特許第6181302号(P6181302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181302織機内で織物の張力を計測するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181302
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】織機内で織物の張力を計測するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   D03D 49/04 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   D03D49/04
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-528172(P2016-528172)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公表番号】特表2016-540133(P2016-540133A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014073946
(87)【国際公開番号】WO2015067702
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】102013222679.9
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591021578
【氏名又は名称】リンダウェル、ドルニエ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】LINDAUER DORNIER GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100199255
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 大幸
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、ギーレン
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−192945(JP,A)
【文献】 特開平02−242951(JP,A)
【文献】 特開2003−193353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D29/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物(1)が偏向シャフト(2)によって偏向される織機内で、当該織物の張力を計測するための方法であって、
曲げ力が前記織物(1)によって前記偏向シャフト(2)上に適用され、
前記偏向シャフト(2)の偏向ないし湾曲の変位が、前記織機上の前記偏向シャフト(2)の2つの支持部(4.1、4.2)の間の領域に配置されたセンサ(3)によって計測され、
前記偏向シャフト(2)は、前記2つの支持部(4.1、4.2)を介して前記織機上の装置フレーム(9)に連結され、
前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の離間距離(A)が、計測される張力がより大きい織物に対しては減少され、計測される張力がより小さい織物に対しては増大される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記偏向シャフト(2)の2つの外側端部が、2つの固定的な外側支持部(14.1、14.2)によって追加的に支持される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オペレータが、前記織機の制御装置(5)内に、前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の現在の離間距離(A)について、または、現在の計測範囲について、を入力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記織機上にマーキング(6)が適用され、当該マーキング(6)から、オペレータが前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の現在の離間距離(A)についての情報、または、現在の計測範囲についての情報、を取得可能である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の前記現在の離間距離(A)、または、少なくとも1つの支持部(4.1)の位置が、計測要素(7)によって計測されて前記織機の前記制御装置(5)に更に電気的に伝達される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記偏向シャフト(2)の前記偏向ないし湾曲の変位は、前記センサ(3)にて有効な伝達要素(8)の前記計測距離(D)が前記偏向シャフト(2)上の実際の偏向ないし湾曲の変位よりも大きいような態様で、当該伝達要素(8)によって前記センサ(3)に伝達される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記伝達要素(8)として2つのレバー端部を有する伝達レバー(8)が用いられ、
第1のレバー端部は、前記織機の装置フレーム(9)に連結される一方、第2のレバー端部は、自由に移動可能であり、
前記センサ(3)は、前記偏向シャフト(2)からある離間距離にて配置される一方、前記伝達レバー(8)は、当該伝達レバー(8)の前記第2のレバー端部が前記センサ(3)の近位にある一方で前記第1のレバー端部が前記偏向シャフト(2)の近位にあるような態様で、偏向シャフト(2)とセンサ(3)との間に配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
織機内で織物の張力を計測するための計測装置を有する織機であって、
偏向シャフト(2)であって、当該偏向シャフト(2)に曲げ力を適用する前記織物(1)を偏向するための偏向シャフト(2)と、
前記偏向シャフト(2)の偏向ないし湾曲の変位を計測するためのセンサ(3)と、
を備え、
前記センサ(3)は、当該織機上の前記偏向シャフト(2)の2つの支持部(4.1、4.2)の間の領域内に配置され、
前記偏向シャフト(2)は、前記2つの支持部(4.1、4.2)を介して当該織機の装置フレーム(9)に連結され、
前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の離間距離(A)が、計測される張力がより大きい織物に対しては減少可能であり、計測される張力がより小さい織物に対しては増大可能である
ことを特徴とする織機。
【請求項9】
前記偏向シャフト(2)の前記2つの外側端部は、2つの固定的な外側支持部(14.1,14.2)によって追加的に支持される
ことを特徴とする請求項8に記載の織機。
【請求項10】
前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の現在の離間距離(A)について、または、現在の計測範囲について、を当該織機の制御装置(5)に入力するための入力装置(5a)を更に備えた
ことを特徴とする請求項8または9に記載の織機。
【請求項11】
前記織機上にマーキング(6)が適用され、当該マーキング(6)から、オペレータが前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の現在の離間距離(A)についての情報、または、現在の計測範囲についての情報、を取得可能である
ことを特徴とする請求項10に記載の織機。
【請求項12】
前記偏向シャフト(2)の前記2つの支持部(4.1、4.2)の間の現在の離間距離(A)、または、少なくとも1つの支持部(4.1)の位置、を計測し、当該織機の制御装置(5)に電気的に伝達するための、少なくとも1つの計測要素(7)、特には少なくとも1つの射光装置、を更に備えた
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の織機。
【請求項13】
前記偏向シャフト(2)の前記偏向ないし湾曲の変位を、前記センサ(3)にて有効な伝達要素(8)の前記計測距離(D)が前記偏向シャフト(2)上の実際の偏向ないし湾曲の変位よりも大きいような態様で、前記センサ(3)に伝達するための伝達要素(8)を更に備えた
ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載の織機。
【請求項14】
前記伝達要素(8)は、2つのレバー端部を有する伝達レバー(8)として装備され、
第1のレバー端部は、前記織機の装置フレーム(9)に連結される一方、第2のレバー端部は、自由に移動可能であり、
前記センサ(3)は、前記偏向シャフト(2)からある離間距離にて配置される一方、前記伝達レバー(8)は、当該伝達レバー(8)の前記第2のレバー端部が前記センサ(3)の近位にある一方で前記第1のレバー端部が前記偏向シャフト(2)の近位にあるような態様で、偏向シャフト(2)とセンサ(3)との間に配置される
ことを特徴とする請求項13に記載の織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機内での織物の張力の計測に関する。
【背景技術】
【0002】
織機上で、織物の張力が計測され得る方法及び装置が、従来から知られている。巻き上げられる前の完成した織物は力が伝達されるように織機の経糸に連結されているので、織物の張力の計測は、一般に、製織中に経糸の張力を調整するために利用され得る。
【0003】
前述したタイプの装置は、例えば、EP 0 590 725 B1によって示されている。そこでは、当該装置は、偏向シャフトまたは変更ビームがその複数の外側端部に支持されており、織物の張力の下での当該偏向シャフトの偏向ないし湾曲が、支持部の間の略中央においてロードセルまたはセンサによって計測される、と説明されている。
【0004】
DE 3905881 A1も、織物の張力を計測するセンサの支援によって経糸の張力を計測するための装置を、示している。ここでは、センサは、偏向シャフト内に統合された計測ビームとして具現化されている。
【0005】
しかしながら、計測されるべき織物ないし経糸の張力は、とりわけ1:400の比率で、織物のタイプに著しく依存し得る、ということが示されている。しかしながら、それほどの大きな範囲での偏向ないし湾曲、または織物の張力の計測は、単一のセンサでは不可能である。このことは、実務において、大きく異なる経糸の張力を伴って製織される織物の場合にはセンサが交換される、という結果をもたらす。
【0006】
本発明の目的は、織物の張力が極めて広い張力範囲に亘って計測され得て、このことのためにセンサの交換を必要としない方法を、提供することである。
【発明の概要】
【0007】
前記目的は、独立請求項1による方法によって、及び、独立請求項7による織機によって、達成される。
【0008】
織物の張力を計測するために、当該織物は、偏向シャフトまたは偏向ビームによって、織機内で偏向される。この偏向のため、曲げ力が織物によって偏向シャフトに適用される。これにより、織物ないし経糸の張力の大きさに応じて、偏向シャフトのより大きなまたはより小さな偏向ないし湾曲が、引き起こされる。偏向シャフトの偏向ないし湾曲の変位は、織機上の偏向シャフトの2つの支持部の間の領域に配置されたセンサによって、計測される。偏向シャフトは、2つの支持部及び取り外し可能な連結手段を介して、装置フレームに連結されている。センサは、その計測信号を、例えば、織機の制御装置に更に方向付ける。本発明においては、偏向シャフトの2つの支持部の間の離間距離が、計測される張力がより大きい織物に対して減少され、または減少可能であり、当該偏向シャフトの2つの支持部の間の離間距離が、計測される張力がより小さい織物に対して増大され、または増大可能である。
【0009】
特に好ましくは、偏向シャフトは、その2つの外側端部が2つの固定的な外側支持部によって更に支持され、これにより、可変の離間距離を有する2つの支持部が、2つの外側支持部の間に配置される。
【0010】
最も好適には、前記離間距離を変化させるために、2つの(内側)支持部と織機との間の連結手段が解放され、そして再び固定される。このことは、織機のオペレータによって、または、自動的な運転調整手段である(たとえばスピンドルモータを有する)把持(クランプ)及び/または摺動装置によって、達成され得る。
【0011】
様々な異なる計測範囲が、異なって寸法決めされた、偏向シャフトの複数の把持位置の間の離間距離によって、実現される。これは、両端において挟み込まれる(clamped-in)シャフトの偏向ないし湾曲が表面の負荷に比例して変化し、挟み込んでいる複数の位置の離間距離には比例しない(釣り合わない)ので、計測範囲の大きな変化が、挟み込みの長さのわずかな変化によって、達成され得る。
【0012】
好ましくは、偏向ないし湾曲の計測のために、誘導式のセンサが利用される。しかし、その他の全ての変位計測センサ(容量式、光学式、磁気式)が利用され得る。ここにおいて、計測信号が偏向シャフトから、または偏向シャフトに連結されている伝達要素から、直接的に拾われまたは分岐(taken-off)される。
【0013】
歪ゲージもまた、センサとして利用され得る。歪ゲージは、例えば、偏向シャフトに連結された弾性変形可能な伝達要素上に、配置される。
【0014】
入力装置が設けられるならば、より有利である。オペレータは、制御装置がセンサの感度に関連付けられた計測範囲を特定できるように、当該入力装置を用いて、現在の支持部の離間距離についての情報を織機の制御装置内に入力することができる。また、支持部のある離間距離からもたらされる計測範囲の直接的な入力も、想定可能である。
【0015】
オペレータによる入力を支援するために、織機上にマーキングが設けられることが好適である。このマーキングから、オペレータが、現在の支持部の離間距離についての、または、支持部の離間距離からもたらされる計測範囲についての、情報を得ることができる。
【0016】
現在の支持部の離間距離、または、2つの支持部の位置のうち少なくとも1つ、を計測する少なくとも1つの計測要素が設けられ、その測定値が電気的に織機の制御装置に更に提供されるならば、有利である。2つの支持部の位置のうち1つのみが、双方の支持部の間の対称線に対して計測されるならば、その後、支持部の間の実際の離間距離が決定され得る。小さな偏向量ないし湾曲量で小さな張力の場合、経済的なセンサの選択において問題が生じる。従って、偏向シャフトの偏向ないし湾曲が、センサにて有効な伝達要素の変位が偏向シャフト上の実際の偏向ないし湾曲の変位よりも大きいような態様で、伝達要素、例えば伝達レバー、を介してセンサに伝達されるならば、特に有利である。
【0017】
このことは、例えば、偏向シャフトに対してある離間距離でセンサが織機上に配置され、2つのレバー端部を有する伝達レバーが偏向シャフトとセンサとの間に配置されて、達成され得る。伝達レバーの第1のレバー端部は、前記織機の装置フレームに連結される一方、第2のレバー端部は、自由に移動可能である。第1のレバー端部は、回転可能な態様で、または、弾性変形可能な要素ないし伝達レバーの弾性変形可能な部分を介して、装置フレームに連結され得る。伝達レバーは、
伝達レバーは、当該伝達レバーの前記第2のレバー端部が前記センサの近位にある一方で前記第1のレバー端部が前記偏向シャフトの近位にあるような態様で、偏向シャフトとセンサとの間に配置されている。ここにおいて、偏向シャフトと伝達レバーとの間に連結部が存在しており、これを介して偏向シャフトの偏向ないし湾曲が伝達レバーに伝達される。例えば、この連結は、弾性的に予め張力が付与された伝達レバー上への、偏向シャフトの接触式の形態における摩擦による力伝達の連結であり得る。しかしながら、例えばヒンジ結合によるまたはクランプ連結による、ポジティブ式の形状フィッティングまたは形状相互固定の連結もまた、想定可能である。
【0018】
前述の、偏向シャフトに対する2つのレバー端部の配置を通じて、第1のレバー端部の近位における偏向シャフト上の小さな偏向ないし湾曲が、第2のレバー端部の近位において大きな偏向ないし湾曲の変位またはセンサ上の計測距離へと伝達される、というレバー伝達がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による方法を実行するための装置ないし機械を有する織機の概略図であり、B−B図である。
図2図1による織機のA−A図であるが、織物は図示されていない。
図3図1の拡大された部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至図3は、以下において共通にまとめて説明される。
【0021】
経糸11が、不図示の経糸ビームから引き出され、この経糸11は、当該経糸11が杼口を形成し当該杼口の内部に緯糸が挿入されるような態様で、杼口形成要素12によって案内される。緯糸は、筬10によって織物の縁部または交絡点(interlacing point)に対して、筬打ちされる。織物1は、織物テーブル15及び偏向シャフト2を越えて、供給ないし引き込みローラ13まで搬送される。偏向シャフト2はまた、ねじ切りされたまたは斜めに延在する複数の溝を有し得て、これによって織物1が緯糸方向において広げられる。偏向シャフト2は、互いに対する離間距離を調整可能な2つの内側支持部4.1、4.2と、織機の装置フレーム9におけるガイドプロファイル18と同様の2つの固定的な外側支持部14.1、14.2と、を介して支持されている。
【0022】
供給ないし引き込みローラ13と経糸ビームとは、不図示の駆動装置を介して接続されている。これらの駆動装置は、経糸11と当該経糸11に連結された織物1とに経糸方向において張力が掛けられるような態様で、織機の制御装置5によって作動される。織物の張力の大きさは、織機上の経糸の張力の大きさのための基準である。2つの支持部4.1、4.2の間の領域において偏向シャフト2の上の張力が作用した織物1の偏向に起因して、当該偏向シャフト2の弾性的な偏向ないし湾曲を引き起こす曲げ力が生じる。偏向シャフト2は、伝達レバー8に連結されている。当該伝達レバー8は、偏向シャフト2の偏向ないし湾曲の変位、または弾性変形の大きさを拡大する。本実施の形態では、伝達レバー8は、装置フレーム9上にその第1の端部が挟み込まれたメタルシートから構成されている。メタルシートは、曲げによるバネのように機能する湾曲部ないし曲げ部を有している。これによって、伝達レバー8は、その第1の端部において装置フレーム9に弾性的に接続されている。メタルシートの第2の端部は、少なくとも、偏向シャフト2の偏向ないし湾曲の変位の方向において、自由に移動可能である。伝達レバー8は、偏向シャフト2の偏向ないし湾曲が伝達レバー8の摺動変位をもたらすように、配置されている。偏向シャフトの偏向ないし湾曲の際に、概ね円弧の形状に延在する伝達レバー8のそれぞれの摺動変位は、伝達レバー8の自由に移動可能な第2の端部と、偏向シャフト2が伝達レバー8上に係合している位置と、において生じる。伝達レバー8の第2の端部は、偏向シャフト2が伝達レバーに連結されている位置ないし領域よりも、装置フレーム9上の挟み込みの位置から、更に離間している。このような配置によって、装置フレーム9と伝達レバー8との接続位置の離間距離に応じて、前述の円弧状の摺動変位のために、異なる大きさの摺動変位が生じる。偏向シャフト2、後述されるセンサ3、及び、伝達レバー8、の配置は、偏向シャフト2の偏向ないし湾曲が、偏向シャフト2が伝達レバー8に接続されている地点ないし領域における摺動変位よりも伝達レバー8の自由端において、より大きな摺動変位を引き起こすように選択されている。
【0023】
前述のセンサ3は、偏向シャフト2の偏向ないし湾曲の方向においてレバーの自由端の計測距離Dを計測するものであり、伝達レバー8の第2の自由端の近位に配置されている。伝達レバー8のレバー伝達比率を介して、より大きな計測距離Dについての計測信号を発信するのみのそのようなセンサ3を利用することも可能である。本実施の形態においては、これは誘導式の距離変換器である。これは、偏向ないし湾曲の結果としてそこに生じる非常に小さな歪を計測するために、例えば偏向シャフト2の底部側に直接固定され得る高感度の歪ゲージよりも、低いコストをもたらす一因となる。計測された偏向ないし湾曲は、織機内で偏向シャフト2を越えて現在偏向されている織物1の張力または当該織物1の経糸の張力の計測値である。
【0024】
しかしながら、実際に生じている偏向シャフト2の偏向ないし湾曲は、偏向ないし湾曲が計測される支持部4.1、4.2の間の、離間距離Aにも依存する。
【0025】
本実施の形態では、支持部4.1、4.2は、取り外し可能に、ネジ16によって装置フレーム9の横桁に連結されている。横桁のガイドプロファイル18における支持部4.1、4.2の摺動変位によって、オペレータは、支持部4.1、4.2の間の離間距離Aを大きくまたは小さくし得る。本工程における補助的な援助として、計測スケールがガイドプロファイル上に適用される。この計測スケールは、複数のマーキング6を含んでおり、これらのマーキング6は、支持部4.1、4.2の様々な異なる離間距離を調節式に設定し、これによって、本発明による計測対象の織物の張力のための様々に異なる定められた測定範囲を設定するために、それぞれ、織機のオペレータによってそれぞれの支持部4.1、4.2の縁部と整列される。
【0026】
オペレータは、入力装置5a(例えばタッチパネル)を介して、それぞれの調節式に設定された支持部の離間距離Aを織機の制御装置5に入力する。そして、制御装置5において、調整された離間距離Aに対応するセンサ3の信号が、偏向ないし湾曲または織物の張力へと計算されることによって、変換される。
【0027】
マーキング6はまた、計測範囲、すなわち調整された支持部の離間距離Aから生じる織物の張力の最大値及び最小値、が直接的にそこから読み込み可能であるように、具現化ないし構成され得る。この場合、オペレータは、前述の入力装置5aを介して、調整された計測範囲を織機の制御装置5内に直接的に入力する。支持部の離間距離Aの計測のため、または、支持部4.1、4.2の一方または両方のセンサ3に対する現在の離間距離の計測のためには、1以上の計測要素7の任意の装置が、特に有利である。一例として、図1乃至図3において、計測要素7として射光装置が図示されている。この射光装置7は、偏向シャフト2の2つの支持部4.1、4.2の間で、偏向ないし湾曲のためのセンサ3の基体上に配置されている。計測要素7は、支持部4.1までの離間距離を計測する。この目的のため、好適には、射光装置7の光線のための反射面が、この支持部4.1上に存在している。外側支持部4.2は、オペレータによって、ガイドプロファイル上で、センサ3に対して対称的に調整的に設置される。従って、一方の支持部4.1のセンサ3までの計測された離間距離は、2つの支持部の間の離間距離Aの半分に対応する。計測された離間距離は、織機の制御装置5まで電気的に更に運ばれ、そこで計算によって織物のための計測範囲に変換される。
【0028】
本実施の形態では、偏向シャフト2は、クランピングジョーとクランピングネジ17の支援によって、支持部4.1、4.2上に固定されている。支持部の離間距離Aの変化は、これによって、センサ3に対して、または、織機に対して、偏向シャフト2の位置を変更することなく、可能である。センサ3及び伝達レバー8も、同様にして、装置フレーム9のガイドプロファイル18上に固定されている。
【符号の説明】
【0029】
1 織物
2 偏向シャフト
3 偏向ないし湾曲のためのセンサ
4.1、4.2 支持部
5 織機の制御装置
6 マーキング
7 支持部の離間距離の計測要素
8 伝達レバー
9 装置フレーム
10 筬
11 経糸
12 杼口形成要素
13 供給ないし引き込みローラ
14.1、14.2 外側支持部
15 織物テーブル
16 支持部のネジ結合部
17 偏向シャフトのためのクランプネジ
18 ガイドプロファイル
A 支持部間の離間距離
D 計測距離
図1
図2
図3