特許第6181214号(P6181214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181214
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】モバイル機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20170807BHJP
   G06F 9/445 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   G06F9/06 650A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-2963(P2016-2963)
(22)【出願日】2016年1月8日
(62)【分割の表示】特願2013-500820(P2013-500820)の分割
【原出願日】2011年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-123103(P2016-123103A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】1005034.2
(32)【優先日】2010年3月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ダーン、オリビエール
【審査官】 中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01962482(EP,A1)
【文献】 国際公開第2010/016679(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04M 1/24−1/82
H04M 99/00
G06F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル機器であって、
UICCに接続するためのUICCインタフェースと、
前記UICCインタフェースを介して前記UICCと通信するように動作可能であるUICCモジュールと、
前記モバイル機器によって実行される複数のアプリケーションを格納するメモリと、
ユーザがアプリケーションにアクセスするのを可能にするユーザインタフェースを提供するUIモジュールと、
を有し、
前記UICCモジュールは、ユーザの前記ユーザインタフェースとの相互作用の前にまたはそれとは無関係に、前記UICC上で利用可能なUICCアプリケーションのUICCアプリケーションメタデータを前記UICCから取得するように構成され、かつ、前記UICCアプリケーションメタデータを前記メモリに格納するように構成され、
前記UIモジュールは、前記UICCアプリケーションメタデータを使用して、ユーザが、ユーザインタフェースであって、起動されるUICCアプリケーションを、該ユーザインタフェースを介して選択することができるユーザインタフェースを生成するように動作可能であり、
前記UICCモジュールは、UICCアプリケーションを選択するユーザ入力に応答して、前記選択されたUICCアプリケーションを起動するコマンドを前記UICCに送信するように動作可能であり、
前記コマンドは、起動される前記UICCアプリケーションを識別するエンベロープコマンドであり、
前記UIモジュールは、前記モバイル機器上および前記UICC上で利用可能な複数のアプリケーションの組合せを表示するユーザインタフェースを生成するように動作可能である、モバイル機器。
【請求項2】
前記UICCアプリケーションメタデータは、カテゴリデータを含み、前記UIモジュールは、同じカテゴリのUICCアプリケーションとモバイル機器アプリケーションとを前記ユーザインタフェース上でまとめるように動作可能である、請求項に記載のモバイル機器。
【請求項3】
前記UICCアプリケーションメタデータは、エレメントファイル内の前記UICC上に格納され、前記UICCモジュールは、前記エレメントファイルからメタデータを読み出すように動作可能である、請求項1又は請求項2に記載のモバイル機器。
【請求項4】
前記UICCアプリケーションメタデータは、前記UICCのために設けられたUICCサービスメニューシステムを実行するプロセッサに与えられる、請求項1からのいずれかに記載のモバイル機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、特に、汎用集積回路カード(UICC)を内部に有するモバイル機器(ME)に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯(セルラー)電話のようなMEは、特に、コアネットワークに対してユーザを識別するセキュアデータを保持するUICCを含む。UICCは、いくつかのソフトウェアアプリケーションを実行することができる内蔵マイクロプロセッサおよびメモリを有するスマートカードである。UICCは、モバイル通信システムにおける非常にセキュアな要素である。さらに、高速プロトコルが定められ、UICCフラッシュメモリのサイズが増大した結果、UICCは、今では、高度なセキュリティレベルを必要とする、携帯支払いアプリケーションのようなアプリケーションの良好な記憶場所として考えられている。
【0003】
1つの既存の実現例では、UICCアプリケーションはUICCサービスメニュー(または、USIMツールキットメニュー)によってアクセス可能である。エンドユーザは、実際のUICCアプリケーションに達する前に、いくつかのメニューとサブメニュー(それらは、ユーザがUICCサービスメニューを入力するときに、USIMツールキットプロアクティブコマンドを使用して、段階的に動的に作られる)を通過しなければならない。図4aと図4bは、UICCアプリケーション、この例ではゲームのアプリケーション「エニグマ」にアクセスするために行われるステップを示している。MEとUICC(図4bに示されている)の間で送信されるメッセージや、メニューおよびサブメニューの動的な生成のために、プロセス全体の時間が、特に低性能の移動端末上で非常に長くなることがある。この既存の実現例の他の欠点は、現在のISOインタフェースにある。すなわち、UICCサービスメニューにおいて既存の提案されている項目の多くは現在、テキスト形式で表示される。これらのメニュー項目にアイコン/画像を追加することは、UICCからMEへ送られるデータの量を増加させるであろうし、それによってUICCサービスのメニュー/サブメニューの項目をエンドユーザに提示/表示する速度を低下させるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−522301号公報
【特許文献2】特開2008−271121号公報
【特許文献3】国際公開第2009/051377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートカードウェブサーバ(SCWS)に基づく他の実現例は、ETSI SCP(Rel−7)によって既に定められているが、今日未だ実施されていない。多くの場合、SCWSに基づく解決策は、UICCの内容にアクセスする次世代のユーザインタフェースが中心になるであろう。すなわち、エンドユーザは、ウェブページのようなインタフェースを使用して、UICCの内容(アプリケーション、電話帳、SMS、ローカルウェブサーバなど)にアクセスするであろう。SCWSが今日、実際に実施されていない主な理由は、プロトコルのスタックと、下部にある物理インタフェースにある。SCWSは、通常TCP/IPスタック上で実行されるHTTPに基づいている。UICCにおけるTCP/IPのサポートは、ETSI SCP Rel−7(ETSI標準書類TS 102 221、TS 102 600、TS 102 223を参照)に定められている。この特徴をサポートする市販の製品(UICCとMEの両方)は現在のところ未だ存在しない。さらに、定められた高速プロトコル(USB)の物理インタフェースをサポートする既存の携帯電話機も存在しない。
【0006】
SCWSは、UICCの内容にアクセスする、次世代のユーザインタフェースの正当な候補と目されているが、UICCのアプリケーションにアクセスすることは、いくつかのステップ、すなわち、アプリケーションの記憶場所に到達するまでに、MEのブラウザアプリケーションを起動し、SCWS URLを入力し、UICCをブラウズし、それから該アプリケーションの選択/起動を行うことを、なお必要としている。本発明者は、このプロセスがエンドユーザにとって依然として面倒であること、ユーザがUICCのアプリケーションにアクセスする際により使いやすい方法が望ましいであろうこと、に気づいた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施態様では、これを達成し、ユーザエクスペリエンスをさらに高めるために、本発明者は、MEが、利用可能なUICCアプリケーションに関連する一組の関連データを検索することを可能にする新しいプロトコルを定めることを提案し、その結果、これら全てのUICCアプリケーションがMEアプリケーションと同じようにエンドユーザに提示/表示されかつアクセスされることを可能にする(通常、アイコンとして提示される)。提案されるプロトコルはまた、エンドユーザが、対応するアイコンをクリック/選択することによって、UICCアプリケーションをダイレクトに起動することも可能にする。好適な実施態様では、UICCアプリケーションおよびMEアプリケーションのメニュー項目(例えば、アイコン)が、統一されたユーザインタフェースで一緒に表示され、その結果、ユーザは、アプリケーションがUICCまたはMEによって格納され、UICCまたはMEによって実行されたか否かに気づかない。
【0008】
下記の例は、提案される解決策を使用して得られる結果を示している。‐「iPhone」のようなユーザインタフェースを考慮して、UICCアプリケーションに関連するアイコンは、他のMEアプリケーションのように、主メニュー内にダイレクトに示される。
‐例えば、ゲーム、ツールなどの異なる種類のアプリケーションに対して異なるフォルダーを含むMEユーザインタフェースを考慮して、UICCアプリケーションのアイコンは、同じカテゴリのMEアプリケーションのアイコン、例えば、UICCのゲームアプリケーションのアイコンがMEゲームアプリケーションなどと同じフォルダー内に位置するのと並んで、これらのフォルダー内に送られるであろう。
【0009】
提案された新しいプロトコルは次を使用し、含んでもよい。
‐UICCアプリケーションを特徴付けるメタデータ(例えば、カテゴリ、名前、(ユーザに提示される)アイコン、アプリケーションを起動するのに必要なパラメータ、利用可能なネットワークサービス(例えば、パケットサービス)への依存性など)を定める
‐UICCアプリケーションに関連するメタデータを全て格納する新しい専用のエレメントファイル(EF)(線形の一定の種類のEF、UICCアプリケーション当たり1つのレコード)をUICC上に定める
‐UICCおよびMEの両方についてのサービス宣言ルーチン内に新しいサービスを追加する
‐この新しいエレメントファイルの読出しを含めることによって、MEの電源投入シーケンスを更新する
‐MEがエレメントファイルを一旦、検索すると、MEは、これらUICCアプリケーションのためのUIを、それ自身のUIアーキテクチャおよび能力に基づいて構築する
‐メタデータが、UICCアプリケーションの起動前にいくつかの追加の動作を必要とする場合に、エンドユーザと相互作用するモジュールをME内に定める(例えば、ログイン/パスワード、ネットワークサービスの利用可能性をチェックするなど)
‐MEがUICCに、選択されたUICCアプリケーションを起動することを実際に要求することを可能にする、新しいエンベロープコマンドを定める
一実施態様では、ダイレクトアクセスのために必要なデータは、MEの電源投入の間、
UICCからMEに転送される。これは、電源投入動作に数ミリセカンドを追加することになり、エンドユーザにとって完全にトランスペアレントとなる。それから、エンドユーザがUICCアプリケーションを起動するとき、単一のエンベロープコマンドがMEによってUICCに送られる。
【0010】
この新しいプロセスをSIMツールキットに基づく既存の実現例と比較すると、(UICCアプリケーションを起動する)新しいエンベロープコマンドは、既存の実現例に要求される全ての必要なセットアップメニュー/エンベロープ(メニュー選択)/項目選択/…コマンド(図4bに示されている)に単純に置き換えられる。さらに、エンドユーザは、UICCアプリケーションに達する前にSIMサービスメニューと数回、相互作用する必要はもはやない(これは、ユーザエクスペリエンスの著しい改善である)。
【0011】
一態様によれば、本発明は、モバイル機器であって、UICCに接続するためのUICCインタフェースと、UICCインタフェースを介してUICCと通信するUICCモジュールと、モバイル機器によって実行される複数のアプリケーションを格納するメモリと、ユーザがアプリケーションにアクセスするのを可能にするユーザインタフェースを提供するUIモジュールと、を有し、UICCモジュールは、ユーザのユーザインタフェースとの相互作用の前にまたはそれとは無関係に、UICC上で利用可能なUICCアプリケーションのUICCアプリケーションメタデータをUICCから取得するように構成され、かつ、UICCアプリケーションメタデータをメモリに格納するように構成され、UIモジュールは、UICCアプリケーションメタデータを使用して、ユーザが、起動されるアプリケーションを選択できるようにするためのユーザインタフェースを生成し、UICCモジュールは、UICCアプリケーションを選択するユーザ入力に応答して、選択されたUICCアプリケーションを起動するコマンドをUICCに送信する、モバイル機器を提供する。一実施態様では、モバイル機器は、UICCアプリケーションメタデータを電源投入またはリセットルーチンの間に取得する。他の実施態様では、モバイル機器は、ユーザがモバイル機器上でまたはUICC上でアプリケーションをナビゲートするのを可能にするユーザインタフェースの表示の前に、UICCアプリケーションメタデータを取得するのを開始する。
【0012】
一実施態様では、UICCアプリケーションメタデータは、UICCアプリケーションの起動に必要な条件を含み、UICCモジュールは、UICCアプリケーションのユーザ選択に応答して、選択されたUICCアプリケーションを起動するコマンドを送信する前に、選択されたUICCアプリケーションに関連する条件をチェックする。前記条件は、必要なネットワークサービスを定めてもよい。この場合、UICCモジュールは、必要なネットワークサービスが利用可能であることをチェックしてもよく、必要なネットワークサービスが利用可能な場合にのみ、選択されたUICCアプリケーションを起動するコマンドを送信する。前記条件は、ユーザ認証が必要であることを、代わりにまたは追加して定めてもよい。この場合、UICCモジュールは、ユーザ認証を実行し、ユーザ認証が成功した場合にのみ、選択されたUICCアプリケーションを起動するコマンドを送信するであろう。UICCモジュールは、ユーザの名前とパスワードの少なくとも一方を入力するようにユーザに促すことによって、そして入力されたユーザの名前とパスワードの少なくとも一方を、UICCアプリケーションメタデータに用意されているユーザの名前とパスワードの少なくとも一方と比較することによって、認証を実行してもよい。
【0013】
一実施態様では、UICCアプリケーションメタデータは、アイコンまたはアイコンへのポインタを含み、UIモジュールは、複数のアイコンを使用してユーザインタフェースを生成する。
【0014】
UIモジュールは、モバイル機器上およびUICC上で利用可能な複数のアプリケーションの組合せを表示するユーザインタフェースを生成してもよい。UICCアプリケーションメタデータは、カテゴリデータを含み、UIモジュールは、該カテゴリデータを使用して、同じカテゴリのUICCアプリケーションとモバイル機器アプリケーションとをユーザインタフェース上でまとめることが可能である。
【0015】
一実現例では、UICCアプリケーションメタデータは、エレメントファイル内のUICC上に格納され、UICCモジュールは、エレメントファイルからメタデータを読み出す。
【0016】
本発明はまた、UICCであって、モバイル機器に接続するためのインタフェースと、複数のUICCアプリケーションと該UICCアプリケーションに関するUICCアプリケーションメタデータを格納するメモリと、モバイル機器と通信する制御モジュールと、を有し、制御モジュールは、ユーザの相互作用の前に、モバイル機器にUICCアプリケーションメタデータを与えるように動作可能であり、かつ、モバイル機器からUICCアプリケーションを起動するコマンドを受信するのに応答して、該UICCアプリケーションを起動するように動作可能である、UICCも提供する。好適な実施態様では、制御モジュールは、UICCのオペレーティングシステムの一部を構成するが、他の実施態様では、制御モジュールはUICC上の1つまたは複数の別個のモジュールとして設けられてもよい。
【0017】
UICCアプリケーションメタデータは、モバイル機器によって使用されるUICCアプリケーションを起動するのに必要な条件を含み、モバイル機器は、選択されたUICCアプリケーションを起動するコマンドを送信する前に、前記必要な条件が満たされたことをチェックする。前記条件は、例えば、必要なネットワークサービスと、ユーザ認証が必要であること、の少なくとも一方を定めてよい。ユーザ認証が必要な場合、UICCアプリケーションメタデータは通常、ユーザの名前とパスワードの少なくとも一方を含む。
【0018】
UICCアプリケーションメタデータは、ユーザインタフェース(例えば、ディスプレイ)上でユーザに表示されるアイコンまたはアイコンへのポインタを含んでもよい。UICCアプリケーションメタデータは、各UICCアプリケーションに関連するカテゴリを識別するカテゴリデータも含んでよい。
【0019】
一実現例では、UICCアプリケーションメタデータは、エレメントファイル内に格納され、USATモジュールは、エレメントファイルからのメタデータをモバイル機器に与える。
【0020】
UICCアプリケーションメタデータが変更された場合、例えば、UICCアプリケーションが更新された場合、USATモジュールは、エレメントファイルからアプリケーションメタデータを再度、読み出すように、モバイル機器を作動させることができる。このようにして、メタデータが変更された場合、モバイル機器を、新しいデータを反映するように更新することもできる。
【0021】
本発明はまた、対応する方法と、コンピュータで実行可能な命令製品も提供する。コンピュータで実行可能な命令はCD−ROMなどの記録媒体に格納されてもよい。
【0022】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付の図面を参照して記載された代表的な実施形態の以下の詳細な記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】モバイル通信システムの主要な構成要素を示すブロック図である。
図2図1に示されたシステムの一部を構成するMEおよびUICCの主要な構成要素を示すブロック図である。
図3】UICCアプリケーションにアクセスするときの、MEとUICCとエンドユーザ間の通信を示す通信タイミング図である。
図4a】UICCとMEの既存の構成を使用してUICCアプリケーションにアクセスするために動的に生成される表示のシーケンスを示す図である。
図4b】ユーザが図4aのUICCアプリケーションを選択するときのMEとUICC間の通信を示す通信タイミング図である。
図5】ターミナルプロファイル構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概要
以下により詳細に説明するように、この実施形態の主要なアイデアは、MEが、UICCアプリケーションに関連する一組の関連データを検索することを可能にする新しいプロトコルを定め、その結果、これら全てのUICCアプリケーションが、MEアプリケーション(通常、アイコンとして提示される)と同じ(少なくとも類似した)方法でエンドユーザに提示され/表示され、かつエンドユーザがアクセスできるようにすることである。提案されるプロトコルはまた、エンドユーザが、既存のUICCサービスのメニューを入力することなく、対応するアイコンをクリック/選択することによって、UICCアプリケーションをダイレクトに起動することを可能にするであろう。
【0025】
図1は、モバイル通信システム1の主要な構成要素を示すブロック図である。図示のように、本システムは、セルラー電話のようなモバイル機器(ME)3と、通常、ME3内に搭載されているUICC5と、ME3へ信号を送信し、ME3から信号を受信する基地局7と、ME3にデータおよび音声電話サービスを提供するオペレータネットワーク9と、を含んでいる。図示のように、オペレータネットワーク9は、オペレータネットワーク9内のサーバ13またはインターネット15内のサーバ(不図示)にアクセスするために、ME3が接続するいくつかのアクセスポイント11を含んでいる。
【0026】
図2は、この実施形態で使用されるME3およびUICC5の主要な構成要素を示すブロック図である。図示のように、ME3は、1つまたは複数のアンテナ25を経て基地局7に信号を送信し、基地局7から信号を受信するように動作可能である送受信回路23を含んでいる。図示のように、送受信回路23は、通常の方法でラウドスピーカ27とマイクロフォン29に接続されており、ユーザが電話をかけ、またかかってきた電話を取ることができるようになっている。ME3はまた、ME3の動作を制御し、ユーザがディスプレイ33およびキーパッド35を介してME3と相互作用するのを制御するプロセッサ31を含んでいる。プロセッサ31は、メモリ31内に格納されているソフトウェア命令にしたがって動作する。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム39と、ME3とUICC5の間の相互作用を制御するUICCモジュール41と、いくつかのMEアプリケーション43と、UI(ユーザインタフェース)モジュール45と、を含んでいる。メモリ37はまた、アプリケーションデータ47も格納し、アプリケーションデータ47は、利用可能なアプリケーションのアイコンを含み、該アプリケーションのアイコンがユーザによって選択された場合に該アプリケーションを開始できるようにリンク付けされている。ME3はまた、UICC5に対して物理インタフェースを提供するUICCインタフェース49も含んでいる。この実施形態では、UICCモジュール41はME3内の別個のソフトウェアモジュールである。当業者が理解するように、他の実施形態では、UICCモジュール41はオペレーティングシステム39の一部として設けられてもよい。
【0027】
図2に示されているように、UICC5は、ME3に物理インタフェースを提供するMEインタフェース51を含む。UICC5はまた、メモリ55内に格納されているソフトウェア命令にしたがって動作するプロセッサ53も含む。図示のように、これらのソフトウェア命令は、オペレーティングシステム56と、USATモジュール57(ユニバーサルSIM(加入者アイデンティティモジュール)アプリケーションキット)と、いくつかのアプリケーション59と、を含んでいる。USATモジュール57は、UICCアプリケーション59が、ME3またはオペレータネットワーク9(またはインターネット15)内のリモートエンティティと相互作用して動作することを可能にするメカニズムであって、UICCアプリケーション59に必要な特定のメカニズムをサポートするメカニズムを提供する。メモリ55はまた、UICCアプリケーションメタデータ61も含んでおり、UICCアプリケーションメタデータ61は、ユーザが利用可能な全ての異なったUICCアプリケーション59を識別し、かつ、各UICCアプリケーション59の実行に関連するデータを含んでいる。
【0028】
この実施形態におけるME3およびUICC5の動作方法を、図3を参照して次に説明する。最初に、電源が投入されまたはリセットされると、UICCモジュール41は、ステップs1において、電源投入またはリセットの信号をUICC5に送る。ステップs3において、オペレーティングシステム56は、この信号に対し、UICC5がサポートするサービスを示すATR(リセットに対する回答)応答で応答する。この実施形態では、ATR応答は、本願で提案されている、UICCアプリケーション59へのダイレクトアクセスを提供する新しいサービスを、UICC5がサポートしていることを示すデータを含む。ステップs5において、UICCモジュール41は、ATRメッセージに対し、ME3がサポートしているサービスをUICC5に知らせる端末プロファイルコマンドで応答する。この実施形態では、この端末プロファイルコマンドは、ME3がUICCアプリケーションサービスへの新しいダイレクトアクセスをサポート可能であることを示すデータを含む。ステップs7において、UICCモジュール41は、UICCアプリケーション59のメタデータ61を含むエレメントファイル(この例では、EF UICC APP)にアクセスするために、一連の選択コマンドとリード レコード APDUコマンドを送る。これらのコマンドの受信に応答して、オペレーティングシステム56は、ステップs9において、EF UICC Appに保持されているメタデータ61をUICCモジュール41に送る。UICCモジュール41は、ユーザがユーザインタフェースを介してアプリケーションにアクセスしようとしたときに、メタデータ61を、その後の使用のためにアプリケーションデータ47と共に格納する。ME3が一旦全てのメタデータ61を有すると、UIモジュール45は、ステップs11において、メタデータ61を使用して、ユーザのUICCアプリケーション59へのダイレクトアクセスを可能にするユーザインタフェースを構築することができる。UIモジュール45は、通常、ユーザが、利用可能なアプリケーションを要求する所定の入力(例えば、キーパッド35上のメニューキーを押す)を入力したときにユーザインタフェースを生成するが、ユーザインタフェースは予め生成されてメモリ37に格納されていてもよい。ステップs13において、UIモジュール45は、生成されたユーザインタフェースを(ディスプレイ33によって)ユーザに提示し、これによってユーザは、表示されたユーザインタフェースからUICCアプリケーション59を閲覧し、選択することができる。好適な実施形態では、UIモジュール45は、(ME3上に格納されているアプリケーションデータ47から求められた)MEアプリケーション43と、UICCアプリケーション59と、の両方に対するアイコンを含むユーザインタフェースを構築する。このようにして、アプリケーションがMEアプリケーション43であるかUICCアプリケーション59であるかを、ユーザにトランスペアレントなものにすることができる。
【0029】
ユーザが、ステップs15において、UICCアプリケーション59を実行することを選択すると、UICCモジュール41は、ステップs17において、所望のアプリケーションを起動するのに必要な全ての条件が満たされたかどうかをチェックする(UICCモジュール41がステップs9で得た、選択されたUICCアプリケーションに関連するメタデータ61から決定する)。これらの条件が満たされていない場合、UICCモジュール41は、ユーザを認証するログイン/パスワードを出力するようにユーザに要求するか、または、適切なネットワークサービスの利用可能性をチェックすることなどの、適切な動作を行う。アプリケーションを起動するのに必要な条件が一旦満たされると、UICCモジュール41は、ステップs19において、選択されたUICCアプリケーション59を起動するコマンドをUICC5に送る。この例では、選択されたUICCアプリケーション59はエニグマゲームである。起動コマンドの受信に応答して、オペレーティングシステム56は、USATモジュール57を呼び出し、該コマンドを解釈し、一旦解釈されると、ステップs21において、選択されたアプリケーション59を起動する。UICC5とME3の間のその後のやり取りは、起動されたアプリケーションに依存し、以前と同じであり、したがってそれらのステップの記述は省略する。
【0030】
したがって、上記の記述からわかるように、UICCメニューのナビゲーションの遅くて面倒なタスクは、UICCインタフェース49を通じて通信する必要なしに、より高速なMEプロセッサ31によって行われる。UICC5からUICCアプリケーションメタデータ61を読み出すために、起動時またはリセット時に追加の時間が必要になるが、これが終了した後は、UICCアプリケーション59へアクセスするためのその後の処理は、MEの既存のメニューベースの、MEアプリケーション43にアクセスするシステムによって制御される。
【0031】
実施例
A)UICCアプリケーションメタデータ61の定義
メタデータはアプリケーションを特徴付けるデータである。
【0032】
この実施形態では、次のメタデータが各UICCアプリケーション59について格納されている。
【0033】
−名称:(TS 123 038に定められたSMSデータ符号化方式について符号化されたテキスト文字列)
−識別子(2バイト):0x0001から0xFFFF
−カテゴリ(1バイトの文字):例えば、「ゲーム」、「モバイル・ペイメント」、「ユーティリティ」など。
【0034】
−アイコン(1バイトの文字):このバイトは、エレメントファイル内のレコードである、アイコン画像を含む「IMG」を示している。アイコンを示す他の方法は、アイコン用のURLを定めることである。この場合、テキスト文字列は1バイトの文字の代わりに与えられるであろう。
【0035】
−ネットワークサービス(1バイトの文字):例えば、ネットワークサービスは必要ない、回路交換サービスは必要、GPRSは必要、EDGEサービスは必要、PDNサービスは必要など。
【0036】
−ペアレンタル・コントロール(1バイトの文字):アプリケーションが制限ありまたは制限なしに利用可能かどうかを示す。
【0037】
−ログイン/パスワード(1バイトの文字):ログイン/パスワードがアプリケーションにアクセスするのに必要かどうかを示す。
【0038】
上記のメタデータのリストは無論、メタデータを全て網羅したものではなく、他のメタデータを含む可能性がある。
【0039】
B)(ETSI TS 102 221に追加される)新しいエレメンタリファイルの定義:EF UICC app
注記:以下に記載するEF UICC Appの構造はほんの一例として示すものである。例えば、他のメタデータ61を収容するために、または上記したメタデータ61のために異なった大きさの割り当てが準備されているならば、他の構造も勿論可能であろう。
【0040】
この新しいEFは、マスターファイル(MF)の下に位置し、次の構造を有する。
【0041】
【表1】
【0042】
これは「線形固定」の種類のEFである。EFはいくつかのレコードで構成され、各レコードは1つのUICCアプリケーション59のメタデータ61を含んでいる。
【0043】
内容および符号化:
−名称(ETSI TS 123 038に定められたSMSデータ符号化方式について符号化されたテキスト文字列)
−識別子:UICCによって割り当てられた固有の識別子
符号化:
有効な値は0x0001と0xFFFFの間に定められている。
【0044】
0x0000は将来の使用のために未使用となっている。
【0045】
−カテゴリ:アプリケーションのカテゴリを示す。
【0046】
符号化:
「01」:ゲーム
「02」:モバイル・ペイメント
「03」:ユーティリティ
「04」:その他
注記:本リストはここでは一例として示されている。他のカテゴリも定めることできるであろう。
【0047】
−アイコン:EF IMG内のレコード番号を示している。
【0048】
注記:もし「アイコン」の欄に含まれる値が有意(すなわち、値がないか0)であれば、ME3は、UICCアプリケーション59のために、(MEによって定められた)デフォルトのアイコンを割り当てる可能性がある。
【0049】
−ネットワークサービス:ネットワークサービスが必要か否かを示す。
【0050】
符号化:
「01」:CS
「02」:GPRS
「03」:EDGE
「04」:PDN(LTE)
注記:本リストはここでは一例として示されている。他の値も定めることできるであろう。
【0051】
−ペアレンタル・コントロール:ペアレンタル・コントロールがセットされていた場合に、アプリケーションにアクセス可能であるか否かを示す。
【0052】
符号化
「00」:アプリケーションが制限なしに利用できる
「01」:ペアレンタル・コントロールがセットされている場合に、アプリケーションを、利用できない/隠す必要がある
他の値は、将来の使用のために未使用となっている。
【0053】
−ログイン/パスワード:アプリケーションを実行するのに認証が必要か否かを示す。
【0054】
符号化
「00」:ログイン/パスワードが必要でない
「01」:ログイン/パスワードが必要
他の値は、将来の使用のために未使用となっている。
【0055】
C)UICC5とME3の両方による新しいプロトコルのサポート
1)端末プロファイルコマンドは、MEがサポートするサービスをUICCに知らせるためにMEによって使用される。この新しいサービスのサポートを宣言するために、新しいビットを端末プロファイルコマンドのデータ構造に割り当てることが提案される。
【0056】
一例として、図5に示すように、(TS 102 223に定められている)端末プロファイル構造の31番目のバイト内のビット1は、この特徴のサポートを示すために使用することができる(1にセットされたb1は、この特徴がサポートされていることを意味する)。
【0057】
2)この新しいサービスがUICC5によってサポートされている場合、UICC5は、そのことをATR(リセットに対する回答)バイトの中で宣言しなければならない。
【0058】
(TS 102 221に定められている)ATR内のT=15の後の最初のグローバルインタフェースバイトは、このために使用することができる。例えば、このグローバルインタフェースバイトの既存の符号化を、新しいサービスのサポートの導入のために拡張することができる。
【0059】
(次の表2(ETSI TS 102 221内の表6.7)はETSI TS 102 221から抽出され、新しい入力をして更新されている)
表2:ATRのT=15の後の最初のTBi(i>2)の符号化
【0060】
【表2】
【0061】
この実施形態では、ME3内のUICCモジュール41は、UICCアプリケーション59へのアクセスを制御する。これを行うために、UICCモジュール41は、次の役割を担っている。
【0062】
●EF UICC Appから読み出されたメタデータ61を全て格納する
●UICCアプリケーション59を起動する(メタデータによって定められた)必要な条件が、このアプリケーションの実行要求をUICC5に実際に送る前に全て満たされたことをチェックする
特に、EF UICC App内の上記した複数のパラメータについて、UICCモジュール41は、(関連するUICCアプリケーションについて)次の動作の役割を担っている。
【0063】
○必要なネットワークサービスが利用可能であることをチェックする
○ペアレンタル・コントロールの状態をチェックする
○ユーザにログイン/パスワードを入力するように要求する
注記:これらの格納とチェックの特徴を達成するいくつかのソフトウェアモジュールがME3内に存在してもよい。特定の構成が実現例に特有である。
【0064】
D)(ETSI TS 102 223に追加される)新しいエンベロープコマンドの定義
この新しいエンベロープコマンドは、UICCアプリケーション59を実際に起動するために、ME3からUICC5に送られる。
【0065】
(UICCアプリケーションを起動する)エンベロープの構造
−方向:端末(ME)からUICCへ
コマンドのヘッダは、3GプラットフォームのためのETSI TS 102 223と、2GプラットフォームのためのETSI TS 151 011と、に明記されている。
【0066】
−コマンドパラメータ/データ
【0067】
【表3】
【0068】
−装置アイデンティティー:TS 102 223に定められている符号化
−UICCアプリケーションID(TS 102 223に追加される新しいTLVデータオブジェクト)
4.1 8.vvUICCアプリケーションID
【0069】
【表4】
【0070】
−識別子:
−0x0001から0xFFFF(1から65536)の間に定められた値 −0は将来の使用のための未使用
−UICCアプリケーションログイン/パスワード:これらのパラメータは、それらがUICCアプリケーション59によって要求された場合にのみ存在する。
【0071】
E)OTAによるUICCアプリケーションの更新
UICC5内に位置するアプリケーション59は、Over The Air(OTA)更新メカニズムを経て、オペレータ/スマートカードベンダーによってリモートで更新することができる。EF UICC App内のメタデータ61が(例えば、ユーザに表示される新しいアイコンに対して)変わった場合には、UICC5は、ME3が更新されたメタデータ61を検索できるように、Refreshプロアクティブコマンドを使用して、ME3にメタデータ61を再度読み出すように要求する。
【0072】
修正および代替
詳細な実施形態を上記で記載した。当業者が理解するように、幾つかの修正および代替を、ここに具体化された発明から、なお利益を得ながら上記の実施形態を行うことができる。
【0073】
上記の実施形態では、UICCアプリケーションメタデータは、電源投入またはリセット処理の間にUICCから読み出されていた。他の実施形態では、UICCアプリケーションメタデータは、異なった時間に読み出され(または読出しを開始され)てもよいが、ユーザが、起動するアプリケーションを選択するユーザインタフェースを使用し始める(または、使用することができる)前であってもよい。
【0074】
上記の実施形態では、携帯電話をベースとした通信システムについて記載した。当業者が理解するように、本願で記載した技術は他の通信システムでも使用することができる。他の通信ノードまたは通信装置は、例えば、パーソナルディジタルアシスタント、携帯電話、ラップトップコンピュータなどのユーザ装置を含んでいてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、いくつかのソフトウェアモジュールについて記載した。当業者が理解するように、これらソフトウェアモジュールはコンパイルされたまたはコンパイルされていない形式で提供されてよく、そしてコンピュータネットワークを通じてまたは記録媒体に記録して信号としてUICCまたはMEへ供給されてもよい。さらに、このソフトウェアの一部または全てによって行われる機能は、1つまたは複数の専用のハードウェアモジュールを使用してなされてもよい。しかしながら、ソフトウェアモジュールの使用は、ソフトウェアの機能を更新するために、UICC5とME3の更新を容易にするので好ましい。同様に、上記した様々なソフトウェアモジュールによって果たされる機能は、任意の数の別個のソフトウェアモジュールによってなされてもよく、または、オペレーティングシステムのような、単一のソフトウェアモジュールによってなされてもよい。
【0076】
上記の実施形態では、UICCは、各装置上のインタフェースによってMEと接続していた。当業者が理解するように、これらのインタフェースは物理的(接触)タイプのインタフェースであってよく、または無線(非接触)タイプのインタフェースであってもよい。
【0077】
他の様々な変形が当業者に明らかであり、ここではさらに詳しくは説明しない。
【0078】
この出願は、2010年3月25日に出願された英国特許出願第1005034.2号に基づき、その優先権の利益を請求する。
【符号の説明】
【0079】
1 モバイル通信システム
3 ME
5 UICC
7 基地局
9 オペレータネットワーク
11 アクセスポイント
13 サーバ
15 インターネット
23 送受信回路
25 アンテナ
27 スピーカー
29 マイクロフォン
31、53 プロセッサ
33 ディスプレイ
35 キーパッド
37、55 メモリ
39、56 オペレーティングシステム
41 UICCモジュール
43 MEアプリケーション
45 UIモジュール
47 アプリケーションデータ
49 UICCインタフェース
51 MEインタフェース
57 USATモジュール
59 UICCアプリケーション
61 UICCアプリケーションメタデータ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5