特許第6181193号(P6181193)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181193制御放出性アミンによって触媒される硫黄含有ポリマー及びエポキシ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181193
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】制御放出性アミンによって触媒される硫黄含有ポリマー及びエポキシ組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/66 20060101AFI20170807BHJP
   C08G 59/68 20060101ALI20170807BHJP
   C08G 75/04 20160101ALI20170807BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C08G59/66
   C08G59/68
   C08G75/04
   C09K3/10 Z
   C09K3/10 L
【請求項の数】16
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2015-539630(P2015-539630)
(86)(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公表番号】特表2015-533910(P2015-533910A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013064020
(87)【国際公開番号】WO2014066041
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年6月23日
(31)【優先権主張番号】13/659,113
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルジアン、ラクエル
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ローレンス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】リン、レンヘ
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−036220(JP,A)
【文献】 特表2000−509758(JP,A)
【文献】 特表2007−512414(JP,A)
【文献】 特表2015−520293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 75/00−75/32
C08L 81/00−81/10
C08G 65/00−65/48
C08K 3/00−13/08
C08G 59/00−59/72
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チオール末端ポリチオエーテルシリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテル又はそれらの組合せを含む硫黄含有ポリマー、
(b)ポリエポキシド硬化剤、及び
(c)制御放出性アミン触媒であって、アミン触媒を含む小滴又は粒子を取り込んでいる結晶性ポリマーを含むマトリックス封入剤に取り込まれている制御放出性アミン触媒
を含む組成物。
【請求項2】
チオール末端ポリチオエーテルが、二官能価チオール末端ポリチオエーテル、三官能価チオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
チオール末端ポリチオエーテルが、2.05〜3の平均官能基数を特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
チオール末端ポリチオエーテルが、式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである]から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのビニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、Vの各々は、末端ビニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する}
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
チオール末端ポリチオエーテルが、
(a)式(3)
HS−R−SH (3)
{式中、
は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[−(CHR−X−]−(CHR
[式中、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、−NH−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
sは2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
のジチオール、及び
(b)式(4)
CH=CH−O−[−R−O−]−CH=CH (4)
[式中、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)(式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である]
のジビニルエーテル
を含む反応体の反応生成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
反応体が、(c)多官能価化合物B(−V)Bは、この多官能価化合物B(−V)のコアであり、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、チオール基に反応性を示す末端基を含む部分である)を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
シリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテルが、シリルブロックされている二官能価チオール末端ポリチオエーテル、シリルブロックされている三官能価チオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
シリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテルが、2.05〜3の平均官能基数を特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
シリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテルが、式(6)のシリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテル、式(6a)のシリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せ:
−S−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−R (6)
{R−S−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (6a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(式中、s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのアルケニル末端多官能基化剤B(−V)(式中、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、末端アルケニル基を含む基である)のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来し、
の各々は、独立して式(7)
【化1】

(式中、R、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)
の末端基を含む部分である}
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
シリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテルが、
(a)式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から独立して選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(式中、s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのアルケニル末端多官能基化剤B(−V)(式中、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、末端アルケニル基を含む基である)のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する}
を含むポリチオエーテル、並びに
(b)式(8)
【化2】

(式中、
Xは、ハロゲンであり、
、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)
のハロシラン
を含む反応体の反応生成物を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
zが3であり、多官能基化剤が三官能基化剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリエポキシドが、二官能価エポキシ、三官能価エポキシ、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
マトリックス封入剤が、加熱又は超音波処理時に、アミン触媒を放出することができる、請求項1に記載の組成物
【請求項14】
マトリックス封入剤が、周囲温度でアミン触媒を放出することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
アミン触媒が、1,8−ジアザビシクロ−5,4−0−ウンデセン−71,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
隙間をシールする方法であって、
(a)隙間を画定する少なくとも1つの表面に、請求項1の組成物を施用するステップと、
(b)その隙間を画定する前記少なくとも1つの表面とその隙間を画定する別の表面を組み合わせるステップと、
(c)その隙間をシールするために請求項1の組成物を硬化させるステップと
を含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、ポリチオエーテル及びポリスルフィドなどの硫黄含有ポリマー、ポリエポキシド、及び制御放出性(controlled−release:徐放性)アミン触媒を含む組成物に関する。本組成物は航空宇宙用シーラント(sealant:封止剤)用途において有用であり、この組成物は、延長されたポットライフ(pot life:貯蔵寿命、貯蔵安定性)を示し、硬化速度の制御を実現する。
【背景技術】
【0002】
背景
航空宇宙及び他の用途において有用なシーラントは、要求される機械的、化学的、及び環境的要件を満足しなければならない。シーラントは、金属表面、プライマー被膜、中間被膜、完成被膜、及び老化被膜(aged coating)を含む、様々な表面に施用することができる。航空宇宙用シーラント用途に許容可能な耐燃料性、耐熱性、及び可撓性を示す硫黄含有ポリマーを含むシーラント組成物は、米国特許第6,172,179号に記載されている。米国公開第2006/0270796号、同第2007/0287810号、及び同第2009/0326167号に記載されているものなどのシーラントでは、チオール末端ポリチオエーテルなどの硫黄含有ポリマーは、アミン触媒の存在下でエポキシ硬化剤と反応させると、硬化生成物が得られる。これらのシステムはシーラントとして有用であり、航空宇宙産業の要求される性能要件を満たすことができる。アミン触媒などの強塩基触媒がないと、チオール基とエポキシ基との間の反応は遅く、温度に応じて、比較的長いポットライフ(例えば、数日から数週間)をもたらす。しかし、硬化シーラントの物理的特性は、一般に許容可能ではない。対照的に、強塩基触媒の存在下では、反応が速く、且つ許容可能な硬化特性を示すが、特定の系により、たった約2時間〜約12時間のポットライフしかもたらさない。しかし、多くの用途の場合、12時間〜48時間などのより長いポットライフが望ましい。
【0003】
実際には、組成物は、2成分組成物として提供され得、この場合、チオール末端硫黄含有化合物及びエポキシが、チオール成分中のアミン触媒と共に、個別の成分群として提供され、この2成分が使用直前に混合される。或いは、塩基触媒は、第3の成分として提供することができ、チオール末端硫黄含有ポリマーを含有している成分、エポキシを含有している成分、及び、上記の塩基触媒を含有している成分が、使用直前に混合される。しかし、一旦、成分群が混合されると、チオール基とエポキシ基は反応し、少なくとも部分的に温度及びアミン触媒のタイプに応じて、ポットライフは2〜12時間未満に限定される。さらに、組成物が硬化するので、シーラントを表面に施用した後に、反応速度を制御して、複雑な化学反応が起こるのを利用することができることはほとんどない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポットライフを延長する方法、並びにチオール末端硫黄含有ポリマー及びポリエポキシドを含む組成物の硬化速度を制御する方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要約
したがって、周囲温度において長いポットライフを示し、且つ表面への施用後に硬化して、航空宇宙用シーラント用途に許容可能な特性を有する硬化シーラントを形成する組成物を提供することが望ましい。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、ポットライフが12〜48時間より長いこと、及び有用な作業時間の後の硬化が、24〜72時間以内であることを示す。
【0006】
本開示によって提供される組成物には、マトリックス封入剤に取り込まれた強アミン触媒などの制御放出性アミン触媒が含まれる。このアミン触媒は、周囲温度において拡散により放出することができるか、又は高温に曝されると放出することができる。いずれの場合でも、アミン触媒の放出は、チオール末端硫黄含有ポリマー及びポリエポキシドを含む組成物のポットライフを延長するよう制御される。さらに、チオール末端硫黄含有ポリマーは、アルキルシラン基などの基によりブロックすることができ、このアルキルシラン基は、水分の存在下で水と反応して、反応性チオール末端硫黄含有ポリマーを放出し、これによりポットライフを延長する追加的な方法を実現する。
【0007】
第1の態様では、(a)チオール末端硫黄含有ポリマー、ブロックされているチオール末端硫黄含有ポリマー、及びそれらの組合せから選択される硫黄含有ポリマー、(b)ポリエポキシド硬化剤、並びに(c)制御放出性アミン触媒を含む組成物が提供される。
【0008】
第2の態様では、(a)チオール末端硫黄含有ポリマー、(b)ポリエポキシド硬化剤、及び(c)熱により放出され得るアミン触媒を含むマトリックス封入剤を含む組成物が提供される。
【0009】
第3の態様では、(a)シリルブロックされているなどのブロックされているチオール末端硫黄含有ポリマー、(b)ポリエポキシド硬化剤、及び(c)周囲温度で放出され得るアミン触媒を含むマトリックス封入剤を含む組成物が提供される。
【0010】
第4の態様では、隙間(aperture:開口)をシール(密封)する方法であって、(a)隙間を画定する少なくとも1つの表面に、本開示により提供される組成物を施用するステップと、(b)隙間を画定する表面(複数)を組み立てるステップと、(c)シールされた隙間を得るためにシーラントを硬化させるステップとを含む、上記方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】例2のマトリックス封入アミンを含むシーラント組成物の硬化プロファイルを示すグラフである。
【0012】
図2】(a)周囲水分に曝した、及び(b)周囲水分から遮蔽した、シリルブロックされているポリチオエーテル、ジエポキシ、及び1.2重量%のマトリックス封入アミンを含む、例7のシーラント組成物の時間による、粘度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これから、組成物及び方法のある種の実施形態に言及する。開示されている実施形態は、特許請求の範囲に限定することを意図するものではない。それとは反対に、特許請求の範囲は、代替、修正、及び等価物をすべて包含するよう意図されている。
【0014】
詳細な説明
定義
以下の説明のために、本開示によって提供される実施形態は、反対のことが明白に指定されている場合を除き、変形及びステップの順序の様々な代替は当然となり得ることを理解されたい。さらに、例において又は特に示されている場合以外では、例えば、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量を表す数字はすべて、用語「約」によって、すべての場合に、修飾されているものと理解されたい。したがって、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲において説明されている数値パラメータは、得られる所望の特性に応じて、変動し得る概数である。数字の各パラメータは、少なくとも、及び、特許請求の範囲に対する等価物の原理の適用を制限するための試みとしてではなく、報告されている有意な桁数に照らして、及び通常の四捨五入技法を適用することによって少なくとも解釈すべきである。
【0015】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータは概数であるにも関わらず、特定の例において記載されている数値は、できる限り正確に報告されている。しかし、どのような数値も、それらの個々の試験測定値において見られる標準偏差に必然的に起因するある種の誤差を本来含んでいる。
【0016】
また、本明細書において引用されている任意の数値範囲は、その中に包含される部分範囲すべてを含むことが意図されているものと理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、約1という引用最小値と約10という引用最大値との間(及びそれらを含む)のすべての部分範囲、すなわち約1以上の最小値、及び約10以下の最大値を有する部分範囲を含むことが意図される。また、本出願において、「又は」の使用は、「及び/又は」がある例において明確に使用されることがある場合でさえも、特に具体的に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0017】
2つの文字又は符号の間にはないダッシュ「−」は、置換基又は2個の原子間の結合点を示すために使用される。例えば、−CONHは、炭素原子によって別の化学部分に結合している。
【0018】
「アルカンジイル」とは、例えば、1〜18個の炭素原子(C1〜18)、1〜14個の炭素原子(C1〜14)、1〜6個の炭素原子(C1〜6)、1〜4個の炭素原子(C1〜4)、又は1〜3個の炭素原子(C1〜3)を有する、飽和の分岐又は直鎖非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分岐アルカンジイルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解されよう。ある種の実施形態では、アルカンジイルは、C2〜14アルカンジイル、C2〜10アルカンジイル、C2〜8アルカンジイル、C2〜6アルカンジイル、C2〜4アルカンジイルであり、ある種の実施形態では、C2〜3アルカンジイルである。アルカンジイル基の例には、メタン−ジイル(−CH−)、エタン−1,2−ジイル(−CHCH−)、プロパン−1,3−ジイル及びイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CHCHCH−及び−CH(CH)CH−)、ブタン−1,4−ジイル(−CHCHCHCH−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CHCHCHCHCH−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CHCHCHCHCHCH−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが含まれる。
【0019】
「アルカンシクロアルカン」とは、1つ又は複数のシクロアルキル基及び/又はシクロアルカンジイル基、並びに1つ又は複数のアルキル基及び/又はアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書において定義されている。ある種の実施形態では、シクロアルキル基及び/又はシクロアルカンジイル基(単数又は複数)の各々は、C3〜6、C5〜6であり、ある種の実施形態では、シクロヘキシル又はシクロヘキサンジイルである。ある種の実施形態では、アルキル基及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)の各々は、C1〜6、C1〜4、C1〜3であり、ある種の実施形態では、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルである。ある種の実施形態では、アルカンシクロアルカン基は、C4〜18アルカンシクロアルカン、C4〜16アルカンシクロアルカン、C4〜12アルカンシクロアルカン、C4〜8アルカンシクロアルカン、C6〜12アルカンシクロアルカン、C6〜10アルカンシクロアルカンであり、ある種の実施形態では、C6〜9アルカンシクロアルカンである。アルカンシクロアルカン基の例には、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン及びシクロヘキシルメタンが含まれる。
【0020】
「アルカンシクロアルカンジイル」とは、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。ある種の実施形態では、アルカンシクロアルカンジイル基は、C4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイルであり、ある種の実施形態では、C6〜9アルカンシクロアルカンジイルである。アルカンシクロアルカンジイル基の例には、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル及びシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが含まれる。
【0021】
「アルカンアレーン」とは、1つ又は複数のアリール及び/又はアレーンジイル基、並びに1つ又は複数のアルキル基及び/又はアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、アリール、アレーンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書において定義されている。ある種の実施形態では、アリール基及び/又はアレーンジイル基(単数又は複数)の各々は、C6〜12、C6〜10であり、ある種の実施形態では、フェニル又はベンゼンジイルである。ある種の実施形態では、アルキル基及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)の各々は、C1〜6、C1〜4、C1〜3であり、ある種の実施形態では、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルである。ある種の実施形態では、アルカンアレーン基は、C4〜18アルカンアレーン、C4〜16アルカンアレーン、C4〜12アルカンアレーン、C4〜8アルカンアレーン、C6〜12アルカンアレーン、C6〜10アルカンアレーンであり、ある種の実施形態では、C6〜9アルカンアレーンである。アルカンアレーン基の例には、ジフェニルメタンが含まれる。
【0022】
「アルカンアレーンジイル」には、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。ある種の実施形態では、アルカンアレーンジイル基は、C4〜18アルカンアレーンジイル、C4〜16アルカンアレーンジイル、C4〜12アルカンアレーンジイル、C4〜8アルカンアレーンジイル、C6〜12アルカンアレーンジイル、C6〜10アルカンアレーンジイルであり、ある種の実施形態では、C6〜9アルカンアレーンジイルである。アルカンアレーンジイル基の例には、ジフェニルメタン−4,4’−ジイルが含まれる。
【0023】
「アルケニル」基は、基(R)C=C(R)を指す。ある種の実施形態では、アルケニル基は、構造−RC=C(R)を有し、アルケニル基は末端基であり、より大きな分子に結合している。こうした実施形態では、Rの各々は、例えば、水素及びC1〜3アルキルから選択することができる。ある種の実施形態では、Rの各々は水素であり、アルケニル基は、構造−CH=CHを有する。
【0024】
「アルコキシ」は−OR基であり、Rは、本明細書で定義されているアルキルである。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、及びn−ブトキシが含まれる。ある種の実施形態では、アルコキシ基は、C1〜8アルコキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜4アルコキシであり、ある種の実施形態では、C1〜3アルコキシである。
【0025】
「アルキル」とは、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する、飽和の分岐又は直鎖非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分岐アルキルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解されよう。ある種の実施形態では、アルキル基は、C2〜6アルキル、C2〜4アルキルであり、ある種の実施形態では、C2〜3アルキルである。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが含まれる。ある種の実施形態では、アルキル基は、C2〜6アルキル、C2〜4アルキルであり、ある種の実施形態では、C2〜3アルキルである。分岐アルキルは、少なくとも3個の炭素原子を有することが理解されよう。
【0026】
「アレーンジイル」とは、単環式又は多環式芳香族基のジラジカルを指す。アレーンジイル基の例には、ベンゼン−ジイル及びナフタレン−ジイルが含まれる。ある種の実施形態では、アレーンジイル基は、C6〜12アレーンジイル、C6〜10アレーンジイル、C6〜9アレーンジイルであり、ある種の実施形態では、ベンゼン−ジイルである。
【0027】
「シクロアルカンジイル」とは、飽和の単環式又は多環式炭化水素基のジラジカルを指す。ある種の実施形態では、シクロアルカンジイル基は、C3〜12シクロアルカンジイル、C3〜8シクロアルカンジイル、C3〜6シクロアルカンジイルであり、ある種の実施形態では、C5〜6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例には、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、及びシクロヘキサン−1,2−ジイルが含まれる。
【0028】
「シクロアルキル」とは、飽和の単環式又は多環式炭化水素のモノラジカル基を指す。ある種の実施形態では、シクロアルキル基は、C3〜12シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルであり、ある種の実施形態では、C5〜6シクロアルキルである。
【0029】
「ヘテロアルカンジイル」とは、1個又は複数の炭素原子が、N、O、S又はPなどのヘテロ原子により置きかえられている、アルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルのある種の実施形態では、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0030】
「ヘテロシクロアルカンジイル」とは、1個又は複数の炭素原子が、N、O、S又はPなどのヘテロ原子により置きかえられている、シクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルのある種の実施形態では、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0031】
「ヘテロアレーンジイル」とは、1個又は複数の炭素原子が、N、O、S又はPなどのヘテロ原子により置きかえられている、アレーンジイル基を指す。ヘテロアレーンジイルのある種の実施形態では、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0032】
「ヘテロシクロアルカンジイル」とは、1個又は複数の炭素原子が、N、O、S又はPなどのヘテロ原子により置きかえられている、シクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルのある種の実施形態では、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0033】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」とは、オリゴマー、ホモポリマー、及びコポリマーを指す。特に明記しない限り、分子量は、例えば当分野で認識されている方法で、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される「Mn」として示される、ポリマー材料に関する数平均分子量のことである。
【0034】
「置換されている」とは、1個又は複数の水素原子が、同一又は異なる置換基(単数又は複数)によりそれぞれ独立して置きかえられている基を指す。ある種の実施形態では、これらの置換基は、ハロゲン、−S(O)OH、−S(O)、−SH、−SRから選択され、Rは、C1〜6アルキル、−COOH、−NO、−NR[Rの各々は、水素、及びC1〜3アルキル、−CN、=O、C1〜6アルキル、−CF、−OH、フェニル、C2〜6ヘテロアルキル、C5〜6ヘテロアリール、C1〜6アルコキシ、及び−COR(RはC1〜6アルキルである)から独立して選択される]である。ある種の実施形態では、置換基は、−OH、−NH、及びC1〜3アルキルから選択される。
【0035】
組成物
硫黄含有ポリマー、ポリエポキシド、及び制御放出性アミン触媒を含む組成物が開示される。本組成物中で使用される硫黄含有ポリマーには、チオール末端ポリチオエーテル、ブロックされているチオール末端ポリチオエーテル、例えば、シリル基によりブロックされているか又はシリル基が末端とするチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せが含まれる。シリル基によりブロックされているチオール末端ポリチオエーテルも、本明細書では、シリルブロックされているポリチオエーテルと呼ばれる。この末端シリル基は、水分に曝されると、水と反応してチオール末端ポリチオエーテルを放出する。本開示によって提供される組成物中で使用される制御放出性アミン触媒は、例えば、アミン触媒を取り込むマトリックス封入剤を含むことができる。これらの実施形態では、アミン触媒は、周囲温度でマトリックス封入剤から拡散することができるか、又は熱の存在下でこのマトリックスから拡散することができる。触媒アミンの放出に際して、この触媒アミンは、チオール末端ポリチオエーテルなどのチオール末端硫黄含有ポリマーとポリエポキシドとの間の反応を触媒することができる。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、チオール末端ポリチオエーテル、ポリエポキシド、及び熱の存在下で放出される制御放出性アミン触媒を含む。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、シリルブロックされているポリチオエーテル、ポリエポキシド、及び制御放出性アミン触媒を含み、この触媒アミンは周囲温度で拡散により放出され、シリルブロックされているポリチオエーテルは周囲水分と反応して、対応するチオール末端ポリチオエーテルを放出する。
【0036】
チオール末端硫黄含有ポリマー
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、チオール末端硫黄含有ポリマーを含む。
【0037】
ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、及びそれらの組合せから選択される。ある種の実施形態では、この硫黄含有ポリマーはポリチオエーテルを含み、ある種の実施形態では、この硫黄含有ポリマーはポリスルフィドを含む。この硫黄含有ポリマーは、様々なポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドの混合物を含むことができ、このポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドは、同一又は異なる官能基を有してもよい。ある種の実施形態では、この硫黄含有ポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3の平均官能基数を有し、ある種の実施形態では、2.05〜2.8の平均官能基数を有する。例えば、硫黄含有ポリマーは、二官能価硫黄含有ポリマー、三官能価硫黄含有ポリマー、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0038】
ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、チオール末端とし、ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルを含む。チオール末端ポリチオエーテルの例は、例えば米国特許第6,172,179号において開示されている。ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International Inc.Sylmar、CAから入手可能なPermapol(登録商標)P3.1Eを含む。
【0039】
ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、
(a)式(1)
−R−[−S−(CH−O−[−R−O−]−(CH−S−R− (1)
[式中、
(i)Rの各々は、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、−[(−CHR−)−X−]−(CHR−基(式中、Rの各々は、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
(ii)Rの各々は、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、及び−[(−CH−)−X−]−(CH−基から独立して選択され、
(iii)Xの各々は、O、S、及び−NR−基から独立して選択され、Rは、H及びメチル基から選択され、
(iv)mは、0〜50の範囲であり、
(v)nは、1〜60の範囲の整数であり、
(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり、
(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり、
(viii)rは、2〜10の範囲の整数である]
の構造を含む主鎖を含むポリチオエーテルを含む。
【0040】
ある種の実施形態では、チオール末端硫黄含有ポリマーは、式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである]から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのビニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、Vの各々は、末端ビニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する}
から選択されるチオール末端ポリチオエーテルを含む。
【0041】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rは、−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、式中、pは2であり、Xは−O−であり、qは2であり、rは2であり、Rは、エタンジイルであり、mは2であり、nは9である。
【0042】
式(2)及び式(4a)のある種の実施形態では、Rは、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR−X−]−(CHR−から選択される。
【0043】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rは、−[−(CHR−X−]−(CHR−であり、ある種の実施形態では、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、Xは−S−である。
【0044】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、ある種の実施形態ではpは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0045】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である、式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では。Rは水素であり、ある種の実施形態では、Rの少なくとも1つはメチルである。
【0046】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rの各々は同一であり、ある種の実施形態では、Rの少なくとも1つは異なる。
【0047】
様々な方法を使用して、こうしたポリチオエーテルを調製することができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルの例、及びそれらの製造方法は、例えば、米国特許第6,172,179号中のカラム2の29行目からカラム4の22行目まで、カラム6の39行目からカラム10の50行目まで、及びカラム11の65行目からカラム12の22行目までに記載されており、それらの引用部分は、参照により組み込まれている。そのようなチオール末端ポリチオエーテルは、二官能価である、すなわち、2つのチオール末端基を有する直鎖ポリマーであることができ、又は多官能価である、すなわち、3つ以上のチオール末端基を有する分岐ポリマーであることができる。チオール末端ポリチオエーテルはまた、二官能価及び多官能価チオール末端ポリチオエーテルの組合せを含んでもよい。適切なチオール末端ポリチオエーテルは、例えば、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CA製のPermapol(登録商標)P3.1Eとして市販されている。
【0048】
適切なチオール末端ポリチオエーテルは、ジビニルエーテル又はジビニルエーテルの混合物を過剰のジチオール又はジチオールの混合物と反応させることにより製造することができる。例えば、チオール末端ポリチオエーテルの調製において使用するのに適したジチオールには、式(3)のもの、本明細書において開示されている他のジチオール、又は本明細書において開示されているジチオールのいずれかの組合せが含まれる。
【0049】
ある種の実施形態では、ジチオールは、式(3)の構造:
HS−R−SH (3)
{式中、
は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[−(CHR−X−]−(CHR
[式中、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
を有している。
【0050】
式(3)のジチオールのある種の実施形態では、Rは−[−(CHR−X−]−(CHR−である。
【0051】
式(3)の化合物のある種の実施形態では、Xは、−O−及び−S−から選択され、すなわち式(5)中の−[−(CHR−X−]−(CHR−は、−[(−CHR−)−O−]−(CHR−又は−[(−CHR−)−S−]−(CHR−となる。ある種の実施形態では、p及びrが両方とも2であるなど、p及びrは等しい。
【0052】
式(3)のジチオールのある種の実施形態では、Rは、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR−X−]−(CHR−から選択される。
【0053】
ある種の実施形態では、Rは、−[−(CHR−X−]−(CHR−であり、ある種の実施形態では、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、Xは−S−である。
【0054】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である、ある種の実施形態では、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、ある種の実施形態ではpは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0055】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である、ある種の実施形態では、Rは水素であり、ある種の実施形態では、Rの少なくとも1つはメチルである。
【0056】
適切なジチオールの例には、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び上記の任意の組合せが含まれる。ポリチオールは、低級(例えば、C1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基、及びヒドロキシル基から選択される、1つ又は複数のペンダント基を有していてもよい。適切なアルキルペンダント基には、例えば、C1〜6直鎖アルキル、C3〜6分岐アルキル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。
【0057】
適切なジチオールの他の例には、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(3)において、Rは、−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−である)、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(3)において、Rは−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−である)、及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(3)において、Rは−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である)が含まれる。炭素主鎖とペンダントアルキル基、例えば、メチル基の両方にヘテロ原子を含むジチオールを使用することも可能である。そのような化合物には、例えば、HS−CHCH(CH)−S−CHCH−SH、HS−CH(CH)CH−S−CHCH−SHなどのメチル置換DMDS、及びHS−CHCH(CH)−S−CHCHCH−SH及びHS−CH(CH)CH−S−CHCH(CH)−SHなどのジメチル置換DMDSが含まれる。
【0058】
ポリチオエーテル及びポリチオエーテル付加物を調製するのに適したジビニルエーテルには、例えば、式(4)
CH=CH−O−(−R−O−)−CH=CH (4)
[式中、式(4)中のRは、C2〜6n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、及び−[(−CH−)−O−]−(−CH−)−から選択され、pは、2〜6の範囲の整数であり、qは1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である]
のジビニルエーテルが含まれる。式(4)のジビニルエーテルのある種の実施形態では、Rは、C2〜6n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基であり、ある種の実施形態では、−[(−CH−)−O−]−(−CH−)−である。
【0059】
適切なジビニルエーテルには、例えば、少なくとも1つのオキシアルカンジイル基、例えば、1〜4つのオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(4)中のmが、1〜4の範囲の整数である化合物が含まれる。ある種の実施形態では、式(4)中のmは、2〜4の範囲の整数である。1分子あたりのオキシアルカンジイルのユニット数に関して、非整数の平均値を特徴とする市販のジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。したがって、式(4)中のmは、1.0〜10.0、1.0〜4.0、又は2.0から4.0などの0〜10.0の範囲の有理数値もとることができる。
【0060】
適切なジビニルエーテルの例には、例えば、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(4)中のRはブタンジイルであり、mは1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(4)の中のRはヘキサンジイルであり、mは1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのトリビニルエーテルモノマー、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどの四官能価エーテルモノマー、及びこうしたポリビニルエーテルモノマーの2種以上の組合せが含まれる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びアミン基から選択される、1つ又は複数のペンダント基を有していてもよい。
【0061】
ある種の実施形態では、式(4)中のRが、C3〜6分岐アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物とアセチレンとを反応させることにより調製することができる。このタイプのジビニルエーテルの例には、式(4)中のRが−CH(CH)−などのアルキル置換メタンジイル基(例えば、式(4)中のRがエタンジイルでありmが3.8である場合の、Pluriol(登録商標)E−200ジビニルエーテルなどのPluriol(登録商標)ブレンド(BASF Corp.、Parsippany、NJ))、又はアルキル置換エタンジイル(例えば、DPE−2及びDPE−3を含むDPEポリマーブレンドなどの−CHCH(CH)−(International Specialty Products、Wayne、NJ))である化合物が含まれる。
【0062】
他の有用なジビニルエーテルには、式(4)中のRが、モノマー単位の平均が約3を有するものなどのポリテトラヒドロフリル(ポリTHF)又はポリオキシアルカンジイルである化合物が含まれる。
【0063】
2種以上のタイプの式(4)のポリビニルエーテルモノマーを使用することができる。したがって、ある種の実施形態では、2種の式(3)のジチオールと1種の式(4)のポリビニルエーテルモノマー、1種の式(3)のジチオールと2種の式(4)のポリビニルエーテルモノマー、2種の式(3)のジチオールと2種の式(4)のジビニルエーテルモノマー、及び式(3)と式(4)の一方又は両方の2を越える種類の化合物を使用して、様々なチオール末端ポリチオエーテルを製造することができる。
【0064】
ある種の実施形態では、ポリビニルエーテルモノマーは、チオール末端ポリチオエーテルを調製するために使用する反応体を20〜50モルパーセント未満含み、ある種の実施形態では、30〜50モルパーセント未満含む。
【0065】
本開示によって提供されるある種の実施形態では、ジチオールとジビニルエーテルとの相対量は、末端チオール基を有するポリチオエーテルを生じるよう選択される。したがって、式(3)のジチオール又は式(3)の少なくとも2種の異なるジチオールの混合物は、式(4)のジビニルエーテル、又は式(4)の少なくとも2種の異なるジビニルエーテルの混合物と、チオール基対ビニル基のモル比が1:1より高くなる、例えば、1.1〜2.0:1.0となるような相対量で反応させる。
【0066】
ジチオールとジビニルエーテルの化合物間の反応は、遊離ラジカル触媒によって触媒され得る。適切な遊離ラジカル触媒には、例えば、アゾ化合物、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などの例えばアゾビスニトリル、過酸化ベンゾイル及びt−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物、及び過酸化水素などの無機過酸化物が含まれる。この触媒は、遊離ラジカル触媒、イオン性触媒、又は紫外線照射とすることができる。ある種の実施形態では、この触媒は、酸性又は塩基性化合物を含まず、分解時に酸性又は塩基性化合物を生じない。遊離ラジカル触媒の例には、アゾタイプの触媒、例えば、Vazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)、及びV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)が含まれる。他の遊離ラジカル触媒の例は、t−ブチルペルオキシドなどのアルキルペルオキシドである。この反応は、陽イオン性の光開始部分を用いるか用いないで、紫外線による照射によって行うこともできる。
【0067】
本開示によって提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、少なくとも1つの式(3)の化合物と少なくとも1つの式(4)の化合物を合わせて、次いで適切な触媒を添加し、30℃〜120℃、例えば、70℃〜90℃の温度で、2〜24時間、例えば、2〜6時間実施することにより調製することができる。
【0068】
本明細書において開示されているとおり、チオール末端ポリチオエーテルは、多官能価ポリチオエーテルを含むことができ、すなわち2.0より大きな平均官能基数を有することができる。適切な多官能価チオール末端ポリチオエーテルには、例えば、式(5)の構造:
B(−A−SH) (5)
を有するものが含まれ、
式中、(i)Aは、例えば式(1)の構造を含み、(ii)Bは、価数がzの多官能基化剤の残基を意味し、(iii)zは、2.0より大きい平均値を有し、ある種の実施形態では、2〜3の間の値、2〜4の間の値、3〜6の間の値を有し、ある種の実施形態では、3〜6の整数である。
【0069】
こうした多官能価チオール官能性ポリマーの調製において使用するのに適した多官能基化剤には、三官能基化剤、すなわちzが3である化合物が含まれる。適切な三官能基化剤には、例えば、それらの引用部分が参照により本明細書に組み込まれている米国公開第2010/0010133号の段落[0102]〜[0105]に記載されている通り、シアヌル酸トリアリル(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール、及びそれらの組合せが含まれる。他の有用な多官能基化剤には、米国特許第4,366,307号、同第4,609,762号、及び同第5,225,472号に記載されている、トリメチロールプロパントリビニルエーテル及びポリチオールが含まれる。多官能基化剤の混合物も使用することができる。
【0070】
その結果、本開示によって提供される実施形態において使用するのに適したチオール末端ポリチオエーテルは、幅広い範囲の平均官能基数を有することができる。例えば、三官能基化剤には、2.05〜3.0、例えば、2.1〜2.6の平均官能基数をもたらすことができる。四官能価又はより多い官能基数の多官能基化剤を使用することによって、より広い範囲の平均官能基数を達成することができる。官能基数は、当業者によって理解される通り、化学量論などの要因によって影響を受けることもある。
【0071】
2.0より多い官能基数を有するチオール末端ポリチオエーテルは、米国公開第2010/0010133号において記載されている二官能価チオール末端ポリチオエーテルと同様の方法で調製することができる。ある種の実施形態では、ポリチオエーテルは、(i)本明細書に記載されている1種又は複数のジチオールと、(ii)本明細書に記載されている1種又は複数のジビニルエーテル、及び(iii)1種又は複数の多官能基化剤とを合わせることにより調製することができる。次に、この混合物を、場合により適切な触媒の存在下で反応させると、2.0より多い官能基数を有するチオール末端ポリチオエーテルを得ることができる。
【0072】
したがって、ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルは、
(a)式(3):
HS−R−SH (3)
{式中、
は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[−(CHR−X−]−(CHR
[式中、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、−NH−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
sは2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
のジチオール、及び
(b)式(4):
CH=CH−O−[−R−O−]−CH=CH (4)
[式中、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である]
のジビニルエーテル
を含む反応体の反応生成物を含む。
また、ある種の実施形態では、この反応体は、(c)多官能価化合物B(−V)などの多官能価化合物を含み、B、−V、及びzは、本明細書で定義されている通りである。
【0073】
本開示によって提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、分子量分布を有するチオール末端ポリチオエーテルを表す。ある種の実施形態では、有用なチオール末端ポリチオエーテルは、500ダルトン〜20,000ダルトン、ある種の実施形態では2,000ダルトン〜5,000ダルトン、及びある種の実施形態では3,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を示し得る。ある種の実施形態では、有用なチオール末端ポリチオエーテルは、1〜20、及びある種の実施形態では1〜5の範囲の多分散性(M/M;重量平均分子量/数平均分子量)を示す。チオール末端ポリチオエーテルの分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって特徴づけることができる。
【0074】
ある種の実施形態では、本開示によって提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、スルホン、エステル、及び/若しくはジスルフィド連結を、本質的に含まないか、あるいは含まない。本明細書で使用する場合、「本質的にスルホン、エステル、及び/又はジスルフィド連結を含まない」とは、チオール末端ポリマー中の連結の2モルパーセント未満が、スルホン、エステル、及び/又はジスルフィド連結であることを意味する。その結果、ある種の実施形態では、得られるチオール末端ポリチオエーテルも、スルホン、エステル、及び/若しくはジスルフィド連結を、本質的に含まないか、あるいは含まない。
【0075】
シリルブロックされている硫黄含有ポリマー
チオール/エポキシ組成物のポットライフをさらに延長するために、トリアルキルシラン基などの水分反応性部分によりチオール基を保護するか、又はブロックすることができる。硫黄含有ポリマー成分の末端がシリル官能基である、水分硬化性シーラント組成物は、米国出願第13/348,718号に開示されている。シリル基は、水分の存在下で除去又は脱ブロック化されて、様々な硬化用化学品と共に使用することができる反応性チオールを露出することで、硬化シーラントを提供することができる。反応性チオール基をブロックするためのトリアルキルシラン基の使用は、チオール−エポキシ反応を使用する組成物のポットライフをさらに延長することができる。
【0076】
したがって、ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、(a)シリルブロックされている硫黄含有ポリマー、(b)硬化剤、及び(c)制御放出性アミン触媒を含む。ある種の実施形態では、シリルブロックされている硫黄含有ポリマーは、シリルブロックされているポリチオエーテルを含み、ある種の実施形態では、トリアルキルシラン基によりブロックされているチオール末端ポリチオエーテルを含む。水分の存在下では、シリルブロックされているチオール末端ポリチオエーテルのトリアルキルシラン基は反応して、対応するチオール末端ポリチオエーテルを放出することになろう。
【0077】
ある種の実施形態では、シリルブロックされている硫黄含有ポリマーは、式(6)のシリルブロックされているポリチオエーテル、式(6a)のシリルブロックされているポリチオエーテル付加物、及びそれらの組合せ:
−S−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−R (6)
{R−S−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (6a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである]から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのアルケニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、末端アルケニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来し
の各々は、独立して式(7)
【化1】

(式中、R、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)
の末端基を含む部分である}
から選択される。
【0078】
式(7)のある種の実施形態では、R、R、及びRの各々は、C1〜6アルキル基、フェニル基、及びC1〜6クロロアルキル基から独立して選択される。式(7)のある種の実施形態では、R、R、及びRの各々は、C1〜6アルキルから、ある種の実施形態ではC1〜3アルキルから独立して選択される。式(7)のある種の実施形態では、R、R、及びRの各々は同じであり、メチルであり、ある種の実施形態ではエチルであり、ある種の実施形態ではプロピルである。式(7)のある種の実施形態では、R、R、及びRの各々は、エチル、メチル、及びプロピルから、ある種の実施形態ではエチル及びメチルから独立して選択される。式(7)のある種の実施形態では、置換基は、ハロゲン、−OH、及び−NHから選択される。
【0079】
様々な方法を使用して、式(6)及び式(6a)のシリルブロックされているポリチオエーテルを調製することができる。ある種の実施形態では、式(6)及び式(6a)のシリルブロックされているポリチオエーテルは、チオール末端ポリチオエーテルとハロシランとを反応させることにより調製することができる。適切なチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの製造方法の例は、本明細書において開示されている。そのようなチオール末端ポリチオエーテルは、二官能価(すなわち、2つの末端基を有する直鎖ポリマー)、又は多官能価(すなわち、分岐ポリマーは、3つ以上の末端基を有する)とすることができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルは例えば、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CA製のPermapol(登録商標)P3.1Eとして市販されている。
【0080】
本開示によって提供されるシリルブロックされているポリチオエーテルは、本明細書において開示されている任意のチオール末端ポリチオエーテルと、一般式(R)(R)RSiX(式中、Xは、Cl、Br、又はIなどのハロゲン原子を表し、R、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)により表されるハロシランとを反応させることにより調製することができる。式(R)(R)RSiXのある種の実施形態では、R、R、及びRの各々は同じであり、メチルであり、ある種の実施形態ではエチルであり、ある種の実施形態ではプロピルである。式(R)(R)RSiXのある種の実施形態では、R、R、及びRの各々は、エチル、メチル、及びプロピルから、ある種の実施形態ではエチル及びメチルから独立して選択される。式(R)(R)RSiXのある種の実施形態では、XはClであり、ある種の実施形態では、Brであり、ある種の実施形態では、XはIである。
【0081】
適切なハロシランの例には、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリエチルブロモシラン、トリイソプロピルブロモシラン、トリブチルブロモシラン、トリメチルヨードシラン、トリエチルヨードシラン、トリプロピルヨードシラン、トリブチルヨードシラン、トリメチルフルオロシラン、トリエチルフルオロシラン、トリプロピルフルオロシラン、トリブチルフルオロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、及び前記のいずれかの組合せが含まれる。
【0082】
ある種の実施形態では、ハロシランは、式(7)を有する少なくとも2つの基を含むシリルブロックされているポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドを与えるのに十分な量のチオール末端ポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドと反応させることができる。ある種の実施形態では、ハロシラン対チオール基のモル比は、1.05〜2.5:1、1.05〜2.0:1、1.5〜3.0:1、2〜3.5:1など少なくとも1:1であり、ある種の実施形態では2.5〜3.5:1である。
【0083】
本開示によって提供されるシリルブロックされているポリチオエーテルは、1種又は複数のチオール末端ポリチオエーテルと1種又は複数のハロシランとを、場合により溶媒、例えば、トルエン及び/又は生成物によるハロゲン酸反応を中和するための作用剤(例えば、式RN(各Rは、同一又は異なっていてもよく、C1〜6アルキルである)によるものを含む第三級アルキルアミン)の存在下で合わせ、25℃〜120℃の温度で、2〜24時間の時間反応を行うことにより調製することができる。ある種の実施形態では、この反応は、70℃〜90℃の温度で、2〜6時間の時間、実施することができる。本明細書における例は、この反応の実施に適した方法の例示である。
【0084】
その結果、本開示によって提供される組成物において使用するに適したシリルブロックされているポリチオエーテルを作製するための適切な方法は、本開示によって提供されるチオール末端ポリチオエーテルを含むチオール末端ポリチオエーテルとハロシランとを反応させるステップを含む。これらの方法では、チオール末端ポリチオエーテルは、式(1)を有する構造:
−R−[−S−(CH−O−[−R−O−]−(CH−S−R−(1)
[式中、(i)Rの各々は、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、−[(−CH−)−X−]−(CH−基、及び−[(−CH−)−X−]−(CH−基(少なくとも1つの−CH−単位は、メチル基により置換されている)から独立して選択され、(ii)Rの各々は、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、及び−[(−CH−)−X−]−(CH−基から独立して選択され、(iii)Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−基から独立して選択され、Rは、水素及びメチル基から選択され、(iv)mは、0〜50の範囲であり、(v)nは、1〜60の範囲の整数であり、(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり、(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり、(viii)rは、2〜10の範囲の整数である]
を含む。
【0085】
ある種の実施形態では、トリアルキルシラン末端ポリチオエーテルは、
(a)式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から独立して選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである]から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのアルケニル末端多官能基化剤B(−V)のコアを表し、
zは、3〜6の整数であり、
−Vの各々は、末端アルケニル基を含む基であり、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する]
から選択されるポリチオエーテル、並びに
(b)式(8):
【化2】

(式中、
Xは、ハロゲンであり、
、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)
のハロシラン
を含む反応体の反応生成物を含む。
【0086】
式(2a)の化合物のある種の実施形態では、zは3であり、多官能基化剤は三官能基化剤である。
【0087】
ある種の実施形態では、チオール末端硫黄含有ポリマーは、チオール末端ポリスルフィドを含んでおり、このスルフィドは、トリアルキルシランと反応して、トリアルキルシラン末端ポリスルフィドを得ることができる。本明細書で使用する場合、ポリスルフィドとは、ポリマー主鎖中、及び/又は該ポリマー鎖上のペンダント位に、1つ又は複数のジスルフィド連結、すなわち−[S−S]−連結を含んでいるポリマーを指す。多くの場合、このポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄連結を有することになろう。適切なポリスルフィドは、Thioplast(登録商標)という名称で、Akzo Nobelから市販されている。Thioplast(登録商標)製品は、例えば、1,100未満から8,000を超える範囲の幅広い範囲の分子量で入手可能であり、この分子量は1モルあたりのグラムでの平均分子量である。一部の場合、ポリスルフィドは、1,000〜4,000の数平均分子量を有する。これらの製品の架橋密度は、使用される架橋剤の量によっても変わる。これらの製品のSH含有量、すなわちチオール又はメルカプタン含有量も変動し得る。ポリスルフィドのメルカプタン含有量及び分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を及ぼすことができ、硬化速度は分子量につれて向上する。
【0088】
本開示によって提供されるある種の実施形態では、ポリスルフィドに加えて、又はその代わりに、組成物は、(a)90モルパーセント〜25モルパーセントの式HS(RSS)R−SHのメルカプタン末端ジスルフィドポリマー、及び(b)10モルパーセント〜75モルパーセントの式HS(RSS)R−SHのジエチルホルマールメルカプタン末端ポリスルフィドポリマーを含み、Rは、−C−O−CH−O−C−であり、Rは2〜12個の炭素原子からなるアルキル、4〜20個の炭素原子からなるアルキルチオエーテル、4〜20個の炭素原子及び1個の酸素原子からなるアルキルエーテル、並びに4〜20個の炭素原子及び2〜4個の酸素原子からなるアルキルエーテルから選択される二価のメンバーであり、これらの各々は、少なくとも2個の炭素原子、6〜12個の炭素原子からなる脂環式、及び芳香族性低級アルキルにより互いに離れており、m及びnは、ジエチルホルマールメルカプタン末端ポリスルフィドポリマー及びメルカプタン末端ジスルフィドポリマーが、1,000ダルトンから4,000ダルトン、例えば、1,000ダルトン〜2,500ダルトンの平均分子量を有するような値である。そのようなポリマー混合物は、その引用部分が参照により組み込まれている、米国特許第4,623,711号のカラム4の18行目〜カラム8の35行目に記載されている。一部の場合、上記の式中のRは、−CH−CH−、−C−O−C−、−C−S−C−、−C−O−C−O−C−、又は−CH−C−CH−である。
【0089】
トリアルキルシラン末端ポリスルフィド及びそれらの調製は、例えば、米国特許第4,902,736号に開示されている。ある種の実施形態では、ポリスルフィドは、Thioplast(登録商標)という名称でAkzo Nobelから、及びThiokol(登録商標)−LP−という名称で、東レから市販されているものなどのチオール末端ポリスルフィドを含む。
【0090】
チオール末端ポリスルフィドの末端チオール基は、例えば、アミン触媒、例えば、トリエチルアミンを含む塩基触媒の存在下で、チオール末端ポリスルフィドとハロシラン、例えば、式(9)のハロシランとの反応により、トリアルキルシラン基に変換することができる。適切なハロゲノシランの例には、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、及びクロロメチルジメチルクロロシランが含まれる。適切なハロゲノシランの例には、トリエチルクロロシラン、トリエチルブロモシラン、トリエチルヨードシラン、ジエチルフェニルクロロシラン、及びクロロエチルジエチルクロロシランがさらに含まれる。チオール基も、チオール末端ポリスルフィドとN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド又はN,N’−ビス(トリメチルシリル)尿素などの適切なアセトアミド又は尿素とを反応させることによりトリアルキルシラン基に変換することができる。別の方法には、イミダゾール又はサッカリンなどの適切な触媒の存在下で、チオール末端ポリスルフィドとヘキサメチルジシラザンなどのシラザンとを反応させるステップが含まれる。
【0091】
ポリエポキシド
本開示によって提供される組成物において有用な硬化剤には、硫黄含有ポリマーのブロックされていないチオール末端基に反応性を示すものが含まれる。
【0092】
ある種の実施形態では、硬化剤は、ポリエポキシドなどのエポキシ硬化剤、例えば、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシドを含む。適切なポリエポキシドの例には、例えば、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、DEN(商標)438などのNovolac(登録商標)タイプのエポキシド(Dowから入手可能)、ある種のエポキシ化不飽和樹脂などのポリエポキシド樹脂、及び上記の任意の組合せが含まれる。ポリエポキシドとは、2つ以上の反応性エポキシ基を有する化合物を指す。ある種の実施形態では、ポリエポキシドはジエポキシドを含み、ある種の実施形態では、ジエポキシドはEPON(登録商標)828、DEN(登録商標)432、及びそれらの組合せから選択される。
【0093】
ある種の実施形態では、ポリエポキシド硬化剤は、エポキシ官能性ポリマーを含む。適切なエポキシ官能性ポリマーの例には、米国特許出願第13/050,988号に開示されているエポキシ官能性ポリホルマールポリマー、及び米国特許第7,671,145号に開示されているエポキシ官能性ポリチオエーテルポリマーが含まれる。一般に、硬化剤として使用する場合、エポキシ官能性ポリマーは、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、及びある種の実施形態では、約500ダルトン未満の分子量を有する。
【0094】
ある種の実施形態では、ポリエポキシドは、参照により組み込まれている、2012年6月21日出願の、米国特許出願第13/529,208号に開示されているものなどの多官能価硫黄含有エポキシドを含む。
【0095】
そのような組成物では、ポリエポキシドは、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%を構成し、ある種の実施形態では、約3重量%〜約5重量%を構成することができ、重量%は、組成物の総固体重量基準である。
【0096】
制御放出性アミン触媒
制御放出性アミン触媒は、放出されるまで、化学的又は物理的に、ほとんど又は全く活性を有していない。ある種の実施形態では、制御放出性アミン触媒は、熱に曝されるか又は周囲温度で拡散により放出され得る。本開示によって提供される組成物において使用するに適した制御放出性アミン触媒には、例えばマトリックス封入剤に取り込まれているアミン触媒が含まれる。
【0097】
マトリックスへの封入は、液体若しくは固体材料の小滴又は粒子が結晶性ポリマーの側鎖中に捕捉されるプロセスである。温度が上昇するにつれて、この結晶性ポリマーはアモルファス(無定形)になり、媒体中に小滴又は粒子を放出する。本開示によって提供されるマトリックス封入剤は、アミン触媒を含む小滴又は粒子を取り込んでいる結晶性マトリックス材料を含む。したがって、反応速度は、結晶性ポリマーからのアミン触媒の熱依存性拡散によって、ある程度、制御される。結晶性ポリマーは、はっきりとした鋭い融点を有することがあり、又は融点範囲を有することがある。マイケル付加の組成物において使用されるアミン触媒を封入するためのワックス状ポリマーの使用は、米国出願公開第2007/0173602号に開示されている。
【0098】
適切なマトリックス封入剤の例には、Intelimer(登録商標)13−1及びIntelimer(登録商標)13−6などのIntelimer(登録商標)ポリマー(Air Products)が含まれる。Intelimer(登録商標)ポリマーの特性は、2008年9月15〜16日のThermoset Resin Formulators Association Meeting(Chicago、IL)において発表された、Lowryらの熱硬化性樹脂の応用に関するIntelimer(登録商標)の潜在的な硬化剤の硬化評価(Cure evaluation of Intelimer(R) latent curing agents for thermoset resin applications)において開示されている。
【0099】
マトリックス封入剤は、10分未満、5分未満、又は2分未満などの、短時間の高温曝露後に、アミン触媒を放出するよう選択することができる。この温度は、マトリックス封入剤のガラス転移温度より高いことがある。この短時間の温度軌跡中に、アミン触媒はマトリックスから放出され、反応性ポリマー成分中に拡散する。次に、この組成物は周囲温度で硬化することができるか、又は加熱することができる。この組成物は数日間以内に、例えば、約3日〜約7日以内に完全に硬化することになろう。
【0100】
アミン触媒は、マトリックス封入剤の溶融温度よりも高い温度でブレンドし、この混合物を急速に冷却して、固体を粉末に粉砕することによりマトリックス封入剤に取り込ませることができる。ある種の実施形態では、平均粒子サイズは、200μm未満、150μm未満、100μm未満、50μm未満であり、ある種の実施形態では25μm未満である。
【0101】
ある種の実施形態では、組成物は、0.1重量%〜25重量%、1重量%〜15重量%、及びある種の実施形態では5重量%〜10重量%の、アミン触媒を含むマトリックス封入剤を含んでいてよい。これは、約0.01重量%〜2重量%、0.05重量%〜1.5重量%、及びある種の実施形態では、0.5重量%〜1重量%のアミン触媒に対応する。
【0102】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物において使用するに適したマトリックス封入剤は、重量%アミン触媒対重量%マトリックスポリマーの比(重量%/重量%)が、1〜15、2〜10、及びある種の実施形態では5〜8を含む。
【0103】
本開示によって提供される組成物において有用なアミン触媒には、1,8−ジアザビシクロ−5,4−0−ウンデセン−7及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)が含まれる。適切なアミン触媒には、テトラメチルグアニジン(TMG)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)及びイミダゾールなどのアミジン触媒、並びに1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)及び1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル(MTBD)などの二環式グアニジンも含まれる。
【0104】
組成物は、1種又は複数の異なるタイプのアミン触媒を含んでもよい。
【0105】
本開示によって提供される制御放出性アミン触媒は、放出されると、少なくとも2つのエポキシ基を含む化合物に反応性を示す、少なくとも2つの末端基を含有しているポリチオエーテルとの間の反応を触媒する。
【0106】
本開示によって提供される制御放出性組成物では、組成物のポットライフは、触媒が熱的に放出されない場合、2日より長くなり得る。アミン触媒が熱によってマトリックス封入剤から放出される場合、硬化時間は、72時間未満、60時間未満、48時間未満、36時間未満、及びある種の実施形態では24時間未満となり得る。ある種の実施形態では、マトリックス封入剤は加熱されず、取り込まれているアミン触媒は、周囲温度において、数日間、例えば、2〜5日間をかけてマトリックス封入剤からゆっくりと拡散する。
【0107】
特性
航空宇宙用シーラント用途の場合、シーラントは、20ミルの硬化厚さにおいて、Mil−S−22473E(シーラントグレードC)の要件を満たし、200%よりも大きな伸び、250psiよりも大きな引張強度、及び優れた耐燃料性を示し、且つ−67°F〜360°Fの広い温度範囲にわたりこれらの特性を維持することが望ましい。一般に、シーラントの視覚的な外観は、重要な属性ではない。硬化前に、混合された成分が、少なくとも96時間のポットライフを有すること、及び2週間未満の硬化時間を有することが望ましいが、ある種の用途の場合、かなり迅速な硬化速度(例えば、24時間未満)を有するのが有用となり得る。ポットライフとは、触媒が放出された後、組成物が周囲温度で施用するのに依然として作業可能である期間を指す。
【0108】
ある種の実施形態では、チオール末端硫黄含有ポリマー、ポリエポキシド硬化剤、及びマトリックス封入アミン触媒を含む組成物は、この組成物を200°Fの温度に5分間曝した後に、約8時間未満の貯蔵寿命、及び周囲温度及び湿度において、約7日間の硬化時間を示す。加熱処理をしない、対応する組成物のポットライフは、2週間を超える。そのような実施形態のある種の場合、チオール末端ポリチオエーテルは、Permapol(登録商標)3.1Eであり、ポリエポキシドは、EPON(登録商標)828、DEN(登録商標)431、又はそれらの組合せである。
【0109】
配合物
本開示によって提供される組成物は、航空宇宙用シーラントにおいて使用するに適している1種又は複数の追加の成分を含んでもよく、使用条件下での硬化シーラントの所望の性能特徴に少なくとも一部依存する。
【0110】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、1種又は複数の接着促進剤(付着促進剤)を含む。1種又は複数の追加の接着促進剤は、本組成物の総乾燥重量に対して、組成物の0.1重量%〜15重量%、5重量%未満、2重量%未満、及びある種の実施形態では、1重量%未満の量で存在することができる。接着促進剤の例には、Methylon(登録商標)フェノール性樹脂などのフェノール樹脂、エポキシ、メルカプト又はアミノ官能性シランなどの有機シラン、例えば、Silquest(登録商標)A−187及びSilquest(登録商標)A−1100が含まれる。他の有用な接着促進剤は、当技術分野で公知である。
【0111】
適切な接着促進剤には、参照により組み込まれている、2012年6月21日出願の米国出願第13/529,183号に開示されているものなどの硫黄含有接着促進剤が含まれる。
【0112】
本開示によって提供される組成物は、1種又は複数の異なるタイプの充填剤を含んでもよい。適切な充填剤には、カーボンブラック及び炭酸カルシウム(CaCO)、シリカ、ポリマー粉末、及び軽量充填剤などの無機充填剤を含めた、当分野で一般に公知のものが含まれる。適切な軽量充填剤には、例えば、米国特許第6,525,168号において記載されているものが含まれる。ある種の実施形態では、組成物には、本組成物の総乾燥重量に対して、5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、及びある種の実施形態では20重量%〜40重量%の充填剤又は充填剤の組合せ物が含まれる。本開示によって提供される組成物はさらに、1種又は複数の着色剤、チキソトロープ剤、促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶媒、マスキング剤、又は上記の任意の組合せをさらに含んでもよい。理解される通り、組成物において使用される充填剤及び添加物は、互いに及びポリマー成分、硬化剤、及び又は触媒と適合性(相溶性)があるよう、選択され得る。
【0113】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物には、低密度充填剤粒子が含まれる。本明細書において、低密度とは、こうした粒子に言及して使用する場合、粒子が、0.7以下、ある種の実施形態では、0.25以下、及びある種の実施形態では0.1以下の比重を有することを意味する。適切な軽量充填剤粒子は、2種のカテゴリー、すなわちマイクロスフィア(microspheres)及びアモルファス粒子に収まることが多い。マイクロスフィアの比重は、0.1〜0.7の範囲であり、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリアクリレート及びポリオレフィンのマイクロスフィア、並びに5〜100ミクロンの範囲の粒子サイズ及び比重0.25を有するシリカマイクロスフィア(Eccospheres(登録商標))を含むことができる。他の例には、5〜300ミクロン及び比重0.7(Fillite(登録商標))の範囲にある粒子サイズを有するアルミナ/シリカマイクロスフィア、比重約0.45〜約0.7を有するアルミニウムシリケートマイクロスフィア(Z−Light(登録商標))、比重0.13を有する炭酸カルシウムによりコーティングされているポリビニリデンコポリマーマイクロスフィア(Dualite(登録商標)6001AE)、及び平均粒子サイズが約40μm及び密度0.135g/ccを有する炭酸カルシウムによりコーティングされているアクリロニトリルコポリマーマイクロスフィア、例えば、Dualite(登録商標)E135(Henkel)が含まれる。組成物の比重を低下させるのに適した充填剤には、例えば、Expancel(登録商標)マイクロスフィア(AkzoNobelから入手可能)又はDualite(登録商標)低密度ポリマーマイクロスフィア(Henkelから入手可能)などの中空マイクロスフィアが含まれる。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物には、その引用部分が参照により組み込まれている、米国公開第2010/0041839号の段落[0016]〜[0052]に記載されているものなどの、薄膜コーティング剤によりコーティングされている外側表面を含む軽量充填剤粒子が含まれる。
【0114】
ある種の実施形態では、低密度充填剤は、組成物の2重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、及びある種の実施形態では、組成物の0.5重量%未満を構成し、重量%は組成物の総乾燥固体重量基準である。
【0115】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、組成物の比重を低下するのに有効な少なくとも1種の充填剤を含む。ある種の実施形態では、組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85であり、ある種の実施形態では0.8である。ある種の実施形態では、組成物の比重は、約0.9未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、及びある種の実施形態では約0.55未満である。
【0116】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、導電性充填剤を含む。導電性及びEMI/RFI遮蔽効果は、ポリマー内部の導電性材料を組み込むことにより組成物に付与することができる。導電要素は、例えば、金属製又は金属めっき粒子、織物、網(メッシュ)、繊維、及びそれらの組合せを含むことができる。金属は、例えば、フィラメント、粒子、薄片、又は球の形態とすることができる。金属の例には、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、及び鋼が含まれる。ポリマー組成物にEMI/RFI遮蔽効果を付与するために使用することができる他の導電材料には、炭素又はグラファイトを含む導電性粒子又は繊維が含まれる。ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、及びポリアセチレンなどの導電性ポリマーも使用することができる。
【0117】
非導電性充填剤の例には、以下に限定されないが、炭酸カルシウム、雲母、ポリアミド、ヒュームドシリカ、モレキュラーシーブ粉末、マイクロスフィア、二酸化チタン、チョーク、アルカリブラック(alkaline black)、セルロース、硫化亜鉛、重晶石、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの材料が含まれる。充填剤には、硫化亜鉛、及び無機バリウム化合物などの高バンドギャップ材料も含まれる。ある種の実施形態では、導電性基材組成物は、該基材組成物の総重量に対して、2重量%〜10重量%の範囲の量の非導電性充填剤を含むことができ、ある種の実施形態では、3重量%〜7重量%の範囲とすることができる。ある種の実施形態では、硬化剤組成物は、該硬化剤組成物の総重量に対して、6重量%未満の範囲、ある種の実施形態では、0.5重量%〜4重量%の範囲の量の非導電性充填剤を含むことができる。
【0118】
導電性及びEMI/RFI遮蔽効果をポリマー組成物に付与するために使用される充填剤は、当分野で周知である。導電性充填剤の例には、導電性貴金属をベースとする充填剤、例えば、純銀、貴金属めっきされている貴金属、例えば、銀めっきされている金、貴金属めっきされている非貴金属、例えば、銀めっきされている銅、ニッケル、又はアルミニウム、例えば、銀めっきされているアルミニウムコア粒子又は白金めっきされている銅粒子、貴金属めっきされているガラス、プラスチック又はセラミック、例えば、銀めっきされているガラス製マイクロスフィア、貴金属めっきされているアルミニウム又は貴金属めっきされているプラスチックのマイクロスフィア、貴金属めっきされている雲母、及び他のそうした貴金属導電性充填剤が含まれる。非貴金属をベースとする材料も使用することができ、これには、例えば、非貴金属めっきされている非貴金属、例えば、銅でコーティングされている鉄粒子又はニッケルめっきされている銅、非貴金属、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、非貴金属めっきされている非金属、例えば、ニッケルめっきされているグラファイト、並びに非金属材料、例えば、カーボンブラック及びグラファイトが含まれる。導電性充填剤の組合せ物も、所望の導電性、EMI/RFI遮蔽効果、硬度、及び特定の用途に適した他の特性を満足するために使用することができる。
【0119】
本開示の組成物において使用される導電性充填剤の形状及びサイズは、硬化組成物にEMI/RFI遮蔽効果を付与するために、任意の適切な形状及びサイズとすることができる。例えば、充填剤は、球状、薄片、小板状、粒子状、粉末状、不規則状、繊維状を含む、導電性充填剤の製造において一般に使用される任意の形状とすることができる。本開示のある種のシーラント組成物では、基材組成物は、粒子、粉末又は薄片として、Niコーティングされているグラファイトを含むことができる。ある種の実施形態では、基材組成物中のNiコーティングされているグラファイトの量は、基材組成物の総重量に対して、40重量%〜80重量%の範囲とすることができ、ある種の実施形態では、50重量%〜70重量%の範囲とすることができる。ある種の実施形態では、導電性充填剤は、Ni繊維を含むことができる。Ni繊維は、10μm〜50μmの範囲の直径を有し、且つ250μm〜750μmの範囲の長さを有することができる。基材組成物は、例えば、該基材組成物の総重量に対して、2重量%〜10重量%、及びある種の実施形態では、4重量%〜8重量%の範囲の量のNi繊維を含むことができる。
【0120】
炭素繊維、特にグラファイト化炭素繊維も、本開示の組成物に導電性を付与するために使用することができる。気相熱分解法により形成され、且つ熱処理によりグラファイト化された炭素繊維(0.1ミクロン〜数ミクロンの範囲の繊維直径を有する中空又は中実である)は、高い導電性を有する。米国特許第6,184,280号に開示されている通り、0.1μm〜数十ナノメートルの外径を有する炭素ミクロ繊維、ナノチューブ、又は炭素フィブリルを、導電性充填剤として使用することができる。本開示の導電性組成物に適したグラファイト化炭素繊維の例には、Panex(登録商標)30MF(Zoltek Companies,Inc.、St.Louis、MO)(0.00055Ω−cmの電気抵抗率を有する、直径0.921μmの円形繊維)が含まれる。
【0121】
導電性充填剤の平均粒子サイズは、ポリマーをベースとする組成物に導電性を付与するのに有用な範囲内とすることができる。例えば、ある種の実施形態では、1種又は複数の充填剤の粒子サイズは、0.25μm〜250μmの範囲とすることができ、ある種の実施形態では、0.25μm〜75μmの範囲とすることができ、ある種の実施形態では、0.25μm〜60μmの範囲とすることができる。ある種の実施形態では、本開示の組成物は、Ketjenblack(登録商標)EC−600JD(Akzo Nobel,Inc.、Chicago、IL)(1000〜11500mg/gのヨウ素吸収(J0/84−5試験法)、及び480〜510cm/100グラムの細孔容積(DBP吸収、KTM81−3504)を特徴とする、導電性カーボンブラック)を含むことができる。ある種の実施形態では、導電性カーボンブラック充填剤は、Black Pearls 2000(Cabot Corporation、Boston、MA)である。
【0122】
ある種の実施形態では、導電性ポリマーが使用されて、本開示の組成物の導電性を付与又は改変することができる。ポリフェニレンスルフィド及びポリチオフェンにおけるように、芳香族基に取り込まれた硫黄原子又は二重結合に隣接する硫黄原子を有するポリマーは、導電性であることが知られている。他の導電性ポリマーには、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、及びポリアセチレンが含まれる。ある種の実施形態では、基材組成物を形成する硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィド及び/又はポリチオエーテルとすることができる。こうして、この硫黄含有ポリマーは、芳香族性硫黄基及び共役二重結合に隣接する硫黄原子、例えば、ビニルシクロヘキセン−ジメルカプトジオキサオクタン基を含むことができ、本開示の組成物の導電度を増強することができる。
【0123】
本開示の組成物は、2種以上の導電性充填剤を含むことができ、この2種以上の導電性の充填剤は、同一材料若しくは異なる材料とすることができ、且つ/又は同一形状若しくは異なる形状とすることができる。例えば、シーラント組成物は、粉末、粒子又は薄片の形態にある、導電性Ni繊維、及びNiコーティングされている導電性グラファイトを含むことができる。導電性充填剤の量及びタイプは、硬化した場合に、0.50Ω/cm未満のシート抵抗(4点抵抗)、及びある種の実施形態では、0.15Ω/cm未満のシート抵抗を示すシーラント組成物を生成するよう選択することができる。充填剤の量及びタイプは、本開示のシーラント組成物を用いてシールされた隙間に対して、1MHz〜18GHzの周波数範囲にわたり有効なEMI/RFI遮蔽を実現するよう選択することもできる。
【0124】
異種金属表面及び本開示の導電性組成物のガルバニック腐食は、この組成物に腐食抑制剤を添加することにより、及び/又は適切な導電性充填剤を選択することにより、最小限に抑えるか、又は防止することができる。ある種の実施形態では、腐食抑制剤には、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、及びこれらの組合せが含まれる。米国特許第5,284,888号及び米国特許第5,270,364号は、アルミニウム表面及び鋼表面の腐食を阻止するための芳香族性トリアゾールの使用を開示している。ある種の実施形態では、Znなどの犠牲酸素捕捉剤(sacrificial oxygen scavenger)を、腐食抑制剤として使用することができる。ある種の実施形態では、腐食抑制剤は、導電性組成物の総重量の10重量%未満を構成することができる。ある種の実施形態では、腐食抑制剤は、導電性組成物の総重量の2重量%〜8重量%の範囲の量を構成することができる。異種金属表面間の腐食もまた、本組成物を構成する導電性充填剤のタイプ、量、及び特性を選択することによって、最小限に抑えるか又は防止することができる。
【0125】
ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、組成物の約50重量%〜約90重量%、約60重量%〜約90重量%、約70重量%〜約90重量%、及びある種の実施形態では、組成物の約80重量%〜約90重量%を構成し、重量%は、本組成物の総乾燥固体重量基準である。
【0126】
組成物はまた、所望の通り、任意の数の添加物を含んでもよい。適切な添加物の例には、可塑剤、顔料、界面活性剤、接着促進剤、チキソトロープ剤、難燃剤、マスキング剤、及び促進剤、例えば、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO(登録商標)を含むアミン及び上記の任意の組合せが含まれる。添加物を使用する場合、これは、例えば約0重量%〜60重量%の範囲の量で、組成物中に存在することができる。ある種の実施形態では、添加物は、約25重量%〜60重量%の範囲の量で、組成物中に存在することができる。
【0127】
用途
本開示によって提供される組成物は、例えば、シーラント、コーティング剤、封入剤、及ポッティング(potting:埋込み用)組成物において使用することができる。シーラントには、水分及び温度などの操作条件に耐性を示す能力、及び水、燃料、並びに他の液体及び気体などの材料の伝播を少なくとも部分的にブロックする能力を有するフィルムを生成することができる組成物が含まれる。コーティング用組成物には、例えば、外観、接着性、湿潤性、耐腐食性、耐摩耗性、耐燃料性、及び/又は摩擦抵抗性などの基材の特性を改善するために、該基材の表面に施用される被覆剤が含まれる。埋込み用組成物には、衝撃及び振動に対する抵抗性をもたらすため、並びに水分及び腐食性物質を排除するため、電子組立体に有用な材料が含まれる。ある種の実施形態では、本開示によって提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙シーラントとして、及び燃料用タンクのライニングとして有用である。
【0128】
ある種の実施形態では、シーラントなどの組成物は、二液型組成物(two−pack composition)などのマルチパック組成物として提供されてもよく、この場合、1つのパッケージは、本開示により提供される1種又は複数の硫黄含有ポリマーを含んでおり、第2のパッケージは1種又は複数のポリエポキシドを含む。添加物及び/又は他の材料も、所望の場合又は必要な場合、いずれかのパッケージに加えることができる。2つのパッケージは使用前に一緒にして、混合することができる。ある種の実施形態では、1種又は複数の硫黄含有ポリマーとポリエポキシドとが混合されたもののポットライフは、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間であり、ある種の実施形態では、48時間を超え、ここでは、ポットライフとは、混合組成物が、混合後に依然としてシーラントとして使用するのに適した状態にある期間を指す。
【0129】
ある種の実施形態では、保管及び輸送のために、シリルブロックされている硫黄含有ポリマー及びポリエポキシド硬化剤を含む組成物の諸成分は、容器内に一緒にされて、水分からシールされて熱から保護される。容器中の水分から遮断されている間、この組成物は安定であり、長期間、実質的に硬化しないままで存在する。
【0130】
ある種の実施形態では、約25℃以上の温度での有用な作業時間の後、組成物は硬化して、約24時間〜約72時間以内にタックフリー硬化(tack−free cure)する。本開示により提供される水分硬化性組成物を使用して実用的なシールを形成する時間は、当業者により理解され得る、且つ適用可能な標準及び規格の要件により規定される、いくつかの要因に依存し得る。一般に、本開示によって提供される硬化性組成物は、表面への施用後、約3日〜約7日以内に接着強さを発現する。一般に、完全な接着強さ、及び本開示によって提供される硬化組成物の他の特性は、硬化性組成物を混合して表面に施用した後、7日以内に完全に発現するようになる。
【0131】
本開示によって提供されるシーラントを含む組成物は、様々な基材のいずれにも施用することができる。組成物が施用され得る基材の例には、チタン、ステンレス鋼、及びアルミニウムなどの金属(それらのいずれも、陽極処理、下塗り、有機物コーティング、又はクロム酸コーティングがされていてもよい)、エポキシ、ウレタン、グラファイト、繊維ガラスコンポジット、Kevlar(登録商標)、アクリル樹脂、及びポリカーボネートが含まれる。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、ポリウレタンコーティングなど、基板上のコーティングに施用されていてもよい。
【0132】
本開示によって提供される組成物は、当業者に公知の任意の適切なコーティング処理によって、基板表面又は下塗り層の上に直接施用することができる。
【0133】
さらに、本開示によって提供される組成物を利用する、隙間をシールするための方法が提供される。これらの方法は、例えば、隙間をシールするために、本開示によって提供される組成物を表面に施用するステップ、及びこの組成物を硬化させるステップを含む。ある種の実施形態では、隙間をシール(密封)する方法は、(a)隙間を画定する1つ又は複数の表面に、本開示により提供されるシーラント組成物を施用するステップと、(b)隙間を画定する複数の表面を組み立てるステップと、(c)シールされた隙間を提供するためにシーラントを硬化させるステップとを含む。
【0134】
ある種の実施形態では、組成物は周囲条件下で硬化することができ、周囲条件とは、20℃〜25℃の温度及び大気の湿度を指す。ある種の実施形態では、組成物は、0℃〜100℃の温度及び相対湿度0%〜相対湿度100%の湿度を含む条件下で硬化することができる。ある種の実施形態では、組成物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、ある種の実施形態では、少なくとも50℃などのより高い温度で硬化することができる。ある種の実施形態では、組成物は室温、例えば25℃で硬化することができる。ある種の実施形態では、組成物は紫外線照射などの化学線に曝すと硬化することができる。理解される通り、本方法は、航空機及び宇宙航空機を含む、宇宙航空機の隙間をシールするために使用することができる。
【0135】
本開示の硬化性組成物を使用して実用的なシールを形成する時間は、当業者により理解されており、且つ適用可能な標準及び規格の要件により画定される、いくつかの要因に依存し得る。一般に、本開示の硬化可能な組成物は、混合及び表面への施用後、約3日〜約7日以内に接着強さを発現する。一般に、完全な接着強さ、及び本開示の硬化組成物の他の特性は、硬化可能な組成物を混合して表面に施用した後、7日以内に完全に発現するようになる。
【0136】
硬化シーラントなどの本明細書において開示されている硬化組成物は、航空宇宙用途において使用するのに許容可能な特性を示す。一般に、航空及び航空宇宙用途において使用されるシーラントは、以下の特性、すなわち、米国航空宇宙材料仕様書(AMS)3265B試験仕様書に従い、7日間JRFに浸漬し、且つ3%NaCl溶液に浸漬した後に、乾燥条件下で決定されるAMS 3265B基材上にリニアインチあたり20ポンド(pli)を超える剥離強度、1平方インチあたり300ポンド(psi)〜400psiの間の引張強度、リニアインチあたり50ポンド(pli)を超える引裂強さ、250%〜300%の間の伸び、及び40を超えるデュロメーターAの硬度を示すことが望ましい。航空及び航空宇宙用途に適した、これら及び他の硬化シーラントの特性は、その全体が参照により組み込まれている、AMS 3265Bにおいて開示されている。航空及び航空機用途において使用される本開示の組成物は、硬化すると、JRF1型中、60℃(140°F)及び周囲圧で1週間の浸漬の後、25%以下のパーセント体積膨潤のみを示すことも望ましい。他の特性、範囲、及び/又は閾値は、他のシーラント用途に適切なものであってよい。
【0137】
したがって、ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、耐燃料性である。本明細書で使用する場合、用語「耐燃料性」(“fuel resistant”)とは、組成物が基材に施用されて硬化した場合、ASTM D792(米国試験材料協会)又はAMS3269(米国航空宇宙材料仕様書)に記載されているものと類似の方法に従い、ジェット基準流体(JRF)1型中、140°F(60℃)及び周囲圧における1週間の浸漬の後、40%以下、一部の場合25%以下、一部の場合20%以下、さらに別の場合10%以下のパーセント体積膨潤を示す、シーラントなどの硬化生成物を提供することができることを意味する。耐燃料性の決定のために使用されるジェット基準流体JRF1型は、以下の組成を有する。トルエン28±1体積%、シクロヘキサン(工業用)34±1体積%、イソオクタン38±1体積%、及び第三級ジブチルジスルフィド1±0.005体積%(SAE(自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers))から入手可能な1989年7月1日発行のAMS2629、§3.1.1などを参照されたい)。
【0138】
ある種の実施形態では、本明細書において提供される組成物は、シーラントなどの硬化生成物を提供し、AMS3279 §3.3.17.1の試験手順AS5127/1 §7.7において記載されている手順に従って測定した場合、少なくとも100%の引張伸び、及び少なくとも400psiの引張強度を示す。
【0139】
ある種の実施形態では、組成物はシーラントなどの硬化生成物をもたらし、この生成物は、SAE AS5127/1の段落7.8において記載されている手順に従って測定すると、少なくとも220psi、少なくとも250psi、及び一部の場合、少なくとも400psiなどの200psiより大きなラップせん断強度(lap shear strength)を示す。
【0140】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物を含む硬化シーラントは、AMS3277において記載されている航空宇宙用シーラントに対する要件を満足するか、又はそれをしのぐ。
【0141】
本開示によって提供される組成物によりシールされる、宇宙航空機の隙間(apertures)を含む、隙間も開示される。
【0142】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される導電性シーラント組成物は、500°Fで24時間曝露された後に、室温で測定すると以下の特性、すなわち、表面抵抗率が1オーム/スクエア未満、引張強度が200psi超、伸びが100%超、及び凝集破壊がMIL−C−27725によって測定すると100%を示す。
【0143】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される硬化シーラントは、室温で2日間、140°Fで1日間、及び200°Fで1日間硬化させた場合、以下の特性、すなわち乾燥硬度49、引張強度428psi、及び伸び266%を示し、またJRF中で7日間後には、硬度36、引張強度312psi、及び伸び247%を示す。
【0144】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、ショアA硬さ(7日間の硬化)が、10超、20超、30超、及びある種の実施形態では、40超を示し、引張強度は10psi超、100psi超、200psi超、及びある種の実施形態では、500psi超を示し、伸びは100%超、200%超、500%超、及びある種の実施形態では1000%超を示し、膨潤は、JRF(7日間)に曝露後、20%未満を示す。
【実施例】
【0145】
諸例
本開示によって提供される実施形態は、以下の例を参照することによりさらに例示され、これらの例は、ある種の硫黄含有ポリマー、ポリエポキシド、及び制御放出性アミン触媒の合成、特性、及び使用、並びに硫黄含有ポリマー、ポリエポキシド、及び制御放出性アミン触媒を含む組成物を説明する。材料と方法の両方に対する多くの修正が、本開示の範囲から逸脱することなく実施することができることが当業者には明らかであろう。
【0146】
(例1)
制御放出性触媒の調製
Intelimer(登録商標)13−6(Air Products and Chemicals、Allentown、PA)9.37グラム、及び1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)0.63グラムを80℃で30分間ブレンドした。この混合物を急速に室温まで冷却し、次に、20ミクロン〜50ミクロンの平均粒子サイズを有する粉末に粉砕した。
【0147】
(例2)
制御放出性触媒の調製
Intelimer(登録商標)13−6(Air Products and Chemicals、Allentown、PA)9.00グラム、及び1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)1.00グラムを80℃で30分間ブレンドした。この混合物を室温まで急速に冷却し、次に、粉末に粉砕した。
【0148】
(例3)
制御放出性触媒の調製
Intelimer(登録商標)13−6(Air Products and Chemicals、Allentown、PA)9.00グラム、及びDABCO 33−LV(Air Products and Chemicals、Allentown、PA)1.00グラムを80℃で30分間ブレンドした。この混合物を室温まで急速に冷却し、次に、粉末に粉砕した。
【0149】
(例4)
チオール末端ポリチオエーテルポリマーの合成
2Lのフラスコ中で、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)524.8g(3.32mol)及びジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)706.7g(3.87mol)をシアヌル酸トリアリル(TAC)19.7g(0.08mol)と一緒に混合し、77℃に加熱した。この加熱反応混合物に、アゾビスニトリル遊離ラジカル触媒(VAZO(登録商標)67、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、DuPontから市販)4.6g(0.024mol)を加えた。反応が進行して2時間後には実質的に完結し、T−68℃及び65ポアズの粘度を有する、液状ポリチオエーテル樹脂が1,250g(0.39mol、収率100%)得られた。この樹脂はかすかに黄色であり、異臭は低かった。
【0150】
ポリチオエーテル及び他の適切なポリチオエーテルの合成は、米国特許第6,172,179号において開示されている。
【0151】
(例5)
シリルブロックされているポリチオエーテルポリマーの合成
Permapol(登録商標)P3.1E(1,402g、チオール末端ポリチオエーテルポリマー、PRC−Desoto International,Inc.、Sylmar、CAから入手可能)、トルエン511.85mL、及びトリエチルアミン152.35gを、熱電対及び滴下漏斗を取り付けた2リットルの3つ口丸底フラスコに加えた。反応混合物をおよそ30分間、又は目視でわかるほど乳化するまで、撹拌した。トリエチルクロロシラン166.86gを滴下漏斗に加え、上記の反応混合物に室温で30分間かけてゆっくりと滴下して加え、反応温度が決して30℃を超えないよう確認した。トリエチルクロロシランを完全に添加した後、この反応物を2〜16時間撹拌した。この後、この反応混合物をトルエンにより希釈して、粗いフリット付き漏斗でろ過し、防水容器中に保管すると、シリルブロックされているポリチオエーテルポリマーが得られた。
【0152】
(例6)
シーラント配合物
シーラントは、表1に示されている基材組成物50グラム、表2に示されている促進剤9グラム、及び例1の制御放出性アミン触媒2.95グラムを混合することにより調製した。
【0153】
シーラントの一部分を5分間、180°Fに加熱し、次に、周囲条件でさらに硬化させた。シーラントの第2の部分は、加熱なしに周囲条件で硬化させた。シーラントの硬化プロファイルは、図1において示されており、硬化状態は、表3に従って分類される。
【0154】
基材組成物を表1に示す。
【表1】
【0155】
フェノール性/ポリスルフィド接着促進剤(付着促進剤)は、Varcum(登録商標)29202フェノール樹脂約31%、Thiokol(登録商標)LP−3ポリスルフィド66%、及び米国特許第4,623,711号の実施例4に従って(ジチオール1モル対ポリスルフィド1モルの比で)調製したポリマー3%を、約150°Fの温度で、45分間反応させることにより調製し、次に、45〜60分間かけて230°Fまで加熱し、次に230°Fで165分間加熱した。
【0156】
促進剤組成物を表2に示す。
【表2】

【表3】
【0157】
(例7)
シリルブロックされているポリチオエーテル及びマトリックス封入アミン
例7Aのシーラントは、表4に示されている基材組成物50グラム、表5に示されている促進剤9グラム、及び例2の制御放出性アミン触媒0.708グラムを混合することにより調製した。
【0158】
例7Bのシーラントは、表4に示されている基材組成物50グラム、表5に示されている促進剤9グラム、例3の制御放出性アミン触媒0.708グラムを混合することにより調製した。
【0159】
両方のシーラントの一部分を2週間、周囲条件に維持した。ポットライフ及び硬化時間を記録した。結果を表6に示す。どちらのシーラントも、およそ5日間という非常に長いポットライフを有したこと、及びどちらのシーラントも2週間で硬化したことは明らかである。
【0160】
2組のラップせん断面用試料をSAE AS5127に従って調製した。試料の1番目の組は、新しく作製したシーラントを使用して調製した一方、2番目の組の試料は、新しく作製した後、5日間周囲条件に維持したシーラント(「5日間の開放シーラント」と呼ぶ)を使用して作製した。ラップせん断強度は、両方の組の試料について試験し、凝集破壊の割合は、表7に記録した。5日後のシーラントの性能は、新たに作製したシーラントの性能と同等であることが、表7に示されている結果から明らかである。
【表4】
【0161】
フェノール性/ポリスルフィド接着促進剤は、Varcum(登録商標)29202フェノール樹脂約31%、Thiokol(登録商標)LP−3ポリスルフィド66%、及び米国特許第4,623,711号の実施例4に従って(ジチオール1モル対ポリスルフィド1モルの比で)調製したポリマー3%を、約150°Fの温度で、45分間反応させることにより調製し、次に、45〜60分間かけて230°Fまで加熱し、次に230°Fで165分間加熱した。
【0162】
促進剤組成物を表5に示す。
【表5】

【表6】

【表7】
【0163】
周囲水分に曝された場合、および周囲水分から遮断した場合の、経時的なシーラントの粘度を図2及び表3に示されている。
【0164】
比較例1
シーラントは、表6の基材組成物50グラム、表6の促進剤9グラム、及び1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7 0.21グラムを混合することにより調製した。
【0165】
このシーラントを周囲条件で硬化させた。このシーラントは4時間で完全に硬化した。
【0166】
最後に、本明細書において開示されている実施形態を実施する代替的方法が存在することに留意すべきである。したがって、本実施形態は、例示として見なされるべきであり、限定として見なされるべきではない。さらに、特許請求の範囲は、本明細書において示されている詳細説明に限定されるものではなく、それらの全範囲及び等価物に権利が与えられている。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおりである。
[態様1]
(a)チオール末端硫黄含有ポリマー、ブロックされているチオール末端硫黄含有ポリマー、及びそれらの組合せから選択される硫黄含有ポリマー、
(b)ポリエポキシド硬化剤、及び
(c)制御放出性アミン触媒
を含む組成物。
[態様2]
硫黄含有ポリマーがポリチオエーテルを含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様3]
硫黄含有ポリマーがチオール末端ポリチオエーテルを含む、上記態様2に記載の組成物。
[態様4]
チオール末端硫黄含有ポリマーが、二官能価チオール末端ポリチオエーテル、三官能価チオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せから選択されるチオール末端ポリチオエーテルを含む、上記態様3に記載の組成物。
[態様5]
チオール末端ポリチオエーテルが、2.05〜3の平均官能基数を特徴とする、上記態様3に記載の組成物。
[態様6]
チオール末端ポリチオエーテルが、式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである]から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのビニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、Vの各々は、末端ビニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する}
から選択される、上記態様3に記載の組成物。
[態様7]
チオール末端ポリチオエーテルが、
(a)式(3)
HS−R−SH (3)
{式中、
は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[−(CHR−X−]−(CHR
[式中、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、−NH−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
sは2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
のジチオール、及び
(b)式(4)
CH=CH−O−[−R−O−]−CH=CH (4)
[式中、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)(式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である]
のジビニルエーテル
を含む反応体の反応生成物を含む、上記態様3に記載の組成物。
[態様8]
反応体が、(c)多官能価化合物B(−V)(Bは、この多官能価化合物B(−V)のコアであり、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、チオール基に反応性を示す末端基を含む部分である)を含む、上記態様7に記載の組成物。
[態様9]
硫黄含有ポリマーが、シリルブロックされているポリチオエーテルを含むブロックされているチオール末端硫黄含有ポリマーを含む、上記態様2に記載の組成物。
[態様10]
シリルブロックされているポリチオエーテルが、シリルブロックされている二官能価ポリチオエーテル、シリルブロックされている三官能価ポリチオエーテル、及びそれらの組合せから選択される、上記態様9に記載の組成物。
[態様11]
シリルブロックされているポリチオエーテルが、2.05〜3の平均官能基数を特徴とする、上記態様10に記載の組成物。
[態様12]
シリルブロックされているポリチオエーテルが、式(6)のシリルブロックされているポリチオエーテル、式(6a)のシリルブロックされているポリチオエーテル、及びそれらの組合せ:
−S−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−R (6)
{R−S−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (6a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(式中、s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのアルケニル末端多官能基化剤B(−V)(式中、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、末端アルケニル基を含む基である)のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来し、
の各々は、独立して式(7)
[化1]

(式中、R、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)
の末端基を含む部分である}
から選択される、上記態様9に記載の組成物。
[態様13]
シリルブロックされているポリチオエーテルが、
(a)式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から独立して選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(式中、s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのアルケニル末端多官能基化剤B(−V)(式中、zは、3〜6の整数であり、−Vの各々は、末端アルケニル基を含む基である)のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する}
から選択されるポリチオエーテル、並びに
(b)式(8)
[化2]

(式中、
Xは、ハロゲンであり、
、R、及びRは、C1〜6n−アルキル基、C3〜6分岐アルキル基、置換C1〜6n−アルキル基、及びフェニル基からそれぞれ独立して選択される)
のハロシラン
を含む反応体の反応生成物を含む、上記態様9に記載の組成物。
[態様14]
zが3であり、多官能基化剤が三官能基化剤である、上記態様13に記載の組成物。
[態様15]
ポリエポキシドが、二官能価エポキシ、三官能価エポキシ、及びそれらの組合せを含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様16]
制御放出性アミン触媒が、アミン触媒を含むマトリックス封入剤を含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様17]
マトリックス封入剤が、加熱又は超音波処理時に、アミン触媒を放出することができる、上記態様16に記載の組成物
[態様18]
マトリックス封入剤が、周囲温度でアミン触媒を放出することができる、上記態様16に記載の組成物。
[態様19]
アミン触媒が、DBU、DABCO、及びそれらの組合せから選択される、上記態様16に記載の組成物。
[態様20]
隙間をシールする方法であって、
(a)隙間を画定する少なくとも1つの表面に、上記態様1の組成物を施用するステップと、
(b)その隙間を画定する前記少なくとも1つの表面とその隙間を画定する別の表面とを組み合わせるステップと、
(c)その隙間をシールするために請求項1の組成物を硬化させるステップと
を含む、上記方法。
図1
図2