(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電離放射線を閉じ込めるために遮蔽された、物体(B)がそれぞれ入/出力される入口(4)および出口(6)を有する筐体(2)を備える、電子衝撃によって物体(B)を滅菌するためのシステムにおいて、前記入口(4)と前記出口(6)の間に、処理ゾーン(II)、前記処理ゾーン(II)の上流にある経路設定ゾーン(I)、および前記処理ゾーン(II)の下流にある排出ゾーン(III)と、前記入口(4)から前記出口(6)まで物体(B)を搬送する手段(9、14、18)とを備え、前記処理ゾーン(II)は少なくとも1つの電子加速器およびコンベヤ(9)を備え、前記経路設定ゾーン(I)および前記排出ゾーン(III)はそれぞれ電離放射線から保護する少なくとも1つの放射線遮蔽壁(16)およびコンベヤ(14、18)を含み、前記経路設定ゾーン(I)および/または前記排出ゾーン(II)は、前記放射線遮蔽壁(16)の両側に少なくとも1つの第1のコンベヤ(14)および第2のコンベヤ(18)と、物体(B)が前記放射線遮蔽壁(16)の上部を越えて前記放射線遮蔽壁(16)を通過することを可能にする、前記放射線遮蔽壁(16)を横断するための手段(20)とを備える、滅菌システムであって、前記横断手段(20)は、前記物体(B)の移動方向(X)に対して垂直な軸(Y)の周りで回転可能なシャフト(25)の第1の長手方向端部(22.1)に取り付けられた1つのアーム(22)であって、前記第1のコンベヤ(14)と前記第2のコンベヤ(18)の間に位置する平面に前記軸(Y)が含まれる1つのアーム(22)と、前記1つのアーム(22)の第2の長手方向端部(22.2)に取り付けられた、前記物体を把持する手段(24)と、前記第1のコンベヤ(14)の一方の端(14.1)と前記第2のコンベヤ(18)の一方の端(18.1)との間で旋回するように前記1つのアームを回転させる手段と、前記把持手段(24)を作動させる手段とを備える、滅菌システム。
前記経路設定ゾーン(I)および前記排出ゾーン(II)は、それぞれ、前記放射線遮蔽壁(16)の両側に少なくとも1つの第1のコンベヤ(14)および1つの第2のコンベヤ(18)と、物体(B)が前記放射線遮蔽壁(16)の上部を越えて前記放射線遮蔽壁(16)を通過できるように、前記放射線遮蔽壁(16)を横断するための手段(20)とを備える、請求項1に記載の滅菌システム。
前記把持手段(24)は支持体(26)と2つの顎部(28、30)を含み、前記顎部(28、30)は、それぞれ前記移動方向(X)と平行な軸(X1、X2)の周りに自在に回転するように、前記支持体(26)に蝶番式に取り付けられ、弾性復帰手段(36)が前記顎部(28、30)を互いに向かって引き戻す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の滅菌システム。
前記作動手段は、前記第1のコンベヤ(14)の端部(14.1)に配置された作動部(38)と、前記第2のコンベヤ(18)の端部(18.1)に配置された作動部(40)とを備える、請求項6に記載の滅菌システム。
各作動部は、前記移動方向(X)に対して垂直な、自在に回転する、2つのカム(42、43)が取り付けられたシャフト(44)であって、各カム(42、43)が各顎部(28、30)と協働することで前記顎部(28、30)の回転軸(X1、X2)の周りで旋回するように設計されているシャフト(44)と、所与の角度だけ前記シャフト(44)を回転させる手段とを備える、請求項7に記載の滅菌システム。
各顎部(28、30)は、その顎部(28、30)の各端に配置された2本のピン(52、54、56、58)を備え、前記ピン(52、54、56、58)は、当該ピンを支持する顎部(28、30)の回転軸と平行な、その回転軸とは異なる軸を有し、各カム(42、43)は、前記シャフト(44)の回転によってピン(52、54、56、58)と接触する、請求項8に記載の滅菌システム。
前記シャフト(44)を所与の角度だけ回転させる手段(50)は、ロッド伝達システム(50)によって回転空気ジャッキが前記シャフト(44)に接続されることによって形成される、請求項8または9に記載の滅菌システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の1つの目的は、コンパクトな、電子衝撃による滅菌システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この本発明の目的の達成は、処理ゾーン、処理ゾーンの上流にある経路設定ゾーンおよび処理ゾーンの下流にある排出ゾーンを備え、経路設定ゾーンおよび排出ゾーンがそれぞれ放射線遮蔽壁を備え、経路設定ゾーンおよび/または排出ゾーンが、放射線遮蔽壁の上流にある第1のコンベヤおよび放射線遮蔽壁の下流にある第2のコンベヤと、第1の放射線遮蔽壁の上を越えて第1のコンベヤから第2のコンベヤへ経路設定された物体移動手段とを備える、電子衝撃滅菌システムによってなされる。
【0008】
好ましくは、経路設定ゾーンおよび排出ゾーンはそれぞれ、2つのコンベヤと、放射線遮蔽壁の上を越えて物体を通過させる手段とを備える。
【0009】
つまり、処理ゾーンの上流および/または下流における被滅菌物体の経路設定は、水平面だけでなく垂直面でも行われ、上流および/または下流のコンベヤは、放射線遮蔽壁の上流および下流を巡る2つの単純な形状をしたコンベヤと置き換えられる。コンベヤは小さくなり、製造し易くなる。したがって、上流および下流のゾーンの長さおよび横寸法が短縮される。
【0010】
非常に有利には、一方のコンベヤからもう一方のコンベヤに物体を移動させる上記手段は、水平軸の周りに回転できるアームと、クランプを備える。このクランプが物体を持ち上げ、上記回転アームがその物体を一方のコンベヤからもう一方のコンベヤに移動させた後、クランプは遠ざけられて物体を解放する。
【0011】
好ましくは、論理制御器が、物体の処理手段および経路設定ゾーン装置を制御する。
【0012】
本発明の主な対象は、電離放射線を閉じ込めるために遮蔽され、物体がそれぞれ入/出力される入口および出口を有する筐体を備える、電子衝撃によって物体を滅菌するためのシステムであり、このシステムは、上記入口と上記出口との間に、処理ゾーン、上記処理ゾーンの上流にある経路設定ゾーン、および上記処理ゾーンの下流にある排出ゾーンと、上記入口から上記出口まで物体を搬送する手段とを備え、上記処理ゾーンは少なくとも1つの電子加速器およびコンベヤを備え、上記経路設定ゾーンおよび上記排出ゾーンはそれぞれ電離放射線から保護する少なくとも1つの放射線遮蔽壁およびコンベヤを含み、上記経路設定ゾーンおよび/または上記排出ゾーンは、上記放射線遮蔽壁の両側に少なくとも1つの第1のコンベヤおよび第2のコンベヤと、物体が上記放射線遮蔽壁の上部を越えて通過することを可能にする、上記放射線遮蔽壁を横断するための装置とを備える。
【0013】
好ましくは、上記経路設定ゾーンおよび上記排出ゾーンは、それぞれ、上記放射線遮蔽壁の両側に少なくとも1つの第1のコンベヤおよび第2のコンベヤと、物体が上記放射線遮蔽壁の上を越えて上記放射線遮蔽壁を通過できるように、上記放射線遮蔽壁を横断するための装置とを備える。
【0014】
一つの特に有利な例では、上記横断手段は、上記物体の移動方向に対して垂直な軸の周りに回転できるシャフトの第1の長手方向端部に取り付けられたアームにおいて、上記第1のコンベヤと上記第2のコンベヤの間に位置する平面に上記軸が含まれるアームと、上記アームの第2の長手方向端部に取り付けられた、上記物体を把持する手段と、上記第1のコンベヤの一方の端と上記第2のコンベヤの一方の端の間で旋回するように上記アームを回転させる手段と、上記把持手段を作動させる手段とを備える。
【0015】
上記横断手段は、上記把持手段が一連の水平面内で移動するような手段を備えると有利である。この手段は、上記回転シャフトが自在に回転する第1の固定プーリと、上記アームの上記第2の長手方向端部に自在に回転するように取り付けられた第2のプーリと、上記第1のプーリと第2のプーリを接続するベルトを備えうる。上記把持手段は上記第2のプーリに回転式に固定される。
【0016】
例えば、上記把持手段は支持体と2つの顎部を含み、この顎部は、それぞれ上記移動方向と平行な軸の周りに自在に回転するように、上記支持体に蝶番式に取り付けられ、弾性復帰手段が上記顎部を互いに向かって引き戻す。
【0017】
有利には、上記作動手段は、上記アームによって支持されていない。
【0018】
例えば、上記作動手段は、上記第1のコンベヤの端部に配置された作動部と、上記第2のコンベヤの端部に配置された作動部とを備える。各作動部は、上記移動方向に対して垂直な、自在に回転する、2つのカムが取り付けられたシャフトにおいて、各カムが各顎部と協働することで上記顎部が回転軸の周りで旋回するように設計されているシャフトと、所与の角度だけ上記シャフトを回転させる手段とを備えうる。
【0019】
一例では、各顎部は、顎部の各端に配置された2本のピンを備え、上記ピンは、そのピンを支持する顎部の回転軸と平行な、その回転軸とは異なる軸を有し、各カムは、上記シャフトの回転によってピンと接触する。
【0020】
上記シャフトを所与の角度だけ回転させる上記手段は、ロッド伝達システムによって回転空気ジャッキが上記シャフトに接続されることによって形成されると有利である。
【0021】
上記物体が2つのリブを備え、各顎部は、リブが嵌る溝を備えうる。例えば、物体は矩形断面を有するボックスである。
【0022】
上記滅菌システムは、各上記ゾーンの内部における物体の位置を検出する手段を備えると好ましい。上記滅菌システムは、少なくとも一つの上記横断装置および照射による物体の処理を制御する論理制御器とを備えると有利である。例えば、上記コンベヤは、チェーンリンク・ベルトでもローラベルトでもありうる。
【0023】
本発明については、以下の説明および添付の図面を読むとより理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、本発明による原理を示す一例示的実施形態による滅菌システムの内部の概略図が示されている。
【0026】
上記システムは、入口4および出口6を有する筐体2を備える。その筐体2の内部を、物体が入口4から出口6に向かって方向Xに沿って移動する。
【0027】
以下の説明では、入口から出口(
図1および2から見て左から右)に向かって、上流側、下流側とみなす。
【0028】
例えば、出口6はアイソレータ(図示せず)に接続される。
【0029】
上記システムは、上流から下流の方向に沿って順に、3つの主要ゾーンを有する。
-経路設定ゾーンと呼ばれる、ゾーンI
-処理ゾーンと呼ばれる、ゾーンII
-排出ゾーンと呼ばれる、ゾーンIII
【0030】
経路設定ゾーンIは、入口4から処理ゾーンIIへの入口通路8まで延び、排出ゾーンIIIは、処理ゾーンIIからの出口通路10から出口6まで延びる。
【0031】
上記滅菌システムは、筐体2内部の入口4と出口6の間に電離放射線を留めておく放射線遮蔽バリアのセットを備える。このバリアの組立体は、ゾーンIおよびIIIにあるトンネル13と、そのトンネル13に処理ゾーンIIの入口通路8および出口通路10を介して接続される、加速器(1つまたは複数)および照射トンネルを取り囲む収容室と、ゾーンIおよびIIIのトンネル13にある垂直な放射線遮蔽壁16とで形成される。
【0032】
処理ゾーンIIは、コンベヤ9と少なくとも一つの電子加速器11を備え、電子加速器は、上記システムを通過する物体に対して、その表面を滅菌するために電子で衝撃を与える。示されている例では、処理ゾーンIIは3つの加速器を備え、X方向の周りに互いに120°をなしたその加速器のうちの2つだけが確認できる。処理ゾーンIIは、X方向に対して垂直な2つの壁12によって経路設定ゾーンIおよび排出ゾーンIIIから分離され、この2つの壁12を貫いて、入口通路8および出口通路10が形成される。
【0033】
経路設定ゾーンIと排出ゾーンIIIは類似した構造を有しており、したがって経路設定ゾーンIのみについて
図2〜6を参照して詳細に説明する。
【0034】
経路設定ゾーンIは上述のトンネル13によって画定され、トンネル13は、放射線からの保護を行う電離放射線のための閉じ込め遮蔽を形成する。経路設定ゾーンIは、上流から下流の方向に沿って順に次のもの−入口4からX方向に沿って延びる第1のコンベヤ14と、処理ゾーンIIの側に電離放射線を閉じ込めるために遮蔽を形成する放射線遮蔽壁16と、処理ゾーンIIへの入口通路8までX方向に沿って延びる第2のコンベヤ18を備える。
【0035】
例えば、コンベヤ14、18は、モータ駆動でありうるギアまたはローラによって駆動されるチェーンリンク・ベルトである。
【0036】
放射線遮蔽壁16は通常、鉛でできている。放射線遮蔽壁16は、X方向に対して垂直に延び、入口通路8に面する。
【0037】
経路設定ゾーンIはまた、被処理物体が第1のコンベヤ14と第2のコンベヤ18の間を通過するために放射線遮蔽壁を越えうるような手段を備える。
【0038】
好ましくは、ストッパ19が、上記物体を停止させるために、第1のコンベヤ14の下流端の、放射線遮蔽壁16の手前に設けられる(
図4)。同様にストッパ21も、第2のコンベヤ18への入口に設けられる(
図3)。例えばこのストッパは、コンベヤ14、18が反対方向に走行し、第2のコンベヤ18への入口が第2のコンベヤからの出口を形成するときに役立ちうる。
【0039】
図1における物体はボックスBであり、上記システムにおけるそれらの経路がTと表された矢印で示されている。
【0040】
ボックスBは、壁16の上流側では第1のコンベヤ14によって水平面を移動し、次いで垂直方向に沿って移動し、そして水平方向に沿って移動して壁16を横切り、それから第2のコンベヤ18によって壁16から下流に向かってもう一度水平面を移動することがわかる。
【0041】
上方から壁を横切るので、経路設定ゾーンの長さは短縮される。同じことが排出ゾーンIIIの長さに適用される。
【0042】
経路設定ゾーンおよび排出ゾーンの横寸法もまた、壁を水平に迂回するコンベヤが存在しないので、現況技術によるシステムよりも短い。
【0043】
次に、特に
図3、4および5で確認できる横断装置20の特に有利な実施形態について詳細に説明する。
【0044】
横断装置20は、第1のコンベヤ14と第2のコンベヤ18の間に配置される。横断装置20は、回転シャフト25(
図6)の端に取り付けられたアーム22を備える。回転シャフト25は、X方向に対して垂直なY軸の周りに回転でき、第1のコンベヤの出口端14.1と第2のコンベヤ18の入口端18.1が延在する平面に配置される。アーム22は、第1の端部22.1がY軸の周りに連接され、アームの第2の端部22.2は、被処理物体Bを把持する把持手段24を支持する。
【0045】
例えば、この駆動手段は、回転シャフト25と直接接続したモータからなる。
【0046】
有利には、アーム22は、把持手段およびそれにより把持されるボックスBを、横断中水平に保持する手段を備える。
【0047】
示されている例では、こういった保持手段は、システム全体、つまりトンネル13および放射線遮蔽壁に対して固定して取り付けられた第1のプーリ23.1を備える。回転シャフト25は、第1のプーリ23.1を貫き、そのプーリ23.1に対して自在に回転する。上記保持手段は、Y1軸の周りに自在に回転するように取り付けられた第2のプーリ23.2を備え、ベルト23.3が上記2つのプーリを接続する。上記把持手段は、プーリ23.2に固定された支持体26を備える。したがって支持体26は、アーム22の移動中その水平位置に留まる。
【0048】
図6に、第1のコンベヤ14と第2のコンベヤ18の間を移動するときの様々な位置にあるアームが示されている。そして、ボックスBは、2つのコンベヤの間で円弧の経路をたどる。アーム22およびその駆動装置の製造は、非常にシンプルであるという利点を有する。
【0049】
一変形例として、ボックスの経路が放物線またはより複雑であるようなシステムが設けられうる。2つのコンベヤの間の距離はこの場合、ボックスが仕切壁16を越えるために持ち上げられる必要がある高さよりも短くなる。このとき上記システムの長さは、さらに短縮されるであろう。
【0050】
示されている例では、把持手段24は、矩形のボックスを把持するように適合される。
【0051】
次に、示されている例において把持手段24によって操作されるボックスの形状について説明する。
図4で特に明らかであるが、上記ボックスは形状が矩形である。側壁30がX方向と平行であるようなボックスBが、コンベヤ14、18上に配置される。各側壁30の上縁が、ボックスの外側に向かって、その側壁30の長さの少なくとも一部分にわたって、その側壁の平面に対して垂直なリブ34を備える。
【0052】
把持手段24は上述の支持体26を備え、その支持体26に、2つの顎部28、30がそれぞれ軸X1、X2の周りに連接される。軸X1およびX2はX方向と平行である。各顎部28、30は、V字の断面形状を有する溝35を備え、溝35の軸はX方向と平行であり、その溝35に、ボックスBの側壁30の上縁のリブ34が嵌りうる。支持体26はプーリ23.2に回転式に固定される。示されている例では、プーリに固定されたY1軸に沿って延びる軸31が、支持体26の上面に固定された2つの鐙33に取り付けられる(
図3)。
【0053】
支持体26およびそれにより搬送されるボックスは、水平に保持される。
【0054】
弾性復帰手段36が、2つの顎部28、30の間に、それらを互いに向かって把持位置に自動的に戻すために設けられる。示されている例では、弾性復帰手段は、両端が顎部28、30に固定された螺旋状のばねからなる。
【0055】
示されている例では、かつ非常に有利には、把持手段24は、アームに搭載されていない外部手段によって作動し、それによりアーム22が動かす荷重を低減できる。ただし、例えばこの作動手段は、上記支持体に取り付けられるなどしたアームに搭載された電気式把持手段でありうることが想定される。
【0056】
次に、上記把持手段を作動させる手段について説明する。
【0057】
上記把持手段は、1回目は、第1のコンベヤ14からの出口16.1に配置されたときにボックスBを把持するように作動し、2回目は、仕切壁16を横切り、第2のコンベヤ18への入口18.1に配置されたときにボックスBを解放するように作動する。
【0058】
示されている例において非常に有利には、上記作動手段は、ボックスを把持するために第1の上流作動部38を備え、上流から下流への移動モードでボックスBを解放するために下流作動部40を備える。以下の説明で、この移動モードが反転しうることが分かるであろう。
【0059】
2つの上流作動部38と下流作動部40は類似した構造をしており、したがって上流作動部38のみについて詳細に説明する。
【0060】
上流作動部38は2つのカム42、43を備え、カム42、43は、第1のコンベヤ14からの出口にX方向に対して垂直に配置されたシャフト44によって支持される。シャフト44は、軸Y2の周りに自在に回転するように取り付けられる。示されている例では、シャフト44長手方向の両端部は、収容室13の側壁に固定された2つのベアリングブロック46内に取り付けられる。
【0061】
シャフト44をY2軸の周りに回転させる手段48が設けられ、特に
図5でそれが確認できる。示されている例では、手段48は位置をずらされ、ロッド伝達システム50を介してシャフト44を駆動する回転空気ジャッキ49(
図3)を備える。
【0062】
かかる回転手段48はいくつかの利点を有する。
【0063】
第1に、シャフト44の回転移動が空気ジャッキの移動距離に応じて調節されうるように、接続ロッド50の長さが調節可能でありうる。
【0064】
第2に、好ましくは接続ロッド50を少なくとも部分的に、過大な機械的応力を受けると破損する材料(例えばプラスチック)で製造することによって、その構造体の残りの部分が保護される。接続ロッドは、上記システムの残りの部分より前に優先的に割れる。したがってこの接続ロッドはメカニカルヒューズとして有利に機能する。
【0065】
最後に、この実施形態により、シャフト44またはジャッキの組み立て/分解が互いに独立して可能になる。
【0066】
一変形例として、シャフト44の端部に直接電気モータを取り付けることが可能、あるいは、回転空気ジャッキを電気モータと置き換えることが可能であろう。
【0067】
示されている例では、シャフト44は、一方の回転方向とその逆回転方向に4分の1回転だけ旋回する。
【0068】
シャフト44の各カム42、43は、顎部28、30によってそれぞれその顎部の長手方向の上流端で支持されているピン52、54と協働する。ピン52、54は、X1、X2軸とは平行だが異なる長手方向の軸を有する。したがって、ピン52、54の上向きの移動により、そのピンが固定された顎部28、30の、そのX1、X2軸の周りの回転が引き起こされる。
【0069】
顎部28、30はまた、それらの長手方向の下流端にピン56、58を備え、ピン56、58は、第2のコンベヤ18への入口で作動部40と協働する。
【0070】
別の例示的実施形態では、ピンをなくすことを想定することが可能であろう。
【0071】
把持手段および作動手段は、それらが完全に反転可能であるという利点を有し、その結果、例えば上記システムで1つまたは複数の物体が捕捉される、あるいは詰まった場合などに、その物体は逆方向に搬送されうる。
【0072】
有利には、搬送手順および照射手順は論理制御器によって制御される。その論理制御器は、コンベヤの経路上の様々な位置に配置された検出器によって発せられる物体の存在を検出する信号と、加速器動作パラメータと、インターフェースでこの滅菌システムと接続された諸装置、特に滅菌システムからの出口にあるアイソレータからの情報とを受信する。
【0073】
次に、システムの入口4から出口6へのボックスBの経路設定について説明する。
【0074】
図3に、ボックスがコンベヤ14上で把持されている状態と、ボックスが放射線遮蔽壁16の上を横断している状態と、ボックスがコンベヤ18上で解放された状態にある、把持手段24が示されている。
【0075】
初期の状態では、アーム22はほぼ垂直になっている(
図2)。
【0076】
ボックスBは、経路設定ゾーンIへの入口4の、第1のコンベヤ14の下流端上に配置される。次いで、ボックスBは第1のコンベヤ14の端部14.1まで送られる。このときボックスBの存在が検出される。
【0077】
回転アーム22が
図2の反時計回りの方向に回転して、把持手段をボックスBの上に配置し、顎部28、30のピン52、54をカム42、43と上下に一致するように配置する。次にシャフト44がロッド伝達システム50によって4分の1回転だけ回転させられ、これによりX1、X2軸を中心に顎部28、30が傾斜する。顎部28と顎部30は、顎部28と顎部30との間にボックスBの上部を配置できるように離れる。
【0078】
ロッド伝達システム50がもう一度作動して、アーム44の2度目の4分の1回転を引き起こす。カム46はピン52、54と接触しなくなる。復帰ばね36の動作を受けて、顎部28、30は互いに向かって移動し、それによって、ボックスBのリブ34が顎部28、30の溝35に嵌り、ボックスBは顎部28、30に固定される。
【0079】
次にアーム22が時計回りの方向に旋回し、その結果、ボックスBは放射線遮蔽壁16を越え、第2のコンベヤ18への入口18.1に配置される。
【0080】
このときピン56、58が、下流作動部のカムと上下に一致する。次いで、下流ロッド伝達システムが作動し、カムが旋回し、ピン56、58と接触する。これは顎部28、30を引き離す効果を有する。次いで、ボックスBは解放され、ボックスBは、処理ゾーンIIに達するまで第2のコンベヤ18によって搬送されうる。処理ゾーンIIで、ボックスBの外部表面(1つまたは複数)が電子衝撃によって滅菌される。
【0081】
次いでボックスBは処理ゾーンIIから取り出され、排出ゾーンIIIに入る。ボックスは、排出ゾーンIIIの中を、経路設定ゾーンIと同様の形で、つまり第1のコンベヤ上を移動し、横断装置20と同様の横断装置により放射線遮蔽壁を越えて送られ、その後、上記システムの出口6まで搬送される。
図2に、排出ゾーンIIIの放射線遮蔽壁16を横断するボックスBが示されている。
【0082】
例えば、現況技術による滅菌システムの長さが4500mmのとき、本発明による滅菌システムの長さは4000mmになり、これは長さの大幅な短縮を示している。システムの幅もまた短縮され、現況技術による滅菌システムの幅は4467mmであるが、本発明による滅菌システムの幅は3964mmになりうる。
【0083】
例えば、この滅菌システムは、毎分6個の処理済みボックスBを出口6で提供するようにプログラミングされうる。放射線遮蔽壁を越える横断時間は3秒程度のものになりうる。ゾーンIおよびIIIにおける搬送速度は5.4m/分程度、ゾーンIIにおける搬送速度は2m/分程度である。
【0084】
したがって、この滅菌システムはまた、滅菌済み物体の供給速度が大きいという利点を有する。
【0085】
矩形ボックス、より一般には矩形の物体を滅菌するためのシステムについて、特に把持手段について説明した。このシステムは、様々な形状を有する物体の滅菌に適することが理解されよう。例えば円形のボックスなどでは、顎部は2つの円弧の形状をしている。
【0086】
詳細に説明した横断装置は、その簡易性および堅牢性ばかりでなく、その動作速度の点でも特に有利である。しかしながら、物体の材料および形状が適当に適合されるなら、例えば掴み装置や磁気装置、空気式吸着カップを有する装置など、他の横断システムを使用することもできる。
【0087】
さらに、説明した例では、上流および下流のコンベヤが同一の水平面に含まれている。上流および下流のコンベヤが2つの異なる水平面にあるシステムや、コンベヤが傾斜した平面にあるシステムも、本発明の範囲内に含まれる。
【0088】
さらに、例えば経路設定ゾーンまたは排出ゾーンの一方だけが2つのコンベヤと1つの横断装置を備え、もう一方のゾーンは放射線遮蔽壁の脇を迂回する単一のコンベヤを備えるシステムが本発明の範囲外になるわけではない。かかるシステムもやはり、現況技術によるシステムよりも小さくなるであろう。
【0089】
経路設定ゾーンおよび/または排出ゾーンは複数の遮蔽壁をそれぞれ有することが可能である。そういったゾーンはその場合、壁ごとに1つの横断装置を備えうる。