特許第6181189号(P6181189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181189
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】多軸微分干渉計
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   G01B9/02
【請求項の数】22
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-534420(P2015-534420)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公表番号】特表2015-530587(P2015-530587A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】NL2013050691
(87)【国際公開番号】WO2014051431
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月26日
(31)【優先権主張番号】61/706,171
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505152479
【氏名又は名称】マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】クーベリールズ、ゴデフリドゥス・コーネリウス・アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】オームズ、トーマス・エイドリアーン
(72)【発明者】
【氏名】ベルゲール、ニルス
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−228382(JP,A)
【文献】 特開2007−309884(JP,A)
【文献】 特開平9−126712(JP,A)
【文献】 特開2009−147342(JP,A)
【文献】 特開2007−121938(JP,A)
【文献】 特開昭60−203804(JP,A)
【文献】 特開2009−115596(JP,A)
【文献】 米国特許第6486955(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/00− 9/10
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の反射面(21,321)と第2の反射面(81,381)との間の移動と回転との少なくとも一方を測定するための多軸微分干渉計(1)であって、
前記測定は、少なくとも3対のビームを使用して実行され、
各対は、前記第1の反射面(21,321)に射出される測定ビーム(Mb)と、前記第2の反射面(81,381)に射出される基準ビーム(Rb)とによって形成され、
干渉計(1)は、第1の光学モジュール(20)と、第2の光学モジュール(40)と、第3の光学モジュール(60)とを具備し、各光学モジュール(20,40,60)は、それぞれのコヒーレントビームを受光して、これらから前記3対の1つを生成するように構成され、
前記光学モジュール(20,40,60)の各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを前記測定ビーム(Mb)及び対応する前記基準ビーム(Rb)に分割するためのビームスプリッタ(301,401)と、
ii)前記第1の反射面(21,321)によって反射された前記測定ビーム(Mb)を、前記第2の反射面(81,381)によって反射されたその関連する基準ビーム(Rb)と結合して対応する結合ビーム(Cb)にするためのビーム結合器(301,401)と、
iii)前記結合ビーム(Cb)を受光するためのビーム受光器(305,306,307,308,309,310,311,408)とを具備し、
複数の前記光学モジュール(20,40,60)は、横並びスタックを形成するようにスタックで配置され、これにより、多軸微分干渉計は、微分干渉計スタックモジュールを形成し、
前記3つの光学モジュール(20,40,60)は、前記測定ビーム(Mb)を非同一平面上に、かつ平行に射出するように配置されている多軸微分干渉計(1)。
【請求項2】
前記光学モジュール(20,40,60)は、同じ形態を有する請求項1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項3】
全ての光学モジュール(20,40,60)が、前記光学モジュールの各々が前記測定ビームを通過させるための開口と前記基準ビームを通過させるための開口とを有するように非対称であるように向けられたこれらのそれぞれの開口(121,122,141,142,161,162)を有し、
各光学モジュール(20,40,60)内で、前記開口は、線の上に配置され、前記開口の各々は、前記線に沿った前記光学モジュールのハウジングの最も近いそれぞれのエッジから異なる距離(d5,d6)で配置され、
前記第1の光学モジュール(20)及び前記第3の光学モジュール(60)は、同じ回転向きで微分干渉計に配置され、前記第2の光学モジュール(40)は、前記向きに対して180度回転され、前記開口を含む面に平行な平面に配置されている請求項1又は2に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項4】
前記第1の光学モジュール及び前記第3の光学モジュールは、同一の構造であり、
前記第2の光学モジュールは、異なる構造であり、
構造の差は、各光学モジュールの前記基準ビーム及び対応する前記測定ビームを射出するための開口間の距離で規定され、この距離は、同一の構造の前記第1の光学モジュール及び前記第3の光学モジュールに対しては等しく、前記第2の光学モジュールに対しては異なる請求項1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項5】
各光学モジュールの前記ビームスプリッタは、単一のコヒーレントビームを対応する測定及び基準ビームに分割するための寸法を有する請求項1ないし4のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項6】
前記光学モジュール(20,40,60)の前記ビーム受光器は、各々、
前記結合ビーム(Cb)を第1の分割ビームと第2の分割ビームとに分割するための無偏光ビームスプリッタ(305)を具備し、各分割ビームは、前記基準ビーム(Rb)と前記測定ビーム(Mb)との成分を含み、
前記第1の分割ビームを、第1の偏光を有する第1の偏光ビームと、第2の偏光を有する第2の偏光ビームとに分割するための第1の偏光ビームスプリッタ(306)と、
前記第2の分割ビームを、第3の偏光を有する第3の偏光ビームと、第4の偏光を有する第4の偏光ビームとに分割するための第2の偏光ビームスプリッタ(307)と、
前記無偏光ビームスプリッタ(305)と前記第1の偏光ビームスプリッタ(306)との間に、又は前記無偏光ビームスプリッタ(305)と前記第2の偏光ビームスプリッタ(307)との間に配置された半波長板(320)と、
前記第1の偏光ビーム、第2の偏光ビーム、第3の偏光ビーム及び第4の偏光ビームのビームパワーをそれぞれ検出するための第1の検出器(308)、第2の検出器(309)、第3の検出器(310)及び第4の検出器(311)とを具備する請求項5に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項7】
前記光学モジュールは、互いに取り付けられている請求項1ないし6のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項8】
前記第1の光学モジュール(20)と前記第2の光学モジュール(40)との間に配置された第1のアライメント体(80)と、前記第2の光学モジュール(40)と前記第3の光学モジュール(60)との間に配置された第2のアライメント体(81)との少なくとも一方をさらに具備する請求項1ないし7のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項9】
前記第1のアライメント体(80)と前記第2のアライメント体(81)との少なくとも一方は、硬化された接着剤と、テーパ状のくさび(183)との少なくとも一方を含む請求項8に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項10】
前記基準ビーム(Rb)は、前記測定ビーム(Mb)に対応する形態で射出される請求項1ないし9のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項11】
前記測定ビームは、L字形態で射出され、前記測定ビームのうち第1の測定ビーム及び第2の測定ビームが第1の平面に広がり、前記測定ビームのうち前記第2の測定ビーム及び第3の測定ビームが前記第1の平面に垂直な第2の平面に広がり、前記基準ビームは同じ形態で射出される請求項10に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項12】
前記光学モジュール(20,40,60)は、これらのそれぞれの基準ビーム(Rb)が同一平面上に射出されるように配置されている請求項1ないし10のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項13】
前記光学モジュールの各々は、前記光学モジュールの外面を形成するハウジングを有する請求項1ないし12のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項14】
前記第1の光学モジュールの前記ハウジングは、前記第2の光学モジュールの前記ハウジングの第1の平らな側面に面している平らな側面を有し、
前記第2の光学モジュールの前記ハウジングは、前記第1の平らな側面の反対側の、前記第3の光学モジュールの前記ハウジングの平らな側面に面している第2の平らな側面を有する請求項13に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項15】
近隣の光学モジュールの側面は、前記光学モジュールがスタックで配置されたときに互いに適合して形成されるように、突出部及び対応する切り欠きを有する請求項13に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項16】
前記光学モジュールの前記ハウジングは、ほぼ等しい外寸と形状との少なくとも一方を有する請求項13ないし15のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項17】
前記測定ビーム及び前記基準ビームは、これらビームを平行に向けるように与えられる偏光スプリッタ(301)とプリズム(302)とを使用して生成され、各光学モジュールは、光学素子(301,302,303;305,306,307)が装着される平らな面(337)が設けられたハウジング(323;123;143;163;23;43;63)を有し、前記ハウジングの各々は、直方体形状であることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項18】
フレーム(4)と、
前記フレーム(4)に装着され、ターゲット上に投影するための光学カラム(36)と、
前記光学カラム(36)に対して前記ターゲットを移動するためのターゲットキャリア(66)とを具備し、
前記ターゲットキャリア(66)には、第1の反射面(21)が設けられ、前記光学カラム(36)には、第2の反射面(81)が設けられ、
前記第1の反射面(21)と前記第2の反射面(81)との間の相対移動と回転との少なくとも一方を測定するための請求項1ないし17のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)を具備する、リソグラフィシステム。
【請求項19】
前記第2の光学モジュールは、近隣の第1の光学モジュール及び第3の光学モジュールの対応する平行な側面に対してスタックするための2つの平行な側面を有する、請求項1ないし17のいずれか1に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項20】
前記2つの平行な側面は、平らであるか、前記第2の光学モジュールがその基準ビームを射出することになっている方向にほぼ平行であるかの少なくとも一方である、請求項19に記載の多軸微分干渉計(1)。
【請求項21】
第1の反射面(21,321)と第2の反射面(81,381)との間の移動と回転との少なくとも一方を測定するための多軸微分干渉計(1)を組み立てる方法であって、
第1の光学モジュール(20)と、第2の光学モジュール(40)と、第3の光学モジュール(60)とを与える工程を具備し、前記光学モジュールの各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを測定ビーム(Mb)及び対応する基準ビーム(Rb)に分割するためのビームスプリッタ(301,401)と、
ii)前記第1の反射面(21,321)によって反射された前記測定ビーム(Mb)を、前記第2の反射面(81,381)によって反射されたその関連する基準ビーム(Rb)と結合して対応する結合ビーム(Cb)にするためのビーム結合器(301,401)と、
iii)前記結合ビーム(Cb)を受光するためのビーム受光器(305,306,307,308,309,310,311,408)とを具備し、
この方法は、さらに、
前記3つの対応する測定ビーム(Mb)をほぼ平行かつ同一平面上に射出するために複数の前記光学モジュール(20,40,60)をスタックで配置する工程と、
前記第1の光学モジュール(20)と前記第2の光学モジュール(40)との間に接着剤(80)を塗布し、前記接着剤(80)が硬化する前に前記第1の光学モジュール(20)と前記第2の光学モジュール(40)とを互いにアライメントさせる工程とをさらに具備する方法。
【請求項22】
前記第2の光学モジュール(40)と前記第3の光学モジュール(60)との間にさらなる接着剤(81)を塗布し、前記さらなる接着剤(81)が硬化する前に前記第2の光学モジュール(40)と前記第3の光学モジュール(60)とを互いにアライメントさせる工程をさらに具備する請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の反射面と第2の反射面との間の移動と回転との少なくとも一方を測定するための多軸微分干渉計に関する。本発明は、さらに、このような微分干渉計を具備するリソグラフィシステム、及びこのような微分干渉計を組み立てるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビームリソグラフィツールにおいてステージ位置を測定するための干渉計が知られている。ポール・G・ハリスらは、そのステージ位置を測定するための干渉計を具備する電子ビームツールを開示している。微分干渉計は、平行に走っている測定ビームと基準ビームとを受光するための複屈折のくさびを備えた信号検出ユニットを有する。くさびは、これらビーム間に角度のずれを生成し、そして、ビームは、これらを干渉させるために45°でアライメントされたポラロイド(登録商標)を通過する。合成の干渉パターンは、線形アレイの縞模様である。これら縞模様は、エレクトログレーティングと呼ばれる集積型線形フォトダイオードアレイとアライメントされている。エレクトログレーティングは、相対位相0°、90°、180°及び270°の4つの電気信号を生成する。エレクトログレーティングのゲインのマッチングは、差動増幅器がレーザの強度変化に起因する信号の共通モード強度変化をなくすことを可能にし、例えば、これはよい測定性能をもたらす。微分干渉計であるにもかかわらず、この干渉計は、ステージの相対位置を測定することのみ可能である。さらに、検出器中の光学部品が注意深く位置決めされて構成されなければならないので、この干渉計は組み立てるのが難しい。
【0003】
本発明の目的は、基準面と測定面との間の移動と回転との少なくとも一方を測定することが可能な、費用対効果の高いコンパクトな多軸微分干渉計を提供することである。本発明のさらなる目的は、組み立てるのが比較的簡単な微分干渉計を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、独立請求項によって規定される。従属請求項は、効果的な実施の形態を規定している。
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、第1の反射面と第2の反射面との間の移動と回転との少なくとも一方を測定するための多軸微分干渉計を提供し、前記測定は、少なくとも2対のビームを使用して実行され、各対は、前記2つの反射面のうち一方の反射面に射出される測定ビームと、前記2つの反射面のうち他方の反射面に射出される基準ビームとによって形成され、干渉計は、第1の光学モジュールと、第2の光学モジュールとを具備し、各光学モジュールは、それぞれのコヒーレントビームを受光して、これらから前記2対の一方を生成するように構成されている。
【0006】
第2の態様によれば、本発明は、多軸微分干渉計を、好ましくは上に述べられたような微分干渉計を組み立てる方法を提供し、この方法は、
第1の光学モジュールと、第2の光学モジュールと、第3の光学モジュールとを与える工程を具備し、前記光学モジュールの各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを測定ビーム及び対応する基準ビームに分割するためのビームスプリッタと、
ii)複数の反射面のうち一方の反射面によって反射された測定ビームを、複数の反射面のうち他方の反射面によって反射されたその関連する基準ビームと結合して対応する結合ビームにするためのビーム結合器と、
iii)前記結合ビームを受光するためのビーム受光器とを具備し、
この方法は、さらに、
前記3つの対応する測定ビームをほぼ平行かつ同一平面上に射出するために前記光学モジュールをスタックで配置する工程と、
前記第1の光学モジュールと前記第2の光学モジュールとの間に接着剤を塗布し、前記接着剤が硬化する前に前記第1の光学モジュールと前記第2の光学モジュールとを互いにアライメントさせる工程とをさらに具備する。
【0007】
本発明の特徴の効果は、以下の通りである。多軸微分干渉計は、2対の測定−基準ビームを使用することによって得られる。さらに、このようなビームのこれら対の各々は、個々の光学モジュールで生成され、これにより、前記干渉計のモジュラリティを高め、製造を比較的簡単にする。本発明は、各光学素子が1つの測定ビーム及び1つの基準ビームを生成して取り扱う必要があるのみなので、光学素子の内部で非常に小さい光学素子を使用することを可能にする。
【0008】
まだ発行されていない本出願人による国際特許出願番号PCT/NL2012/050209は、微分干渉計モジュールを開示しており、この微分干渉計モジュールは、例えばX軸である1つの軸に沿った相対移動と、例えばRz軸及びRy軸のまわりである2つの他の軸のまわりの回転とが得られることができる信号を発生する。この微分干渉計モジュールは、3つのコヒーレントビームを与えるように構成されたビーム源と、3つのビームを測定ビームと関連する基準ビームとのそれぞれの対に分割するように構成されたビームスプリッタユニットとを具備し、前記3つの測定ビームは、第1の反射面上に入射し、前記3つの基準ビームは、前記第1の反射面に対して移動可能な第2の反射面に入射し、各反射された測定ビームをその関連する反射された基準ビームと結合して結合ビームにするための少なくとも1つのビーム結合器を具備し、各結合ビームは、対応する検出器に投影される。単一の光学素子、すなわち単一ビームスプリッタユニットのみが、3つのコヒーレントビームを3つの測定ビーム及び関連する基準ビームに分割するために使用されるので、既知の微分干渉計モジュールは、コンパクトな微分干渉計モジュールを提供する。しかしながら、既知のモジュールの欠点は、光学素子の、特にビームスプリッタユニットの寸法が、3つのコヒーレントビームを対応する測定及び基準ビームに分割するのに十分な表面積を与えるために比較的大きくなければならないことである。このような大きな要素のコストは、モジュールのコストの本質的な部分を形成する。
【0009】
前記干渉計の一実施の形態では、前記光学モジュールは、同様の構成を有する。光学モジュールの同様の構成は、より容易な製造につながる。好ましくは、前記光学モジュールは、横並びのスタックを形成するように配置されている。この利点は、このような形態では、全ての測定ビームが反射面のうち第1の反射面に向けられることができ、同様に、全ての基準ビームが反射面のうち第2の反射面に向けられることができることであり、これは便利でコンパクトな解決策をもたらす。同様の形態を有する横並びのスタック可能な光学モジュールが、干渉計の組立てをよりいっそう簡単にする。
【0010】
前記干渉計の一実施の形態では、前記3つの光学モジュールは、ほぼ平行な前記測定ビームを射出するように配置されている。この形態では、自由度3で測定面に対して基準面の移動と回転との少なくとも一方を決定することが可能である。
【0011】
前記干渉計の一実施の形態では、前記光学モジュールはスタックで配置されている。したがって、多軸微分干渉計は、微分干渉計スタックモジュールを形成する。
【0012】
前記干渉計の一実施の形態では、前記光学モジュールの各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを前記測定ビーム(Mb)及び対応する前記基準ビーム(Rb)に分割するためのビームスプリッタ(301,401)と、
ii)前記2つの反射面のうち一方の反射面(21,321)によって反射された前記測定ビーム(Mb)を、前記2つの反射面のうち他方の反射面(81,381)によって反射されたその関連する基準ビーム(Rb)と結合して対応する結合ビーム(Cb)にするためのビーム結合器(301,401)と、
iii)前記結合ビーム(Cb)を受光するためのビーム受光器(305,306,307,308,309,310,311,408)とを具備する。
【0013】
各光学モジュールのビームスプリッタが単一のコヒーレントビームを対応する測定及び基準ビームに分割するのに十分な寸法でなければならないのみであるので、ビームスプリッタは、マルチプルコヒーレントビームを測定及び基準ビームに分割するために使用されるときよりもかなり小さくすることができる。同様に、光学モジュール中の他の光学素子も単一ビームのために寸法決めされることができる。
【0014】
一実施の形態では、前記干渉計の光学モジュールの各々は、前記干渉計の光学モジュールの外面を形成するハウジングを有する。したがって、各光学モジュールは、自蔵のモジュールを形成している。単一の測定ビーム及び単一の対応する基準ビームを射出するように構成された個々の干渉計の光学モジュールは、かなり容易に製造され、特に、2以上の測定ビーム及び対応する基準ビームを射出する複雑な微分干渉計よりも簡単に製造される。好ましくは、干渉計の光学モジュールのハウジングは、要素を完全に覆っており、したがって、取り扱いによるほこり及びダメージから要素の内部を保護する。より好ましくは、少なくとも第2の光学モジュールの前記ハウジングは、矩形の直方体の少なくとも3側面を有し、第1の平らな側面及び第2の平らな側面が前記矩形の直方体の前記側面のうちの2つである。
【0015】
一実施の形態では、前記第2の干渉計の光学モジュールは、近隣の第1の干渉計の光学モジュール及び第3の干渉計の光学モジュールの対応する平行な側面に対してスタックするための2つの平行な側面を有し、好ましくは、前記2つの平行な側面は、平らであるか、前記第2の干渉計の光学モジュールがその基準ビームを射出することになっている方向にほぼ平行であるかの少なくとも一方である。
【0016】
代わりの実施の形態では、近隣の光学モジュールの側面は、光学モジュールがスタックで配置されているとき、実質的に互いに適合する部分を形成するように、突出部と対応する切り欠きとを有する。互いに適合する形態の光学モジュールによって、干渉計の光学モジュールは、スタックされたとき、自動的に互いにほぼアライメントされる。
【0017】
一実施の形態では、第1の干渉計の光学モジュールのハウジングは、第2の干渉計の光学モジュールのハウジングの第1のほぼ平らな側面に面しているほぼ平らな側面を有し、前記第2の干渉計の光学モジュールのハウジングは、第1のほぼ平らな側面の反対側の、前記第3の干渉計の光学モジュールの前記ハウジングの平らな側面に面している第2のほぼ平らな側面を有する。したがって、第2の干渉計の光学モジュールが第1の干渉計の光学モジュールの平らな側面と第3の干渉計の光学モジュールの平らな側面との間に配置されたとき、3つの干渉計の要素は、少なくとも前記面に沿ってほぼアライメントされる。好ましくは、第2の干渉計の光学モジュールの第1のほぼ平らな側面及び第2のほぼ平らな側面は、互いにほぼ平行である。
【0018】
一実施の形態では、前記干渉計の光学モジュールのハウジングは、ほぼ等しい外寸と形状との少なくとも一方を有する。したがって、微分干渉計の組立て中、光学モジュールがスタックされる順序は、前記光学モジュールのハウジングの形状又は寸法によって決定されない。
【0019】
一実施の形態では、前記光学モジュールの前記ハウジングは、各々、ゼロデュア(商標)のような低熱膨張係数を有する材料を含む。低熱膨張係数材料は、特に、前記光学モジュールで使用される光学系の熱膨張係数にほぼ等しいかこれ未満の熱膨張係数を有する材料を意味する。したがって、光学系、例えばビームスプリッタ及びビーム結合器、あるいは、ビーム受光器の光学系がハウジングに固定されたとき、ハウジング内部の光学系の間の位置と向きとの少なくとも一方の変化が最小にされる。
【0020】
一実施の形態では、前記光学モジュールは、互いに取り付けられている。
【0021】
一実施の形態では、前記微分干渉計は、前記第1の光学モジュールと前記第2の光学モジュールとの間に配置された第1のアライメント体をさらに具備する。したがって、光学モジュールは、互いに対して容易かつ正確にアライメントされることができ、この結果、光学モジュールのハウジングの外面の不規則性が補正されることができるか、そのハウジングに対する光学モジュールの光学系のわずかなミスアライメントが補正される。
【0022】
前記干渉計の一実施の形態では、前記測定は、3対のビームを使用して実行され、各対は、測定ビームと基準ビームとによって形成され、干渉計は、さらなるそれぞれのコヒーレントビームを受光して、これらからさらなる測定ビームとさらなる基準ビームとによって形成されたさらなる1対のビームを生成するように構成された第3の光学モジュールを具備する。この実施の形態の利点は、特に、前記測定ビームが平行であるが非同一平面上の測定ビームを射出するように構成されているとき、第3の光学モジュールの用意が測定面のさらなる回転を測定する可能性を開くことである。
【0023】
一実施の形態では、微分干渉計は、さらに、前記第2の光学モジュールと前記第3の光学モジュールとの間に配置された第2のアライメント体を具備する。したがって、光学モジュールは、互いに対して容易かつ正確にアライメントされることができ、この結果、光学モジュールのハウジングの外面の不規則性が補正されることができるか、そのハウジングに対する光学モジュールの光学系のわずかなミスアライメントが補正される。
【0024】
一実施の形態では、前記3つの光学モジュール(20,40,60)は、前記測定ビーム(Mb)を非同一平面上に射出するように配置されている。この配置は、少なくとも2つの光学モジュールを使用して測定されることができる位置及び回転に加えて、さらなる回転を測定する可能性を開く。
【0025】
一実施の形態では、前記第1のアライメント体は、硬化された接着剤を含む。同様に、一実施の形態では、前記第2のアライメント体は、硬化された接着剤を含む。したがって、両実施の形態では、接着剤が微分干渉計の組立て中まだ硬化していないとき、光学モジュールの位置と向きとの少なくとも一方が容易に調節されることができる。
【0026】
一実施の形態では、前記第1のアライメント体は、テーパ状のくさびを有する。同様に、実施の形態では、前記第2のアライメント体は、テーパ状のくさびを有する。両実施の形態について、特に、硬化された接着剤と組み合わせて、これは、丈夫で十分にアライメントされた微分干渉計の構成を与える。
【0027】
一実施の形態では、前記基準ビームは、前記測定ビームに対応する形態で射出される。例えば、測定ビームがL字形態で射出されたとき、第1及び第2の測定ビームは第1の平面に広がり、第2及び第3の測定ビームは前記第1の平面に垂直な第2の平面に広がり、基準ビームは同じ形態で射出される。
【0028】
一実施の形態では、前記光学モジュールは、それぞれの基準ビームがほぼ同一平面上に射出されるように配置されている。この実施の形態では、微分干渉計は、基準ビームが非同一平面上に射出される微分干渉計よりも実質的に小さい寸法であることができる。さらに、この実施の形態による微分干渉計がリソグラフィシステムで使用されたとき、基準ビーム及び基準ビームの通過のためのリソグラフィシステムに必要とされる空間のボリュームは、同様に低減される。
【0029】
一実施の形態では、第1の光学モジュール及び第3の光学モジュールは、同じ、すなわち同一の構造であり、第2の光学モジュールは、異なる構造である。この実施の形態では、構造の差が、特に、各光学モジュールの基準ビーム及び対応する測定ビームを射出するための開口間の距離で規定され、例えば、この距離は、同一形状の第1の光学モジュール及び第3の光学モジュールに対しては等しく、第2の光学モジュールに対しては異なり、好ましくはより少ない。
【0030】
一実施の形態では、全ての光学モジュールが、前記光学モジュールの各々が前記測定ビームを通過させるための開口と前記基準ビームを通過させるための開口とを有するように非対称であるように向けられたこれらのそれぞれの開口を有している。各光学モジュール内で、前記開口は、線の上に配置され、各々は、前記線に沿った前記光学モジュールのハウジングの最も近いそれぞれのエッジから異なる距離で配置されている。前記第1の光学モジュール及び前記第3の光学モジュールは、同じ回転向きで微分干渉計に配置され、前記第2の光学モジュールは、前記向きに対して180度で、前記開口を含む面に平行な平面で回転して配置されている。前記回転は、代表的には、前記第2の光学モジュールの基準ビームの射出の方向に平行な軸まわりである。
【0031】
前記光学モジュールの3つ全てがほぼ同じ又は同一の構造であるとき、各光学モジュールは、それを通ってその測定ビームを射出するための開口と、それを通ってその基準ビームを射出するための開口とを有する。これらの開口は、好ましくは、線の上に配置され、各々は、前記線に沿った前記光学モジュールの前記ハウジングのそれぞれの最も近いエッジから異なる距離で配置されている。3つの光学モジュールが同一の形態でスタックで配置されれば、測定ビーム及び基準ビームの両方がそれぞれの測定面及び基準面に射出される。
【0032】
しかしながら、本実施の形態によれば、第2の光学モジュールが第1の光学モジュールと第3の光学モジュールとの間に、第1及び第3の光学モジュールに対して「上下逆さまの」形態で配置されており、これら光学モジュールは、基準ビーム及び測定ビームを非同一平面上に射出するように構成されている。したがって、多軸微分干渉計は、基準面と測定面との間の相対移動と回転との少なくとも一方を測定可能であるように得られ、光学モジュールの各々はほぼ同じ又は同一の構造である。このステージでは、この実施の形態は、微分干渉計について、測定ビーム及び基準ビームが装置の性能を妨げずに交換されることができるという事実によることが留意されるべきである。表現を変えて、どのビームが基準ビーム又は測定ビームと呼ばれるかは関係ない。微分干渉計は、前記ビーム間の経路長差を測定しているのみである。
【0033】
一実施の形態では、前記光学モジュールの前記ビーム受光器は、各々、
前記結合ビームを第1の分割ビームと第2の分割ビームとに分割するための無偏光ビームスプリッタを具備し、各分割ビームは、前記基準ビームと前記測定ビームとの成分を含み、
前記第1の分割ビームを、第1の偏光を有する第1の偏光ビームと、第2の偏光を有する第2の偏光ビームとに分割するための第1の偏光ビームスプリッタと、
前記第2の分割ビームを、第3の偏光を有する第3の偏光ビームと、第4の偏光を有する第4の偏光ビームとに分割するための第2の偏光ビームスプリッタと、
前記無偏光ビームスプリッタと前記第1の偏光ビームスプリッタとの間に、又は前記無偏光ビームスプリッタと前記第2の偏光ビームスプリッタとの間に配置された半波長板と、
前記第1の偏光ビーム、第2の偏光ビーム、第3の偏光ビーム及び第4の偏光ビームのビームパワーをそれぞれ検出するための第1の検出器、第2の検出器、第3の検出器及び第4の検出器とを具備する。
【0034】
前記第1の偏光ビーム及び第3の偏光ビームの偏光は、この実施の形態では、前記第2の偏光ビーム及び第4の偏光ビームと同様に、同じである。しかしながら、半波長板は、第2の偏光ビームスプリッタに到達する前にビーム偏光が45度で回転されることを確実にする。したがって、効果的には、第3の検出器は、135度回転の偏光であり、第4の検出器は、45度回転の偏光である。結果として、4つの検出器は、4つの妨害信号を与え、各妨害信号は、代表的には、他の信号に対して位相シフトされたシヌソイド信号である。したがって、前記測定反射面と前記基準反射面との間の移動の方向を決定することが可能である。さらに、4つの信号間の内挿法を使用することによって、ここに説明されるように、測定の精度が改良されることができる。既に説明されたように、半波長板は、偏光ビームスプリッタと前記第1の偏光ビームスプリッタとの間に、又は無偏光ビームスプリッタと前記第2の偏光ビームスプリッタとの間に配置されている。利点は、第1の偏光ビームスプリッタ及び第2の偏光ビームスプリッタが、4つの異なる偏光を与えるために互いに45度の角度である必要がないということである。したがって、光学モジュール内の光学素子は、ハウジングの一方の側に装着されることができ、これにほぼ平行なハウジングの一方の側面に固定される前記光学素子の側面を備える。結果として、光学モジュールの大きさ(volume)は、4つの検出器で4つの異なる偏光を得るために、第2の偏光ビームスプリッタに対して第1の偏光ビームスプリッタを回転させることが必要だった場合よりも実質的に小さい。
【0035】
一実施の形態では、前記光学モジュールは、互いにほぼ平行な前記基準ビームを射出するか、互いにほぼ平行な前記測定ビームを射出するかの少なくとも一方をするように配置されている。
【0036】
一実施の形態では、光学モジュールの前記ビームスプリッタ及び前記ビーム結合器は、前記光学モジュールの光学素子の群の一部であり、光学モジュール内の前記光学素子は、光学面接合(「Ansprengen」としても知られている)を使用して互いに接合される。したがって、光学素子は、互いに対してよりアライメントされる。実際には、自由度1だけが残されている(すなわち表面と平行な平面における回転)。
【0037】
代わりの実施の形態では、光学モジュールの前記ビームスプリッタ及び前記ビーム結合器は、前記光学モジュールの光学素子の群の一部であり、前記複数の光学モジュールのうち1つの光学モジュールの前記光学素子が、接着剤、好ましくは光学的に中立の接着剤を使用して互いに接合される。
【0038】
一実施の形態では、前記光学モジュールの各々は、前記他の光学モジュールによって射出された前記基準ビームと前記測定ビームとの少なくとも一方の経路の外側に配置されている。したがって、光学モジュールは、互いに干渉しない明らかに別個の要素である。
【0039】
一実施の形態では、前記第2の光学モジュールは、近隣の第1の光学モジュール及び第3の光学モジュールの対応する平行な側面に対してスタックするための2つの平行な側面を有し、好ましくは、前記2つの平行な側面は、平らであるか、前記第2の光学モジュールがその基準ビームを射出することになっている方向にほぼ平行であるかの少なくとも一方である。
【0040】
第2の態様によれば、本発明は、リソグラフィシステムを提供し、このリソグラフィシステムは、
フレーム(4)と、
前記フレーム(4)に装着され、ターゲット上に投影するための光学カラム(36)と、
前記光学カラム(36)に対して前記ターゲットを移動するためのターゲットキャリア(66)とを具備し、
前記ターゲットキャリア(66)には、第1の反射面(21)が設けられ、前記光学カラム(36)には、第2の反射面(81)が設けられ、
前記第1の反射面(21)と前記第2の反射面(81)との間の相対移動と回転との少なくとも一方を測定するためのここに説明されるような少なくとも1つの微分干渉計(1)を具備する。
【0041】
本発明の干渉計は、その低コスト及び低ボリュームのおかげで、リソグラフィシステムでの使用に有効である。
【0042】
第3の態様によれば、本発明は、多軸微分干渉計を組み立てる方法を提供し、この方法は、
第1の光学モジュールと、第2の光学モジュールと、第3の光学モジュールとを与える工程を具備し、前記光学モジュールの各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを測定ビーム及び対応する基準ビームに分割するためのビームスプリッタと、
ii)複数の反射面のうち一方の反射面によって反射された測定ビームを、複数の反射面のうち他方の反射面によって反射されたその関連する基準ビームと結合して対応する結合ビームにするためのビーム結合器と、
iii)前記結合ビームを受光するためのビーム受光器とを具備し、
この方法は、さらに、
前記3つの対応する測定ビームをほぼ平行かつ同一平面上に射出するために前記光学モジュールをスタックで配置する工程と、
前記第1の光学モジュールと前記第2の光学モジュールとの間に接着剤を塗布し、前記接着剤が硬化する前に前記第1の光学モジュールと前記第2の光学モジュールとを互いにアライメントさせる工程とをさらに具備する。
【0043】
したがって、予め製造された光学モジュールは、微分干渉計スタック、又は微分干渉計スタックモジュールを形成するために、正確にアライメントされ、一緒に接合される。接着剤がいったん硬化すると、接合された光学モジュールは構造的に丈夫なモジュールを形成する。
【0044】
例えば、第1及び第2の光学モジュールをアライメントすることは、前記ビームの位置を決定するために少なくとも1つの検出器に前記第1及び第2の光学モジュールから前記基準ビーム及び測定ビームを射出することと、前記測定されたビーム位置に基づいて前記第2の光学モジュールに対して前記第1の光学モジュールの位置と向きとの少なくとも一方を変化させることとを含む。
【0045】
一実施の形態では、この方法は、前記第2の光学モジュールと前記第3の光学モジュールとの間にさらなる接着剤を塗布し、前記さらなる接着剤が硬化する前に前記第2の光学モジュールと前記第3の光学モジュールとを互いにアライメントさせる工程をさらに具備する。
【0046】
したがって、第3の光学モジュールは、第2の光学モジュールとアライメントされる。したがって、第2の光学モジュールと第1の光学モジュールのアライメントがはじめに行われたとき、第3の光学モジュールも第1の光学モジュールと自動的にアライメントされる。あるいは、接着剤とさらなる接着剤とがまだ硬化していないとき、第1及び第3の光学モジュールと第2の光学モジュールを同時にアライメントさせることが可能である。
【0047】
一実施の形態では、本発明の干渉計は、前記測定ビーム及び前記基準ビームが、これらビームを平行に向けるように与えられる偏光スプリッタとプリズムとを使用して生成され、各光学モジュールは、光学素子が装着される平らな面が設けられたハウジングを有し、前記ハウジングの各々は、直方体形状であることを特徴とする。
【0048】
したがって、測定ビームと基準ビームとの両方が、単一平面に制限され、干渉計が現在知られているものよりもよりコンパクトであることを可能にする。この効果は、平らな面及び直方体形状に光学素子を装着することによってさらに高められ、これにより、光学モジュールがこれらの間に形成される無駄な空間なく横並びでうまく適合されることができる。干渉計のより小さなサイズは、比較的小さい光学素子が使用されなければならないことを意味するが、これは、実際には、より小さな光学素子がより大きなものよりも経済的に(より安く)製造されるので、他の利点である。
【0049】
明細書に説明され示されるさまざまな態様及び特徴は、可能な限り個々に適用されることができる。これらの個々の態様、特に、添付の従属請求項に説明される態様及び特徴は、分割特許出願の主題となりうる。
【0050】
本発明が、添付図面に示される例示的な実施の形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1A図1Aは、本発明による多軸微分干渉計(微分干渉計スタックモジュール)の一実施の形態を示す図である。
図1B図1Bは、図1Aの微分干渉計を示す分解図である。
図2A図2Aは、本発明による微分干渉計の他の実施の形態を示す図である。
図2B図2Bは、図2Aの微分干渉計を示す分解図である。
図3図3は、本発明による微分干渉計の他の実施の形態を示す図である。
図4A図4Aは、本発明による多軸微分干渉計(微分干渉計スタックモジュール)に含まれることができる光学モジュールの断面を概略的に示す図である。
図4B図4Bは、本発明による微分干渉計スタックモジュールに含まれることができる光学モジュールの他の実施の形態の断面を概略的に示す図である。
図5図5は、本発明による微分干渉計スタックモジュールを組み立てるための方法の工程のフローチャートを示す図である。
図6A図6Aは、本発明によるリソグラフィシステムを概略的に示す側面図である。
図6B図6Bは、本発明によるリソグラフィシステムを概略的に示す側面図である。
図6C図6Cは、本発明によるリソグラフィシステムのさらなる一実施の形態を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1Aは、第1の光学モジュール20と、第2の光学モジュール40と、第3の光学モジュール60とを有する、本発明による多軸微分干渉計1を示す図である。これら光学モジュールは、開口22、42、62からの3つの測定ビームを射出し、開口21、41、61からの3つの対応する基準ビームを射出するように配置されている。測定ビーム及び基準ビームが非同一面内に射出されるので、自由度3で、測定ビームがその上に射出される反射測定面(第1の反射面)と、基準ビームがその上に射出される反射基準面(第2の反射面)との間の移動と回転との少なくとも一方を測定することが可能である。例えば、単一の微分干渉計1が、測定面と基準面との間のX方向に沿った移動を測定するために、同様に、これら反射面の間で、Z方向に平行な軸Rzのまわりの、及びY方向に平行な軸Ryのまわりの回転を測定するために使用されることができる。
【0053】
光学モジュール20、40、60は、実質的に同じ構造である。第1の光学モジュール20は、線の上のそれぞれの開口に最も近いエッジからそれぞれ距離d6及びd5で線の上に配置された開口21、22を有する。同様に、第2の光学モジュール40は、線の上のそれぞれの開口に最も近いエッジからそれぞれ距離d5及びd6で線の上に配置された開口41、42を有し、第3の光学モジュール60は、線の上のそれぞれの開口に最も近いエッジからそれぞれ距離d6及びd5で線の上に配置された開口61、62を有する。開口21、22の間の距離d1は、開口41、42の間の距離d2にほぼ等しく、これは、開口61、62の間の距離d3にほぼ等しい。開口21と、開口21、22を通る線に沿った光学モジュール20の最も近いエッジとの間の距離d6は、距離d4よりも大きく、これは、開口21、61の中心と交差する線に垂直な平面上に投影されたときの開口41、21間の距離である。したがって、微分干渉計の高さh1は、距離d4よりも大きく、すなわち、干渉計の高さh1は、距離d4に少なくとも部分的に依存している。
【0054】
光学モジュール20、40、60は同じ構造であるが、微分干渉計1における第2の光学モジュール40の向きは、第1の光学モジュール20及び第3の光学モジュール60の向きに対して180度方向転換している。したがって、光学モジュール20、40、60は、開口21、41、61及び22、42、62からそれぞれ基準ビーム及び対応する基準ビームを非同一平面上に射出するように配置されている。特に、基準ビームに対する開口21、41、61間の角度αは、測定ビームに対する対応する開口22、42、62の間の角度αにほぼ等しい。
【0055】
第1の光学モジュール20は、接着剤(図1B参照)によって第2の光学モジュール40に取り付けられ、第2の光学モジュール40は、さらなる接着剤(図1B参照)によって第3の光学モジュールに取り付けられ、これにより、単一の微分干渉計スタックモジュールを形成している。微分干渉計スタックモジュールの組立て中、接着剤又はさらなる接着剤がまだ硬化していない限り、光学モジュールの位置と向きとの少なくとも一方を互いに対してアライメントすることが可能である。したがって、光学モジュールの製造時の公差が緩和されることができ、また、接着剤がいったん硬化されると、結果として生じる微分スタックモジュールの要素が正確にアライメントされる。
【0056】
図1Bは、図1Aの微分干渉計スタックモジュールを示す分解図である。要素20、40、60の各々は、それぞれの光学モジュールの外面を形成するそれぞれのハウジング23、43、63を有する。ハウジングは、ほこりから各光学モジュール20、40、60の内部を保護し、ロバスト構造の光学モジュールを与える。図示される実施の形態では、ハウジング23、43、63の各々は、バー形状とも定義されるほぼ矩形の直方体形状を有し、平らな側面が、互いに対する要素20、40、60のスタックを容易にする。このような平らな側面は、仕様に対してかなり正確に機械加工されることができる。矩形の直方体形状が好まれるが、代わりの実施の形態では、第2の光学モジュールは、近隣の第1の光学モジュール及び第3の光学モジュールの対応する平行な側面をくっつけてスタックするための2つの平行な側面を有し、好ましくは、前記2つの平行な側面は、第2の光学モジュールがその基準ビームを射出する方向にほぼ平行である。
【0057】
他の実施の形態では、近隣の光学モジュールの側面は、光学モジュールがスタックで配置されたときに互いにほぼ適合して形成されるように、突出部及び対応する切り欠きを有する。
【0058】
光学モジュールが熱の影響に適切に対処するように設計されていることが重要である。第1のアプローチでは、ハウジング23、43、63は、低い熱膨張係数を有する材料を含むことができる。微分干渉計1の熱膨張に起因する基準面と測定面との間の測定における誤差は、かくして低減されるか回避される。低い熱膨張係数材料の一例は、ゼロデュア(商標)である。代わりのアプローチでは、ハウジングは、ハウジング内に含まれる光学系の熱膨張係数にほぼ等しい熱膨張係数を有する材料を含むことができる。このような光学系、例えば、ビームスプリッタ、ビーム受光器中のビーム結合器や光学系(図3参照)がハウジングの内部に装着されたとき、熱膨張に起因する光学系及びハウジングの変形がほぼ均一になり、これにより変形の影響が低減される。
【0059】
第2の光学モジュール40のハウジング43は、第1の光学モジュール20のハウジング23のほぼ反対側の平らな側面25に装着するためのほぼ平らな第1の側面45を有する。第2の光学モジュール40のハウジング43は、さらに、第3の光学モジュール60のハウジング63のほぼ反対側の平らな側面65に装着するための、第1の側面45とは反対側のほぼ平らな側面46を有する。
【0060】
接着剤80及びさらなる接着剤81は、第1の光学モジュール20の平らな側面25と第2の光学モジュール40の第1の平らな側面45との間に、及び第2の光学モジュール40の第2の平らな側面46と第3の光学モジュール60の平らな側面65との間にそれぞれ配置されている。微分スタックモジュール1の組立て中、光学モジュール20、40、60は、接着剤80がまだ硬化されていないとき、互いに対してアライメントされることができる。組立て中、第1の光学モジュール20の側面25と第2の光学モジュール40の第1の側面45との間の距離を決定する接着剤80の厚さは、アライメントのための必要性に応じて変えられることができることが留意される。さらなる接着剤81の厚さも同様に変えられることができる。さらに、アライメント体を形成する接着剤とさらなる接着剤との少なくとも一方が、光学モジュールのアライメントのために必要とされるテーパ形状又は他の形状を有することができる。
【0061】
図2Aは、本発明による微分干渉計100の第2の実施の形態を示す図である。微分干渉計100は、第1の光学モジュール120と、第2の光学モジュール140と、第3の光学モジュール160とを有する。図1Aに示される実施の形態でのように、光学モジュールの各々は、測定ビーム及び対応する基準ビームを射出するように構成された微分光学モジュールである。第1の光学モジュール120及び第3の光学モジュール160は、同様又は同一の構成である。第1の光学モジュールの開口121、122及び第3の光学モジュールの開口161、162は、それぞれ互いに距離d1’、d3’のところにあり、距離d1’、d3’はほぼ等しい。第2の光学モジュール140は、異なる構成であり、距離d1及びd3よりも小さい距離d2’だけ互いに離間された開口141、142を有する。基準ビームがこれを通って射出される開口121、141、161は、基準ビームが同一平面上に射出されるように、線の上に配置されている。開口121、141が第1の光学モジュール120の開口121及び第2の光学モジュール160の開口161を通る線に垂直な平面に投影されたとき、これらは一致し、すなわち、開口121、141間の、及び開口141、161間の距離がほぼゼロである。結果として、微分干渉計の高さh2は、実質的に、図1Aに示される第1の実施の形態の高さh1よりも小さい。同様に、この第2の実施の形態による微分干渉計によって射出される基準ビーム及び測定ビームによって広げられた大きさは、第1の実施の形態による干渉計によって射出された基準ビーム及び測定ビームによって広げられた大きさよりも小さい。高さh2の方向に沿った微分干渉計によって射出されたビームによって必要とされる空間は、同様に減少される。微分干渉計が使用されるリソグラフィシステムなどの多くのシステムでは、空間が貴重であり、それ故、干渉計及び射出されるビームのための空間の必要性が減ることはかなり望ましい。図2Aの実施の形態の欠点は、基準面の回転が測定に影響しないということである。このような測定はもはや微分的に生じないが、測定面の回転はなおも測定されることができる(この回転測定のための共通モードの拒否はない)。
【0062】
ここに初めに説明されたように、測定ビームの開口122、142、162は、L字形態で配置され、これにより、自由度3で、測定面と基準面との間の移動と回転との少なくとも一方を測定することが可能なままである。
【0063】
光学モジュール120、140間にアライメント体が配置され、これは、図2Bに示される。
【0064】
図2Bは、図2Aの微分干渉計を示す分解図である。光学モジュールの各々は、それぞれのハウジング123、143、163を有し、これらは、ダメージやほこりからそれぞれその対応する光学モジュール120、140、160の内部を保護し、完全な微分干渉計又は微分干渉計スタックモジュールを形成するために光学モジュールのスタックを容易にするほぼ平らな面を与える。組み立てられたとき、光学モジュールは、好ましくは初めにここに説明され、図1Bに示されるような接着剤によって、互いに対して固定される。図2Bに示される実施の形態では、テーパ状のくさび183、例えば好ましくは容易に機械加工されるセラミック材料のアルミニウムのテーパ状シートが、第1の光学モジュール120と第2の光学モジュールとの間に配置されている。明瞭化のために、くさび183の広い端部の幅は誇張されて図示されている。このような1つ以上のくさびが、互いに対して光学モジュールをアライメントするために、微分干渉計スタックモジュールの組立て中に使用されることができる。光学モジュールの位置が固定されたとき、例えば、光学モジュール間の接着剤が硬化されたとき、くさびは、光学モジュールをアライメントして保つアライメント体の一部を形成することができる。
【0065】
図4Aは、本発明で使用されるような光学モジュールの内部を示す断面図である。代表的には、本発明による微分干渉計で使用される光学モジュールの内部は、互いに同様である。図4Aに示される光学モジュールでは、光の単一のコヒーレントビームbは、偏光ビームスプリッタ301上に射出され、ビームbを偏光された測定ビームMbと関連する偏光された基準ビームRbとに分割する。偏光ビームスプリッタ301を通過した後、測定ビームMbは、4分の1波長板303を通る。そして、入射した測定ビームは、反射測定面、すなわち鏡321で後方に反射され、再び4分の1波長板303を通過する。続いて、反射された測定ビームは、アイリス340を通過するように偏光ビームスプリッタ301で反射される。
【0066】
同様に、基準ビームRbを形成するコヒーレントビームの一部は、4分の1波長板303を通ってプリズム302で反射され、反射基準面、すなわち鏡381に入射する。そして、基準ビームRbは、反射面381で後方に反射され、同じ4分の1波長板303を再び通過し、プリズム302で反射された後、アイリス304に向けて偏光ビームスプリッタ301を通る。
【0067】
したがって、光学モジュールがアクティブであるとき、結合ビームCbはアイリス304を通過する。無偏光ビームスプリッタ305は、結合ビームを2つに分割し、結合ビームが分割された2つの結合ビームの一部は、反射された基準ビームの一部と反射された測定ビームの一部との両方を含むように分割される。2つのビームの一部は、ビームスプリッタ306、307をそれぞれ偏光することによって分割される。半波長板320が無偏光ビームスプリッタ305と偏光ビームスプリッタ307との間に配置されているので、検出器308、309、310、311で4つの異なる偏光を備えたビームを得るために、偏光ビームスプリッタ307に対して45度の角度で偏光ビームスプリッタ306を配置する必要はない。
【0068】
4つの別個の結合ビーム部分が検出器308、309、310、311で生じ、2つの検出器308、311は、平行な偏光を有し、2つの検出器309、310は、垂直な偏光を有する。半波長板320は、無偏光ビームスプリッタ305と偏光ビームスプリッタ307との間に設けられ、これら2つの要素の間のビームは、45度だけ回転された偏光を得る。これは、有効に、この無偏光ビームスプリッタ305と協働する検出器310、311がそれぞれ45度の偏光及び135度の偏光を測定することを意味する。検出器308、309、310、311は、これら4つの結合ビームの一部のパワーを4つのそれぞれの信号に変換し、移動の方向及び移動の大きさは、微分干渉計の分野で周知の技術を使用して得られることができる。検出器からの電気信号は、送信線を介してさらなる処理装置との接続のためのコネクタ354に伝送される。
【0069】
光学モジュール300は、光学素子301、302、303、305、306、307が装着される平らな内面337を備えたハウジング323を有する。ハウジング323内に配置されるこれら光学素子の全てが、ほこりと取り扱いに対してそれの内部で光学素子を保護する実質的に閉じたハウジングである。半波長板320は、無偏光ビームスプリッタ305に装着され、光学面接合(「Ansprengen」)によるビームスプリッタ307を偏光している。無偏光ビームスプリッタ305は、光学的に中立の接着剤322の層を使用して、偏光ビームスプリッタ306に取り付けられている。
【0070】
図4Bは、本発明による微分干渉計で使用されるような光学モジュールの代わりの実施の形態を示す図である。パーツ400、402、403、440は、図4Aのパーツ300、302、303、440に相当する。しかしながら、図4Bの実施の形態は、光学モジュール400が結合ビームCbのパワーの測定のための単一の検出器のみを有する図4Aの実施の形態ほど複雑ではない。結合ビーム中の反射された測定ビームMbと反射された基準ビームRbの間の干渉について、両ビームが平行な偏光を有することが重要である。そうでない場合、反射された基準ビームと反射された測定ビームとの間に偏光平面を有する線形偏光子が追加されることができる。
【0071】
図5は、本発明による微分干渉計スタックモジュールを組み立てる方法のフローチャートを示す図である。ステップ500において、ここに説明されるような少なくとも3つの光学モジュールが与えられ、ステップ501においてスタックで配置される。次に、接着剤は、第1の光学モジュールの一側面と、第1の光学モジュールの前記一側面に面している第2の光学モジュールの一側面との間に塗布される。ステップ503において、接着剤がまだ硬化していないうちに、第1の光学モジュールと第2の光学モジュールとが互いに対してアライメントされる。これは、例えば、前記第1及び第2の光学モジュールが、ビームの位置を検出するための検出器に基準ビームと参照ビームとの少なくとも一方を射出し、第2の光学モジュールに対して第1の光学モジュールの位置と向きとの少なくとも一方を調節することによってなされることができる。前記光学モジュールのアライメントはまた、これら要素を離間させるために第1の光学モジュールと第2の光学モジュールとの間に配置されたくさびなどの1以上のアライメント体を挿入することを含んでもよい。これらくさびは、接着剤の硬化中に適所に残されてもよいし、あるいは、接着剤が完全に硬化する前に取り除かれてもよい。
【0072】
ステップ504中、接着剤が硬化するまで、第1及び第2の光学モジュールは適所に保持される。選択的なステップ505において、ステップ502〜504に対応するステップは、第3の光学モジュールと第2の光学モジュールをアライメントするために繰り返される。ステップ505は、ステップ502〜504と少なくとも部分的に同時に行われてもよく、すなわち、第2の光学モジュールは、第1及び第3の光学モジュールとほぼ同時にアライメントされてもよいことが留意される。
【0073】
図6Aは、本発明によるリソグラフィシステムを示す図である。システムは、光軸37を備えた光学カラム36が装着されるフレーム4を有する。光学カラム36は、ターゲット7上に複数の露光小ビーム10を投影するように構成されている。選択された露光小ビームのONとOFFとを選択的に切り替えることによって、光学カラムより下のターゲットの露光表面がパターニングされることができる。ターゲットはウェーハテーブル6に置かれ、続いて、チャック66に置かれる。チャック66は、チャック66がその上に置かれるステージ9によって光学カラム36に対して移動可能である。図示される実施の形態では、チャック66、ウェーハテーブル6及びステージ9は、光学カラム36に対してターゲット7を移動させるためのターゲットキャリアを形成している。
【0074】
チャック66は、第1の反射面(すなわち鏡)21を有し、第1の反射面は、ターゲット7又はその露光面とシステム内でほぼ同じレベル又は高さのほぼ平らな面を有する。光学カラムは、第2の反射面(すなわち鏡)81を有し、第2の反射面は、光学カラムの突出端部に近いほぼ平らな面を有する。システムは、さらに、運動マウント962、963、964によってフレーム4に装着されたモジュール式干渉計ヘッド960、すなわち微分干渉計モジュールを有する。モジュール式干渉計ヘッド960は、第2の反射面81上に基準ビームRbを、及び第1の反射面21上に関連する測定ビームMbを射出する。この図には示されないが、基準ビームは3つの基準ビームを含み、測定ビームは3つの測定ビームを含み、第1の反射面81と第2の反射面21との間の相対移動は、基準ビームとその関連する測定ビームとの間の干渉を評価することによって測定される。
【0075】
3つの測定ビームMb及び3つの基準ビームRbは、コヒーレント光のビームを供給するレーザユニット31から生じ、モジュール999のビーム源の一部を形成する光ファイバ92によって干渉計モジュール999に結合される。
【0076】
図6Bは、図6Aのリソグラフィシステムを概略的に示す図であり、リソグラフィシステムは、真空ハウジング2を有する。真空ハウジング2の内部には、干渉計ヘッド96及びその接続部、第1の反射面81及び第2の反射面21のみが図示されるが、図1Aのターゲットキャリアが真空チャンバ2内に同様に収容されていることが理解される。
【0077】
光ファイバ92は、レーザ31から、真空密着フィードスルー991を介して真空チャンバ2の壁を通過する。測定ビームとこれらの関連する基準ビームとの間の干渉を示す信号は、信号線54を介して干渉計モジュール999から真空チャンバ2を出て伝送され、真空密着フィードスルー961を通過する。
【0078】
図6Cは、図6Aに示されるシステムと同様のリソグラフィシステムを概略的に示す図であり、システムは、複数の荷電粒子小ビームを与えるための電子光学系3を有する荷電粒子ビームリソグラフィシステムであり、投影光学系5は、ターゲット7の露光面上に前記荷電粒子小ビームを個々に合焦するための複数の静電レンズを有する。投影光学系5は、フレーム4に対して投影光学系の向きと位置との少なくとも一方を調節するためのアクチュエータ67を有する。システムは、さらに、ステージ11の移動を制御するためのステージ制御ユニット95に位置と移動との少なくとも一方の信号を与えるように構成された信号処理モジュール94を有する。信号は、信号線54、58を介して干渉計モジュール999及びアライメントセンサ57から真空密着フィードスルー961,959を通って信号処理モジュール94に送信され、ステージ11と投影光学系5との少なくとも一方を駆動させるための信号を与えるためにこれら信号を処理する。ウェーハテーブル6の移動、したがって投影光学系5に対するこれにより支持されたターゲット7の移動は、かくして、連続的に監視され補正される。
【0079】
図示される実施の形態では、チャック66は、運動マウント8によって移動可能なステージ11に支持され、ステージ9が、干渉計モジュール999に向かう又は干渉計モジュール999から離れる方向に投影光学系5に対して移動されることができる。微分干渉計モジュール999は、投影光学系の反射面に向かって3つの基準ビームRbを射出し、ウェーハテーブルの反射面に向かって3つの測定ビームMbを射出する。
【0080】
要約すると、本発明は、干渉計スタックモジュールの外部の第1の反射面と、干渉計スタックモジュールの外部の第2の反射面との間の移動と回転との少なくとも一方を測定するための微分干渉計又は微分干渉計スタックモジュールを具備するリソグラフィシステムに関し、前記干渉計スタックモジュールは、第1の光学モジュールと、第2の光学モジュールと、第3の光学モジュールとを有し、前記第2の光学モジュールは、前記第1の光学モジュールと前記第3の光学モジュールとの間に配置され、前記光学モジュールの各々は、単一の軸に沿って前記第2の反射面に対する前記第1の反射面の移動を測定するための手段を有する。本発明は、さらに、このような微分干渉計スタックモジュールを組み立てるための方法に関する。
【0081】
上の説明は、好ましい実施の形態の動作を示すために包含され、本発明の範囲を限定するのが目的でないことが理解される。上記の議論から、本発明の範囲に包含される変形例が当業者に明らかであろう。
出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を以下に付記する。
[1]第1の反射面(21,321)と第2の反射面(81,381)との間の移動と回転との少なくとも一方を測定するための多軸微分干渉計(1)であって、前記測定は、少なくとも2対のビームを使用して実行され、各対は、前記2つの反射面のうち一方の反射面(21,321)に射出される測定ビーム(Mb)と、前記2つの反射面のうち他方の反射面(81,381)に射出される基準ビーム(Rb)とによって形成され、干渉計(1)は、第1の光学モジュール(20)と、第2の光学モジュール(40)とを具備し、各光学モジュール(20,40)は、それぞれのコヒーレントビームを受光して、これらから前記2対の一方を生成するように構成されている多軸微分干渉計(1)。
[2]前記光学モジュール(20,40,60)は、同じ形態を有する[1]の多軸微分干渉計(1)。
[3]前記光学モジュール(20,40,60)は、横並びスタックを形成するように配置されている[1]又は[2]の多軸微分干渉計(1)。
[4]前記3つの光学モジュール(20,40,60)は、ほぼ平行な前記測定ビーム(Mb)を射出するように配置されている[2]又は[3]の多軸微分干渉計(1)。
[5]前記光学モジュール(20,40,60)の各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを前記測定ビーム(Mb)及び対応する前記基準ビーム(Rb)に分割するためのビームスプリッタ(301,401)と、
ii)前記2つの反射面のうち一方の反射面(21,321)によって反射された前記測定ビーム(Mb)を、前記2つの反射面のうち他方の反射面(81,381)によって反射されたその関連する基準ビーム(Rb)と結合して対応する結合ビーム(Cb)にするためのビーム結合器(301,401)と、
iii)前記結合ビーム(Cb)を受光するためのビーム受光器(305,306,307,308,309,310,311,408)とを具備する[1]ないし[4]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[6]前記光学モジュールは、互いに取り付けられている[1]ないし[5]のいずれか1の多軸微分干渉計。
[7]前記第1の光学モジュール(20)と前記第2の光学モジュール(40)との間に配置された第1のアライメント体(80)をさらに具備する[1]ないし[6]のいずれか1の多軸微分干渉計。
[8]前記測定は、3対のビームを使用して実行され、各対は、測定ビーム(Mb)と基準ビーム(Rb)とによって形成され、干渉計(1)は、さらなるそれぞれのコヒーレントビームを受光して、これらからさらなる測定ビーム(Mb)とさらなる基準ビーム(Rb)とによって形成されたさらなる1対のビームを生成するように構成された第3の光学モジュール(60)を具備する[1]ないし[7]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[9]第2のアライメント体(81)が、前記第2の光学モジュール(40)と前記第3の光学モジュール(60)との間に配置されている[8]の多軸微分干渉計(1)。
[10]前記3つの光学モジュール(20,40,60)は、前記測定ビーム(Mb)を非同一平面上に射出するように配置されている[8]又は[9]の多軸微分干渉計(1)。
[11]前記第1のアライメント体(80)は、硬化された接着剤を含む[7]に直接的又は間接的に従属する[7]ないし[10]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[12]前記第2のアライメント体(81)は、硬化された接着剤を含む[9]に直接的又は間接的に従属する[9]ないし[11]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[13]前記第1のアライメント体(80)は、テーパ状のくさび(183)を有する[7]に直接的又は間接的に従属する[7]ないし[12]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[14]前記第2のアライメント体(81)は、テーパ状のくさび(183)を有する[9]に直接的又は間接的に従属する[9]ないし[13]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[15]前記基準ビーム(Rb)は、前記測定ビーム(Mb)に対応する形態で射出される[1]ないし[14]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[16]前記光学モジュール(20,40,60)は、これらのそれぞれの基準ビーム(Rb)がほぼ同一平面上に射出されるように配置されている[1]ないし[15]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[17]全ての光学モジュール(20,40,60)が、前記光学モジュールの各々が前記測定ビームを通過させるための開口と前記基準ビームを通過させるための開口とを有するように非対称であるように向けられたこれらのそれぞれの開口(121,122,141,142,161,162)を有し、各光学モジュール(20,40,60)内で、前記開口は、線の上に配置され、各々は、前記線に沿った前記光学モジュールのハウジングの最も近いそれぞれのエッジから異なる距離(d5,d6)で配置され、前記第1の光学モジュール(20)及び前記第3の光学モジュール(60)は、同じ回転向きで微分干渉計に配置され、前記第2の光学モジュール(40)は、前記向きに対して180度で、前記開口を含む面に平行な平面で回転して配置されている[16]の多軸微分干渉計(1)。
[18]前記光学モジュール(20,40,60)の前記ビーム受光器は、各々、前記結合ビーム(Cb)を第1の分割ビームと第2の分割ビームとに分割するための無偏光ビームスプリッタ(305)を具備し、各分割ビームは、前記基準ビーム(Rb)と前記測定ビーム(Mb)との成分を含み、前記第1の分割ビームを、第1の偏光を有する第1の偏光ビームと、第2の偏光を有する第2の偏光ビームとに分割するための第1の偏光ビームスプリッタ(306)と、前記第2の分割ビームを、第3の偏光を有する第3の偏光ビームと、第4の偏光を有する第4の偏光ビームとに分割するための第2の偏光ビームスプリッタ(307)と、前記無偏光ビームスプリッタ(305)と前記第1の偏光ビームスプリッタ(306)との間に、又は前記無偏光ビームスプリッタ(305)と前記第2の偏光ビームスプリッタ(307)との間に配置された半波長板(320)と、前記第1の偏光ビーム、第2の偏光ビーム、第3の偏光ビーム及び第4の偏光ビームのビームパワーをそれぞれ検出するための第1の検出器(308)、第2の検出器(309)、第3の検出器(310)及び第4の検出器(311)とを具備する[5]に直接的又は間接的に従属する[1]ないし[17]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
[19]フレーム(4)と、前記フレーム(4)に装着され、ターゲット上に投影するための光学カラム(36)と、前記光学カラム(36)に対して前記ターゲットを移動するためのターゲットキャリア(66)とを具備し、前記ターゲットキャリア(66)には、第1の反射面(21)が設けられ、前記光学カラム(36)には、第2の反射面(81)が設けられ、前記第1の反射面(21)と前記第2の反射面(81)との間の相対移動と回転との少なくとも一方を測定するための[1]ないし[18]のいずれか1の少なくとも1つの微分干渉計(1)とを具備するリソグラフィシステム。
[20]多軸微分干渉計(1)を組み立てる方法であって、第1の光学モジュール(20)と、第2の光学モジュール(40)と、第3の光学モジュール(60)とを与える工程を具備し、前記光学モジュールの各々は、
i)それぞれのコヒーレントビームを測定ビーム(Mb)及び対応する基準ビーム(Rb)に分割するためのビームスプリッタ(301,401)と、
ii)複数の反射面のうち一方の反射面(21,321)によって反射された測定ビーム(Mb)を、複数の反射面のうち他方の反射面(81,381)によって反射されたその関連する基準ビーム(Rb)と結合して対応する結合ビーム(Cb)にするためのビーム結合器(301,401)と、
iii)前記結合ビーム(Cb)を受光するためのビーム受光器(305,306,307,308,309,310,311,408)とを具備し、
この方法は、さらに、前記3つの対応する測定ビーム(Mb)をほぼ平行かつ同一平面上に射出するために前記光学モジュール(20,40,60)をスタックで配置する工程と、前記第1の光学モジュール(20)と前記第2の光学モジュール(40)との間に接着剤(80)を塗布し、前記接着剤(80)が硬化する前に前記第1の光学モジュール(20)と前記第2の光学モジュール(40)とを互いにアライメントさせる工程とをさらに具備する方法。
[21]前記第2の光学モジュール(40)と前記第3の光学モジュール(60)との間にさらなる接着剤(81)を塗布し、前記さらなる接着剤(81)が硬化する前に前記第2の光学モジュール(40)と前記第3の光学モジュール(60)とを互いにアライメントさせる工程をさらに具備する[20]の方法。
[22]前記測定ビーム及び前記基準ビームは、これらビームを平行に向けるように与えられる偏光スプリッタ(301)とプリズム(302)とを使用して生成され、各光学モジュールは、光学素子(301,302,303;305,306,307)が装着される平らな面(337)が設けられたハウジング(323;123;143;163;23;43;63)を有し、前記ハウジングの各々は、直方体形状であることを特徴とする[1]ないし[18]のいずれか1の多軸微分干渉計(1)。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C