(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物品の長手方向に延びる長手方向軸(80)を有する吸収性物品(20)であって、前記物品は、前記長手方向軸に沿ってその前端部(10)と後端部(12)との間で測定される長さLを有し、前記吸収性物品は、
液体透過性トップシートと(24)、
液体不透過性バックシート(25)と、
吸収性材料(60)を包み込むコアラップ(16、16’)を含む吸収性コア(28)であって、前記吸収性材料は、前記吸収性材料の少なくとも重量で80%の超吸収性ポリマー(SAP)を含む、吸収性コア(28)と、
前記吸収性コア(28)と前記トップシート(24)との間に少なくとも部分的に配設され、1つ、又は2つ以上の層を含む捕捉−分配システム(50)と、を備え、前記捕捉−分配システムは前記吸収性物品の前記長手方向に、少なくとも、前縁部から距離Dに配置される地点A1から、前記物品の後縁部から距離Dに配置される地点A2まで延在し、Dは前記物品の前記長さLの32%に等しく、前記捕捉−分配システムは、前記地点A2において、前記地点A1におけるよりも少なくとも20%低い坪量を有し、
前記捕捉−分配システムはSAPを含まず、
前記捕捉−分配システムが捕捉層(52)及び分配層(54)を含み、前記捕捉層は前記分配層よりも前記トップシートの近くに配置され、
前記分配層が、前記地点A2における前記分配層の前記坪量が前記地点A1におけるよりも少なくとも20%低くなるように、前記吸収性コアの前記長手方向軸に沿って賦形される、吸収性物品。
前記地点A2における前記吸収性物品の前記キャリパーが、本文書に記載されているキャリパー試験を用いて測定されたときに、前記地点A1における前記吸収性物品の前記キャリパーよりも少なくとも20%低い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記コアラップ内の前記吸収性材料の領域の外縁部が吸収性材料堆積領域(8)を画定し、前記捕捉−分配システムが前記吸収性材料堆積領域の縁部のうちのいずれをも越えて延在することがない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアが、第1の吸収層及び第2の吸収層であって、前記第1の吸収層は第1の基材(16)、及び超吸収性ポリマーの第1の層(61)を含み、前記第2の吸収層は第2の基材(16’)、及び超吸収性ポリマーの第2の層(62)を含む、第1の吸収層及び第2の吸収層と、超吸収性ポリマーの前記層をそれらのそれぞれの基材に少なくとも部分的に接合する繊維性熱可塑性接着材料(51)であって、前記第1の基材及び前記第2の基材が前記コアラップを形成する、繊維性熱可塑性接着材料(51)と、を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性材料が、前記吸収性材料の全重量で少なくとも90重量パーセントの超吸収性ポリマーを含み、並びに/又は前記吸収性コアの前記吸収性材料が、10%重量パーセント未満、若しくは5%重量パーセント未満の天然繊維若しくは合成繊維を含むか、若しくはそれらを実質的に含まない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアが、超吸収性ポリマーを実質的に含まない少なくとも1本のチャネルを含み、これらのチャネルの少なくとも1つは前記長手方向に少なくとも部分的に配向され、前記吸収性物品の前記長さLの少なくとも10%の長手方向軸上に投影された長さを有し、少なくとも2mmの幅Wを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記捕捉−分配システムが、繊維状の捕捉層、及び不織布である分配層を含み、前記分配層は前記捕捉層上に繊維状に堆積され、前記分配層は、前記地点A1において、前記地点A2に対してより高い坪量で堆積される、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
用語の定義
本明細書で使用する場合、用語「吸収性物品」は、乳幼児用又は成人用おむつ、トレーニングパンツ、婦人用衛生物品及び同様のものなどの、着用者の身体に接触して又は近接して設置されて、身体から排出される様々な排泄物を吸収及び収容する使い捨てデバイスを指す。典型的には、これらの物品は、トップシートと、バックシートと、吸収性コアと、(1つ又は複数の層で構成されてもよい)捕捉−分配システムと、場合により、その他の構成要素と、を含み、吸収性コアは通常、バックシートと捕捉システム又はトップシートとの間に設けられる。典型的には、吸収性コアは、最も高い吸収容量を有する、物品の構成要素である。本発明の吸収性物品を、以下の説明及び図に、テープで留められるおむつ20の形態で更に示す。ただし、別断の指示が明示的にない限り、この説明のうちのいずれも請求項の範囲を限定すると考えてはならない。
【0018】
本明細書で使用する場合、「不織布ウェブ」とは、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合させた、指向性に又はランダムに配向された繊維から作られたシート、ウェブ、又は打延べ綿シートを指し、紙及び更なるニードル加工の有無を問わず、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフテッド製品、ステッチ結合製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まない。繊維は天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、ステープル又は連続フィラメントであっても、若しくはその場で形成されてもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mm超の範囲の直径を有し、ステープルファイバー(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの撚っていない束(麻くず))、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)などのいくつかの異なる形態によって提供される。不織布ウェブは、メルトブロー、スパンボンド、溶媒紡糸、電界紡糸、カード及びエアレイなどの多くのプロセスにより形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム毎平方メートル(g/m
2)で表される。
【0019】
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」は、制約のない用語であり、それぞれは、以下の特徴、例えば構成要素、の存在を特定するが、他の特徴、例えば当技術分野において既知の、又は本明細書に開示される要素、ステップ、構成要素の存在を除外しない。動詞「含む(comprise)」に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を果たす仕方に著しく影響を与える、言及されていないあらゆる要素、ステップ若しくは成分を除外する、より狭い用語「〜から本質的になる(consisting essential of)」、並びに指定されていないあらゆる要素、ステップ、若しくは成分を除外する用語「〜からなる(consisting of)」を包含すると解釈されるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特記事項がない限り、請求の範囲を制限しない。単語「典型的には(typically)」、「通常(normally)」、「有利に(advantageously)」及び同様のものは、特記事項がない限り、請求項の範囲を限定するように意図されていない特徴も修飾する。
【0020】
別段の指示がない限り、説明は、使用前の(すなわち乾燥し、流体でいっぱいになっていない)、21℃+/−2℃及び50+/−20%の相対湿度(RH:Relative Humidity)で少なくとも24時間調質された吸収性物品及びその構成要素を指す。
【0021】
図に示される吸収性物品の概説
図1〜
図3に、乳幼児用おむつ20の形態の本発明に係る例示的な吸収性物品が示される。
図1は、平らに広げた状態の例示的なおむつ20の平面図であり、おむつ20の構造をより明瞭に示すために構造体の一部が切り取られている。本発明は、多種多様なおむつ又はその他の吸収性物品類を製造するために用いられ得るため、このおむつ20は説明のみを目的に示される。
図10は、例えば、同様に本発明の部分であるより単純なおむつ構造を示す。
【0022】
吸収性物品は、液体透過性トップシート24と、液体不透過性バックシート25と、トップシート24とバックシート25との間に配設される吸収性コア28と、を備える。吸収性物品はまた、示されている例では捕捉層52及び分散層54含む、捕捉−分配システム50(「ADS」)を備える。これは以下において更に詳述する。
図1はまた、物品の前部(図示せず)上のランディング区域と協働する粘着タブ42を含む締結システムなどの典型的なおむつ構成要素を示す。弾性レッグカフ及びバリアレッグカフなどの他の典型的なおむつ構成要素は、他の構成要素の描写を明瞭にするために図に示されていないが、テープで留められるおむつに一般的であるように、存在すると考えるべきである。おむつは、背面弾性腰部機構、前面弾性腰部機構、横断方向バリアカフ(単数又は複数)、サイドパネル、ローション塗布等...などの、図示されないその他の典型的な要素を更に含んでもよい。
【0023】
吸収性物品は、前縁部10、後縁部12、及び2つの側縁部13、14を含む。前縁部10は、着用すると使用者の前の方に配置されるように意図される物品の縁部であり、後縁部12は反対側の縁部である。吸収性物品は、
図1に示されるように平らにした構成でトップシートを上にして上から見たとき、物品の前縁部から後縁部まで延在する長手方向軸80であって、物品をこの軸に関して実質的に対称に二等分する、長手方向軸80によって概念的に分割されてもよい。物品の長さLはこの長手方向軸に沿って物品の前縁部から後縁部まで測定することができる。吸収性物品は、(長手方向軸上で測定したときの)その長さLの半分において、長手方向軸と垂直な横断軸90によって前半分及び後半分に更に概念的に分割することができる。通例、おむつにおいては、吸収容量はおむつの前部の方により集中させるため、吸収性物品は横断軸に沿って実質的に対称的ではない。後半分は通例、締結テープ42を載せた後部耳部40を含んでもよく、前半分は締結テープのためのランディング区域(図示せず)を含んでもよい。
【0024】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28及びその他の物品構成要素は、具体的に、接着又は熱エンボス加工によって、様々な周知の構成に組み立てられてもよい。例示的なおむつの構成が、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に全体的に説明されている。
【0025】
本発明の吸収性物品は、吸収性物品の長手方向に、少なくとも、前縁部の距離Dに配置される地点A1から、物品から後縁部から距離Dに配置される地点A2まで延在する賦形された捕捉分配システム50であって、Dは物品の長さLの32%に等しい、捕捉分配システム50を含む。ADSは、地点A2においては、地点A1におけるよりも少なくとも20%低い坪量を有する。有利に、ADSは、物品の前縁部及び後縁部に向かって地点A1及びA2よりも更に遠くへ延在する。しかしADSは、有利に、漏れの可能性を低くするために、長手方向及び横断方向にコアの吸収性材料堆積領域を越えて延在しなくてもよい。
【0026】
吸収性コア28は、少なくとも重量で80%の超吸収性ポリマー(本明細書においては「SAP」)を含む吸収性材料、及び吸収性材料を包み込むコアラップを含む。コアラップは、典型的には、コアの上側及び後側のための2つの基材16及び16’を含んでもよい。コアは、超吸収性ポリマーによって包囲された、超吸収性ポリマーを実質的に含まなくてもよい、チャネル26、26’を更に含んでもよい。これは、流体がコア内により素早く浸透するのを助けることができる。
【0027】
吸収性物品は好ましくは薄い。地点A1において測定されたときの物品の前部におけるキャリパーは、例えば、2.5mm〜10.0mm、特に、3.0mm〜6.0mmであってもよい(以下のキャリパー測定方法参照)。ADSの坪量、及びそれゆえ材料の量は、地点A2においてより低くなるため、地点A2において測定されたときの物品の後部におけるキャリパーは、通例、地点A1におけるよりも低くなる。地点A2における物品のキャリパーは、特に2.0mm〜8.0mm、特に2.5mm〜5.0mmに及んでもよい。
【0028】
次に、物品のこれら及びその他の構成要素をより詳細に説明する。
【0029】
トップシート24
トップシート24は、着用者の肌に直接接する吸収性物品の部分である。トップシートは、バックシート、コア、及び/又は当技術分野で既知の任意の他の層に接合されてもよい(本明細書において使用する場合、用語「接合される(joined)」は、要素を直接的に他の要素に付けることにより、ある要素を他の要素に直接的に固定する構成、及び要素を中間部材(単数又は複数)に付け、同様にそれが他の要素に付けられることにより、ある要素を間接的に他の要素に固定する構成を包含する)。通常、トップシート24及びバックシート25は、(例えば物品の外縁部上又はそれに近接した)いくつかの場所では互いに直接接合され、他の場所では、物品20の1つ以上のその他の要素にこれらを直接接合することにより、間接的に接合される。
【0030】
トップシート24は、順応性があり、柔らかな感触で、着用者の肌を刺激しないことが好ましい。更に、トップシート24の少なくとも一部分は液体透過性であり、液体にその厚さを容易に浸透させる。適切なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、あるいは天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維若しくはフィラメント(例えば、ポリエステル繊維若しくはポリプロピレン繊維若しくはPE/PPの2成分繊維又はこれらの混合物)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布若しくは不織布材料などの、広範囲の材料から製造され得る。トップシート24が繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド処理、カード処理、湿式堆積処理、メルトブロー処理、水流交絡処理、又は当該技術分野において既知の別の方法で処理されてよく、特にスパンボンドPP不織布である。短繊維長ポリプロピレン繊維のウェブを含む好適なトップシートとして、マサチューセッツ州ウォルポール(Walpole)所在のインターナショナル・ペーパー社(International Paper Company)の一部門であるヴェラテック(Veratec, Inc.)社によってP−8の製品名にて製造されるものがある。
【0031】
好適な成形フィルムトップシートが、米国特許第3,929,135号、同4,324,246号、同4,342,314号、同4,463,045号、同5,006,394号にも説明されている。その他の好適なトップシート30は、Curroらに対して発行された米国特許第4,609,518号及び同第4,629,643号に従って作製されることができる。こうした成形フィルムは、Procter & Gamble Company(Cincinnati,Ohio)から「DRI−WEAVE」として、及びTredegar Corporation(Richmond,VA)から「CLIFF−T」として入手できる。
【0032】
トップシート24の任意の部分が、当該技術分野で既知のローションでコーティングされてよい。好適なローションの例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、及び同第6,716,441号に説明されるものが挙げられる。トップシート24は更に、抗菌剤を含むか、又は抗菌剤で処理されてもよく、その例のいくつかは国際特許公開第95/24173号に開示されている。更に、トップシート24、バックシート25、又はトップシート若しくはバックシートの任意の部分は、より布様の外観をもたらすために、エンボス加工及び/又はつや消し仕上げされてもよい。
【0033】
トップシート24は、尿及び/又は糞便(固体、半固体、又は液体)などの、排出物のトップシート24への浸透を容易にするための1つ以上の開口を含んでもよい。少なくとも一次開口のサイズは、所望の排泄物封入性能を得るために重要である。一次開口が小さ過ぎると、排泄物は、排泄物源と開口位置との位置あわせがよくないことが原因で、あるいは開口より大きい直径を有する糞便の塊が原因で、開口を通過しないことがある。開口が大き過ぎると、物品からの「再湿潤」によって汚される可能性のある肌の領域が拡大する。典型的には、おむつの表面の開口部の総面積は、約10cm
2〜約50cm
2、特に、約15cm
2〜35cm
2の面積であってもよい。開口を有するトップシートの例は、BBA NONWOVENS SIMPSONVILLEに帰属する米国特許第6632504号に開示されている。国際公開番号第2011/163582号にもまた、12〜18gsmの坪量を有し、かつ複数の結合点を備える、好適な着色トップシートが開示される。接合箇所のそれぞれは、2mm
2〜5mm
2の表面積を有し、複数の接合箇所の累積表面積は、トップシートの総表面積の10〜25%である。
【0034】
典型的なおむつのトップシートは、約10〜約28gsm、特に約12〜約18gsmの坪量を有するが、他の坪量も可能である。
【0035】
バックシート25
バックシート25は、一般的に、吸収性コア28の衣類に面する表面に隣接して配置され、かつ吸収性コア28内に吸収及び収容された排泄物がベッドシーツや下着などの物品を汚すことを防ぐ、物品20の一部分である。バックシート25は通例、液体(例えば尿)に対して不透過性である。バックシートは、例えば厚さ約0.012mm〜約0.051mmの熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであってもよく、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、Tredegar Corporation(Richmond,VA)が製造し、商品名CPC2フィルムで市販されるものが挙げられる。その他の好適なバックシート材料としては、蒸気をおむつ20から逃しながらも、排出物がバックシート25を透過することを防ぐ、通気性材料を挙げることができる。例示的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティングされた不織布ウェブのような複合材料、Mitsui Toatsu Co.(Japan)から商品名ESPOIR NOで製造されるもの、及びTredegar Corporation(Richmond,VA)が製造して商品名EXAIREで販売されるもののようなミクロ孔質フィルム、並びにClopay Corporation(Cincinnati,OH)によりHYTRELブレンドP18−3097の名称で製造されるもののようなモノリシックフィルムなどの材料を挙げることができる。いくつかの通気性複合材料が、1995年6月22日にE.I.DuPontの名前で公開されたPCT出願第95/16746号、LaVonらへの米国特許第5,938,648号、Linmanらへの米国特許第4,681,793号、Curroへの米国特許第5,865,823号、及びDobrinらへの米国特許第5,571,096号、London Brownへの米国特許第6,946,585B2号により詳細に説明されている。
【0036】
バックシート25は、当技術分野で既知のいずれかの取付け手段によって、トップシート24、吸収性コア28、又はおむつ20の他のいずれかの要素に結合されてもよい。好適な取り付け手段は、トップシート24を物品20の他の要素に接合させるための手段と関連して上記で説明されている。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターンが施された層、又は接着剤の分離した線、らせん、若しくは点の配列を挙げることができる。好適な取り付け手段には、米国特許第4,573,986号に開示されるように、接着剤のフィラメントの開放パターン網状組織が含まれる。その他の好適な取り付け手段としては、米国特許第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号で説明される装置及び方法により説明される、らせん模様に渦を巻く接着剤フィラメントのいくつかの線が挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minnesota)によって製造され、HL−1620及びHL 1358−XZPとして販売されている。あるいは、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知のその他の任意の好適な取り付け手段、若しくはこれら取り付け手段の組み合わせを含み得る。
【0037】
吸収性コア28
本明細書で使用する場合、用語「吸収性コア」は、コアラップ内に包み込まれた大量の超吸収性ポリマー(本明細書においては「SAP」と略される)を有する吸収性材料を含む吸収性物品内における使用に適した独立した構成要素を指す。コア内の超吸収性ポリマー含有量は比較的高く、コアラップ内に包含される吸収性材料の少なくとも重量で80%に相当する。「吸収性材料」によって、それは、SAP、セルロース繊維、及び合成繊維などの、いくらかの吸収性又は保液性を有する全ての材料が意味される。通例、吸収性コアの製作に用いられる接着剤は吸収性を有せず、吸収性材料と見なされない。SAP含有量はより高くてもよく、例えば、コアラップ内に包含される吸収性材料の重量の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、及び更に100%とそれ以下であってもよい。これは、40〜60%のSAP及び高含有量のセルロース繊維を含む従来のコアと比べて比較的薄いコアを提供する。吸収性材料は、特に、10%重量パーセント未満の天然繊維若しくは合成繊維、又は5%重量パーセント未満を含むか、又は更には天然繊維及び/若しくは合成繊維を実質的に含まなくてもよい。吸収性材料は、有利に、エアフェルト(セルロース)繊維をほとんど又は全く含まなくてもよく、特に、吸収性コアは、吸収性コアの重量で15%、10%、5%未満のエアフェルト(セルロース)繊維を含むか、又は更にはセルロース繊維を実質的に含まなくてもよい。
【0038】
本発明の吸収性コアは、例えば、SAPをコアラップ内で不動化するのを助けるため、及び/又は特に、コアラップが2つ以上の基材で作られている場合には、コアラップの一体性を確実にするために、接着剤を更に含んでもよい。コアラップは通例、内部に吸収性材料を包含するために厳密に必要とされるよりも大きな領域に延在することになる。少なくとも80%のSAPを含むコアラップ内の吸収性材料は、以下において吸収性材料堆積領域と呼ばれることになるコアラップ内の領域を形成する。
【0039】
比較的大量のSAPを含むコアの例が知られており、種々のコア設計が、過去において、例えば、米国特許第5,599,335号(Goldman)、欧州特許第1,447,066号(Busam)、国際公開第95/11652号(Tanzer)又は米国特許出願公開第2008/0312622A1号(Hundorf)、国際公開第2012/052172号(Van Malderen)に提案されている。いくつかの実施形態では、これらのコアは、コアラップ内に包み込まれるSAPの個々のポケット又は筋で構成されるSAPの層を含む。他の実施形態では、コアは、コアラップ内に包み込まれるSAPの連続的な層を含む。SAPの連続的な層は、具体的には、非連続的なSAP適用パターンを有する2つの吸収層を組み合わせることによって得られてもよく、その結果できるSAPの層は吸収性粒状ポリマー材料領域にわたって実質的に連続的に分布する。
【0040】
図2における特定の例に示されるように、吸収性コアは、第1の吸収層及び第2の吸収層であって、第1の吸収層は第1の基材16、及びSAPの第1の層61を含み、第2の吸収層は第2の基材16’、及びSAPの第2の層62を含む、第1の吸収層及び第2の吸収層と、SAPの層をそれらのそれぞれの基材に少なくとも部分的に接合する繊維性熱可塑性接着材料51であって、第1の基材及び第2の基材がコアラップを形成する、繊維性熱可塑性接着材料51と、を含んでもよい。「SAP」によって、それは、少なくとも80%のSAP及び有利には最大100%を含む吸収性材料が意味される。SAP層は、それらのそれぞれの基材上に、SAP粒子を含むランド領域及びSAPを含まないランド領域間の接合領域を含む堆積パターンで堆積されてもよい。
図2の例では、これらのランド領域は吸収性材料堆積領域8の幅にわたって長手方向に延在している。次に、繊維性熱可塑性接着材料はランド領域内においてSAPと少なくとも部分的に接触し、接合領域内において基材層と少なくとも部分的に接触する。これによって、それ自体は本質的に長さ方向及び幅方向の寸法に比べて比較的薄い二次元構造である、熱可塑性接着剤材料の繊維層に、本質的に三次元の構造が付与される。これにより、繊維性熱可塑性接着材料が空洞を設けることができ陸部領域のSAPを覆い、それにより、この材料を不動化させる。
【0041】
熱可塑性接着剤材料は、ASTM法D−36−95「環球法」によって測定するとき、50℃〜300℃の範囲の軟化点を有する、単一の熱可塑性ポリマー若しくは熱可塑性ポリマーのブレンドをその全体に含み得、並びに/又は熱可塑性接着剤材料は、粘着付与樹脂、可塑剤、及び酸化防止剤などの添加剤など、その他の熱可塑性希釈剤と組み合わせた少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、ホットメルト接着剤であってもよい。
【0042】
熱可塑性ポリマーは、典型的には10,000超の分子量(Mw)、及び通常は室温未満又は−6℃<Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)を有する。ホットメルト中のポリマーの典型的な濃度は、約20〜約40重量%の範囲内である。熱可塑性ポリマーは、水耐性であってもよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、Aブロックは、典型的にはポリスチレンを含む非弾性ポリマーブロックであり、Bブロックは、不飽和共役ジエン又はその(部分的に)水素添加物である。Bブロックは典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。使用してもよい他の好適な熱可塑性ポリマーは、メタロセンポリオレフィンであり、これは、単一サイト又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーである。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。やはり使用可能なものとして、非晶質ポリオレフィン、又はC2〜C8のαオレフィンのホモポリマー、コポリマー又はターポリマーである非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)がある。
【0043】
粘着付与樹脂は、例示的に5,000未満の分子量(Mw)、及び通常、室温よりも高いTgを有し、ホットメルト中の樹脂の一般的な濃度は約30〜約60%の範囲であり、可塑剤は一般的には1,000未満の低い分子量(Mw)及び室温よりも低いTgを有し、一般的な濃度は約0〜約15%である。
【0044】
繊維層に使用される接着剤は、好ましくは、弾性であり、SAP上の繊維により形成されるウェブは、SAPが膨潤すれば延びることができる。例示的なエラストマーホットメルト接着剤としては、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、硬質成分(一般にはポリプロピレン又はポリエチレンなどの結晶質ポリオレフィン)と軟質成分(エチレン−プロピレンゴムなど)とのポリオレフィンブレンドなどの熱可塑性エラストマー類、ポリ(エチレンテレフタレート−コ−エチレンアゼレート)などのコポリエステル類、及びA−B−Aブロックコポリマーとして設計された熱可塑性末端ブロックとゴム状ミッドブロックとを有する熱可塑性エラストマーブロックコポリマー、並びに構造が異なるホモポリマー又はコポリマーの混合物(例えばポリエチレン又はポリスチレンとA−B−Aブロップコポリマーとの混合物)、熱可塑性エラストマーと低分子量の樹脂改質剤との混合物(例えばスチレンーイソプレン−スチレンブロックコポリマーとポリスチレンとの混合物)、及び本明細書で説明するエラストマーホットメルト感圧接着剤が挙げられる。これらのタイプのエラストマーホットメルト接着剤は、Korpmanに対して、1988年3月15日発行された米国特許第4,731,066号に、より詳細に説明される。
【0045】
熱可塑性接着剤材料は、繊維として塗布される。繊維は、例示的に、約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さ、及び約5mm〜約50mm、又は約5mm〜約30mmの平均長さを有してもよい。基材又は任意のその他の層、特に任意のその他の不織布層に対する熱可塑性接着材料の接着を改善するために、このような層は、補助接着剤で前処理されてもよい。繊維は互いに接着して、メッシュとも説明され得る繊維層を形成する。
【0046】
特定の実施形態では、熱可塑性接着剤材料は、以下のパラメータのうちの少なくとも1つ、又はいくつか、又は全てを満たす。例示的な熱可塑性接着剤材料は、20℃で測定される貯蔵弾性率G’を、少なくとも30,000Pa、及び300,000Pa未満、又は200,000Pa未満、又は140,000Pa〜200,000Pa、又は100,000Pa未満有してもよい。更なる一態様では、35℃で測定した貯蔵弾性率G’が、80,000Paより大きくてもよい。更なる態様では、60℃で測定される貯蔵弾性率G’は、300,000Pa未満かつ18,000Pa超、又は24,000Pa超、又は30,000Pa超、又は90,000Pa超であってもよい。更なる一態様では、90℃で測定される貯蔵弾性率G’が、200,000Pa未満かつ10,000Pa超、又は20,000Pa超、又は30,000Pa超であってもよい。60℃及び90℃で測定される貯蔵弾性率が、高い室温での熱可塑性接着剤材料の形状安定性に関する測定値であってもよい。60℃及び90℃での貯蔵弾性率G’が充分に高くないと、熱可塑性接着剤材料がその一体性を失う、暑い気候で吸収性製品が使用される場合、この値は特に重要である。
【0047】
G’は、国際公開第2010/27719号に示されるレオメータを使って測定できる。このレオメータは、接着剤に剪断応力を加え、生ずる歪み(剪断変形)応答を一定温度において測定することが可能である。接着剤は、下側の固定プレートとして機能するペルチェ素子と、剪断応力を発生させるようにモータの駆動軸に連結された、例えば10mmの半径Rを有する上側プレートとの間に置かれる。両プレート間の間隙は、例えば高さ1500マイクロメートルである。ペルチェ素子により、材料の温度制御が可能になる(+0.5℃)。歪み速度及び周波数は、すべての測定が直線的な粘弾性領域において行われるように選択する必要がある。
【0048】
国際公開第2010/0051166A1号に説明されている湿潤時不動化試験によれば、吸収性コアは有利に、わずか約70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%のSAP損失を達成する。
【0049】
超吸収性ポリマー(SAP)
本明細書で使用する場合、「超吸収性ポリマー」は、遠心保持容量(CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を使用して測定したときに、重量の少なくとも10倍の0.9%食塩水溶液を吸収可能な架橋ポリマー材料である吸収性材料を指す。本発明のSAPは、具体的には、CRC値が20g/g超、又は24g/g超、又は20〜50g/g、又は20〜40g/g、又は24〜30g/gであってもよい。本発明で有用なSAPとしては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収できる様々な水膨潤性ポリマーが挙げられる。
【0050】
SAPは、乾燥状態で流動性を有するように粒子状形態であることができる。典型的な粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーから形成される。しかしながら、例えば、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料も使用でき、更に、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフト共重合体を含み得る。超吸収性ポリマーは、内部及び/又は表面架橋されたポリアクリル酸塩及びポリアクリル酸ポリマーであってもよい。好適な材料が、国際出願第07/047598号、例えば、国際公開第07/046052号、例えば、同第2009/155265号及び同第2009/155264号に記載される。いくつかの実施形態では、好適なSAP粒子は、国際特許出願第2006/083584号により具体的に説明されるように、現況技術の製造プロセスによって得ることができる。SAPは、好ましくは内部で架橋される。即ち、重合は、ポリマー網状組織へとフリーラジカル的に共重合され得る、2つ以上の重合可能な基を有する化合物の存在下において行われる。有用な架橋剤としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、欧州特許第A 530 438号に記載されるテトラアリルオキシエタン、同第A 547 847号、同第A 559 476号、同第A 632 068号、国際公開第93/21237号、同第03/104299号、同第03/104300号、同第03/104301号及び独国特許出願第A 103 31 450号に記載されるジ−及びトリアクリレート類、同第103 31 456号、及び同第A 103 55 401号に記載されるような、アクリレート基とエチレン性不飽和基とを更に含む混合アクリレート類、又は例えば独国特許第A 195 43 368号、同第A 196 46 484号、国際公開第90/15830号及び同第02/32962号に記載されるような架橋剤混合物、加えて国際公開第2009/155265に記載の架橋剤が挙げられる。超吸収性ポリマー粒子は、外部に表面架橋されてもよい、又はポスト架橋されてもよい)。有用な後架橋剤としては、ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成可能な2つ以上の基を含む化合物が挙げられる。有用な化合物としては、例えば欧州特許A 083 022号、同A 543 303号及び同第A 937 736号に記載されるアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジ−又はポリグリシジル化合物、独国特許出願C 33 14 019号に記載される多価アルコール類、独国特許出願A 40 20 780号に記載される環状炭酸塩、同第A 198 07 502号に記載されるN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン等の2−オキサゾリドン及びその誘導体、同A 198 07 992号に記載されるビス−及びポリ−2−オキサゾリドン、同A 198 54 573号に記載される2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体、同A 198 54 574号に記載されるN−アシル−2−オキサゾリドン、同A102 04 937号に記載される環状ウレアーゼ、同A 103 34 584号に記載される二環式アミドアセタール、欧州特許A 1 199 327号に記載されるオキセタン及び環状ウレアーゼ、並びに国際公開第03/031482号に記載されるモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、SAPは、例えば、ナトリウム対イオンを有する、60%〜90%、又は約75%の中和度を有する、ポリアクリル酸ポリマー/ポリアクリレートポリマーから形成される。
【0052】
本発明に有用なSAPは、様々な形状であってもよい。「粒子」という用語は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態のことを指す。いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、繊維の形状、即ち細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。こうした実施形態において、超吸収性ポリマー粒子繊維は、約1mm未満、通常、約500μm未満、あるいは好ましくは250μm未満から50μmまでの小さい寸法(すなわち、繊維の直径)を有する。繊維の長さは、好ましくは約3mm〜約100mmである。繊維はまた、織ることのできる長いフィラメントの形態であってもよい。
【0053】
典型的には、SAPは、球状粒子である。繊維とは対照的に、「球状粒子」は、微粒子の最長粒子寸法対最短粒子寸法の比が1〜5の範囲内である、最長及び最短の寸法を有し、値1は完全な球形粒子と等しく、値5は、かかる球形粒子から幾分か逸脱する。超吸収性ポリマー粒子は、EDANA法WSP 220.2−05に従って測定して850μm未満、又は50〜850μm、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜300μmの粒径を有してもよい。比較的小さな粒径を有するSAPは、液体排泄物と接する吸収性材料の表面積の増加に役立ち、したがって液体排泄物の素早い吸収を助ける。
【0054】
SAPは、45μm〜4000μmの範囲の粒径、特に、45μm〜約2000μm、又は約100μm〜約1000μm、850μm又は600μmの範囲の粒径分布を有してもよい。粒子状の材料の粒径分布は、当該技術分野において既知のように、例えば乾式篩分け分析試験(EDANA 420.02「Particle Size distribution」)によって決定され得る。
【0055】
本明細書のいくつかの実施形態において、超吸収性材料は、例えば、欧州特許出願公開第0691133号に記載されている方法で測定できるように、最大で2mm、50マイクロメートル〜2mm若しくは1mm、又は好ましくは100、200、300、400若しくは500μm〜、又は〜1000、〜800、若しくは〜700μmの中間質量粒径の粒子の形態である。本発明のいくつかの実施形態では、超吸収性ポリマー材料は、粒子の形態であり、少なくとも80重量%は、50μm〜1200μmのサイズであり、上記のその範囲の組み合わせの間の質量中央粒径を有する粒子である。加えて、又は本発明の別の実施形態において、前記粒子は、本質的に球体である。本発明の更に別の又は更なる実施形態において、超吸収性ポリマー材料は、比較的狭い範囲の粒子サイズを有し、例えば粒子の大多数(例えば少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、又は少なくとも95重量%)は、50μm及び1000μmの間、好ましくは100μm及び800μmの間、より好ましくは200μm及び600μmの間の粒径を有する。
【0056】
好適なSAPは、例えば、米国特許第4,340,706号及び同第5,849,816号に記載されるような逆相懸濁重合、又は米国特許出願第2009/0192035号、同第2009/0258994号、及び同第2010/0068520号に記載されるような噴霧液相分散重合又は他の気相分散重合から得ることができる。いくつかの実施形態では、好適なSAPは、国際公開第2006/083584号の12頁23行目〜20頁27行目により具体的に記載されるような現況技術の製造工程によって得ることができる。
【0057】
SAPの表面は、例えば、カチオン性ポリマーでコーティングされてもよい。好適なカチオン性ポリマーとしては、ポリアミン又はポリイミン材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、SAPは、米国特許第7,537,832 B2号に開示されるようなキトサン材料でコーティングされてもよい。いくつかの他の実施形態では、SAPは、国際公開第99/34841号及び同第99/34842号に開示されるものなどの混合床イオン交換吸収性ポリマーを含んでもよい。
【0058】
吸収性コアは、典型的には、1種のSAPだけを含むが、SAPの配合物が使用され得ることが排除されるわけではない。超吸収性ポリマーの流体透過性は、欧州特許出願第12174117.7号開示されている試験において測定されたときの、その尿透過性測定(UPM:Urine Permeability Measurement)値を用いて定量化することができる。SAPのUPMは、例えば、少なくとも10×10
−7cm
3.sec/g、又は少なくとも30×10
−7cm
3.sec/g、又は少なくとも50×10
−7cm
3.sec/g以上、例えば、少なくとも80又は100×10
−7cm
3.sec/gであってもよい。流動特性はまた、第2の吸収性層に使用されるSAPの量及び分布を変動させることで調整し得る。
【0059】
ほとんどの吸収性物品の場合、液体の排出は、特におむつの場合には、主に物品の前半分内で起きる。したがって、(横断中心線90によって画定される通りの)物品の前半分はコアの吸収容量のほとんどを含んでもよい。それゆえ、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%若しくは80%は吸収性物品の前半分内に存在してもよく、残りのSAPは吸収性物品の後半分内に配設される。
【0060】
吸収性コアに存在するSAPの合計量は、想定されるユーザに応じて変動してもよい。女性用保護物品又は新生児用おむつは、乳幼児用又は成人用失禁おむつと比べて必要なSAPがはるかに少ない場合がある。乳幼児用おむつでは、SAPの合計量は、例えば、約1〜50g、特に、2〜20gであってもよい。(複数存在する場合には、「少なくとも1つの」)吸収性材料堆積領域内のSAPの平均坪量は、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m
2以上であってもよい。
【0061】
コアラップ(16、16’)
コアラップは、コアの吸収性材料の周りに折り畳まれる1つの基材で作られてもよいか、又は基材のうちの一方の長手方向(及び/若しくは横断方向)縁部が他方の基材の上に折り畳まれる、例えば、いわゆるサンドイッチラップ、又は
図2及び
図3に示される通りのいわゆるCラップ状に互いにくっつけられる2つ以上の基材を含んでもよい。
【0062】
コアラップは、その上に堆積される吸収性材料を受容するのに好適な任意の材料によって形成されてもよい。従来のコアを生産するのに使用される典型的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体を用いることができる。第1及び第2の基材は、特に、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、メルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのいずれかの積層体などの不織布ウェブから形成され得る。例えば、スパンメルトされたポリプロピレン不織布は、好適であり、具体的に、積層体ウェブのSMS、SMMS、又はSSMMS型の構造体を有するもの、及び坪量が約5gsm〜15gsmの範囲であるものが好適である。好適な材料が、例えば、米国特許第7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0268932A1号、同第2011/0319848A1号、又は同第2011/0250413A1号に開示される。PE、PET、及び特にPPなどの合成繊維からもたらされる不織布材料を用いてもよい。
【0063】
コアラップが第1の基材16及び第2の基材16’を含む場合には、これらは、同じタイプの材料で作られてもよいか、若しくは異なる材料で作られてもよいか、又は基材のうちの一方に対して他方と異なる処理を施し、それに異なる特性を提供してもよい。不織布の製造に使用されるポリマーは、本質的に疎水性であるので、吸収性コアの流体受容側に配置されている場合は、親水性コーティングで被覆されることが好ましい。耐久性のある親水性コーティングを用いて不織布を製造するための考えられる方法は、親水性モノマー及びラジカル重合反応開始剤を不織布上に塗布し、紫外線で活性化して重合を起こすことによって、不織布の表面に化学結合したモノマーを生成させるものである。耐久的親水性コーティングした不織布の生産が可能な代替的方法は、例えば国際公開特許第02/064877で説明されるような、不織布を親水性ナノ粒子でコーティグする方法である。
【0064】
恒久的に親水性の不織布も、いくつかの実施形態では有用である。米国特許第7744576号(Busamら)で説明される表面張力は、どれほど恒久的に特定の親水性レベルが達成されるのかを測定するために用いられ得る。米国特許第7744576号に記載されるような液体しみ出し(liquid strike through)を使用して親水性レベルを測定することができる。第1及び/又は第2の基材は、生理食塩水溶液で濡らすと、具体的に、少なくとも55mN/m、好ましくは、少なくとも60mN/m、最も好ましくは、少なくとも65mN/mの表面張力を有してもよい。基材は、また、液体の5回の噴出に対し、5秒未満の液体しみ出し時間を有してもよい。これらの値は、米国特許第7,744,576号の「Determination Of Surface Tension」及び「Determination of Strike Through」それぞれに記載の試験方法を使って測定できる。
【0065】
親水性及び湿潤性は、典型的には、接触角度及び例えば不織布布地を通過する流体のストライクスルー時間に関して定義される。これは、Robert F.Gouldにより編集された、「Contact angle,wettability and adhesion」と題するアメリカ化学会の出版物(Copyright 1964)において詳細に説明される。水と基材表面との間の接触角が低い基材は、他の基材よりも親水性が高いと言ってもよい。
【0066】
基材は更に、空気透過性であってもよい。したがって、本明細書において有用なフィルムは微小孔を含み得る。第1及び第2の基材は、EDANA法140−1−99(125Pa、38.3cm
2)によって決定されるように、例えば、40又は50〜300又は200m
3/(m
2×分)の通気性を有してもよい。あるいは、第1及び/又は第2の基材は、例えば真空を含む移動表面での取り扱いを容易にするために、例えば非空気透過性などの、より低い空気透過性を有してもよい。
【0067】
図3に示すように、例えば、第1の基材16は、コアの一方に(同図では上側として示される)配置されていてもよく、コアの反対(下)側を部分的に包み込むようにコアの長手方向の縁部の周りに延在する。第2の基材16’は、第1の基材16の包まれたフラップとコアの残りの部分との間に位置付けることができる。第1の基材16のフラップと第2の基材16’とは接着されてもよい。この所謂Cラップ構造は、湿潤負荷状態(wet loaded state)での耐破裂性を改善するなどの利益を提供し得る。コアの横方向の縁は、その後、例えば、コアの周辺部全体に渡ってコアの吸収性材料を完全に封入するために接着することにより封止されてもよい。その他の構造として、所謂、サンドイッチ構造では、第1及び第2の基材は外方に延在し、典型的には接着及び/又は熱/圧力接着により、例えば、コアの長手方向の縁部に沿って、コアの周辺部の全体又は一部に沿って封止されてもよい。
【0068】
典型的には、第1及び第2の基材のどちらも特定の形状を有する必要がないため、製造を簡易にするため矩形に切断されてもよいが、言うまでもなくその他の形状も可能である。
【0069】
吸収性材料堆積領域8
吸収性材料の堆積領域8は、
図1に示されるように、平らにした物品の上から見たときに、コアラップ内の吸収性材料によって形成される層の外縁部によって画定されることができる。吸収性材料堆積領域8は種々の形状をとることができ、特に、
図1の実施形態に例示的に示されるように、コアの中央部又は「股あて」領域内においてその幅に沿ったすぼみを示す、いわゆる「ドッグボーン」又は「砂時計」形を呈することができる。このように、吸収性材料堆積領域は、吸収性物品の股あて領域内に配置されるように意図されるコアの領域内においては、比較的狭い幅を有してもよい。これは、例えば、より良好な着用感をもたらし得る。吸収性材料堆積領域8は、したがって、その最も狭い地点において、約100mm、90m、80mm、70mm、60mm、又は更には約50mm未満になる(横断方向に測定した場合の)幅を有してもよい。この最も狭い幅は、更に、堆積領域8の前方及び/又は後方領域の最も広い点の堆積領域の幅より小さくてもよく、例えば、少なくとも5mm又は少なくとも10mmであってもよい。吸収性材料堆積領域8は、例えば、
図6及び
図8に示されるように、概ね矩形であることもできるが、「T」又は「Y」形状などの他の堆積領域も用いることができる。
【0070】
SAPの坪量(表面の単位当たり堆積される量)はまた、堆積領域8に沿って変化させ、コアの長手方向、同横断方向、又はその両方の方向にSAPの賦形された分布を作り出してもよい。したがって、コアの長手方向軸線に沿って、及び横方向軸線に沿って、又はこれらの軸のいずれかに平行であるどの軸に沿っても、異なる陸部領域に堆積されるSAPの坪量が異なってもよい。したがって、SAP堆積パターンが接合領域により区切られている陸部領域を含む場合、坪量が比較的高い陸部領域のSAPの坪量は、比較的坪量が低い陸部領域よりも、例えば、少なくとも10%又は20%又は30%又は40%又は50%高くてもよい。具体的に、(例えば、コアの前方領域と後方領域との間の中央又は中間領域における)狭い幅、又はより一般的には、小さい表面積を有するコアの堆積領域に存在する陸部領域は、堆積領域が大きい他の堆積領域と比べて、平均して、単位堆積表面当たり多くのSAPを有してもよい。
【0071】
SAP層は、比較的早いスピードでSAPを比較的正確に堆積できる既存の手法を使って、堆積されてもよい。具体的には、例えば米国特許出願公開第2006/24433号(Blessing)、米国特許出願公開第2008/0312617号、及び米国特許出願公開第2010/0051166A1号(どちらもHundorfら)で開示されるSAP印刷技術が用いられ得る。この技術は、印刷ロールを用いて、複数のクロスバーの間を延在するチャネルを形成するように、互いに実質的に平行かつ離間して延在する、複数のクロスバーを含み得る、支持体のグリッド上に配置された基材上に、SAPを堆積させる。この技術は、基材上への高速かつ正確なSAPの堆積を可能にする。
【0072】
捕捉−分配システム(「ADS」)
本発明の吸収性物品は、トップシートと吸収性コアとの間の捕捉−分配システム(本明細書においては「ADS」と呼ばれる)を含む。ADSの機能は、効果的な仕方で、流体を捕捉し、及び/又はそれを吸収性コアへ分散させることである。ADSは1つ、又は2つ以上の層を含んでもよい。ADSが2つ以上の層を含む場合には、これらは互いに接合されるが、はっきりと識別することができる別個の層のままであってもよい。ADSはまた、均質な層であってもよい単一の層によって形成されるか、又は例えば繊維交絡によって、ADSを単一の別個の層として扱うことができるように一体に密接に統合される異なる特性を有する2つ以上の副層によって形成されてもよい。
【0073】
図1〜
図9に示される例では、ADSは、2つの別個の層:吸収性コアとトップシートとの間に配置される分散層54及び捕捉層52を含む。
図10に示される例では、ADSは単一の層又は材料60を含む。層又は材料60は、以下において更に詳述される分散層又は捕捉層に基づく材料であるか、又は例えば、国際公開第94/23761号(Payne)、国際公開第2000/59430号(Daley)、国際公開第95/10996号(Richards)、米国特許第5,700,254号(McDowall)、国際公開第02/067809号(Graef)、米国特許第5,486,166号及び米国特許第5,490,846号(Bishop)に指示されているような、市販されているか若しくは当技術分野において周知のその他の材料のうちのいずれかであってもよい。従来技術は、単一の層を含む多くの形式の捕捉−分配システムを開示している。
【0074】
本発明によれば、ADSは、物品の長手方向軸に沿って少なくとも地点A1及びA2の間に延在する。これらの地点は、長手方向軸上に配置され、それぞれ、物品の前縁部及び後縁部から距離Dだけ離間される。ここで、Dは長手方向軸に沿った物品の長さLの32%に等しい。ADSは有利に、これらの地点を吸収性物品の前縁部及び/又は後縁部の方へ少なくとも5mm、又は10mm、又は15mm更に越えて配置されてもよい。ADSが、1つを超える層を含む場合には、これらは異なる長さ及び/又は幅のものであってもよいが、有利には、全ての層は少なくともA1及びA2の間に延在することになる。
【0075】
本発明によれば、ADSは、物品の更に後部の方に配置される地点A2において、地点A1におけるよりも低い坪量を有する。ADSの坪量は、特に、A2においてA1よりも少なくとも20%低くてもよい。地点A1におけるADSと地点A2におけるADSとのこの坪量の差は、例えば、20%〜90%、又は30%〜70%であってもよい。ADSが、1つを超える層を含む場合には、地点A1とA2との坪量の差は、ADSの層のうちの1つ以上における重量差によって提供されてもよい。
図1〜
図9に示される通りの非限定例では、以下において更に詳述されるように、坪量の差は分散層の坪量の差に起因し、捕捉層はその長さに沿って等しい坪量のままである。
【0076】
ADS又はそのいずれかの構成要素はまた横断(CD)方向に賦形されてもよい。例えば、ADS又はその構成要素のいずれかの坪量は、物品の横側と比較して、物品の長手方向軸に沿ってより高くてもよい。これは、ADSの1つの層、例えば、架橋セルロースを含むこの説明に例示されている分散層、を幅方向に賦形することの、横断方向において他の構成要素よりも大きいADS構成要素を有すること(例えば、図に示されるように、捕捉層52の方が分散層54よりも大きい)によって達成することができる。
【0077】
通例、ADSはSAPを含まないであろう。なぜなら、これは流体の捕捉及び分散を遅くし得るからである。ADSは、必ずというわけではないが、次により詳細に説明される、2つの層:分散層及び捕捉層を含んでもよい。
【0078】
分散層54
分散層54の機能は、浸襲してくる流体液体を物品内のより大きな表面上に広げ、それにより、コアの吸収容量をより効率的に用いることができるようにすることである。通例、分散層は、合成繊維又はセルロース繊維をベースとし、比較的低い密度を有する不織布材料で作られる。分散層の密度は物品の圧縮に依存して変化し得るが、典型的には、0.30psi(2.07kPa)において測定すると、0.03〜0.25g/cm
3、特に0.05〜0.15g/cm
3に及んでもよい。分散層54はまた、米国特許第5,137,537号に開示されている手順に指示されるように測定すると、25〜60、好ましくは30〜45の保水値を有する材料であってもよい。
【0079】
分散層は、例えば、少なくとも重量で50%の架橋セルロース繊維を含んでもよい。架橋セルロース繊維は、捲縮されても、撚り合わされても、若しくはカールされてもよく、又は捲縮される、撚り合わせられる、及びカールされることを含むそれらの組み合わせであってもよい。この種の材料は過去に使い捨ておむつにおいて捕捉システムの部分として用いられている(例えば、米国特許出願公開第2008/0312622 A1号(Hundorf))。しかし、本発明の賦形される仕方によるものではない。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ内の圧縮に対して、又は、例えば、赤ちゃんの重量下の使用状況下において、第1の吸収性層に対して、高い復元力、及びそれ故高い耐性を付与する。これにより、コアに、高い空隙容積、透過性、及び液体吸収作用が付与されるので、漏れが減り、乾燥状態が改善される。
【0080】
分散層に適した例示的な化学架橋セルロース繊維が、米国特許第5,549,791号、米国特許第5,137,537号、国際公開第9534329号又は米国特許出願第2007/118087号に開示されている。例示的な架橋剤は、クエン酸などのポリカルボン酸及び/又はアクリル酸及びマレイン酸共重合体などのポリアクリル酸を含む。例えば、架橋セルロース繊維は、繊維内エステル架橋結合状態で前記繊維と反応させた、C2〜C9のポリカルボン酸架橋剤を、セルロースアンヒドログルコースモル換算で、約0.5モル%〜約10.0モル%有してもよい。C2〜C9のポリカルボン酸架橋剤は、以下のものからなる群から選択されてもよい:
−1分子あたり少なくとも3つのカルボキシル基を有するC2〜C9の脂肪族及び脂環式ポリカルボン酸、及び
−1分子あたり2つのカルボキシル基を有し、カルボキシル基の1つ又は両方に対するアルファ位、ベータ位の炭素−炭素二重結合を有するC2〜C9の脂肪族及び脂環式ポリカルボン酸であって、前記C2〜C9のポリカルボン酸架橋剤の1つのカルボキシル基が2つ又は3つのいずれかの炭素原子により第2のカルボキシル基から切り離される、C2〜C9の脂肪族及び脂環式ポリカルボン酸。繊維は、前記繊維と繊維内エステル架橋結合状態で反応させた架橋剤を、具体的に、セルロースアンヒドログルコースモル換算で約1.5モル%〜約6.0モル%を有してもよい。架橋剤は、クエン酸、1、2、3、4ブタンテトラカルボン酸、及び1、2、3プロパントリカルボン酸、具体的に、クエン酸からなる群から選択されてもよい。
【0081】
ポリアクリル酸架橋剤は、また、ポリアクリル酸ホモポリマー、アクリル酸のコポリマー、及びそれらの混合物から選択されてもよい。繊維は、繊維内架橋結合の状態で前記繊維と反応させたこれらの架橋剤を、乾燥した繊維の重量に対して、1.0重量%〜10.0重量%、好ましくは、3重量%〜7重量%有してもよい。架橋剤は、500〜40000、好ましくは、1000〜20000の分子量を有するポリアクリル酸ポリマーであってもよい。高分子ポリアクリル酸架橋剤は、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマーであってもよく、具体的に、アクリル酸対マレイン酸の重量比は、10:1〜1:1、好ましくは、5:1〜1.5:1である。クエン酸の有効量を前記高分子ポリアクリル酸架橋剤と更に混合してもよい。
【0082】
本発明の架橋セルロース繊維を含む分散層は他の繊維を含んでもよいが、この層は、有利には、層の重量で少なくとも50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%又は更には最大100%の架橋セルロース繊維(架橋剤を含む)を含んでもよい。かかる架橋セルロース繊維の混合層の例として、化学架橋セルロース繊維を約70重量%、ポリエステル(PET)繊維を約10重量%、及び未処理のパルプ繊維を約20重量%が挙げられる。他の例では、架橋セルロース繊維の層は、化学架橋セルロース繊維を約70重量%、リヨセル繊維を約20重量%、及びPET繊維を約10重量%含んでもよい。他の例では、層は、化学架橋セルロース繊維を約68重量%、未処理のパルプ繊維を約16重量%、及びPET繊維を約16重量%含んでもよい。他の例では、架橋セルロース繊維の層は、化学架橋セルロース繊維を約90〜100重量%含んでもよい。
【0083】
分散層54は、例えば、
図2に見られるように、地点A1を包含する物品の前部の方の第1の区域Z1を含んでもよく、そこでは、分散層は均一な坪量、及び任意選択的に、均一な厚さ及び密度である。地点A2を包含する物品の後部の方に第2の区域Z2が存在してもよく、そこでは、分散層は均一な坪量であり、任意選択的に均一な厚さ及び密度である。第2の区域Z2内の分散層の坪量は第1の区域Z1内よりも少なくとも20%低くてもよい。Z1とZ2との間に移行区域Z3が存在してもよい。
図1〜
図2に示されているように、第1の区域Z1及び移行区域Z3は、(長手方向軸及び横断軸80、90によって規定される)おむつの水平面内でみたときに、実質的に矩形であってもよい。第2の区域Z2は同じく矩形であってよもいか、又は
図1〜
図2に示されているように、水平面内で半円形状などの別の形状を有してもよい。これらの形状は限定的なものではなく、あらゆる区域にあらゆる形状が可能であり、具体的には、矩形、正方形、台形、円形、円錘形、半円形、楕円形、物品の前部若しくは後部に向かってすぼまる形、又は「ドッグボーン」若しくは「砂時計」形状におけるようなすぼみを有してすぼまる形、並びにそれらの組み合わせが可能である。
図6及び
図7は、例えば、水平面内で見たときに、台形形状を有する移行区域Z3を示す。
【0084】
地点A2を含む区域Z2はまた、例えば、
図4及び
図5に示されるように、物品の後縁部に向かって徐々に直線的に減少する坪量を有してもよく、そのため、地点A1を直接包囲する区域Z1と地点A2を直接包囲する区域Z2との間に移行区域は必要ない。これらの実施形態における区域Z2はまた、例えば、
図6に示されるように、半円形であるか、又は
図8に示されるように、組み合わせで表現されるときには、台形及び半円形状であってもよい。
【0085】
区域Z1はZ2よりも大きくてもよい。例えば、Z1は、物品の上側から見たときに、少なくとも50cm
2、又は少なくとも75cm
2又は少なくとも100cm
2、例えば100〜500cm
2の表面積を有してもよい。Z2は、物品の上側から見たときに、少なくとも10cm
2、又は少なくとも15cm
2又は少なくとも20cm
2、例えば20〜100cm
2の表面積を有してもよい。Z3は、物品の上側から見たときに、少なくとも10cm
2、又は少なくとも15cm
2又は少なくとも20cm
2、例えば20〜100cm
2の表面積を有してもよい。
【0086】
分散層を参照して区域Z1〜Z3を説明したが、種々の区域についての同じ比率がADSに全体的に適用されてもよく、及び/又は捕捉層が存在する場合には、捕捉層に適用されてもよい。
【0087】
分散層は、典型的には、30〜400g/m
2、特に、100〜300g/m
2の平均坪量を有してもよく、請求項に指示されているように、坪量は物品の長さに沿って変化する。区域Z1内の坪量は、例えば、50〜400g/m
2、とりわけ、100〜300g/m
2に及んでもよい。区域Z2内の坪量(区域が均質でない場合には、平均坪量)は、例えば、20〜200g/m
2、特に、30〜150g/m
2に及んでもよい。移行区域Z3が存在する場合には、移行区域Z3内の平均坪量は、例えば、50〜300g/m
2に及んでもよい。
【0088】
捕捉層52
ADSは捕捉層52を含んでもよい。捕捉層52の機能は、着用者のために良好な乾燥状態を提供するために、流体をトップシートから素早く捕捉して遠ざけることである。捕捉層52は、典型的には、トップシートの直下に配置される。分散層54が存在する場合には、分散層54は捕捉層52の下に少なくとも部分的に配設されてもよい。捕捉層52は、典型的には、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は、それとは別に、カーディングを施された化学接合された不織布を含む、例えば、SMS又はSMMS材料など、不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、具体的に、ラテックス結合されていてもよい。例示的な上部捕捉層52は、米国特許第7,786,341号で開示される。特に用いられる繊維が中実の円形PET短繊維(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60混合)である場合、カード加工された樹脂結合不織布を用いてもよい。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。不織布は、それらは加工ラインの外部で製造して蓄え、材料のロールとして使用することができるという利点を有する。
【0089】
更なる有用な不織布が、米国特許第6,645,569号(Cramerら)、同第6,863,933号(Cramerら)、同第7,112,621号(Rohrbaughら)、並びに同時係属中の米国特許出願第2003/148684号(Cramerら)、及び同第2005/008839号(Cramerら)に説明されている。
【0090】
捕捉層52は、例えば、スチレンーブタジエンラテックス結合剤(SBラテックス)などラッテクス結合剤により安定化されてもよい。そのような格子状構造を得るための方法は、例えば、欧州特許第149 880号(Kwok)及び米国特許出願第2003/0105190号(Diehlら)で既知である。特定の実施形態では、結合剤は、約12重量%、約14重量%、又は約16重量%を超えて捕捉層52に存在してもよい。SBラテックスは、商品名GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.(Akron,Ohio))で入手可能である。
【0091】
捕捉層52が存在する場合には、捕捉層52は、典型的には、水平面内で見たときに、図に示されるように、矩形形状を有してもよいが、それはまた、矩形、正方形、台形、円形、円錐形、半円形、楕円形、物品の前部若しくは後方に向かってすぼまる形又は「ドッグボーン」若しくは「砂時計」形状にあるような中央のすぼみを有してすぼまる形、並びにそれらの組み合わせなどの、任意の形状を有してもよい。捕捉層は、例えば、例えば、
図4、
図6及び
図8に示されるように、分散層54について示されているのと同様の様態で、矩形の中央部分、並びにコアの前部及び/又は後部の方の丸い端部を含んでもよい。
【0092】
上述の第1の捕捉層に加えて更なる捕捉層が用いられてもよい。例えば、第1の捕捉層と分散層との間に薄葉紙層が配置されてもよい。薄葉紙は、上述の捕捉層と比較して高められた毛管作用分散特性を有してもよい。薄葉紙及び第1の捕捉層は同じサイズであってもよいか、又は異なるサイズであってもよく、例えば、薄葉紙層は第1の捕捉層よりも更に吸収性物品の後部内に延在してもよい。親水性薄葉紙の一例は、供給元Havixからのセルロース繊維製の13〜15gsm高湿潤強度のものである。
【0093】
層間の関係
捕捉層が存在する場合には、この捕捉層は長手方向及び横断方向寸法が分散層よりも大きいか、又は最も少なくそれと同じ大きさであることが有利となり得る。それゆえ、分散層は捕捉層の上に堆積することができる。これは、例えば、特に、捕捉層は、原材料のロールから巻き出すことができる不織布であり、分散層は繊維の堆積によって捕捉層上に直接形成される場合に、取り扱いを簡単にする。ただし、捕捉層は物品の平面内で分散層よりも小さくてもよいことが排除されるわけではない。分散層はまた、コアラップの吸収性コアの上面又は物品の別の層上に直接堆積されてもよい。
【0094】
吸収性コア及び特にその吸収性材料堆積領域8は、有利には、ADSと少なくとも同じ大きさ及び長さであり、有利には、ADSよりも少なくとも部分的に大きく及び/又は長くてもよい。これは、SAP層は通常、ADSよりも広い領域にわたってより効果的に流体を保持し、乾燥状態の恩恵を提供することができるためである。吸収性物品は矩形吸収性材料堆積層及び非矩形(造形)ADSを有してもよい。吸収性物品はまた、矩形(非造形)分散層及びSAPの矩形層を有してもよい。
【0095】
異なる層の接着を改善するために、例えば、バックシートとコアラップとの間に、接着剤が通例用いられてもよい。通例、グルーは、当技術分野において既知の任意の標準的なホットメルト接着剤であってよい。接着剤は通例、2つの層を組み合わせる前に1つの層の表面の全体又は一部の上に吹き付けられてもよい。
【0096】
チャネル
吸収性コア内の吸収性材料堆積層は1本以上のチャネル26、26’を含んでもよいか、又は含まなくてもよい。チャネルは、SAPを実質的に含まない、吸収性材料堆積領域内の比較的大きな区域であってもよい。吸収性コア内のチャネルは、物品の長手方向に少なくとも部分的に配向され、吸収性物品の長さLの少なくとも10%になる長手方向軸上に投影された長さを有し、及び/又は少なくともチャネルのいくらかの部分内では少なくとも2mmの幅Wを有してもよい。追加のチャネル、特に、より短いか又はより薄いチャネルが存在してもよい。ADSはまた、吸収性コア内のチャネルに対応してもよいか又は対応しなくてもよいチャネルを含んでもよい。
【0097】
吸収性コアは、例えば、前方領域だけに、又は、例えば、中間(股あて)領域に、前方及び/又は後方領域に任意で延在するチャネルを2本だけ含んでもよい。股あて領域は、地点A1と地点A2との間のおむつの領域と定義することができる。吸収性コアは、2つ超の、例えば少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのこうしたチャネルを含んでもよい。これらのうちのいくつか又は全ては、互いに実質的に平行であってもよい。例えば全てが直線状でかつ完全に長手方向であってもよく、及び/又は2つ以上又は全てが、長手方向軸線において互いに鏡像になっていてもよく、若しくは2つ以上が、湾曲又は角度がついていてもよく、例えば、長手方向軸線において互いに鏡像で、かつ2つ以上が、異なった湾曲状又は直線状になっており、かつ例えば長手方向の軸で互いに鏡像になっていてもよい。
図1におけるチャネル27、27’の対によって表されているように、例えば、コアの後側又は前側内に、より短いチャネルがまた存在してもよい。
【0098】
チャネルは、流体が吸収性コア内に素早く浸透するのを助けるために特に有利となり得る。コアは、1本以上のチャネル、特に、長手方向軸80に対して対称的に配置されたチャネルの1つ以上の対を含んでもよい。チャネルはSAPを実質的に含まなくてもよいため、湿潤時も膨潤せず、かつ湿潤状態でも、典型的には、はっきりと目視可能である一方、はるかに小さい接合領域と堆積領域の一部は、SAPが拡大して接合領域にまで膨潤してしまうため、湿潤状態では目視できない場合がある。
【0099】
チャネルは、吸収性材料堆積領域8が矩形である場合に、特に有用であるが、これは、非矩形(造形)コアを使う利点が少なくなるまでチャネルがコアの可撓性を向上できるからである。無論、チャネルは、特定の形状を有する堆積領域を有するSAPの層にも存在してもよい。
【0100】
チャネルは、特に、実質的に長手方向に延在してもよい。これは、典型的には、各チャネルは横断方向よりも長手方向に長く延在し、典型的には、(それぞれの軸上への投影後に測定したときに)横断方向よりも長手方向には少なくとも2倍長く延在することを意味する。完全に、又は実質的に横断方向のチャネルはコア内に存在しなくてもよい。
【0101】
チャネルは、完全に長手方向に配向され、長手方向軸と平行であってもよいが、更に、曲率半径が、典型的には、吸収層の平均横断方向寸法と少なくとも等しい(及び好ましくはこの平均横断方向寸法の少なくとも1.5倍又は少なくとも2.0倍ある)場合には、湾曲していてもよく、更に、直線状であるが、長手方向軸に平行な線と(例えば5°〜)最大30°、又は例えば最大20°、又は最大10°の角度をなしてもよい。これは、更に、チャネルの2つの部分の間の前記角度が少なくとも120°、好ましくは少なくとも150°、及びこれらのいずれかの場合において、チャネルの長手方向の延伸が横断方向の延伸を超えるときに、その内部に角度を有するチャネルを含んでもよい。
【0102】
チャネルのうちの少なくとも1本は、少なくとも2mm、又は少なくとも3mm又は少なくとも4mm、例えば最大20mm、又は16mmである、その長さに沿った平均幅Wを有してもよい。吸収性材料堆積領域内の実質的に吸収性材料及び/又はSAPの無い区域によって形成されるチャネルの幅は、チャネルの実質的に全長を通じて一定であってもよいか、又はその長さに沿って変化してもよい。
【0103】
チャネルは、有利には、恒久的チャネルであり、それの意味するところは、それらの完全性が乾燥状態及び湿潤状態両方で少なくとも部分的に保たれるということである。恒久的チャネルは、例えば、チャネルの壁内の吸収性材料に対する基材の粘着を容易にする接着材料の繊維層又は構成グルーなど、1つ以上の接着材料を設けることにより得られてもよい。以下に記載される湿潤チャネル完全性試験は、チャネルが湿潤飽和の後に恒久的であるか、及びそれがどの程度であるかを試験するために使用され得る。
【0104】
恒久的チャネルは、具体的には、コアラップの上側と下側(例えば、第1の基材16と第2の基材16’)をチャネルを通して互いに接合することによって形成されてもよい。典型的には、コアラップの両側をチャネルを通して接合するためには接着剤を使用できるが、例えば、超音波接合又は熱接合など他の既知の手段によって接合することも可能である。コアラップの上側及び底側はチャネルに沿って連続的に接合するか又は断続的に接合することができる。
【0105】
チャネルは、漏れのリスクを低減する、素早い液体捕捉を提供し得る、チャネルは、流体排出の領域内の吸収層の飽和を回避するのに役立ち得る(かかる飽和により、漏れのリスクが増す)。更に、発明者らは、驚くべきことに、予想されるであろうものとは対照的に、吸収性構造体内のSAP材料の全体量を(このような材料を含まないチャネルを提供することにより)減らす一方で、吸収性物品の流体処理特性が向上することを見いだした。恒久的チャネルはまた、湿潤状態において、超吸収性ポリマーはコア内を移動できず、その意図した位置にとどまるため、より良いフィット性及び流体吸収が提供されるという更なる利点を有する。
【0106】
有利なことに、チャネルが存在する場合には、チャネルは、湿潤チャネル完全性試験に従い、少なくとも20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%の完全性の百分率を有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、長手方向軸80に一致するチャネルは存在しない。長手方向軸に関して対称な対として存在する場合には、チャネルはそれらの長手方向寸法全体にわたって互いから離間していてもよい。最小離間距離は、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも16mmであってもよい。
【0108】
更に、流体の漏れのリスクを低減するために、チャネルは通例、吸収性材料堆積領域8のいずれの縁部までも延在しなくてよく、したがって、この領域内に完全に包含される。典型的には、チャネルと、吸収性材料堆積領域の最も近い縁部との間の最小距離は少なくとも5mmである。
【0109】
締結システム
おむつ20はまた締結システムを含んでもよい。締結システムは、おむつ20の周縁あたりに横方向の張力を提供し、おむつを着用者に保持するために用いることができる。この締結システムはトレーニングパンツ物品には必要ない。なぜなら、これらの物品の腰部領域はもとから接合されているからである。締結システムは、通常、テープタブ、フック及びループ締結構成要素、タブ及びスロットのような噛み合い式締結具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体の締結構成要素といった締結具を含むが、任意のその他の既知の締結手段も、一般には許容される。通常、ランディング区域(図示せず)が、締結具が取り外し可能に取り付けられるように前側の腰部領域上に設けられる。いくつかの例示的な表面締結システムが、Buellに対して発行された米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274に開示される。例示的な噛み合い式締結システムは、米国特許第6,432,098号に開示される。締結システムは更に、Robertsonらに対して発行された米国特許第4,963,140号に開示されるように、物品を使い捨て可能な構成で保持するための手段を提供してもよい。
【0110】
締結システムは、重なり部分の移動を減少させるために米国特許第4,699,622号に開示されるような、又はフィットを改善させるために米国特許第5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、及び同第5,591,152号に開示されるような、一次及び二次締結システムも更に含み得る。
【0111】
前部及び後部耳部46、40
当該技術分野で公知である通り、おむつ20は、前部耳部46及び後部耳部40を含み得る。耳部は、例えばサイドパネルとしてトップシート及び/又はバックシートから形成される、シャーシの一体部分であり得る。あるいは、
図1に示されるように、耳部は、接着及び/又は熱エンボス加工によって取り付けられる別個の要素であってもよい。後部耳部40は、ランディング領域40上へのタブ42の取り付けを容易にし、かつテープで留められたおむつを着用者の腰部周辺に保持するように、伸縮性であるのが有利である。後部耳部40もまた、弾性耳部がおむつ20の側部を伸縮させるために、先ずおむつ20を着用者にぴったりとフィットさせ、続いておむつ20が排出物で充填されてからかなり後の着用期間中もこのフィットを維持することによって、より快適かつ体型に合ったフィットを提供するように、弾性又は延伸性であってよい。
【0112】
レッグカフ
おむつ20は通例、液体及び他の身体排泄物の閉じ込めを改善する、レッグカフを備えてもよい。レッグカフはまた、レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフ、又は弾性カフと呼んでもよい。通常、それぞれのレッグカフは、おむつの使用中に効果的な密封を提供するために、例えば脚部開口部領域でのトップシートとバックシートとの間などのおむつのシャーシ内に含まれる1本以上のゴムひも33を含むことになる(「ガスケッチングカフ」)。また、通常、レッグカフは、脚部領域の閉じ込めを改善する「直立型」の弾性フラップ(「バリアレッグカフ」)を含む。それぞれのバリアレッグカフは通例、1本以上のゴムひもを含む。通例、バリアレッグカフはガスケッチングカフよりも更に物品の中央部の方に配置される。
【0113】
米国特許第3,860,003号では、弾性レッグカフ(ガスケットカフ)を提供するためにサイドフラップ、及び1つ以上の弾性部材を有する、収縮可能な脚部開口部を提供する使い捨ておむつが説明されている。Azizらに対して発行された米国特許第4,808,178号及び同第4,909,803号では、脚部区域の収容を改善する「立ち上がり」弾性フラップ(バリアカフ)を有する使い捨ておむつが説明されている。それぞれLawson及びDragooに対して発行された米国特許第4,695,278号、及び同第4,795,454号には、ガスケットカフ及びバリアレッグカフを含む二重カフを有する使い捨ておむつが記載されている。幾つかの実施形態では、以上に記載されたように、レッグカフのすべて又は一部分をローションで処理することが望ましい場合がある。レッグカフは便宜上、図に示されていないが、存在すると考えるべきである。
【0114】
弾性腰部機構
おむつ20は更に、改善したフィット及び封入を提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性腰部機構(図示せず)を備え得る。弾性腰部機構は、一般に、弾性的に伸縮して、着用者の腰部に動的に適合することが意図される。弾性腰部機構は、吸収性コア28の少なくとも1つの腰部縁部から少なくとも長手方向外方へと延び、おむつ20の終縁部の少なくとも一部分をほぼ形成することが好ましい。使い捨ておむつは、一方は前側腰部領域内に位置付けられ、一方は後側腰部領域内に位置付けられる、2つの弾性腰部機構を有するように構築することができる。弾性腰部機構は、米国特許第4,515,595号、同第4,710,189号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に説明されるものなどの、多種多様な構成で構築されてもよい。
【0115】
物品の製作方法
本発明の吸収性物品は、当技術分野において既知の任意の従来の方法によって製作されてよい。具体的には、物品は手作業で作られるか、又は工業的に高速度で生産されてもよい。賦形されたADSは、種々の手法を用いて得ることができる。例えば、ADS又はその部分が原材料のロールで作られる場合には、本発明の必要な寸法を達成するために、地点A1においては、地点A2におけるよりも材料のロールの層が多く配設されてもよい。例えば、ADSの第1の層は少なくともA1から少なくともA2まで広げられ、延ばされてもよく、同じ又は異なる材料ロール材料の第2の層は少なくともA1から第1の層の上方に配置されるが、A2には達しない。この場合には、A1及びA2における坪量の差は50%になる。A1とA2との間には2つの層が広げられてもよく、第3のものはA1の上にくるが、A2には達せず、33%の差を与える。ADSが、架橋セルロースなどの、加工ライン上で堆積される繊維材料を含む場合には、図に示される分散層52について示されるように、A1を包囲する領域内には、A2を包囲する領域内よりも多くの材料を堆積させることが可能である。賦形されたコアを形成するために用いられる標準的な設備がこの目的のために用いられてもよい。典型的には、これらの設備は、吸引デバイスに接続される必要な形状を有する空洞を含み、繊維を空洞内部に吸引して、賦形された層を形成する。その後、形成された繊維層は、自ら吸収性物品の構成要素になってもよい基材、典型的には不織布基材、内に放される。無論、必要な特性を有する「手製」繊維層を作ることも可能である。
【0116】
実験の設定
別段の指示がない限り、本明細書に説明される値は、以下に説明される方法に従って計測された。全ての測定は、別に指定されない限り、21±2℃及び50±20% RHで実行される。
【0117】
−遠心分離保持容量(CRC)
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。CRCは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定する。
【0118】
−キャリパー(物品の厚さ)
設備:0.01mmの分解能を有するミツトヨ手動キャリパーゲージ−−又は同等の計器。
【0119】
コンタクトフット(Contact Foot):直径20mm(±0.2mm)を備える平坦な環状フット。目標重量を達成するために、円形の重りがフットに適用されてもよい(例えば、計器シャフトの周囲の適用を促進するためのスロットを備える重り)。フット及び追加された重り(シャフトを含む)の総重量は、2.07kPa(0.30psi)の圧力を試料に提供するように選択される。
【0120】
キャリパーゲージは、コンタクトフットの下面を水平面内にして、コンタクトフットの下面が、およそ20×25cmのベースプレートの平坦な水平上面の中心に接触するように、装着される。ゲージは、コンタクトフットがベースプレート上に載っている状態で、0を示すように設定される。
【0121】
定規:mm単位で目盛が付けられた較正済の金属定規
【0123】
試料の調製:
吸収性物品がパッケージに入って提供される場合には、試験する試料物品はパッケージの中央領域から取り出す。パッケージが、4つを超える物品を包含する場合には、パッケージのそれぞれの側の最も外側の2つの物品は試験で使用しない。パッケージが、4つを超えるが14個よりも少ない物品を包含する場合には、このとき、試験を完了するために、物品の1つを超えるパッケージが必要とされる。パッケージが14個以上の物品を包含する場合には、このとき、試験を実行するために、物品の1つのパッケージのみが必要とされる。パッケージが4つ以下の物品を包含する場合には、このとき、測定を実行するために、パッケージ内の全ての物品が測定され、複数のパッケージが必要とされる。キャリパー指示値は、物品をパッケージから取り出してから24±1時間後に取得しなければならない。製品の物理的操作は最小限であり、必要な試料の準備のみに限定されるべきである。
【0124】
物品がキャリパーフットの下に平らに置かれるのを妨げる物品の弾性構成要素はいずれも切断するか、又は取り除く。これらにはレッグカフ又はウエストバンドを挙げることができる。パンツタイプの物品は必要に応じてサイドシームに沿って開くか又は切断する。全ての折り目/しわを平らにのばすために十分な張力を加える。吸収性コア及びADS領域に触れ、及び/又はそれを圧縮してしまうことを避けるように注意する。物品の長手方向中心線に沿って前縁部から後縁部まで物品の長さを測定する。
【0125】
測定手順:
物品はカウンタトップ上に、衣類に面する側を下にして平らに置く。おむつ前縁部及び後縁部から規定の距離Dにおいて、物品の身体に面する表面を横切る横線を引く。距離Dは物品の全長の32%と規定される。永久フェルトペンを用いて距離Dにおける横線と長手方向中心線との交点に印を付ける。これらの交点は、キャリパー測定中にキャリパーフットの中心が配置される箇所を表し、「後部キャリパー」及び「前部キャリパー」測定点と呼ばれる。
【0126】
キャリパーゲージのコンタクトフットを上げ、物品を、衣類に面する表面側を下にしてベースプレート上に配置し、それにより、下ろすと、印を付けた測定点のうちの1つの上にフットの中心が載るようにする。
【0127】
フットを物品上に静かに下ろし、放す(測定の開始前に「0」への校正を確実にする)。フットを放してから10秒後に、キャリパー値を0.01mmの位まで四捨五入して読む。
【0128】
手順を測定点ごとに繰り返す。測定点に折り目がある場合には、この点に最も近い、ただし、折り目のない領域内で測定を行う。
【0129】
所与の製品について10個の物品をこのように測定し、「平均前部キャリパー」及び「平均後部キャリパー」値を10分の1mmの精度で算出し、報告する。
【0130】
−ADS又はその構成要素層の坪量
地点A1及びA2における、ADS、又は捕捉層及び分散層などのその構成要素層のうちのいずれかの坪量は通例、製造元によって製品製造仕様書から分かるであろう。しかし、所与の物品について坪量が分からない場合には、坪量は以下の仕方で測定することができる。測定は10個の同様の物品に対して行い、測定した値を平均しなければならない。
【0131】
坪量は、地点A1及びA2上にそれぞれ中心を有する1cmの直径を有する吸収性物品の円形の試料を打ち抜くことによって測定される。地点A1及び/又はA2がADSの縁部上にあるせいでちょうど地点A1又はA2を中心としてADSを打ち抜くことが可能でない場合には、打ち抜きの縁部がADSの縁部と一致するように、打ち抜き工具を物品の中心の方へ少し(最大5mmだけ)移動させる。
【0132】
次に、試料内のADS又はその構成要素層の材料を他の層の材料から分離する。目的の材料の重量を正確な重量計(±0.0001g以内)上で計り、試料の重量及び面積によって坪量が決まる。
【0133】
湿潤チャネル完全性試験
この試験は、湿潤飽和後の吸収性コア内のチャネルの完全性を調べるように設計される。
1.チャネルの全長(単位:ミリメートル)を乾燥状態で測定する(チャネルが真っ直ぐでない場合には、チャネルの中央を通る曲線上の長さを測定する)。
2.次に、吸収性コアを、蒸留水に適切な量の塩化ナトリウムを溶解させて調製した1000ml溶液当たり9.00gNaClの濃度の大過剰(例えば5リットル)の合成尿「食塩水」に完全に浸す。溶液の温度は20±5℃でなくてはならない。
3.食塩水内で1分経過後、コアを取り出し、一方の端部によって5秒間垂直に保持して水切りし、その後、水平面上に、上側(物品内で着用者に面するように意図される側)を上に向けて、平らに延ばす。コアが伸縮性要素を含む場合には、収縮が観察されないようにそれをぴんと引っ張る。コアは、収縮が起きることができないように、締め具によってその前縁部及び後縁部で水平面に固定することができる。
4.吸収性コアを、以下の寸法:コアの全長と等しい長さ、及び最も広い地点における最大コア幅と等しい幅、を有する、矩形の好適な重さの剛性プレートで覆う。
5.上記の剛性プレートの領域にわたり、18.0kPaの圧力が30秒間適用される。圧力は、剛性プレートによって包囲される全領域に基づいて計算される。圧力は、剛性プレートの重量及び追加的な重量の合計が、剛性プレートの全領域にわたり18.0kPaを生じるように、剛性プレートの幾何学的中心に追加的な重量を配置することにより、達成される。
6.30秒後、追加的な重量及び合成プレートが取り除かれる。
7.その直後、完全な状態のままであるチャネルの部分の合計長さが測定される(mm、チャネルが真っ直ぐでないとき、チャネルの中央を通じた曲線状の長さが測定される)。チャネルのいずれの部分も完全でない場合、チャネルは恒久的でない。
8.恒久的なチャネルの一体性の割合は、完全なままのチャネルの部分の合計長さを、乾燥状態のチャネルの長さで割り、その商に100を掛けることによって算出される。
【0134】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。