特許第6181207号(P6181207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181207
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】サーミスタ材料及びそれを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/468 20060101AFI20170807BHJP
   H01C 7/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C04B35/468
   H01C7/02
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-555572(P2015-555572)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公表番号】特表2016-510302(P2016-510302A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】CN2014071418
(87)【国際公開番号】WO2014117689
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2015年9月24日
(31)【優先権主張番号】201310034876.3
(32)【優先日】2013年1月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505327398
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ・イェンシュァイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ・ウェイ
【審査官】 國方 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−256179(JP,A)
【文献】 特開平02−026866(JP,A)
【文献】 特開平08−213206(JP,A)
【文献】 特開平11−092234(JP,A)
【文献】 特開2000−313661(JP,A)
【文献】 特開2007−001821(JP,A)
【文献】 特表2005−500239(JP,A)
【文献】 特開平05−116943(JP,A)
【文献】 特開平08−239215(JP,A)
【文献】 特開2000−264726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/468
H01C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーミスタ材料を調製する方法であって、
BaTiO、B、SiO、LiO、P、CsO、及びNdを含む第1の混合物を提供する工程であって、前記第1の混合物100重量部に対して、BaTiO、94.85重量部〜97.75重量部であり、B、0.4重量部〜2.5重量部であり、SiO、0.5重量部〜0.9重量部であり、LiOが、0.08重量部〜0.2重量部であり、P、0.2重量部〜0.3重量部であり、CsOが、0.6重量部〜0.725重量部であり、Nd、0.325重量部〜0.565重量部である工程と;
前記第1の混合物を800℃〜900℃で焼結して第1の粉末材料を形成する工程と;
前記第1の粉末材料を、Al及びTiOを含む第2の混合物と混合して、第2の粉末材料を形成する工程であって、前記第2の混合物中、BaTiO 100重量部に対して、Al、0.06重量部〜0.08重量部であり、TiO、0.07重量部〜0.08重量部である工程と;
前記第2の粉末材料を造粒、ペレット化、及び成形して、成形材料を形成する工程と;
前記成形材料を熱処理に付す工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
焼結工程の前に第1の混合物を粉砕に付す工程と、
造粒工程の前に第2の粉末材料を粉砕に付す工程と
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合工程において、第1の粉末材料を第2の混合物及び焼結添加剤と混合する請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
焼結添加剤が、酸性シリカゾルを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
造粒工程が、有機結合剤を用いることによって行われる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
有機結合剤が、5重量%〜6重量%の濃度を有するポリビニルアルコール溶液を含み、第2の粉末材料100重量部に対して、前記ポリビニルアルコール溶液が、0.1重量部〜0.2重量部である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
熱処理が、
80℃〜600℃の第1の温度における第1の熱処理と;
,150℃〜1,180℃の第2の温度における第2の熱処理と;
,200℃〜1,270℃の第3の温度における第3の熱処理と;
,100℃〜1,175℃の第4の温度における第4の熱処理と
を含む請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
第1の熱処理が、60分間〜120分間行われ、第2の熱処理が、20分間〜40分間行われ、第3の熱処理が、50分間〜70分間行われ、第4の熱処理が、50分間〜70分間行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の温度が、4.0℃/分〜5.2℃/分の昇温速度で達成され、第3の温度が、3.0℃/分〜10℃/分の昇温速度で達成され、第4の温度が、1.1℃/分〜3.5℃/分の降温速度で達成される請求項7から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
熱処理が、
00℃〜610℃で90分間〜110分間の第5の熱処理
を更に含む請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
焼結工程が、
00℃〜620℃の第5の温度における第1の焼結と、
00℃〜900℃の第6の温度における第2の焼結と
を含む請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
第1の焼結工程が、50分間〜70分間行われ、第2の焼結工程が、60分間〜70分間行われ、第5の温度が、4.2℃/分〜5.2℃/分の昇温速度で第6の温度に昇温される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
造粒工程が、噴霧造粒を介して実施され、前記造粒工程では、第2の粉末材料が、200μm〜1,000μmの平均直径を有する造粒粒子に造粒される請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ペレット化工程が、20MPa〜30MPaの圧力下で実施される請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
,125℃〜1,250℃の第7の温度で1時間〜1.5時間保持する工程と、
冷却する工程と
を更に含む請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
第7の温度が、250℃/時〜300℃/時の昇温速度で達成され、冷却工程が、300℃/時〜350℃/時の降温速度で行われる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
BaTiOが、
.5〜3.5のpH下でバリウム塩、チタン酸塩、及びシュウ酸溶液を混合して第1の溶液を形成する工程と;
前記第1の溶液を共沈に付して、シュウ酸チタンバリウム前駆体を形成する工程と;
20℃〜820℃で0.8時間〜1.2時間、前記シュウ酸チタンバリウム前駆体をか焼する工程と
によって調製される請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
混合物からなるサーミスタ材料であって、前記混合物が、BaTiO、B、SiO、LiO、P、CsO、Nd、Al、及びTiOを含み、
BaTiO 100重量部に対して、Bが、1.05重量部〜2.64重量部であり、SiOが、0.52重量部〜0.94重量部であり、LiOが、0.084重量部〜0.21重量部であり、Pが、0.21重量部〜0.32重量部であり、CsOが、0.63重量部〜0.764重量部であり、Ndが、0.343重量部〜0.596重量部であり、Alが、0.06重量部〜0.08重量部であり、TiOが、0.04重量部〜0.08重量部であることを特徴とするサーミスタ材料。
【請求項19】
BaTiO 100重量部に対して、Bが、1.08重量部〜2.60重量部であり、SiOが、0.55重量部〜0.90重量部であり、LiOが、0.088重量部〜0.20重量部であり、Pが、0.25重量部〜0.30重量部であり、CsOが、0.65重量部〜0.75重量部であり、Ndが、0.35重量部〜0.55重量部であり、Alが、0.06重量部〜0.08重量部であり、TiOが、0.04重量部〜0.08重量部である請求項18に記載のサーミスタ材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その開示内容の全体を参照により援用する、中華人民共和国国家知識産権局に2013年1月30日に出願された中国特許出願第201310034876.3号の優先権及びその利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、サーミスタ材料及び前記サーミスタ材料を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この項における記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであって、先行技術を構成するものではない。
【0004】
過電流又は過熱条件における保護素子としての正温度係数(PTC)サーミスタは、コンピュータ及びその周辺機器、携帯電話、バッテリーパック、電気通信機器、ネットワーク機器、変圧器、工業用制御機器、車両、及び他の電気製品で広く用いられている。例えば、チタン酸バリウムPTCサーミスタは、温度係数が高いことから様々な産業で広く用いられている。
【0005】
従来のチタン酸バリウムPTCサーミスタは、一般的に、約120℃のキュリー温度を有する。現在、チタン酸バリウムPTCサーミスタの動作温度を上昇させるために、チタン酸バリウム粉末の半導体化プロセスに関する多くの研究がなされており、例えば、ドナードーピング又はアクセプタードーピングを実施することができる。ドナードーピングは、Pb、Sr、Ca、Y、Nb、Bi、Ce、又はLaを用いることによって処理され得、アクセプタードーピングは、Mn、Fe、又はMgを用いることによって処理され得る。しかし、これらチタン酸バリウムPTCサーミスタは、高い周囲抵抗を有することがある。また、半導体化プロセス中の焼結プロセスは、制御が困難であり得るので、チタン酸バリウム粉末が不均一に半導体化されることがある。このように、チタン酸バリウム粉末が不均一になることがあるので、チタン酸バリウムPTCサーミスタは、高い結晶粒抵抗及び高い結晶粒界抵抗を有することがある。したがって、チタン酸バリウムPTCサーミスタは、高い周囲抵抗及び低下した揚力対抗力比を有し得、このことは、その開発及び適用を大幅に制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、従来技術に存在する問題のうちの少なくとも1つを少なくともある程度解決することを目的とする。この目的のために、サーミスタ材料及びサーミスタ材料を調製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様によれば、サーミスタ材料を調製する方法が提供される。前記方法は、BaTiO、B、SiO、LiO、P、CsO、及びNdを含有する第1の混合物であって、前記第1の混合物100重量部に対して、BaTiOが、約94.85重量部〜約97.75重量部であり、Bが、約0.4重量部〜約2.5重量部であり、SiOが、約0.5重量部〜約0.9重量部であり、LiOが、約0.08重量部〜約0.2重量部であり、Pが、約0.2重量部〜約0.3重量部であり、CsOが、約0.6重量部〜約0.725重量部であり、Ndが、約0.325重量部〜約0.565重量部である第1の混合物を提供する工程と;前記第1の混合物を約800℃〜約900℃で焼結して第1の粉末材料を形成する工程と;前記第1の粉末材料をAl及びTiOを含む第2の混合物とを混合して、第2の粉末材料を形成する工程であって、前記第2の混合物中、BaTiO 100重量部に対して、Alが、約0.06重量部〜約0.08重量部であり、TiOが、約0.07重量部〜約0.08重量部である工程と;前記第2の粉末材料を造粒、ペレット化、及び成形して、成形材料を形成する工程と;前記成形材料を熱処理に付す工程とを含み得る。
【0008】
幾つかの実施形態では、熱処理は、約580℃〜約600℃の第1の温度における第1の熱処理と;約1,150℃〜約1,180℃の第2の温度における第2の熱処理と;約1,200℃〜約1,270℃の第3の温度における第3の熱処理と;約1,100℃〜約1,175℃の第4の温度における第4の熱処理とを含む。
【0009】
本開示の別の態様によれば、上述の方法によって調製されるサーミスタ材料が提供される。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、本開示の実施形態に係る方法を用いると、調製されるサーミスタ材料に様々な酸化物(BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、Nd3、Al、及びTiO)がドープされ得ることを見出した。その結果、前記サーミスタ材料のキュリー温度、耐電圧、及び揚力対抗力比を上昇させることができ、前記サーミスタ材料の周囲抵抗、結晶粒抵抗、及び結晶粒界抵抗を低下させることができる。更に、本開示の実施形態に係る方法は、操作が容易であり得、焼結条件に対する要件が低く(例えば、焼結工程は、優れた焼結条件を有し且つ制御が容易である)、コストも低い。このように、調製されるサーミスタ材料の収量及び均一性を改善することができる。サーミスタ材料は、高い正温度係数(PTC)を有し得るので、前記サーミスタ材料は、PTCサーミスタ材料と呼ばれることもある。
【0011】
本開示の実施形態に係る方法を用いると、ドナードーピング及びアクセプタードーピングの混合ドーピングによってチタン酸バリウム(BaTiO)を均一に半導体化することができる。前記方法中にドナードーピング及びアクセプタードーピングの両方を行うので、焼結工程中にBaTiO粉末が均一になり得、結晶粒抵抗及び結晶粒界抵抗が低くなり得、それによって、サーミスタ材料の周囲抵抗が更に低下し得、揚力対抗力比が改善され得る。更に、前記サーミスタ材料の他の性能も改善され得るので、本開示の実施形態に従って調製されるサーミスタ材料は、様々な分野に適用することができる。
【0012】
本開示の実施形態によれば、調製されるサーミスタ材料は、20オーム未満の周囲抵抗、400ボルト超の動作電圧、900ボルト以下の降伏電圧、約200℃のキュリー温度、及び6超の揚力対抗力比を有し得る。したがって、本開示の実施形態に従って調製されるサーミスタ材料は、高圧及び高温環境において適用することができる。
【0013】
本開示の更なる態様によれば、サーミスタ材料が提供される。サーミスタは、混合し、混合物を加熱することによって調製することができ、前記混合物は、BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、Nd3、Al及びTiOを含有し得る。
【0014】
本開示の実施形態によれば、サーミスタ材料のキュリー温度、耐電圧、及び揚力対抗力比を上昇させることができ、前記サーミスタ材料の周囲抵抗、結晶粒抵抗、及び結晶粒界抵抗を低下させることができる。更に、前記サーミスタ材料は、製造が容易であり得且つ製造コストが低い。前記サーミスタ材料は、高い正温度係数(PTC)を有し得るので、前記サーミスタ材料は、PTCサーミスタ材料と呼ばれることもある。更に、前記サーミスタ材料の他の性能も改善され得るので、本開示の実施形態に従って調製されるサーミスタ材料は、様々な分野に適用することができる。
【0015】
本開示の実施形態によれば、サーミスタ材料は、20オーム未満の周囲抵抗、400ボルト超の動作電圧、900ボルト以下の降伏電圧、約200℃のキュリー温度、及び6超の揚力対抗力比を有し得る。したがって、前記サーミスタ材料は、高圧及び高温環境において適用することができる。
【0016】
本開示の実施形態の更なる態様及び利点は、以下の明細書に部分的に記載されており、以下の明細書から部分的に明らかになるか、又は本開示の実施形態の実施から習得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示のこれら及び他の態様及び利点は、図面と併せて以下の明細書から明らかになり、より容易に理解される。
図1図1は、本開示の一例に係るサーミスタ材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図2図2は、本開示の別の例に係るサーミスタ材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図3図3は、本開示の更に別の例に係るサーミスタ材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図4図4は、本開示の更に別の例に係るサーミスタ材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図5図5は、本開示の一例に係るサーミスタ材料を調製する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態を詳細に参照し、記載する実施形態のサンプルを図面に示す。図面を参照して本明細書に記載する実施形態は、説明、例証を意図するものであり、一般的に、本開示を理解するために用いられる。前記実施形態は、本開示を限定するものであると解釈すべきではない。
【0019】
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、特に指定しない限り、数値の定義は、常に極値を含む。
【0020】
更に、「第1」及び「第2」等の用語は、説明目的のために本明細書で用いられ、相対的な重要性又は意義を示す又は意味することを意図するものではない。
【0021】
上述の特徴及び以下に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなしに、指定する特定の組み合わせだけではなく他の組み合わせでも又は単独でも用いることができる。
【0022】
本開示の態様の実施形態は、サーミスタ材料を調製する方法を提供する。前記方法は、以下の工程s501〜505を含み得る。前記方法については、図5を参照して以下に記載する。
【0023】
工程s501:BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、及びNdを含有する第1の混合物を提供する。
【0024】
幾つかの実施形態では、第1の混合物100重量部に対して、BaTiOの量は、約94.85重量部〜約97.75重量部であり、Bの量は、約0.4重量部〜約2.5重量部であり、SiOの量は、約0.5重量部〜約0.9重量部であり、LiOの量は、約0.08重量部〜約0.2重量部であり、Pの量は、約0.2重量部〜約0.3重量部であり、CsOの量は、約0.6重量部〜約0.725重量部であり、Ndの量は、約0.325重量部〜約0.565重量部である。
【0025】
本開示の幾つかの実施形態では、工程s501において、第1の混合物は、BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、及びNdの粉末を均一に混合することによって提供され得る。BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、及びNdを混合する順序は特に限定されないことに留意すべきである。
【0026】
工程s502:第1の混合物を約800℃〜約900℃で焼結して第1の粉末材料を形成する。
【0027】
本開示の1つの実施形態では、前記方法は、焼結工程前に第1の混合物を粉砕に付す工程を更に含む。本開示における粉砕の方法は特に限定されず、当業者に公知の任意の一般的な装置を使用することによって粉砕を実施してよく、例えば、遊星ボールミルを用いてボールミル粉砕することによって粉砕を実施してよい。
【0028】
本開示の幾つかの実施形態では、工程s502は、約100分間〜約120分間実施してよい。約800℃〜約900℃の温度は、約4.2℃/分〜約5.2℃/分の昇温速度で達成され得る。
【0029】
本開示の1つの実施形態では、焼結工程は、多段階焼結を介して実施してよい。例えば、本開示の1つの実施形態では、焼結工程は、約500℃〜約620℃における第1の焼結と、約800℃〜約900℃における第2の焼結とを含む。
【0030】
本開示の幾つかの実施形態では、第1の焼結工程は、約50分間〜約70分間行われ、第2の焼結工程は、約60分間〜約70分間行われる。
【0031】
幾つかの実施形態では、第1の焼結工程における約500℃〜約620℃の温度は、約4.5℃/時〜約5.0℃/時の昇温速度で達成され、前記第1の焼結工程における約500℃〜約620℃の温度は、約4.2℃/分〜約5.2℃/分の昇温速度で第2の焼結工程における約800℃〜約900℃に昇温される。
【0032】
工程s503:第1の粉末材料をAl及びTiOを含有する第2の混合物と混合して、第2の粉末材料を形成する。
【0033】
幾つかの実施形態では、BaTiO 100重量部に対して、Alの量は、約0.06重量部〜約0.08重量部であり、TiOの量は、約0.07重量部〜約0.08重量部である。
【0034】
本開示の幾つかの実施形態では、工程s503において、第1の粉末材料を第2の混合物及び焼結添加剤と混合する。1つの実施形態では、前記焼結添加剤は、酸性シリカゾルを含有する。前記酸性シリカゾルは、市販されている場合があることに留意すべきである。或いは、前記酸性シリカゾルは、40:4:1の比率に従ってエチルアルコール、水、及びオルトケイ酸テトラエチルを混合して第1の混合物を形成する工程と;撹拌中に前記第1の混合物に塩酸1.1モルを添加しながら、水浴を用いて前記第1の混合物を60℃で5時間撹拌して、第2の混合物を形成する工程と;前記第2の混合物を24時間静置する工程とによって調製することもできる。
【0035】
1つの実施形態では、焼結添加剤は、第1の粉末材料100重量部に対して約0.02重量部〜約0.04重量部であってよい。
【0036】
工程s504:第2の粉末材料を造粒、ペレット化、及び成形して成形材料を形成する。
【0037】
幾つかの実施形態では、前記方法は、造粒工程前に第2の粉末材料を粉砕に付す工程を更に含む。
【0038】
本開示の幾つかの実施形態では、造粒工程は、有機結合剤を用いることによって行われる。
【0039】
1つの実施形態では、有機結合剤は、ポリビニルアルコール溶液を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、前記ポリビニルアルコール溶液は、約5重量%〜約6重量%(例えば、5重量%)の濃度を有していてよい。
【0040】
幾つかの実施形態では、第2の粉末材料100重量部に対して、ポリビニルアルコール溶液は、約0.1重量部〜約0.15重量部(例えば、0.1重量部)である。
【0041】
本開示の幾つかの実施形態では、造粒工程は、噴霧造粒を介して実施してよい。その結果、調製されるサーミスタ材料の性能が更に改善され得る。本開示の幾つかの実施形態では、造粒工程において、第2の粉末材料は、約200μm〜約1,000μmの平均直径を有する造粒粒子に造粒される。
【0042】
本開示の幾つかの実施形態では、ペレット化工程は、約20MPa〜約30MPaの成形圧下で実施してよい。その結果、成形材料の緻密度が更に改善され得る。
【0043】
工程505:成形材料を熱処理に付す。
【0044】
本開示の幾つかの実施形態では、熱処理は、約580℃〜約600℃の第1の温度における第1の熱処理と;約1,150℃〜約1,180℃の第2の温度における第2の熱処理と;約1,200℃〜約1,270℃の第3の温度における第3の熱処理と;約1,100℃〜約1,175℃の第4の温度における第4の熱処理とを含んでいてよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、第1の熱処理において有機結合剤を除去し;第2の熱処理において補足的合成を行い;第3の熱処理において更なる焼結を行い;第4の熱処理において酸化反応を行う。
【0046】
本開示の1つの実施形態では、第1の熱処理は、約60分間〜約120分間行い、第2の熱処理は、約20分間〜約40分間行い、第3の熱処理は、約50分間〜約70分間行い、第4の熱処理は、約50分間〜約70分間行う。
【0047】
本開示の1つの実施形態では、第1の温度は、約4.0℃/分〜約5.2℃/分の昇温速度で達成され、第3の温度は、約3.0℃/分〜約10℃/分の昇温速度で達成され、第4の温度は、約1.1℃/分〜約3.5℃/分の降温速度で達成される。
【0048】
本開示の1つの実施形態では、熱処理は、約600℃〜約610℃で約90分間〜約110分間の第5の熱処理を更に含んでいてよい。本開示の1つの実施形態では、第5の処理後、得られた生成物を室温に冷却する。
【0049】
本開示の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、約1,125℃〜約1,250℃の温度で約1時間〜約1.5時間保持する工程と、冷却する工程とを更に含んでいてよい。
【0050】
本開示の1つの実施形態では、約1,125℃〜約1,250℃の温度は、約250℃/時〜約300℃/時の昇温速度で達成され、冷却工程は、室温になるまで約300℃/時〜約350℃/時の降温速度で行われる。その結果、サーミスタ材料の性能は、更に改善され得る。
【0051】
本開示の幾つかの実施形態では、BaTiOは、市販されている場合がある。或いは、BaTiOは、共沈法によって調製してもよい。1つの実施形態では、共沈法は、約2.5〜約3.5のpH下でバリウム塩、チタン酸塩、及びシュウ酸溶液を混合して第1の溶液を形成する工程と;前記第1の溶液を共沈に付して、シュウ酸チタンバリウム前駆体を形成する工程と;約720℃〜約820℃で約0.8時間〜約1.2時間、前記シュウ酸チタンバリウム前駆体をか焼する工程とを含んでいてよい。
【0052】
具体的には、BaTiOは、以下の工程を用いて調製してよい。先ず、0.5モル/Lの分析的に純粋な塩化バリウム溶液及び0.5モル/Lのシュウ酸溶液を、それぞれ、脱イオン水を用いることによって調製する。次に、前記シュウ酸溶液1,000mLを60℃の温度の電子恒温水槽に入れ、次いで、50mL/分の供給速度で分析的に純粋なチタン酸ブチル及び前記塩化バリウム溶液を前記シュウ酸溶液に添加して混合溶液を形成し、次いで、得られた混合溶液を磁気撹拌装置によって撹拌し、アンモニア水によって前記混合溶液のpHを2.5〜3.5に制御する。前記混合溶液において、塩化バリウム:チタン酸ブチル:シュウ酸の比は、1:1:2である。3番目に、得られた溶液を1時間共沈プロセスに付して、シュウ酸チタンバリウム前駆体を得る。次いで、前記シュウ酸チタンバリウム前駆体を4回〜6回洗浄及び濾過して塩化物イオン及び他の不純物を除去し、オーブン内にて100℃で乾燥させる。最後に、乾燥させたシュウ酸チタンバリウム前駆体を800℃で1時間か焼する。このようにして、超微細チタン酸バリウム粉末を得る。
【0053】
具体的には、1つの実施形態では、サーミスタ材料を調製する方法を以下に詳細に記載し得る。
【0054】
1)BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、及びNdを混合して、第1の混合物を提供するが、ここで、前記第1の混合物100重量部に対して、BaTiOの量は、94.85重量部〜約97.75重量部であり、Bの量は、約0.4重量部〜約2.5重量部であり、SiOの量は、約0.5重量部〜約0.9重量部であり、LiOの量は、約0.08重量部〜約0.2重量部であり、Pの量は、約0.2重量部〜約0.3重量部であり、CsOの量は、約0.6重量部〜約0.725重量部であり、Ndの量は、約0.325重量部〜約0.565重量部である。次いで、前記第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:1で、前記第1の混合物を10時間ボールミル粉砕に付す。前記メノウボールは、2mmの直径を有する。次いで、粉砕された第1の混合物をメッシュ篩(例えば、80メッシュの篩)で篩って第1の粉末材料を得る。一般的に、粉末材料は、オーブン内にて80℃で乾燥させる。
【0055】
2)先ず、前記第1の粉末材料を620℃(5℃/分の昇温速度で達成される)で60分間焼結し、次いで、約4.5℃/分〜約5.2℃/分の昇温速度で620℃から850℃に昇温し、焼結した第1の粉末材料を850℃で約60分間保持する。
【0056】
3)工程2)で得られた粉末材料をAl3、TiO、及び焼結添加剤と混合して第2の混合物を形成するが、ここでは、BaTiO 100重量部に対して、Alは、約0.06重量部〜約0.08重量部であり、TiOは、約0.07重量部〜約0.08重量部であり、また、前記工程2)で得られた粉末材料100重量部に対して、焼結添加剤は、約0.02重量部〜約0.04重量部である。次いで、前記第2の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:2で、前記第2の混合物を24時間ボールミル粉砕に付して、第2の粉末材料を形成する。前記メノウボールは、2mmの直径を有する。次いで、前記第2の粉末材料を乾燥させ、100メッシュの篩で篩う。
【0057】
4)工程3)で得られた粉末材料を、5重量%の濃度を有するポリビニルアルコール(PVA)溶液と共に造粒して、粒子材料を形成するが、ここでは、前記工程3)で得られた粉末材料100重量部に対して、前記PVA溶液は、約0.1重量部である。造粒後、前記粒子材料は、約200μm〜約1,000μmの平均直径を有する。
【0058】
5)工程5)で得られた粒子材料を、約25MPaの圧力下で所定の成形型を用いてペレット化し、成形して、成形材料を形成する。
【0059】
6)高温焼結炉内の温度を4.1℃/分の昇温速度で600℃にし、成形材料を600℃で60分間保持してPVAを除去する。次いで、焼結された材料を1,175℃で40分間の熱処理に付し、その間に補足的合成を行う。次いで、速やかに1,250℃まで昇温し、加熱された材料を1,250℃で60分間保持する。次いで、約3.3℃/分の降温速度で1,100℃まで降温し、得られた材料を1,100℃で約50分間保持し、その間に前記材料を酸化させる。次いで、600℃まで降温し、約50分間保持し、200℃まで降温する。最後に、得られた材料を室温まで放冷する。
【0060】
7)約4.2℃/分〜約5℃/分の昇温速度で室温から1,125℃まで昇温し、工程6)で得られた材料を1,125℃で60分間保持する。
【0061】
本開示の別の態様の実施形態は、サーミスタ材料を提供する。前記サーミスタ材料は、上述の方法によって調製することができる。前記サーミスタ材料は、高い正温度係数を有するので、前記サーミスタ材料は、正温度係数(PTC)サーミスタ材料と呼ばれることもあることに留意されたい。
【0062】
本開示の更なる態様の実施形態は、サーミスタ材料を提供する。前記サーミスタ材料は、混合し、混合物を加熱することによって調製することができ、前記混合物は、BaTiO3、3、SiO2、LiO、P5、CsO、Nd3、Al及びTiOを含有していてよい。
【0063】
本開示の幾つかの実施形態では、BaTiO 100重量部に対して、Bの量は、約1.05重量部〜約2.64重量部であり、SiOの量は、約0.52重量部〜約0.94重量部であり、LiOの量は、約0.084重量部〜約0.21重量部であり、Pの量は、約0.21重量部〜約0.32重量部であり、CsOの量は、約0.63重量部〜約0.764重量部であり、Ndの量は、約0.343重量部〜約0.596重量部であり、Alの量は、約0.06重量部〜約0.08重量部であり、TiOの量は、約0.04重量部〜約0.08重量部である。
【0064】
本開示の幾つかの他の実施形態では、BaTiO 100重量部に対して、Bの量は、約1.08重量部〜約2.60重量部であり、SiOの量は、約0.55重量部〜約0.90重量部であり、LiOの量は、約0.088重量部〜約0.20重量部であり、Pの量は、約0.25重量部〜約0.30重量部であり、CsOの量は、約0.65重量部〜約0.75重量部であり、Ndの量は、約0.35重量部〜約0.55重量部であり、Alの量は、約0.06重量部〜約0.08重量部であり、TiOの量は、約0.04重量部〜約0.08重量部である。
【0065】
本開示の幾つかの実施形態では、BaTiO 100重量部に対して、Bの量は、約1.10重量部〜約2.60重量部であり、SiOの量は、約0.55重量部〜約0.88重量部であり、LiOの量は、約0.1重量部〜約0.20重量部であり、Pの量は、約0.28重量部〜約0.30重量部であり、CsOの量は、約0.68重量部〜約0.75重量部であり、Ndの量は、約0.36重量部〜約0.5重量部であり、Alの量は、約0.06重量部〜約0.08重量部であり、TiOの量は、約0.04重量部〜約0.08重量部である。
【実施例】
【0066】
以下の実施例を参照して本開示を詳細に説明する。
【0067】
実施例1
1)BaTiOの調製
1a)分析的に純粋な塩化バリウム及び脱イオン水を用いることによって0.5モル/Lの濃度を有する塩化バリウム溶液を調製し、シュウ酸及び脱イオン水を用いることによって1.0モル/Lの濃度を有するシュウ酸溶液を調製した。
【0068】
1b)前記シュウ酸溶液1,000mLを60℃の温度の電子恒温水槽に入れ、次いで、50mL/分の供給速度で前記塩化バリウム溶液及び分析的に純粋なチタン酸ブチルを前記シュウ酸溶液に添加して混合溶液を形成した。この混合溶液中の塩化バリウム:チタン酸ブチル:シュウ酸の比は、1:1:2であった。次いで、得られた混合溶液を磁気撹拌装置によって撹拌し、アンモニア水によって前記混合溶液のpHを約2.5〜約3.5に制御した。
【0069】
1c)工程1b)で得られた混合溶液を、磁気撹拌装置を用いて約1時間共沈プロセスに付して、シュウ酸チタンバリウム前駆体を得た。次いで、前記シュウ酸チタンバリウム前駆体を5回洗浄及び濾過して塩化物イオン及び他の不純物を除去し、濾過した前駆体をオーブン内にて100℃で乾燥させた。
【0070】
1d)最後に、工程c1)で得られた前駆体を800℃で60分間か焼して、超微細チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を得た。
【0071】
2)サーミスタ材料の調製
2a)工程1d)で得られたBaTiO粉末を分析的に純粋な酸化物混合物と混合して第1の混合物を形成した。前記第1の混合物100重量部に対して、前記第1の混合物は、96.65重量部のBaTiO、1.3重量部のB、0.7重量部のSiO、0.1重量部のLiO、0.25重量部のP、0.625重量部のCsO、及び0.375重量部のNdを含有していた。次いで、前記第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:1で、前記第1の混合物を10時間ボールミル粉砕に付した。前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0072】
2b)工程2a)で得られた粉砕した第1の混合物を80メッシュの篩で篩い、オーブン内にて80℃で乾燥させた。
【0073】
2c)工程2b)で得られた物質を、先ず、620℃で2時間焼結した。620℃の温度は、5℃/分の昇温速度で達成された。次いで、第1の焼結を行った物質を850℃で約2時間焼結した。850℃の温度は、5℃/分の昇温速度で達成された。このようにして、第1の粉末材料を形成した。
【0074】
2d)エチルアルコール:水:オルトケイ酸テトラエチルの重量比40:4:1に従って、エチルアルコール、水、及びオルトケイ酸テトラエチルを混合し、次いで、磁気撹拌下にて60℃で5時間加熱した。撹拌中、塩酸1.1モルを添加した。次いで、得られた溶液を24時間静置して、酸性シリカゾルを得た。
【0075】
2e)0.061gのAl、0.074gのTiO、及び0.056gの前記酸性シリカゾルを第1の粉末材料に添加して、第2の混合物を形成した。次いで、前記第2の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:2で、前記第2の混合物を24時間ボールミル粉砕に付して、第2の粉末材料を形成した。前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0076】
2f)次いで、前記第2の粉末材料を乾燥させ、100メッシュの篩で篩った。
【0077】
2g)工程2f)で得られた粉末材料を5重量%PVA溶液と共に噴霧造粒して粒子材料を形成した。得られた第2の粉末材料100重量部に対して、前記PVA溶液は、0.1重量部であった。前記粒子材料は、200μm〜300μmの平均直径を有していた。
【0078】
2h)粒子材料をペレット化し、所定の成形型を用いて20MPaの圧力下で成形して、成形材料を形成した。
【0079】
2i)4.1℃/分の昇温速度で達成された600℃の高温焼結炉にて120分間前記成形材料を焼結して、PVAを除去した。次いで、焼結した材料を1,175℃で40分間熱処理に付し、その間に補足的合成を行った。次いで、10℃/分の昇温速度で1,250℃まで昇温させ、得られた材料を1,250℃で20分間保持した。次いで、約3.3℃/分の降温速度で1,100℃まで降温させ、得られた材料を1,100℃で50分間保持し、その間に、得られた材料を完全に酸化させた。200℃に降温し、室温まで放冷した。
【0080】
2j)4.7℃/分の昇温速度で室温から1,125℃まで昇温させ、得られた材料を1,125℃で60分間保持して、PTCサーミスタ材料のサンプルS1を得た。
【0081】
次いで、電界放出走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型分光法(FESEM/EDS)を用いてサンプルS1を試験した。サンプルS1の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を図1に示す。
【0082】
実施例2
実施例2のPTCサーミスタ材料のサンプルS2を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2i)において、5℃/分の昇温速度で得られた600℃の高温焼結炉にて100分間成形材料を焼結して、PVAを除去し;焼結した材料を1,150℃で40分間熱処理に付し、その間に補足的合成を行い;次いで、8℃/分の昇温速度で1,225℃まで昇温させ、得られた材料を1,225℃で70分間保持し;次いで、約2.3℃/分の降温速度で1,100℃まで降温させ、得られた材料を1,100℃で50分間保持し、その間に、得られた材料を完全に酸化させ;200℃に降温し、室温まで放冷した。
【0083】
次いで、FESEM/EDSを用いてサンプルS2を試験した。サンプルS2のSEM画像を図2に示す。
【0084】
実施例3
実施例3のPTCサーミスタ材料のサンプルS3を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2a)において、第1の混合物100重量部に対して、前記第1の混合物は、94.85重量部のBaTiO、2.5重量部のB、0.87重量部のSiO、0.20重量部のLiO、0.30重量部のP、0.725重量部のCsO、及び0.555重量部のNdを含有しており;次いで、前記第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:1で、前記第1の混合物を10時間ボールミル粉砕に付し、前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0085】
次いで、FESEM/EDSを用いてサンプルS3を試験した。サンプルS3のSEM画像を図3に示す。
【0086】
実施例4
実施例4のPTCサーミスタ材料のサンプルS4を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2a)において、第1の混合物100重量部に対して、前記第1の混合物は、94.92重量部のBaTiO、2.44重量部のB、0.9重量部のSiO、0.20重量部のLiO、0.28重量部のP、0.705重量部のCsO、及び0.558重量部のNdを含有しており;次いで、第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:1で、前記第1の混合物を10時間ボールミル粉砕に付し、前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0087】
実施例5
実施例5のPTCサーミスタ材料のサンプルS5を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2a)において、第1の混合物100重量部に対して、前記第1の混合物は、96.65重量部のBaTiO、1.6重量部のB、0.5重量部のSiO、0.08重量部のLiO、0.20重量部のP、0.605重量部のCsO、及び0.365重量部のNdを含有しており;次いで、第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:1で、前記第1の混合物を10時間ボールミル粉砕に付し、前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0088】
実施例6
実施例6のPTCサーミスタ材料のサンプルS6を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2a)において、第1の混合物100重量部に対して、前記第1の混合物は、96.65重量部のBaTiO、1.0重量部のB、0.8重量部のSiO、0.2重量部のLiO、0.30重量部のP、0.675重量部のCsO、及び0.375重量部のNdを含有しており;次いで、第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:1で、前記第1の混合物を10時間ボールミル粉砕に付し、前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0089】
実施例7
実施例3のPTCサーミスタ材料のサンプルS7を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2c)において、先ず、工程2b)で得られた物質を850℃で2時間焼結し、この850℃の温度は、5℃/分の昇温速度で達成された。
【0090】
実施例8
実施例8のPTCサーミスタ材料のサンプルS8を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2g)において、工程2f)で得られた粉末材料を5重量%PVA溶液と共に手動で造粒して粒子材料を形成し、得られた第2の粉末材料100重量部に対して、前記PVA溶液は、0.2重量部であり、前記粒子材料は、400μm〜600μmの平均直径を有していた。
【0091】
実施例9
実施例8のPTCサーミスタ材料のサンプルS8を調製する方法は、以下を除いて、実施例1と実質的に同じ工程を含んでいた:工程2h)において、粒子材料をペレット化し、所定の成形型を用いて30MPaの圧力下で成形して成形材料を形成する。
【0092】
比較例1
BaTiO粉末を分析的に純粋な酸化物混合物と混合して第1の混合物を形成した。前記第1の混合物100重量部に対して、前記第1の混合物は、45.72重量部のBaCO、27.70重量部のTiO、0.49重量部のSiO、25.49重量部のPb、0.024重量部のMn(NO、0.07重量部のAl、及び0.5重量部のNdを含有していた。次いで、前記第1の混合物:メノウボール:水の重量比1:2:2で、前記第1の混合物を7時間ボールミル粉砕に付した。前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0093】
次いで、前記第1の混合物を100メッシュの篩で篩い、オーブン内にて80℃で乾燥させて第1の粉末材料を得た。次いで、前記第1の粉末材料を、先ず、600℃で140分間焼結した。この温度は、4.5℃/分の昇温速度で達成された。次いで、965℃で60分間焼結した。この温度は、4.5℃/分の昇温速度で達成された。
【0094】
エチルアルコール:水:オルトケイ酸テトラエチルの重量比40:4:1に従って、エチルアルコール、水、及びオルトケイ酸テトラエチルを混合し、次いで、磁気撹拌下にて60℃で5時間加熱した。撹拌中、塩酸1.1モルを添加した。次いで、得られた溶液を24時間静置して、酸性シリカゾルを得た。
【0095】
Mn0.028g及び前記酸性シリカゾル0.042gを前記第1の粉末材料に添加して、第2の混合物を形成した。次いで、前記第2の混合物:メノウボール:水の重量比が1:2:1で、前記第2の混合物を7時間ボールミル粉砕に付して、第2の粉末材料を形成した。前記メノウボールは、2mmの直径を有していた。
【0096】
次いで、前記第2の粉末材料を乾燥させ、100メッシュの篩で篩った。
【0097】
次いで、得られた粉末材料を5重量%PVA溶液と共に噴霧造粒して粒子材料を形成した。得られた粉末材料100重量部に対して、前記PVA溶液は、0.2重量部であった。前記粒子材料は、800μm〜900μmの平均直径を有していた。
【0098】
粒子材料をペレット化し、所定の成形型を用いて25MPaの圧力下で成形して、成形材料を形成した。
【0099】
次いで、5℃/分の昇温速度で達成された600℃の高温焼結炉にて120分間前記成形材料を焼結した。次いで、焼結した材料を900℃で70分間保持し、1,180℃で30分間保持し、1,260℃で60分間保持し、1,175℃で60分間保持した。600℃まで降温させ、得られた材料を600℃で100分間保持し、次いで、室温まで冷却した。
【0100】
その後、110分間以内に0℃から550℃に昇温させ、得られた材料を550℃で30分間保持し、次いで、130分間以内に1,200℃に昇温させ、得られた材料を1,200℃で80分間保持し、次いで、130分間以内に550℃に降温させ、得られた材料を550℃で50分間保持した。次いで、FESEM/EDSを用いてサンプルDS1を試験した。サンプルDS1のSEM画像を図4に示す。
【0101】
試験
1)インピーダンス
これらサンプルS1〜S9及びDS1を、20Hz〜10MHzの試験周波数下でWayne Kerr製の6510B精密インピーダンス分析機によって試験した。結果を表1に示す。
【0102】
2)周囲抵抗
これらサンプルS1〜S9及びDS1を、室温でユニバーサルメーターによって試験した。結果を表1に示す。
【0103】
3)キュリー温度
これらサンプルS1〜S9及びDS1の抵抗を、それぞれ、ユニバーサルメーターによって試験し、各サンプルの最大抵抗に対応する温度を各サンプルのキュリー温度として記録した。結果を表1に示す。
【0104】
4)揚力対抗力比
揚力対抗力比は、キュリー温度における抵抗を室温における抵抗で除することによって計算する。これらサンプルS1〜S9及びDS1の揚力対抗力比を表1に記録する。
【0105】
5)降伏電圧
これらサンプルS1〜S9及びDS1の降伏電圧は、BYD−GN−02降伏電圧試験機によって試験した。結果を表1に記録する。
【0106】
【表1】
【0107】
表1に示す通り、サーミスタ材料の動作電圧は、400ボルトよりも高い場合があり、前記サーミスタ材料の降伏電圧は、900ボルトに達する場合があり、前記サーミスタ材料のキュリー温度は、約200℃である場合があり、前記サーミスタ材料の揚力対抗力比は、6超である場合がある。
【0108】
表1から、本開示の実施形態に係るサーミスタ材料は、高いキュリー温度及び高い降伏電圧を有すると結論付けることができる。更に、前記サーミスタ材料の周囲抵抗は非常に低く(表1に示す通り、20オーム未満である場合もある)、前記サーミスタ材料の揚力対抗力比は高い。更に、前記サーミスタ材料の結晶粒抵抗及び結晶粒界抵抗はより低い。本開示の実施形態に係るサーミスタ材料を調製する方法は、低コストで操作が容易である。更に、前記方法の焼結要件を満たすのは容易であるので、生成物の収量及び一貫性が改善される。このように、前記サーミスタ材料は、より優れた才能を有することができ、高温及び高圧条件下等のより劣悪な環境でも適用することができる。
【0109】
説明的な実施例を示し、記載してきたが、上記実施例が本開示を限定するように解釈することはできず、実施例における、本開示の精神、原理、及び範囲から逸脱することなく、変更、代替、及び改変を為すことが可能であることが当業者によって理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5