(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、旋回アームの旋回中心を、XY移動機構によって特定の軌道に沿って複雑に移動させる必要がある。また、この装置に、例えばCT(コンピュータ断層撮影法)画像を取得するためのCT撮影が可能なように機能を拡張することが考えられる。この場合、X線撮像手段を円弧移動させてX線束の被写体における透過部位をシフトさせることによって広いFOV(視野)を得るためには、X線撮像手段を移動させる手段が別途必要となる。したがって、別の種類の撮影が可能なように機能を拡張する場合には、駆動機構が多くなって構成や制御が複雑化し、コストも増大する。
【0007】
一方、特許文献2に記載の装置は、CT撮影が可能な装置であり、CT画像を取得するための幅広の2次元センサが必要である。このため、構成が複雑でありコストも高い。また、旋回アームの旋回角度が変化するのに応じて、幅広の2次元センサに向けて照射されるX線束のうちの歯列弓にほぼ垂直に入射するX線成分が選択されて使用される。ここで、X線束の各X線成分は、照射方向によって異なる強度分布を持っている。すなわち、X線束の強度は、その幅方向で均一ではなくばらついている。したがって、X線束のうちの強度が異なるX線成分を使用してパノラマ画像が生成されることになり、安定した画質が得られないおそれがある。
【0008】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で安定した画質が得られるパノラマ撮影が可能であり、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、別の種類の撮影が可能なように機能を拡張することができるX線撮影装置およびX線撮影方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係るX線撮影装置は、X線束を被写体に照射するX線源と、前記被写体を透過した前記X線束を検出するX線撮像手段と、前記X線源および前記X線撮像手段を支持する支持部材と、該支持部材を回転させて前記X線源および前記X線撮像手段を前記被写体の周りで旋回させる旋回手段と、前記被写体と前記X線撮像手段とを結ぶ線上に配設された円弧移動中心軸の周りに前記X線撮像手段および前記X線源を回転させてX線撮像手段を前記被写体の周りで円弧移動させる円弧移動手段と、前記旋回手段および前記円弧移動手段の動作を制御する制御部と、を備え、
前記旋回手段は、旋回アームと、該旋回アームを旋回させる旋回駆動手段と、を有し、前記支持部材は、前記旋回アームに配設された前記円弧移動中心軸に軸支された円弧移動アームからなり、前記円弧移動アームを円弧移動させる前記円弧移動手段を前記旋回アームに配設して、前記旋回駆動手段により前記旋回アームを旋回させることで、前記円弧移動アームを回転させて前記X線源および前記X線撮像手段を前記被写体の周りに回転させるとともに、前記円弧移動手段により前記円弧移動アームを回転させることで、前記X線撮像手段を前記被写体の周りで円弧移動させるように構成されており、前記制御部は、前記旋回手段を動作させることで前記X線源および前記X線撮像手段が前記被写体の周りで旋回する角度に応じて、前記被写体の歯列弓への前記X線束の照射方向を前記歯列弓に垂直な方向に近付けるように前記円弧移動手段を動作させながら、前記X線撮像手段による前記被写体を透過した前記X線束を検出してパノラマ撮影を実行すること、を特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、X線源およびX線撮像手段を被写体の周りで旋回させながら、円弧移動手段によって円弧移動中心軸を中心として前記X線撮像手段を円弧移動させることにより、X線束が歯列弓に略垂直に入射するように制御できる。このように歯列弓に略垂直方向にX線束を照射することによって、隣接歯との像重なりの少ない直交パノラマ画像が得られる。また、X線源とX線撮像手段との相対的な位置や向きの関係が変化しないため、X線束の一定の領域をX線撮像手段に照射することができ、常にばらつきのない均一なX線束を被写体に照射することができる。したがって、常にX線強度の安定した領域を使用してパノラマ画像を生成することができ、安定した画質を得ることができる。
また、例えばCT撮影が可能なように機能を拡張する場合には、駆動手段を別途設けることなく既に搭載されている円弧移動手段を利用することができる。すなわち、円弧移動手段を利用してX線束の被写体における透過部位をシフトさせることによって、比較的狭い範囲の検出エリアを有するX線撮像手段を使用して広いFOV(視野)が得られるCT撮影が可能となる。
すなわち、本発明によれば、簡易な構成で安定した画質が得られるパノラマ撮影が可能であり、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、別の種類の撮影が可能なように機能を拡張することができるX線撮影装置を提供できる。
また、支持部材である円弧移動アームにX線源とX線撮像手段とを配設し、円弧移動アームを円弧移動中心軸に軸支することで、円弧移動アームに配設されたX線源およびX線撮像手段を旋回手段により被写体の周りに旋回させることができる。また、円弧移動手段により円弧移動アームを回転させることで、X線撮像手段を被写体の周りで円弧移動させることができ、これにより、X線束が歯列弓に入射する角度を調整することが可能となる。
【0011】
前記X線撮影装置において、前記円弧移動中心軸は、前記X線源が配設された位置に設けられていることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、X線源を中心としてX線撮像手段を円弧移動させて、X線源を円弧移動させないので、安定したX線束を照射して、画像のぶれを抑制することができる。
【0015】
前記X線撮影装置において、前記円弧移動手段は、前記旋回アームに設置された回転駆動手段と、該回転駆動手段によって回転させられる雄ねじ部材と、該雄ねじ部材に螺合されているナット部と、該ナット部に固定され長孔を有する被係合部材と、前記円弧移動アームの先端側に一端部が固定され他端部が前記長孔に係合されているピン部材と、を有し、前記雄ねじ部材は、前記旋回アームの長手方向に略垂直な方向に延伸し、前記長孔は、前記雄ねじ部材の軸方向に略垂直な方向に延伸していることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、回転駆動手段により回転させられる雄ねじ部材とナット部とのねじ送り作用によって、ナット部に固定され長孔を有する被係合部材を移動させることで、被係合部材の長孔内のピン部材を介して円弧移動アームを円弧移動させることができる。このようにして、円弧移動手段を、モータ等の回転駆動手段によって制御可能であって簡易でコンパクトな構成とすることができる。
【0017】
前記X線撮影装置において、前記X線撮像手段は、前記パノラマ撮影の際に使用されるパノラマ撮影用センサと、該パノラマ撮影用センサよりも幅広のCT撮影用センサと、を有し、前記制御部は、前記支持部材を回転させて前記X線源および前記CT撮影用センサを前記被写体の周りで旋回させるように前記旋回手段を動作させながら、前記CT撮影用センサによる前記被写体を透過した前記X線束を検出してCT撮影を実行し、前記CT撮影は、前記円弧移動手段の動作を制御することによって前記CT撮影用センサに入射する前記X線束を該X線束の中心線が前記被写体の中心を通るように設定して行う第1モードと、前記円弧移動手段の動作を制御することによって前記CT撮影用センサに入射する前記X線束を該X線束の端縁が前記被写体の中心を通るように設定して行う第2モードと、を有することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、駆動手段を別途設けることなく既に搭載されている円弧移動手段を利用してX線束の透過部位をシフトさせることによって、比較的狭い範囲の検出エリアを有するCT撮影用センサを使用して、大小2段階のFOV(視野)が得られるCT撮影が可能となる。したがって、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、FOVの大小切替えができるCT撮影が可能なように機能が拡張される。
【0019】
また、本発明に係るX線撮影装置は、X線束を被写体に照射するX線源と、前記被写体を透過した前記X線束を検出するX線撮像手段と、前記X線源および前記X線撮像手段を支持する支持部材と、該支持部材を回転させて前記X線源および前記X線撮像手段を前記被写体の周りで旋回させる旋回手段と、前記被写体と前記X線撮像手段とを結ぶ線上に配設された円弧移動中心軸の周りに前記X線撮像手段および前記X線源を回転させてX線撮像手段を前記被写体の周りで円弧移動させる円弧移動手段と、前記旋回手段および前記円弧移動手段の動作を制御する制御部と、前記被写体を透過した前記X線束を検出するセファロ撮影用センサ、および該セファロ撮影用センサを移動させる移動手段を有するセファロ撮像部と、前記X線源から照射されるX線の範囲を調整可能に規制するスリットと、を備え、
前記制御部は、前記旋回手段を動作させることで前記X線源および前記X線撮像手段が前記被写体の周りで旋回する角度に応じて、前記被写体の歯列弓への前記X線束の照射方向を前記歯列弓に垂直な方向に近付けるように前記円弧移動手段を動作させながら、前記X線撮像手段による前記被写体を透過した前記X線束を検出してパノラマ撮影を実行し、前記制御部は、前記スリットを制御することによって前記X線束の照射方向を前記X線撮像手段をよける方向に変化させるとともに、前記円弧移動手段の動作を制御することによって前記X線束を前記セファロ撮影用センサに入射させ、前記セファロ撮影用センサに前記X線束が入射する状態を保つように前記円弧移動手段を動作させるとともに前記移動手段を動作させながら、前記セファロ撮影用センサによる前記被写体を透過した前記X線束を検出してセファロ撮影を実行すること
、を特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、駆動手段を別途設けることなく既に搭載されている円弧移動手段を利用してX線束の透過部位をシフトさせることによって、比較的狭い範囲の検出エリアを有するセファロ撮影用センサを使用して、広いセファロ画像が得られるセファロ撮影が可能となる。したがって、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、セファロ撮影が可能なように機能が拡張される。
【0021】
前記課題を解決するため、本発明に係るX線撮影方法は、X線束を被写体に照射するX線源と、前記被写体を透過した前記X線束を検出するX線撮像手段と、前記X線源および前記X線撮像手段を支持する支持部材と、該支持部材を回転させて前記X線源および前記X線撮像手段を前記被写体の周りで旋回させる旋回手段と、前記被写体と前記X線撮像手段とを結ぶ線上に配設された円弧移動中心軸の周りに前記X線撮像手段および前記X線源を回転させてX線撮像手段を前記被写体の周りで円弧移動させる円弧移動手段と、前記旋回手段および前記円弧移動手段の動作を制御する制御部と、を備え
、前記旋回手段は、旋回アームと、該旋回アームを旋回させる旋回駆動手段と、を有し、前記支持部材は、前記旋回アームに配設された前記円弧移動中心軸に軸支された円弧移動アームからなり、前記円弧移動アームを円弧移動させる前記円弧移動手段を前記旋回アームに配設して、前記旋回駆動手段により前記旋回アームを旋回させることで、前記円弧移動アームを回転させて前記X線源および前記X線撮像手段を前記被写体の周りに回転させるとともに、前記円弧移動手段により前記円弧移動アームを回転させることで、前記X線撮像手段を前記被写体の周りで円弧移動させるように構成されているX線撮影装置を用いて撮影を行うX線撮影方法であって、前記制御部が、前記旋回手段を動作させることで前記X線源および前記X線撮像手段が前記被写体の周りで旋回する角度に応じて、前記被写体の歯列弓への前記X線束の照射方向を前記歯列弓に垂直な方向に近付けるように前記円弧移動手段を動作させながら、前記X線撮像手段による前記被写体を透過した前記X線束を検出してパノラマ撮影を実行するステップと、前記制御部が、前記パノラマ撮影によって得られた画像データに基づいてパノラマ画像を生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
前記X線撮像手段は、前記パノラマ撮影の際に使用されるパノラマ撮影用センサと、該パノラマ撮影用センサよりも幅広のCT撮影用センサと、を有し、前記X線撮影方法は、前記制御部が、前記支持部材を回転させて前記X線源および前記CT撮影用センサを前記被写体の周りで旋回させるように前記旋回手段を動作させながら、前記CT撮影用センサによる前記被写体を透過した前記X線束を検出してCT撮影を実行するステップと、前記制御部が、前記CT撮影によって得られた画像データに基づいてCT画像を生成するステップと、を含み、前記CT撮影は、前記円弧移動手段の動作を制御することによって前記CT撮影用センサに入射する前記X線束を該X線束の中心線が前記被写体の中心を通るように設定して行う第1モードと、前記円弧移動手段の動作を制御することによって前記CT撮影用センサに入射する前記X線束を該X線束の端縁が前記被写体の中心を通るように設定して行う第2モードと、を有することが好ましい。
【0023】
また、本発明に係るX線撮影方法は、X線束を被写体に照射するX線源と、前記被写体を透過した前記X線束を検出するX線撮像手段と、前記X線源および前記X線撮像手段を支持する支持部材と、該支持部材を回転させて前記X線源および前記X線撮像手段を前記被写体の周りで旋回させる旋回手段と、前記被写体と前記X線撮像手段とを結ぶ線上に配設された円弧移動中心軸の周りに前記X線撮像手段および前記X線源を回転させてX線撮像手段を前記被写体の周りで円弧移動させる円弧移動手段と、前記旋回手段および前記円弧移動手段の動作を制御する制御部と、前記被写体を透過した前記X線束を検出するセファロ撮影用センサ、および該セファロ撮影用センサを移動させる移動手段を有するセファロ撮像部と、前記X線源から照射されるX線の範囲を調整可能に規制するスリットと、を備え
るX線撮影装置を用いて撮影を行うX線撮影方法であって、前記制御部が、前記旋回手段を動作させることで前記X線源および前記X線撮像手段が前記被写体の周りで旋回する角度に応じて、前記被写体の歯列弓への前記X線束の照射方向を前記歯列弓に垂直な方向に近付けるように前記円弧移動手段を動作させながら、前記X線撮像手段による前記被写体を透過した前記X線束を検出してパノラマ撮影を実行するステップと、前記制御部が、前記パノラマ撮影によって得られた画像データに基づいてパノラマ画像を生成するステップと、前記制御部が、前記スリットを制御することによって前記X線束の照射方向を前記X線撮像手段をよける方向に変化させるステップと、前記制御部が、前記円弧移動手段の動作を制御することによって前記X線束を前記セファロ撮影用センサに入射させるステップと、前記制御部が、前記セファロ撮影用センサに前記X線束が入射する状態を保つように前記円弧移動手段を動作させるとともに前記移動手段を動作させながら、前記セファロ撮影用センサによる前記被写体を透過した前記X線束を検出してセファロ撮影を実行するステップと、前記制御部が、前記セファロ撮影によって得られた画像データに基づいてセファロ画像を生成するステップと、を含むこと
を特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡易な構成で安定した画質が得られるパノラマ撮影が可能であり、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、別の種類の撮影が可能なように機能を拡張することができるX線撮影装置およびX線撮影方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す各図において、共通する部分には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るX線撮影装置1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されるX線撮影装置1の要部の概略構成を模式的に示す側面図である。
図3は、X線撮影装置1の本体部20周辺の内部構造を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る歯科用のX線撮影装置1は、鉛直方向に延伸する支柱9と、支柱9に対して上下方向に移動可能に支持されたフレーム10とを備えている。フレーム10は、鉛直方向に延伸する鉛直部10aと、鉛直部10aに連設され水平方向に延伸する水平部10bとを有している。フレーム10の水平部10bには、逆U字形状を呈する本体部20が鉛直軸周りに回転自在に配設されている。X線撮影装置1において、パノラマ撮影またはCT撮影を行う場合、患者は本体部20の内側に頭部を固定して配置される。
【0029】
本実施形態では、X線撮影装置1は、セファロ撮像部70を備えている。セファロ撮像部70は、フレーム10の鉛直部10aに対して支持アーム10cを介して固定されている。セファロ撮像部70は、短冊状(例えば6mm×220mm;縦長)の2次元センサであるセファロ撮影用センサ71a(
図8、
図12参照)を有するセファロセンサ部71と、セファロ撮影用センサ71aを移動させる移動手段72(
図8参照)とを有している。X線撮影装置1において、頭部について横顔と正面から撮影するセファロ撮影を行う場合、患者はセファロセンサ部71の内側(本体部20側)に頭部を固定して配置される。
【0030】
図2〜
図3に示すように、本実施形態に係るX線撮影装置1の本体部20は、X線束Lを被写体Kに照射するX線源11aを有するヘッド部11と、X線撮像手段としてのX線センサ12を有するセンサ部13と、を備えている。
【0031】
X線センサ12は、短冊状(例えば6mm×150mm;縦長)の2次元センサであるパノラマ撮影用センサ12aと、パノラマ撮影用センサ12aよりも幅広(例えば120mm×120mm)の2次元センサであるCT撮影用センサ12bとを有している。センサ部13は、パノラマ撮影用センサ12aを有する第1センサ部13aと、CT撮影用センサ12bを有する第2センサ部13bとを有している。パノラマ撮影用センサ12aとCT撮影用センサ12bとは、アーム回転中心軸C1を中心とする周方向においてずれた位置に設置されている。X線センサ12は、円弧移動アーム2から下方に固定されたセンサ支持部12cに設置されている。
【0032】
X線撮影装置1は、X線源11aおよびX線センサ12を支持する支持部材である円弧移動アーム2と、円弧移動アーム2をアーム回転中心軸C1の周りに回転させる旋回手段3と、を備えている。また、X線撮影装置1は、円弧移動中心軸C2の周りにX線センサ12およびX線源11aを回転させてX線センサ12を被写体Kの周りで円弧移動させる円弧移動手段4と、旋回手段3および円弧移動手段4の動作を制御する制御部8(
図8参照)と、を備えている。
【0033】
旋回手段3は、旋回軸31に枢支された旋回アーム32と、旋回アーム32を旋回させるサーボモータ等からなる旋回駆動手段33と、を備えている。
【0034】
X線撮影装置1は、旋回駆動手段33によってギア機構および旋回軸31を介して旋回アーム32を旋回させることで、円弧移動アーム2を回転させてX線源11aおよびX線センサ12を被写体Kの周りに回転させることができる。また、X線撮影装置1は、円弧移動手段4によって円弧移動アーム2を回転させることで、X線センサ12を被写体Kを挟んで円弧移動させることができる。円弧移動手段4は、X線束Lの被写体Kにおける透過部位を、X線源11aとX線センサ12とを結ぶ線に略垂直な方向にシフトさせる機能を有する。
【0035】
X線源11aは、円弧移動アーム2から下方に固定されたX線源支持部11bに設置されている。このため、X線源11aから照射されたX線束Lの照射方向は、円弧移動アーム2の回転に伴って変化し、X線束Lの照射方向に追従するように同期しながらX線センサ12も円弧移動する。
【0036】
また、X線源11aから照射されたX線束Lの範囲を調整可能に規制するスリット14が、被写体Kを挟んでX線センサ12と対向するように、ヘッド部11の被写体K側に配設されている。このスリット14により、被写体Kには絞られたX線束Lが被写体Kを通過してX線センサ12で検出される。スリット14は、X線束Lの幅方向(水平方向)の範囲を調整可能である。また、スリット14は、X線束Lの高さ向(上下方向)の範囲を調整可能であってもよい。スリット14を配設したことで、散乱線の量を低減させることによって画質を向上させることができる。なお、スリット14は、円弧移動アーム2から垂下するように配設されていてもよい。
【0037】
パノラマ撮影用センサ12a、CT撮影用センサ12b、およびセファロ撮影用センサ71aは、被写体Kを通過したX線束Lを検出するものであり、CMOSセンサ、CCDセンサ、CdTeセンサなどのイメージセンサを使用して構成することができる。
例えば、CMOSセンサは、安価で電力消費が少ないという特徴を有し、CCDセンサは解像度が高いという特徴を有するため、X線撮影装置1に要求される仕様に基づいて最適なイメージセンサを選択することができる。
【0038】
円弧移動アーム2は、旋回アーム32に配設された円弧移動中心軸C2を有する軸部材21の周りで回転自在に軸支されており、旋回アーム32の下方に位置している。円弧移動中心軸C2は、ここでは、円弧移動アーム2に配設されたヘッド部11のX線源11aと同軸上に設けられている。
【0039】
円弧移動アーム2には、X線源11a、スリット14、およびX線センサ12が直線状に配設されている。このため、X線源11aから照射されたX線束Lの一定の領域をスリット14で絞ってX線センサ12に照射することができるため、常にばらつきのない均一なX線束Lを効率よく被写体Kに照射することができる。
【0040】
図4は、
図3に示される旋回アーム32および円弧移動アーム2周辺を取り出して示す斜視図である。
図5は、
図4の斜め下方から見た斜視図である。
図6は、
図3に示される円弧移動手段4周辺の拡大斜視図である。
図7は、
図6の拡大側面図である。
【0041】
図4〜
図5に示すように、円弧移動手段4は、旋回アーム32における軸部材21と反対側部分である先端部32aに設置されたサーボモータ等の回転駆動手段41と、回転駆動手段41によって回転させられる雄ねじ部材42と、雄ねじ部材42に螺合されているナット部43と、を有している。回転駆動手段41の回転軸に固定された駆動プーリ47aと、雄ねじ部材42の軸端に固定された従動プーリ47bとには、ベルト48が掛け渡されている。回転駆動手段41の回転駆動力は、ベルト48を介して雄ねじ部材42に伝達される。
【0042】
旋回アーム32には、旋回軸31(
図2参照)が取り付けられる取付部32iが設けられている。取付部32iは、電気配線部材(図示せず)を通すための貫通孔32hを有している。円弧移動アーム2は、旋回アーム32の貫通孔32hの部分を避けるように、水平面内で湾曲した形状を呈している(
図5参照)。円弧移動アーム2の基端部2aには、X線源支持部11bを介してX線源11aが設置されるようになっている。
【0043】
また、
図6〜
図7に示すように、円弧移動手段4は、ナット部43に固定され長孔44を有する被係合部材45と、円弧移動アーム2における軸部材21(
図3参照)と反対側部分である先端部2bに一端が固定され他端が被係合部材45の長孔44に係合されているピン部材46と、を有している。雄ねじ部材42は、旋回アーム32の長手方向に略垂直な方向に延伸しており、長孔44は、雄ねじ部材42の軸方向に略垂直な方向に延伸している。旋回アーム32の先端部32aには、ピン部材46が貫通した状態で干渉することなく円弧移動することを許容する円弧状長孔32jが形成されている。
【0044】
円弧移動アーム2の先端部2bの下方には、連結部材2cを介して取付板2dが固定されている。取付板2dには、センサ支持部12cを介してX線センサ12(
図3参照)が設置されるようになっている。旋回アーム32の先端部32aの下方には、側板32b,32cを介することによって間隔をあけて、一対のガイド板32d,32eが固定されている。ただし、
図6では、側板32bの図示を省略している。一対のガイド板32d,32eの互いに対向する内側には、円弧移動中心軸C2(
図2参照)を中心とする円弧形状に湾曲するとともに斜め下方に向いたガイド面32f,32gが形成されている(
図5参照)。
【0045】
円弧移動アーム2の先端部2bには、水平軸周りで回転自在なローラ2eが取り付けられており、ローラ2eは、ガイド板32d,32e上に接触して転動する。また、円弧移動アーム2の取付板2dには、鉛直方向に対して斜めに傾斜した軸周りで回転自在なローラ2fが取り付けられており、ローラ2fは、ガイド板32d,32eのガイド面32f,32gに接触して転動する。
【0046】
図4〜
図5に示すように、円弧移動手段4において、回転駆動手段41の回転によるねじ送り作用によって、ナット部43が雄ねじ部材42の軸方向に沿って移動する。すると、被係合部材45(
図6参照)の長孔44に係合されているピン部材46を介して、円弧移動アーム2が軸部材21(円弧移動中心軸C2、
図2参照)の周りで回転(揺動)する。このようにして、円弧移動アーム2を円弧移動中心軸C2の周りに回転させることで、円弧移動アーム2に配設されたスリット14およびX線センサ12を円弧移動させることができる。
【0047】
図8は、X線撮影装置1の主要な制御構成を示すブロック図である。
図8に示すように、X線撮影装置1は、X線撮影装置1全体の統括制御をおこなう制御部8を備えている。例えば、制御部8は、被写体KのX線撮影動作の制御をおこなう。すなわち、制御部8は、X線源11aの照射動作を制御するとともに、X線センサ12あるいはセファロ撮影用センサ71aによる被写体Kを透過したX線束L(
図2参照)の検出を実行する。また、制御部8は、旋回手段3(
図2参照)の旋回駆動手段33、円弧移動手段4(
図2参照)の回転駆動手段41、およびセファロ撮像部70(
図1参照)の移動手段72の動作を制御する。
【0048】
X線撮影装置1はまた、画像処理部82、外部記憶装置83、および表示部84を備えており、これらは制御部8に接続されている。画像処理部82は、X線センサ12あるいはセファロ撮影用センサ71aにより検出されて得られた画像データ(投影データ)に対して画像処理を施して、パノラマ画像、CT画像、セファロ画像等の各種画像を生成する。外部記憶装置83は、例えばハードディスク装置、光ディスク装置であり、各種画像を保存することができる。表示部84は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)であり、各種画像を表示することができる。
【0049】
また、操作部81を通して、パノラマ撮影、CT撮影、セファロ撮影等の各種撮影モードの切換や、各種条件の設定等が可能となっている。
【0050】
以上のように構成されたX線撮影装置1の動作について、
図9〜
図12を参照しながら説明する。
図9は、撮影動作の概略の手順を示すフローチャートである。
図10は、パノラマ撮影について説明するための図である。
図11は、CT撮影について説明するための図である。
図12は、セファロ撮影について説明するための図である。
【0051】
図9に示すように、まず、制御部8(
図8参照、以下同様)は、操作者が操作部81(
図8参照)を操作することによって選択した撮影モードがパノラマ撮影、CT撮影、およびセファロ撮影のうちのいずれであるかを判断する(ステップS1)。
【0052】
選択された撮影モードがパノラマ撮影である場合(ステップS1で「パノラマ」)、X線撮影装置1によるパノラマ撮影が実行される(ステップS2)。
【0053】
パノラマ撮影では、
図10に示すように、制御部8は、旋回手段3(
図2参照、以下同様)を動作させることでX線源11aおよびパノラマ撮影用センサ12aが被写体K(
図2参照、以下同様)の周りで旋回する角度に応じて、被写体Kの歯列弓AへのX線束Lの照射方向を歯列弓Aに垂直な方向に近付けるように円弧移動手段4(
図2参照、以下同様)を動作させる。結果として、X線束Lの照射方向が歯列弓Aに略垂直な方向となる。制御部8は、このような動作を行いながら、パノラマ撮影用センサ12aによる被写体Kを透過したX線束Lを検出してパノラマ撮影を実行する。ここで、歯列弓Aは、歯列弓に加えて、その端部から顎関節に延びる曲線をも含む概念である。
【0054】
図10に示すX線源11aおよびパノラマ撮影用センサ12aの位置は、パノラマ撮影期間の中間時点での位置である。X線源11aは、パノラマ撮影の開始時点では位置P1にあり、アーム回転中心軸C1の周りにR方向に回転する。
図10において、X線源11aから延びる破線は、旋回アーム32(
図2参照、以下同様)の向き(長手方向)を示し、X線源11aから延びる実線は、X線束Lの照射方向、すなわち円弧移動アーム2(
図2参照、以下同様)の向き(長手方向)を示している。例えばパノラマ撮影の開始時点(X線源11aが位置P1にあるとき)には、円弧移動アーム2の向きは、旋回アーム32の向きに対して、円弧移動中心軸C2の周りに角度αだけずれている。また、パノラマ撮影期間の中間時点(X線源11aが
図10に示す位置にあるとき)には、円弧移動アーム2の向きは、旋回アーム32の向きと一致している。
【0055】
ステップS3では、パノラマ撮影により得られた画像データ(投影データ)が画像処理部82に転送されると、制御部8は、画像処理部82が画像データ(投影データ)に対して所定の画像処理を施してパノラマ画像を生成するように制御する。また、生成されたパノラマ画像は、必要に応じて外部記憶装置83に保存され得る。
【0056】
続いて、制御部8は、生成された画像を表示部84に表示させる(ステップS4)。
【0057】
一方、選択された撮影モードがCT撮影である場合(ステップS1で「CT」)、制御部8は、操作者によって選択されたFOV(視野)の大きさが「小」か「大」のいずれであるかを判断する(ステップS5)。
【0058】
選択されたFOV(視野)の大きさが「小」である場合(ステップS5で「小」)、X線撮影装置1による第1CT撮影(第1モード)が実行される(ステップS6)。
【0059】
ステップS6では、
図11の2点鎖線で示すように、円弧移動手段4の動作を制御することによってCT撮影用センサ12bに入射するX線束Lを該X線束Lの中心線が被写体Kの中心Oを通るように設定される。
【0060】
そして、制御部8は、旋回アーム32を旋回させることで円弧移動アーム2を回転させてX線源11aおよびCT撮影用センサ12bを被写体Kの周りで旋回させるように旋回手段3を動作させながら、CT撮影用センサ12bによる被写体Kを透過したX線束Lを検出して第1CT撮影を実行する。ここで、旋回手段3により円弧移動アーム2がフルリコンの360度(ないしハーフリコンの180度)回転させられる。これにより、
図11に示す比較的小さいFOV(視野)61が得られる。
【0061】
ステップS5において、選択されたFOV(視野)の大きさが「大」である場合(ステップS5で「大」)、X線撮影装置1による第2CT撮影(第2モード)が実行される(ステップS7)。
【0062】
ステップS7では、
図11の実線で示すように、円弧移動手段4の動作を制御することによってCT撮影用センサ12bに入射するX線束Lを該X線束Lの端縁が被写体Kの中心Oを通るように設定される。この場合、円弧移動アーム2の向きは、第1CT撮影のときよりも、円弧移動中心軸C2の周りに角度αだけずれている。
【0063】
そして、制御部8は、旋回アーム32を旋回させることで円弧移動アーム2を回転させてX線源11aおよびCT撮影用センサ12bを被写体Kの周りで旋回させるように旋回手段3を動作させながら、CT撮影用センサ12bによる被写体Kを透過したX線束Lを検出して第2CT撮影を実行する。ここで、旋回手段3により円弧移動アーム2がフルリコンの360度回転させられる。これにより、
図11に示す比較的大きいFOV(視野)62が得られる。
【0064】
ステップS8では、CT撮影(第1CT撮影あるいは第2CT撮影)により得られた画像データ(投影データ)が画像処理部82に転送されると、制御部8は、画像処理部82が画像データ(投影データ)に対して所定の画像処理を施してCT画像を生成するように制御する。また、生成されたCT画像は、必要に応じて外部記憶装置83に保存され得る。
【0065】
選択された撮影モードがセファロ撮影である場合(ステップS1で「セファロ」)、X線撮影装置1によるセファロ撮影が実行される(ステップS9)。
【0066】
セファロ撮影では、
図12に示すように、制御部8は、まず、スリット14(
図2参照)を制御することによって、X線束Lの照射方向をX線センサ12(パノラマ撮影用センサ12aおよびCT撮影用センサ12b)を有するセンサ部13をよける方向に変化させる。続いて、制御部8は、円弧移動手段4の動作を制御することによってX線束Lをセファロ撮影用センサ71aに入射させる。そして、制御部8は、セファロ撮影用センサ71aにX線束Lが入射する状態を保つように円弧移動手段4を動作させるとともに移動手段72(
図8参照)を動作させる。ここで、円弧移動手段4によってX線源11aおよびX線センサ12が円弧移動中心軸C2の周りに回転(
図12では右回転)するとともに、移動手段72によってセファロ撮影用センサ71aがB方向に移動する。制御部8は、このような動作を行いながら、セファロ撮影用センサ71aによる被写体Kを透過したX線束Lを検出してセファロ撮影を実行する。
【0067】
ステップS10では、セファロ撮影により得られた画像データ(投影データ)が画像処理部82に転送されると、制御部8は、画像処理部82が画像データ(投影データ)に対して所定の画像処理を施してセファロ画像を生成するように制御する。また、生成されたセファロ画像は、必要に応じて外部記憶装置83に保存され得る。
【0068】
前記したように、本実施形態によれば、X線源11aおよびX線センサ12を被写体Kの周りで旋回させながら、円弧移動手段4によって円弧移動中心軸C2を中心としてX線センサ12を円弧移動させることにより、X線束Lが歯列弓Aに略垂直に入射するように制御できる。このように歯列弓Aに略垂直方向にX線束Lを照射することによって、隣接歯との像重なりの少ない直交パノラマ画像が得られる。また、X線源11aとX線センサ12との相対的な位置や向きの関係が変化しないため、X線束Lの一定の領域をX線センサ12に照射することができ、常にばらつきのない均一なX線束Lを被写体Kに照射することができる。したがって、常にX線強度の安定した領域を使用してパノラマ画像を生成することができ、安定した画質を得ることができる。
また、X線撮影装置1は、パノラマ撮影、CT撮影、およびセファロ撮影のうち、パノラマ撮影のみが可能な装置として構成することができる。この場合に、例えばCT撮影が可能なように機能を拡張する場合には、駆動手段を別途設けることなく既に搭載されている円弧移動手段4を利用することができる。すなわち、円弧移動手段4を利用してX線束Lの被写体Kにおける透過部位をシフトさせることによって、比較的狭い範囲の検出エリアを有するCT撮影用センサ12bを使用して広いFOV(視野)が得られるCT撮影が可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、簡易な構成で安定した画質が得られるパノラマ撮影が可能であり、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、別の種類の撮影が可能なように機能を拡張することができるX線撮影装置1を提供できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、X線源11aを中心としてX線センサ12を円弧移動させて、X線源11aを円弧移動させないので、安定したX線束Lを照射して、画像のぶれを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、支持部材である円弧移動アーム2にX線源11aとX線センサ12とを配設し、円弧移動アーム2を円弧移動中心軸C2に軸支することで、円弧移動アーム2に配設されたX線源11aおよびX線センサ12を旋回手段3により被写体Kの周りに旋回させることができる。また、円弧移動手段4により円弧移動アーム2を回転させることで、X線センサ12を被写体Kの周りで円弧移動させることができ、これにより、X線束Lが歯列弓Aに入射する角度を調整することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態によれば、回転駆動手段41により回転させられる雄ねじ部材42とナット部43とのねじ送り作用によって、ナット部43に固定され長孔44を有する被係合部材45を移動させることで、被係合部材45の長孔44内のピン部材46を介して円弧移動アーム2を円弧移動させることができる。このようにして、円弧移動手段4を、モータ等の回転駆動手段41によって制御可能であって簡易でコンパクトな構成とすることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、駆動手段を別途設けることなく既に搭載されている円弧移動手段4を利用してX線束Lの透過部位をシフトさせることによって、比較的狭い範囲の検出エリアを有するCT撮影用センサ12bを使用して、大小2段階のFOV(視野)が得られるCT撮影が可能となる。したがって、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、FOVの大小切替えができるCT撮影が可能なように機能が拡張される。
【0073】
また、本実施形態によれば、駆動手段を別途設けることなく既に搭載されている円弧移動手段4を利用してX線束Lの透過部位をシフトさせることによって、比較的狭い範囲の検出エリアを有するセファロ撮影用センサ71aを使用して、広いセファロ画像が得られるセファロ撮影が可能となる。したがって、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、セファロ撮影が可能なように機能が拡張される。
【0074】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0075】
例えば、前記実施形態では、X線撮影装置1は、パノラマ撮影、CT撮影、およびセファロ撮影のすべてが可能な装置として構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、X線撮影装置1は、前記したようにパノラマ撮影のみが可能な装置として構成されていてもよく、さらには、パノラマ撮影に加えてCT撮影およびセファロ撮影のいずれか一方が可能な装置として構成されていてもよい。
【0076】
また、前記した円弧移動手段4は例示であり、前記した実施形態に記載した構成に限定されるものではない。例えば、円弧移動手段は、旋回アーム32に設置されたサーボモータ等の回転駆動手段の下方に向く回転軸に回動アーム(リンク)の一端が固定され、該回動アームの他端に配設されたピン部材が円弧移動アーム2に形成された長孔に係合するリンク機構を備えていてもよい。あるいは、円弧移動手段は、円弧形状に湾曲して延びるラックと、該ラックに噛合するピニオンギアと、ピニオンギアを回転駆動するサーボモータ等の回転駆動手段とを有するギア機構を備えていてもよい。
【課題】簡易な構成で安定した画質が得られるパノラマ撮影が可能であり、構成の複雑化およびコストの増大を抑制しつつ、別の種類の撮影が可能なように機能を拡張することができるX線撮影装置およびX線撮影方法を提供する。
【解決手段】X線撮影装置において、制御部は、旋回手段を動作させることでX線源11aおよびパノラマ撮影用センサ12aが被写体の周りで旋回する角度に応じて、被写体の歯列弓AへのX線束Lの照射方向を歯列弓Aに垂直な方向に近付けるように円弧移動手段を動作させながら、パノラマ撮影用センサ12aによる被写体を透過したX線束Lを検出してパノラマ撮影を実行する。