(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
オペレータによって運行指示データを含むデータが入力される第1入力部、車両に搭載されたデジタルタコグラフが送信した運行情報が入力される第2入力部、及び装置メモリを備える管理サーバによって読み取られる管理プログラムであって、
上記運行情報は、上記デジタルタコグラフに付与された固有の第1識別記号と、上記車両の位置を示す位置情報とを少なくとも含み、
上記運行指示データは、上記第1識別記号と、運行経路データと、出発地、到着地及び一乃至複数の経過地の位置データとを含んで運行指示書を構成し、
上記運行指示データの入力を受け付ける第1受付処理と、
入力された上記運行指示データを上記装置メモリに記憶させる第1記憶処理と、
入力された上記運行情報を上記装置メモリに記憶する第2記憶処理と、
上記運行情報に含まれる上記第1識別記号から上記運行指示書を特定する第1特定処理と、
特定した上記運行指示書の上記運行指示データと、入力された上記運行情報とが相違するか否かを判断する第1判断処理と、
上記第1判断処理において相違すると判断したことを条件に、上記装置メモリに記憶された上記運行指示データを訂正する第1訂正処理と、を上記管理サーバに実行させる管理プログラム。
上記第2記憶処理において記憶された上記運行情報及び時刻情報から、運転者の運転時間及び休憩時間を算出する第2算出処理を上記管理サーバに実行させる請求項2から5のいずれかに記載の管理プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運行管理システムでは、運転者に種々の作業を要求することがある。例えば、運行管理システムは、時刻や時間に関する記録や作業に関する記録や休憩に関する記録や走行ルートに関する記録などの種々の記録作業や、ID番号を車体に設けた操作端末に入力させることなどを運転者に要求する。その結果、運転者が運転に集中できないとの問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、運転者の記録作業などを代行して運転に集中させることができる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る管理プログラムは、オペレータによって運行指示データを含むデータが入力される第1入力部、車両に搭載されたデジタルタコグラフが送信した運行情報が入力される第2入力部、及び装置メモリを備える管理サーバによって読み取られて動作する。上記運行情報は、上記デジタルタコグラフに付与された固有の第1識別記号と、上記車両の位置を示す位置情報とを少なくとも含む。上記運行指示データは、上記第1識別記号と、運行経路データと、出発地、到着地及び一乃至複数の経過地の位置データとを含み、運行指示書を構成する。当該管理プログラムは、上記運行指示データの入力を受け付ける第1受付処理と、入力された上記運行指示データを上記装置メモリに記憶させる第1記憶処理と、入力された上記運行情報を上記装置メモリに記憶する第2記憶処理と、上記運行情報に含まれる上記第1識別記号から上記運行指示書を特定する第1特定処理と、特定した上記運行指示書の上記運行指示データと、入力された上記運行情報とが相違するか否かを判断する第1判断処理と、上記第1判断処理において相違すると判断したことを条件に、上記装置メモリに記憶された上記運行指示データを訂正する第1訂正処理と、を上記管理サーバに実行させる。
【0007】
オペレータは、キーボードなどを用いて、運行指示書の作成に必要な運行指示データの入力を行う。運行指示データは、第1入力部から管理サーバに入力され、装置メモリに記憶される。運転者は、車両に搭乗し、作成された運行指示書に基づいて車両を走行させる。渋滞や事故などの交通事情や運転者の体調不良等によって運行指示書に即した運行がなされない場合、第1判断処理において、装置メモリに記憶された運行指示データと、入力された運行情報とが相違すると判断される。運行指示データと運行情報との相違は、例えば、経路(走行ルート)の相違である。運行指示データと運行情報とが相違すると判断されると、装置メモリに記憶された運行指示データが訂正される。運行指示データの訂正は、訂正前の運行指示データを訂正後の運行指示データで上書きすること、訂正前の運行指示データ及び訂正後の運行指示データとの両方の運行指示データを装置メモリに記憶すること、及び訂正前の運行指示データを判別可能に訂正後の運行指示データを付記することを含む。
【0008】
車両から入力された運行情報に基づいて運行指示データが訂正される。すなわり、運行指示書の訂正に関する作業を管理サーバの管理プログラムが代行する。その結果、運転者は、運転に集中することができる。
【0009】
また、運行情報により運行指示書が訂正されるから、運転者の記憶違い及び虚偽報告や、オペレータ(事務員や運転者)の入力ミス等によって生じる誤った運行指示書の訂正が防止され、また、オペレータの作業負担も軽減される。
【0010】
(2) 上記運行指示データは、出発地、目的地及び一乃至複数の経過地の位置データと対応付けて入力された予定時刻データを含む。本発明の管理サーバは、入力された上記運行情報と時刻情報とを対応付けて上記装置メモリに記憶させる上記第2記憶処理と、上記運行指示データに含まれる上記予定時刻データと、上記運行情報と対応付けた上記時刻情報とが相違するか否かを判断する第2判断処理と、上記第2判断処理において相違すると判断したことを条件に、上記装置メモリに記憶された上記運行指示データを訂正する第2訂正処理と、を上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0011】
運行指示書を構成する運行指示データには、出発時の予定時刻データ、目的地到着時の予定時刻データ、及び経過地到着・出発時の予定時刻データが含まれる。第2判断処理において、実際の出発時刻が予定時刻データと相違した場合、実際の目的地到着時刻が予定時刻データと相違した場合、及び経過地への実際の到着・出発時刻が予定時刻データと相違した場合、運行指示データが訂正される。
【0012】
運行情報に基づいて、時刻や時間に関する運行指示データも訂正される。すなわち、時刻や時間に関しても、運行指示書の訂正に関する作業を管理サーバの管理プログラムが代行する。その結果、運転者は、さらに運転に集中することができる。また、時刻や時間に関しても、運転者の記憶違い及び虚偽報告や、オペレータ(事務員や運転者)の入力ミス等によって生じる誤った運行指示書の訂正が防止され、また、オペレータの作業負担も軽減される。
【0013】
(3) 上記運行情報は、車両に搭載されたカメラが撮像した運転者の画像情報を含む。上記運行指示データは、運転者の氏名に対応付けられた固有の第2識別記号を含む。本発明の管理プログラムは、運転者の認証用画像データの入力を受け付ける第2受付処理と、上記第2受付処理で受け付けた上記認証用画像データと上記第2識別記号とを対応付けて上記装置メモリに記憶する第3記憶処理と、上記運行情報に含まれる上記画像情報と上記装置メモリに記憶された上記認証用画像データとを比較して上記第2識別記号から実際の運転者を特定する第2特定処理と、上記運行指示データに含まれる上記第2識別記号と、上記第2特定処理で特定した運転者の上記第2識別記号とが相違するか否かを判断する第3判断処理と、上記第3判断処理において相違すると判断したことを条件に、上記運行指示データを訂正する第3訂正処理と、を上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0014】
オペレータは、予め、運転者の顔写真を認証用画像データとして、運転者に付された固有の第2識別記号と対応付けて管理サーバに登録する(第3記憶処理)。管理プログラムは、運行情報に含まれる第1識別記号から、当該運行情報を送信した車両及び当該車両が従事している運行指示書を特定する。また、管理プログラムは、運行情報に含まれる画像情報と認証用画像データとを比較し、当該運行情報を送信した車両を運転している実際の運転者を第2識別記号を用いて特定する(第2特定処理)。画像情報と認証用画像データとの比較には、例えば、周知の顔認証システムが用いられる。
【0015】
管理プログラムは、特定した運行指示書の第2識別記号と、特定した実際の運転者の第2識別記号とが相違するか否かを判断し(第3判断処理)、相違すると判断すると、特定した運転者の第2識別記号を用いて運行指示書の第2識別記号を訂正する(第3訂正処理)。
【0016】
カメラが撮像した画像情報を用いて実際の運転者を特定するから、運転者は、自己のID番号を車両の端末装置に入力したり、携帯したIDカードを車両の端末装置にかざしたりしなくてもよい。その結果、運転者は、さらに運転に集中することができる。また、運転者名に関しても、運転者の記憶違い及び虚偽報告や、オペレータ(事務員や運転者)の入力ミス等によって生じる誤った運行指示書の訂正が防止される。また、オペレータの作業負担も軽減される。
【0017】
(4) 上記運行指示データは、運転者の休憩作業時間を示す休憩作業時間データを含む。本発明の管理プログラムは、上記運行情報と対応付けられた時刻情報から運転者の実際の休憩作業時間を算出する第1算出処理と、上記第1算出処理において算出した上記休憩作業時間が上記休憩作業時間データと相違するか否かを判断する第4判断処理と、上記第4判断処理において相違すると判断したことを条件に、上記運行指示データを訂正する第4訂正処理とを上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0018】
バスなどでは、経過地において運転者の休憩が行われる。また、コンビニーエンスストアなどの各店舗を巡回して商品の配送等を行うルート配送では、経過地(店舗)において荷下ろしなどの作業が行われる。
【0019】
運行情報に基づいて、休憩時間や作業時間に関する運行指示データも訂正される。すなわり、休憩時間や作業時間に関しても、運行指示書の訂正に関する作業を管理サーバの管理プログラムが代行する。その結果、運転者は、さらに運転に集中することができる。また、休憩時間や作業時間に関しても、運転者の記憶違い及び虚偽報告や、オペレータ(事務員や運転者)の入力ミス等によって生じる誤った運行指示書の訂正が防止され、また、オペレータの作業負担も軽減される。
【0020】
(5) 本発明の管理プログラムは、上記装置メモリに第1閾値を記憶させる第4記憶処理と、上記運行情報と対応付けられた時刻情報から運転者の実際の休憩作業時間を算出する第1算出処理と、上記第1算出処理において算出した上記休憩作業時間が上記第1閾値より小さいか否かを判断する第5判断処理と、上記第5判断処理において小さいと判断したことを条件に、注意報知情報を出力する第1報知処理と、を上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0021】
バスなどにおいて、運転者が誤って短い休憩時間で運転を再開すると、或いは休憩を怠ると、第1報知処理が行われる。または、ルート配送において、荷物を下ろすのに最低限必要な作業時間よりも短い作業時間で運転が再開されると、或いは経過地(拠点)を素通りすると、第1報知処理が行われる。第1報知処理は、例えば、管理サーバのオペレータに対してであってもよいし、運転者に対してであってもよい。オペレータへの報知は、例えば、音声の出力や、表示画面への表示によって行われる。運転者への報知は、例えば、車両に搭載されたスピーカや携帯電話や無線機からの音声の出力や、携帯電話の振動機能による振動によって行われる。第1報知処理が行われることにより、休憩時間が不足したり、荷物の降ろし忘れなどが防止される。
【0022】
(6) 本発明の管理プログラムは、上記第2記憶処理において記憶された上記運行情報及び時刻情報から、運転者の運転時間及び休憩時間を算出する第2算出処理を上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0023】
第2算出処理において、入力された運行管理情報及び時刻情報から運転者の運転時間及び休憩時間が算出される。算出された運転時間及び休憩時間は、勤務記録の作成や、給与計算などに使用される。すなわち、勤務記録の作成に関しても、運転者の作業を管理サーバの管理プログラムが代行する。その結果、運転者は、さらに運転に集中することができる。また、運転者の記憶違い及び虚偽報告や、オペレータ(事務員や運転者)の入力ミス等によって生じる誤った勤務記録の作成が防止される。また、管理サーバの管理プログラムが給与計算を代行するから、オペレータ(事務員や運転者)の作業負担が軽減される。
【0024】
(7) 本発明の管理プログラムは、第2閾値を上記装置メモリに記憶させる第5記憶処理と、上記運行指示データに含まれる上記運行経路データが示す各位置と上記運行情報に含まれる上記位置情報が示す位置との間の離間距離を算出する第3算出処理と、上記第3算出処理において算出した上記離間距離が上記第2閾値より大きいか否かを判断する第6判断処理と、上記第6判断処理において上記離間距離が上記第2閾値より大きいと判断したことを条件に注意報知情報を出力する第2報知処理と、を上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0025】
運転者が運行指示書の経路から外れると、離間距離が大きくなり、第6判断処理において、車両が経路から外れたと判断される。管理プログラムは、車両が経路から外れたと判断すると、オペレータや運転者に対して注意報知情報を出力する。したがって、運転者が経路から外れたことを運転者に即座に認識させて正規の経路に戻させることができる。
【0026】
(8) 上記運行情報は、運転者の体調を検出する体調センサが出力した体調情報を含む。上記体調情報は、運転者の周辺の二酸化炭素濃度と、アルコール濃度と、運転者の脈拍と、運転者の体温とのうち少なくとも1つの情報を含む。本発明の管理プログラムは、第3閾値を上記装置メモリに記憶させる第5記憶処理と、上記運行情報に含まれる上記体調情報と上記第3閾値とを比較し、運転者が体調不良か否かを判断する第7判断処理と、上記第7判断処理において運転者の体調不良と判断したことを条件に注意報知情報を出力する第3報知処理と、を上記管理サーバにさらに実行させてもよい。
【0027】
体調センサによって運転者の体調情報が検出される。検出された体調情報は、運行情報に含められ、管理サーバに入力される。管理プログラムは、入力された体調情報と第3閾値とを比較し、運転者の体調を判断する。管理プログラムは、運転者の体調が悪いと判断すると、オペレータなどに対して、注意報知情報を出力する。注意報知情報を確認したオペレータは、交代する運転者の手配などを行う。体調センサによって運転者の体調を検出することができるから、車両の運行の安全性を高めることができる。
【0028】
(9) 本発明の管理サーバは、オペレータによって運行指示データを含むデータが入力される第1入力部と、車両に搭載されたデジタルタコグラフが送信した運行情報が入力される第2入力部と、装置メモリとを備え、上述の管理プログラムを読み込んている。
【0029】
本発明は、管理プログラムを読み込んだ管理サーバとして捉えることもできる。
【0030】
(10) 本発明の運行管理システムは、上述の管理サーバと、当該管理サーバ宛てに上記運行情報を送信するデジタルタコグラフとを備える。
【0031】
本発明は、デジタルタコグラフと管理サーバとを備える運行管理システムとして捉えることもできる。
【0032】
(11) 本発明の運行管理システムは、上記デジタルタコグラフとともに車両に搭載されて運転者の顔を撮像するカメラをさらに備えていてもよい。
【0033】
車両に搭載されるカメラが運行管理システムに含められてもよい。
【0034】
(12) 本発明の運行管理システムは、上記デジタルタコグラフとともに車両に搭載され、運転者の体調を検出して当該デジタルタコグラフに入力する体調センサをさらに備えていてもよい。上記体調センサは、二酸化炭素濃度と、アルコール濃度と、運転者の脈拍と、運転者の体温とのうち、少なくとも1つを検出する。
【0035】
車両に搭載される体調センサが運行管理システムに含められてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、運転者の作業を代行することにより、運転者が運転に集中できる手段を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0040】
本実施形態では、
図1に示される運行管理システム10が説明される。運行管理システム10は、車両20に搭載されるデジタルタコグラフ11と、事務所などに設置される管理サーバ12とを備える。
【0041】
デジタルタコグラフ11は、車両20に設けられたアンテナ21から後述の運行情報を送信する。送信された運行情報は、電話回線やインターネットを介して管理サーバ12に入力される。管理サーバ12には、管理プログラム13(
図3)がインストールされている。管理プログラム13は、入力された運行情報を基に、車両20の運行管理を行う。以下、詳しく説明がされる。
【0042】
車両20は、
図2に示されるアンテナ21、車速センサ22、回転数センサ23、ETC端末24、及びカメラ25を備える。なお、カメラ25は、デジタルタコグラフ11とともに運行管理システム10の一部とされてもよい。
【0043】
アンテナ21は、衛星15(
図1)が送信した位置情報を受信する。位置情報は、車両20の位置を示す情報であり、例えば、緯度及び経度を示す情報である。
【0044】
車速センサ22は、車両20の速度を示す情報である車速情報を出力する。回転数センサ23は、車両20のエンジンの回転数を示す情報である回転数情報を出力する。ETC端末24は、ETC(Electronic Toll Collection System)の利用区間や利用料金を示す情報であるETC情報を出力する。
【0045】
カメラ25は、運転席へレンズを向けて設置されており、運転席に着座した運転者の顔を撮像する。カメラ25は、撮像により画像情報を生成し、出力する。カメラ25は、デジタルタコグラフ11からの撮像命令を受けて、所定の時間間隔で定期的に撮像を行う。カメラ25は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラである。
【0046】
カメラ25が撮像した画像の画像情報や、位置情報、車速情報、回転数情報、及びETC情報は、デジタルタコグラフ11に入力される。
【0047】
デジタルタコグラフ11は、上述の各情報が入力される入力部41と、時刻情報を出力するクロックモジュール42と、入力された情報及び第1識別記号などを記憶する記憶部43と、入力された情報などを出力する出力部44と、CPU45とを備える。第1識別記号は、デジタルタコグラフ11に付与された固有の識別記号である。すなわち、デジタルタコグラフ11が搭載された各車両は、第1識別記号により、個々に識別されることができる。
【0048】
入力部41は、車速情報入力部31、回転数情報入力部32、位置情報入力部33、ETC情報入力部34、及び画像情報入力部35を備える。
【0049】
車速情報入力部31は、車速センサ22と電気的に接続されており、車速情報を入力される。回転数情報入力部32は、回転数センサ23と電気的に接続されており、回転数情報を入力される。位置情報入力部33は、アンテナ21と電気的に接続されており、アンテナ21が受信した位置情報を入力される。ETC情報入力部34は、ETC端末24と電気的に接続されており、ETC情報を入力される。画像情報入力部35は、カメラ25と電気的に接続されており、画像情報を入力される。
【0050】
入力部41に入力された情報は、記憶部43に記憶される。具体的に説明すると、CPU45は、予め定められた所定の時間間隔ごとに、入力された車速情報、回転数情報、及び位置情報を、入力時の時刻情報と対応付けて記憶部43に記憶させる。また、CPU45は、ETC情報が入力されると、時刻情報と対応付けて記憶部43に記憶させる。
【0051】
また、CPU45は、エンジンの始動時及び所定の時間間隔ごとに、カメラ25に対して撮像命令信号を出力し、カメラ25が出力した画像情報を受け取る。CPU45は、入力された画像情報を、入力時の時刻情報と対応付けて記憶部43に記憶させる。
【0052】
CPU45は、時刻情報と対応付けられた上述の各情報及び第1識別記号を、予め定められた所定の時間間隔ごとに出力部44から出力させる。出力部44から出力された情報は、アンテナ21から送信され、インターネットなどを介して管理サーバ12に入力される。以下では、デジタルタコグラフ11が出力する各情報を総称して「運行情報」とすることがある。すなわち、運行情報は、時刻情報、車速情報、回転数情報、位置情報、ETC情報、画像情報、及び第1識別記号を含む。
【0053】
管理サーバ12は、
図3に示されるように、第1入出力部51と、第2入出力部52と、装置メモリ53と、インストールされた管理プログラム13が記憶される不図示の記憶部とを備える。なお、管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶されてもよい。
【0054】
第1入力部51は、入力装置16と無線または有線にて接続されている。入力装置16は、キーボードや、マウスや、タッチパネルや、音声入力装置である。第1入出力部51は、入力装置16から、運行管理に必要な各種データを入力され、注意報知情報を出力する。詳しくは後述される。第1入出力部51は、本発明の第1入力部に相当する。
【0055】
第2入出力部52は、インターネットや電話回線と接続される。第2入出力部52において、運行情報が管理サーバ12に入力され、後述の注意報知情報が出力される。第2入出力部52は、本発明の第2入力部に相当する。
【0056】
装置メモリ53は、運行管理に必要な各種データを記憶する。詳しく説明する。装置メモリ53は、第1対応テーブル61、第2対応テーブル62、第3対応テーブル63、第4対応テーブル64、第1閾値、及び第2閾値を記憶する。
【0057】
第1対応テーブル61は、運行番号と運行指示書との対応を記憶するテーブルである。詳しくは後述されるが、オペレータによって運行指示書が作成されると、管理プログラム13は、作成された運行指示書に対して一の運行番号を付与し、運行番号と運行指示書とを対応付けて第1対応テーブル61に記憶させる。すなわち、運行番号は、作成された各運行指示書を識別する識別番号である。運行番号は、管理プログラム13が通し番号として自動的に付与してもよいし、オペレータによって付与されてもよい。
【0058】
第2対応テーブル62は、車両と第1識別記号との対応を記憶するテーブルである。各車両20のデジタルタコグラフ11に対して、固有の第1識別記号が付与される。すなわち、各車両20は第1識別記号により個別に識別され得る。第1識別記号として、車両番号を用いることができる。また、オペレータや管理プログラム13によって、車両番号とは別に第1識別記号が付与されてもよい。
【0059】
第3対応テーブル63は、運転者の氏名と第2識別記号と認証用画像データとの対応を記憶するテーブルである。各運転者に対して、固有の第2識別記号が付与される。すなわち、各運転者は、第2識別記号により個別に識別され得る。認証用画像データは、運転者の顔写真を示す画像データである。認証用画像データは、不図示のカメラにより撮像され、オペレータによって管理サーバ12に入力される。オペレータによる認証用画像データの入力を受け付ける処理は、本発明の第2受付処理に相当する。
【0060】
管理プログラム13は、入力された認証用画像データを運転者の氏名及び第2識別記号と対応付けて第3対応テーブル63において装置メモリ53に記憶させる。認証用画像データを第2識別記号と対応付けてに装置メモリ53に記憶させる処理は、本発明の第3記憶処理に相当する。認証用画像データは、運転者の識別に用いられる。詳しくは後述される。
【0061】
第4対応テーブル64は、出発地や経過地や目的地の名称と位置データとの対応を記憶するテーブルである。第4対応テーブル64は、車両20が出発地や経過地や目的地に到達したか否かの判断に用いられる。第4対応テーブル64において、位置データは、名称とともにオペレータによって直接入力されてもよいし、名称に応じて既存の地図データからダウンロードされてもよい。
【0062】
また、管理プログラム13は、オペレータによって入力される第1閾値及び第2閾値を装置メモリ53に記憶させる。第1閾値を装置メモリ53に記憶させる処理は、本発明の第4記憶処理に相当する。第2閾値を装置メモリ53に記憶させる処理は、本発明の第5記憶処理に相当する。第1閾値は、運転者が所定の休憩時間だけ休憩を行ったか否かを判断する閾値であり、第2閾値は、運行指示書の経路から車両20が外れたか否かを判断する閾値である。詳しくは後述される。
【0063】
運行指示書は、運行計画を示す指示書であり、バスやトラックなどにおいて、法によって作成を義務付けられている。
図4は、運行指示書を作成するためのデータ入力画面の一例である。運行指示書は、複数の運行指示データを入力することによって、作成される。運行指示データは、会社名、運行管理者名、運行日、従事する車両、従事する運転者名、出発地名、出発時刻、経路、経過地、経過地到着時刻、経過地出発時刻、休憩時間、休息時間、目的地、及び目的地到着時刻などである。経過地が複数ある場合や、運行が複数日に亘る場合などは、図に示される追加アイコンが操作され、項目が追加される。オペレータがこれらの運行指示データを入力装置16(
図3)を用いて入力することにより、運行指示書が作成される。
【0064】
作成された運行指示書には、運行番号が付与される。図示例では、管理プログラム13によって、通し番号として自動的に運行番号「01234」が付与されている。管理プログラム13は、作成された運行指示書と付与された運行番号とを対応付けて第1対応テーブル61において装置メモリ53に記憶させる。
【0065】
運行指示データの一つである「経路」は、本発明の運行経路データに相当する。運行指示データの一つである「出発地」、「経過地」、及び「目的地」は、本発明の位置データに相当する。運行指示データの一つである「出発時刻」及び「到着時刻」は、本発明の予定時刻データに相当する。
【0066】
運行指示書の作成において、オペレータによる運行指示データの入力を受け付ける処理は、本発明の第1受付処理に相当する。運行指示データを装置メモリ53に記憶させる処理は、本発明の第1記憶処理に相当する。
【0067】
運行指示書には、車両20及び運転者名が運行指示データとして入力されるから、運行指示書により特定される運行に、どの車両が使用され、誰が運転するのかが識別され得る。すなわち、第1対応テーブル61は、運行番号と、車両20(第1識別記号)と、運転者(第2識別記号)との対応関係を示す。
【0068】
管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶されたデータと、デジタルタコグラフ11から送られた運行情報とに基づいて、運行指示書の訂正を行う。以下、詳細に説明する。
【0069】
図5を参照して、運転者名の訂正について説明する。管理プログラム13は、運行情報が入力されるまで待機する(S11:No)。管理プログラム13は、運行情報が入力されると(S11:Yes)、入力された運行情報を装置メモリ53に記憶させる(S12)。ステップS12の処理は、本発明の第2記憶処理に相当する。
【0070】
管理プログラム13は、記憶させた運行情報から第1識別記号及び画像情報を抽出する(S13)。管理プログラム13は、抽出した第1識別記号と同一の第1識別記号を運行指示データとして有する運行指示書の運行番号を特定する(S14)。すなわち、管理プログラム13は、第1識別記号から車両20を特定し、特定した車両20が従事する運行指示書を特定する。ステップS14の処理は、本発明の第1特定処理に相当する。
【0071】
管理プログラム13は、特定した運行指示書の第2識別記号を抽出する(S15)。また、管理プログラム13は、運行情報から抽出した画像情報と、第3対応テーブル63に記憶された認証用画像データとを比較し、実際の運転者を特定する(S16)。当該特定には、顔認証システムなどが用いられる。ステップS16の処理は、本発明の第2特定処理に相当する。管理プログラム13は、特定した運転者の第2識別記号と、ステップS15で抽出した運転者の第2識別記号とが一致するか否かを判断する(S17)。ステップS17の処理は、本発明の第3判断処理に相当する。
【0072】
管理プログラム13は、一致すると判断すると(S17:Yes)、運行指示書を訂正することなく、処理を終了する(END)。管理プログラム13は、一致しないと判断すると(S17:No)、運行指示書の運転者名を訂正し(S18)、処理を終了する(END)。例えば、運転者が急病や急用によって運行開始前や運行中に他の運転者に交代した場合などにおいて、運行指示書の運転者名が訂正される。ステップS18の処理は、第3訂正処理に相当する。
【0073】
なお、上述の「訂正」には、訂正後の運転者名で訂正前の運転者名を上書きすること、訂正前の運転者名に訂正線を付し、訂正後の運転者名を近傍に記載すること、訂正前の運行指示書とは別に訂正後の運行指示書を作成することが含まれる。以下に記載される「訂正」についても同様である。
【0074】
次に、
図6〜8を参照して、出発地、経過地、目的地、出発時刻、到着時刻、経路、休憩時間、及び休息時間の訂正について説明する。
【0075】
管理プログラム13は、
図6(A)に示される「出発地及び出発時刻の訂正処理」を実行する。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶させた運行情報から位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報とを抽出する(S21)。管理プログラム13は、抽出した位置情報から出発地を特定する。出発地の特定は、例えば、最初に入力された運行情報に含まれる位置情報を出発地とすることによって行われる。管理プログラム13は、特定した出発地が運行指示書に記載された出発地と一致するか否かを判断する(S22)。
【0076】
管理プログラム13は、出発地が一致すると判断すると、ステップS23をスキップする(S22:Yes)。管理プログラム13は、出発地が一致しないと判断すると(S22:No)、運行指示書の出発地を示す位置データを訂正する(S23)。なお、出発地の位置情報が運行指示書の位置データと一致するか否かの判断は、例えば、位置情報によって特定される位置を中心にした所定の半径(例えば20M)の内側に、位置データで示される位置が存在するか否かによって判断される。ステップS22の処理は、本発明の第1判断処理に相当する。ステップS23の処理は、本発明の第1訂正処理に相当する。
【0077】
次に、管理プログラム13は、抽出した時刻情報から出発時刻を特定する。出発時刻の特定は、例えば、最初に入力された運行情報に含まれる時刻情報を出発時刻とすることによって行われる。管理プログラム13は、特定した出発時刻が、運行指示書の出発時の予定時刻データと一致するか否かを判断する(S24)。
【0078】
管理プログラム13は、一致すると判断すると(S24:Yes)、ステップS25をスキップする。管理プログラム13は、一致しないと判断すると(S24:No)、運行指示書の予定時刻データを訂正する(S25)。なお、出発時の時刻情報と運行指示書の予定時刻データとが一致するか否かの判断は、例えば、出発時の時刻情報を中心とした前後10分以内に、出発時の予定時刻データが入るか否かによって判断される。ステップS24の処理は、本発明の第2判断処理に相当する。ステップS25の処理は、本発明の第2訂正処理に相当する。
【0079】
また、管理プログラム13は、
図8に示される経路訂正処理及び注意報知処理を実行する。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶させた運行情報から位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報とを抽出する(S31)。管理プログラム13は、抽出した位置情報が示す位置と、運行指示書の経路との間の距離である離間距離を算出する(S32)。詳しく説明すると、管理プログラム13は、位置情報が示す位置と、運行指示書の経路上の複数の位置との間の各距離をそれぞれ算出し、算出した各距離のうち、最も短い距離を離間距離として採用する。ステップS32の処理は、本発明の第3算出処理に相当する。なお、離間距離の算出方法は、上述の例に限られない。
【0080】
管理プログラム13は、算出した離間距離が、装置メモリ53に記憶された第2閾値より大きいか否かを判断する(S33)。管理プログラム13は、離間距離が第2閾値以下であると判断すると(S33:No)、運行指示書の経路から車両20が外れていないと判断し、処理を終了する(END)。管理プログラム13は、離間距離が第2閾値より大きいと判断すると(S33:Yes)、車両20が運行指示書の経路から外れたと判断する(S34)。ステップS33の処理は、本発明の第1判断処理及び第6判断処理に相当する。
【0081】
管理プログラム13は、車両20が運行指示書の経路から外れたと判断すると(S34)、運行指示書の運行経路データを訂正する(S35)。ステップS35の処理は、本発明の第1訂正処理に相当する。
【0082】
また、管理プログラム13は、車両20が運行指示書の経路から外れたと判断すると(S34)、注意報知情報を出力する(S36)。注意報知情報が出力されると、例えば、オペレータが操作する端末のディスプレイに、車両20が経路から外れた旨を報知する画面が表示されたり、車両20が経路から外れた旨が音声によって出力される。または、運転者が所有する無線機や携帯電話が所定の音声を出力する。ステップS36の処理は、本発明の第2報知処理に相当する。
【0083】
また、管理プログラム13は、
図6(B)に示される「経過地及び経過地到着時刻の訂正処理」を実行する。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶させた運行情報から位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報とを抽出する(S41)。管理プログラム13は、抽出した位置情報及び時刻情報から経過地を特定する。例えば、管理プログラム13は、予め定められた所定時間以上(例えば30分)、車両20が停車していた場合に、停車していた場所を経過地と特定する。車両20が停車していたか否かは、例えば、運行情報の入力途絶時間や、運行情報に含まれる車速情報、回転数情報、及び位置情報によって判断される。例えば、車両20が停車されてエンジンが停止されると、デジタルタコグラフ11からの運行情報の送信が停止される。また、エンジンが駆動された状態で車両20が停車されると、位置情報は変化せず、車速情報はほぼゼロとなり、回転数情報は一定の低回転を示す。したがって、運行情報の入力途絶時間や、運行情報に含まれる車速情報、回転数情報、及び位置情報によって、車両20が停車しているか否かを判断することができる。
【0084】
管理プログラム13は、特定した経過地と、運行指示書に記載された経過地とが一致するか否かを判断する(S42)。管理プログラム13は、経過地が一致しないと判断すると(S42:No)、運行指示書の経過地を訂正する(S43)。例えば、高速道路が閉鎖されたり渋滞によって目的の経過地(サービスエリア)へ行けない場合や、運転者が経過地を誤った場合などにおいて、経過地が訂正される。なお、経過地が一致するか否かの判断は、出発地の判断と同様にして行うことができる。ステップS42の処理は、本発明の第1判断処理に相当する。ステップS43の処理は、本発明の第1訂正処理に相当する。なお、管理プログラム13は、経過地が相違すると判断した場合に(S42:No)、オペレータや運転者宛てに、注意報知を行ってもよい。
【0085】
管理プログラム13は、経過地到着時の時刻情報と経過地到着時の予定時刻データとが一致すると判断すると(S44:Yes)、ステップS45をスキップする。管理プログラム13は、経過地到着時の時刻情報と経過地到着時の予定時刻データとが一致しないと判断すると(S44:No)、運行指示書の予定時刻データを訂正する(S45)。なお、到着時の時刻情報と運行指示書の予定時刻データとが一致するか否かの判断は、例えば、出発時の予定時刻データの訂正処理と同様にして行われる。ステップS44の処理は、本発明の第2判断処理に相当する。ステップS45の処理は、本発明の第2訂正処理に相当する。
【0086】
また、管理プログラム13は、
図7(A)に示される「経過地出発時刻及び休憩時間の訂正処理」を実行する。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶させた運行情報から位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報とを抽出する(S51)。管理プログラム13は、抽出した位置情報及び時刻情報から経過地の出発時刻を特定する。例えば、管理プログラム13は、経過地に停車していた車両20の位置情報が変化したときの時刻情報を経過地出発時刻として特定する。
【0087】
管理プログラム13は、特定した経過地出発時の時刻情報と、運行指示書の経過地出発時の予定時刻データとが一致するか否かを判断する(S52)。管理プログラム13は、一致しないと判断すると(S52:No)、運行指示書の予定時刻データを訂正する(S53)。なお、出発時の時刻情報と運行管理署の予定時刻データとが一致するか否かの判断は、例えば、出発時刻が一致するか否かの判断(S24)と同様にして行うことができる。ステップS52の処理は、本発明の第1判断処理に相当する。ステップS53の処理は、本発明の第1訂正処理に相当する。
【0088】
次に、管理プログラム13は、経過地に到着した時の時刻情報と、経過地を出発した時の時刻情報との差から、休憩時間を算出する(S54)。管理プログラム13は、算出した休憩時間と、運行指示書の休憩時間データとが一致するか否かを判断する(S55)。管理プログラム13は、休憩時間が一致しないと判断すると(S55:No)、算出した休憩時間を用いて運行指示書の休憩時間データを訂正する(S56)。なお、休憩時間が一致するか否かの判断は、例えば、算出した休憩時間の前後10分以内に運行指示書の休憩時間データが入るか否かによって行われる。ステップS54の処理は、本発明の第1算出処理に相当する。ステップS55の処理は、本発明の第4判断処理に相当する。ステップS56の処理は、本発明の第4訂正処理に相当する。
【0089】
次に、管理プログラム13は、算出した休憩時間が第1閾値より小さいか否かを判断する(S57)。管理プログラム13は、算出した休憩時間が第1閾値より小さいと判断すると(S57:Yes)、注意報知情報を出力する(S58)。注意報知情報が出力されると、例えば、オペレータが操作する端末のディスプレイに、運転者の休憩時間が短すぎる旨を報知する画面が表示されたり、運転者の休憩時間が短すぎる旨が音声によって出力される。または、運転者が所有する無線機や携帯電話が所定の音声を出力する。ステップS57の処理は、本発明の第5判断処理に相当する。ステップS58の処理は、本発明の第1報知処理に相当する。
【0090】
また、管理プログラム13は、
図6(C)に示される「目的地及び目的地到着時刻の訂正処理」を実行する。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶させた運行情報から位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報とを抽出する(S61)。管理プログラム13は、抽出した位置情報及び時刻情報から目的地を特定する。例えば、管理プログラム13は、予め定められた所定時間以上、車両20のエンジンが停止された場合に、停車された場所を目的地と特定する。
【0091】
管理プログラム13は、目的地と判断した位置の位置情報と、運行指示書の目的地を示す位置データとが一致するか否かを判断する(S62)。管理プログラム13は、目的地が一致しないと判断すると(S62:No)、運行指示書の目的地の位置データを訂正する(S63)。例えば、災害などによって目的地が変更された場合などおいて、目的地の位置データが訂正される。なお、目的地が一致するか否かの判断は、出発地の判断と同様にして行うことができる。ステップS62の処理は、本発明の第1判断処理に相当する。ステップS63の処理は、本発明の第1訂正処理に相当する。
【0092】
次に、管理プログラム13は、目的地到着時の時刻情報と目的地到着時の予定時刻データとが一致するか否かを判断する(S64)。管理プログラム13は、一致すると判断すると(S64:Yes)、ステップS65をスキップする。管理プログラム13は、一致しないと判断すると(S64:No)、運行指示書の目的地到着時の予定時刻データを訂正する(S65)。なお、到着時の時刻情報と運行指示書の予定時刻データとが一致するか否かの判断は、出発時刻データの訂正処理と同様にして行われる。ステップS64の処理は、本発明の第2判断処理に相当する。ステップS65の処理は、本発明の第2訂正処理に相当する。
【0093】
また、管理プログラム13は、
図7(B)に示される「休息時間の訂正処理」を実行する。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶させた運行情報から位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報とを抽出する(S71)。管理プログラム13は、抽出した位置情報及び時刻情報から、休息時間を算出する。休息時間は、例えば、目的地に到着した時刻と、目的地を出発した時刻との差から算出される。
【0094】
管理プログラム13は、算出した休息時間と、運行指示書の休息時間データが一致するか否かを判断する(S73)。管理プログラム13は、休息時間が一致しないと判断すると(S73:No)、算出した休息時間を用いて運行指示書の休息時間データを訂正する(S74)。なお、休息時間が一致するか否かの判断は、例えば、算出した休息時間の前後30分以内に運行指示書の休息時間データが入るか否かによって行われる。
【0095】
管理プログラム13は、運行指示書の訂正に加え、運転者の勤務記録の作成及び給与の算出を行う。
図9を参照して詳しく説明する。
【0096】
管理プログラム13は、運行情報から画像情報を抽出する(S81)。管理プログラム13は、抽出した画像情報から、運転者を特定する(S82)。運転者の特定は、運転者名の訂正処理(
図5)における特定と同様である。また、管理プログラム13は、運行情報から位置情報及び時刻情報を抽出する(S83)。管理プログラム13は、抽出した位置情報及び時刻情報から、特定した運転者の運転時間、休憩時間、及び休息時間を算出する(S84)。運転時間の算出は、例えば、車両20が移動していた時間として算出される。車両20が移動しているか否かは、運行情報に含まれる位置情報や、車速情報や、回転数情報によって判断される。休憩時間の算出及び休息時間の算出は、例えば、休憩時間の訂正処理(
図7(A))及び休息時間の訂正処理(
図7(B))における算出と同様にして行われる。
【0097】
管理プログラム13は、算出した運転時間、休憩時間、及び休息時間を用いて、特定した運転者の勤務記録を作成する(S85)。また、管理プログラム13は、作成した勤務記録から、特定した運転者の給与を算出する(S86)。ステップS84の処理は、本発明の第2算出処理に相当する。
【0099】
以下では、
図3及び
図4に示されるように、第2識別記号AAAAで識別される山田太郎が、第1識別記号000aで識別される車両a(バス)に搭乗して、E旅館を目的地とする運行番号01234の運行に従事する例が説明される。
【0100】
山田太郎が車両aに搭乗して車両aを走行させると、デジタルタコグラフ11は、第1識別記号、画像情報、位置情報、車速情報、回転数情報、ETC情報、及び時刻情報を含む運行情報を出力する。出力された運行情報は、インターネット等を介して管理サーバ12に入力される。運行情報が入力されると、管理プログラム13は、
図5に示される運転者名の訂正処理を実行する。具体的には、管理プログラム13は、入力された運行情報に含まれる第1識別記号000aから車両aを特定する。特定した車両aから、運行番号01234を特定する。特定した運行番号01234から、運転者名「山田太郎」及び第2識別記号AAAAを特定する。また、管理プログラム13は、運行情報に含まれる画像情報から、運転者「山田太郎」を特定する。管理プログラム13は、画像情報から特定した運転者と、運行指示書から特定した運転者とが一致するか否かを判断し、一致しないと判断すると、運行指示書の運転者名を訂正する。
【0101】
また、管理プログラム13は、
図9に示される経路訂正処理及び注意報知処理を実行する。管理プログラム13は、運行指示書の経路から車両aが外れたと判断すると、運行指示書の経路を訂正するとともに、注意報知情報を出力し、オペレータや運転者である山田太郎に注意喚起を行う。
【0102】
また、管理プログラム13は、
図7(A)に示される経過地出発時の予定時刻データ及び休憩時間データの訂正処理を実行する。管理プログラム13は、運行指示書の休憩時間データと、算出した実際の休憩時間とが相違すると判断すると、運行指示書の休憩時間データを算出した休憩時間で訂正する。また、管理プログラム13は、算出した休憩時間が短すぎる判断すると、意報知情報を出力し、オペレータや、運転者である山田太郎に注意喚起を行う。
【0103】
また、管理プログラム13は、運行途中或いは運行終了後に、
図6や
図7(B)に示される各処理を実行し、運行指示書の出発地、出発時間、経過地、経過地到着時間、経過地出発時間、目的地、目的地到着時間の訂正を行う。
【0104】
また、管理プログラム13は、2日目についても、1日目と同様の処理を行う。なお、2日目の目的地は、帰還地(出発地)である。
【0106】
本実施形態では、車両20から入力された運行情報に基づいて、経路や時刻や時間や運転者名に関する運行指示データが訂正され、また、勤務記録が作成される。すなわち、運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)が、運行指示書の訂正や勤務記録の作成に関する運転者の作業を代行する。したがって、運転者は、これらの作業から解放され、運転に集中することができる。その結果、運行の安全性が高められる。
【0107】
また、運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)が、運行指示書の訂正や勤務記録の作成を行うから、運転者の記憶違いや虚偽報告やオペレータ(運転手や事務員)の入力ミス等によって生じる誤った運行指示書の訂正が防止される。
【0108】
また、本実施形態では、運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)が、運行指示書の訂正や勤務記録の作成や給与計算を行うから、オペレータ(運転手や事務員)の作業負担が軽減される。
【0109】
また、本実施形態では、休憩時間が短すぎたり、車両20が経路を外れたりすると、注意報知情報が出力されるから、運行の安全性がさらに高められる。
【0111】
上述の実施例1では、1人の運転者が車両aに搭乗する例が説明された。本実施例2では、山田太郎と田中次郎との2人の運転者が車両aに搭乗して運行に従事する例を
図10を参照して説明する。具体的には、車両aは、出発地である車庫を8時に出発し、休憩場所である3か所の経過地を経て、目的地であるHスキー場に翌日の4時に到着する運行を行う。2人の運転者は、交互に車両aの運転を行う。
【0112】
最初に、山田太郎が車両aに搭乗して車庫から車両aを走行させる。管理プログラム13は、運行情報に含まれる第1識別記号から車両aを特定し、特定した車両aから運行番号及び運行指示書を特定する。管理プログラム13は、特定した運行指示書から、当該運行に従事する運転者名、及び各運転者が運転を行う区間を特定する。具体的には、管理プログラム13は、「山田太郎」と「田中次郎」との2人の運転者が運行に従事し、車庫から第1経過地までは山田太郎が運転し、第1経過地から第2経過地までは田中次郎が運転し、第2経過地から第3経過地までは山田太郎が運転し、第3経過地から目的地までは田中次郎が運転すると特定する。
【0113】
次に、管理プログラム13は、入力された運行情報に含まれる画像情報から、実際の運転者を特定する。管理プログラム13は、特定した実際の運転者の第2識別記号と、運行指示書の第2識別記号とを比較し、運転者が運行指示書に合致しているか否かを、
図5に示される処理を用いて判断する。管理プログラム13は、実際の運転者が運行指示書の運転者と相違すると判断すると、運転者名を訂正する。一方の運転者が体調不良などによって他方の運転者に運転を代わった場合などにおいて、運転者名の訂正が行われる。なお、管理プログラム13は、実際の運転者が運行指示書の運転者と相違すると判断すると、注意報知情報をオペレータ宛てに出力してもよい。注意報知情報を確認したオペレータは、例えば、現在運転を行っていない方の運転者の携帯電話に電話し、事情を確認する。
【0114】
また、管理プログラム13は、運行終了後において、特定した運転者ごとに、勤務記録作成処理及び給与の算出処理(
図9)を行う。
【0115】
出発地や経過地の訂正処理、出発時刻や到着時刻の訂正処理、休憩時間や休息時間の訂正処理、及び注意報知情報の出力処理は、上述の第1実施形態及び実施例1と同様である。
【0117】
運行情報に含まれる画像情報によって実際の運転者を特定するから、一の車両20に複数の運転者が搭乗する場合であっても、運転者を個々に特定して、運行指示書を訂正することができる。
【0118】
また、実際の運転者が運行指示書の運転手と相違している場合、運転者に事情を聴くことができるから、運行の安全性が高められる。
【0120】
上述の実施例1、2では、観光などに従事する車両a(バス)の運行管理を例に説明がされた。本実施例3では、ルート配送に使用される車両bの運行管理の例を
図11を参照して説明する。車両bは、A集積所を出発し、コンビニーエンスストアなどである複数の経過地(店舗)で荷下ろしをしてA集積所に戻るルート配送を行う。
【0121】
管理プログラム13は、
図5〜
図9に示された各処理に加え、作業時間訂正処理及び注意報知処理を行う。当該処理は、
図7(A)に示された処理と同様にして行われる。すなわち、
図7(A)に示される休憩時間の代わりに作業時間が算出され(S54)、算出された実際の作業時間が運行指示書の作業時間データと相違するか否かが判断される(S55)。管理プログラム13は、作業時間が相違すると判断すると、運行指示書の作業時間データを訂正する(S56)。また、管理プログラム13は、算出した作業時間と第1閾値とを比較し(S57)、作業時間が短すぎると判断すると(S57:Yes)、注意報知情報を出力する(S58)。
【0123】
運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)は、実際の作業時間を算出し、算出した作業時間を用いて運行指示書の作業時間データを訂正する。すなわち、運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)は、作業時間の記録に関して、運転者の作業を代行する。したがって、運転者は、作業時間の記録作業から解放され、運転に集中することができる。その結果、運行の安全性が高められる。
【0124】
また、運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)が、作業時間に関する運行指示書の訂正を行うから、運転者の記憶違いや虚偽報告やオペレータ(運転手や事務員)の入力ミス等によって生じる誤った運行指示書の訂正が防止される。
【0125】
また、運行管理システム10(管理サーバ12、管理プログラム13)が、運行指示書の訂正を行うから、オペレータ(運転手や事務員)の作業負担が軽減される。
【0126】
また、実際の作業時間が短すぎると注意報知がされるから、店舗を素通りしたり(作業時間ゼロ)、荷物を降ろし忘れたりすることが防止される。
【0128】
本実施形態で説明される運行管理システムは、
図12に示されるように、車両20が体調センサ26を備える点において第1実施形態で説明された運行管理システム10と相違する。体調センサ26以外の構成は、第1実施形態と同様であり、説明が省略される。なお、体調センサ26は、デジタルタコグラフ11とともに運行管理システム10の一部とされてもよい。
【0129】
体調センサ26は、運転席に設置され、運転者の体調を検出する。詳しく説明すると、体調センサ26は、CO2センサ71と、アルコールセンサ72と、ドップラセンサ73と、温度センサ74とを備える。CO2センサ71は、大気中(車内)の二酸化炭素濃度を測定する。アルコールセンサ72は、大気中(車内)のアルコール濃度を測定する。ドップラセンサ73は、運転者の腕などに押し当てられ、運転者の脈波を測定する。温度センサ74は、接触または非接触にて運転者の体温を測定する。
【0130】
病気などにより運転者の体調が悪いと、CO2センサ71の測定濃度が通常より上がったり、ドップラセンサの検出脈波が通常より速くなったり、温度センサ74の測定温度が通常より上がる。また、運転者が飲酒をすると、アルコールセンサ72の測定濃度が上がる。したがって、体調センサ26により、運転者の体調を検出することができる。体調センサ26が検出した体調情報は、デジタルタコグラフ11に入力される。
【0131】
デジタルタコグラフ11の入力部41は、体調情報入力部36を備える。デジタルタコグラフ11のCPU45は、入力された体調情報に時刻情報を対応付けて運行情報として記憶部43に記憶させる。CPU45は、画像情報や位置情報などとともに、体調情報を出力部44から出力させる。
【0132】
デジタルタコグラフ11が出力した運行情報は、管理サーバ12に入力される。管理プログラム13は、運行情報に含まれる体調情報を用いて、
図13に示される体調検出処理を行う。以下、詳しく説明がされる。
【0133】
予め、体調検出処理に用いられる第3閾値がオペレータによって入力される。管理プログラム13は、入力された第3閾値を装置メモリ53に記憶させる。第3閾値を装置メモリ53に記憶させる処理は、本発明の第6記憶処理に相当する。
【0134】
第3閾値は、二酸化炭素濃度を判断する第3A閾値と、アルコール濃度を判断する第3B閾値と、脈波速度を判断する第3C閾値と、体温を判断する第3D閾値とから構成される。
【0135】
管理プログラム13は、運行情報が入力されるまで待機する(S91:No)。管理プログラム13は、運行情報が入力されると(S91:Yes)、運行情報を装置メモリ53に記憶させる(S92)。管理プログラム13は、装置メモリ53に記憶された運行情報から体調情報を抽出する(S93)。
【0136】
管理プログラム13は、体調情報に含まれる二酸化炭素濃度が第3A閾値以上か否かを判断する(S94)。管理プログラム13は、二酸化炭素濃度が第3A閾値以上であると判断すると(S94:Yes)、体調不良と判断し(S95)、オペレータなどに対して、注意報知情報を出力し(S96)、処理を終了する(END)。
【0137】
管理プログラム13は、二酸化炭素濃度が第3A閾値未満であると判断すると(S94:No)、アルコール濃度が第3B閾値以上であるか否かを判断する(S97)。管理プログラム13は、アルコール濃度が第3B閾値以上であると判断すると(S97:Yes)、体調不良と判断し(S95)、オペレータなどに対して、注意報知情報を出力し(S96)、処理を終了する(END)。
【0138】
管理プログラム13は、アルコール濃度が第3B閾値未満であると判断すると(S97:No)、脈波速度が第3C閾値以上であるか否かを判断する(S98)。管理プログラム13は、アルコール濃度が第3B閾値以上であると判断すると(S98:Yes)、体調不良と判断し(S95)、オペレータなどに対して、注意報知情報を出力し(S96)、処理を終了する(END)。
【0139】
管理プログラム13は、脈波速度が第3C閾値未満であると判断すると(S98:No)、体温が第3D閾値以上であるか否かを判断する(S99)。管理プログラム13は、体温が第3D閾値以上であると判断すると(S99:Yes)、体調不良と判断し(S95)、オペレータなどに対して、注意報知情報を出力し(S96)、処理を終了する(END)。
【0140】
管理プログラム13は、体温が第3D閾値未満であると判断すると(S99:No)、体調を正常と判断し(S100)、処理を終了する(END)。ステップS94、S97、S98、S99の処理は、本発明の第7判断処理に相当する。ステップS96の処理は、本発明の第3報知処理に相当する。
【0141】
オペレータは、注意報知情報を受けて運転者の体調不良を認識すると、交代の運転者の手配等を行う。
【0142】
なお、本実施形態では、体調センサ26が、CO2センサ71と、アルコールセンサ72と、ドップラセンサ73と、温度センサ74とを備える例が説明された。しかしながら、体調センサ26は、CO2センサ71と、アルコールセンサ72と、ドップラセンサ73と、温度センサ74とのうち、少なくとも一のセンサを有していればよい。
【0143】
本実施形態では、体調センサ26により、運転者の体調不良を検出することができるから、車両20の運行の安全性を高めることができる。
【解決手段】運行管理システム10は、車両に搭載されるデジタルタコグラフと、事務所などに設置される管理サーバとを備える。デジタルタコグラフは、位置情報や時刻情報や運転者の画像情報などを含む運行情報を出力する。出力された運行情報は、管理サーバに入力される。管理サーバは、管理プログラムをインストールされている。管理プログラムは、画像情報から運転者を特定し、位置情報等から出発地、経過地、目的地を特定し、時刻情報等から出発時刻、到着時刻、休憩時間、休息時間等を特定及び算出する。管理プログラムは、特定した運転者や出発地や出発時刻や休憩時間等と、運行指示書の運行指示データとを照らし合わせ、相違すると判断すると、運行指示書を訂正する。