(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
なお、本明細書において「インクジェット方式」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式等の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式等のオンデマンド方式を含む用語である。
【0013】
<第1実施形態>
まず、インクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」ということがある。)1について説明する。
図1は、一実施形態に係る大判のプリンタ1の一部を切り欠いて示す模式的な斜視図である。
図2は、プリンタ1の一部を模式的に示す副走査方向Xの断面図である。なお、以下の図面において、符号Yは主走査方向を示し、符号Xは主走査方向Yと直交する副走査方向を示し、符号Zは重力方向(上下方向)を示している。また、符号F、Rr、L、R、UおよびDは、それぞれ前、後、左、右、上および下を表している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ1の設置態様を何ら限定するものではない。
【0014】
プリンタ1は、記録媒体P上に画像を印刷するためのものである。記録媒体Pは、画像が印刷される対象物である。記録媒体Pは特に限定されない。記録媒体Pは、例えば、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類であってもよいし、樹脂類、金属類、ガラス類、ゴム類等であってもよい。
【0015】
プリンタ1は、プリンタ本体2と、プリンタ本体2を支持する2つのスタンド3と、制御装置30とを備えている。プリンタ本体2は、主走査方向Yに延びている。プリンタ本体2は、プラテン2Bと、左側壁部2Lおよび右側壁部2Rと、後方側壁部2Rrと、上カバー2Cと、ガイドレール2Gとを備えている。
【0016】
プラテン2Bはプリンタ本体2の下側面を構成している。プラテン2Bはスタンド3に固定されている。プラテン2Bは、主走査方向Yに延びている。左側壁部2Lは、プリンタ本体2の左側の面を構成している。右側壁部2Rは、プリンタ本体2の右側の面を構成している。左側壁部2Lおよび右側壁部2Rには、プラテン2Bと後方側壁部2Rrとガイドレール2Gとが連結されている。左側壁部2Lおよび右側壁部2Rは、プラテン2Bや後方側壁部2Rr、ガイドレール2Gと直交するように、副走査方向Xに延びている。右側壁部2Rの前面には、操作パネル2Dが設けられている。後方側壁部2Rrは、プリンタ本体2の後方側の面を構成している。上カバー2Cは、プラテン2Bの上方に設けられている。プラテン2Bの上方は、上カバー2Cで覆われている。上カバー2Cは開閉自在であり、プリンタ本体2の上側および前方側の面を構成している。プラテン2Bと、左側壁部2Lおよび右側壁部2Rと、後方側壁部2Rrと、上カバー2Cとに囲まれた領域が、印刷空間2A(
図2参照)である。本実施形態において、印刷空間2Aが、上カバー2Cの内側空間である。
【0017】
プラテン2Bは、主走査方向Y(
図1の左右方向)における中央部分に、印刷可能領域PAを有している。プラテン2Bの印刷可能領域PAには記録媒体Pが載せ置かれる。本実施形態において、プラテン2Bが、記録媒体Pを載置する載置台である。記録媒体Pは、図示しない紙送り機構によって副走査方向X(
図1の前後方向)に搬送される。プラテン2Bには、円筒状のグリッドローラ4が設けられている。グリッドローラ4は、その上面部を露出させた状態でプラテン2Bに埋設されている。グリッドローラ4は、図示しないフィードモータと電気的に接続されている。グリッドローラ4は、フィードモータによって駆動され、回転する。フィードモータは、制御装置30によって制御される。グリッドローラ4の上方には、ピンチローラ5が配置されている。ピンチローラ5は、記録媒体Pを上方から押さえつける。ピンチローラ5は、グリッドローラ4と対向している。グリッドローラ4とピンチローラ5との間に記録媒体Pが挟み込まれた状態でグリッドローラ4が回転すると、記録媒体Pが副走査方向Xに搬送される。
【0018】
ガイドレール2Gは、左側壁部2Lおよび右側壁部2Rに固定されている。ガイドレール2Gは、主走査方向Yに延びている。ガイドレール2Gは、前方に突出した係合部2Eを有している。ガイドレール2Gの係合部2Eには、キャリッジ10が係合している。ガイドレール2Gとこれに係合するキャリッジ10の上方は上カバー2Cで覆われている。キャリッジ10は、ガイドレール2Gに沿って主走査方向Y(
図1の左右方向)に摺動自在に構成されている。ガイドレール2Gの左端側および右端側にはプーリ6(
図2参照)が配置されている。2つのプーリ6には、無端状のベルト7が巻き掛けられている。一方のプーリ6は、図示しないキャリッジモータと電気的に接続されている。このプーリ6は、キャリッジモータによって駆動され、回転する。キャリッジモータは、制御装置30によって制御される。プーリ6が回転してベルト7が走行すると、キャリッジ10が主走査方向Yに移動する。
【0019】
印刷動作をしていないとき、キャリッジ10はガイドレール2Gの右端側のホームポジションHPに待機している。キャリッジ10には、吐出ヘッド11(
図2参照)が備えられている。吐出ヘッド11は、図示しないインク供給路によって、図示しないインクカートリッジと連通されている。インクカートリッジは、例えば、右側壁部2Rの内部に着脱可能に装着されている。インクカートリッジに収容されているインクは特に限定されない。インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インクであってもよいし、水性染料インク、紫外線硬化型顔料インク等であってもよい。
【0020】
吐出ヘッド11は、記録媒体Pと対向する側の面(本実施形態では下面)に、インクを吐出するための複数のノズル11aを備えている。吐出ヘッド11の内部には、圧電素子等を備えたアクチュエータ(図示せず)が設けられている。アクチュエータは、制御装置30によって制御される。アクチュエータが駆動することによって、吐出ヘッド11の各ノズル11aから記録媒体Pに向かってインクが吐出される。
【0021】
プリンタ本体2のホームポジションHPの位置の内部には、フラッシング機構12が配置されている。
図3は、フラッシング機構12の一例を模式的に示す主走査方向Yの断面図である。
図3は、吐出ヘッド11のノズル11aにキャップ13が装着された状態を示している。本実施形態のフラッシング機構12は、キャップ13と、吸引ポンプ15と、キャップ移動機構16とを備えている。キャップ13は、ノズル11aを覆うためのものである。吸引ポンプ15は、吐出ヘッド11内のインクを吸引するためのものである。キャップ移動機構16は、キャップ13を上下方向Zへ移動させる移動機構である。キャップ移動機構16は、例えばモータを備えている。
【0022】
キャリッジ10がホームポジションHPで待機しているとき、キャップ13はキャップ移動機構16によって上下方向Zの上方へ位置づけられている。これにより、キャリッジ10に備えられた吐出ヘッド11のノズル11aがキャップ13で覆われ、ノズル11aでのインクの乾燥が抑制される。また、キャップ13は、第1の廃インク経路14によって廃液タンク25に連通されている。第1の廃インク経路14の中途部には、吸引ポンプ15が配置されている。第1の廃インク経路14は、例えば可撓性を有するチューブである。吐出ヘッド11のノズル11aがキャップ13で覆われた状態で吸引ポンプ15が駆動すると、キャップ13を介して吐出ヘッド11内のインクが吸引される。
【0023】
吐出ヘッド11から排出されたインクは、廃液タンク25に収集される。廃液タンク25は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の耐インク性に優れた樹脂製である。本実施形態において、廃液タンク25は、プリンタ本体2の後方側壁部2Rrに直接的あるいは間接的に支持されている。廃液タンク25は、キャリッジ10に搭載されていない。廃液タンク25は、プリンタ本体2の外部に配置されている。ただし、廃液タンク25はプリンタ本体2の内部、例えばプラテン2Bの内側などに配置されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、プリンタ本体2の後方側壁部2Rrからは、空気経路20が突出している。言い換えれば、空気経路20の少なくとも一部は、プリンタ本体2の外部、つまり、上カバー2Cの外側空間に配置されている。空気経路20は、プリンタ本体2と一体的に設けられている。空気経路20は、プリンタ本体2の印刷空間2Aに滞留した空気を循環するための流路である。なお、
図2では、空気の流れる方向(送風方向)を矢印で示している。空気経路20は、耐インク性や撥インク性に優れるとよい。空気経路20は、例えば、ポリプロピレンやフッ素系樹脂等の樹脂製、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属製である。
【0025】
空気経路20の一端は、プリンタ本体2の印刷空間2Aから空気を取り入れる吸気口21である。空気経路20の他端は、プリンタ本体2の印刷空間2Aへと空気を排出する排気口22である。本実施形態において、吸気口21と排気口22とは、いずれもプリンタ本体2の印刷空間2Aに配置されている。空気経路20は、吸気口21の側と排気口22の側とで、プリンタ本体2の後方側壁部2Rrを貫いている。ただし、吸気口21および/または排気口22は、例えば、プリンタ本体2の印刷空間2Aを構成する壁面、具体的には、プラテン2B、後方側壁部2Rr、左側壁部2L、右側壁部2R、上カバー2C等に直接的に設けられていてもよい。
【0026】
吸気口21からは、印刷空間2Aのインクミストを含んだ空気が流入する。吸気口21は、吐出ヘッド11やプラテン2Bに載せ置かれた記録媒体Pの近傍に配置されているとよい。本実施形態では、重力方向Zにおいて、吸気口21が、プラテン2Bの上端と吐出ヘッド11の下端との間に配置されている。吸気口21は、プラテン2Bと平行な方向に開口しているとよい。ここではプラテン2Bは前後方向および左右方向に延びており、吸気口21は前方に向けて開口している。これにより、吐出ヘッド11がインクを吐出する際に生じるインクミストを効率よく空気経路20の方へ導くことができる。
【0027】
排気口22からは、インクミストが除去された清浄な空気が排出される。本実施形態では、排気口22は、吸気口21よりも重力方向Zの上方に配置されている。インクミストは空気よりも重いため、排気口22の位置を相対的に高くすることで、インクミストが印刷空間2Aに再流入することをより良く抑制することができる。また、重力方向Zにおいて、排気口22は、吐出ヘッド11の上端よりも上方に配置されている。排気口22は、プラテン2Bと平行な方向、あるいは、プリンタ本体2の上側(つまり、上カバー2Cの側)に向けて開口しているとよい。ここではプラテン2Bは前後方向および左右方向に延びており、排気口22は前方に向けて開口している。これにより、吐出ヘッド11に対する気流の影響を軽減することができる。
【0028】
図4は、プリンタ本体2を模式的に示す正面図である。この図では、上カバー2Cを取り外した状態を示している。
図4において、吸気口21は、主走査方向Yに沿って帯状(長穴状)に設けられている。吸気口21を主走査方向Yに長くすることで、記録媒体Pの主走査方向Yの広範な範囲にわたって、インクミストを含んだ空気を好適に取り込むことができる。
図4では、排気口22も、主走査方向Yに沿って帯状(長穴状)に設けられている。排気口22を主走査方向Yに長くすることで、排気時の流速を低くして、吐出ヘッド11に対する気流の影響を軽減することができる。
【0029】
主走査方向Yにおいて、吸気口21の長さは、例えば、プラテン2Bの印刷可能領域PAの長さよりも短くてもよいし、プラテン2Bの印刷可能領域PAの長さと同じであってもよいし、プラテン2Bよりも長くてもよい。吸気口21の上下方向Zの長さは、例えば、プラテン2Bの上端から吐出ヘッド11の下端までの長さよりも短くてもよいし、プラテン2Bの上端から吐出ヘッド11の下端までの長さと同じであってもよいし、プラテン2Bの上端から吐出ヘッド11の下端までの長さよりも長くてもよい。
【0030】
主走査方向Yにおいて、排気口22の長さは、例えば、プラテン2Bの印刷可能領域PAの長さよりも短くてもよいし、プラテン2Bの印刷可能領域PAの長さと同じであってもよいし、プラテン2Bの印刷可能領域PAの長さよりも長くてもよい。排気口22は、上カバー2Cに配置されていてもよい。
【0031】
空気経路20の中途部には、気液分離機構23と送風機24とが配置されている。本実施形態では、送風機24が気液分離機構23よりも送風方向の下流側に設けられている。本実施形態の空気経路20は、第1経路20aと、第2経路20bと、第3経路20cとで構成されている。第1経路20aの一部と、第2経路20bと、第3経路20cの一部とは、プリンタ本体2の外部に配置されている。
【0032】
第1経路20aは、吸気口21と気液分離機構23とを連通している。第1経路20aには、インクミストを含んだ空気が流通する。第1経路20aは、吸気口21から気液分離機構23に向かって真っすぐ直線状に延びている。インクミストは直進性を有するため、通常、直線的なパスをたどって空気経路20内を移動する。第1経路20aを直線的に設けることで、インクミストを気液分離機構23へ効率的に送ることができる。このため、インクミストが印刷空間2Aの側に逆流したり、第1経路20aの壁面に付着して滞留したりすることが抑制される。本実施形態では、プリンタ本体2から遠ざかるほど第1経路20aが下方に傾斜している。ただし、第1経路20aは、例えばプリンタ本体2のプラテン2Bの表面と平行であってもよい。第2経路20bは、気液分離機構23と送風機24とを連通している。第3経路20cは、送風機24と吸気口21とを連通している。第2経路20bと第3経路20cとには、インクミストが除去された清浄な空気が流通する。
【0033】
送風機24は、空気経路20に配置され、送風方向、すなわち吸気口21から吸引した空気を排気口22に向かう方向に送る。送風機24は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態において、送風機24は、気液分離機構23よりも送風方向の下流側、言い換えれば排気口22に近い側に設けられている。これにより、送風機24がインクミストで汚れることを防止して、送風機24の耐久性を向上することができる。送風機24は、例えば、気液分離機構23で分離された空気(インクミストが除去された清浄な空気)をプリンタ本体2の印刷空間2Aに向かって排気する排気ファンであるとよい。ただし、送風機24は、気液分離機構23よりも送風方向の上流側に設けられていてもよい。この場合、送風機24は、インクミストを含んだ空気をプリンタ本体2の印刷空間2Aから吸気する吸気ファンであるとよい。また、送風機24は、気液分離機構23の上流側と下流側とに、例えば吸気ファンと排気ファンとをそれぞれ1つ以上設けることもできる。
【0034】
本実施形態において、送風機24はプリンタ本体2の印刷空間2Aに配置されている。ただし、送風機24は、例えば、プリンタ本体2の後方側壁部2Rrに埋設されていてもよいし、空気経路20のプリンタ本体2の外部に配置されていてもよい。送風機24の種類は特に限定されず、例えば送風時の風量や風圧、送風方向等を考慮して適宜選択することができる。送風機24は、例えば、多翼ファン(シロッコファン)、ターボファン、プロペラファン、クロスフローファン(貫流ファン)等である。送風機24は、図示しないモータを備えている。送風機24のモータは、制御装置30によって制御される。送風機24は、プリンタ1の電源のON/OFFに連動して、起動・停止される。送風機24は、例えば上カバー2Cの開閉に連動して、起動・停止するように構成されていてもよい。
【0035】
気液分離機構23は、空気経路20に配置され、プリンタ本体2の印刷空間2Aの空気中からインクミストを分離する。気液分離機構23は、インクミストが含まれている空気を空気とインクミストとに分離する。気液分離機構23で分離された空気(インクミストが除去された清浄な空気)は、第2経路20bと第3経路20cとを介して、プリンタ本体2の印刷空間2Aに戻る。気液分離機構23は、プリンタ本体2の外部、つまり、上カバー2Cの外側空間に配置されている。気液分離機構23は、キャリッジ10に搭載されていない。インクミストは、第1経路20aを介して気液分離機構23に到達するまでの間に冷やされ、粗大な凝集体を形成する。そのため、気液分離機構23では、インクミストを高効率に分離して、取り除くことができる。
【0036】
気液分離機構23の種類は特に限定されない。気液分離機構23は、例えばインクミストの粒径やコスト等を考慮して適宜選択し得る。気液分離機構23は、例えば、メッシュ状の分離フィルタや、遠心式分離器、表面張力式分離器、重力式分離器、コアレッサー、ラビリンス構造体等の、従来公知の気液分離器(図示せず)を1つ又は2つ以上備えている。気液分離器は、耐インク性や熱伝導性に優れるとよい。気液分離器は、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属製や、樹脂製、セラミック製等である。熱伝導性の観点からは、気液分離器が金属製であるとよい。インクミストの捕集性を向上する観点からは、気液分離機構23が複数の気液分離器を備え、それらが送風方向に沿って並んで配置されているとよい。それら複数の気液分離器は、捕集可能なインクミストの粒径が異なっているとよい。また、気液分離機構23は、インクミストの凝集を促進するための冷却器を備えていてもよい。
【0037】
気液分離機構23は、第2の廃インク経路26を介して廃液タンク25に連通されている。第2の廃インク経路26は、例えば可撓性を有するチューブである。気液分離機構23で捕集されたインクミストの少なくとも一部は、液体の状態で廃液タンク25に収集される。これにより、分離収集したインクが空気経路20に滞留して通気性が低下したり、気液分離機器が破過したりすることが抑制されて、長期にわたって安定的に気液分離を行うことができる。ここでは、気液分離機構23によって分離収集されたインクと、上記フラッシング機構12によって吐出ヘッド11から排出されたインクとが、共通の廃液タンク25に収集される。ただし、気液分離機構23によって分離収集されたインクと、フラッシング機構12によって吐出ヘッド11から排出されたインクとは、別々の廃液タンクに収集されてもよい。
【0038】
制御装置30は、プリンタ1の全体の動作を制御している。制御装置30は、右側壁部2Rの内部に設けられている。制御装置30は、フィードモータ、キャリッジモータ、アクチュエータ、吸引ポンプ15、キャップ移動機構16、および送風機24のモータとそれぞれ通信可能に接続されており、それらを制御可能に構成されている。制御装置30の構成は特に限定されない。制御装置30は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器からの印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)とを備えている。
【0039】
次に、プリンタ1を用いた印刷の動作について説明する。プリンタ1での印刷に先立ち、ユーザーはプリンタ1の電源をONにする。これに連動して、制御装置30によって送風機24のモータが駆動され、印刷空間2Aの空気が空気経路20を循環する。また、制御装置30によってキャップ移動機構16が駆動され、吐出ヘッド11からキャップ13が取り外される。制御装置30には、図示しない外部コンピュータから印刷する画像のデータが送られる。制御装置30は、この画像のデータに基づいて、キャリッジモータを駆動してキャリッジ10を主走査方向Yに移動させると共に、アクチュエータを駆動して吐出ヘッド11からインクを吐出させ、記録媒体Pの印刷面に着弾させる。これによって、記録媒体P上に画像が形成される。
【0040】
上記印刷中には、吐出ヘッド11から吐出されたインクの一部が、霧状のインクミストとなって印刷空間2Aを浮遊する。印刷空間2Aのインクミストを含んだ空気は、第1経路20aを介して、気液分離機構23に送られる。気液分離機構23は、プリンタ本体2の外部に配置されている。気液分離機構23では、空気とインクミストとが分離される。気液分離機構23で分離された空気は、第2経路20bと第3経路20cとを介して、再び印刷空間2Aに戻される。
【0041】
以上のように、プリンタ1では、プリンタ本体2の外部に気液分離機構23が配置されている。このため、インクミストを含んだ空気が冷却されて、インクミストが凝集し易くなる。したがって、気液分離機構23におけるインクミストの捕集性を高めて、通気性とインクミストの捕集性とを高いレベルでバランスすることができる。例えば、従来と同等の捕集性能の気液分離器を用いる場合には、従来に比べてインクミストの捕集効率や収集効率を向上することができる。あるいは、従来に比べて捕集性能の低い気液分離器を用いる場合であっても、従来と同等にインクミストを捕集することができる。また、捕集性能を下げることで通気性が良好となり、送風機24のモータの出力を低く設定することもできる。したがって、プリンタ1では、インクミストの影響を抑えて印刷品質を向上することができる。
【0042】
さらに、プリンタ1では、気液分離機構23で分離された空気が再び印刷空間2Aに戻される。このため、印刷空間2Aの内外で気圧の差が生じ難くなる。その結果、プリンタ本体2の周囲から印刷空間2Aに空気が吹き込むことを防いで、印刷画像に埃や塵が混入することを抑制することができる。
【0043】
本実施形態では、空気経路20において、送風機24が、気液分離機構23よりも上記送風方向の下流側に配置されている。これにより、送風機24がインクミストで汚れることを防止して、送風機24の耐久性を向上することができる。
【0044】
本実施形態では、排気口22が、吸気口21よりも重力方向の上方に配置されている。インクミストは通常、空気よりも重い。排気口22の位置を相対的に高くすることで、インクミストが印刷空間2Aに再流入することをより良く抑制することができる。
【0045】
本実施形態では、少なくとも一部が印刷空間2Aに配置され、記録媒体Pが載せ置かれるプラテン2Bを備える。吐出ヘッド11は、重力方向において、プラテン2Bよりも上方に配置されている。これにより、ここに開示される技術の効果をより良く発揮することができる。
【0046】
本実施形態では、重力方向において、吸気口21の少なくとも一部が、プラテン2Bの上端と吐出ヘッド11の下端との間に配置されている。これにより、吐出ヘッド11がインクを吐出する際に生じるインクミストを効率よく吸込んで空気経路20の方へ導くことができる。
【0047】
本実施形態では、排気口22が、吐出ヘッド11の上端よりも重力方向の上方に配置されている。これにより、印刷空間2Aに再流入する空気が吐出ヘッド11のノズル11aに直接当たることが抑制される。したがって、インク吐出時において、吐出ヘッド11に対する気流の影響を軽減することができる。
【0048】
本実施形態では、気液分離機構23が、上記分離されたインクミストを収集する廃液タンク25に連通されている。これにより、分離収集したインクが空気経路20に滞留して通気性が低下したり、気液分離機器が破過したりすることが抑制されて、長期にわたって安定的に気液分離を行うことができる。
【0049】
<第2実施形態>
第2実施形態のプリンタ1aは、第1実施形態のプリンタ1において、空気経路20と気液分離機構23と送風機24との構成に変更を加えたものである。
図5に示すように、第2実施形態のプリンタ1aの後方側の面には、空気経路40が突出している。重力方向Zにおいて、空気経路40の下方側の端部は吸気口41であり、上方側の端部は排気口42である。本実施形態では、吸気口41と排気口42とが、プリンタ本体2Aの後方側壁部2Rrに直接的に設けられている。空気経路40の中途部には、気液分離機構43と送風機44とが配置されている。空気経路40は、吸気口41と気液分離機構43とを連通する第1経路40aと、気液分離機構43と送風機44とを連通する第2経路40bとで構成されている。第1経路40aと第2経路40bとは、プリンタ本体2の外部に配置されている。送風機24は、空気経路20のプリンタ本体2の外部に配置されている。送風機24は、プリンタ本体2の後方側壁部2Rrに直接的に支持されていている。
【0050】
本実施形態において、気液分離機構43は、気液分離フィルタ43F(
図6参照)を備えている。
図6は、気液分離機構43を模式的に示す分解図である。気液分離機構43は、気液分離フィルタ43Fと、気液分離フィルタ43Fを支持する板状保持部材43C1、43C2とを備えている。気液分離フィルタ43Fは、例えば、不織布やスポンジのような多孔質シートである。なお、気液分離フィルタ43Fはここでは1枚であるが、例えば多孔度の異なるものを2枚以上組みあわせて使用することもできる。板状保持部材43C2の周縁には、気液分離フィルタ43Fの厚み以上の高さで縁部が設けられている。気液分離フィルタ43Fの幅広側の面は、板状保持部材43C1、43C2の幅広側の面よりも狭い。気液分離フィルタ43Fは、板状保持部材43C2の幅広側の面と縁部とで構成される収容部に収容される。気液分離フィルタ43Fは、幅広側の面が2枚の板状保持部材43C1、43C2に挟持される。つまり、本実施形態では、2枚の板状保持部材43C1、43C2がケースを構成している。板状保持部材43C1、43C2の4隅には、それぞれ固定孔43h1、43h2が設けられている。気液分離機構43は、板状保持部材43C1の固定孔43h1と、これに対応する板状保持部材43C2の固定孔43h2とにネジを挿入することで、空気経路40に固定されている。
【0051】
気液分離フィルタ43Fは、気液分離フィルタ43Fに慣性衝突したインクミストを捕捉する。気液分離フィルタ43Fは、廃液タンクには連通されていない。捕捉されたインクミストは、気液分離フィルタ43Fに滞留する。気液分離フィルタ43Fは、板状保持部材43C1、43C2に着脱可能に固定されている。言い換えれば、気液分離フィルタ43Fは交換可能である。ユーザーは、プリンタ1をある程度使用したら、板状保持部材43C1、43C2の固定孔43h1、43h2からネジを取り外し、気液分離フィルタ43Fを取り外す。そして、新しいものと交換した後に、板状保持部材43C1、43C2の固定孔43h1、43h2にネジを挿入し、再び空気経路40に固定する。
【0052】
本実施形態では、気液分離機構43が、上記インクミストを捕集する分離フィルタ43Fを備えている。また、本実施形態では、気液分離機構43が、分離フィルタ43Fを収容する板状保持部材43C1、43C2を備え、分離フィルタ43Fは、板状保持部材43C1、43C2に着脱可能に取り付けられている。これにより、分離収集したインクが空気経路40に滞留して通気性が低下したり、気液分離機器が破過したりすることが抑制されて、長期にわたって安定的に気液分離を行うことができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0054】
上記した実施形態では、吸気口21と排気口22とがそれぞれ1つずつであり、空気経路20も1つであったが、これには限定されない。吸気口21および/または排気口22は複数であってもよい。また、吸気口21と排気口22との数は同じであってもよく、異なっていてもよい。
図7は、他の一実施形態に係るプリンタ本体2aの正面図である。この実施形態では、主走査方向Yに沿って複数の吸気口21aと複数の排気口22aとが設けられている。複数の吸気口21aと複数の排気口22aとは、印刷可能領域PAの主走査方向Yの全幅にわたって、均等な距離で配置されている。吸気口21を印刷可能領域PAに複数設けることで、記録媒体Pの主走査方向Yの広範な範囲にわたって、インクミストを含んだ空気を好適に取り込むことができる。
【0055】
各吸気口21aは、それぞれ異なる空気経路(図示せず)を介して、各排気口22aと連通されている。本実施形態では、主走査方向Yの同位置にある吸気口21aと排気口22aとがそれぞれ連通されている。これにより、各空気経路に配置される気液分離機構(図示せず)でインクミストを効率的に空気と分離することができる。また、各空気経路に配置される送風機のモータの負荷を軽減して、出力を低く設定することができる。なお、本実施形態では、吸気口21aの数と、空気経路の数と、排気口22aの数とが同じである。ただし、それぞれの数は相互に異なっていてもよい。例えば、空気経路の数は、吸気口21aの数および/または排気口22aの数と同じであってもよいし、吸気口21aの数および/または排気口22aの数よりも少なくてもよい。また、複数の吸気口21aと複数の排気口22aとは、空気経路の中途部で接続されていてもよい。
【0056】
上記した実施形態では、吐出ヘッド11がキャリッジ10に搭載され、記録媒体Pの紙送り方向と直交する主走査方向Yに往復移動(シャトル移動)しながら印刷が行われる、所謂、シャトルタイプ(シリアルタイプ)のプリンタ1について説明したが、これには限定されない。ここに開示される技術は、例えば記録媒体Pと同じ幅のラインヘッドを備え、ラインヘッドが固定された状態で印刷が行われる、所謂、ラインタイプのプリンタに搭載することも可能である。
【0057】
上記した実施形態では、キャリッジ10が主走査方向Yに移動し、記録媒体Pが副走査方向Xに移動するように構成されていたが、これには限定されない。キャリッジ10と記録媒体Pとの移動は相対的なものであり、そのどちらが主走査方向Yまたは副走査方向Xに移動してもよい。例えば、記録媒体Pは移動不能に配置され、キャリッジ10が主走査方向Yおよび副走査方向Xの両方向に移動可能なように構成されていてもよい。また、キャリッジ10および記録媒体Pのいずれもが両方向に移動可能なように構成されていてもよい。
【解決手段】本発明に係るインクジェットプリンタ1は、記録媒体Pに向かってインクを吐出する吐出ヘッド11と、吐出ヘッド11の少なくとも一部を覆うカバー体2Cと、カバー体2Cの内側空間2Aと連通する吸気口21と排気口22とを有し、少なくとも一部がカバー体2Cの外側空間に配置された空気経路20と、空気経路20に配置され、吸気口21から吸引した空気を排気口22に向かって送風する送風機24と、空気経路20の外側空間に位置する部分に配置され、吐出ヘッド11がインクを吐出する際に生じるインクミストを上記空気の中から分離する気液分離機構23と、を備える。