(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記超吸収性粒子(21)が、前記吸収性構造体の長手寸法またはx-方向に沿ったプロフィールに応じて分配されること、及び/又は前記超吸収性粒子(21)が、前記吸収性構造体の横方向またはy-方向に沿ったプロフィールに応じて分配されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性構造体。
前記超吸収性粒子(21)が、互いに隔てられた前記不織性多層支持体(23)上の別々のゾーンに分散され、これによって前記吸収性構造体のx-方向及び/またはy-方向に沿って液体が流れやすく且つ吸い上げやすくすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性構造体。
【背景技術】
【0002】
慣用の吸収性物品は、液体浸透性(permeable)または透過性(pervious)、親水性または半親水性トップシート(1)、繊維材料、吸収性コア(5)及び液体非浸透性または不透過性材料バックシート(6)を組み合わせることによって製造する。トップシート(1)及びバックシート(6)は、吸収性コア(5)に対して前記シートの相対的な位置を表す。
【0003】
吸収性コアは一般に、毛羽(fluff)と超吸収性ポリマー(SAP)粒子(21)とから構成される。
多層吸収性物品は、追加の捕捉層(2)及び分散層(3、4)、または慣用のADL(19)を含む、少なくとも三つの機能をもつことができる。頂部層は捕捉層(2)であり、これは液体を迅速に捕捉し、且つ前記捕捉層(2)の下に配置された分配層(distribution layers)(3、4)に送達するのに適している。前記分配層により、液体はユーザーから遠くへ移動することができる。第三の機能は、液体によって再び湿潤するのを防ぐことである。
【0004】
多層(multilayered)ADLは、ベルギー特許第BE1 018 052号(特許文献1)に開示されており、液体の分配を促進する3層の捕捉層(2)及び分配層(3、4)を含む改善された多層ADLシステムに関連する。捕捉層(2)は一般に、毛管現象によって分散層へ液体を迅速に送達する粗い親水性または疎水性繊維から構成される。前記分散層は一般に、0.7〜30dtex、好ましくは1.5〜7dtexの範囲のプロフィール化または成形マルチローバル(multilobal)繊維などの衛生品に適した親水性材料及び繊維を含む。
【0005】
SAP粒子
典型的なSAP粒子(21)は、乾燥粒子の重量をベースとして、約10倍、水を吸い込むことができる架橋親水性ポリマー鎖から構成される。親水性ポリマーは、天然または合成ポリマーであるか、両方の種類の混合物である。一般的な天然ポリマーとしては、例えばカルボキシレート、ホスホネート若しくはスルホキシレートなどの追加の親水性機能により最終的に変性されたセルロースまたはスターチなどのセルロースベースのポリマーが挙げられる。合成親水性ポリマーは一般に、ポリエーテルまたはポリアクリレートベースのポリマーである。
【0006】
SAP粒子(21)は、好都合にはコーティングまたは、部分的にコーティングすることができる。追加のコーティングにより、たとえばよりよい体液吸収能、周囲に対して粒子をよりよく付着させること、改善された液体輸送能、またはよりよい機械的特性などの追加の特性を改善またはSAP粒子(21)に提供する。
【0007】
吸収性コア
吸収性コアは一般に、SAP粒子(21)と、繊維、層、毛羽またはこれらの任意の組み合わせなどの支持体(23)との混合物を含む。
【0008】
吸収性コアが濡れると、SAP粒子(21)は大量の液体を吸収することができる。しかし、濡れたSAP粒子(21)は膨潤しがちであるので、隣接する膨潤SAP粒子(21)とゲルを形成する。ゲル形成により、吸収性コア内部への液体送達(transmission)は妨げられかねない。
【0009】
結果として、ゲルによる妨害は、潜在的な漏れ及び/または再湿潤性(rewettability)問題を引き起こす。吸収性コアのゲルによる妨害を防ぎ、且つ液体吸収能を改善するために、個々のSAP粒子(21)は互いに十分に離れていなければならない。これは一般に、SAP粒子(21)とセルロースベースの毛羽とを混合することによって得られる。
【0010】
より薄い吸収性コアは、吸収性コアの組成で使用される毛羽の量を減らすことによっても得ることができる。
たとえば、米国特許第5,763,331号(特許文献2)は、紙または不織布などの支持層にしっかり接着されたアクリレートまたは生分解性材料ファミリーなどのSAP粒状材料(granular material)を含む毛羽のない吸収性コアを開示する。主な支持層に超吸収性粒状成分を糊付けするのに使用される接着剤は、噴霧により適用される。
【0011】
米国特許出願第2003/175418号(特許文献3)及び米国特許出願第2002/0090453号(特許文献4)は、粒子の減損及び凝集を防ぐための方法で知られる。これらの特許は、熱可塑性樹脂粉末などの硬化性樹脂の溶液または硬化性液体樹脂で処理したシート、フィルム、フォームまたは繊維などの支持体の上にSAP粉末を安定して取り付けるためのプロセスを開示する。SAP粉末はポリマー材料表面に適用され、硬化性液体樹脂でコーティングされ、次いで加熱により硬化させる。得られた吸収性フィルムでは、粒子の凝集及び粒子の減損が減った。あるいは、SAP粉末は樹脂製材料でコーティングして、ポリマー材料の表面に適用し、硬化させる。従って得られた吸収性フィルムをシートの間に挿入して、吸収性コアを形成することができる。
【0012】
PCT国際特許出願国際公開第WO03/092757号(特許文献5)は、SAP粒子と可塑剤のシートから構成される毛羽なし吸収性コアを製造するための方法も開示する。この可塑剤をSAP粒子上に噴霧し、続いて熱プレスする。可塑剤は、吸収性コアに再湿潤性及び捕捉速度(acquisition rate)を与える(impart)ことなく、シートに対して柔軟性及び構造的完全性を改善する。開示された方法は、吸収性物品の製造も容易にする。
【0013】
米国特許第4,232,674号(特許文献6)からは、層の飽和された領域から飽和されていない領域へ液体を毛細管流動させるために覆われていない領域を残すために、平行ストライプなどの予め決められたパターンで超吸収性ポリマー粒子を付着させる、液体吸収性デバイスも公知である。
【0014】
吸収性物品の液体保持を改善するために、多層吸収性コアを製造することも公知である。たとえば米国特許出願第US2003/135178号(特許文献7)は、上部層と下部層と内部層とを含む吸収性ラミネートコアを開示し、ここで前記内部層の一つは、SAPを含むトウ繊維などの中心の繊維層である。他の内部層は、捕捉層、分配層、場合によりSAPを含む追加の繊維層、ウィッキング層(wicking layer)、貯蔵層またはこれらの組み合わせ及びフラグメントから選択される層である。
【0015】
多層吸収性コアは、吸収性コアを形成するための一体コア(unitary core)で吸収性層または貯蔵層と、慣用のADL(19)との組み合わせから得ることもできる。一体吸収性コアは一般に、薄肉化され、吸収性物品の加工を容易にもする。
【0016】
一体吸収性コアの数例がPCT国際特許出願国際公開第WO92/11831号(特許文献8)に開示されている。この文書から、液体透過性トップシート、液体不透過性バックシート及び、前記トップシートとバックシートとの間に配置されている多層吸収性コアを含む吸収性物品が公知である。前記吸収性コアは、捕捉/分配層と、各捕捉層の下に配置され、吸収性ゲル化剤量を含む貯蔵層とを含む多層吸収体を含む。包装された(wrapped)多層吸収体は、多層吸収剤を液体輸送包装で包むことによって得られる。
【0017】
PCT国際特許出願国際公開第WO91/11163号(特許文献9)は、結合手段と化学的に補強された、好ましくは縮れたセルロース繊維を含むADLと、400〜700ミクロンの平均径をもつSAP粒子及び、SAP粒子用のキャリヤ手段(carrier means)を含む、それぞれのADLの下に配置された流体貯蔵層とをもつ吸収性構造体を開示する。
【0018】
PCT国際特許出願国際公開第WO00/41882号(特許文献10)は、2層(ply)吸収性構造体を開示し、それぞれの層は、異なる濃度でSAP粒子を含み、繊維とバインダーとのマトリックス内に均質分散されているか、構造体の中のレーンなどの個々の位置若しくはゾーンに配置されている。
【0019】
それぞれの層は、液体連通の中の幾つかの層(stratum)から構成される。二つの層の異なる密度は、層の間に毛細管の張力勾配をつくり出す。
米国特許出願第2008/312625号(特許文献11)、米国特許出願第2008/312632号(特許文献12)及び米国特許出願第2008/3126621号(特許文献13)は、それぞれの層がSAP粒子を含む支持体と、前記SAP粒子を覆う熱可塑性樹脂接着剤をもつ二つの吸収性層を含む、実質的にセルロースを含まない吸収性コアを開示する。この二つの吸収性層は、2つの吸収性層の熱可塑性接着剤の一部が接触するように、継ぎ合わせる。二つの吸収性層は、吸収性微粒子ポリマー材料のそれぞれのパターンが互いに相殺するように、組み合わされている。
【0020】
米国特許出願第2007/027436号(特許文献14)から、液体透過性トップシートと、吸収性物品の周囲で前記トップシートに結合されるバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置されるコアとを含む、薄く、適合性(conformable)且つ柔軟性の吸収性物品が公知であり、前記コアは、超吸収性材料を含む貯蔵層と、超吸収性材料を含む捕捉/貯蔵層とを含む。
【0021】
引用した従来の技術に関しては、ユーザーに対して快適性、より高い吸収能力、機械的安定性、薄さ、低い再湿潤性を提供し、且つ吸収性物品で加工が容易である一体吸収性構造体を改善する必要性がある。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、永久に液体を保持する能力を持つ吸収性コア(5)及び/または一時的に液体を保持する能力をもつ捕捉(14)及び分散層(16)を含む改善された一体吸収性構造体に関し、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(14)及び分散層(16)は、超吸収性粒子(SAP粒子)が浸透するのに適した空隙容積(void volume)をもつ繊維支持体(23)などの少なくとも一つの不織材料と接着剤を含み、前記超吸収性粒子は、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(14)及び分散(16)一体層の深さ方向またはz-方向に沿ったサイズ分布勾配(size distribution gradient)に従って支持体層(23)内に分散されている。
図9、10、11、21、22及び23は、支持体(23)にSAP粒子(21)の分布を含む様々な態様を説明する。
【0024】
第二の側面では、本発明は、前記吸収性コア及び/またはADLを製造するための方法に関する。
本発明の目的は、吸収性コアの体液吸収能、取り込み速度及び再湿潤性に何らかの特性を与える(impart)ことなく、通常、40〜60重量%の範囲で含まれる吸収性コアに一般に使用される毛羽を減らすことによって、吸収性物品の厚さを減らす(薄肉化する)ことである。さらに、本発明に従った吸収性構造体は毛羽がない。ここで毛羽がないとは、層が4重量%未満の毛羽を含むこと、好都合には、吸収性構造体が毛羽を全く含まないことであり、毛羽とはセルロース毛羽を指すと理解すべきである。
【0025】
別の側面では、本発明は、ゲルによる阻害問題をうけることなく、高い体液吸収能力を持つ吸収性構造体に関する。
さらなる側面では、本発明は、改善された多層吸収性コアを形成するためにADLを含む吸収性構造体に関し、ここで前記ADL及び吸収性層は一体であり、且つ統合されている。
【0026】
さらなる側面では、本発明は、流体保持能力をもつ場合ともたない場合の、追加の慣用のADL(19)と組み合わせた吸収性構造体または多層吸収性構造体に関する。
本発明のさらなる目的は、吸収性物品に直接取り込むことができる、統合されたすぐに使える吸収性構造体を提供する。
これらに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。
[1]吸収性コア(5)及び/または捕捉(2)及び分散(3)層を含む一体吸収性構造体であって、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(2)及び分散(3)層は、超吸収性粒子が浸透するのに適した空隙容積をもつ少なくとも一つの不織性支持体(23)層を含み、前記超吸収性粒子は、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(2)及び分散(3)層の深さ方向またはz-方向に沿ったサイズ分布勾配に従って支持体層(23)内に分散されていることを特徴とする、前記構造体。
[2]前記吸収性構造体は毛羽がないことを特徴とする、[1]に記載の吸収性構造体。
[3]超吸収性粒子サイズ分布勾配が、約45〜約850μm、好ましくは約100〜800μmである、[1]または[2]に記載の吸収性構造体。
[4]前記吸収性層(23)は、約0.1〜20000cm
3/支持体(23)表面m
2の空隙容積、好ましくは約10〜6000cm
3/支持体(23)表面m
2の空隙容積をもつことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[5]前記支持体層(23)が多層支持体(23)であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[6]前記支持体層(23)が捕捉(14)及び分散(16)層を含むことを特徴とする、[5]に記載の吸収性構造体。
[7]前記支持体層(23)は頂部捕捉(14)及び分散(16)層と中間層を含む三重層であり、前記中間層は、支持体(23)m
2当たり約10〜約600cm
3の空隙容積をもち、且つ底部層は、支持体(23)m
2当たり約10〜約600cm
3の空隙容積をもつことを特徴とする、[6]に記載の吸収性構造体。
[8]前記不織繊維が、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、coPP、PET/PE、PET/PP、PET/cop、PP/PE、PLA、PLA/PP、PVA、ビスコース、綿、ウール、PET/coPET、アセテート、PTE、PVC、竹、PBT、PA、アクリル、モダクリル再生繊維の群から選択されることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[9]前記超吸収性粒子がポリアクリレートポリマーであることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[10]前記超吸収性粒子を、前記吸収性構造体の長手寸法またはx-方向に沿ったプロフィールに応じて付着することを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[11]前記超吸収性粒子が、前記吸収性構造体の横方向またはy-方向に沿ったプロフィールに応じて付着されることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[12]前記超吸収性粒子が、互いに隔てられた支持体(23)上の別々のゾーンに分散され、これによって前記吸収性構造体のx-方向及び/またはy-方向に沿って流体が流れやすく且つ吸い上げやすくすることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれかに記載の吸収性構造体。
[13]繊維支持体(7)を巻き戻す;
前記支持体(7)を超吸収性粒子で少なくとも部分的に覆う;
交流電場を印加して、超吸収性粒子の均質分布を確保する;
コア被覆層材料(22)を巻き戻す(11);
コア被覆層材料(22)の内面及び/または支持体(7)表面に接着剤を適用する;
前記コア被覆層材料(22)で支持体(7)を覆う;
圧力により確実に接着させる;
各段階を含む、[1]に定義された吸収性構造体を製造するための方法。
[14]繊維支持体(7)を巻き戻す;
前記支持体(7)の横寸法にわたって前記支持体(7)を超吸収性粒子で部分的に覆う;
交流電場を印加して、超吸収性粒子の均質分布を確保する;
コア被覆層材料(22)及び/または前記支持体(7)表面にホットメルト接着剤を適用する;
コア被覆層材料を巻き戻す(11);
前記コア被覆層材料(22)で支持体(7)を覆う;
圧力により確実に接着させる、
個々のコアを得るために、前記支持体(7)が超吸収性粒子を本質的に含まない場所で層を切断する;
各段階を含む、[1]に定義された多重(multiple)吸収性構造体を製造するための方法。
[15]支持体(7)表面を超吸収性粒子で覆う段階で、真空技術により粉末散布またはドラム形成を利用することを特徴とする、[13]または[14]に記載の方法。
[16]装置が、ADL及び/またはコア生産ラインのライン若しくはオフライン、またはおむつ若しくは女性用ケア製品ラインのライン若しくはオフラインにあることを特徴とする、[13]または[14]に記載の方法を実施するのに適した前記装置。
[17][1]〜[12]に定義されるような吸収性構造体を含む吸収性物品。
[18](a)液体透過性トップシート;
(b)液体非透過性バックシート;
(c)(a)と(b)との間に配置される吸収性構造体を含む、[17]に記載の吸収性物品。
[19]前記吸収性構造体の頂部に配置された追加の捕捉(2)及び分散(3)層を含む、[18]に記載の吸収性物品。
[20]前記吸収性構造体の真下に配置された追加の吸収性コアを含む、[18]に記載の吸収性物品。
[21][1]に定義された吸収性構造体を少なくとも二つ含む、請求項18に記載の吸収性物品。
[22]前記吸収性物品が身体の形に合っていることを特徴とする、[17]〜[21]に記載の吸収性物品。
[23]前記物品が、おむつ、軽度/重度尿漏れ防止パッド、女性用ケア生理用ナプキン及びパンティーライナーまたは創傷包帯からなる群から選択される、[17]〜[22]に記載の吸収性物品。
[24]前記吸収性物品が、超吸収性粒子約0.1〜約1000g/m
2、好ましくは約100〜約500g/m
2を含むことを特徴とする、[23]に記載のおむつまたは軽度及び/または重度尿漏れ防止パッド。
[25]前記吸収性物品が、超吸収性粒子約約0.1〜約1000g/m
2、好ましくは超吸収性粒子約10〜約200g/m
2を含むことを特徴とする、[23]に記載の女性用ケア生理用ナプキンまたはパンティーライナー。
[26]前記吸収性物品が、超吸収性粒子約0.1〜約1000g/m
2、好ましくは約100〜約700g/m
2、好ましくは超吸収性粒子約200〜約400g/m
2を含むことを特徴とする、[23]に記載の創傷包帯。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、頂部から底部へ、液体透過性トップシート(1)及び液体不透過性バックシート(6)、捕捉及び分配システム(2、3及び4)、毛羽とSAPとの混合物から一般に構成される吸収性コア(5)を含む典型的な吸収性物品の断面図であり、通常、SAPの量は0〜60重量%を変動する。
【
図2】
図2は、頂部から底部へ、捕捉層(2)と二つの分配層(3)及び(4)を含む3層の慣用のADL(19)の断面図である。
【
図3】
図3は、頂部から底部へ、三重層(triple layer)の捕捉層(14)、再浸潤層(15)及び分配層(16)を含む支持体の断面図である。
【
図4】
図4は、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)、再浸潤層(15)を含む支持体の断面図である。
【
図5】
図5は、頂部から底部へ、三重層の捕捉層(14)と、再浸潤層(15)とを含む支持体の断面図である。
【
図6】
図6は、頂部から底部へ、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)と再浸潤層(15)を含む支持体の断面図であり、第三の層は部分的に疎水性である。
【
図7】
図7は、頂部から底部へ、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)と吸収層(17)を含む支持体の断面図である。
【
図8】
図8は、頂部から底部へ、空隙容積勾配(18a、18b、18c)を画定するポリエステルとポリオレフィンとの三重層ブレンドを含む支持体の断面図である。
【
図9】
図9は、頂部から底部へ、捕捉及び分配頂部層(19)、SAP粒子(21)の損失を防いでいるより小さな空隙容積空間構造体の再浸潤層と、SAP粒子(21)を含む非常に大きな空隙容積空間をもつ底部層と、吸収性コアの底部区分をコーティングする被覆層とを含む支持体の断面図である。
【
図10】
図10は、三重層の支持体の断面図であり、ここで繊維は、SAP粒子(21)で部分的に充填した空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)を画定し、構造体の底部は、追加の層で覆われる。
【
図11】
図11は、空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)をもつ支持体に完全に浸透したSAP粒子(21)の断面図である。コアは、頂部部分及び底部部分(22)の上で不織層により覆われている。
【
図12】
図12は、空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)をもつ支持体に部分的に浸透したSAP粒子(21)の断面画像である。
【
図13】
図13は、本発明に従った構造体の製造法のスキームである。
【
図14】
図14は、不織支持体のy-方向または横寸法(lateral dimension)に沿ってSAP粒子(21)を付着させることを説明している、SAP粒子(21)の投入(dosing)システムのスキームである。
【
図15】
図15は、多くの(multiple)吸収性コアを製造するために支持体上にSAP粒子(21)を不連続に適用する断面図である。コアは、ホットメルト接着剤とコア被覆層(11)により覆われる。個々のコアを形成するための断ち切り線(cutting line)も示される。
【
図16】
図16は、3つの個々のプロフィール化吸収性コアの断面図である。
【
図17】
図17は、プロフィール化コアを作るためにSAP粒子(21)の粉末を散布するために使用される供給ロールの詳細図である。
【
図18】
図18は、x-方向または長手寸法に沿ったプロフィール化吸収性コアの断面画像である。
【
図19】
図19は、x-y平面でパターン化された吸収性コア層の上面図である。
【
図20】
図20は、Fibrolineプロセスを適用する前に不織支持体上にSAP粒子(21)を付着させること、及びFibrolineプロセスを適用した後にz-方向に沿った前記粒子の分散プロフィールを説明する。
【
図21】
図21は、本発明に従って分散されたSAP粒子(21)を含むADLを説明し、前記ADLは慣用の吸収性コアの頂部に配置される。
【
図22】
図22は、被覆層(22)によってコーティングされた、本発明に従った吸収性構造体を説明する。
【
図23】
図23は、本発明に従った吸収性コアの頂部に配置された慣用のADL(19)を説明する。
【
図24】
図24は、身体の形に合った(body shaped)吸収性物品の上面図である。
【
図25】
図25は、Fibroline法によって分散させた後に、x及びy方向のプロフィールをもつ不織支持体上に付着されたSAP粒子(21)の図である。
【
図26】
図26は、コア包装材料(25)による個々のコアの封止(24)プロセスを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に従った液体は、尿または血液などの任意の体液を含むが、これらに限定されない。
本発明者らは、吸収性コア及び/またはADLを含む、毛羽のない吸収性構造体を開発した。前記吸収性構造体は、サイズ分布のあるSAP粒子(21)と、繊維性、不織親水性または疎水性支持体(23)とを含み、前記SAP粒子(21)は、そのサイズ分布をベースとして繊維支持体(23)内部に分散されている。得られた吸収性構造体はさらに、スパンボンド、PEフィルム、PETフィルム、ポリオレフィン、多層フィルム、同時押出フィルム、梳毛された不織材料または任意の好適な材料などの被覆層(22)によりコーティングされ、接着剤を用いてコアに維持される。
【0029】
吸収性物品の高い体液保持能力と薄さとに加えて、吸収性構造体の特定の部分にSAP粒子(21)を分散させること、及び毛羽が存在しないことにより、たとえばよりよい転換(conversion)、及び改善された性能及び信頼性などの、本発明の吸収性構造体を使用するための他の好都合な点がある。毛羽はもはや必要とされておらず、毛羽を製造するためにハンマー粉砕などの余分な方法段階が不必要であり、さらには倉庫保管及び包装コスト並びに輸送コストも軽減されるため、そのようなコア及び/またはADLを使用することは経済的に好都合でもある。
【0030】
好都合には、本発明に従った吸収性構造体は、液体を確実に良好に捕捉及び分配するトップ層と;その液体が表面に戻らないようにするのに適した中間層とを含む多層構造体であり、前記中間層は、無孔質(non-porous)であり、ここで無孔質は、支持体(23)m
2当たり空隙容積約10〜約600cm
3を変動する空隙容積値により定義される。吸収性構造体は、多孔質繊維底部層も含み、ここで本発明に従った多孔質(porous)とは、空隙空間(void space)約0.1〜約20000cm
3/支持体(23)m
2、好ましくは空間約600〜約6000cm
3/支持体(23)m
2を変動する空隙容積により定義される。従って、コーティングされたSAP粒子またはコーティングされていないSAP粒子(21)を含む前記繊維質底部層は、中間層の下にSAP層(stratum)を形成する。SAP層(stratum)を構成しているSAP粒子(21)は、SAP粒子(21)サイズ分布勾配をベースとして、底部層内部に分散され、ここでより小さなSAP粒子(21)は底部層の中に深く取り込まれ、より大きな粒子は底部層の外側部分上に残ったままである。支持体(23)m
2当たり空隙容積約10〜約600cm
3の範囲の空隙容積値をもつ好適な、無孔質コア被覆層(22)を使用して、SAP粒子(21)の放出を防ぎ、前記コア被覆層材料(22)は、接着手段、超音波溶接及び/または任意の好適な方法(
図26)により吸収性構造体に保持される。
【0031】
本発明の吸収性構造体は、SAP粒子(21)を含み、ここで少なくとも90%、好ましくは95%、または98%のSAP粒子(21)は、約45〜約850μm、好ましくは約100〜約800μmの範囲の粒径をもつ。より小さなサイズのSAP粒子(21)は、深く、即ちz-方向に沿って、支持体(23)の底部部分内部に浸透することができ、より大きなサイズのSAP粒子(21)は支持体(23)の外側部分に残るか、または前記構造体(23)の表面上に残って、SAP粒子(21)サイズ勾配をベースとして吸収性層を形成する。
【0032】
慣用の吸収性コアは一般に、毛羽吸収性分配層または他のセルロースベースの繊維システム、例えば毛羽を保持しているコアと組み合わせた、縮れた繊維または標準的なADLシステム(19)が必要なので、吸収性コア及び/またはADL内部に完全に組み込まれたSAP粒子(21)層を含む本発明の吸収性構造体は、本発明者らによって、公知の慣用の吸収性コアよりもより薄い吸収性物品を製造することができる。
【0033】
本発明に従った吸収性コアは、優れた液体取り込み特性(uptake property)及び低い再湿潤性をもつことが知見された。支持体(23)中にサイズ分布勾配をもって分散されたSAP粒子(21)は、SAP粒子(21)が膨潤状態にあるときに、ゲル形成を阻害することができると推定される。
【0034】
超吸収性粒子
本発明に従って、SAP粒子(21)は、コーティングされるか、部分的または完全にコーティングされる。
【0035】
本発明に好適な市販の、コーティングされていないSAP粒子(21)は、Ecotec EK-X
EN 67ポリマーグレードであり、これは通常、Evonik:Favor SXM 10000で最大80重量%SAP充填量比でSAPと毛羽を含む吸収性コアで使用される。
【0036】
SAP粒子(21)は、吸収性層若しくはADL中、または吸収性層とADLの両方の中に取り込むことができる。
吸収性コア
本発明に従った吸収性コアは、不織性支持体(23)にSAP粒子(21)を完全に浸透させることによって得ることができ、従って
図23に示されているように、追加の慣用ADL(19)を使用すべきである。
【0037】
本発明に従ったSAP粒子(21)が完全に浸透した支持体(23)は、体液を保持する能力に依存して、最大SAP1000g/m
2、好ましくはSAP粒子(21)約300〜約500g/m
2を含む。
ゲルによる閉塞を防ぐために、膨潤SAP粒子(21)は、体液などの流体が吸収性層の中を通り抜けることができるように十分に透過性であるべく十分に隔たっていなければならない。これは、SAP粒子のサイズ勾配をベースとして、支持体(23)内部にSAP粒子(21)を分配することによって、本発明者により得られた。理論にとらわれないが、より小さなSAP粒子(21)だけが、z-方向に沿って支持体(23)内に深く浸透し、より大きなSAP粒子(21)は支持体(23)の外側部分に残ったままと考えられる。より小さなSAP粒子(21)は互いに十分に隔たっているので、ゲルによる閉塞問題を予防する一方で、より大きなSAP粒子(21)は、過剰の体液を次第に吸収することができる。
【0038】
好ましくは、本発明の吸収性構造体は、慣用のADL(19)と組み合わせることができる。
図23は、SAP粒子(21)サイズ勾配に依存して、支持体(23)内部にSAP粒子(21)の分散と不織構造体(23)とを含む、本発明に従った吸収性コアを説明する。吸収性コアはさらに、吸収性コア頂部で慣用のADL(19)と組み合わされる。
【0039】
図12は、液体を取り込んだ後の膨潤状態において、SAP粒子(21)を備えた3層ADL構造体を使用する、本発明に従った吸収性物品も説明する。
捕捉、分散、層(ADL)
第二の態様では、特定量及びサイズのSAP粒子(21)は、ADL構造体を含む支持体(23)中に、そのサイズ分布勾配をベースとして分散され、例えば支持体(23)はSAP粒子(21)で部分的に浸透される。
図9及び10はこの第二の態様を説明する。
【0040】
本発明に従って、液体または体液を吸収するために、十分量のSAP粒子(21)を含むADLは、一体吸収性構造体(
図9、及び
図22)として直接使用することができ、前記構造体はADL区分と、分散されたSAP粒子(21)を含む吸収性区分とを含む。一般に最大1000g/m
2、好ましくは約300〜約500g/m
2のSAP粒子(21)が、一つの要素(in one element)でADLと吸収性コアを組み合わせるのに十分である。
【0041】
ADLは少量のSAP粒子(21)も含むことができ、これは一時的な貯蔵またはサージ(surge)層(20)として機能する(
図21)。一般に、約0.1〜約300g/m
2、好ましくは約100〜約200g/m
2が少量のSAP粒子(21)とみなされる。後者の場合には、追加の吸収性コアを使用してADLと組み合わせなければならない。好適なADLは水または液体を吸収し、これを吸収性コアへゆっくりと放出すべきである。
【0042】
典型的には、ADLは、捕捉層(2)と分散層(3、4)を含む多層構造体である。好ましい様式では、SAP粒子(21)の分散を含むADLは、一つの捕捉層(2)と二つの拡散(diffusion)層(3)から構成される3層構造体である。
【0043】
特別な態様では、本発明に従った三重(triple)層ADLは、捕捉層(14)、再浸潤層(15)及び分配層(16)を含むことができ、
図3に示されている。
頂部層は、非常に多孔質の捕捉層(14)であるので、流体が構造体に容易に浸透できる。
【0044】
中間層は、無孔質拡散層であり、流体が頂部表面から戻らないようにする。本発明に従った無孔質とは、空隙空間約10〜600cm
3/支持体(23)m
2の空隙容積により定義される。拡散層は、非常に親水性でもあるので、液体はコアに広がる。
【0045】
底部層は、吸収性コア一面で液体分配を促進するために、プロフィール化(profile)、またはマルチローバルの繊維を含む。市販のマルチローバル繊維の非限定的な例としては、4DG 6dn、4T 3dn、トリローバル 6dn、ペンタローバル 6dn、カードフィル(quadfill) 7dtが挙げられるが、繊維は、トリローバル 6dnまたはペンタローバル 6dn繊維及び他の形状であるのが好ましい。
【0046】
本発明に従った別の態様では、
図4に示されているように三重層ADLは、捕捉層(14)、分配層(16)及び再浸潤層(15)を含む。
頂部層は、非常に多孔質の捕捉層(14)であるので、流体は吸収性コア内部に浸透することができる。
【0047】
中間層は、プロフィール化繊維を含む分散層であるので、底部層への液体の分配を促進する。
底部層は、非常に細い繊維を含む無孔層であり、液体が表面に戻るのを防ぐ。これは非常に親水性であるので、液体はコア一面に広がる。
【0048】
本発明に従った別の態様では、2つの捕捉層(14)と再浸潤層(15)を含む三重層ADLが
図5に示されている。
頂部層は、非常に多孔質の捕捉層(14)であるので、流体は吸収性コア内部に浸透することができる。
【0049】
中間層は、半多孔質である捕捉層(14)でもあり、ここで本発明に従った半多孔質とは、空隙容積約300〜約500cm
3/支持体(23)m
2の空隙容積により定義される。しかし、前記中間層は、空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)を特徴とし、これによりコアに向かって液体輸送のための漏斗をつくりだす。
【0050】
底部層は、無孔質で、且つ非常に細い繊維から構成され、液体が表面に戻るのを防ぐ。好ましくは、底部層はカレンダーにかけられて、表面上の空隙容積をさらに減らして、コアの液体が表面に戻るのを防ぐ。前記底部層は好ましくは親水性であるので、コア一面に液体を広げることができる。
【0051】
本発明に従った別の態様では、吸収性構造体は、
図6に示されているように捕捉層(14)、分配層(16)及び再浸潤層(15)を含む三重層ADLを含む。
頂部層は、吸収性構造体に体液が浸透できるのに適した非常に多孔質の捕捉層(14)である。
【0052】
中間層は、液体が底部層及びコアに分配及び広がるのに適した層である。
底部層は、細い親水性と疎水性の繊維のブレンドから構成される無孔質層であり、液体が表面に戻るのを防ぐ。
【0053】
本発明に従った別の態様では、吸収性構造体は、
図7に示されているように、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)及び吸収層(17)を含む。
頂部層は非常に多孔質の捕捉層(14)であり、体液が吸収性コア内部に浸透することができる。
【0054】
中間層は分配層(16)であり、分配層(16)の全表面を確実に使用するための繊維を含む。
底部層は、ビスコース吸収性繊維を含む繊維のブレンドを含み、前記底部層に液体を一時的に貯蔵し、従って液体が吸収性コアに運ばれる前に緩衝体(バッファ)をつくりだす。
【0055】
図8に説明される別の態様では、三重層ADLは、空隙容積3000、1000及び300cm
3/支持体(23)表面積m
2の空隙容積勾配(18a、18b、18c)を画定する三重層システムを画定するポリエステルとポリオレフィン繊維のブレンドを含み、前記空隙容積勾配(18a、18b、18c)は液体用に漏斗をつくりだす。これにより液体取り込み速度がより高くなる。
【0056】
使用される繊維は良好なレジリエンス(弾力)及び圧力に対する抵抗性を与えるので、おむつのコアと頂部との間に距離を生み出して、乾燥した表面となる。
本発明に適したADLは毛羽がなく、迅速に液体を取り込み、良好な再湿潤特性を確保するので、液体が表面から戻るのを防ぎ、且つ頂部表面を乾燥したままにする。また液体は確実に十分に広がり、分配されるので、全てのコアがその最大まで使用される。
【0057】
吸収性構造体
本発明に従った吸収性構造体は、吸収性区分と、捕捉(14)及び分散(16)区分とを含むことができる。
図22に示されているこれらの具体的な態様において、吸収性構造体は、相互浸透(interpenetrating)ネットワークを形成する、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、coPP、PET/PE、PET/PP、PET/cop、PP/PE、PLA、PLA/PP、PVA、ビスコース、綿、毛、PET/coPET、アセテート、PTE、PVC、竹、PBT、PA、アクリル、モダクリル(Modacryl)、及び/または再生繊維などの、単層または多層の不織繊維支持体(23)と、SAP粒子(21)と、接着剤約0.1〜50g/m
2、好ましくは0.7〜25g/m
2、より好ましくは約2〜7g/m
2とから構成される。好ましくは、吸収性構造体は、全く毛羽を含まない。繊維の性質により吸収性層内部に大量のSAP粒子(21)を配合し、これによりSAP粒子(21)の膨潤によるゲルの閉塞を受けずに液体を吸収することができるようにすることも可能である。本発明の好ましい態様では、吸収性構造体は、SAP粒子(21)約25〜300g/ADL及び/または支持体(23)m
2、好ましくは約60〜150g/m
2を含み;SAP粒子(21)約0.1〜1000g/m
2、赤ちゃん用おむつまたは大人の尿漏れ防止パッドに関してはSAP粒子(21)の好ましい量は、100〜500g/m
2、女性用ケア製品では10〜200g/m
2、及び創傷包帯用では約200〜400g/m
2を変動する。一般に、吸収性構造体は、約10〜60g/コア被覆層(22)m
2を含む。
【0058】
不織構造体(23)を製造するのに好適な市販の繊維の例としては、Acryl Amicor 3.0n;Asota L10D;Eastlon SN-3450CMP1 4.0dn、Fibervisions ES-C Cure 2.2dt;Fibervisions ES-DELTA REPEAT II 5.7dt 40mm;Grisuten 22 3.3dt 60mm;Huvis LMF U16 6dn 51mm;Huvis LMF V16 4dn 51mm;Huvis OEPO1 N215 2.0dn;Ingeo PLA SLN2660E2 6.0dn;Invista 295 6.0dn;Meraklon PPブレンド PH/HW 4.4dt;PES Greenfiber 6.7dt;Tesil 84M 6.7dt;Trevira 200 6.0dt;Viscocel 3.3 dt 40mm;Wellman H1295 7dt;Wellman T0745 17dt 60mm;Wellman H7112 12dt;Wellman H8015 7dt 60mmがある。
【0059】
本発明に従った吸収性構造体は、0.1mm〜800mmの範囲の横寸法(lateral dimension)をもつが、これらの寸法に限定されない。様々な用途に依存して、前記吸収性構造体は通常、赤ちゃんのおむつ製品に関しては、50〜180mmの横寸法;大人の尿漏れ防止用製品に関しては30〜250mm;女性用ケア製品に関しては30〜90mm及び、創傷包帯に関しては100×100mm
2または200×300mm
2の横寸法である。
【0060】
好ましくは、不織繊維支持体(23)は、頂部層を含む三重の構造体(23)であり、これは液体を迅速に捕捉し、且つ中間層の表面全体に液体をうまく分配するために、捕捉(14)及び分散(16)機能をもつ。中間層は、液体がコアに広がることができるように、非常に親水性であるのが好ましい。前記中間層は無孔質でもあり、適用の間だけでなく、吸収性製品を使用する間にも、一度SAP粒子(21)が液体で膨潤すると、頂部表面に流体が戻るのを防ぎ、且つ底部層内部にSAP粒子(21)を保持する。
【0061】
底部層は、SAP粒子(21)が浸透するのに適した非常に多孔質の構造体であり、前記底部層は、貯蔵層(20)として機能する(
図9)。
別の態様では、SAP粒子(21)は、繊維ネットワークの空隙容積勾配(18a,18b,18c)に浸透する。繊維の空隙容積勾配(18a,18b,18c)のため、より小さな粒子はより大きな粒子よりも深く浸透する。繊維構造体の頂部側は実質的にSAP粒子(21)がなく、且つさらに捕捉(14)、分配(16)及び再浸潤(15)層として機能することができる。
【0062】
さらなる態様において、SAP粒子(21)は、単層または多層、好ましくは二重(dual)または三重(triple)層構造に完全に浸透することができる。構造体の頂部及び低部部分は、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはPETのスパンボンド、不織、スパンレース、またはフィルムなどの被覆層(22)で覆われて、前記SAP粒子(21)が吸収剤の外側へ移動しないようにする。
【0063】
好ましい態様では、多層支持体(23)は、構造体(23)内部にSAP粒子(21)が浸透できるのに適した多孔質頂部層をもつが、底部層、または中間層の一つは無孔質で、支持体(23)の中を移動することによるSAP粒子(21)が損失しないようにする。好都合には、少なくとも一つの追加の被覆層(22)を使用して、SAP粒子(21)の損失を防ぐ。より広く覆うためには、追加の2層を使用することができる。
【0064】
2層を使用する場合、前記被覆層(22)の端部を糊付け(glue)して構造体を封止(seal)する。一つの構造体被覆層(22)を使用する場合、前記層を畳んで構造体を包み、端部は糊付けして構造体を封止する(
図26)。
【0065】
吸収性構造体を製造するための方法
本発明に好適な吸収性構造体を製造するための方法は
図13に説明されており、以下の段階を含む:
・繊維支持体(7)を巻き戻す。粉末散布(8)によりまたはドラム形成により、標準的なおむつラインの真空技術により、前記支持体(7)をSAP粒子(21)で覆う。
・交流電場(alternative electrical field)を印加して、確実にSAP粒子(21)を均質分配させる。この方法は、本明細書中、参照として含まれる欧州特許第EP1 526 214号またはEP2 165 015号に記載される、Fibroline法(9)としても公知である。
【0066】
次いでSAP粒子(21)を支持体(7)上に分散させて、SAP粒子(21)は、閉じ込めまたは絡み合いにより及び/または任意の結合段階の後に繊維支持体(7)に保持され、ここで前記SAP粒子(21)は、接着剤(glue)の添加により不織繊維に接着される。
・コア被覆層材料(22)を巻き戻す(11)。
・コア被覆層(22)及び/または支持体表面(7)の内面上に接着剤(10)を適用する。
・前記支持体(7)を、前記コア被覆層材料(22)で覆う。
・圧力により確実に接着させる(12)。
・前記吸収性構造体を巻きとる(13)。
・場合により、製品をカレンダー処理にかけて、長手方向にチャネル構造をつくりだす。
【0067】
Fibroline法に好適な装置は、誘電体により保護され、且つ交流高電圧発生器(alternative high tension generator)(10〜50kV)に接続された二つの向かい合った電極のシステムを含み、ここでSAP粒子(21)と接着剤との混合物は、二つの誘電体の間に配置し、強い交流電場を印加する。
【0068】
吸収性構造体の製造法を実施するのに好適な装置(
図13)は、ADL及び/またはコア生産ライン若しくはオフライン、またはおむつ若しくは女性用ケア製品ラインのライン若しくはオフラインで使用することができる。
【0069】
好ましくは、コーティングされたSAP粒子(21)またはコーティングされていないSAP粒子(21)は、ADL層の繊維に糊付けされる。非制限的な接着法としては、粉末コーティング及び
小さな粒子はADLに効率的に浸透でき、より大きなサイズの粒子は拡散層の外側に残ったままで貯蔵層(20)を形成するので、約45μm〜約850μm、好ましくは約100μm〜約800μmの粒径のSAP粒子(21)、及び約300〜600μmの平均径サイズをもつSAP粒子(21)が好ましい。
【0070】
接着剤
本発明に従った好適な接着剤は、良好な接着を提供しなければならず、液体が吸収性層に到達できるよう液体に対して透過性でなければならず、且つSAP粒子(21)が体液により膨潤するときに、ゲルによる閉塞問題を避けるために、少なくとも100%、好ましくは600〜1800%の破断点伸びをもたなければならない。好ましい接着剤は、水ベースの接着剤及び固体粉末接着剤であり、これを粉末化してSAP粒子(21)を接着する。好適な市販の接着剤としては、Bostik H4245;Bostik H20028;Bostik H4322またはFuller Full-Care 8400Aがあるが、これらに限定されない。
【0071】
多数の接着性コア及び/またはADLを製造するための方法
本発明に従った吸収性コア及び/またはADLを含む吸収性構造体を製造するための方法は、
図13及び26に記載する。
【0072】
好都合には、前記方法は、プロフィール化吸収性コア及び/またはADLの製造に適合することができる。
支持体層(7)の巻き戻しは、幾つかの吸収性構造体を並行して加工するのに十分に幅広でなければならない。従って、
図14に説明されているように、支持体(7)の幅または横寸法またはy方向にわたって不連続様式でSAP粒子(21)を散布及び供給することが可能である。
【0073】
本方法は以下の段階を含む:
・繊維支持体(7)を巻き戻す。支持体(7)の空隙容積分布に依存して、支持体(7)は、SAP粒子(21)の損失を防ぐために、プロセスの間、上向きに維持することができる。
・粉末散布(8)により、支持体(7)の横方向またはy-方向にわたって、支持体(7)上に一定量のSAP粒子(21)を部分的に付着させる。
・交流電場(9)を印加して、SAP粒子(21)を確実に均質分布させる。前記SAP粒子(21)は支持体(7)に浸透して、閉じ込めまたは絡み合いにより及び/または任意の結合段階の後に繊維質支持体(7)に保持する、ここで前記SAP粒子(21)は、接着剤を添加することにより不織繊維に接着する。
・支持体(7)表面上及び/またはコア被覆層材料(22)上にホットメルト接着剤を適用する。
・コア被覆層を巻き戻す(11)。
・前記支持体(7)を前記コア被覆層(22)で覆う。ここで前記SAP粒子(21)が存在する場合、前記ホットメルト接着剤は被覆層(22)を支持体(7)に接着し、SAP粒子を全体として結合する(21)。支持体(7)が粒子を含まない場合には、接着剤はコア被覆層(22)材料を、SAP粒子(21)を本質的に含まない支持体(7)の部分の上で支持体(7)に接着して、吸収性コアを封止する。封止によって、切断した時にSAP粒子(21)が落下するのを防ぎ、且つSAP粒子(21)が側部へ移動するのを防ぐ。
【0074】
支持体(7)が本質的にSAP粒子(21)を含まない場所で層を切断して、
図15に示されているように個々のコアを得る。
さらに、Fibolineプロセスの間に側部へ幾らか移動が起きるので(
図20)、吸収性構造体の横寸法にわたってSAP粒子(21)の分散プロフィールをつくりだし(
図16)、吸収性構造体の中間部分により高いSAP粒子(21)濃度ゾーンと、側部により低いSAP粒子(21)濃度ゾーンとをつくりだして、吸収性構造体の中心部により高い体液貯蔵能力を提供して、漏れが起きる可能性を食い止める。
【0075】
好都合には、SAP粒子(21)分布プロフィールは、吸収性構造体の長さまたは長手寸法またはx-方向に沿って得ることができる。前記分布プロフィールは、粉末散布段階によって支持体(7)上にSAP粒子(21)を付着させるのに使用した供給ロール中にプロフィールをつくりだすことによって実施される。
図17は、本発明に従った供給ロールを説明する。ここで支持体(7)の正面、中間及び背面区分は、特定量のSAP粒子(21)を受けとる。
【0076】
異なる濃度の区分の間の移行部分は、Fibrolineプロセスを適用する際に均質化されるだろう。
図18に示されているように、長手寸法(x-方向)に沿ったプロフィール化吸収性構造体は、前記供給ロールを使用して得ることができ、前記構造体はおむつの正面部及び中間部により多量のSAP粒子(21)と、おむつの背面部により少量のSAPを含む。
【0077】
従って得られたプロフィール化吸収性構造体は、不織支持体(23)に部分的に浸透させたSAP粒子(21)を含む吸収性部分と、被覆層(22)で覆われ、ホットメルト接着剤により保持されたADLとして機能する上部部分とを含む。従って、プロフィール化吸収性構造体は、吸収性物品で直接使用することができる。
【0078】
不織支持体(23)上へのSAP粒子(21)の付着は、
図25に説明されるように、横方向及び長手方向のプロフィールをもつのが好ましい。Fibroline法によりSAP粒子(21)を付着させた後、得られた吸収性構造体は、支持体(23)内部に分散されたSAP粒子(21)の量により、最適化吸収能をもつだろう。
【0079】
好ましい態様では、SAP粒子(21)は、支持体(23)のx-方向及び/またはy-方向に沿って別々のゾーンにも分散され、それぞれのゾーンは互いに離れている(
図19)。Fibrolineプロセスの後、得られる吸収性コア及び/またはADLは、SAP粒子(21)を含まないバンドまたはチャネルなどの様々なモチーフを含み、これによって流体の流れ及びウィッキング(wicking)を容易にする(
図19及び20)。
【0080】
吸収性構造体は、吸収性物品のすぐに使える吸収性構造体として使用することができ(
図26)、身体の形に合った(body shaped)吸収性物品に容易に適合することができる(
図24)。
【実施例】
【0081】
本発明に好適なSAP粒子(21)の例としては、FAVOR SXM 10000及びFAVOR SXM 9155(Evonik製)がある。
FAVOR SXM 10000は、おおよそ以下のサイズ分布をもつ部分的に中和した、架橋ナトリウムポリアクリレートポリマーである。
【0082】
【表1】
【0083】
FAVOR SXM 9155は、おおよそ以下のようなサイズ分布をもつ架橋したナトリウムポリアクリレートポリマーである。
【0084】
【表2】