特許第6181288号(P6181288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181288アイソトープ比分析器のためのガス注入システム及びアイソトープ比を決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181288
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】アイソトープ比分析器のためのガス注入システム及びアイソトープ比を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20170807BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20170807BHJP
   G01N 33/00 20060101ALI20170807BHJP
   G01N 21/3504 20140101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01N1/00 101R
   G01N1/00 101T
   G01N1/00 101S
   G01N27/62 B
   G01N33/00 C
   G01N21/3504
【請求項の数】22
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-508090(P2016-508090)
(86)(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公表番号】特表2016-519772(P2016-519772A)
(43)【公表日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】EP2014057140
(87)【国際公開番号】WO2014170179
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】1306806.9
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1306807.7
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1306808.5
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508306565
【氏名又は名称】サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ワペルホースト エリック
(72)【発明者】
【氏名】シュルーター ハンス ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クラークト オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】シュヴィッターズ ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】クルメン ミヒャエル
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−127955(JP,A)
【文献】 特表2009−531677(JP,A)
【文献】 米国特許第05424539(US,A)
【文献】 DESAGE, M. et al.,Gas chromatography with mass spectrometry or isotope-ratio mass spectrometry in studying the geographical origin of heroin,ANALYTICA CHIMICA ACTA,1991年 7月,Vol.247/No.2,P249-254
【文献】 HAYES, J.M. et al. ,Compound-specific isotopic analyses: A novel tool for reconstruction of ancient biogeochemical processes,ORGANIC GEOCHEMISTRY,1990年,Vol.16/No.4-6,P1115-1128
【文献】 NITZ, S. et al. ,Multidimensional Gas Chromatography - Isotope Ratio Mass Spectrometry (MDGC-IRMS). Part A: System Description and Technical Requirements,JOURNAL OF HIGH RESOLUTION CHROMATOGRAPHY,1992年 6月,Vol.15/No.6,P387-391
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
G01N 27/60−27/70
G01N 27/90
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソトープ比分析器にガスを導入するためのガス注入システムであって、
前記ガス注入システムは、照合システムを含み、この照合システムは、
第1既知アイソトープ比を有する基準ガスの第1供給源と、
担体ガスの供給源であって、基準ガス及び担体ガスの前記供給源は、それぞれの基準ガスライン及び担体ガスラインにより、前記基準ガス及び前記担体ガスが混じり合う第1混合合流点にそれぞれ接続される、担体ガスの供給源と、
前記第1混合合流点の下流に接続される、混じり合った基準ガスと担体ガスが混合する混合領域と、
混合ガスを前記混合領域から前記アイソトープ比分析器へ運ぶための出口ラインと、
前記混合領域の下流にある、前記出口ライン上の開口部と、
を含
前記混合領域からの前記出口ライン上に、すでに混合された前記混合ガスに更なる担体ガスを混合するための第2混合合流点をさらに含み、
前記更なる担体ガスは、第2担体ガスラインを介して前記第2混合合流点に供給される、ガス注入システム。
【請求項2】
前記照合システムが、第2既知アイソトープ比を有する基準ガスの第2供給源をさらに含み、
基準ガスの前記第1供給及び前記第2供給源がそれぞれ独立に前記担体ガスとの混合のために前記第1混合合流点に接続される、請求項1に記載のガス注入システム。
【請求項3】
前記基準ガスは実質的に純ガスであり、前記担体ガスは前記基準ガスを実質的に含まない、請求項1又は2のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項4】
前記基準ガスはCO2であり、前記担体ガスはCO2無含有の空気又はCO2無含有の窒素である、請求項3に記載のガス注入システム。
【請求項5】
前記第1混合合流点への前記担体ガスの流れは、流量制御手段により動的に制御される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項6】
前記流量制御手段は、質量流量コントローラ又は比例弁を含む、請求項5に記載のガス注入システム。
【請求項7】
前記流量制御手段は、少なくとも1つの自動又は手動の圧力調整装置を含み、この圧力調整装置は、その下流において少なくとも1つの流量制限装置と組み合わされている、請求項5に記載のガス注入システム。
【請求項8】
前記開口部は大気に対して開いており、前記開口部を有する前記合流点における圧力が大気圧に近い、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項9】
前記開口部は、少なくとも0.5mmの内径及び少なくとも5mmの長さを有する開放毛細管の形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項10】
前記開放毛細管を通る流量は、少なくとも0.5ml/分である、請求項9に記載のガス注入システム。
【請求項11】
前記混合領域は、少なくとも75mmの長さ及び少なくとも0.8mmの内径を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項12】
前記混合領域は、1つ以上の屈折を含み、かつ/又は、その長さに沿って角を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項13】
前記第2混合合流点は、前記出口ライン上の前記開口部の下流にある、請求項1〜12のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項14】
前記第2混合合流点に供給される前記担体ガスは、前記第1混合合流点に供給する同一の担体ガスの供給源から到来する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項15】
前記第2混合合流点に供給される前記担体ガスは、動的に制御されない、請求項1〜14のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項16】
前記混合領域からの前記出口ラインは、前記第2混合合流点の上流かつ前記開口部合流点の下流に位置する流量制限装置を有し、前記第2担体ガスラインも前記第2混合合流点の上流に流量制限装置を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項17】
前記分析器に入る前記混合ガスが、約200〜1500ppmの範囲の空気中のCO2濃度又は窒素中のCO2濃度を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項18】
前記第1及び第2混合合流点はT字型合流点である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項19】
前記ガスラインの1つ又はそれ以上の部分は、機械工作ブロック中に設けられている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項20】
前記アイソトープ比分析器は、アイソトープ比質量分光計、又は、アイソトープ比光学分光計である、請求項1〜19のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項21】
前記アイソトープ比分析器が、アイソトープ比測定値の濃度依存の決定、及び/又は、前記アイソトープ比測定値のアイソトープ比依存の決定のためのものである、請求項1〜20のいずれか一項に記載のガス注入システム。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の前記ガス注入システムを含むアイソトープ比分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイソトープ比分析器のためのガス注入システム、前記注入システムを含む前記分析器及びアイソトープ比測定の方法に一般的に関する。
【背景技術】
【0002】
アイソトープ比分析は、ガス試料中のアイソトープの相対存在量(アイソトープ比)を測定するために行われる。たとえば、それは、たとえば空気中のCO2のアイソトープ比13C/12C及び/又は18O/16Oを決定するために利用される。アイソトープ比分析は、通常、質量分析(MS)により行われるが、しかし光学分光分析により行うこともできる。
【0003】
アイソトープ比分析のためのガス注入システムは、特にアイソトープ比質量分光計との併用において、よく知られている。アイソトープ比質量分析及びガス注入システムの一般的考察は、たとえばBrenna et al,Mass Spectrometry Reviews,1997,16,227−258において見出すことができる。アイソトープ比質量分光分析は、通常、試料ガスのアイソトープ比及び既知アイソトープ比を有する1つ以上の基準ガスの比較測定を含む。したがって、アイソトープ比MS(IRMS)は、一般的に少なくとも1つの試料ガス注入口及び少なくとも1つの基準ガス注入口を必要とする。
【0004】
よく知られているガス流管理方法は、いわゆるオープンスプリットである。それは、大気に対して開いている混合領域を含んでいる。分析されるガスは、混合領域へのラインから現れ、そのガスの大部分が余分なものとして大気中に失われて行く間に少量が取り込みラインに送り込まれる。このように、オープンスプリットは、アイソトープ比分析器により受け入れられる量を超えるガス流量を放出する。アイソトープ比MSにおけるオープンスプリット設計の一例は、米国特許第5,424,539号明細書に記載されている。この設計のオープンスプリットは、大気に対して開いている小さなガラス・バイアル(このバイアルには、種々の試料/基準/担体ガス毛細管が接続されている)及びバイアル内の混合領域をサンプルする別の毛細管を含んでいる。担体ガスは、種々の試料ガス及び基準ガスを希釈して分析のための所望濃度を得るために使用される。しかし、この設計は、希望されるほど着実ではなく、分析前にオープンスプリットにおいて超過試料ガスがシステムから失われる。相当な量の担体ガスも使用しなければならない。同様なオープンスプリット設計が米国特許第5,661,038号明細書において記述されており、Tobias et al,Anal.Chem.1996,68,3002−3007においても示されている。オープンスプリット構想は、たとえば米国特許第7,928,369号明細書及び国際公開第2007/112876号パンフレットにおいて示されているように、性能及び自動化に関して改善された。この設計では、ガスを供給するための毛細管に、混合領域に出入りさせるための駆動機構が設けられる。本質的に一連の入れ子式毛細管を含む上述のかかるオープンスプリットは、すべて、製造が複雑であり、かつ製造における再現性及び使用上の着実性を欠く。
【0005】
ガス・クロマトグラフィーMS(GCMS)において圧力適合のために一種のオープンスプリットが使用されているが、それは、アイソトープ比MSでは使用されていない。かかるオープンスプリットの一例は、SGE(www.sge.com)のOpen−Split Capillary Interface Part No.113532である。
【0006】
オープンスプリットを使用して構成され、試料を自動希釈するガス注入システムも、アイソトープ比MSのためのThermo Scientific GasBenchTMインターフェース及びThermo Scientific ConFloTMインターフェース(www.thermoscientific.com)の形態で知られている。
【0007】
上述したように、アイソトープ比MS(IRMS)は、一般的に少なくとも1つの試料ガス注入口及び少なくとも1つの基準ガス注入口を必要とする。達成される測定精度は、一般的に約0.05%であり、正確度は、基準ガスの使用によりその精度から導かれる。しかし、アイソトープ比光学分光分析(IROS)では、照合及び較正のための同等の効果的な解決方法は、現在、提供されていない。濃度依存性及びデルタスケール収縮を考慮してアイソトープ比測定値を較正するためのシステムは、B.Tuzson et al,High precision and continuous field measurements of δ13C and δ18O in carbon dioxide with a cryogen−free QCLAS,Appl.Phys.B(2008),Volume 92,pp 451−458において記述されている。しかし、Tuzsonらにより記述されているシステムの欠点は、それが既知アイソトープ比を有する基準ガスの相当数の別々の希釈供給源を利用することである。かかる基準ガス/空気混合ガスは、たとえば現場作業中には一般的に利用可能でない。さらに、Tuzsonらにより記述されているシステムは、試料希釈を使用しない。
【0008】
アイソトープ比光学分光計は、いくつかの態様においてアイソトープ比質量分光計とは異なる:IROSは、試料の流入をより多く必要とする;IROSシステムは、全体的に見てよりコンパクトである。それはシステムを持ち運び可能とする代わりに余分な頑健性を要求し、またこれはガス注入システムにも当てはまる;IROS市場は、価格についてより敏感であり、簡単な低コスト解決策を必要としている。その結果、在来のIRMSガス注入システムは、IROS注入システムとしての用途において第一候補ではない;また、IROS測定のために、より安く、よりコンパクト、より簡単な高流量設計のシステムが求められている。
【0009】
この背景から、アイソトープ比分析器のために、コンパクトにして頑健、製造が容易でありかつ安価、さらに、試料ガス及び1つ以上の基準ガスのアイソトープ比の比較測定を可能にするガス注入システムの提供が望まれていることが分かる。注入システムにおいて、在来のオープンスプリット構成において発生する超過ガスの喪失を低減することも好ましいであろう。
【0010】
本発明は、このような背景の下で、上述の問題の1つ以上を軽減すること及び以下において記述する1つ以上の付加的利点を提供することを試みるために行われた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に従って、アイソトープ比分析器にガスを導入するためのガス注入システムが提供され、このシステムは、
検体ガスの供給源と、
検体ガスの供給源から検体ガスの流れを運ぶための検体ガスラインと、
担体ガスの供給源と、
担体ガスの供給源から担体ガスの流れを運ぶための担体ガスラインと、
を含み、検体ガスラインは、検体〜担体合流点において担体ガスラインと合流して検体ガスと担体ガスを混合するものであり、この合流点は、さらに、合流点からアイソトープ比分析器へ混合ガスを運ぶための出口ラインに接続されている。また、この合流点は、担体ガスライン上の開口部の下流に位置している。この合流点及び担体ガスライン上の開口部の配置により、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より少ない状況下では開口部と検体〜担体合流点間の流れは常にアイソトープ比分析器へ向かい、かつ検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より多い状況下では開口部と検体〜担体合流点間の流れは常に開口部へ向かう。その結果、ガス注入システムは、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より少ない状態となる1つの動作モードで構成することが好ましい。その結果、このガス注入システムは、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より多い状態となる別の動作モードで構成することもできる。いずれにせよ、このガス注入システムは、検体ライン中の検体ガスの流量とアイソトープ比分析器へのガスの流量がほぼ同じとならないように構成することが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様によるガス注入システムを含むアイソトープ比分析器も提供する。
【0013】
検体ガスの後方、すなわち上流の開口部への拡散は、検体〜担体合流部から開口部までの流量の大きさ及び距離により制限される。本発明の第1の態様は、したがって検体ガス供給源からアイソトープ比分析器へのほぼ完全な検体ガス移動を与える。すなわち、開口部経由の検体ガスの喪失が殆ど発生せず、それよりむしろ開口部は過剰担体ガスのみ好ましくは空気中に排出する。担体ガスは、一般的に検体ガスより低価値であり(通常、より廉価)、したがってより多く空費することができる。換言すると、検体〜担体合流点及び開口部ならびにこれら相互間の距離の構成は、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より少ない状況下において、開口部と検体〜担体合流点間の流れが常にアイソトープ比分析器に向かうように設計される。
【0014】
このシステムは、好ましくは、検体ガスを検体ガスラインに供給する検体ガス供給源を含む。検体ガスは、試料ガス(たとえば、未知アイソトープ比及び/又は未知濃度の測定対象ガス)又は基準ガス(たとえば分析器較正のための既知アイソトープ比のガス)とすることができる。検体ガスは試料ガスであることが好ましい。このシステムは、担体ガスを担体ガスラインに供給する担体ガス供給源も含む。担体ガス供給源は、検体ガスを殆ど含まないことが好ましい。好ましい実施形態は、検体ガスがCO2であり、かつ担体ガスがCO2を殆ど含まないガス、たとえばCO2無含有空気又はCO2無含有含窒素(N2)である場合である。検体ガスライン及び担体ガスラインは、それぞれ、それらの供給源から分析器へ検体ガス及び担体ガスの流れを運ぶ。実施形態によっては、2つ以上の検体ガス供給源及び/又は2つ以上の検体ガスラインを設けることができる。一部の実施形態では、2つ以上の担体ガス供給源及び/又は2つ以上の担体ガスラインを設けることができる。
【0015】
本発明の第2の態様に従って、アイソトープ比分析器にガスを導入するためのガス注入システムが提供され、このガス注入システムは、照合システムを含み、この照合システムは、
少なくとも基準ガスの第1供給源(それは第1既知アイソトープ比)と、
担体ガスの供給源(好ましくは、本発明の第1の態様における担体ガスラインに供給する供給源と同じ担体ガスの供給源)であって、担体ガスは基準ガスを含まないことが好ましい、担体ガスの供給源と、
(以上において、基準ガスの供給源及び担体ガスの供給源は、それぞれの基準ガスライン及び担体ガスラインにより、基準ガスと担体ガスが混じり合う第1混合合流点に接続される。また、第1混合合流点への担体ガスの流れは流量制御手段により制御可能であることが好ましい。)
第1混合合流点の下流に接続される、混じり合った基準ガスと担体ガスが混合される混合領域と、
混合されたガスを混合領域からアイソトープ比分析器に運ぶための出口ラインと、
混合領域の下流にある、出口ライン上の開口部と、を含む。
【0016】
照合(較正とも呼ばれる)システムは、さらに、少なくとも、第2既知アイソトープ比を有する基準ガスの第2供給源を含むことが好ましい。好ましい実施形態では、第1と第2基準ガスの化学組成は同じであり(たとえば、両方ともCO2とすることができる)、かつそれらはアイソトープ比のみにおいて異なる。基準ガスの第1及び第2供給源は、それぞれ、必要に応じて担体ガスと混合するために、第1混合合流点に独立に(たとえば交互に又は同時にではなく)接続することができる。第1混合合流点は、T字型合流点とすることが好ましい。ここで用語、T字型合流点は、3つの流路の合流点を意味する。すなわち、それは、3つのアームを有する。それは、T字形の部品、又はY字型の部品、又は3つの直交流路の合流点として実現でき、また、3つの流路が同一平面に存在する2次元構成又は3つの流路がすべて同一平面に存在しない3次元構成(たとえば3次元「三脚」構成の形態)とすることもできる。この場合、2種類のガスが接して混合される混合合流点は、混大気に対して開放されないことが好ましい。これは、混合がオープンスプリットで行われる先行技術システムと対照的である。この方法は、混合のための臨界流れを完全に制御することを可能にする。
【0017】
開口部は、大気に対して開くことが好ましい。大気に対する開口は、出口ラインの流れがアイソトープ比分析器の取り扱い可能な量を超えないことを保証する。開口部は、開放毛細管の形態とすることが好ましい。開口部は、混合領域の下流に位置するT字型合流点などの合流点(開放合流点)上に位置することが好ましい。開口部を有する合流点における圧力が常に大気圧に非常に近くなるようにするために、この開口部は、ガスの流れに対し著しい制限を加えるべきでない。これは、この開口部経由の流量が過大にならないことを意味する。開口部における圧力低下は、250mbar以下、特に50mbar以下となるようにすることが好ましい。他方、この開口部経由の流量は、担体ガスの流れに対する基準ガスの後方拡散が十分に小さくなるようにするために十分多くするべきである。そうしない場合、これは、分別(アイソトープ比の変化)に通ずる。一例として、開放毛細管の形態の開口部は、少なくとも内径0.5mm、たとえば0.5mm〜2mmとすることができ、かつ少なくとも長さ5mm、又は少なくとも10mmとすることが好ましい。かかる開放毛細管を有する合流点への好ましい流量は、少なくとも1ml/分であり、かつかかる開放毛細管経由の好ましい流量は少なくとも0.5ml/分である。この場合のオープンスプリット経由の流れの喪失は、一般的に入力流量の1/1000未満である。
【0018】
一般的に第1混合合流点と開口合流点との間に一定の長さの毛細管を含む混合領域は、直線毛細管とすることができるが、1つ以上の屈曲を含み、かつ/又は2つの合流点間に角(たとえば90度)を有することが好ましい。混合領域内の混合は、この方法により増大するであろう。これに加えて又はその代わりに、混合領域は、内径(内部断面積)の1つ以上の変化を含むことができる。混合領域における混合を改善するその他の手段は、以下を含む:高い相互拡散係数を有する担体ガスの使用、混合領域の加熱、基準ガスが混合領域毛細管の断面の中央において加えられるように合流点を変更すること、混合領域中の屈曲及び/又はバッフル又はその他の混合装置(受動的又は能動的)の使用。
【0019】
第1混合合流点への担体ガスの流れを制御する流量制御手段は、基準ガスの制御希釈を可能とし、それにより分析器による基準ガスのアイソトープ比の測定が複数の種々の濃度で行われ得るようにする。流量制御手段は、担体ガスの流れの調整又は動的制御を可能にする。たとえば、この場合、流量制御手段は、質量流量コントローラ又は比例弁を含む。流量制御手段は、流量コントローラ又は調整弁とすることができる。流量制御手段は、たとえば、質量流量コントローラ又は比例弁、又は体積流量コントローラ、又は米国特許第7,928,369号明細書及び国際公開第2007/112876号パンフレットにおいて記述されている流量を離散的ステップにより調整することを可能にする固定流量制限装置の切り換え可能な組み合わせとすることができる。流量制御手段は、自動又は手動により動作させることができる。流量制御手段は、圧力調整装置の下流に配置される少なくとも1つの流量制御装置と組み合わされる少なくとも1つの自動又は手動圧力調整装置を含み得る。流量制御手段は、自動式の電子式又はデジタル式流量コントローラ、たとえば、国際公開第2007/112876号パンフレットにおいて記述されている装置とすることができる。流量制御手段の一例は、Thermo ScientificTMのConFloIVTMである。
【0020】
較正システムは、基準ガスの担体ガスによる2段階の希釈を含むことが好ましい。希釈段階の一方のみにおいて、担体ガスの流れがたとえば質量流量コントローラにより動的に調整されることが好ましい。より好ましくは、第1希釈段階において担体ガスを動的に調整する。好ましい実施形態では、較正システムは、さらに、混合領域からの出口ライン上に第2混合合流点を含み、この場合、さらなる担体ガスがすでに混合されたガスと混合され得る。この場合、第1段階希釈後に混合領域から現れるガスは、基準ガスと担体ガスの事前混合ガスであるが、これが第2希釈段階において追加担体ガスによりさらに希釈される。第2混合合流点は、好ましくは、出口ライン上の開口部の下流に配置される。第2混合合流点に供給される担体ガスは、第1混合合流点に供給した供給源と同一の担体ガス供給源からとすることが好ましい。すなわち、担体ガス供給源は1つとすることが好ましい。担体ガスの同一供給源は、本発明の第1態様における担体ガスの供給に際しても好ましい。担体ガスは、第2担体ガスラインにより第2混合合流点に運ばれることが好ましい。第2混合合流点に供給される担体ガスは、調整又は動的に制御しないことが好ましい。すなわち、その場合、質量流量コントローラ又は比例弁は使用しない。したがって、基準ガスの希釈は、第1混合合流点への担体ガスの流れの制御により調整することが好ましい。一部の実施形態では、第1混合合流点の代わりに第2混合合流点への担体ガスの流れの動的制御により基準ガスの希釈を調整することも可能であるが、この方法はあまり好ましくない。
【0021】
混合領域からの出口ラインは、第2混合合流点の上流に、しかし好ましくは開口合流点の下流に位置する流れ制限装置を有することが好ましい。第2担体ガスラインも第2混合合流点の上流に流れ制限装置を有することが好ましい。これらの2つの流れ制限装置は、第2混合合流点における事前混合ガス流と担体ガス流間の流量比を保証する。流量比(事前混合ガス:担体ガス)は、たとえば1:30とすることができる。CO2基準ガスの場合、事前混合ガスのCO2濃度は、約13,000ppm〜4,000ppm(100万分の1)の範囲であることが好ましい。分析器に入る希釈ガス(すなわち、第2希釈が行われる第2希釈後)のCO2濃度は約200〜4000ppmの範囲が望ましく、200〜3,500ppm(空気中のCO2又は窒素中のCO2の濃度)が望ましく、さらに好ましくは約200〜1500ppmの間の範囲である。これは、環境CO2(それは、一般的に少なくとも400ppm)の測定のために最適化される。これらの濃度範囲は、分析器の測定セル(それはガスのレーザー吸収測定を行うためのレーザーセルである)に特に当てはまる。これらの濃度範囲は、任意選択的に若干の変化を選択して、その他の検体ガスにも当てはまるであろう。CO2以外のガス、たとえばメタンの場合、測定対象のガスの最適濃度に関してシステムを調整することが好ましい。一般的に、分析器に入るガスの好ましい濃度は、当該応用及び検体ガスの種類、吸収線の強度、及び分析器の感度などの要因に依存する。
【0022】
本発明の装置に供給されるか又は本発明の方法で使用される基準ガスの供給源は、純ガスであるか、又は約2以下、又は約5以下、又は約10以下の倍率により希釈されることが好ましい。
【0023】
本発明は、このように、特にアイソトープ比分光分析に適するアイソトープ比測定値の濃度依存の決定(直線性較正)を可能にすることができるシステムを提供する。さらに好ましい実施形態において、それは、さらにアイソトープ比測定値のアイソトープ比依存(デルタスケール収縮)の決定を提供することができる。
【0024】
本発明の第3の態様に従って、アイソトープ比を測定する方法が提供され、この方法は、
第1既知アイソトープ比の基準ガスを供給するステップと、
担体ガス中の複数の濃度において第1既知アイソトープ比の基準ガスのアイソトープ比を測定するステップと、
第1既知アイソトープ比を有する基準ガスのアイソトープ比測定値の濃度依存を決定するステップと、
未知アイソトープ比及び未知濃度の試料ガスを供給するステップと、
試料ガスのアイソトープ比及び濃度を測定するステップと、
決定された濃度依存により試料ガスの測定されたアイソトープ比を補正するステップと
を含む。
【0025】
好ましい実施形態では、この方法は、
第2既知アイソトープ比の基準ガスを供給するステップと、
好ましくは第1の既知アイソトープ比の基準ガスの測定濃度の範囲内にある担体ガス中の1つ以上の濃度において、第2既知アイソトープ比の基準ガスのアイソトープ比を測定するステップと、
第1及び第2の既知アイソトープ比の基準ガスの測定アイソトープ比からアイソトープ比較正を決定するステップと、
さらに、決定されたアイソトープ比較正により試料ガスの測定アイソトープ比を補正するステップと
をさらに含む。
【0026】
アイソトープ比の測定に先立ち試料ガスも担体ガス中で希釈することが好ましい。試料ガスも担体ガス中において第1既知アイソトープの基準ガスの濃度の範囲内にある濃度に希釈することが好ましい。試料ガスは、本発明の第1の態様によるシステムを使用して希釈することができる。場合によっては、試料ガスは、アイソトープ比の測定前に担体ガス中で希釈されない、すなわち、それは、供給された状態で使用されることがある。
【0027】
試料ガスは、一連の濃度を有し得る。基準ガスは、少なくとも、担体ガス中において試料ガスの濃度の範囲内にある濃度に希釈することが好ましい。
【0028】
基準ガスは実質的に純ガスとして供給されることが望ましく、かつ担体ガスは基準ガスを殆ど含まない状態で供給されることが好ましい。分析がCO2について行われる場合、基準ガスはCO2であり、かつアイソトープ比は比13C/12C又は18O/16O、特に13C/12Cとすることが好ましい。したがって、担体ガスは、CO2を含まない空気又はCO2を含まないN2などのCO2無含有ガスであることが好ましい。したがって、試料ガスは、測定されるCO2も含む。アイソトープ比の測定対象とすることができ、したがって基準ガスとして使用できるその他のガスは、たとえば、以下を含む:CH4、C26、CxH(2x+2)(xは整数)、水蒸気(たとえば、大気中の)、CO、小さな炭化水素、アルコール、アルデヒド、NOx、Nxy(ただし、x=1、2及びy=1、2、3、4又は5(たとえばNO、NO2又はN2O)、H2S、窒素、酸素、又は水素、又はその他のガス。
【0029】
検体ガスのいくつかの例及びそれらの測定可能アイソトープ比を別表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
担体ガスは、以下から選択することができる:空気、窒素、ヘリウム又はアルゴン、前記任意の2つ以上の混合ガス。
【0032】
有利なことに、第1既知アイソトープ比の基準ガスの単一供給源を使用することが好ましい。この基準ガスは担体ガスにより動的に希釈されてアイソトープ比の測定及びアイソトープ比の濃度依存の決定のために使用される複数の濃度を提供する。これは、種々の既知濃度を有する複数の基準ガスを用意する必要性を除去する。
【0033】
基準ガスの希釈は、2段階の希釈、たとえば前述の較正システムの方法の希釈によることが好ましい。
【0034】
本発明の装置に供給されるか又は本発明の方法において使用される基準ガスの供給源は、純ガスとするか、又は約2以下、又は約5以下、又は約10以下の倍率により希釈することが好ましい。次にかかる基準ガスの供給源に前述の動的希釈、特に前述の2段階希釈を施すことが好ましい。
【0035】
基準ガス及び試料ガスのアイソトープ比の測定は光学分光計を使用して行うことが好ましいが、質量分光計又はその他の分光計又は測定装置を用いて行うこともできる。
【0036】
第3の態様の方法は、第1及び第2の態様のシステムを使用して行うことができる。
【0037】
第3の態様における担体ガスの流れは、流量制御手段により、少なくとも部分的に調整されるか又は動的に制御されることが好ましい。この流量制御手段は、質量流量コントローラ又は比例弁を含むことが望ましく、さらに、これらはコンピュータ制御とすることが好ましい(すなわち、ソフトウェア制御下とする)。この方法により基準ガスの希釈を制御することができる。基準ガスの希釈は、担体ガスによる2段階の希釈を含む。基準ガスの第1段階の希釈における担体ガスの流れは、流量制御手段により動的に制御されることが好ましい。第2段階の希釈における担体ガスの流れは動的に制御されないことが好ましい。
【0038】
好ましくは、本方法は、基準ガス及び担体ガスを、それぞれの基準ガスライン及び担体ガスラインにより、基準ガスと担体ガスが混じり合う第1混合合流点に接続するステップと;第1混合合流点の下流の混合領域において、混じり合った基準ガスと担体ガスを混合するステップと;混合されたガスを混合領域から出口ラインに沿ってアイソトープ比分析器に運ぶステップと;混合領域の下流の出口ライン上に大気への開口を設けるステップとをさらに含む。
【0039】
試料ガスは、合流点において担体ガスにより希釈されることが好ましい。この場合、合流点は、さらに、混合されたガスを合流点からアイソトープ比分析器に運ぶための出口ラインに接続される。また、合流点は、担体ガスライン上の大気への開口部の下流に配置され、それにより合流点への検体ガスの流量は、アイソトープ比分析器に流入するガスの流量より少なくなり、よって開口部と合流点との間の流れは常にアイソトープ比分析器に向かう。
【0040】
本発明の好ましい特徴及びさらなる詳細について、これから説明する。
【0041】
試料ガス及び/又は基準ガスは、望ましくCO2である。試料ガス及び基準ガスについて測定されるアイソトープ比は、したがって、好ましくは13C/12C及び/又は18O/16Oである。基準ガスは、好ましくは、純ガス、たとえば純CO2である。これを先行技術較正システムにおける既知濃度に事前希釈された基準ガスの使用と比較する。純ガス源からの希釈は、分析器に導入されるガスの濃度設定における完全な融通性を可能にする。有利なことに、担体ガスにより希釈できる純基準ガスの市販サイズ(たとえば10リットルのCO2)ボトルは、非常に長持ちし、場合によっては分析器の寿命期間にわたり使用できる。したがって、基準ガスのボトル交換は、殆ど必要とされないであろう。担体ガスは、反対に、基準ガス無含有であることが好ましい。たとえばCO基準ガスの場合、担体は、CO2無含有ガス、たとえばCO2無含有空気又はCO2無含有N2とすることが好ましい。有利なことに、かかる担体ガスは、現場で作成することができる。
【0042】
ここで、用語、ガスラインは、ガスを運ぶための管、導管、筒、毛細管等を指す。ライン上に任意の個数の装置を配置することができる。たとえば、合流点、弁、流量制限装置、流量コントローラ、ゲージ等のような装置である。
【0043】
ここで言及した合流点は、好ましくは、前に定義したT字型合流点とし、かつ/又は好ましくは、ガスラインの1つ以上の合流点及び1つ以上の部分を機械工作物、すなわち、1つの機械部品中に設ける。換言すると、このシステムの少なくとも一部は、バルク材(たとえば金属ブロック)の機械加工により製造することができる。これは、製造における再現性の向上を可能にする。かかる構造は、システムの剛性を改善し、かつガス注入部の開口部(オープンスプリット)及びその他の部品の一体機械部品への組み込みを可能にする。開口部を有する合流点におけるT字型合流点構造の使用は、機械加工ブロックによる製造の採否に関係なく、開口部経由の臨界流れが全面的な機械制御下に置かれることを保証し(先行技術では、オープンスプリットは、通常、オープン・バイアル中の一連の入れ子式チューブとして設けられる)、これによりかかる「オープンスプリット」における流れの計算及び分別プロセスの管理の制御が可能となる。T字型合流点設計は、十分に分離された拡散経路を可能とし、これにより、流動特性が十分に決定されるので、システムの計算が容易となる。
【0044】
別の態様において、本発明は、以下を含むアイソトープ比分析器のためのガス注入システムを提供する:基準ガス、試料ガス及び基準ガス又は試料ガスを希釈するための担体ガスのそれぞれの少なくとも1つの供給源、担体ガスによる基準ガス又は試料ガスの希釈を可能にするための1つ以上のT字型合流点、及び大気に対する開口部を有する1つ以上の別のT字型合流点(すなわち、T字型合流点のアームの1つが大気に対して開いている)。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は、以下を含むアイソトープ比分析器のためのガス注入システムを提供する:基準ガス、試料ガス及び基準ガス又は試料ガスを希釈するための担体ガスのそれぞれの少なくとも1つの供給源、担体ガスによる基準ガス又は試料ガスの希釈を可能にするための1つ以上の合流点、及び大気に対する開口部を有する1つ以上の合流点。この場合、これらのガスのガス流路の少なくとも一部(及び/又は合流点)は機械ブロック中の機械加工流路として設けられる。大気に対する開口部を有する1つ以上の合流点は、担体ガスによる基準ガス又は試料ガスの希釈を可能にしている1つ以上の合流点とは別個のものである。ガス流路が機械ブロック外に伸びる場合、それらは、好ましくは、毛細管、たとえば、石英ガラス、又は金属、又はポリマー(たとえばPEEK)の毛細管として設けられる。
【0046】
したがって、本発明のガス注入システムは、特にガスライン間の合流点がT合流点として設けられる場合に、流れ相互間の合流点(特に希釈用の合流点)がオープン・バイアルの形態で設けられる先行システムのオープンスプリットに比べて、コンパクトかつ堅牢な形態で提供することができるシステムである。ガスラインの少なくとも一部を機械加工ブロック中に設けることは、システムの頑健性及び製造における再現性をもたらす別の長所である。
【0047】
本発明を使用することにより、試料ガス及び基準ガスの濃度を相互に、かつ使用されるアイソトープ比分析器にとって適切な最適濃度範囲に合致させることができる。
【0048】
本発明は、アイソトープ比分析器、特にアイソトープ比光学分光計のガス注入部のためのいわゆるオープンスプリットに対する多数の改善も提供する。本発明の別の長所として、試料ガスラインが担体ガスラインに合流する場所の上流に担体(希釈)ガスライン上の開口部を設ける構成により、試料喪失がほとんどないか又は皆無であること、及び担体ガスの付加がほんのわずかであることが実現される。また、オープンスプリットは、最低限の基準又は試料ガスが流れから分かれてアイソトープ比分析器に流入するように構成することができる。
【0049】
このガス注入システムは、濃度測定のためにアイソトープ比分析器と併用することもでき、また、アイソトープ比測定値の濃度依存の較正(直線性較正)を決定し、それを試料測定値の補正のために使用することができる。
【0050】
アイソトープ比分析器は、アイソトープ比を測定することができる任意の種類の分析器、特にアイソトープ比質量分光計又はアイソトープ比光学分光計であり得るが、本発明は、アイソトープ比光学分光計(すなわち、光学吸収分光計)の場合、とりわけレーザー分光計(すなわち、レーザー吸収分光計)の場合に特に有利である。かかる分光計は、一般的に、赤外線領域、より好ましくは中赤外域領域(たとえば、2.5μm〜6μm)において動作する。したがって、このアイソトープ比分析器は、好ましくはアイソトープ比光学分光計であること、さらに分析対象のガスに関する光学吸収測定を行うための測定セルを含むことが好ましい。さらに、この測定セルは、分析対象ガスに関するレーザー吸収測定を行うためのレーザーセルであることが好ましい。このレーザーセルは、マルチパス・セルであることが好ましい。多数回のレーザー通過の合計により与えられるセル中の光学経路長は、1〜105m、又は1〜104m、1〜103m、1〜102m、又は1〜10mの範囲であろう。基準ガスと試料ガスの両方の測定のために単一の測定セルを使用することが好ましい。かかるレーザーセルは、一般的にセルからの出口上のポンプによりポンピングされる。好ましいレーザー測定セルは、不等式、I**C<1.6*10-12を満たし、
ここで:
I=スペクトル強度(単位cm)
L=光学経路の長さ(単位cm)
C=測定されるガスの濃度(単位ppm)
である。
【0051】
アイソトープ比は、一般的に、かかる分析器において2(又はそれ以上)の別々のスペクトル吸収線を一般的に赤外線領域において測定することにより決定される。この場合、それぞれの相異なる同位体種(同位体置換体)について少なくとも1つの吸収線、たとえば12162について1つの吸収線及び13162について別の吸収線を測定する。CO2について好ましい吸収線は、4.329μm又はその付近の線である。スペクトル吸収線の強度の比は、同位体種のそれぞれの存在量の比の尺度である(かつしたがって、この場合におけるアイソトープ比13C/12Cである(これは、確立されているデルタ表記、δ13Cとして表すことができる)。一般的に、本書におけるアイソトープ比は、確立されたデルタ表記(δ)として表すことができる。
【0052】
このアイソトープ比分析器は、CO2からアイソトープ比13C/12C及び/又は18O/16Oを測定するために構成することができる。当然のことながら、それは、CH4分析におけるH/Dなどの他のアイソトープ比の測定及びたとえばN2O又はCOなどの他のガスにおけるアイソトープ比(たとえば13C/12C又は18O/16O又は15N/14N)の照合にも適する。本発明により分析され得るその他のガスの種類及びそれらのアイソトープ比は特に限定されない。それらのさらなる例は、本出願中で別途示されている。当然のことながら、他のガスの場合、測定の性質及び分析器の感度に応じて、ガス濃度及び流量の適切な調整が必要になるであろう。本出願では、アイソトープ比13C/12C及び/又は18O/16O(又はその他のアイソトープ比)の測定は、比のそのもの又は比を表す数量(たとえば、デルタ値)の決定を含み得る。
【0053】
上記の機能については、本発明の他の詳細とともに以下において図を参照しつつ、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本発明によるガス注入システムと相互作用するアイソトープ比光学分光計の配置図を示す。
図2図2は、本発明によるガス注入・照合システムの配置図を示す。
図3図3は、図2に示したシステムの照合部分の配置図を示す。
図4図4は、図3に示したシステムの照合部分及び大気に通ずる開口部を閉じるための任意選択の弁の配置図を示す。
図5図5は、図3に示したシステムの照合部分及び大気に通ずる開口部における任意選択のゼロエア供給源の配置図を示す。
図6図6は、図2に示したシステムの試料注入部分の配置図を示す。
図7図7は、図2に示した配置図によるシステムの1つの実施形態を示す。
図8図8は、図7に示したシステムにおいて使用される機械加工弁ブロックの1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明のさらなる理解を助けるために、しかし本発明の範囲を制限することなく、本発明の種々の例示実施形態について図面を参照しつつ、これから説明する。
【0056】
図1を参照すると、本発明によるガス注入システム(120)と相互動作するアイソトープ比光学分光計(100)の略図が示されている。当然のことながら、このアイソトープ比光学分光計は、他の実施形態において、このガス注入システムと相互動作するアイソトープ比質量分光計により置き換えることができる。この光学分光計は、レーザー分光計である。測定対象の試料(又は基準)ガスは、ガス注入システム(120)からレーザー分光計中のマルチパス測定セル(112)経由で分光計からの出口(115)の膜ポンプなどの真空ポンプ(114)(セルにポンプ吸引する)により運ばれる。測定セルは、約5.4mの合計光経路長を有する。入力ガスは、測定セル(112)に直接かつ完全に送り込まれる。セル上流のフィルタ(図示せず)が粒子のセル内への移動を阻止する。この実施形態における測定セルへの流入量は、固定流量制限装置(111)により制限され、かつ注入ポート(101、104)における大気圧及び注入ポート(102、103)における0.5bar(g)の下でセルへの80ml/分のガス流量を許容するように設定される。しかし、測定セル経由の実際の流れは、供給されるガスの圧力に依存する。測定セル(112)中の圧力は、ポンプ速度を制御することにより、たとえば、この実施形態では、セル(112)に接続されている圧力計(113)から発生する信号のポンプ(114)へのフィードバックにより、一定に保たれる。他の実施形態においては、セル(112)とポンプ(114)の間に調整弁を設け、かつポンプ(114)の代わりに弁をたとえば圧力ゲージ(113)からのフィードバックを使用して制御することも可能である。この方法により、セル中の圧力は、好ましくは一般的に20〜200mbar(a)の範囲に、又は好ましくは40〜200mbar(a)の範囲に、又はより好ましくは40〜150mbar(a)の範囲に維持される。測定セル中の圧力は、一般的に約100mbar(a)に(又は20〜150mbarの範囲、又は200mbarにも)一定に維持される。セルの動作測定範囲は、空気中又はN2中のCO2の濃度200〜4,000ppm、好ましくは200〜3,500ppmであり、最高検出性能は、CO2の濃度200〜1,500ppm、特に300〜1,500ppmの範囲にある。
【0057】
アイソトープ比は、一般的に、測定セルにおいて2つの別々のスペクトル吸収線を一般的に赤外線領域において測定することにより決定される。この場合、それぞれの相異なる同位体種(同位体置換体)について1つの吸収線、たとえば12162について1つの吸収線及び13162について別の吸収線を測定する。CO2について都合のよい吸収線は、4.3218μm又はその付近の線である。アイソトープあたり複数の線が利用できる場合(たとえば二重線又は三重線)、複数の線から、たとえば、CO2以外のガスの情報又は関心を引く他のスペクトル範囲の情報を測定・使用することが可能である。スペクトル吸収線の強度の比は、同位体種のそれぞれの存在量の比の尺度である(かつしたがって、アイソトープ比、13C/12Cである)。分光計の出力は、したがって種々のアイソトープ線の比である(たとえば、R13C=c13C/c12C)。その結果をアイソトープ比報告について確立されているデルタ記法(たとえば、δ13C[‰])を使用して国際基準に対して照合する。スペクトル強度の比からδ値を計算するために必要な較正を行うための手段について以下において説明する。
【0058】
測定セルへのガス注入ライン上において、複数ポートを有する弁(図示目的のために別々の弁107〜110として図式的に示されている)により4種類のガス注入ポート(101〜104)間の切り換えを可能にする。これらのポートの1つ(101)は、以下においてさらに詳しく説明する本発明によるガス注入・照合システムに接続されている(図2参照)。残りのポート(102−104)は、選択的に使用することができる。たとえば、追加試料ガス(たとえば、ポート104の周囲空気)及び/又は追加濃度較正のための較正ガス(102、103)のために使用する。後者は、既知濃度の1つ又は2つの基準ガスを必要とする。ポート(101)に接続される注入・照合システムは、一般的に、これから説明するアイソトープ比測定値の濃度依存及びアイソトープ比測定値のアイソトープ比依存の較正のために使用される。
【0059】
本発明の装置及び方法についてCO2分析システム(すなわち、試料及び基準ガスとしてCO2)を例示する以下の実施形態において説明するが、当然のことながら本発明は、光学分光分析又は質量分光分析又はその他の分光分析技術によるアイソトープ比分析の可能な他の気体にも適用できる。これらの場合、基準ガスはCO2ではなく、分析される特定の試料ガスと同じガスである。同様に、本発明の装置及び方法について、光学分光計の好ましい例を用いる以下の実施形態において説明するが、当然のことながら本発明は、質量分光計又はその他の分光計にも適用できる。
【0060】
分光計により報告されるアイソトープ比がガス濃度により異なり、したがってCO2濃度に依存する補正率(直線性較正又は濃度依存とも呼ばれる)が各比について必要であるがことが分かっている。これらの直線性較正係数を計算するために、分光計により種々の濃度において同一のアイソトープ比のCO2を測定する必要があるか、又は少なくとも既知のアイソトープ比及び濃度を有する多数の基準ガスが必要である。
【0061】
また、アイソトープ比測定値のアイソトープ比依存(いわゆるデルタスケール収縮)が存在することが分かっている。デルタスケール収縮を計算するために、一般的に、既知の相異なるアイソトープ比を有する(少なくとも)2つの基準ガスが必要である。デルタスケール収縮のために使用される基準ガスが測定対象試料の濃度と同様な濃度を有し、かつ基準ガスのデルタ値が辛うじて試料のデルタ値の範囲にある場合に、最高の正確度が達成される。したがって、2つの基準ガスは、空気中CO2濃度として100〜4,000ppmの範囲のCO2ガス濃度(これは分光計の動作測定範囲である)となるように希釈されるべきであり、より好ましくは空気中CO2濃度として200〜4,000ppm、さらに好ましくは200〜3,500ppm、最適値としては400〜2,000ppmとするべきである。異なる各種類のガスについて、所与の分析器構成(たとえば、光学経路、及び分析器感度)の分析器中のガス濃度の好ましい範囲(その幅は、約1桁)がある。この幅の位置は、構成に対する変更により調整することができる。したがって、各ガスについて要求条件は、分析器に到達するガスの濃度を分析器の動的範囲に合致させることである。
【0062】
分光計の定期的照合及び較正は、高いデータ品質及び正確度分析を保証する。この定期的照合及び較正は、以下において説明されるガス注入の照合システムにより容易となる。
【0063】
直線性較正およびデルタスケール収縮のために、2つの異なる供給源からのCO2(異なる既知のアイソトープ比を有する)を使用して、基準CO2と担体ガスの混合ガスが必要である。本発明は、純CO2をCO2無含有空気(ゼロエアと名付ける)又はその他のCO2無含有ガスと混合することによるこれらの種々の濃度のガスを分光計に供給する便利な方法を提供する。アイソトープ分析ガスのための基準ガスは一般的に高価であり、また、空気−CO2混合ガスは大きなガスボンベを必要とするので、先行技術において記述されている事前混合ガスの代わりに純CO2を基準ガスとして使用することは、有利である。アイソトープ比分析のための基準としての種々の保証されたアイソトープ値を有する純CO2は市販されており、また、1キログラムのCO2は装置の寿命期間中もつであろう。希釈を行って必要な200〜4,000(好ましくは200〜3,500)ppmの空気中(又はN2中)CO2を供給する。さらに有利なことに、CO2無含有空気は、現場においてCO2吸収剤を使用して作成することもガス容器により供給することもできる。CO2は、たとえば、標準13リットル(L)容器又は1L(低圧)容器により供給できる。後者は、郵便又は標準航空貨物便等により便利に出荷可能であろう。CO2の市販13Lガスボンベ1本を使用しCO2無含有空気と混合することにより、空気中CO2濃度350ppmの混合ガスを15,000m3超作成することができる。したがって、本発明における13LのCO2ガスボンベの使用寿命は、数年となるであろう。ガスの流れの安定性を改善するため、及び流量コントローラにより生じ得るアイソトープ分別を回避するために、本発明のガス注入システムを使用する。先行技術と対照的に、CO2無含有空気(ゼロエア)の流れが流量制御手段(たとえば、流量コントローラ又は比例弁)により制御されるだけでなく、CO2の流れが一定に保たれる。動的範囲の拡大及び流量整合のために、希釈は、以下においてさらに詳しく述べるように、2段階で行うことが好ましい。
【0064】
基準ガスとして純CO2(又はその他の純基準ガス)を使用することの別の利点は、これが別の担体ガスへの切り替え(たとえば、ゼロエアの代わりにヘリウム、アルゴン又は窒素を使用すること)を容易にすることである。レーザー分光計では、検体(試料)ガスの吸収スペクトルは、周囲ガスの影響も受ける。したがって、ガス混合体の主たる構成要素は、理想的には、基準ガス及び試料ガスについて同一又は同様とするべきである。本発明によるシステムでは、重要な基準ガスを変更することなく、担体ガスを切り替える(たとえば、試料ガスを囲繞するガスと同一又は同様なガスとする)ことが可能である。
【0065】
図2を参照すると、本発明によるガス注入・照合システムが示されている。まず第1に注目するべきことは、このシステムと図1に示されている分光計の接続方法である。図2に示されているシステムの出口ライン(16)は、図1に示されたシステムのガス注入システムのポート(101)に接続されている。したがって、図2に示されたシステムから出たガスは、図1に示されたアイソトープ比測定のための分光計に入る。このシステムは、試料ガス及び基準ガスを光学レーザー分光計に供給できるように構成されている。
【0066】
2種類の純CO2基準ガス(基準ガス1及び基準ガス2)の供給源が設けられている(41、42)。各CO2供給源のアイソトープ比(13C/12C及び/又は18O/16O)は既知である。CO2の各供給源からの流れは、供給ライン上のそれぞれの定圧弁(44、45)及びそれぞれの流量制限装置(1、2)により制御される。基準ガスライン上の2個の弁V1及びV2(3、4)は、2種類の基準ガス間の切り替え及び基準ガスを節約するためにこれら両方をシステムのその他の部分から遮断することを可能にする。CO2無含有空気である担体ガスの供給源も設けられ(40)、その流れは、その定圧弁(43)により制御される。分かりやすくするために、図3は、この注入システムの照合部のみにおける流れの図解を示している。
【0067】
CO2の分別を回避するために、CO2基準供給源から選択された1つの供給源からの400μl/s(24ml/分)のCO2の定常流をCO2無含有空気(又はその他の担体ガス)の可変流(3〜100ml/分の流量)中に担体ガスライン上の質量流量コントローラ又は比例弁(9)を使用して混合する。質量流量コントローラ又は比例弁(9)は、この実施形態においては、コンピュータ制御される(本発明のシステムにおいて示されている大部分又はすべての弁はコンピュータ制御とすることが好ましい)。すなわち、CO2には可変質量流量制御を適用せず、それにより分別を回避するが、これに対し、動的流量制御の対象とするのはCO2無含有空気である。これらのガスは、まず、最初の混合合流点、T字型合流点(50)において混合する。これらのガスは、さらに、下流の混合領域(5)内において混合する。これは、0.8mmの内径及び75mmの最低限長さを有する管であり、これら2種類のガスを一様な混合ガスとする。CO2基準ガスの流量制限装置(1、2)及び一定入力圧力弁(44、45)は、混合領域(5)への一定のCO2流量を定める。この結果として得られる事前混合ガスのCO2濃度は、4,000ppm〜13,000ppmの範囲内となるように設計される。混合領域(5)は、CO2とゼロエアの完全混合を保証するために必要である。この場合の流量は100ml/分より大きくすることができるので、混合領域(5)におけるガスの滞留時間は非常に短いであろう。かかる流量の場合、長さ75mm、幅1mm(すなわち内径(id))の混合領域滞留時間は、わずか35msecとなる。これらの条件の下で、流れは依然として層流であり、毛細管両端の濃度勾配が殆どない状態において拡散により混合が起きる。かかる考察から、混合領域は、少なくとも長さ75mm及びすくなくともid0.8mmとすることが好ましい。
【0068】
混合領域が2つのT型合流点間の直線混合管(長手方向に沿って一定の断面積を有する)である場合にガスの混合が起き得るが、混合領域における混合を改善する特徴を与えることが好ましい。
好ましくは、無次元数(D*l/j)>0.67
ここで(SI単位系において)
D:担体ガス中における検体ガスの(相互)拡散係数(m2/s)
l:混合管の長さ(m)、
j:この管中の流量(m3/s)
である。
【0069】
したがって、混合管の末端における濃度が横断面のいずれの点においても平均濃度から1%超異ならないことが保証される。(D*l/j)>0.94である場合、混合管の末端における濃度は横断面のいずれの点においても平均濃度から千分の1超異ならない。混合は、以下の手段の1つ以上により補助することができる:
i.2つのT字型合流点間の長手方向に沿って角(たとえば90°の角)を設けること
ii.混合管の屈折(たとえば節止め及び蛇行を含む)
iii.管沿いの断面積を周期的又は適宜に変更すること
iv.高い相互拡散係数を有する担体ガスを使用すること
v.管を加熱すること
vi.基準ガスの付加が混合管の断面の中央で行われるようにT字型合流部を変更すること。
【0070】
CO2事前混合ガスは、さらに第T字型合流点又は流量スプリッター(52)において追加CO2無含有空気(担体ガス)と混合される。これは、したがって第2混合合流点である。基準流の第2希釈は、適切な固定比(たとえば1:30)に設定される。第2混合T字型合流点への流れは、2つの流量制限装置(7、8)により規定される。これらの装置は、この実施形態では事前混合ガスとCO2無含有空気との比、1:30を確保する。すなわち、流量制限装置(7)は事前混合ガスの流れを制限し、また、流量制限装置(8)は担体ガスの流れを制限する。事前混合ガスの流れは流量コントローラ(9)により規定され、かつレーザー分光計へのガス流量の1/30より常に多い。この2段階希釈は、実際の下降混合の動的範囲に限界がある故に好ましい。次に流量コントローラ(9)を使用して濃度依存の連続的直線性較正を行う。
【0071】
制限装置(7)と(8)両方の入力圧力は、それぞれ、事前混合ガス出口ライン及び担体ガスラインそれぞれの上の開放管又は毛細管の形態の2つの開口部(6、14)により、ほぼ大気圧に等しく保たれる。したがって、事前混合ガスの残りは、混合領域の後(の下流)、混合領域(5)と流量制限装置(7)の間に位置する開口部(6)から排出される。第2混合スプリットへのCO2無含有空気の流れは、流量制限装置(13)及びCO2無含有空気の供給源の一定圧力(43)により規定される。制限装置(13)におけるガス流量は、レーザー分光計へのガス流量より常に多い。CO2無含有空気担体ガスの差分量は、担体ガスライン上の開口部(14)から排出される。
【0072】
これらの開口部(6、14)は、T(又はY)字型部品接続部(60、62)上に位置している。これらの開口部(6、14)の寸法は、基準ガスの汚染を回避するためにガス速度が空気中のCO2の拡散速度より常に高くなるように設定される。上記から、基準ガス流量が非常に少ないこと、及びそれは動的な調整又は能動的な制御の対象とするべきでないことが分かる(すなわち、弁1及び2(位置3、4)は、一般的にオン/オフ弁である)。したがって、基準ガス供給源から、弁1及び2を経由する基準ガスの流れは、分光計中のCO2濃度を変えるとき、変更されない。その代わりに、基準ガスの流れの第1希釈が、ゼロエアの流れを制御することにより(コンピュータ制御される弁(9)を使用して)動的に調整される。さらに、高価な在来のオープンスプリット構成は、混合領域の後ろに配置される単純なT(又はY)字型接続部により置き換えられる。T字型接続部(60)上の開口部(6)は、一定の長さの毛細管であり、この開口部の長さは、拡散と流れを均衡させることにより分別、ひいてはオープンスプリットにおける基準ガスのアイソトープ比の変化を回避するように計算される。開口部(6)の毛細管は、T字型接続部(60)における圧力が常に大気圧に非常に近くなるように、著しい制限を呈するべきではない。これは、この毛細管における流量があまり多くならないことを意味する。開口部(6)における圧力低下は、250mbar以下、とりわけ50mbar以下に設定することが好ましい。他方、流速は、基準ガスの担体ガスに対する後方拡散が十分少なくなるように十分高い値に制御される。そうしない場合、分別(アイソトープの変化)に通ずる可能性がある。開口部(6)の毛細管の寸法の例を以下に示す:1mmの内径(id)、1cmの長さ。一般的に同様な考慮事項が開口部(14)に当てはまる。
【0073】
基準開口部のパラメータの第1例を以下に示す:
i.基準:ゼロエア中のCO2
ii.オープンスプリット(6)毛細管経由の最低限流量:0.5ml/分(すなわち、少なくとも0.5ml/分の流量)
iii.オープンスプリット毛細管直径:1mm
iv.オープンスプリットへの最低限流量:1ml/分(すなわち、少なくとも1ml/分の流量)
v.オープンスプリット経由の流れの喪失<入力流量の1/1000
vi.分別<0.3per meg(質量46について)
この分別は、すべての長さ>1cmについて達成される。
【0074】
基準開口部のパラメータの第2例を以下に示す:
i.基準:ゼロエア中のCO2
ii.オープンスプリット毛細管経由の最低限流量:0.5ml/分
iii.オープンスプリット毛細管直径:2mm
iv.オープンスプリットへの最低限流量:1ml/分
v.オープンスプリット経由の流れの喪失<入力流量の1/1000
vi.分別<0.5per meg(質量46について)
この分別は、すべての長さ>3.7cmについて達成される。
【0075】
場合によっては、基準ガスが切断され、かつ質量流量コントローラ(9)中に担体ガスの流れが存在しないような場合に、開口部(6)を空気からの汚染要素(たとえば湿気)の拡散に対してブロックすることが好都合であろう。これは2つの方法で行うことができる。たとえば:この開口部は、図4に示す弁(70)によりブロックすることができる。又は図5に示すように、ゼロエアの流れ(80)により開口部(6)を汚染との接触から保護することができる。当然のことながら、開口部(14)にも同様に同様な閉鎖弁又はゼロエアの流れが選択的に設けられていてもよい。
【0076】
この照合システムは、種々のガスを相互に混合して所望のガス種(例えば、ゼロエア中のCO2)の濃度を変更することにより供給ガスの希釈を可能にするように設計される。質量流量コントローラ(9)を使用して担体ガスの流れを変更することにより、CO2無含有担体ガス中のCO2基準ガスの濃度を変更できることが分かる。この照合システムは、100〜4,000ppm、より好ましくは200〜3,500ppmの分光計の測定範囲における直線性較正のために任意の濃度CO2を与える。この方法により、アイソトープ比測定値の濃度依存の決定を可能にするために、分光計において複数の相異なるCO2濃度を用いてアイソトープ比測定値が取得することができる。
【0077】
出口ライン(16)は、混合領域からの流れを第2希釈段階後に光レーザー分光計に導く。光レーザー分光計への出力流量は、分光計自体により決定され、理想的には80ml/分である。分光計と相互作用する出口(16)における圧力は、ほぼ大気圧として設計される。
【0078】
記述されているこの発明では、相異なるアイソトープ比を有する2つの基準ガス間の切り替えが可能である。したがって、濃度依存の決定(直線性較正)のために使用されるものと同一の基準ガスを使用してデルタスケール較正を行うことができる。基準ガスは任意の濃度に希釈できるので、デルタスケール較正は、任意の濃度において、又は広い範囲にわたり高い正確度を達成するために2つ以上の濃度において行うことができる。測定される試料は、分析器の直線性効果を回避するために、基準ガスの濃度に近い値とするべきである。環境(空気)応用の場合、記述された設定は、分析器の直線性効果を回避するために、ユーザーが基準ガスを希釈又は混合して試料の濃度範囲内とすることも可能にする。最初に未知濃度の試料を測定し、次に試料と同様な濃度の基準ガスを測定することも可能である。
【0079】
上述した照合システムのほかに、図2に示したガス注入システムは、さらに、試料ガス(すなわち、未知アイソトープ比及び/又は濃度の)を分光計に導入するための試料注入システムを含む。分かりやすくするために、図2におけるシステムの試料注入部分のみを図6に示して、以下においてさらに詳しく説明する。試料注入システム(図6)からの試料ガス及び照合システム(すなわち、図3図5に示した)からの基準ガスを周期的に測定セルに供給することができる。この方法により、品質保証及び/又は分光計の較正のためにソフトウェア制御弁切り替えによる基準ガスの間欠的注入を行うことができる。
【0080】
図6に示した構成では、固定流量制限装置(13)により規定されるCO2無含有空気の流れは、試料ガス(CO2)の供給源が接続される試料注入ポート(12)から到来するCO2試料流と混合される。この実施形態では、試料の流れのためのCO2無含有空気の供給源は、上述した照合システムにおける基準ガスの希釈のために使用されたものと同じ供給源(40)である。
【0081】
本発明による試料注入システムは、試料入力ポート(図6の(12))からレーザー分光計(16)への100%試料転送を保証する。レーザー分光計への一定の流れは、試料の流れとレーザー分光計への流れ間の体積差を担体ガス又は希釈ガス(この場合、CO2無含有空気(ゼロエア))で補填することにより保証される。試料は浪費されず、レーザー分光計へのガスの流れ中のCO2の濃度は一定かつ最適範囲に保たれる。一部の実施形態においては、レーザー分光計へのガスの流れ中のCO2濃度を一定かつ最適の範囲内に保つために、CO2無含有空気の可変流れを使用することにより、時間的に変化するCO2濃度を有するバイアルを試料注入ポート経由で洗い流すことができる。
【0082】
試料は、わずかしか得られない場合が多い。したがって、試料注入システムは、試料が殆どあるいは全く失われないことを保証しなければならない。これは、ここに示している実施形態では、上述のT字型合流点技術により構築される開口部(14)の形態のオープンスプリットの手段により実現される。入り口(12)からの試料は、そのガスラインを経由し、本出願では検体担体合流点とも呼ばれる試料導入点(64)のオープンスプリット(14)の後位(すなわち、下流)で担体ガスの流れに併合される。かかる試料導入点は、やはりT字型合流点である。これは、先行技術のオープンスプリットと対照的である。先行技術では、試料はオープンスプリット自体において担体ガス又は希釈ガス中に導かれ、そのために相当な試料の喪失が起きる。T字型合流点試料導入及び別個のT字型合流点開口部(大気への)は、試料の喪失なしに試料を担体中に保持するのみならず、T字型合流点構造は製造が簡単であり、かつ使用上においてより堅牢である。
【0083】
試料の流れ(12)は出力(16)における流れと同じ又は非常に近い流れであってはならないことが要求される。試料の流れがレーザー分光計への出力(16)における流れより少ない限り、開口部(14)と試料導入点(64)間の流れは、常にレーザー分光計の方向に向けられる(かつ試料の流れが出力(16)における流れより十分に少ない場合、(14)におけるCO2濃度は、ゼロに近い)。したがって、CO2試料の後方拡散は、流量の相対的な大きさにより阻止される。これは、試料注入ポート(12)からレーザー分光計への100%試料転送を保証する。しかし、試料は希釈され、また、希釈係数は、試料流量により規定される。すなわち、試料の流れが出力(16)における流れより少ない場合、(16)における試料の濃度は、試料注入口(12)の流れのそれより低い。レーザー分光計(16)への流れと試料注入の流(12)間の差異は、(13)におけるCO2無含有空気により補償される。余分なCO2無含有空気は、担体ガスライン上の開口部(14)経由で排出される。試料注入流れ(12)が出口(16)における流れより多い場合(これも実行可能な実施形態である)、開口部(14)における濃度は、試料注入口(12)における濃度とCO2無含有空気の供給源(40)における濃度(それは定義によりゼロ濃度である)の混合を表す。すべての場合において、(12)、(14)及び(16)におけるCO2アイソトープ比は、ほぼ同じであり、これが重要である。
【0084】
試料注入口(12)における追加3ポート弁(弁V4)は、試料ラインを注入ポート(20)経由で洗い流すことができるようにするために使用される。試料注入システムの動作では、担体ガスの流れのみ、可変流量コントローラ(9)を経由せずに、制限装置(13)経由で供給される。
【0085】
開口部(14)は、上述した開口部(6)と同じ方法により大気に対して開いており、また、開口部(14)を有するT字型合流点と試料導入点(64)を有するT字型合流点間の距離は、開口部(14)への後方拡散が殆ど発生しないように選択される。具体的には、後方拡散が殆ど起きないように、流量ならびにラインの長さ及び断面積を選択する。したがって、高価でない希釈ガスのみ消耗される。両方のT字型合流点間のライン(15)のための考慮事項は、基準ガス・スプリットの場合と同様である。分析器への流れは比較的多量であり、一般的に100ml/分である。好ましくは、開放スプリット(開口部(14))への最低限流量は10ml/分とするべきである。さらに、開放毛細管(14)経由の流れは常に少なくとも0.5ml/分となるようにするべきである。開放毛細管(14)の長さは、好ましくは少なくとも5mm又は6mm、より好ましくは少なくとも10mmとし、かつ内径は好ましくは少なくとも1.0mm、たとえば1.3mmとする。それにより開放スプリット経由の流れの喪失は、一般的に入力流量の1/1000未満となり、分別効果も殆どないか又は皆無となる。開口部(14)における圧力低下は、250mbar未満、とりわけ50mbar未満に設定することが好ましい。
【0086】
試料注入開口部(14)のパラメータの一例を以下に示す:
i.試料:ゼロエア中のCO2ガス(たとえば、試料:担体=1:1〜1:0の希釈)
ii.開放スプリット毛細管経由の最低限流量:0.5ml/分(すなわち、この流量は、少なくとも0.5ml/分とするべきである)
iii.開放スプリット毛細管直径:1mm
iv.開放スプリットへの最低限流量:10ml/分(すなわち、この流量は、少なくとも10ml/分とするべきである)
v.開放スプリット経由の流れの喪失<入力流量の1/1000
vi.分別<0.3per meg(質量46について)
この分別は、6mm超のすべての長さについて達成される。
【0087】
ガス・クロマトグラフィー(GC)システムをアイソトープ比質量分光計(IRMS)に結合する場合における注入開口部のパラメータ例を以下に示す:
i.試料:He中の水素
ii.開放スプリット毛細管経由の最低限流量:0.5ml/分
iii.開放スプリット毛細管直径:0.5mm
iv.開放スプリットへの最低限GC流量:0.8ml/分
v.開放スプリット経由の流れの喪失<入力流量の1/100
vi.H2/HD比について分別<60per meg(0.06per mil)。
この分別は、1.52cm超のすべての長さについて達成される。
【0088】
試料導入点の下流のガスラインは、空気中の試料CO2の混合領域であり、上述した照合部の混合領域(5)の場合と同様な設計パラメータ考慮事項の対象とすることが好ましい。さらに、それは、混合領域として、システムの照合部の混合領域(5)に関して上述した手段いずれによっても改善される。
【0089】
本発明のシステムはコンパクトかつ堅牢なシステムとして実現されることが好ましい。このような1つの実施形態を図7に示す。この図では、同一の参照番号を使用して図2に示したものと同じ構成部品を表示している。このシステムの一部(図2において点線により弁ブロックとして系統的に表示されており、図7においてこのブロックそのものが示されている)は、機械加工金属ブロック中に実現されている。ここに示した実施形態では、弁ブロックは金属製であるが、適切なポリマー(たとえばPEEK)又はその他の適切な材料もこれを製造するために使用することができる。相互に接着された数層のマルチレイヤー(埋め込まれた流路を有する)を含むブロックを製造することも可能である。弁V1〜V6は、弁ブロックに収容されている。弁V1(3/2)及びV2(2/2)は、上述のシステムへの基準ガス(41、42)の供給を開閉するために設けられている。V3(3/2)は、質量流量コントローラ(9)からの担体ガスの流れを混合領域(5)又は別の出口(10)へ切り換えるために設けられている。弁V4(3/2)は、試料注入口(12)から担体ガス及び分光計への試料ガスの流れを開閉するために設けられている。弁V5(2/2)は、混合領域(5)から分析器への希釈された基準ガスの流れを開閉するために設けられている。またV6(2/2)は、質量流量コントローラにより制御されないライン沿いの担体ガスの流れを開閉するために設けられている。この弁ブロック構造は、図8により詳しく示されているが、ここでも同じ参照番号が使用されている。ブロック中のバルブの位置及び数本の接続流路が示されている。流路は、一般的にブロック中にドリルされる。図8に示されている寸法は、mm単位である。制限装置(1、2、7、8及び13)などのシステム中の流量制限装置は、それぞれ、金属毛細管又はひだを有する金属毛細管として設けることができ、また、大気への開口部(6、14)は、毛細管を使用する単なるT字型合流点として設けられる。したがって、このシステムは、大部分、在庫部品から組み立てることができる。
【0090】
本出願における記述から、本発明のガス注入システムが試料ガス及び基準ガスをアイソトープ比分析器、とりわけ光学分光計に供給するコンパクトな装置であることが分かる。主な目標は、試料ガス及び1つ以上に基準ガスのアイソトープ比の比較測定を可能にすることである。試料ガス及び基準ガスの濃度は、相互に及び使用されるアイソトープ比分析器に適する最適濃度範囲に整合させるべきである。実施形態において、本発明は、2つの機能単位、すなわち、照合部と試料注入部を含んでいる。本発明の設計は、所望のガス種(たとえば、空気中のCO2)の濃度を変えるために、相異なるガスを相互に混合することにより供給されたガスの希釈を可能にする。ソフトウェア制御の弁切り換えにより、品質保証及び/又は分光計の較正のために基準ガスの間欠的注入を可能にする。このガス注入システム及びそれに接続される分析器は、空気又はその他の担体ガス(たとえばN2)中のCO2からの13C/12C及び/又は18O/16Oのアイソトープ比を分析するために専用すること、又はその他のガスのこれら又はその他のアイソトープ比を分析するように設計することができる。
【0091】
前掲図面に示されたシステムを使用することにより、試料のアイソトープ比を測定し、かつ分光計の濃度依存に関して補正することができる。この濃度依存は、第1既知アイソトープ比を有する基準ガス(たとえば、基準ガス1(41))を選択すること、及びレーザーセル中において第1既知アイソトープ比を有する基準ガスのアイソトープ比を担体ガス中の複数の濃度条件で測定することにより決定することができる。この場合、この濃度は、図2及び3に示した照合システムを使用して上述のように変えることができる。複数の濃度における測定値から、基準ガスのアイソトープ比測定値の濃度依存が決定される(たとえば、濃度に対するアイソトープ比のプロットから)。図2及び6に示した試料注入システムを使用して未知アイソトープ比及び未知濃度の試料ガスをこのシステムに注入し、レーザーセルにおいてそのアイソトープ比及び濃度を測定することができる。試料ガスのアイソトープ比測定値は、先に決定した濃度依存により補正することができる。
【0092】
さらに、前掲図面に示したシステムを使用することにより、試料のアイソトープ比を分光計のアイソトープ比較正(又はデルタスケール収縮により補正することができる。この方法は、第2既知アイソトープ比を有する基準ガス(たとえば、基準ガス2(42))を選択すること、及びレーザーセル中において第2既知アイソトープ比を有する基準ガスのアイソトープ比を測定する(好ましくは、第1既知アイソトープ比を有する基準ガス(基準ガス1)の測定濃度の範囲内の担体ガス中の1つ以上の濃度において)ことを含む。次に、第1既知アイソトープ比及び第2既知アイソトープ比を有する基準ガスの測定アイソトープ比からアイソトープ比較正を決定することができ、さらに、決定されたアイソトープ比較正により試料ガスの測定アイソトープ比を補正することができる。
【0093】
ここで使用される場合、請求項中の記述も含めて、文脈により別段の指示がある場合を除き、本文書では用語の単数形は複数形を含むものとして解釈されるべきであり、また、その逆も真である。
【0094】
この明細書の記述及び請求項を通じて、単語、「含む(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」及び「包含する(contain)」及びこれらの単語の変形は、例えば、「含む((comprising)及び(comprises))」等は、「含むがそれらに限られない」を意味し、かつ他の構成要素を排除する意図をもたない(かつ排除しない)。
【0095】
当然のことながら、本発明の前記実施形態に対する変形は、本発明の範囲内に依然として属しつつ、実施可能である。この明細書において開示された各特徴は、別段の指示のない限り、同一、等価又は同様な目的を果たす代替特徴により置換可能である。したがって、別段の指示の限り、開示された各特徴は、一般的な一連の等価又は同様な特徴の一例にすぎない。
【0096】
本出願において使用されるありとあらゆる例又は例示表現(「たとえば」、「など」、「例として」及び同様な表現)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、別途請求しない限り本発明の範囲の制限を示すものではない。本明細書における如何なる表現も非請求要素を本発明の実行にとって必須の要素として指定するものと解釈されるべきでない。
【0097】
この明細書に記載されている手順は、別段の指示又は文脈により別段の要求がない限り、任意の順序又は同時に行うことができる。
【0098】
この明細書において開示された特徴のすべては、かかる特徴の少なくとも一部及び/又は手順が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせにより組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての態様に適用可能であり、また、任意の組み合わせで使用することができる。同様に、非本質的組み合わせとして記述された特徴は、別々に(組み合わせとしてではなく)使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8