特許第6181180号(P6181180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181180
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】脈管を評価するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   A61B6/00 350A
   A61B6/00 330A
   A61B6/00 331E
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-525633(P2015-525633)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公表番号】特表2015-527136(P2015-527136A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013053485
(87)【国際公開番号】WO2014022804
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/679,673
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ニール・ハタンガディ
(72)【発明者】
【氏名】アール・スコット・フエネケンス
【審査官】 田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/021307(WO,A2)
【文献】 特開2010−246725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管を評価するシステムであって、
血管造影イメージングシステムと通信する処理システムを有し、前記処理システムが、
第1のビュー平面を使用して、前記血管造影イメージングシステムから、近位病変端から遠位病変端まで延在する病変長をもつ病変を有する血管の血管造影像の第1の組を取得し、
少なくとも1つの第1の病変直径、前記病変に近位の第1の近位血管直径、及び前記病変から遠位の第1の遠位血管直径を有する解剖学的血管測定値の第1の組を取得し、
前記少なくとも1つの第1の病変直径を利用して第1のフロー値を計算し、
近位端から遠位端まで延在する仮想血管を生成し、
前記仮想血管について第2のフロー値を計算し、
前記第2のフロー値で前記第1のフロー値を除算することにより、前記血管の第1の冠血流予備量比を計算するよう構成される、
システム。
【請求項2】
前記解剖学的血管測定値の第1の組が、前記病変長に沿った複数の第1の病変直径を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理システムが更に、前記血管造影像の第1の組から、前記解剖学的血管測定値の第1の組を取得するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理システムが、圧力センシング装置と通信し、
前記処理システムが更に、前記圧力センシング装置から、前記血管内の前記病変の近位の圧力を取得するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記病変の近位の前記圧力が大動脈圧である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理システムが、前記病変の近位の前記取得された圧力を利用して前記第1のフロー値を計算するよう構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理システムが、前記病変の近位の前記取得された圧力を利用して、前記第2のフロー値を計算するよう構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理システムが、前記血管を通る造影剤のフローの少なくとも1つの特性を利用して前記第1のフロー値を計算するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの特性が、前記造影剤のボリュームが前記血管を通って流れるための経過時間量を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの特性が、前記造影剤が血管を通って流れる際の、前記造影剤の変化する濃度を反映する視覚的変化を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理システムが更に、
前記第1のビュー平面と異なる第2のビュー平面を使用して、前記血管造影イメージングシステムから、前記血管の血管造影像の第2の組を取得し、
前記血管造影像の第2の組から、第2の病変直径、前記病変に近位の第2の近位血管直径及び前記病変から遠位の第2の遠位血管直径を有する解剖学的血管測定値の第2の組を取得するよう構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記解剖学的血管測定値の第2の組が、前記病変長に沿った複数の第2の病変直径を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記処理システムが更に、前記血管造影像の第1の組及び前記血管造影像の第2の組を利用して前記血管の3次元表現を生成するよう構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記処理システムが更に、前記血管の3次元表現から前記解剖学的血管測定値の第1の組を取得するよう構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理システムが圧力センシング装置と通信し、
前記処理システムが更に、
前記圧力センシング装置から前記血管内の病変の近位における圧力を取得し、
前記血管の3次元表現から、第3の病変直径、前記病変に近位の第3の近位血管直径及び前記病変から遠位の第3の遠位血管直径を有する解剖学的血管測定値の第3の組を取得し、
前記第3の病変直径及び前記病変の近位における圧力の少なくとも一方を利用して第3のフロー値を計算するよう構成される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記処理システムが更に、前記第2のフロー値で前記第3のフロー値を除算することにより、前記血管の第2の冠血流予備量比を計算するよう構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理システムが更に、前記血管の前記第1の冠血流予備量比及び前記血管の前記第2の冠血流予備量比を利用して、前記血管の合成冠血流予備量比を計算するよう構成される、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して脈管の評価に関する。そして、特に、脈管を通る流体の流れに対する妨害又は他の制限に関する深刻度の評価に関する。本開示の態様は、幾つかの例において、生物学的脈管の評価に特に適する。例えば、ある特定の本開示の実施形態は、ヒトの血管の狭窄の評価のために特異的に設計される。
【背景技術】
【0002】
血管内の狭窄の深刻度(損傷を引き起こす虚血を含む)を評価するための現時点で受け入れられている技術は、冠血流予備量比(FFR)である。FFRは、近位部の圧力測定(狭窄の近位側で採取)に対する遠位部の圧力測定(狭窄の遠位部側で採取)の比の計算結果である。FFRは、狭窄深刻度の指標を提供し、治療が必要となる程度にまで、障害物が脈管内の血流を制限しているかどうかについての決定を可能にする。健常な脈管内のFFRの正常値は1.00である。一方で、約0.80未満の値は、一般的に、深刻なもの、そして、治療を必要とするものとみなされる。通常の治療オプションとして、血管形成術及びステントが含まれる。
【0003】
冠状血流は、近位部で生じる圧力(大動脈等において)の変動(fluctuation)による影響のみならず、同時に微小循環における遠位部で生じる変動の影響を受けるという点でユニークである。侵襲性が最小限であるセンサを、対象となる損傷に対して遠位部側及び近位部側に配置することができる。そして、圧力を検出し、その後FFRを見積もるために使用することができる。従来の圧力感知FFR手順では、薬理学的な充血剤(pharmacological hyperemic agents、例えば、アデノシン)を投与して、冠状の動脈内の抵抗を減らして安定化させる。こうした効能のある血管拡張剤は、(心臓のサイクルの収縮期に関連する微小循環抵抗を減らすことによって主に)抵抗における大きな変動を減らし、比較的安定した最小限の抵抗値を得る。
【0004】
しかし、充血剤の投与は、必ずしも可能であったり適切であったりするわけではない。第一に、充血剤の投与においては、臨床的な努力が重要である。ある国(特に米国)では、充血剤(例えば、アデノシン)は高価であり、静脈注射(IV)で送達するのに時間がかかる。この点において、IV送達されたアデノシンは、一般的には、ケースバイケースで病院の薬局で混合される。アデノシンを準備し、手術領域に送達するのに、相当な時間と労力を要する可能性がある。こうしたロジスティックなハードルは、FFRを使用する決断を外科医が行うのに影響を与える可能性がある。第二に、ある患者では、充血剤の使用については禁止されている(例えば、充血剤の投与を妨げる、喘息、深刻なCOPD、低血圧、徐脈、低心駆出分画(low cardiac ejection fraction)、亜急性心筋梗塞、及び/又は他の因子)。第三に、多くの患者とって、充血剤の投与は不快なものであり、FFR測定を得るための手順の過程で充血剤が複数回投与が必要となる可能性があるという事実によって、調合されるにすぎない。第四に、充血剤の投与は、もしそうでなければ回避されたかもしれない中心静脈へのアクセスも必要とする可能性がある(例えば、中心静脈シース(sheath))。最後に、全ての患者が充血剤に予想通りに反応するわけではなく、ある場合には、充血剤投与前にこうした患者を特定することは困難である。
【0005】
出願番号13/460,296(出願日2012年4月30日、発明の名称「Devices,Systems,and Methods for Assessing a Vessel」、参照により全体を明細書に組み込む)に更に完全な形で記載されているが、充血剤を用いることなくFFRを決定するために、新たな技術が開発されてきた。
【0006】
米国特許番号8,157,742(発明の名称「Method and System for Patient−Specific Modeling of Blood Flow」、参照により本明細書に組み込む)でも認識されているが、冠動脈コンピュータ断層血管造影(CCTA)を、胸の痛みを有する患者撮像(イメージング)のために用いることができる。そして、造影剤の静脈内注入の後、コンピュータ断層(CT)技術を使用して、心臓及び冠状動脈を撮像する事を伴う。CTデータは、心臓及び冠状動脈の3Dモデルを生成するために用いられる。そして、こうしたモデルは、FFRを見積もるために使用される。
【0007】
CTスキャンはコストのかかる手順であり、そして、患者が胸の痛みを経験している危機的な期間で、時間がかかってしまう。更に、CTマシンは、治療を施すことができるカテーテル検査室に配置されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、脈管内の妨害(及び、特に、血管内の狭窄)の深刻度を評価するための改良された装置、システム、及び方法に関するニーズが残っている。こうした点に関して、冠状動脈内の狭窄の深刻度を評価するための 改良された装置、システム、及び方法に関するニーズが残っており、患者のコンディションを評価するのに更に詳細な情報が必要な場合に、素早く深刻度を評価し及び追加的評価手段を取り込むことができる計画的な態様でのニーズは残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本開示の実施形態は、脈管内の妨害(及び、特に、血管内の狭窄)の深刻度を評価するように設計される。幾つかの特定の実施形態において、本開示の装置、システム、及び方法は、冠状動脈内の狭窄の深刻度を評価するように設計される。
【0010】
幾つかの例において、患者の脈管を評価する方法を提供する。前記方法は、血管造影法の画像を得ること、及び解剖学的な脈管測定(測定値)を、前記画像から決定することを含む。一態様において、前記方法は以下を含む:第一の投影面からの第一の組の血管造影法の、損傷を有する脈管の画像を得ること、第一の組の解剖学的な脈管測定値を収集すること、及び測定値を用いた第一のフロー値を決定すること。一態様において、第一の組の解剖学的な脈管測定値は以下を含む:少なくとも1つの第一の損傷径、前記損傷の近位部側にある第一の近位部脈管径、及び前記損傷の遠位部側にある第一の遠位部脈管径。一態様において、第一のフロー値を決定することは、少なくとも1つの第一の損傷径を用いることを含む。一態様において、前記方法は以下を含む:近位端から遠位端へ延在する仮想脈管を生成すること、及び仮想脈管に関する第二のフロー値を決定すること。一態様において、前記方法は以下を含む:第一のフロー値を第二のフロー値で割ることにより、脈管に関する第一の解剖学的な冠血流予備量比を計算すること。別態様において、複数の患者からの脈管フロー・データの患者データベースを用いることにより現在の患者の脈管フローを評価するための方法を提供する。前記方法は、以下を含む:各前記複数の患者から脈管の血管造影法の画像を得ること、及び各前記複数の患者から前記脈管に関する解剖学的な脈管測定値を収集すること。一態様において、前記解剖学的な脈管測定値は、以下を含む:少なくとも1つの近位部の損傷直径、少なくとも1つの遠位部の損傷直径、前記損傷の近位部側にある近位部脈管径、及び前記損傷の遠位部側にある遠位部脈管径。一態様において、前記方法は以下を含む:各前記複数の患者からの前記脈管に関する解剖学的な脈管測定値を記憶すること、各前記複数の患者から、前記脈管に関する解剖学的な冠血流予備量比を決定すること、各前記複数の患者からの前記脈管に関する前記解剖学的な脈管測定値、及び解剖学的な冠血流予備量比を相関させること、並びに各前記複数の患者からの前記脈管に関する前記解剖学的な脈管測定値、及び解剖学的な冠血流予備量比を相関データとして記憶すること。一態様において、前記方法は以下を含む:前記相関データに基づいて、各複数の範囲の記憶された冠血流予備量比に関するエラーの度合いを関連付けること。一態様において、前記方法は以下を含む:現時点の患者の計算された冠血流予備量比に関する現時点のエラーの度合いを決定すること。一態様において、前記方法は以下を含む:現時点の患者の計算された冠血流予備量比に関する現時点のエラーの度合いを決定すること(該決定は、計算された冠血流予備量比が入る範囲であって、記憶された冠血流予備量比の範囲を決定することにより決定される)、及び前記関連するエラーの度合いを選択すること、エラーを補正したFFR値をユーザーに出力すること
【0011】
別の形態では、脈管を評価する方法を提供する。前記方法は以下を含む:第一のボリュームの造影剤が脈管を流れる間に、複数の脈管の血管造影法の画像を得ること;造影剤の前記第一のボリュームが脈管を経由して流れるのにかかる時間に基づいて、第一の脈管フロー値を決定すること;脈管の収縮が無いと仮定した近似値に基づいて、第二の脈管フロー値を決定すること;及びその後、前記決定された第一の脈管フロー値及び前記第二の脈管フロー値に基づいて、冠血流予備量比を決定すること。
【0012】
更なる別態様において、冠血流予備量比を決定する方法は以下のうち少なくとも1つを含む:血管造影法の画像を得ること;及び前記画像から解剖学的な脈管測定値を決定すること;及び第一のボリュームの造影剤が脈管を流れる間に、脈管の複数の血管造影法の画像を得ること;及び前記取得ステップから決定された情報を、以前の患者情報のデータベースと比較すること;及び以前の患者情報に基づいて、少なくとも部分的に、冠血流予備量比を決定すること。
【0013】
更なる本開示の態様、特徴、及び利点については、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
例示的な本開示の実施形態は、以下の添付図を参照しながら説明する:
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】カテーテル検査室内患者を様式化した画像である。
図2】血管造影法の撮像を行うための、及び任意で脈管内の障害に隣接する遠位側圧力感知を行うためのシステムである。
図3A】脈管の様式化した断面の画像である。
図3B】脈管の様式化した断面の画像である。
図3C】脈管の様式化した断面の画像である。
図4】3次元血管造影法の画像の生成を示す様式化した画像である。
図5】管腔の妨害を示す脈管の様式化した断面図である。
図6A図5の脈管の管腔を経由する1ボーラスの造影剤の通過を表す。
図6B図5の脈管の管腔を経由する1ボーラスの造影剤の通過を表す。
図6C図5の脈管の管腔を経由する1ボーラスの造影剤の通過を表す。
図6D図5の脈管の管腔を経由する1ボーラスの造影剤の通過を表す。
図6E図5の脈管の管腔を経由する1ボーラスの造影剤の通過を表す。
図6F図5の脈管の管腔を経由する1ボーラスの造影剤の通過を表す。
図7】様々なステップを示すフローチャートであり、FFRデータを得るステップ、及び、その後の患者測定にその後相関させるためのデータベースを作成するためのステップを示す。
図8】計算されたFFRデータを合成して表したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本開示の原理の理解を促す目的で、図面中に例示された実施形態について以下を参照し、同一の物について説明するために特定の用語を用いることとする。しかし、本開示の範囲限定することを意図していない点を理解されたい。装置、システム及び方法に対する任意の置き換え、及び更なる変更、本開示の原理の任意の更なる応用も意図しており、こうしたものも、当分野に関連する当業者にとって通常生じるものとして、本開示の範囲内に含まれる。特に、1つの実施形態について記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、他の本開示の実施形態について記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせてもよい点については、完全に企図している。しかし、簡潔にする目的から、こうした組合せについて別途数多く繰り返して説明することはしない。
【0017】
まず図1を参照されたい。例示的なシステムを概念的に描写しており、該システムは、撮像診断用装置と共に、血管撮影図/透視検査、及び、要すれば、脈管内の機能測定装置での共記録形態で、本発明を実施するためのものである。放射線の、脈管内の機能測定及び画像のデータ獲得サブ−システムは一般的に周知である。放射線の画像データに関して、患者(10)が血管造影用テーブル(12)上に位置しており、少なくともカテーテルシステム(150)の遠位部(175)が患者内部に配置されている。血管造影用テーブル(12)は、テーブル(12)上の患者(10)に対して手術を行う位置で血管造影法/透視検査ユニットC−アーム(14)を配置するのに充分なスペースを設けるように配置される。血管造影法/透視検査C−アーム(14)によって得られた放射線の画像データは、血管造影法/透視検査プロセッサ(18)へ、伝送ケーブル(16)を通して渡される。血管造影法/透視検査プロセッサ(18)は、ケーブル(16)を通して受け取った受領放射線画像データを、血管造影法/透視検査の画像データに変換する。血管造影法/透視検査の(「放射線の」)画像データは、最初に、プロセッサ(18)内に保存される。
【0018】
血管造影法の画像データを、画像データメモリ(40)へ、通信線(34)を通して渡すことができる。画像データメモリ(40)は、1以上のデータ部(36、38及び42)を有することができる。画像データの追加処理(脈管解剖学、流速、冠血流予備量比(FFR)等の計算を含む)は、プロセッサ(26)が行うことができ、該プロセッサ(26)は、メモリ(40)内に保存されたデータを用いることができる。プロセッサ(26)の出力をメモリ(40)内に保存するか、及び/又は表示装置(50)上に表示することができる。一態様において、カテーテルシステム(150)は、1以上のセンサを含み、該センサは、出力データを、線(24)に沿って提供する。より継続的なデータストレージ(60)として、リムーバブル・メディア及び/又はネットワーク・システム(例えば病院のDICOMストレージ・システム)を含むことができる。
【0019】
図2を以下参照されたい。該図では、本開示の一実施形態に従ったシステム(150)を示す。こうした点に関して、図2は、システム(150)の概念図である。示すように、システム(150)は、器具(152)を含む。例示した実施形態において、器具(152)は、ガイドワイヤであり、該ガイドワイヤは、遠位部(154)と、前記遠位部に隣接したハウジング(156)とを有する。こうした点に関して、ハウジング(156)は、器具(152)の先端から約3cm離れている。ハウジング(156)は、以下の物を収容するように設計される:1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素(これらは、脈管に関する診断用情報を得るように設計される)。例示した実施形態において、ハウジング(156)は、少なくとも圧力センサを備え、該センサは、管腔内の圧力を監視するように設計され、該管腔内には、器具(152)が配置されている。シャフト(158)は、ハウジング(156)から近位部方向に延在する。トルク装置(160)は、シャフト(158)の近位部側に配置され、シャフト(158)に結合される。器具(152)の近位端部(162)は、コネクタ(164)に結合される。ケーブル(166)は、コネクタ(164)からコネクタ(168)へ延在する。幾つかの例において、コネクタ(168)は、インターフェース(170)にプラグインされるように設計される。こうした点に関して、インターフェース(170)は、幾つかの例において、患者インターフェース・モジュール(PIM)である。幾つかの例において、ケーブル(166)は、無線接続に置換される。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、器具(152)とインターフェース(170)との間の様々な通信経路を用いることができ、物理的な接続(電気的な、光学的、及び/又は流体の接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組み合わせを含む。
【0020】
インターフェース(170)は、コンピューティング・デバイス(172)に、接続部(174)を介して、通信可能に接続される。コンピューティング・デバイス(172)は、概して、本開示の範囲内で議論する処理技術及び分析技術を実行することに適した任意の装置を表す。より具体的には、図1のプロセッサ(26)は、コンピューティング・デバイス(172)であってもよい。幾つかの実施形態において、コンピューティング・デバイス(172)は、プロセッサ、ランダム・アクセス・メモリ、及び記憶媒体を含む。こうした点に関して、幾つかの特定の例では、コンピューティング・デバイス(172)は、本明細書に記載のデータの獲得及び分析に関連したステップを実行するためにプログラム制御される。従って、以下の点を理解されたい:即ち、本開示のデータ獲得、データ処理、器具のコントロール、及び/又は他の処理若しくはコントロール態様に関する任意のステップは、コンピューティング・デバイスによって実施することができ、該デバイスは、対応する指示を使用し、該指示は、コンピューティング・デバイスがアクセス可能な非一時的なコンピュータ読取可能媒体上又は該媒体内に保存される。幾つかの例において、コンピューティング・デバイス(172)は、コンソール装置である。幾つかの例において、コンピューティング・デバイス(172)は、携帯形式の物である(例えば、手持ちの物、ローリング・カート上の物等)。更に、以下の点を理解されたい:即ち、幾つかの例において、コンピューティング・デバイス(172)は、複数のコンピューティング・デバイスを含む。こうした点に関して、以下の点を特に理解されたい:即ち、本開示の異なる処理及び/又はコントロールの態様は、複数のコンピューティング・デバイスを用いて、別々に実施する事ができ、又は既定のグルーピングの範囲内で実施することができる。複数のコンピューティング・デバイスにわたる後述の処理及び/又はコントロールの態様の任意の分割及び/又は組合せは、本開示の範囲内である。
【0021】
コネクタ(164)、ケーブル(166)、コネクタ(168)、インターフェース(170)、及び接続部(174)は、共に、1以上のセンサ、トランスデューサ、並びに/又は器具(152)の他のモニタリング要素及びコンピューティング・デバイス(172)の間の通信を促進する。しかし、こうした通信経路は、その性質において例示的なものである。そして、あらゆる意味で限定的なものであると考えるべきではない。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、器具(152)とコンピューティング・デバイス(172)との間の任意の通信経路を用いることができ、物理的な接続(電気的な、光学的、及び/又は流体の接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組み合わせを含む。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、接続部(174)は、幾つかの例において、無線である。幾つかの例において、接続部(174)は、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、遠距離通信ネットワーク、及び/又は他のネットワーク)を介した通信リンクを含む。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、コンピューティング・デバイス(172)は、幾つかの例において、器具(152)を使用している手術エリアから遠く離れた位置にある。接続部(174)(ネットワークを介した接続を含む)を有することにより、器具(152)とリモート・コンピューティング・デバイス(172)との間の通信を促進することができる。この際、コンピューティング・デバイスが、隣室内にあるのか、隣の建物内にあるのか、又は異なる州/国内にあるのかに関係なく促進することができる。更に、以下の点を理解されたい:即ち、器具(152)とコンピューティング・デバイス(172)との間の通信経路は、幾つかの例において、安全な接続である。更に言えば、以下の点を理解されたい:即ち、幾つかの例において、器具(152)とコンピューティング・デバイス(172)との間の通信経路の1以上の部分を介して通信されるデータは、暗号化される。
【0022】
システム(150)は、また、カテーテル(175)を含み、該カテーテルは、造影剤を冠状動脈へかん流ホール(180)を介して送達するための物である。こうした点に関して、器具(175)は以下を含む:器具の遠位部に隣接する1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素(これらは、脈管に関する診断用情報を得るように設計される)。例示した実施形態において、器具(175)は以下を含む:圧力センサ(181)(これは、器具(175)が位置する管腔内の圧力をモニターするように設計される)。器具(175)は、接続部(177)を介してインターフェース(176)と通信する。幾つかの例において、インターフェース(176)は、血流力学モニタリング・システム又は他のコントロール装置(例えばSiemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring5)である。ある特定の実施形態において、器具(175)は、圧力感知カテーテルであり、該カテーテルは、流体カラムを含み、該カラムは、カテーテルの長さ方向に沿って延在する。こうした実施形態において、インターフェース(176)は、以下を含む:カテーテルの流体カラムに流体連通した止血バルブ、止血バルブに流体連通したマニフォールド、及び必要に応じて構成要素を流体連通させるための構成要素間に延在する配管。こうした点に関して、カテーテルの流体カラムは、バルブ、マニフォールド、及び配管を通して、圧力センサと流体連通している。幾つかの例において、圧力センサは、インターフェース(176)の一部である。他の例において、圧力センサは、器具(175)とインターフェース(176)との間に位置する別々の構成要素である。インターフェース(176)は、コンピューティング・デバイス(172)に、接続部(178)を通して、通信可能に接続される。
【0023】
器具(152)とコンピューティング・デバイス(172)との間の接続と同様に、インターフェース(176)並びに接続部(177)及び(178)は、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は器具(175)の他のモニタリング要素、並びにコンピューティング・デバイス(172)の間の通信を促進する。しかし、こうした通信経路は、その性質において例示的なものである。そして、あらゆる意味で限定的なものであると考えるべきではない。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、器具(175)とコンピューティング・デバイス(172)との間の任意の通信経路を用いることができ、物理的な接続(電気的な、光学的、及び/又は流体の接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組み合わせを含む。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、接続(178)は、幾つかの例において、無線である。幾つかの例において、接続(178)ネットワークは(例えば、イントラネット、インターネット、遠距離通信ネットワーク、及び/又は他のネットワーク)を介した通信リンクを含む。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、コンピューティング・デバイス(172)は、幾つかの例において、器具(175)が使用される手術エリアから離れて位置する。接続部(178)(ネットワークを介した接続を含む)を有することで、器具(175)とリモート・コンピューティング・デバイス(172)との間の通信を促進することができる。この際、コンピューティング・デバイスが、隣室内にあるのか、隣の建物内にあるのか、又は異なる州/国内にあるのかに関係なく促進することができる。更に、以下の点を理解されたい:即ち、器具(175)とコンピューティング・デバイス(172)との間の通信経路は、幾つかの例において、安全な接続である。更に言えば、以下の点を理解されたい:即ち、幾つかの例において、器具(175)とコンピューティング・デバイス(172)との間の通信経路の1以上の部分を介して通信されるデータは、暗号化される。
【0024】
以下の点を理解されたい:即ち、システム(150)の1以上の構成要素は、本開示の他の実施形態では、含まれず、異なる配置/順序で実装される、及び/又は別の装置/機構に置換される。例えば、幾つかの例において、システム(150)は、インターフェース(170)及び/又はインターフェース(176)を含まない。こうした例において、コネクタ(168)(又は器具(152)又は器具(175)と通信している他の同様のコネクタ)は、コンピューティング・デバイス(172)に関連するポートにプラグインすることができる。或いは器具(152)及び(175)は、コンピューティング・デバイス(172)と無線通信することができる。一般的に言って、器具(152)及び(175)のいずれか又は両方とコンピューティング・デバイス(172)との間の通信経路は、中間ノードを有さなくてもよく(即ち、直接接続)、器具とコンピューティング・デバイスとの間に1つの中間ノードを有してもよく、又は器具とコンピューティング・デバイスとの間に複数の中間ノードを有してもよい。
【0025】
一態様において、カテーテル(175)は、冠状動脈付近に位置し、及びX線不透過性造影剤は、患者に、ホール(180)を通じて、注入される。冠状動脈内のX線不透過性造影剤の画像は、血管造影法システムを通して得られる。
【0026】
図3A及び3Bを以下参照されたい。狭窄(108)を有する冠状動脈の脈管(105)に関する2つの様式化した画像が表示されている。図3Aは、第一の投影面からとった血管造影法で見ることができる内部の管腔(106)を表す。一方で、図3Bは、図3Aの面に対して約90度回転させた第二の投影面からとった血管造影法上で見ることができる内部の管腔(106)を表す。血管造影法の画像に基づいて、管腔(106)の測定は、ポイント(110)付近で行われ、第一の近位部脈管径を規定し、及びポイント(112)での損傷の遠位部で行われ、第一の遠位部径を規定する。狭窄測定は、ポイント(120)での脈管の最も狭い領域で行われ、脈管の最小径を規定する。また、以下の点について企図している:即ち、他の測定をプラーク構成物(116)付近で行うことができ、先導部位(118)近くで近位損傷径測定(122)を行うこと、及び後続部位(114)付近で、遠位損傷径測定(124)を行うことが含まれる。直径(122)と(124)との間の距離L1を決定して、直径が減少した領域の長さの近似値を提供することができる。更なる態様において、より多くの直径測定を、直径が減少した領域の長さ方向に沿って行うことができ、そして、潜在的な損傷についての解剖学的な特徴を、更に良好に近似することができる。単一平面測定を用いて、脈管のFFRについての見積もりを決定することができ、該見積もりを、単一平面画像データに与えることができる。幾つかの実施形態において、センサ(181)から受け取った大動脈の圧力測定を、単一平面測定と共に用いて、脈管のFFRについての見積もりを決定することができる。しかし、FFR見積もりの質は、異なる投影面からとられた1以上の追加的脈管画像を考慮することにより、大幅に向上することができる。従って、図3Aに関する記載と同様に、図3Bにおいて、測定(110’)、(112’)、(120’)、(122’)及び(124’)は、異なる投影面にて得られた脈管の血管造影法の画像から得ることができる。図3Bの測定は、図3Aの測定と組み合わせて、脈管に関するFFRの見積もりを向上させることができる。
【0027】
一例において、損傷領域(108)の直径測定を、感知した大動脈の圧力と併せて用いて、第一のフロー値を決定する。図3Cに図示するように、見積もりの第二部位において、仮想脈管(105’)を生成し、該脈管は、内部の管腔(106’)に近似しており、該管腔は、近位部直径(110)と遠位部直径(112)の間で一様に変化する。具体的には、領域(130)において、減少した直径部分を、仮想的な管腔(106’)に置き換えており、該管腔は、概して滑らかで均一な直径を有する。従って、仮想脈管(105’)を生成して、狭窄(108)が無い状態での脈管(105)内のベースライン・フローを示す。
【0028】
幾つかの例において、仮想脈管(105’)を、境界検出アルゴリズムを用いて生成し、プラーク構成物(116)のもとでの脈管壁境界を特定する。そして、特定された脈管壁境界に基づいて、プラーク構成物(116)がない脈管(105)を表したものを精巧な形で生成する。他の例において、ユーザーは、仮想脈管(105’)を生成することができ、該生成は、プラーク構成物(116)及び狭窄(108)を無視し、ポイント・トゥ・ポイント・セレクション法を用いることによって行うことができる。そして、代表的な脈管を生成し、該脈管は、狭窄(108)に対して遠位部にあるポイントと狭窄(108)に対して近位部にあるポイントとの間で、一様に変化する管腔直径を有する。例えば、図にした実施形態において、ユーザーは、仮想脈管(105’)を生成することができ、該生成は、代表的な脈管を生成することによって行うことができ、該脈管は、前記損傷の近位部側にある近位部直径(110)と前記損傷の遠位部側にある遠位部直径(112)との間で一様に変化する管腔直径を有する。図にした実施形態において、近位部直径(110)及び遠位部直径(112)は、実質的に等しい。そして、仮想的な管腔(106’)は、概して、近位部直径(110)と遠位部直径(112)との間で均一な直径を有する。他の実施形態では、近位部直径(110)及び遠位部直径(112)が、等しくないとき、仮想的な管腔(106’)は、近位部直径(110)と遠位部直径(112)との間で一様に細くなってもよい。
【0029】
従って、仮想脈管(105’)は、狭くなった又は狭窄した領域がない脈管(105)を表す。これらの仮想的な直径に基づいて、第二のフロー値を、脈管(105)に関して、決定する。第二のフロー値は、損傷が無い状態での脈管(105)経由の流速を反映する。幾つかの実施形態において、第二のフロー値を、仮想的な直径並びに感知した大動脈の圧力に基づいて決定する。そして、解剖学的なFFRを、第一のフロー値を第二のフロー値で割ることにより決定する。従って、解剖学的なFFRでは、損傷が存在する脈管(105)経由のフローを、脈管(105’)経由のフロー(これは、損傷が無い状態での脈管(105)を表す)と比較する。
【0030】
図4は、従来技術である3次元構築分析システムを背景とした包括的概念を例示的に描写したものである。第一の二次元の血管造影法の画像(100)(第一の投影面でとられた画像)及び第二の二次元の血管造影法の画像(102)(第一の投影面とは異なる第二の投影面でとられた画像)を結合する。そして、分析を行い、3次元画像のグラフィカルな表現を生成し、該画像は、グラフィカルな表示装置(104)上に描写される。2つのビュー平面が例示目的で示されているが、追加的投影面を使用して、3次元表現を更に確実なものとすることができるという点を理解されたい。グラフィカルな表示装置(140)上に表示された画像は、実際の動脈(又は他の血管)の管腔のグラフィカルな表現を、典型的な二次元の血管造影法の画像と比べて、更にリアルなものにする。
【0031】
3次元表現及び感知した大動脈の圧力を用いて、第一のフロー値を、容積が減少した領域に関して、決定することができる。そして、上述したように、容積が減少した領域は、仮定上、損傷に隣接する近位の及び遠位の脈管セグメントを近似した周辺部位を有する。そして、第二のフロー値が決定されるであろう。そして、第一のフロー値及び第二のフロー値を使用して、脈管の3次元表現に関する解剖学的なFFRの見積もりが行われるであろう。
【0032】
解剖学的なFFRを見積もるためのいずれかの技術を使用することができる。少なくとも一実施形態において、両方の技術が実施される。そして、その後、見積もられたFFR値を、合成した解剖学的なFFR値のために、結合する。更にいうと、血管造影法の画像データを、以下の文献に記載されるように、他の感知システムを用いて、共に記録する(co−registered):米国特許番号7,930,014及び出願11/473,974。各文献は、参照により全体を本明細書に組み込む。
【0033】
解剖学的なFFR値を用いる1つの例示的な方法において、もし、解剖学的なFFR値が予め決めた閾値を上回る又は下回る場合には、ユーザーは、更に診断用評価をすることなく、患者の治療へと進めることができる。具体的には、もし、解剖学的なFFR値が下回る場合には、(例えば、25%)、その患者は、介入を必要とするほど深刻な損傷を有する可能性が最も高い。ユーザーは、他の診断用ツール(例えばIVUS又はOCT)を用いる段階へと進むことができ、損傷を画像化して、適切な対応を決定することができる。もし、解剖学的なFFR値が上回っている場合(例えば、90%)、患者は、介入治療法を良しとする候補ではなく、医薬で治療することができる。
【0034】
もし、解剖学的なFFR値が25%〜90%の例示的な値である場合には、追加的診断用評価を行って、患者の脈管のコンディションにおける更に詳細な情報を、もたらすことができる。一態様において、追加的評価は、脈管経由で流れる造影剤の画像を用いて、脈管経由のフローを評価することを含むことができる。
【0035】
より具体的には、図5を参照されたい。該図では、本開示の一実施形態に従った脈管(250)を示す。脈管(250)は、近位部(252)及び遠位部(254)を含む。管腔(256)は、近位部(252)と遠位部(254)の間の脈管(250)の長さに沿って、長手方向に延在する。また、脈管(250)は、狭窄(258)を含み、該狭窄は、上部(260)及び下部(262)を有する。こうした点に関して、上部及び下部(260)(262)は、脈管(250)の管腔(256)を狭めたプラーク構成物を表す。幾つかの例において、狭窄(258)のプラーク構成物は、一様な又は対称的なプロファイルを有さない。示すように、狭窄(258)は、流体が管腔(256)経由で流れるのに利用可能なスペースを減少させる。特に、管腔(256)の断面積は、狭窄(258)の分だけ減少する。また、狭窄(258)は、近位部境界(264)及び遠位部境界(266)を有する。留意されたい点として、上部及び下部(260)(262)の近位部境界及び/又は遠位部境界は、全ての例において、そろっていない。例えば、例示した実施形態において、上部(260)は、遠位部方向に延びるにつれて、徐々に細くなっている。一方で、下部(262)は、より急激な端となっている。こうした例において、これらの特徴は、狭窄(258)の境界を全体として決定する際に、考慮に入れることができる。狭窄(258)は、その性質において、例示的なものであり、そして、あらゆる意味で限定的なものと考えるべきものではない。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、他の例において、狭窄(258)は、管腔(256)経由の流体の流れを制限する他の形及び/又は組成を有する。
【0036】
また、脈管(250)は、狭窄(268)を含み、該狭窄は、上部(270)及び下部(272)を有する。こうした点に関して、上部及び下部(270)(272)は、脈管(250)の管腔(256)を狭めたプラーク構成物を表す。幾つかの例において、狭窄(268)のプラーク構成物は、一様な又は対称的なプロファイルを有さない。示すように、狭窄(268)は、流体が管腔(256)経由で流れるのに利用可能なスペースを減少させる。特に、管腔(256)の断面積は、狭窄(268)の分だけ減少する。また、狭窄(268)は、近位部境界(274)及び遠位部境界(276)を有する。留意されたい点として、上部及び下部(270)(272)の近位部境界及び/又は遠位部境界は、全ての例において、そろっていない。狭窄(268)は、その性質において、例示的なものであり、そして、あらゆる意味で限定的なものと考えるべきものではない。こうした点に関して、以下の点を理解されたい:即ち、他の例において、狭窄(268)は、管腔(256)経由の流体の流れを制限する他の形及び/又は組成を有する。
【0037】
狭窄(258)及び(268)の存在に基づいて、脈管(250)を5つの領域に分けることができる。即ち、領域(278)は狭窄(258)の近位部側に位置し、領域(280)は狭窄(258)の近位部側境界と遠位部側境界(264)(266)の間に位置し、領域(282)は、狭窄(258)と狭窄(268)との間に位置し、領域(284)は狭窄(268)の近位部側境界と遠位部側境界(274)(276)の間に位置し、そして、領域(286)は、狭窄(268)の遠位部側に位置する。
【0038】
図6A〜6Fを以下参照されたい。該図では、脈管(250)を通した血管造影法の造影剤の流れを表す一連の図を示す。示すように、図6Aは、造影物質(290)を脈管(250)に導入した初期の状態を示す。図6Bは、造影物質(290)が狭窄(258)を通過し始めた時の状態を示す。図6Cは、造影物質(290)が狭窄(268)に到達したときの状態を示す。図6Dは、造影物質(290)が流れて狭窄(258)及び狭窄(268)の両方を通過した時の状態を示す。図6Eは、造影物質(290)が狭窄(258)を完全に通過した時の状態を示す。最後に、図6Fは、造影物質(290)の最後の部分(bit)が狭窄(268)の遠位部を通過したときの状態を示す。
【0039】
本開示の幾つかの実施において、脈管経由の造影剤のフローに関する少なくとも1つの特徴(例えば、非限定的な例として、脈管経由の血管造影法の造影剤のフローから生じる血管造影法の画像での色の変化)を用いて、冠血流予備量比(FFR)又は脈管に関するフロー比を見積もる。こうした文脈において、FFRは、損傷又は狭窄を有する脈管経由のフローを、損傷又は狭窄を有さない脈管経由の最大フローで割ったものと考えられる。こうした点に関して、見積もりFFR又はフロー比は、狭窄(258)をまたいで、狭窄(268)をまたいで、並びに/又は狭窄(258)及び狭窄(268)の両方をまたいで計算される。更に、血管造影法の画像における色の変化は、本開示に従ってFFR又はフロー比を見積もるための1以上の他の技術と組み合わせることができる。
【0040】
1ボーラスの造影物質(290)(例えば、バリウム、ヨウ素、及び/又はガドリニウムをベースとした物質)が、脈管(250)に注入される。幾つかの例において、造影物質は、血管造影法のカテーテル経由で注入される。こうした点に関して、既知量の造影物質が、脈管(250)に注入される。幾つかの例において、造影物質のボリュームは、約60mL〜約80mLである。他の例において、多いボリュームでもよいし、少ないボリュームでもよい。幾つかの実施形態において、あるボリュームの造影物質は、3〜10の心拍周期でもって、脈管経由でフラッシュできるような量を選択する。造影物質(290)が脈管(250)経由で流れるにつれて、図6A〜6Fで表現してあるように、脈管(250)の様々なセクションの色は、特定の時間に存在する造影流体の量に基づいて変化するであろう。従って、対象となるポイントの色又はピクシレーションの変化を、脈管(250)に沿って、追跡することにより、脈管経由の造影物質(及び血液)の見積もりフローを決定することができる。例えば、幾つかの例において、脈管の領域(278)内の狭窄(258)の近位部にある1以上の対象となるポイントでの色の変化を追跡する。同様に、幾つかの実施形態において、狭窄(258)及び狭窄(268)のうち1つまたは両方の色の変化を追跡する。こうした点に関して、狭窄をまたぐ色の変化の追跡は、以下の箇所での色の変化を追跡することによって行うことができる:狭窄の近位部境界、狭窄の遠位部境界、狭窄に沿った中間ポイント(例えば、中点、1/3の中間地点、1/4の中間地点、等)、及び/又はこれらの組み合わせ。更に言えば、幾つかの例において、脈管の領域(282)内における狭窄(258)の遠位部側及び狭窄(268)の近位部側での1以上の対象となるポイントでの色の変化を追跡する。最後に、幾つかの例において、脈管の領域(286)内における狭窄(268)の遠位部側の1以上の対象となるポイントでの色の変化を追跡する。
【0041】
こうした文脈において、「対象となるポイント」は、血管造影法の画像上の特定ポイント(即ち、シングル・ピクセル)及び/又は血管造影法の画像上の一連のポイント(即ち、複数のピクセル)であってもよい。一連のポイントを採用する場合、集合的な「対象となるポイント」は、脈管の特定の構造的な特徴(例えば、狭窄の開始又は終了、狭窄からの特定の距離、所望の断面サイズを有する部分等)に関連してもよい。更に、「対象となるポイント」は、幾つかの例において、脈管に沿った特定の長さ(例えば、0.5mm、1mm、10mm等)を有してもよい。以下の点を理解されたい:即ち、「対象となるポイント」を規定する一連のポイントは、幾何学的な及び/又は非幾何学的なピクセル・パターンを有してもよい。従って、当業者は以下の点を理解するであろう:即ち、「対象となるポイント」は、造影物質が描写される血管造影法の画像の任意の部分及び画像の任意の周辺部分であってもよい。
【0042】
幾つかの例において、色の変化は、以下の条件で追跡する:連続的に、フレームごと、予め決められた期間、及び/又は、造影物質が脈管の関連部分からフラッシュされるまで。しかし、幾つかの実施形態において、各心拍周期の部分に関連する血管造影法のフレームのみを、色の変化の追跡に用いる。こうした点に関して、幾つかの例において、心拍周期の拡張期の部分に関連する画像フレームのみを用いる。幾つかの実施形態において、各心拍周期に関する診断用ウィンドウは、以下の文献に記載される1以上の技術を用いて特定される:米国仮特許出願番号61/525,736(2011年8月20日出願)及び/又は米国特許出願13/460,296(2012年4月30日出願)。それぞれの文献は、参照により全体を本明細書に組み込む。従って、幾つかの実施形態において、脈管(250)を評価するために用いられる血管造影法の画像は、選択された診断用ウィンドウに基づいて、ゲート・サンプリングされる(即ち、前記診断用ウィンドウ内のものは用いるが、前記診断用ウィンドウの外側にあるものは無視するか廃棄する)。
【0043】
脈管及び/又は他の因子を通過する造影物質に関連する血管造影法の画像内の色の変化に基づいて、FFR又は他のフロー比を計算する。こうした点に関して、FFR又は他のフロー比を以下のものを用いて計算することができる:因子(例えば既知のボリュームの注入された造影物質、血管造影法の画像における基準ポイント(複数可)での色の変化の速度、脈管内の対象となる領域を造影物質が通過するのにかかった合計時間、脈管構造(例えば、断面積(複数可)、長さ(複数可)等)、感知した大動脈の圧力、狭窄の近位部側の最大流速、狭窄の遠位部側の最大流速、及び/又は血管造影法の画像、脈管、若しくは両方に関連する他の因子。こうした点に関して、幾つかの実施形態において、狭窄の近位部側の最大流速は、FFR又はフロー比の計算での分母のための基礎として用いられる。幾つかの例において、狭窄の近位部側の最大流速は、調整なしで分母として用いられる。他の例において、狭窄の近位部側の最大流速を調整する(例えば、以下の因子を考慮して:狭窄の近位部側及び遠位部側の管腔サイズの違い、脈管の管腔から離れて延在する枝分かれ部分、投与ドラッグ(造影物質を含む)の充血効果、等)。そして、調整された値を、FFR又はフロー比の計算の分母として用いる。
【0044】
幾つかの例において、上述した1以上の因子を用いて、評価される現時点の脈管を、探索テーブル又はデータベースの対応する脈管に、現時点の脈管のFFR又はフロー比を見積もる事を目的として最大限マッチさせる。こうした点に関して、幾つかの例において、探索テーブル又はデータベースは、経験的なデータにより構築される。該データは、血管造影に基づくデータを上述したように調整することにより生成される。ここで、脈管内の装置の位置に依存するFFR又は他のフロー比の計算技術を用いる。該装置は、脈管の対象となる領域内のフロー及び/又は圧力を測定するように設計される。例えば、幾つかの例において、脈管を、以下の両方を用いて診断する:本開示に記載する血管造影に基づく技術、並びに脈管内に位置するこうした感知構成要素を有する脈管内の装置に依存するフロー及び/又は圧力測定技術。
【0045】
血管造影法の画像データを用いてFFRを見積もることのほか、提案された開示は、ガイドワイヤ又はカテーテル上に搭載された遠位圧力センサを用いることを企図する。具体的には、こうしたガイドワイヤに搭載された圧力センサを用いた従来の圧力測定を、充血剤(例えば、アデノシン)を用いて行い、損傷をまたぐ感知した圧力変化に基づいてFFRを計算することができる。同様に、圧力測定を、充血剤なしで行いiFRを生成することができる(例えば以下の文献に開示されているように:米国仮特許出願番号61/525,736(2011年8月20日出願)及び米国仮特許出願番号61/525,739(2011年8月20日出願);出願番号13/460,296(出願日:2012年4月30日、発明の名称:「Devices,Systems,and Methods for Assessing a Vessel」))。それぞれの文献は、参照により全体を本明細書に組み込む。
【0046】
従来のFFR圧力測定を用いようが、又はiFR圧力測定を用いようが、感知した圧力を用いて、感知したFFR値を決定できる。残念ながら、たとえ、損傷部位に隣接して脈管内で圧力を感知したとしても、値については、なお不確実な可能性があり、このことは、最後に計算された感知圧力のFFR又はiFR値においての幾つかの不確実性につながる可能性がある。感知した圧力のFFR及び/又はiFR値は、解剖学的なFFR値又はフローFFR値のうちの1つ又は両方と組み合わせることができ、患者に関する合成FFR値を生成することができる。合成FFRは、最も高い度合いの精度をもたらすべきであるし、及びヘルスケアの提供において、脈管の冠血流予備量比に関する最も正確な情報をもたらすべきである。
【0047】
更なる態様において、血管造影法の画像から生じる上記解剖学的なデータ及び造影剤のフローの変化から生じるフロー・データは、データベースに、センサ・データとともに保存することができる。該センサ・データは、損傷部位の遠位部側に位置する圧力センサによってとられた圧力測定値及び脈管内の撮像データを含む。経験的なデータのこうしたデータベースは、冠血流予備量比を決定するためのアルゴリズムにおいて、エラーを補正するために稼働することができる。一態様において、相関データのデータベースを用いて、現時点の患者の解剖学的な又はフローに関連する冠血流予備量比に関するエラーの度合いを決定することができる。
【0048】
特に、データベースは、異なる範囲のFFR値に関連する特定の度合いのエラー又は補正因子を含むことができる。ユーザーは、現時点の患者の計算されたFFRに関するエラーの度合いを、以下によって決定するこができる:まず、計算されたFFRがどの範囲のFFR値内にあるかを決定すること、及びその特定の範囲のFFR値に関連するエラーの度合いを記録すること。経験的に収集したFFR値のスペクトルの一部分におけるある範囲のFFR値に関連するエラーの度合いは、スペクトルの別の部分におけるある範囲のFFR値に関連するエラーの度合いよりも低い可能性がある。例えば、一実施形態において、FFR値0.75〜0.85に関連するエラーの度合いは、以下のものよりも低い可能性がある:更に上の範囲である0.85超〜0.95又は更に下の範囲である0.75未満であるFFR値に関連するエラーの度合い。更にいうと、経験的なデータは、以下の点を提案できる:上の範囲でのFFR値は、オフセット因子Xにより、下方へ調整すべきであり、一方で、下の範囲でのFFR値は、オフセット因子Yにより上方に調整すべきである。一例において、オフセット因子X及びYは、経験的に収集されたデータに基づいて決定される。そして、計算されたFFR値が、中央の範囲である0.75〜0.85から、どれだけ遠く離れているかに依存して変化する。従って、計算されたFFR値が0.96である場合は、計算されたFFR値が0.87である場合と比べて、より大きなオフセット因子Xを用いて下方に調整することができる。更なる態様において、経験的なデータは、以下の点を提案できる:FFR値の計算におけるエラーは、他の入力(例えば、脈管直径)による影響を受け、及び、それに従ってオフセット因子X及びYを調整することができる。
【0049】
別態様において、FFRデータのデータベース及び関連するエラーの度合いは、FFRを評価するためのアルゴリズムをトレーニングするために用いることができる。一態様において、アルゴリズムは、計算されたFFR(即ち、計算されたFFRが存在する範囲であって、データベースでのFFR値の範囲)を用いて、患者に対する対応を決定することができる。一例において、もしも、計算されたFFRが、FFR値0.75〜0.85の範囲内にある場合には、アルゴリズムは、脈管の更なる診断用評価が必要であることを示唆する。例えば、幾つかの実施形態において、FFRは、圧力に基づくフロー測定(例えば、ガイドワイヤ又はカテーテルに搭載された圧力センサを用いて)を得る必要性を示唆して、計算されたFFRを更に評価又は再計算することができる。他の例において、上の範囲でのFFR値は、アルゴリズムに対して、脈管の更なる診断用評価なしで治療する必要性を示唆するように指示することができる。同様に、下の範囲でのFFR値は、ユーザーに対して、今のところ治療が必要ない旨を示唆することができる。
【0050】
図7を以下参照されたい。該図では、データベース又は探索テーブルを作成する方法(700)を示しており、該データベース又はテーブルは、以下のものを有する:解剖学的なFFRの各患者に関する相関情報、計算したフローのFFR及び感知した圧力FFR及び/又はiFR情報。レコード・グループ内の各患者は、彼らの撮像された及び感知されたデータを有しており、これらは、データベースに記憶され、FFRデータの患者群を構成する。ステップ(702)において、血管造影法の画像を得る。上述したように、測定は画像から行われ、そして、解剖学的なFFRの計算は、ステップ(704)において行われる。測定値(感知した大動脈の圧力とともに)、及び計算された解剖学的なFFR値は、ステップ(706)において、患者データベースに保存される。必要ではないが、方法が続行され、フローのFFRを、ステップ(708)において、上述したように計算することができる。造影剤フローをキャプチャした追加画像が必要な場合には、これらの画像もここのポイントでとることができる。フロー測定及びフローのFFR値は、ステップ(710)において、データベースに保存される。方法を続行させ、上述したように、遠位側圧力読取値が、ガイドワイヤ又はカテーテル上に搭載したセンサを用いて、得られる。アデノシンを用いた場合には、感知したFFR値を、圧力値を用いて近似する。もし、充血剤を用いない場合、感知した値を用いて、iFR値を決定する。対応するFFR及び/又はiFR値と共に、これらの感知した圧力測定は、ステップ(714)においてデータベース中に記憶される。ステップ(716)において、任意の保存した値に基づいて、データに対してクエリを行うことができるように、データベースを構築することができる。方法は、複数のフォームのFFR関連データを企図しているものの、全ての患者が、あらゆるタイプのFFRデータを持つわけではない。FFRデータベースに複数の患者からの感知データが集まってくるにつれて、データベース情報に対してクエリを実行することができ、そして、脈管に関するFFRのための最良の近似値を、全ての感知したデータ・パラメーター未満であることに基づく最も近くマッチするパラメーターを用いて決定する。
【0051】
一態様において、その後の患者は、画像を生成する血管造影法の手順を受けることができる。画像を用いて、解剖学的な特徴を測定することができ、そして、第一の重みづけ値を有する解剖学的なFFRを生成することができる。また、解剖学的な特徴を用いて、類似の解剖学的な特徴を有するデータベースの患者に関して、データベースにクエリ(問い合わせ)を行うことができる。そして、データベースの患者に関するFFR値を用いて、その後の患者の実際のFFR値を更に近い値で見積もることができる。具体的には、1つの非制限的な例において、もしも、その後の患者に対して測定を行った、類似の解剖学的な特徴を有する、一連の10人のデータベースの患者が存在する場合に、10人の患者に関する感知したFFR読取値は、近似した解剖学的なFFR値として、平均され、及びリターンされるであろう。
【0052】
更には、解剖学的なFFR値は、特定のレーティング1〜10を受け取るであろう。ここで、10は、以下の点に関しての最高値を表す:どれだけ近く、データベースの患者のパラメーターが、その後の患者パラメーターにマッチするか、及びどれだけ多くのマッチング・エントリがデータベース中にあるか。これに加えて、又はこれに代わるものとして、見積もられた解剖学的なFFRスコアは、信頼性を示すものとして色でコード化されてもよい。また、フローFFRを用いて、そして、その情報をデータベースの患者のフローFFRデータと比較して、同じタイプのデータベース比較を行うことができる。
【0053】
図8を以下参照されたい。該図では、図5の脈管と同様に、塞がった脈管(250)を表現したものを示す。感知されたデータ及び決定されたフロー情報は、脈管画像上に、グラフィカルに表現される。そして、脈管を通した血液のフローにおける変化の領域をユーザーに示す。具体的には、より暗く影付きのエリアは、最も低い又は制限されたフローの場所を表す。そして、ハッチ領域は、低いフローのエリアを表す。一方で、斑点のエリアは、要件を満たしたフロー領域を表す。以下の点を理解されたい:即ち、色を用いて、これらの領域を変化させることができる(例えば、制限されたフローについては赤、低いフローについては黄色、及び要件を満たしたフローについては緑)。
【0054】
当業者は、上述した装置、システム、及び方法が様々な方法で改変できることを認識するであろう。従って、当業者は、本開示によって包含される実施形態は、上述した特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するであろう。こうした点において、例示的な実施形態について図示し、説明してきたが、広い範囲の改変、変更、及び置換したものを上記開示では企図している。本開示の範囲から乖離することなく、こうした変更を行うことができる点を理解されたい。従って、添付した特許請求の範囲については、広く解釈し、且つ本開示に一致するように解釈するのが適切である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8