【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に従って、アイソトープ比分析器にガスを導入するためのガス注入システムが提供され、このシステムは、
検体ガスの供給源と、
検体ガスの供給源から検体ガスの流れを運ぶための検体ガスラインと、
担体ガスの供給源と、
担体ガスの供給源から担体ガスの流れを運ぶための担体ガスラインと、
を含み、検体ガスラインは、検体〜担体合流点において担体ガスラインと合流して検体ガスと担体ガスを混合するものであり、この合流点は、さらに、合流点からアイソトープ比分析器へ混合ガスを運ぶための出口ラインに接続されている。また、この合流点は、担体ガスライン上の開口部の下流に位置している。この合流点及び担体ガスライン上の開口部の配置により、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より少ない状況下では開口部と検体〜担体合流点間の流れは常にアイソトープ比分析器へ向かい、かつ検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より多い状況下では開口部と検体〜担体合流点間の流れは常に開口部へ向かう。その結果、ガス注入システムは、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より少ない状態となる1つの動作モードで構成することが好ましい。その結果、このガス注入システムは、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より多い状態となる別の動作モードで構成することもできる。いずれにせよ、このガス注入システムは、検体ライン中の検体ガスの流量とアイソトープ比分析器へのガスの流量がほぼ同じとならないように構成することが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様によるガス注入システムを含むアイソトープ比分析器も提供する。
【0013】
検体ガスの後方、すなわち上流の開口部への拡散は、検体〜担体合流部から開口部までの流量の大きさ及び距離により制限される。本発明の第1の態様は、したがって検体ガス供給源からアイソトープ比分析器へのほぼ完全な検体ガス移動を与える。すなわち、開口部経由の検体ガスの喪失が殆ど発生せず、それよりむしろ開口部は過剰担体ガスのみ好ましくは空気中に排出する。担体ガスは、一般的に検体ガスより低価値であり(通常、より廉価)、したがってより多く空費することができる。換言すると、検体〜担体合流点及び開口部ならびにこれら相互間の距離の構成は、検体ライン中の検体ガスの流量がアイソトープ比分析器へのガスの流量より少ない状況下において、開口部と検体〜担体合流点間の流れが常にアイソトープ比分析器に向かうように設計される。
【0014】
このシステムは、好ましくは、検体ガスを検体ガスラインに供給する検体ガス供給源を含む。検体ガスは、試料ガス(たとえば、未知アイソトープ比及び/又は未知濃度の測定対象ガス)又は基準ガス(たとえば分析器較正のための既知アイソトープ比のガス)とすることができる。検体ガスは試料ガスであることが好ましい。このシステムは、担体ガスを担体ガスラインに供給する担体ガス供給源も含む。担体ガス供給源は、検体ガスを殆ど含まないことが好ましい。好ましい実施形態は、検体ガスがCO
2であり、かつ担体ガスがCO
2を殆ど含まないガス、たとえばCO
2無含有空気又はCO
2無含有含窒素(N
2)である場合である。検体ガスライン及び担体ガスラインは、それぞれ、それらの供給源から分析器へ検体ガス及び担体ガスの流れを運ぶ。実施形態によっては、2つ以上の検体ガス供給源及び/又は2つ以上の検体ガスラインを設けることができる。一部の実施形態では、2つ以上の担体ガス供給源及び/又は2つ以上の担体ガスラインを設けることができる。
【0015】
本発明の第2の態様に従って、アイソトープ比分析器にガスを導入するためのガス注入システムが提供され、このガス注入システムは、照合システムを含み、この照合システムは、
少なくとも基準ガスの第1供給源(それは第1既知アイソトープ比)と、
担体ガスの供給源(好ましくは、本発明の第1の態様における担体ガスラインに供給する供給源と同じ担体ガスの供給源)であって、担体ガスは基準ガスを含まないことが好ましい、担体ガスの供給源と、
(以上において、基準ガスの供給源及び担体ガスの供給源は、それぞれの基準ガスライン及び担体ガスラインにより、基準ガスと担体ガスが混じり合う第1混合合流点に接続される。また、第1混合合流点への担体ガスの流れは流量制御手段により制御可能であることが好ましい。)
第1混合合流点の下流に接続される、混じり合った基準ガスと担体ガスが混合される混合領域と、
混合されたガスを混合領域からアイソトープ比分析器に運ぶための出口ラインと、
混合領域の下流にある、出口ライン上の開口部と、を含む。
【0016】
照合(較正とも呼ばれる)システムは、さらに、少なくとも、第2既知アイソトープ比を有する基準ガスの第2供給源を含むことが好ましい。好ましい実施形態では、第1と第2基準ガスの化学組成は同じであり(たとえば、両方ともCO
2とすることができる)、かつそれらはアイソトープ比のみにおいて異なる。基準ガスの第1及び第2供給源は、それぞれ、必要に応じて担体ガスと混合するために、第1混合合流点に独立に(たとえば交互に又は同時にではなく)接続することができる。第1混合合流点は、T字型合流点とすることが好ましい。ここで用語、T字型合流点は、3つの流路の合流点を意味する。すなわち、それは、3つのアームを有する。それは、T字形の部品、又はY字型の部品、又は3つの直交流路の合流点として実現でき、また、3つの流路が同一平面に存在する2次元構成又は3つの流路がすべて同一平面に存在しない3次元構成(たとえば3次元「三脚」構成の形態)とすることもできる。この場合、2種類のガスが接して混合される混合合流点は、混大気に対して開放されないことが好ましい。これは、混合がオープンスプリットで行われる先行技術システムと対照的である。この方法は、混合のための臨界流れを完全に制御することを可能にする。
【0017】
開口部は、大気に対して開くことが好ましい。大気に対する開口は、出口ラインの流れがアイソトープ比分析器の取り扱い可能な量を超えないことを保証する。開口部は、開放毛細管の形態とすることが好ましい。開口部は、混合領域の下流に位置するT字型合流点などの合流点(開放合流点)上に位置することが好ましい。開口部を有する合流点における圧力が常に大気圧に非常に近くなるようにするために、この開口部は、ガスの流れに対し著しい制限を加えるべきでない。これは、この開口部経由の流量が過大にならないことを意味する。開口部における圧力低下は、250mbar以下、特に50mbar以下となるようにすることが好ましい。他方、この開口部経由の流量は、担体ガスの流れに対する基準ガスの後方拡散が十分に小さくなるようにするために十分多くするべきである。そうしない場合、これは、分別(アイソトープ比の変化)に通ずる。一例として、開放毛細管の形態の開口部は、少なくとも内径0.5mm、たとえば0.5mm〜2mmとすることができ、かつ少なくとも長さ5mm、又は少なくとも10mmとすることが好ましい。かかる開放毛細管を有する合流点への好ましい流量は、少なくとも1ml/分であり、かつかかる開放毛細管経由の好ましい流量は少なくとも0.5ml/分である。この場合のオープンスプリット経由の流れの喪失は、一般的に入力流量の1/1000未満である。
【0018】
一般的に第1混合合流点と開口合流点との間に一定の長さの毛細管を含む混合領域は、直線毛細管とすることができるが、1つ以上の屈曲を含み、かつ/又は2つの合流点間に角(たとえば90度)を有することが好ましい。混合領域内の混合は、この方法により増大するであろう。これに加えて又はその代わりに、混合領域は、内径(内部断面積)の1つ以上の変化を含むことができる。混合領域における混合を改善するその他の手段は、以下を含む:高い相互拡散係数を有する担体ガスの使用、混合領域の加熱、基準ガスが混合領域毛細管の断面の中央において加えられるように合流点を変更すること、混合領域中の屈曲及び/又はバッフル又はその他の混合装置(受動的又は能動的)の使用。
【0019】
第1混合合流点への担体ガスの流れを制御する流量制御手段は、基準ガスの制御希釈を可能とし、それにより分析器による基準ガスのアイソトープ比の測定が複数の種々の濃度で行われ得るようにする。流量制御手段は、担体ガスの流れの調整又は動的制御を可能にする。たとえば、この場合、流量制御手段は、質量流量コントローラ又は比例弁を含む。流量制御手段は、流量コントローラ又は調整弁とすることができる。流量制御手段は、たとえば、質量流量コントローラ又は比例弁、又は体積流量コントローラ、又は米国特許第7,928,369号明細書及び国際公開第2007/112876号パンフレットにおいて記述されている流量を離散的ステップにより調整することを可能にする固定流量制限装置の切り換え可能な組み合わせとすることができる。流量制御手段は、自動又は手動により動作させることができる。流量制御手段は、圧力調整装置の下流に配置される少なくとも1つの流量制御装置と組み合わされる少なくとも1つの自動又は手動圧力調整装置を含み得る。流量制御手段は、自動式の電子式又はデジタル式流量コントローラ、たとえば、国際公開第2007/112876号パンフレットにおいて記述されている装置とすることができる。流量制御手段の一例は、Thermo Scientific
TMのConFloIV
TMである。
【0020】
較正システムは、基準ガスの担体ガスによる2段階の希釈を含むことが好ましい。希釈段階の一方のみにおいて、担体ガスの流れがたとえば質量流量コントローラにより動的に調整されることが好ましい。より好ましくは、第1希釈段階において担体ガスを動的に調整する。好ましい実施形態では、較正システムは、さらに、混合領域からの出口ライン上に第2混合合流点を含み、この場合、さらなる担体ガスがすでに混合されたガスと混合され得る。この場合、第1段階希釈後に混合領域から現れるガスは、基準ガスと担体ガスの事前混合ガスであるが、これが第2希釈段階において追加担体ガスによりさらに希釈される。第2混合合流点は、好ましくは、出口ライン上の開口部の下流に配置される。第2混合合流点に供給される担体ガスは、第1混合合流点に供給した供給源と同一の担体ガス供給源からとすることが好ましい。すなわち、担体ガス供給源は1つとすることが好ましい。担体ガスの同一供給源は、本発明の第1態様における担体ガスの供給に際しても好ましい。担体ガスは、第2担体ガスラインにより第2混合合流点に運ばれることが好ましい。第2混合合流点に供給される担体ガスは、調整又は動的に制御しないことが好ましい。すなわち、その場合、質量流量コントローラ又は比例弁は使用しない。したがって、基準ガスの希釈は、第1混合合流点への担体ガスの流れの制御により調整することが好ましい。一部の実施形態では、第1混合合流点の代わりに第2混合合流点への担体ガスの流れの動的制御により基準ガスの希釈を調整することも可能であるが、この方法はあまり好ましくない。
【0021】
混合領域からの出口ラインは、第2混合合流点の上流に、しかし好ましくは開口合流点の下流に位置する流れ制限装置を有することが好ましい。第2担体ガスラインも第2混合合流点の上流に流れ制限装置を有することが好ましい。これらの2つの流れ制限装置は、第2混合合流点における事前混合ガス流と担体ガス流間の流量比を保証する。流量比(事前混合ガス:担体ガス)は、たとえば1:30とすることができる。CO
2基準ガスの場合、事前混合ガスのCO
2濃度は、約13,000ppm〜4,000ppm(100万分の1)の範囲であることが好ましい。分析器に入る希釈ガス(すなわち、第2希釈が行われる第2希釈後)のCO
2濃度は約200〜4000ppmの範囲が望ましく、200〜3,500ppm(空気中のCO
2又は窒素中のCO
2の濃度)が望ましく、さらに好ましくは約200〜1500ppmの間の範囲である。これは、環境CO
2(それは、一般的に少なくとも400ppm)の測定のために最適化される。これらの濃度範囲は、分析器の測定セル(それはガスのレーザー吸収測定を行うためのレーザーセルである)に特に当てはまる。これらの濃度範囲は、任意選択的に若干の変化を選択して、その他の検体ガスにも当てはまるであろう。CO
2以外のガス、たとえばメタンの場合、測定対象のガスの最適濃度に関してシステムを調整することが好ましい。一般的に、分析器に入るガスの好ましい濃度は、当該応用及び検体ガスの種類、吸収線の強度、及び分析器の感度などの要因に依存する。
【0022】
本発明の装置に供給されるか又は本発明の方法で使用される基準ガスの供給源は、純ガスであるか、又は約2以下、又は約5以下、又は約10以下の倍率により希釈されることが好ましい。
【0023】
本発明は、このように、特にアイソトープ比分光分析に適するアイソトープ比測定値の濃度依存の決定(直線性較正)を可能にすることができるシステムを提供する。さらに好ましい実施形態において、それは、さらにアイソトープ比測定値のアイソトープ比依存(デルタスケール収縮)の決定を提供することができる。
【0024】
本発明の第3の態様に従って、アイソトープ比を測定する方法が提供され、この方法は、
第1既知アイソトープ比の基準ガスを供給するステップと、
担体ガス中の複数の濃度において第1既知アイソトープ比の基準ガスのアイソトープ比を測定するステップと、
第1既知アイソトープ比を有する基準ガスのアイソトープ比測定値の濃度依存を決定するステップと、
未知アイソトープ比及び未知濃度の試料ガスを供給するステップと、
試料ガスのアイソトープ比及び濃度を測定するステップと、
決定された濃度依存により試料ガスの測定されたアイソトープ比を補正するステップと
を含む。
【0025】
好ましい実施形態では、この方法は、
第2既知アイソトープ比の基準ガスを供給するステップと、
好ましくは第1の既知アイソトープ比の基準ガスの測定濃度の範囲内にある担体ガス中の1つ以上の濃度において、第2既知アイソトープ比の基準ガスのアイソトープ比を測定するステップと、
第1及び第2の既知アイソトープ比の基準ガスの測定アイソトープ比からアイソトープ比較正を決定するステップと、
さらに、決定されたアイソトープ比較正により試料ガスの測定アイソトープ比を補正するステップと
をさらに含む。
【0026】
アイソトープ比の測定に先立ち試料ガスも担体ガス中で希釈することが好ましい。試料ガスも担体ガス中において第1既知アイソトープの基準ガスの濃度の範囲内にある濃度に希釈することが好ましい。試料ガスは、本発明の第1の態様によるシステムを使用して希釈することができる。場合によっては、試料ガスは、アイソトープ比の測定前に担体ガス中で希釈されない、すなわち、それは、供給された状態で使用されることがある。
【0027】
試料ガスは、一連の濃度を有し得る。基準ガスは、少なくとも、担体ガス中において試料ガスの濃度の範囲内にある濃度に希釈することが好ましい。
【0028】
基準ガスは実質的に純ガスとして供給されることが望ましく、かつ担体ガスは基準ガスを殆ど含まない状態で供給されることが好ましい。分析がCO
2について行われる場合、基準ガスはCO
2であり、かつアイソトープ比は比
13C/
12C又は
18O/
16O、特に
13C/
12Cとすることが好ましい。したがって、担体ガスは、CO
2を含まない空気又はCO
2を含まないN
2などのCO
2無含有ガスであることが好ましい。したがって、試料ガスは、測定されるCO
2も含む。アイソトープ比の測定対象とすることができ、したがって基準ガスとして使用できるその他のガスは、たとえば、以下を含む:CH
4、C
2H
6、C
xH(
2x+2)(xは整数)、水蒸気(たとえば、大気中の)、CO、小さな炭化水素、アルコール、アルデヒド、NO
x、N
xO
y(ただし、x=1、2及びy=1、2、3、4又は5(たとえばNO、NO
2又はN
2O)、H
2S、窒素、酸素、又は水素、又はその他のガス。
【0029】
検体ガスのいくつかの例及びそれらの測定可能アイソトープ比を別表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
担体ガスは、以下から選択することができる:空気、窒素、ヘリウム又はアルゴン、前記任意の2つ以上の混合ガス。
【0032】
有利なことに、第1既知アイソトープ比の基準ガスの単一供給源を使用することが好ましい。この基準ガスは担体ガスにより動的に希釈されてアイソトープ比の測定及びアイソトープ比の濃度依存の決定のために使用される複数の濃度を提供する。これは、種々の既知濃度を有する複数の基準ガスを用意する必要性を除去する。
【0033】
基準ガスの希釈は、2段階の希釈、たとえば前述の較正システムの方法の希釈によることが好ましい。
【0034】
本発明の装置に供給されるか又は本発明の方法において使用される基準ガスの供給源は、純ガスとするか、又は約2以下、又は約5以下、又は約10以下の倍率により希釈することが好ましい。次にかかる基準ガスの供給源に前述の動的希釈、特に前述の2段階希釈を施すことが好ましい。
【0035】
基準ガス及び試料ガスのアイソトープ比の測定は光学分光計を使用して行うことが好ましいが、質量分光計又はその他の分光計又は測定装置を用いて行うこともできる。
【0036】
第3の態様の方法は、第1及び第2の態様のシステムを使用して行うことができる。
【0037】
第3の態様における担体ガスの流れは、流量制御手段により、少なくとも部分的に調整されるか又は動的に制御されることが好ましい。この流量制御手段は、質量流量コントローラ又は比例弁を含むことが望ましく、さらに、これらはコンピュータ制御とすることが好ましい(すなわち、ソフトウェア制御下とする)。この方法により基準ガスの希釈を制御することができる。基準ガスの希釈は、担体ガスによる2段階の希釈を含む。基準ガスの第1段階の希釈における担体ガスの流れは、流量制御手段により動的に制御されることが好ましい。第2段階の希釈における担体ガスの流れは動的に制御されないことが好ましい。
【0038】
好ましくは、本方法は、基準ガス及び担体ガスを、それぞれの基準ガスライン及び担体ガスラインにより、基準ガスと担体ガスが混じり合う第1混合合流点に接続するステップと;第1混合合流点の下流の混合領域において、混じり合った基準ガスと担体ガスを混合するステップと;混合されたガスを混合領域から出口ラインに沿ってアイソトープ比分析器に運ぶステップと;混合領域の下流の出口ライン上に大気への開口を設けるステップとをさらに含む。
【0039】
試料ガスは、合流点において担体ガスにより希釈されることが好ましい。この場合、合流点は、さらに、混合されたガスを合流点からアイソトープ比分析器に運ぶための出口ラインに接続される。また、合流点は、担体ガスライン上の大気への開口部の下流に配置され、それにより合流点への検体ガスの流量は、アイソトープ比分析器に流入するガスの流量より少なくなり、よって開口部と合流点との間の流れは常にアイソトープ比分析器に向かう。
【0040】
本発明の好ましい特徴及びさらなる詳細について、これから説明する。
【0041】
試料ガス及び/又は基準ガスは、望ましくCO
2である。試料ガス及び基準ガスについて測定されるアイソトープ比は、したがって、好ましくは
13C/
12C及び/又は
18O/
16Oである。基準ガスは、好ましくは、純ガス、たとえば純CO
2である。これを先行技術較正システムにおける既知濃度に事前希釈された基準ガスの使用と比較する。純ガス源からの希釈は、分析器に導入されるガスの濃度設定における完全な融通性を可能にする。有利なことに、担体ガスにより希釈できる純基準ガスの市販サイズ(たとえば10リットルのCO
2)ボトルは、非常に長持ちし、場合によっては分析器の寿命期間にわたり使用できる。したがって、基準ガスのボトル交換は、殆ど必要とされないであろう。担体ガスは、反対に、基準ガス無含有であることが好ましい。たとえばCO基準ガスの場合、担体は、CO
2無含有ガス、たとえばCO
2無含有空気又はCO
2無含有N
2とすることが好ましい。有利なことに、かかる担体ガスは、現場で作成することができる。
【0042】
ここで、用語、ガスラインは、ガスを運ぶための管、導管、筒、毛細管等を指す。ライン上に任意の個数の装置を配置することができる。たとえば、合流点、弁、流量制限装置、流量コントローラ、ゲージ等のような装置である。
【0043】
ここで言及した合流点は、好ましくは、前に定義したT字型合流点とし、かつ/又は好ましくは、ガスラインの1つ以上の合流点及び1つ以上の部分を機械工作物、すなわち、1つの機械部品中に設ける。換言すると、このシステムの少なくとも一部は、バルク材(たとえば金属ブロック)の機械加工により製造することができる。これは、製造における再現性の向上を可能にする。かかる構造は、システムの剛性を改善し、かつガス注入部の開口部(オープンスプリット)及びその他の部品の一体機械部品への組み込みを可能にする。開口部を有する合流点におけるT字型合流点構造の使用は、機械加工ブロックによる製造の採否に関係なく、開口部経由の臨界流れが全面的な機械制御下に置かれることを保証し(先行技術では、オープンスプリットは、通常、オープン・バイアル中の一連の入れ子式チューブとして設けられる)、これによりかかる「オープンスプリット」における流れの計算及び分別プロセスの管理の制御が可能となる。T字型合流点設計は、十分に分離された拡散経路を可能とし、これにより、流動特性が十分に決定されるので、システムの計算が容易となる。
【0044】
別の態様において、本発明は、以下を含むアイソトープ比分析器のためのガス注入システムを提供する:基準ガス、試料ガス及び基準ガス又は試料ガスを希釈するための担体ガスのそれぞれの少なくとも1つの供給源、担体ガスによる基準ガス又は試料ガスの希釈を可能にするための1つ以上のT字型合流点、及び大気に対する開口部を有する1つ以上の別のT字型合流点(すなわち、T字型合流点のアームの1つが大気に対して開いている)。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は、以下を含むアイソトープ比分析器のためのガス注入システムを提供する:基準ガス、試料ガス及び基準ガス又は試料ガスを希釈するための担体ガスのそれぞれの少なくとも1つの供給源、担体ガスによる基準ガス又は試料ガスの希釈を可能にするための1つ以上の合流点、及び大気に対する開口部を有する1つ以上の合流点。この場合、これらのガスのガス流路の少なくとも一部(及び/又は合流点)は機械ブロック中の機械加工流路として設けられる。大気に対する開口部を有する1つ以上の合流点は、担体ガスによる基準ガス又は試料ガスの希釈を可能にしている1つ以上の合流点とは別個のものである。ガス流路が機械ブロック外に伸びる場合、それらは、好ましくは、毛細管、たとえば、石英ガラス、又は金属、又はポリマー(たとえばPEEK)の毛細管として設けられる。
【0046】
したがって、本発明のガス注入システムは、特にガスライン間の合流点がT合流点として設けられる場合に、流れ相互間の合流点(特に希釈用の合流点)がオープン・バイアルの形態で設けられる先行システムのオープンスプリットに比べて、コンパクトかつ堅牢な形態で提供することができるシステムである。ガスラインの少なくとも一部を機械加工ブロック中に設けることは、システムの頑健性及び製造における再現性をもたらす別の長所である。
【0047】
本発明を使用することにより、試料ガス及び基準ガスの濃度を相互に、かつ使用されるアイソトープ比分析器にとって適切な最適濃度範囲に合致させることができる。
【0048】
本発明は、アイソトープ比分析器、特にアイソトープ比光学分光計のガス注入部のためのいわゆるオープンスプリットに対する多数の改善も提供する。本発明の別の長所として、試料ガスラインが担体ガスラインに合流する場所の上流に担体(希釈)ガスライン上の開口部を設ける構成により、試料喪失がほとんどないか又は皆無であること、及び担体ガスの付加がほんのわずかであることが実現される。また、オープンスプリットは、最低限の基準又は試料ガスが流れから分かれてアイソトープ比分析器に流入するように構成することができる。
【0049】
このガス注入システムは、濃度測定のためにアイソトープ比分析器と併用することもでき、また、アイソトープ比測定値の濃度依存の較正(直線性較正)を決定し、それを試料測定値の補正のために使用することができる。
【0050】
アイソトープ比分析器は、アイソトープ比を測定することができる任意の種類の分析器、特にアイソトープ比質量分光計又はアイソトープ比光学分光計であり得るが、本発明は、アイソトープ比光学分光計(すなわち、光学吸収分光計)の場合、とりわけレーザー分光計(すなわち、レーザー吸収分光計)の場合に特に有利である。かかる分光計は、一般的に、赤外線領域、より好ましくは中赤外域領域(たとえば、2.5μm〜6μm)において動作する。したがって、このアイソトープ比分析器は、好ましくはアイソトープ比光学分光計であること、さらに分析対象のガスに関する光学吸収測定を行うための測定セルを含むことが好ましい。さらに、この測定セルは、分析対象ガスに関するレーザー吸収測定を行うためのレーザーセルであることが好ましい。このレーザーセルは、マルチパス・セルであることが好ましい。多数回のレーザー通過の合計により与えられるセル中の光学経路長は、1〜10
5m、又は1〜10
4m、1〜10
3m、1〜10
2m、又は1〜10mの範囲であろう。基準ガスと試料ガスの両方の測定のために単一の測定セルを使用することが好ましい。かかるレーザーセルは、一般的にセルからの出口上のポンプによりポンピングされる。好ましいレーザー測定セルは、不等式、I
*L
*C<1.6
*10
-12を満たし、
ここで:
I=スペクトル強度(単位cm)
L=光学経路の長さ(単位cm)
C=測定されるガスの濃度(単位ppm)
である。
【0051】
アイソトープ比は、一般的に、かかる分析器において2(又はそれ以上)の別々のスペクトル吸収線を一般的に赤外線領域において測定することにより決定される。この場合、それぞれの相異なる同位体種(同位体置換体)について少なくとも1つの吸収線、たとえば
12C
16O
2について1つの吸収線及び
13C
16O
2について別の吸収線を測定する。CO
2について好ましい吸収線は、4.329μm又はその付近の線である。スペクトル吸収線の強度の比は、同位体種のそれぞれの存在量の比の尺度である(かつしたがって、この場合におけるアイソトープ比
13C/
12Cである(これは、確立されているデルタ表記、δ
13Cとして表すことができる)。一般的に、本書におけるアイソトープ比は、確立されたデルタ表記(δ)として表すことができる。
【0052】
このアイソトープ比分析器は、CO
2からアイソトープ比
13C/
12C及び/又は
18O/
16Oを測定するために構成することができる。当然のことながら、それは、CH
4分析におけるH/Dなどの他のアイソトープ比の測定及びたとえばN
2O又はCOなどの他のガスにおけるアイソトープ比(たとえば
13C/
12C又は
18O/
16O又は
15N/
14N)の照合にも適する。本発明により分析され得るその他のガスの種類及びそれらのアイソトープ比は特に限定されない。それらのさらなる例は、本出願中で別途示されている。当然のことながら、他のガスの場合、測定の性質及び分析器の感度に応じて、ガス濃度及び流量の適切な調整が必要になるであろう。本出願では、アイソトープ比
13C/
12C及び/又は
18O/
16O(又はその他のアイソトープ比)の測定は、比のそのもの又は比を表す数量(たとえば、デルタ値)の決定を含み得る。
【0053】
上記の機能については、本発明の他の詳細とともに以下において図を参照しつつ、さらに詳しく説明する。