に伴い,封止部材212等に対して,回転する。
【0037】
ここでは,判り易さのために,封止部材211等を回転軸18aとは別部材として説明しているが,回転軸18aと封止部材211等は一体的に形成できる。例えば,複数のリング状の突起を回転軸18aに形成し,回転軸18aの一部を封止部材211等として機能させることができる。
【0038】
同様に,判り易さのために,封止部材212等を軸シール装置20aの本体とは別部材として説明しているが,軸シール装置20aの本体と封止部材212等は一体的に形成できる。
【0039】
封止部材211等と封止部材212等は,封止部材211等の凸と封止部材212等の凹(および封止部材211等の凹と封止部材212等の凸)が対向するように配置される。その結果,
図2に示すように,封止部材211等と封止部材212等の間に,断面視で,複数段に蛇行する隙間が形成される。この隙間によって,封止部材211等と封止部材212等の間の相対的な回転が可能となる。
【0040】
既述のように,回転軸18aの回転機器側(端部E1側)と大気側(端部E2側)の間の圧力差に起因して,端部E1から端部E2に,作動媒体G1が流出する可能性がある。封止部材211等と封止部材212等の隙間の段を通過する毎に,作動媒体G1の圧力が低下することで,端部E1から端部E2への作動媒体G1の漏れを低減できる。
【0041】
このように,ラビリンスシール21a〜23aによって,端部E1から端部E2への作動媒体G1の漏れを低減できるが,漏れを完全に無くせる訳では無い。
図2に示すように,ラビリンスシール21a(さらには,ラビリンスシール21b,21cも)を通過して,端部E1から端部E2に向かう作動媒体G1の流れが存在する。次に示すように,軸シール装置20aにシールガスG2を供給することで,ラビリンスシール21a〜23aからの作動媒体G1の漏れをさらに低減できる。
【0042】
シールガス供給タンク31は,シールガスG2を蓄積し,シールガス配管32aを通じて,シールガス供給室24aに供給する。シールガス供給タンク31は,シールガスを供給するガス供給装置として機能する。
【0043】
シールガス配管32aは,シールガス供給タンク31とシールガス供給室24aとを接続し,シールガスG2を通過させる。
【0044】
シールガス供給室(ガス供給室)24aは,ラビリンスシール22a,23aの間に配置され,略リング形状の内部空間を有する。
【0045】
シールガス供給室24aに流入したシールガスG2は,ラビリンスシール22aを端部E1側に進む。この結果,ラビリンスシール22aを端部E2側に進もうとする作動媒体G1の流れを制限する。このように,シールガス供給室24aにシールガスG2を供給することで,ラビリンスシール22aからの作動媒体G1の漏れを低減できる。
【0046】
なお,シールガスG2の一部は,ラビリンスシール23aを端部E2側に進み,大気に放出される。
【0047】
シールガス・作動媒体回収室(ガス回収室)25aは,ラビリンスシール21a,22aの間に配置され,略リング形状の内部空間を有する。軸シール装置20aよりリークする作動媒体G1は,ラビリンスシール21aを通過し,シールガス・作動媒体回収室25aに流入する。また,シールガス供給室24aからラビリンスシール22aを通過したシールガスG2(正確には,ラビリンスシール22aに流入する作動媒体G1も含む)は,シールガス・作動媒体回収室25aに流入する。このように,シールガス・作動媒体回収室25aに,作動媒体G1およびシールガスG2が流入し,これらが混合してリーク混合ガス(G1+G2)となる。
【0048】
シールガス・作動媒体回収室25a内のリーク混合ガス(G1+G2)はシールガス・作動媒体混合配管33aを通過し,圧縮機34にて加圧され,タービン12の出口配管に循環する。
【0049】
シールガス・作動媒体混合配管33aは,シールガス・作動媒体回収室25aと圧縮機34とを接続し,リーク混合ガス(G1+G2)を通過させる。
【0050】
圧縮機34は,リーク混合ガス(G1+G2)を加圧して,タービン12の出口配管へと導く。圧縮機34は,回転軸によって,モータ35に接続,駆動される。後述のように,圧縮機34の動作状態は,制御装置27によって制御される。
【0051】
ラビリンスシール21a,シールガス・作動媒体回収室25a,シールガス・作動媒体混合配管33a,圧縮機34が,循環路Rから漏れてきた作動媒体G1を循環路Rに循環させる流路Laを構成する。
【0052】
リーク混合ガス(G1+G2)を圧縮機34で加圧することにより,循環路Rの任意の場所へ流入させることが可能である。
【0053】
但し,本実施形態では,リーク混合ガス(G1+G2)は,タービン12と熱交換器15の間に流入させている。これは,リーク混合ガス(G1+G2)も含めて,熱交換器15で冷却し,ガス分離装置16で,作動媒体G1とリークガスG2を分離することが好ましいからである。
【0054】
モータ35は,例えば,発電機13で発電された電力によって動作する電動モータであり,圧縮機34を駆動させる。モータ35の動作(ひいては圧縮機34の動作)は,制御装置27によって制御される。
【0055】
圧力検出器26aは,軸シール装置20aのシールガス・作動媒体回収室25a内の圧力を計測し,制御装置27に通知する。
【0056】
制御装置27は,圧力検出器26aでの計測結果に基づき,モータ35(圧縮機34)の動作を制御する。
【0057】
この結果,シールガス・作動媒体回収室25aの圧力は,回転軸18aの端部E1側の圧力およびシールガス供給室24aの圧力(シールガス供給圧力)のいずれよりも低い状態が保持される。即ち,回転軸18aの端部E1側からの作動流体G1およびシールガス供給室24aからのシールガスG2のいずれもが,シールガス・作動媒体回収室25aに流入するように,圧力勾配が形成,保持される。
【0058】
ここで,シールガス・作動媒体回収室25aの圧力を作動媒体G1(例えば,CO
2)の三重点での圧力(例えば,0.52MPa)以上とすることが好ましい。
【0059】
仮に,シールガス・作動媒体回収室25aの圧力が作動媒体G1の三重点での圧力以下であるとする。この場合,クローズドサイクル発電システム10の緊急停止時等において,循環路R内の作動媒体G1の温度が低下し,シールガス・作動媒体回収室25a内の温度が作動媒体G1の凝結点以下となることが考えられる。このとき,作動媒体G1(例えば,CO
2)が固化し(例えば,ドライアイスとなり),ラビリンスシール21aや圧縮機34を損傷する可能性がある。
【0060】
このため,圧力検出器26aにより検出される圧力(リークした作動媒体G1圧力)が作動媒体G1の三重点での圧力(例えば,0.52MPa)以上となるよう,制御装置27が圧縮機34を制御する。
【0061】
このようにすることで,温度低下時に作動媒体G1(例えば,CO
2)が凝結(気体から固体への状態変化)せずに凝縮(気体から液体への状態変化)することが可能となる。この結果,作動媒体G1が凝固するまでの熱量を凝縮熱の分大きくすることができる。このため,作動媒体G1が固化し難くなり,クローズドサイクル発電システム10の信頼性を向上できる。
【0062】
軸シール装置20bの構成要素(ラビリンスシール21b〜23b,シールガス供給室24b,シールガス・作動媒体回収室25b,圧力検出器26b)は,軸シール装置20aの構成要素と対応することから,詳細な説明を省略する。
【0063】
本実施形態では,軸シール装置20a,20bは,シールガス供給タンク31,圧縮機34,制御装置27を共用している。これに対して,シールガス供給タンク31,圧縮機34,制御装置27の一部または全部を複数設置し,軸シール装置20a,20bそれぞれで利用することも可能である。
【0064】
シールガス・作動媒体回収室25a,25bの圧力は,同一とは限らない。このため,シールガス・作動媒体回収室25a,25bの圧力を個別に制御できることが好ましい。このためには,シールガス・作動媒体回収室25a,25bそれぞれを別個の圧縮機34に接続することが考えられる。また,シールガス・作動媒体混合配管33a,33bの一方または双方に,弁を設け,この弁の開閉を制御装置27で制御しても良い。このようにすることで,シールガス・作動媒体混合配管33a,33bそれぞれから流出されるリーク混合ガス(G1+G2)の流量を個別に制御し,シールガス・作動媒体回収室25a,25b双方の圧力を適正に保つことができる。
【0065】
以上のように,本実施形態によれば,軸シール装置20a,20bにシールガスG2を供給することで,作動媒体G1の循環路Rからの漏洩を低減できる。
【0066】
(第2の実施形態)
図3は,第2の実施形態に係わるクローズドサイクル発電システム10aを示す概略図である。
【0067】
クローズドサイクル発電システム10と同一の部分については同一符号で示し,その説明を省略する。
【0068】
クローズドサイクル発電システム10aは,加熱装置11に替えて,加熱装置11aを有し,酸素製造装置41,窒素供給配管42,水分離装置43,二酸化炭素貯蔵装置44を有する。
【0069】
加熱装置11aは,炭化水素燃料を燃焼する燃焼器を有する。酸素製造装置41によって製造された酸素と燃料配管より供給される炭化水素燃料が燃焼器に導かれ燃焼される。
【0070】
酸素製造装置41は,酸素(O
2,炭化水素燃料の酸化剤),および窒素(N
2,シールガスG2)を供給する。酸素製造装置41は,空気を液化し,酸素と窒素の液化温度の相違を用いて,酸素と,窒素を分離する。酸素製造装置41で製造されたN
2は窒素供給配管42よりシールガス供給タンク31へ導かれる。酸素製造装置41は,空気中の窒素と酸素を分離するガス分離装置として機能する。
【0071】
窒素供給配管42は,酸素製造装置41よりシールガス供給タンク31へ窒素を供給する。
【0072】
水分離装置43は,熱交換器15下流に配置され,燃焼ガス中に含まれる水を分離する。燃焼によって発生した二酸化炭素(CO
2,作動媒体G1)と水(H
2O)は,水分離装置43にて分離されて,水はサイクル(循環路R)外へ放出される。
【0073】
本実施形態では,リーク混合ガス(G1+G2)は,タービン12と熱交換器15の間に流入させている。これは,リーク混合ガス(G1+G2)も含めて,熱交換器15で冷却し,水分離装置43で,水を分離することが好ましいからである。
【0074】
二酸化炭素貯蔵装置44は,圧縮機17の下流に配置され,二酸化炭素を貯蔵する。燃焼により生成した分の二酸化炭素は二酸化炭素貯蔵装置44へ導かれ,貯蔵される。即ち,循環路Rでの循環に必要な以上の二酸化炭素を二酸化炭素貯蔵装置44に貯蔵し,適宜に利用可能となる。
【0075】
本実施形態によれば酸素製造装置41により作り出される窒素をシールガスG2に使用する。この結果,外部からシールガスG2を供給することなく,クローズドサイクル発電システム10aの運転状態中に,シールガスG2を連続的に供給できる。
【0076】
本実施形態のクローズドサイクル発電システム10aは,ガス分離装置16を有しない。但し,ガス分離装置16を追加し,二酸化炭素(作動媒体G1)と窒素ガス(シールガスG2)を分離することも可能である。例えば,圧縮機34と循環路Rの間にガス分離装置16を追加し,窒素ガス(シールガスG2)が循環路Rに流入しないようにすることも可能である。
【0077】
以上の実施形態では,軸シール装置20a,20bは,回転軸18a,18bの封止にラビリンスシール21a〜23a,21b〜23bを用いている。ラビリンスシール21a〜23a,21b〜23bそれぞれを,メカニカルシールに替えることも可能である。
【0078】
メカニカルシールでは,回転軸18a,18bと一体になった回転環と、軸シール装置20a,20b側(固定部)に取り付けられた固定環が、軸に垂直な平面で近接する。
【0079】
ここで,クローズドサイクル発電システム10の小型化のために循環路Rの高圧化が求められる場合がある。また,タービン12の回転数,および回転軸18aの径の増加に伴い,回転軸18a,18bの周速度が増加する場合がある。
【0080】
このような,循環路Rの高圧化,回転軸18a,18bの周速度の増加等に対応するには,メカニカルシールよりラビリンスシールが適する。ラビリンスシールに比して,メカニカルシールは,より小さな間隙で封止することから,製造および保守の労力が大きくなる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。