特許第6181285号(P6181285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181285
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】積付システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20170807BHJP
   B65G 57/00 20060101ALI20170807BHJP
   B65D 19/38 20060101ALI20170807BHJP
   B65D 88/22 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B65G57/03 Z
   B65G57/00 A
   B65D19/38 Z
   B65D88/22 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-504879(P2016-504879)
(86)(22)【出願日】2014年2月25日
(86)【国際出願番号】JP2014054454
(87)【国際公開番号】WO2015128930
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】余田 勝平
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雅弘
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−234538(JP,A)
【文献】 特開平07−300236(JP,A)
【文献】 実開昭52−035046(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00−57/32;60/00−61/00
B65D 19/38
B65D 88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも物品載置部および紐部を有する紐付き部材が脱着可能にセットされ、このセットされた紐付き部材とともに移動する移動体と、
この移動体にセットされた前記紐付き部材の物品載置部に物品を積み付ける積付手段とを備え、
前記移動体は、
前記紐付き部材の物品載置部を支持する支持部と、
前記紐付き部材の紐部が収納される収納空間部とを有する、積付システムであって、
前記移動体は、
上面開口状で有底筒状の箱状部材と、
この箱状部材の底板部に立設された柱状部材と、
この柱状部材にて支えられた板状部材とを有し、
前記板状部材の上面部が、前記紐付き部材の物品載置部を支持する前記支持部となっており、
前記箱状部材内の空間部が、前記紐付き部材の紐部が収納される前記収納空間部となっている
ことを特徴とする積付システム。
【請求項2】
紐付き部材が移動体にセットされているか否かを検知する検知手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の積付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積付後の物品の荷崩れを抑制できる積付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された積付システムが知られている。
【0003】
この従来の積付システムは、物品を搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの搬送終端部上の物品を保持して移送してパレットに積み付けるパレット荷積み装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−72246号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の積付システムでは、例えばフォークリフトを使用して、積付後の物品をパレットごと持ち上げて運搬する際に、物品の種類等によっては、パレット上の積付後の物品が荷崩れするおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、積付後の物品の荷崩れを抑制できる積付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
求項記載の積付システムは、少なくとも物品載置部および紐部を有する紐付き部材が脱着可能にセットされ、このセットされた紐付き部材とともに移動する移動体と、この移動体にセットされた前記紐付き部材の物品載置部に物品を積み付ける積付手段とを備え、前記移動体は、前記紐付き部材の物品載置部を支持する支持部と、前記紐付き部材の紐部が収納される収納空間部とを有する、積付システムであって、前記移動体は、上面開口状で有底筒状の箱状部材と、この箱状部材の底板部に立設された柱状部材と、この柱状部材にて支えられた板状部材とを有し、前記板状部材の上面部が、前記紐付き部材の物品載置部を支持する前記支持部となっており、前記箱状部材内の空間部が、前記紐付き部材の紐部が収納される前記収納空間部となっているものである。
【0008】
請求項記載の積付システムは、請求項1記載の積付システムにおいて、紐付き部材が移動体にセットされているか否かを検知する検知手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積付手段は、移動体にセットされた紐付き部材の物品載置部に物品を積み付けるため、その紐付き部材を利用することで、積付後の物品の荷崩れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る積付システムの全体側面図である。
図2】同上積付システムの全体平面図である。
図3】同上積付システムの移動体および移動体駆動手段の平面図である。
図4】同上移動体および移動体駆動手段の側面図である。
図5】同上移動体の平面図である。
図6】同上移動体の側面視断面図である。
図7】同上移動体駆動手段の部分断面図である。
図8】(a)ないし(f)は同上積付システムの作用説明図(1)である。
図9】(a)ないし(f)は同上積付システムの作用説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の積付システムの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図中の1は、積付システムで、この積付システム1は、パレットではなく、紐付き部材2の上に、袋物等の物品Wを所定の積付パターンに順次積み付けるものである。
【0013】
紐付き部材2は、例えば可撓性を有する上面開口状で有底筒状の袋状部材2aである。この柔軟な袋状部材2aは、矩形状の底板部である物品載置部3と、四角筒状の周壁部4と、この周壁部4に縫い付けられた複数本の持上げ用の紐部5とを有している(図8参照)。
【0014】
なお、紐付き部材2は、例えば可撓性を有するシート状部材2bでもよい。この柔軟なシート状部材2bは、矩形状のシート本体部である物品載置部3と、この物品載置部3に縫い付けられた複数本の持上げ用の紐部5とを有している(図9参照)。
【0015】
積付システム1は、図1ないし図7等に示されるように、順次供給される物品Wを搬送する搬送手段11と、この搬送手段11の両側方にそれぞれ配設され、紐付き部材2(2a,2b)が脱着可能にセットされ、このセットされた紐付き部材2とともに持上位置および積付位置間で移動する移動体12と、この移動体12を持上位置および積付位置間で移動させる移動体駆動手段13とを備えている。
【0016】
また、積付システム1は、搬送手段11にて搬送されてこの搬送手段11の搬送終端部に位置する物品Wを例えば1個ずつ解除可能に保持して移送し、その物品Wを積付位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2の物品載置部3に複数段に積み付けるロボットパレタイザー等の積付手段14を備えている。
【0017】
なお、この1台の積付手段14は、互いに離間対向する複数、例えば2つの移動体12に対応可能なもので、その動作範囲Aが図2に示されている。
【0018】
搬送手段11は、物品Wを搬送する水平状の第1搬送コンベヤ16と、この第1搬送コンベヤ16からの物品Wを搬送する上り傾斜状の第2搬送コンベヤ17と、第1搬送コンベヤ16よりも高い位置に配設され、第2搬送コンベヤ17からの物品Wを搬送する水平状の第3搬送コンベヤ18とを有している。
【0019】
積付手段14は、搬送手段11を跨いで位置する脚付き支持台21を有し、この脚付き支持台21の支持板部22に積付ロボット23が設けられている。
【0020】
そして、積付ロボット23は、水平回動可能な回動体24と、この回動体24に設けられた多関節ロボットアーム25と、このアーム25の先端部に設けられ、物品Wを解除可能に挟持して保持する物品保持部であるロボットハンド26とを有している。このロボットハンド26は、回動体24および多関節ロボットアーム25の作動に基づき、図2に示す動作範囲Aを移動する。
【0021】
移動体12は、図3ないし図6等に示されるように、平面視矩形状の上面開口部30を有する上面開口状で有底四角筒状の箱状部材31を有している。この箱状部材31は、水平状に位置する矩形状の底板部32と、この底板部32の周端部に立設された四角筒状の周壁部33とを有している。なお、底板部32は、例えば底板32aと、この底板32aの下面に固定されたベース板32bとにて構成されている。
【0022】
そして、箱状部材31の底板部32には、互いに間隔をおいて位置する複数本、例えば5本の角柱状の柱状部材35が立設され、これら複数本の柱状部材35にて矩形状の天板である板状部材(積付台)36が水平状に支えられている。つまり、複数本の柱状部材35の下端部が箱状部材31の底板部32に固着され、これら複数本の柱状部材35の上端部に紐付き部材セット板である板状部材36が固着されている。
【0023】
この板状部材36は、箱状部材31の底板部32よりも一回り小さな矩形状に形成されたもので、箱状部材31の上面開口部30よりも高い位置に水平状に位置している。なお、板状部材36は、例えば移動体12の移動方向に対して直交する水平方向に長手方向を有する矩形状に形成されている。
【0024】
また、板状部材36は、箱状部材31に対して搬送手段11側とは反対側に少しずれて位置しており、平面視で板状部材36の反搬送手段11側の端部と箱状部材31の反搬送手段11側の端部とが互いに一致している。この板状部材36の残りの3辺の端部は、平面視で箱状部材31の周壁部33よりも内方に位置している(図5参照)。
【0025】
さらに、板状部材36の反搬送手段11側の端部側は、長さ調整可能な垂れ防止手段であるアジャストボルト38にて下方から支持されている。つまり、伸縮可能な伸縮体である複数本、例えば2本のアジャストボルト38が、箱状部材31の底板部32と板状部材36との間に、後付けにより脱着可能に挿入装着されている。このアジャストボルト38は、側面視で柱状部材35と重なるように位置している(図6参照)。
【0026】
なお、複数本の柱状部材36は、いずれも同じ一定長さのもので、この各柱状部材36の下部が箱状部材31内の空間部に配設されている。
【0027】
そして、移動体12の板状部材36の上面部の全体が紐付き部材2の物品載置部3を下方から支持する支持部39となっており、かつ、移動体12の箱状部材31内の空間部が紐付き部材2の少なくとも紐部5が上面開口部30を介して出し入れ可能に収納される収納空間部40となっている。
【0028】
なお、紐付き部材2として袋状部材2aを用いる場合には、移動体12の収納空間部40には、袋状部材2aの紐部5に加え、周壁部4も上面開口部30を介して出し入れ可能に収納する。
【0029】
移動体駆動手段13は、例えばチェーンコンベヤ等からなるもので、図3ないし図7等に示されるように、搬送手段11と平行状に配設された長手状の複数本、例えば4本の案内フレーム41を有し、この各案内フレーム41がチェーン案内部42,43を上下部に有している。なお、これら複数本の案内フレーム41は、互いに間隔をおいて配設され、例えば2tの荷重に耐えることが可能な構成となっている。
【0030】
また、移動体駆動手段13は、各案内フレーム41のチェーン案内部42,43にて案内されながら回行する無端体であるチェーン45と、このチェーン45を回行させる駆動源である駆動モータ46とを有している。
【0031】
そして、各チェーン45の往路部の所定部位には、断面L字状の対をなす板状の取付部材47が取り付けられ、この取付部材47を介して移動体12の箱状部材31がチェーン45の往路部に取り付けられている。
【0032】
取付部材47は、鉛直板部48およびこの鉛直板部48の上端部に一体に設けられた水平板部49を有し、その鉛直板部48がチェーン45に取り付けられ、その水平板部49が箱状部材31の底板部32のベース板32bにボルト50によって取り付けられている。
【0033】
こうして、移動体12が移動体駆動手段13の複数本のチェーン45に取り付けられており、これら複数本のチェーン45の同期回行に基づいて、移動体12が持上位置および積付位置間で移動する。つまり、駆動モータ46からの動力によるチェーン45の一方向への回行により移動体12が持上位置から積付位置へ移動し、駆動モータ46からの動力によるチェーン45の他方向への回行により移動体12が積付位置から持上位置へ移動する。
【0034】
持上位置(払出位置)は、所定の積付パターンに積み付けられた積付後の物品(積付完了物品群)Wを紐付き部材2ごと運搬作業車であるフォークリフト6で持ち上げるための位置であり、しかも作業者が手作業で紐付き部材2を移動体12にセットするための位置でもある。積付位置は、物品Wを積付ロボット23で紐付き部材2の上に直接積み付けるための位置である。
【0035】
なお、積付位置は、搬送手段11の側方近傍位置であるが、持上位置は、搬送手段11の搬送終端部よりも搬送方向前方側の位置である(図2参照)。
【0036】
また、図7に示されるように、案内フレーム41の上部には、移動体12が持上位置に位置した状態時に、チェーン45のピン45aとの係合によりチェーン45の両側方へのずれを防止するずれ防止手段51が設けられている。なお、ずれ防止手段51は、各案内フレーム41のうち持上位置に対応する部分のみに設けられている。
【0037】
ずれ防止手段51は、例えば断面L字状の対をなす板状のずれ防止部材52にて構成されている。ずれ防止部材52は、水平板部53およびこの水平板部53の内端部に一体に設けられた鉛直板部54を有し、その水平板部53がブラケット55を介して案内フレーム41の上部側面に取り付けられ、その鉛直板部54がチェーン45のピン45aと近接対向している。
【0038】
なお、ずれ防止手段51は、移動体12が持上位置に位置した状態時に、取付部材47の鉛直板部48との係合によりチェーン45の両側方へのずれを防止するようにしてもよい。
【0039】
さらに、図4に示されるように、案内フレーム41の積付位置側の部分には、積付位置側の移動体減速用近接スイッチ56、積付位置側の移動体停止用近接スイッチ57、積付位置側の安全リミットスイッチ58、および、紐付き部材有無検知用の検知手段60が設けられている。
【0040】
この検知手段60は、例えば光電スイッチ等からなる光学系の検知センサで、検知光を利用して紐付き部材2が移動体12にセットされているか否かを検知するものである。箱状部材31の底板部32の略中央部および板状部材36の略中央部には、検知光が通る長孔状の孔部61,62がそれぞれ開口形成されている(図3参照)。
【0041】
そして、例えば紐付き部材2が移動体12にセットされていない場合には、検知手段60の検知に基づき積付手段14が作動しない。
【0042】
また、案内フレーム41の持上位置側の部分には、持上位置側の移動体減速用近接スイッチ66、持上位置側の移動体停止用近接スイッチ67、持上位置側の安全リミットスイッチ68、および、フォークリフト6のフォーク6aの有無を検知するフォーク検知センサ70が設けられている。
【0043】
そして、例えばフォークリフト6による持上作業中でフォークリフト6のフォーク6aが持上位置に位置する場合には、フォーク検知センサ70の検知に基づき駆動モータ46が作動しない。
【0044】
また、図2に示されるように、両移動体駆動手段13の持上位置付近には、作業者の足場台71が設けられている。すなわち例えば、足場台71は、持上位置に位置した平面視矩形状の移動体12の4辺のうち、フォークリフト6側の1辺を除く3辺の近傍に位置するように設けられている。
【0045】
さらに、一方側(例えば図2では下側)の移動体駆動手段13の積付位置付近には、例えば重量検知および金属検知等によって異常品(リジェクト品)と判断された物品Wが載置されるパレット等の載置台72が置かれている。
【0046】
次に、上記積付システム1の作用等を説明する。
【0047】
紐付き部材2として、袋形状の袋状部材2aを用いる場合について、図8を参照して説明する。
【0048】
まず、図8(a)および(b)に示すように、足場台71に乗った作業者が、持上位置に位置した移動体12に対して、袋状部材2aである紐付き部材2を手作業によって脱着可能に取り付けてセットする。
【0049】
この際、作業者は、紐付き部材2の底板部である物品載置部3を板状部材36の支持部39上に重ねるように載せて露出させ、この露出させた物品載置部3にて支持部39の全体(板状部材36の上面全体)を覆い隠すとともに、紐付き部材2の周壁部4および紐部5をたくし下げて箱状部材31内の収納空間部40に収納する。
【0050】
そして、この紐付き部材2がセットされた移動体12は、駆動モータ46からの動力に基づいて持上位置から積付位置まで自動的に移動する。
【0051】
次いで、図8(c)に示すように、積付手段14の積付ロボット23が、積付位置に位置した移動体12に対して、積付作業を開始する。
【0052】
つまり、積付手段14の積付ロボット23は、搬送手段11の搬送終端部上の物品Wを一旦保持し、この保持した物品Wを積付位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2(袋状部材2a)の物品載置部3に順次積み付けていく。
【0053】
そして、図8(d)に示すように、積付位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2の物品載置部3上に、複数個の物品Wが所定の積付パターンに積み付けられると、その移動体12は、駆動モータ46からの動力に基づいて積付位置から持上位置まで自動的に移動する。
【0054】
次いで、図8(e)に示すように、足場台71に乗った作業者が、持上位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2の周壁部4および紐部5をたくし上げて箱状部材31内の収納空間部40から取り出し、この取り出した周壁部4を用いて積付後の物品W、つまり積付完了物品群の側面全体を荷崩れしないように覆う。すなわち、作業者は、積付後の物品Wを袋状部材2a内に収納する。
【0055】
その後、図8(f)に示すように、例えばフォークリフト6のフォーク6aを紐付き部材2の紐部5に引っ掛けて、積付後の物品Wを紐付き部材2ごとその紐付き部材2内に収納したまま持ち上げて所定場所まで運搬(ハンドリング)する。
【0056】
また、紐付き部材2として、シート形状のシート状部材2bを用いる場合について、図9を参照して説明する。
【0057】
まず、図9(a)および(b)に示すように、足場台71に乗った作業者が、持上位置に位置した移動体12に対して、シート状部材2bである紐付き部材2を手作業によって脱着可能に取り付けてセットする。
【0058】
この際、作業者は、紐付き部材2の物品載置部3を板状部材36の支持部39上に重ねるように載せ、その物品載置部3にて支持部39の全体(板状部材36の上面全体)を覆い隠すとともに、紐付き部材2の紐部5をたくし下げて箱状部材31内の収納空間部40に収納する。
【0059】
そして、この紐付き部材2がセットされた移動体12は、駆動モータ46からの動力に基づいて持上位置から積付位置まで自動的に移動する。
【0060】
次いで、図9(c)に示すように、積付手段14の積付ロボット23が、積付位置に位置した移動体12に対して、積付作業を開始する。
【0061】
つまり、積付手段14の積付ロボット23は、搬送手段11の搬送終端部上の物品Wを一旦保持し、この保持した物品Wを積付位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2(シート状部材2b)の物品載置部3に順次積み付けていく。
【0062】
そして、図9(d)に示すように、積付位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2の物品載置部3上に、複数個の物品Wが所定の積付パターンに積み付けられると、その移動体12は、駆動モータ46からの動力に基づいて積付位置から持上位置まで自動的に移動する。
【0063】
次いで、図9(e)に示すように、足場台71に乗った作業者が、持上位置に位置した移動体12にセットされている紐付き部材2の紐部5をたくし上げて箱状部材31内の収納空間部40から取り出し、この取り出した紐部5を用いて積付後の物品W、つまり積付完了物品群を荷崩れしないように縛る。すなわち、作業者は、積付後の物品Wの上面上で紐部5を束ねる。
【0064】
その後、図9(f)に示すように、例えばフォークリフト6のフォーク6aを紐付き部材2の紐部5に引っ掛けて、積付後の物品Wを紐付き部材2ごとその紐部5で縛ったまま持ち上げて所定場所まで運搬(ハンドリング)する。
【0065】
そして、この積付システム1によれば、積付手段14は、移動体12にセットされた紐付き部材2の物品載置部3に物品Wを積み付けるため、その紐付き部材2、すなわち例えば袋状部材2aやシート状部材2bを利用することで、積付後の物品Wの荷崩れを抑制でき、よって、例えばフォークリフト6によって積付後の物品Wを適正状態のまま容易に運搬できる。
【0066】
また、移動体12を持上位置および積付位置間で移動させる移動体駆動手段13を備えるため、作業者が移動体12を人力で移動させる必要がなく、作業効率の向上を図ることができる。
【0067】
さらに、移動体12は、紐付き部材2の物品載置部3を支持する支持部39と、紐付き部材2の紐部5が出し入れ可能に収納される収納空間部40とを有するため、支持部39によって紐付き部材2の物品載置部3を適切に支持でき、かつ、紐付き部材2の紐部5を収納空間部40に収納することにより、移動体12の移動時に紐付き部材2の紐部5が他の部材等と干渉するのを防止できる。
【0068】
また、移動体12は、箱状部材31と柱状部材35と板状部材36とを有し、板状部材36の上面部が支持部39となっておりかつ箱状部材31内の空間部が収納空間部40となっている構成であるから、この移動体12の構成はきわめて簡単であり、製造およびメンテナンス等も容易である。
【0069】
さらに、紐付き部材2が移動体12にセットされているか否かを検知する検知手段60を備えるため、紐付き部材2がセットされていない移動体12の板状部材36に物品Wを直接積み付けてしまう不具合を防止できる。
【0070】
なお、紐付き部材2は、袋状部材(スリング付き袋)2aやシート状部材(スリング付きシート)2bには限定されず、少なくとも物品載置部および紐部を有するものであればよい。
【0071】
例えば金属板や木板等からなる物品載置部とこの物品載置部に取着された紐部とを有するものや、例えば積付完了物品群の全体を覆うことが可能な大きさのシート状の物品載置部とこの物品載置部に取着された紐部とを有するもの等でもよい。なお、可撓性を有する紐部の本数も任意であり、1本でも複数本でもよい。また、紐部は、フォークリフト6のフォーク6aを容易に引っ掛かることができるようなU字状の部分を有することが好ましい。
【0072】
また、移動体12を移動させる移動体駆動手段13を備える構成には限定されず、例えば移動体の底部に走行輪等を設けて作業者が人力で移動体12を移動させる構成等でもよい。
【0073】
さらに、積付手段14のロボットハンド26は、例えば複数個の物品Wを同時に保持するものでもよく、また例えば物品Wを吸引保持するもの等でもよい。
【0074】
また、移動体12は、例えば箱状部材のみからなるものでもよく、また例えば紐部を引っ掛けておくためのフック状の紐引掛部を設けたもの等でもよい。
【0075】
さらに、移動体12の板状部材36は、例えば箱状部材31の上面開口部30と同一高さ(略同一高さを含む)に位置するものでもよく、また例えば箱状部材31の上面開口部30よりも低い位置に位置するもの等でもよい。なお、例えば板状部材36の高さを調整可能な構成としてもよい。
【0076】
また、移動体12の板状部材36は、例えば移動体12の移動方向に沿った方向に長手状のものでもよく、また例えば矩形状以外の形状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、少なくとも移動体および積付手段を備える積付システムに利用される。
【符号の説明】
【0078】
1 積付システム
2 紐付き部材
3 物品載置部
5 紐部
12 移動
14 積付手段
31 箱状部材
32 底板部
35 柱状部材
36 板状部材
39 支持部
40 収納空間部
60 検知手段
W 物品
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9